琵琶湖文化館 the Museum Of Shiga Pref
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浮城モノ語り

第57話 雪中山水図
 ますます寒くなってきました。師走ともなれば、県内各地で初雪がみられることでしょう。そこで、今回は雪にまつわる作品をご紹介したいと思います。
 紹介するのは横井金谷(よこい きんこく・1761~1832)の「雪中山水図」です。
 江戸時代中期を代表する俳人に与謝蕪村(1716~1784)という人がいます。松尾芭蕉への回帰を志向し、俳諧復興に尽力した人物として有名ですが、あわせて文人画の大成者でもあります。この蕪村の活動に多大な影響を受け、さらに近江において画業をなしたことから、「近江蕪村」と呼ばれた2人の画人がいます。一人は四条派の始祖・松村呉春(1752~1811)とともに蕪村門弟の双璧といわれた紀楳亭(1734~1810)です。楳亭は晩年に大津に移り住んで画業をなしました。浮城モノ語りにおいても代表的な収蔵品を紹介しました(第7話・第30話)。
 そして、もう一人が栗太郡笠縫村下笠(現・草津市下笠町)に生まれ、自ら蕪村に傾倒、浄土宗の僧侶でもあった横井金谷です。蕪村画に影響を受けながら、大坂、江戸、京都、名古屋など各地を放浪し、仏画、山水画、人物画、俳画、祭図などその生涯において膨大かつ多彩な作品を残しました(「金谷上人御一代記」)。
 金谷の作品についても、初期作品を第40話で紹介していますが、本品は後半期の作品です(印章「吾五十有五而志於学」)。
 山水景の滑らかな筆の運びは四条派のそれと類似しますが、個々の人物や動物表現は金谷風ともいうべき、なんともユーモラスで愛らしさを感じさせるものです(左下写真)。

 さらに本品を特徴づけるものが、画面全体に顔料を振りかけたかのような降雪表現です。款記部分をも覆うダイナミックなもので、荒々しさを感じさせつつも(右写真)、画面全体では調和のとれた降雪の表現となっており、積雪の到来を予感させます。



 本品は、来年の3月から5月にかけて滋賀県立近代美術館、草津市立草津宿街道交流館そして琵琶湖文化館が連携して開催する「旅する画僧・金谷 ― 近江が生んだ奇才 ― 」展(会場:草津市立草津宿街道交流館)に出陳予定の作品です。詳細が決まり次第、随時ホームページ等でお知らせしますので、是非チェックしてみてください。

(学芸員 渡邊 勇祐)