琵琶湖文化館 the Museum Of Shiga Pref
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収蔵品

源氏物語図 (げんじものがたりず)屏風  6曲1隻(部分)     江戸時代  個人蔵
  かの有名な『源氏物語』の中には、正月にちなんだものとして「初音(はつね)」の巻がある。「初音」は、『源氏物語』54帖のうち23帖にあたり、巻名は、明石の御方が、娘である明石の姫君 に贈った和歌による。いつしか年初の読書初めに読まれる巻となり、江戸時代の教養人の子女は、『源氏物語』を「初音」から学んでいったともいう。また、三代将軍徳川家光の娘千代姫(当時2 歳)が、尾張徳川家(二代光友)に嫁いだ際の婚礼調度品(国宝・徳川美術館蔵)は、「初音」の巻に取材したもので、『源氏物語』の中でも「初音」は、縁起物として有名であったことが知られ る。
 本屏風には、元旦の光源氏の邸宅六条院、明石の姫君の居間を中心に描かれている。居間には光源氏と明石の姫君、それを見守る女房たち、室内には実母明石の御方から幾つもの鬚籠(ひげご)( 竹で編んだ先をたばねて鬚のようにした食用の容器)や破籠(わりご)(折り箱のような弁当)、作り物の五葉松(ごようのまつ)に鶯(うぐいす)をつけた贈り物が届き、和歌が添えられていた。「年 月を松にひかれて経(ふ)る人に 今日鶯の初音聞かせよ」「まつ」(松と待つ)「ふる」(経ると古る)と、掛詞を駆使し、「鶯」は姫君のこと、「年初のたよりを聞かせてほしい」という、母か ら子に対する心情がよくあらわされている。源氏に促された姫君は、「引き分かれ年は経れども鶯の 巣立ちし松の根を忘れめや」「お別れして年がたちましたが、母のことはけっしてわすれてお りません」と、幼い子供心のままに返歌をしたためる。庭には梅が花をつけ、香りをふりまいている。池をめぐる築山では子女たちが初子(はつね)の遊びに興じている。正月最初の子(ね)の日を、 初子の日といい、貴族の子女たちは近郊で若菜を摘み、小松を引いて健康を祝う風習があり、本屏風にもそうした光景を描いた部分がある。金雲を使った伝統的な大和絵の手法で、「初音」の名場 面がよく描かれている。