日別アーカイブ: 2019年4月4日

金谷さんは「きんこく」さん

現在、草津市立草津宿街道交流館で開催中の「旅する画僧・金谷-近江が生んだ奇才-」展に関するお問い合わせが、【ご意見・ご感想】メールで届きました。湖国滋賀を代表する絵師のひとり、横井金谷(よこい きんこく)の作品を公開中で、当館の収蔵品も出品されているこの展覧会。ご質問は『なぜ「横井展」でなくファーストネームを使われるのですか?「かなや」と呼び間違われる方が多いのでは?』という内容でした。さてさて・・・。

ご指摘のように「金谷」と書くと通常は、名字で「かなや」「かなたに」と読むことが多いですよね。そのため、展覧会名を読み間違えられる方もいらっしゃるかもしれません。「きんこく」という名前(画号)も、知っていないと読めない読み方です。さてさて・・・。

そもそも近世の絵師たちは、画号で呼ばれることが多く、有名どころでは、(伊藤)若冲、(円山)応挙、(狩野)永徳、(俵屋)宗達、(葛飾)北斎など、皆さんも耳馴染のある(?!)よく聞く画号だと思います。これが例えば「伊藤展」「円山展」だとちょっとしっくりこないですよね?!流派で円山派の中には応挙・応瑞・応震など、日本絵画史上最大の流派と言われる狩野派においては、一体何人の狩野さんがいることか!!画法(技)が親・兄弟などの子孫や弟子筋に継承されたので、みんなが「狩野展」では困ってしまいます(笑)。なので、美術の世界では絵師を画号で呼ぶことが多いのです。

ところで、お気付きですか?チラシやポスターで「KINKOKU」とは表記せずに「KINKOK」と書かれていることを。実は、横井金谷には実際に「KINKOK」と落款印を捺した作品があり、そこがこの展覧会を企画された担当学芸員さんが「ポスターデザインで敢えて”こだわった”」点なのだと、うかがってます。江戸時代後期の作家が英語表記で自称するのですよ?!なんて自由!!さすが近江が生んだ奇才!!

「旅する画僧・金谷-近江が生んだ奇才-」展は、5月12日(日)までの開催です。「金谷」は「きんこく」と、読んであげてくださいね。イマドキのキラキラネームのようで、なんてステキ!!?

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