日別アーカイブ: 2021年9月29日

面会させてください・・・感動の親子対面?!

夏の終わりだったでしょうか。1本の電話がありました。「琵琶湖文化館で収蔵されている作品について、HPで拝見したのですが、実物を見せていただけないでしょうか。どうもアヤシイのです・・・云々。」・・・おやおや、何の話でしょう???

実はこのお電話をいただいたのは、信楽窯業技術試験場の川澄場長さんです。当館のHP「収蔵品紹介/彫刻」で紹介している「服部岩吉胸像」が、以前からどうしても気になって(?!)おられたそうです。

この胸像について少し解説しておきますと、モデルとなっているのは服部岩吉(はっとりいわきち:1885~1965)氏。大正から昭和にかけて活躍した政治家で、滋賀県知事を務めるなどし、当館の開館に際しても大変ご尽力いただいた人物でもあります。

また、制作にあたっては、肖像彫刻の名手であった滋賀県出身の森大造(もりだいぞう:1900~1988)氏が手掛けた石膏像・・・というご縁もあり、現在に至るまで当館では、おそらく「銅像の原型として制作されたもの」として、収蔵されてきました。

そこへきてこの度のお電話です。川澄場長は、どうしても気になっていたという「その原因」を持って来館されました。その実物がコチラ!焼き物の服部岩吉像です!

・・・これは確かに気になる。。。というか似すぎ?!
・・・クリソツっ!!
・・・いやいやパッと見だけで、判断してはいけませんよね・・細部までよく見てみないことには・・。

石膏と焼き物の違いはあれども、鋭い眼差しに強い意志を感じさせる口元、服や肩のライン、側面に書かれたサインの位置まで、あらゆるトコロが・・・やはり同じ!これには持ってこられた川澄場長も思わずニタリ・・・窯業技術試験場の焼き物と、その原型となった文化館の石膏像が、半世紀の時を経て、感動の対面を果たしたのです~♪

エッ?大きさの違いが気になる?いえいえ、焼き物にすると1~2割は縮むものなんですよ~♪
唯一の違いは、焼き物の側面に残る細いライン。これは、当館の石膏を元に前後で型を取り、貼り合わせた跡が残っているのです。だからですね、石膏がうっすら茶色く汚れているように見えるのは!この石膏が使われていた証拠なんです~♪

ということで様々な角度から「親子の契り」を確認し、その再会を、心底喜んだ関係者一同・・・なのでした♪(笑)

それにつけても“焼き物”にしてなお、その人物の人格をも再現する彫刻家・森大造の技(描写力)の凄さよ・・・さすがでゴザイマス!

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