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「光る君へ」で打出のコヅチ≪仏像の基本≫を思い出す
NHK大河ドラマ「光る君へ」。いよいよ最終回も目前ですね!12月8日放送回「哀しくとも」では、黒木華さん演じる源倫子が、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)へ、穏やかなのにキョーレツなひと言を放ちドラマ終了…となる、視聴者を「ここにきてついに!?」と困惑&ワクワクさせたシーン、すごかったですね。。最終回までどうなるのか目が離せません!
ドラマの視聴後、最終回の次回予告と「光る君へ紀行」を見ていると、「あれ…?これたしか、今年度の打出のコヅチで聞いたかも…?」。
次回予告では藤原道長らしき人が、丈六坐像らしき仏像の前で横たわるシーン。また、「光る君へ紀行」では、道長が土御門殿(つちみかどどの)の隣に建立したという法成寺(ほうじょうじ)の解説です。
もう半年前になる6月に開催した、今年度第2回目の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」、和澄主任学芸員が講師となった「目からウロコの仏像の基本」(6/21付けブログ)。ここに道長による仏像造立の話がちょろっと出ていたのを、皆さん覚えていらっしゃいますか?
・・・講座を振り返ってみますと、上記リンク先のブログにもあるとおり、この講座で講師が最も伝えたかったことは・・・
「仏像を造るとはどういうことか」、そもそも形のない「仏」は、
①「いつか」(時代)
②「誰かが」(願主)
③「何かのために」(願意)
④「誰かに」(仏師)
造らせなければ、「仏像」としてこの世にあらわれることがありません。
ということからすると、この次回予告に登場した丈六仏は・・・、
① 平安時代中期に
② 藤原道長が
③ 極楽往生のため
④ 仏師・康尚(こうじょう)に
造らせた、という、≪仏像の基本≫が分かりやすくなっている事例なんですね✨
当館の人気講座「花湖さんの打出のコヅチ」は勉強になりますね~(自画自賛💛)!打出のコヅチは、来年度🌟も引き続き開催する予定(🌟🌟)ですので、どうぞお楽しみに!
「滋賀限定!」感謝!御礼!
9月21日から東近江市の観峰館にて開催しておりました地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで―」、11月24日に終了いたしました。会期中、多くの方々にご覧いただけましたこと、心から御礼申し上げます 。
昨日は会場の撤収作業をおこない、本日無事、出陳作品が当館に戻ってまいりました。「終わりましたね・・・」「終わっちゃいましたね・・・」。たくさんの作品が並べられていた展示室。名残惜しくも作品を全て取り出すと、心なしか室内の温度が少し下がったような気がいたしました。やっぱりちょっぴり寂しいのデス・・・。
今回、会場となった特別展示室は、2015年にオープンしたとても新しい展示室です。国宝や重要文化財を展示することが出来る文化庁認定の「公開承認施設」として整えられた設備は、これから新しい琵琶湖文化館を開設しようとする私たちにとっても、非常に参考になるもので、いろいろと教えていただく事も多く、実りある展覧会となりました。
何より、開催にあたり格別のご支援・ご協力をいただきました観峰館の皆さまには、心から感謝申し上げます。本当に有り難うございました。
これからも様々なかたちで連携し、滋賀の文化・芸術を盛り上げるべく、共に頑張っていければと思います。とても良いご縁をいただきました。有り難うございました!(楽しかったです🌟)。
「光る君へ紀行」に三井寺が登場!
NHK大河ドラマ「光る君へ」放送終了後の「光る君へ紀行」。11月24日放送回では、三井寺が登場しました~!
「光る君へ紀行」では、まず三井寺金堂とそのすぐそばに建つ閼伽井屋とともに、「三井寺」の由来について紹介。(ちなみに金堂はVR拝観ができることをご存知でしたか?三井寺文化遺産ミュージアムでは、おうちに居ながらにして三井寺を拝観できます☆)
そして、紫式部の家系は三井寺と縁が深かったことについても紹介。紫式部の父・藤原為時は晩年に三井寺で出家し、また親戚の中には阿闍梨(あじゃり:高い資格を持つ僧侶)となった人もいました。三井寺の宗祖・智証大師円珍から続く、伝法灌頂の職位を受けた阿闍梨の系図「寺門伝法灌頂血脈譜」の中に、その親戚の名があることも番組内で紹介されましたね!
当時の三井寺は女人禁制だったというので、紫式部が訪れたことはなかったかもしれませんが、中宮彰子に仕えていた時の日々(1008年秋~1010年正月)を回想的に振り返った『紫式部日記』には、三井寺の僧侶が宮中で行う仏事の様子なども書かれています。僧侶であった親戚と言葉を交わすこともあったかもしれませんね。
「光る君へ紀行」の最後は、三井寺観音堂付近から琵琶湖をのぞむ映像です。文化館は見えるかな?どうかな?と思いましたが、ザンネン・見えないのでした。。。(文化館が見える場所については 文化館写真集 「実は見えていたッ!」シリーズもチェックしてください♪)
さてさて、ドラマの方を思い出してみますと、第45回「はばたき」は、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が『源氏物語』を書き終え、また柄本佑さん演じる藤原道長に別れを告げると、未練たらたらの道長・・・、そして出家を決意した道長の渾身の剃髪シーン・・・、さらに旅に出たまひろは海岸を飛び駆け回り、大宰府では運命の再会・・・。と、かなり盛りだくさんの内容でした!
残すところあと3回。さすがにもう滋賀県の文化財関係は出てこないんじゃないかな?と思いますが、ラストに向けてさらに盛り上がっていくドラマの展開が楽しみです!
滋賀限定!さまざまな秋を
暑くなったり寒くなったり、皆さま、この秋、いかがお過ごしですか?
文化の秋、芸術の秋・・・といえば!やはり地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで-」ですよね~(エッ?無理やりっぽい??)。
現在、東近江市の観峰館で開催中の本展では、琵琶湖文化館の収蔵品を中心に、重要文化財を含む地域ゆかりの書画や奈良・平安時代の古写経、さらには西郷隆盛や伊藤博文、渋沢栄一などの歴史に名を残した著名人たちの直筆の書、さらに・さらには書道界においてこの方たちを抜きにしては語れない〝明治三筆"の書など、見応えのある作品が展示されています。
(明治三筆・・・気になる方はご自分で調べてみてくださいね。「知るを楽しむ」の精神デス(笑)。)
歴史資料としての見どころあり、美術・芸術作品としての見どころあり、たくさんの「書」が皆さまをお待ちいたしております。
来場の方より「展示室のドアを開けて、一番最初に見えたあの書、度肝抜かれたわぁ、いいねぇ」と言っていただいた作品があります。・・・さすがお目が高い☆。
その書をしたためたのは、副島種臣(そえじまたねおみ)。副島は、幕末期の政治家として近代史に名を残した一方で、書家としても高く評価されています。
23日(土)開催の土曜講座では、副島種臣について、観峰館の寺前学芸員から詳しい解説を聞くことができます。・・・副島の重厚な筆遣い・・・私たちは何故に彼の書にこんなにも惹きつけられるのか?・・・その魅力をたっぷり・どっぷり、寺前学芸員の軽やかなトークで、お楽しみください 。皆さまのご参加心よりお待ちいたしております。
11月23日(土)13:30~ 14:30
土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②―副島種臣―」
参加申込み:観峰館 TEL:0748-48-4141
皆さまにもう一つお知らせしておきましょう~。
昨年度の地域連携企画展では、米原市の古刹・成菩提院さまの寺宝展に協力させていただきました。今年も寺宝展は開催されており、この土日も一般公開があるそうです。(※23日(土)は午後のみ)。24日(日)には、「関ケ原合戦と成菩提院制札」と題した講演会も予定されています[詳しくは外部サイト]。北の近江も紅葉が見頃でしょうか?ぜひお出掛けください♪
皆さま大変ですね~文化の秋、芸術の秋、行きたいところがいっぱいデス♪
ち・な・み・に
こちらは大津。湖上にたたずむ当館の周りには、今年もたくさんの水鳥たちがお越しです。このコ達の秋は、間違いなく食欲の?・・・満喫中ですね(笑)。
方々、さまざまな秋をお楽しみください🌟
滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第7回 近江の書画を語る!
晴天に恵まれた11月13日(水)、東近江市の観峰館にて、今年度最終回の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」を開催しました✨
今回は解説付き鑑賞会です!!観峰館にて開催中の地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで―」を、担当学芸員の解説を聞きながら、じっくり鑑賞していただきました。
また今回は!展示室の照明を落とし、展示ケースの反射を最小限にするという特別仕様!!近江ゆかりの書画の繊細な筆遣いをじっくりとご覧いただけたのではないでしょうか♪
こちらは、後期展示からお目見えした東近江市指定文化財「不動明王三童子像」(乾徳寺所蔵)を当館の絵画担当:萬年学芸員が、詳しく解説しているところです。修理後初の公開となる本品。中央に不動明王、さらに三人の童子が描かれています。
通常不動明王は制多迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅童子(こんがらどうじ)の二人の童子を従えていますが、こちらの作品はこの二人に蓮華童子(れんげどうじ)を加えたちょっと珍しい例です。
と、ここで登場するのが、井上副館長のスケッチブック解説です(笑)。本人は「全然上手ではない…」と恐縮しますが、かわいいイラストがとっても印象に残り、皆さんも蓮華童子の存在を忘れることは出来なくなったのではないでしょうか?。分かりやすく伝えたいという副館長の思い・・・毎回スケッチスキルが向上しているように感じるのは気のせい??(笑)。 見習いたし後輩学芸員((笑笑))。
観峰館の寺前公基学芸員には書のおもしろさを存分に語っていただきました! 例えば、展示室正面でどっしりとお客様を待ち構える、二点の屏風。むかって左手の屏風は、明治の三筆のひとり、中林梧竹の「草書五言詩屏風」(琵琶湖文化館所蔵)です。曰く、「中林梧竹は絵もよく描いた人。絵を描く際の「視点」を取り入れた作品づくりをしているから広がりのある字を書くのだろう」とのこと。作者の人となりを知ると、作品をより深く味わうことができますね✨琵琶湖文化館の隠れた名品を熱く!丁寧に!解説していただき、寺前学芸員には感謝の気持ちでいっぱいです😝。(右手の副島種臣「行書李白詩屏風」についてはこちら…収蔵品紹介 :11月23日[13:30~要予約]開催 の土曜講座で更に詳しく深堀りします!!)
「近江ゆかりの書画」は、会場:観峰館(東近江市)にて11月24日(日)までの開催です!展覧会をより深くお楽しみいただけるよう、クイズチャレンジシートも用意しましたので、ぜひぜひご活用ください!!
さて、名残惜しいですが、今年度の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」はこれにて終了です💧お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました。みなさまに楽しんでいただけるよう、これからも職員一同がんばってまいります!!それでは、来年度もお楽しみに…!(あ!宣言しちゃった🌟🌟🌟)
NHK「光る君へ」と、「横川の僧都」モデルの源信さん♪
NHK大河ドラマ「光る君へ」、11月10日放送の第43回「輝きののちに」では、柄本佑さん演じる藤原道長の、人間関係のほころびが描かれる回でした。道長のちょっと雑な対応に、ロバート秋山さん演じる実資が苦言を呈する場面には、ビシッとした空気が流れていましたね。最終回まで残すところあと5回、これからどうなっていくのか気になります!
ドラマでの描かれ方が気になると言えば、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)による『源氏物語』の執筆も気になります(はたして最終巻の執筆はどのように描かれるのか・・・!?)。第43回放送回では、光源氏の死後の宇治十帖の執筆シーンがありましたが、どうやら第51帖「浮舟」を書いていたようです。
「浮舟」帖は、薫と匂宮の間で揺れ動き苦しむ浮舟が、入水をはかるというストーリー。そして第53帖「手習」で浮舟を助けて出家させた人物が、横川の僧都と呼ばれる高僧です。この横川の僧都のモデルと言われるのが、あきつブログではおなじみ?の源信さんです!
恵心僧都源信(942~1017)は天台宗の僧侶で、比叡山の横川中堂を拠点としていました。横川の僧都のモデルと言われているのは、『源氏物語』が成立した時代の著名な高僧であること、僧都の位を持つこと、僧侶になった母と妹がいることなど、多くの共通点を持っていることによります。
源信は多くの著作を残した学僧で、中でも『往生要集(おうじょうようしゅう)』では、死後の世界・六道を説きました。六道を絵画化したのが「六道絵」で、私たちが想像する地獄という世界を確立しました。六道絵については、ぜひ収蔵品紹介をご覧ください♪
そしてドラマ終了後の「光る君へ紀行」では、比叡山・延暦寺(外部サイトにリンク)が取り上げられました!横川の僧都の紹介とともに、当時から延暦寺には多くの貴族が参詣したこと、三条天皇も根本中堂で病気の回復を祈願したことが紹介されました!当館の今年の「打出のコヅチ」では、延暦寺根本中堂の修理事業について取り上げた回もありましたので、講座を思い出しながら延暦寺を回りたいですね♪
打出のコヅチ⑥ 質問にお答えします
10/23に開催した滋賀の文化財講座「花子さんの打出のコヅチ」第6回。中世絵画の山水表現について、皆さんと一緒にお勉強しましたね。そして講座終了後に、アンケート等でいただいたご質問。今日は、講座の講師を務めた萬年学芸員が、”誠心誠意”をモットーに(!)、質問にお答えさせていただきます!・・・何がでるかな??楽しみです♪
《講師談》今回の講座では、普段聞かないようなマニアックな内容 (?!)をご紹介しました(笑)が、皆さんからも、なかなかマニアックな質問(!)を頂戴しました…((笑笑))!
【質問①】
「春日大社の手向八幡の手向は手向扇という言葉と関係があるのでしょうか?又、そうであるなら、名前に「手向」とわざわざ付したのは、何か理由があるのでしょうか?」
【回答】 今回の講座では、手向扇(たむけおうぎ)という習俗についてもご紹介しました。手向扇とは、神さま仏さまに扇を「手向ける」、お供えする・捧げるという行為です。鎌倉時代以降、このように扇を手向ける人物が絵巻物や参詣曼荼羅に描かれるようになります。
さて、奈良県・東大寺のほど近くに手向山八幡宮・手向山神社と呼ばれる神社があります。奈良県奈良市と京都府木津川市の境にあたる手向山のふもとに位置しており、この「手向山」が社名の由来となったそう。「手向山」という言葉は一般に、「道路の神などが祭られている峠や山、旅の安全を祈って神に供え物をする場」という意味を持ちます。小倉百人一首の「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに(今度の旅は急のことで、お供えする幣(ぬさ)も用意することができませんでした。かわりに手向山の紅葉を捧げるので、神の御心のままにお受け取りください。)」(24番、菅家…菅原道真)にでてくる「手向山」もこの意味です。 手向山八幡宮のある奈良市の手向山も、もともと神さまに捧げものをする場であり、手向山と呼ばれるようになったと言われます。「手向扇」「手向八幡宮」の「手向」という語は、どちらも「神さま仏さまに捧げものをする」という意味で使われていると言えます。
【質問②】
「日吉大社の西本宮と東本宮に祭られる神様が過去に入れ替わったと言われているが、今回取り上げた絵画作品はどの時代の日吉大社を描いているのですか?」
【回答】
今回の講座では、中世に制作された日吉大社(大津市坂本)の景観を描く「山王宮曼荼羅」をとりあげました。現在、日吉大社の東本宮と西本宮にはそれぞれ大山咋神(おおやまくいのかみ、東)・大己貴神(おおなむちのかみ、西)という神様が祭られています。この神さまは日吉社でも中心的な位置を占める存在ですが、実は二度(!)入れ替えられたと言われています。一度目の入れ替えは明治8年(1875)に行われ、東本宮に西本宮にいた神さまを西本宮に東本宮にいた神さまをお祭りすることになりました。二度目の入れ替えは「復座」、もとの形に戻すことを目的として昭和17年(1942)に行われました。
ということで、日吉大社は一時期神さまの位置が逆転することになったものの、現在は江戸時代以前の配置(東本宮:大山咋神、西本宮:大己貴神)に戻っています。ですので、今回の講座でご紹介した山王宮曼荼羅は江戸時代以前の形、現在と同じ形で描かれていると言えます。
皆さん、いかがでしたか?「ちょっと気になる質問」が「へぇ~そうだったのか!」につながるこの面白さ・・・これが私たちの《打出のコヅチ》でございます♪
朗報!11/13解説付き鑑賞会はト・ク・ベ・ツ♥ですヨ!「滋賀限定!」
地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画」。皆さんはもうご覧になられましたか?
次におこなわれる関連イベントは、我らが滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」解説付き鑑賞会です!11月13日(水)決行!!現在、参加申込み受付中♪デス!!(琵琶湖文化館:TEL 077-522-8179)
実施にあたり、改めて観峰館さんに確認したところ・・・講座に参加される方は、もれなく全員割引価格(1,500→1,000円)にて、ご鑑賞いただけるとのこと!これは嬉しい♡
さらに!この日は!この日だけは!
展示室の照明を工夫し、特別な状態で、皆さんに作品をご覧ただく!というとっておきの趣向が用意されています!嬉しいほどの気合いの入り方!(笑)!。普段、学芸員しか見ることが出来ない、特別な空間
・・・ 参加の皆さんにだけ・・・ト・ク・ベ・ツ ♡ですヨ!?
とはいえ、いつも大津市のコラボしが21で受講いただいている皆さんからは「会場へはどのようにして行けば?」との質問が・・・そこで急遽ご用意↓しました。
【電車(JR)をご利用の場合】 全所要時間約25分
琵琶湖線「能登川駅」下車:東口へ ※現在工事中のためバス停が分かりにくくなっていますが、階段を下りて、足場沿いにブルーシートの上を15mほど歩くと、開けたところで「近江鉄道」のバス停が見つかります。
➡近江バス「八日市駅」行きに乗車
➡「金堂竜田口」で下車
➡徒歩約15分です。
※今回のために、バスの時刻表付き『地図』をご用意しました!〔コチラをチェック〕。
※観峰館webサイトのアクセス地図が分かりやすいので確認はそちらでも🌟
書の文化にふれる博物館:観峰館は、常設展示もステキなんです!
日本習字創立者の原田観峰氏が収集した中国近現代書画や、実際に拓本が採れる「復元石碑」、はたまた西洋アンティークやクラシックカーなど、展示の見どころ盛沢山!(施設内をじっくり見ようと思うと3時間くらいかかるかも?!)この機会にぜひご堪能・・・させていただきましょー🌟
皆さん、これはもう・・・行くしかない♡お申し込み、お待ちいたしております ☆彡
(琵琶湖文化館:TEL 077-522-8179/平日8:30~17:15)
「滋賀限定!」の記念講演会
10月27日(日)東近江市の観峰館において、域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画~古写経から近代の書まで~」の関連イベントとして『東近江地域文化財の将来』と題した習字の日記念講演会が開催されました。
先ずご登壇いただいたのは藤田励夫氏です。藤田氏は元滋賀県文化財保護課職員として勤められた後、九州国立博物館や文化庁で活躍された古文書のスペシャリスト(現在は京都府立大学共同研究員)。今回の講座では、特に古い時代のお経(古写経)について、専門家の視点から実物に即した詳しい説明があり、意外な視点に驚きました。さらに展示中の紺紙金字妙法蓮華経(百済寺蔵)の見返し絵について、1巻ずつ違った魅力があることを、丁寧な言葉で教えていただきました。
続いては、本展に出品されている乾徳寺さまご所蔵の不動明王三童子像の修理を手掛けられた坂田さとこ氏((株)坂田墨珠堂代表・装潢師)がご登壇。工房での息も詰まるような細かい作業の様子がスライドで紹介されました。
最新の調査技術も使いながら、昔と変わらぬ材料で、未来へつなげる修理の技術。見ているこちらも息をのみました。
不動明王三童子像は、(公財)住友財団の2021・2022年度文化財維持・修復事業助成によって修理が行われ、修理後初公開となった作品です。文化財保護の一助として、修理費用の必要額が補助されるこの制度には、毎年全国から100件以上の応募があるそうです。
講座の最後にご挨拶された乾徳寺の中野ご住職。寺の宝である文化財の修理に、相談役として観峰館さんにご助力いただいたこと、いいタイミングに良いご縁を結んでいただけたこと、感謝の言葉が述べられました。
信仰のあり方やコミュニティのあり方が、時代の変化と共に形を変えつつある昨今。調査・研究活動をきっかけに、文化財の守り手と博物館が手を取り合って、地域文化財を伝えていく、素敵な事例の一つです。
東近江市で、滋賀県で、地域に根差した博物館活動が、様々な縁を結び、新たな可能性を生み出してゆく・・・そんな博物館であるために、地域文化財を守るサポートセンターとして、当館も引き続き精進をしていきたいと思っています。
文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第6回 期待の新人・大いに語る!
滋賀の文化財講座「花子さんの打出のコヅチ」、今年度最後の座学講座:第6回を10月23日にコラボしが21にて、開催いたしました。今回、講師を務めたのは、今年4月に採用されたばかりの萬年香奈子学芸員。いきなり裏話ですが、採用5日目にして「1時間半の講座の講師、できる?」との先輩からの無茶ぶりに「はい!頑張ります」と即答した(!!)、なんとも頼もしいフレッシュウーマン!見かけによらず肝が据わった(?!)期待の新人です(笑)。皆さま何卒ご贔屓に🌟
その萬年学芸員が今回お話させていただいたのは、「中世絵画の山水表現」について。東北の大学で東洋日本美術史を学び、中世の山水図を研究テーマとしていた萬年学芸員。ひろ~い「山水の世界」を身近に感じられるよう、なるべく滋賀にゆかりのある作品を紹介する!という工夫をして、今回の講座に挑みました!(褒めてあげたい!(笑))
そもそも、山水とは?皆さん説明できます?
山の木々や花、荒々しい岩や穏やかな湖、川、滝といった自然風景が描かれた山水画。ありふれた自然を描くことが、何故求められたのか?はい、この時点で私たちもう間違っています。「ありふれた」ではなく「憧れの」山水・・・なんですね~。現代のようにパソコンやスマホが無い時代に、行ったこともない景色を見てみたい、手元に置いて思いを馳せたい・・・という需要があって多くの人々に求められた画題です。そこで紹介された「臥遊」という言葉。がゆう・・・臥(ふ)して遊ぶ:居ながらにして遊ぶ。ネットサーフィンではありませんが、私たちも同じことしてますね(笑)。雅さは格段に落ちますが。。。名所図会や参詣曼荼羅が描かれた理由にも納得です。
そしてお話は、石山寺縁起絵巻から、講座ちらしにも掲載している日吉山王神像(百済寺蔵)など、滋賀県を描いた「山水」のお話へ。日吉山王神像は、大津市坂本にある日吉大社の景観と、仏の姿をした神々が描かれた曼荼羅です。円形に均等に配置された神々の構図。驚いたことに、萬年学芸員は実際に日吉大社の奥宮まで登り、神様(お社)の位置を確認してきたとのこと!すると・・・実際とは距離感がだいぶ違う・・・ということが身をもってわかり、、、自分で確かめるって大事ですね(笑)。絵画でその距離感を省略する「すやり霞」という手法、神様の座す山を「金泥」で表現する中世絵画の特徴など、様々な豆知識を教わりました!
最後に「滋賀には昔の人が憧れ、絵に描いた自然風景が現在にも残っている。ぜひ実際に訪れてみて欲しい」と、皆さんに語りかけた萬年学芸員。いやぁ~滋賀県にようこそ!次回からは“講師先生”とお呼びさせていただきますよ?!若き学芸員のこれからの成長を楽しみに!皆さまご清聴有り難うございました!
(アンケート等にいただいたご質問には、後日改めて「回答ブログ」を用意させていただきます♪誠実をモットーに🌟)
そして次なる「コヅチ」は、皆さま待望の、現地・解説付き鑑賞会!です。
【第7回】地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画」を楽しむ
〔日時〕令和6年11月13日(水)14:00~ 〔会場〕観峰館(東近江市五個荘)
〔申込み〕 琵琶湖文化館☎077-522-8179(平日8:30~17:15)
こちらも是非ご参加ください♪
「滋賀限定!」を深く知る!
皆さんはあまりご存じないかもしれません。滋賀は日本における「書の聖地」であると言っても過言ではないことを!
その聖地で長年にわたり書道教育・書道文化の振興と、地域に根差した活動を続けてこられた観峰館との連携展。滋賀県や東近江地域の文化財に新たな光を当てた他に例のない展覧会です。
「書画」を美術的・芸術的な視点で楽しみ、歴史的な捉え方で深く読み解く。この機会にぜひ、新たな知見を深めてくださ~い!
そして何故か、会場にいると無性に「筆」で文字を書きたくなる・・・不思議体験も??・・・感性もぜひ、磨かれてくださ~い!(笑)!
【関連イベントのご案内 】
◆10/27(日)記念講演会「東近江地域文化財の将来」※申込み不要
◆11/13(水)滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」解説付鑑賞会
※申込みは10/24(木) 8:30~☎琵琶湖文化館077-522-8179
◆11/23(土)土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②-副島種臣-」
※申込みは☎観峰館0748-48-4141
【こちらも紹介♪】
◆図録
本展で紹介している全55件の作品を、オールカラーで紹介しています!
解説の一例「その書は、流麗な筆遣いで、花の香りが漂ってくるかのような気品を感じさせる」
・・・いったい誰の書?気になりません?自分が忘れかけていた「字を美しい」と思う心、感性、教養、たしなみ・・・取り戻したくなります(涙)。また、歴史に登場する人物たちの、個性豊かな筆遣いにも注目です♪品よく?ダイナミック?・・・ふふふっ。
◆滋賀の魅力ある文化を発信し続ける季刊誌『湖国と文化』2024年10月秋(189号)
「「近江ゆかりの書画」への誘い」と題して、観峰館の寺前学芸員と県文化財保護課兼琵琶湖文化館の井上副館長が寄稿、皆さんを、熱く本展にお誘いしております♪
◆観峰館さんのSNS:Instagramに投稿されているライブ配信!
先日(10/13)実施されたギャラリートーク&ミニセッション、実はその後、井上副館長と和澄主任学芸員も急遽撮影に参加し、動画にて作品の紹介をさせていただいております。こちらも要チェックです!↓↓↓
「書の聖地・滋賀」から発信する書の魅力、皆さまこの機会にぜひご堪能ください!本展は11月23日までの開催です♪
展示替え作業:後期も見どころたくさん ♪
大好評開催中の、地域連携企画展「近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」!休館日の10月21日(月)は、当館と観峰館の学芸員総出で展示替え作業をしてきました。
なぜ総出かというと、展示作品のうち半分が展示替え。さらに展示替えに伴って、全期間展示の作品も位置をすこ〜しずつ変えたので、ほぼ全ての作品を変更・移動させたのでした。
後期展示は、当館保存担当学芸員渾身の、乾徳寺所蔵・東近江市指定文化財「不動明王三童児像」が見どころ! 観峰館が協力し、(公財)住友財団の助成により修復した文化財ですが、その修理の工程や成果を詳しくご紹介するパネル、そして修理を経た旧表具の一群は、なかなかご覧いただくことができないもの。この修理は2カ年かかったとのことですが、旧の肌裏紙ひとつひとつを除去していく工程を想像すると、気が遠くなりますね。。
後期展示の見どころ・その2としては、西郷隆盛書簡の展示!公文書館での展示では、ケースの都合から巻き替えをしながら部分的にお見せしましたが、5メートル近くの長い書簡全体をご覧いただけるのは、今回が初となります。
さて、展示作業中の学芸員たちの声を聞きますと・・・
「もう少し右を上げて!」
「このライティング、手作り?すごい・・・!」
「なんだか密度が高くなったかも?」
どんな展示となったか、ぜひ会場でご覧ください♪ 本展は11月23日まで、東近江市の観峰館にて開催いたしております。
大津祭・源氏山とNHK「光る君へ」
大津の秋といえば、「大津祭」!今年は宵宮(よみや)が10月12日(土)、本祭(ほんまつり)が10月13日(日)に行われました。13日は観峰館でのギャラリートーク&ミニセッションもあり、当館的には忙しい3連休となりましたが、みなさまお出かけになったでしょうか?
大津祭は、長浜曳山祭・日吉山王祭とともに湖国三大祭に数えられる、滋賀県庁ほど近くの神社・天孫神社の祭礼です。江戸時代に始まったとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
本祭には、13の曳山町から13の曳山が出されます。それぞれの曳山は、巧みな仕掛け装置「からくり」を載せ、お囃子を演じながら市内を巡行します。
曳山のモチーフやテーマは様々ですが、中でも今年はNHK大河ドラマ「光る君へ」があり、中京町(なかきょうまち)の源氏山(げんじやま)が注目されていたようです。
源氏山は『源氏物語』をテーマとした曳山で、「紫式部山」とも呼ばれるそうです。牛車など源氏物語に出てくる情景を再現した小さな人形たちと、石山寺で『源氏物語』の構想を練るような姿の紫式部の人形が、曳山に載せられます。からくりが披露されるポイントではたくさんの人が集まり、熱気を感じました!
さて、10月13日放送の「光る君へ」第39回では、高杉真宙さん演じる藤原惟規(まひろ(紫式部)の弟)が、父・為時の赴任地である越後で急逝する悲しい回。。惟規が辞世の歌を詠むという、鬼気迫るシーンが印象的でした。そしてドラマ終了後の「光る君へ紀行」では、惟規ゆかりの新潟県上越市や京都市の各所が紹介されましたが、最後に大津市・国道1号逢坂山峠の頂上にある「逢坂山関跡碑」と、「逢坂の関」を詠んだ惟規による歌が紹介されました!!!
逢坂の関うちこゆるほどもなく今朝は都の人ぞこひしき
(逢坂の関を少し越えたばかりなのに、今朝はもう都にいるあなたが恋しくてなりません)
逢坂山は、古くから交通の要衝として知られています。近江と山城との国境として、古代には軍事上の目的から逢坂関が置かれ、中世には関銭が徴収されました。また、「逢坂」「逢坂山」「逢坂の関」は、歌枕としても知られています。「逢ふ」という語を含みながら、人との間を隔てる関所であるというパラドックスが好まれ、さかんに歌に詠まれてきました。
あの人もこの人も、逢坂の関を通り、そして当館周辺の打出浜から船に乗ったりなどして、旅をして歌を詠んでいたのだなあと思うと感慨深いですね。この秋も、歴史感じる滋賀の旅へ出かけましょう✨
書が楽しい・トークも楽しい・ギャラリートーク&ミニセッション
10月の三連休は秋晴れ!お出掛け日和となりました。現在、東近江市の観峰館で開催されている琵琶湖文化館地域連携企画展「近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。13日(日)には、展覧会関連イベントとしてギャラリートーク&ミニセッションが行われました♪
皆さんは本展の印象、どう感じておられます?パソコンやスマホを使うことに慣れ、字を書くことから遠ざかってしまった昨今・・・世間一般には、「書」は、「難しい」「字ばっかり」「堅苦しい」「地味?」「楽しい?」などなど、あまりテンションの上がるものではない・・・かもしれません。し・か・し・それはきっと!今回のギャラリートークのような『学び』を、経験してないから?!
ということで、今回はおおよそ「書」の展覧会のギャラリートークとは思えない(?!)、ざっくばらんな雰囲気のトーク(笑)を、一部抜粋してご紹介します♪
トップバッターは琵琶湖文化館の井上優副館長。もはや定番となったスケッチブックを持参、「書の博物館で手前の筆書きを披露するなど大変おこがましく、お恥ずかしい限りではありますが・・・」との前フリに、皆さんからクスっと笑いをゲット!出だしは好調のようです(笑)。
「これは、禅でよく使われる叱咤(しった)の言葉です。叱咤激励、励ますお声を大きく勢いよく一文字で書いておられます。一方でどこか柔らかな印象もあり、お人柄が現れているようです。それは花押(かおう)にも表れていて、まるで『宇宙』だと思いませんか? 」
➡さて、誰が書いた書でしょう??
2番手は観峰館の寺前公基学芸員。こんなにも「書」からイロイロ分かるモノかと驚き!
「コチラの屏風・・・コレ・ね、展覧会が始まってから毎日作品を見ていて、僕、気付きました。この屏風に書かれている56文字。最初は5文字ずつ、まじめに書いていたんでしょうね。でも中ほどまできて『あれあれ?面白くない。遊びを作りたい』・・・と思っちゃったんでしょうね。見てください、この真っすぐに思い切って書いた「外」の文字。しかも1行に4文字。敢えて特徴的に書くことで作品に深みが増している。重厚であった前半、中ほどで方向転換して、後半は軽やかに変化している。字を見ていると、書き手の考えていることが『出る』し『わかり』ます。こんな風に考えて書いているのだろうなぁということを想像して見ると、オモシロイです。」
➡さて、寺前学芸員に、ここまで心を読まれてしまった作品の作者は誰?
➡11/23(土)土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②」で、この方の書について、詳しく解説されます♥
3番手は琵琶湖文化館の和澄浩介主任学芸員。実は彫刻担当で、会場には彫刻作品は無いのですが、本展では図録掲載用の写真を撮影するなど、影の功労者です。
「この展覧会に是非ともお出ましいただきたかった肖像があったのですが、残念ながら様々な事情があり、今回はパネルでのご紹介です。お寺で調査をさせていただきましたが、構造を拝見したところかなりの重量級。座しておられる場所も須弥壇の幅が狭く、作業が困難なこともわかり、何よりその周りを囲うようにいらっしゃる〇〇〇さまがたくさん・・・。」
➡さて、出展を諦めた理由の一つ、〇〇〇さまとは??
ギャラリートークの後、展示室に椅子を並べて、アットホームな雰囲気で語り合われたミニセッション(という名の裏話(笑))。
井上副館長のお言葉から「休館となってからコーカイ(公開)の機会が少なくなってしまった文化館の「書」ですが、このまま(令和9年度に開館する)新しい琵琶湖文化館に移ってしまっては、それこそコーカイ(後悔)するところでした。観峰館との連携のおかげで、書には『このような観賞のし方・楽しみ方がある』ということを改めて教えていただきました」。
今回の連携展では、さまざまなご縁が結ばれています。調査によって明らかにされた作品の背景、書が映える展示の仕方、出品の所有者さまたちとの更なる結びつきなどなど、共催したことで得られた発見は、何よりの宝物!近江の書の潜在能力・・・まだまだ面白いモノが見つかりそうで、ドキドキです🌟
【想像をしないとちょこ~っと分かりにくかったかもしれない本日のブログ:その理由】11/13(水) 滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」で解説付き鑑賞会を実施するので、あまりネタばらしをしてはイケナイ・・・。ということで皆さま!ぜひ会場で学芸員の解説を聞いてみてください!ブログではうまく説明できない、書の楽しみ方を、イロイロ教えてくださいますよ!
10/27(日)には記念講演会も実施されます。皆さま奮ってご参加くださいませ♪♪
建設予定地イベント開催しました!みなさんに感謝♥
晴天に恵まれた10月5日(土)、「新しい琵琶湖文化館 建設予定地イベント」を開催しました。ご来場のみなさま、また準備をはじめ様々な形で関わってくださったみなさま、本当にありがとうございました!
このイベントの目玉は、「新しい琵琶湖文化館の建物の形にカラーコーンを並べる」という、とても”斬新”なもの(?!!)。イベント前日の10月4日(金)には、みなさまにご協力いただきながら、事前準備を行いました。
その模様をご紹介しますと、午前中は文化財保護課建造物係による、カラーコーンを並べる「基準点」を取る作業です。
そして午後はボランティアの方6名と文化財保護課職員の助けにより、建物の形にカラーコーンを並べていきました。
悪天候もあり、参加を取りやめた方もいらっしゃいましたが、次回はどうぞよろしくお願いします!
一夜明けると、秋晴れのイベント当日。この日は大津商工会議所さんが主催する「びわ湖オクトーバーフェスト2024」が、すぐ近くのなぎさ公園修景緑地でも開催されるということで、あわせてお楽しみいただけたのではないでしょうか?
カラーコーンのすぐ近くに設置したテント内では、新しい琵琶湖文化館に関するパネルをご覧いただけたほか、当館所蔵品をモチーフにした「しおり」を作るワークショップもお楽しみいただけました。
大人の方はもちろん、子どもちゃんたちがたくさん集まってくださいまして、ワークショップのコーナーはフル稼働!(途中、盛況すぎて材料が無くなり、慌てて調達に走りました 🏃🏃。 )誰でも楽しめるワークショップもあり、老若男女問わず幅広い方にご参加いただけたイベントになったような気がします。
イベントの参加者数は、なんと600人近く!たくさんの方がご来場された大イベントとなり、新しい琵琶湖文化館のことを知っていただけ、また期待やご意見などのお言葉を頂戴しました。
みなさま本当にありがとうございます!みなさまのご期待に沿えるような、魅力的な施設を作っていきたいと思いますので、どうぞこれからもご支援・ご協力をお願いいたします!
高校生にホンモノの文化財を体験してもらう授業
秋晴れの9月某日、県立守山北高校1年生の美術の時間に、文化財をテーマとした授業を実施しました。
講師は当館主任学芸員の和澄浩介。授業の舞台となったのは、当館寄託者でもある蜊江(つぶえ)神社さまです!蜊江神社は守山北高校から徒歩10分ほどのところにありますが、高校生が神社に足を運ぶことはなかなかない、とのこと。みなさんの高校からすぐ近くに、神仏習合の姿を見せるこんなすごい場所があるんですよ〜!
授業では、神仏習合や明治期の神仏分離のお話もしながら、神社と寺院の要素が入り混じる境内を巡りました。参拝時に軒下で鳴らすのは、神社では鈴・お寺では鰐口。その音の違いも聞いていただけたでしょうか?
境内を歩いた後は、社務所に場所を移して文化財のお話です。当館にご寄託いただいている文化財は写真をお見せしつつのお話ですが、なんと!今回は特別に!!神社で保管されている守山市指定文化財の女神像と化仏を、お見せいただきました。
火災にあったかと思われる少し痛々しい姿の像ではありますが、それが一層、この地に住まう人々が800年、900年という時を超えて大切に受け継いできたということを実感させます。長い歴史を有する文化財への想いや文化財を支えてきた人々への敬意が、和澄主任学芸員からアツ~く語られました。
高校生の目に、蜊江神社の文化財はどのように映ったでしょうか?少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです♪
あっという間に下半期・始まりました!
皆さんオドロキです。本日、10月1日、あっという間に、下半期に突入です。えぇ~っと・・・上半期の記憶が既に。。。(>_<)。。。月日が経つのは早い!
5月から始まり、会期が長い(!)と思っていた地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡」展。
9月26日に無事終了し、会場であった県立公文書館では、次なる企画展「湖国の宝が歩んできた道~文化財の危機と保護~」が始まった、とのことです。実はこの企画展にも当館から資料を貸し出しておりまして・・・。
それは何かと申しますと、昭和24年(1949)9月時点の「重要文化財保護法案要綱」という、とぉ~ても貴重な資料!
現「文化財保護法」は昭和25年(1950)5月の成立ですが、それ以前、試案の段階では、調査研究を重視し、国立博物館や重要文化財研究所の設立を明示するなど、現行法に比べてより具体的な内容が記されています。文化財保護の歴史を物語る大変貴重な資料です。是非、県立公文書館に、足をお運びください。
その他にも当館の収蔵品は、各地の展覧会にゾクゾク出品されております!↓↓〔収蔵品の公開情報はコチラをチェック〕
いやぁ・・・秋の展覧会シーズン、真っ盛りデスね!
更に!注目したいのが・・・
コチラ↓↓↓
10月5日に実施する新しい琵琶湖文化館の建設予定地イベントです!
・・・誰です?隣の「成瀬さん」のポスターが気になる、なんて言うヒトは?!そう、確かに気になる・・・(笑)。
こちらの写真は、JR膳所駅構内を激写したもの。(「成瀬さん」と当館のかかわりは、4月24日付けブログで紹介しております。)文化館も大注目の成瀬さんと、(ポスターとは言え)奇跡のコラボを果たした今回の建設予定地イベント♡これは成功させねばなりませんね!
お天気が少し心配ですが、着々と準備を進めておりますので、皆さまぜひ気軽にご参加ください! 建設予定地イベントは、10月5日11:00~17:00、大津市浜大津の大津港旅客ターミナル向かいで開催いたします! [詳しくはコチラ]
光る君へ紀行に登場!東近江を巡りたい♪
NHK大河ドラマ「光る君へ」、9月29日放送の第37回「波紋」では、見上愛さん演じる中宮彰子たちが『源氏物語』を豪華な冊子に製本していくシーンが印象的でしたね!色とりどり、装飾も様々な料紙が映っていましたが、中には紫色の和紙もありました。
その紫色関連として、ドラマ放送後の「光る君へ紀行」では、東近江市が紹介されました!紫色の染料作りのための植物、紫草(むらさき)が栽培されていたとされる地です。万葉の森船岡山」に設置されている、古代の蒲生野での遊猟が描かれたレリーフにも、白くてかわいらしい紫草の花が描かれているんですね♪
また、あわせて紹介されていた『万葉集』所載の額田王の歌「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」は、複雑な恋愛関係を思わせるので、まひろ(紫式部)と藤原道長との関係はどうなる!?とドキドキハラハラなドラマの内容とも少しリンクしていますね〜。
さて、自然と歴史が息づく「万葉の森船岡山」を訪れた後は、ガチャコン〔近江鉄道〕に乗って少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。五箇荘駅で降りて徒歩15分ほどで、地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画 ―古写経から近代の書まで―」が開催中の、観峰館に到着します🌟
展覧会では、奈良時代から昭和期までの書を中心にご覧いただくことができます。平安時代の古写経も展示していますので、ドラマの中の筆運びを思い出しながら、古写経の筆致をご覧いただくと楽しいのではないかと思います。
この秋は、ぜひ東近江へ!
「滋賀限定!近江ゆかりの書画」土曜講座開催されました!
現在、東近江市の観峰館で開催中の地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。本日は関連イベントの土曜講座が開催されました。
演題は「近江ゆかりの書跡を探る①-雲居希膺-」、講師は観峰館の寺前公基学芸員です。石敷きの雰囲気のある素敵な会場に、講師のソフトなお声が爽やかに響きました♪
・・・「雲居希膺」・・・
皆さん読めました?(笑)。雲居希膺(うんごきよう・1582~1659)は、伊予国上三谷(現・愛媛県伊予市)出身の臨済宗の高僧で、皆さんよくご存じの仙台藩主伊達政宗・忠宗の依頼により、松島・瑞巌寺を中興しています。
そのような高僧がなぜ滋賀に縁があるのか?実は、東近江地域には仙台藩の飛領地一万石があったから(!)なのですよ~。この事実だけでもオドロキ(!!)です。雲居希膺と縁のある東近江地域の寺院は、本展にも数多く出品いただいている徳昌寺さまの他に、石馬寺や瓦屋寺、千手寺などがあります。
雲居希膺と滋賀のかかわりを理解した上で、改めてその「書」を見てみると・・・何とも親しみのある特徴的な筆使い!柔らかくもあり、あたたかくもあり、そのお人柄が文字に現れているようです。
見る人を引きつける雲居希膺の書の魅力。何より本展・本講座の開催にあたり資料の調査・研究を重ねられた講師の寺前学芸員が語る、ソフトで熱い、その思いが、書の魅力を倍増させてくれた気がいたします。いやぁ知るって楽しい!
・・・ですよね?皆さん?!きっと私たち、雲居希膺の『ファンクラブ』に入っちゃったかも・・・ですよね(笑)。参加いただきました皆さま、誠に有り難うございました♪
11/26の土曜講座では、「近江ゆかりの書を探る②-副島種臣-」が開催されます。こちらも楽しみ!乞うご期待!!
井上敬之助像 旅立ち故郷へ
「琵琶湖に向かって凛々しく立つ、この方はどなた?」と、気になっていた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
当館からほど近く、道を渡った川沿いに建つのは 、明治から昭和にかけて活躍した政治家・井上敬之助(1865~1927)の銅像です。
実は本日・9月26日、当地から故郷の湖南市へ旅立って行かれました。
井上は、旧石部村(現・湖南市)出身の政治家で、27歳の時に県会議員に当選、以降5回当選という経歴を持ち、明治35年(1902)には衆議院議員に初当選、翌年も再選を果たすなど、政治家として大きな功績を残された方。官僚政治の是正や民意の反映に努め全身全霊を政治に捧げたその姿から、滋賀県政の大御所として「其当時県に知事が二人いる」と言われたほどで、明治後期から昭和初期にかけて、滋賀県の政治家を語る上で、忘れることのできない人物でもあります〔詳しくはコチラ〕。
この銅像は当館が開館した翌年の1962年に建立。建設にあたっては、服部岩吉滋賀県初代民選知事(1885~1965)が中心となって像の制作・建立を計画し、彫刻家として有名な森大造に制作を依頼、募金により200万円の建設費を集めて完成に至ったと伝わっています(建立者:井上敬之助顕彰会)。
以降、約60年にわたり当館とご縁のあった本像ですが、このたび、井上の出身地である湖南市が故郷への「帰郷」を強く希望されたこともあり、本日、移設のための作業が行われました。
移設先の湖南市では、10月6日に市制施行20周年の記念式典で除幕式を行い、その後、故郷である石部に再移設されるそうです。
琵琶湖に向かって凛々しく立つお姿も素敵でしたが、地元の皆さんにより近いところで、身近に親しんでもらえたなら、像主もきっとお喜びになることでしょう。
打出浜からまた一つ「昭和」が無くなりますが、どうぞ永くお元気で!大津での御勤めお疲れさまでした!
御帰郷、おめでとうございます!
いよいよ開幕!滋賀限定!9/21から!
琵琶湖文化館地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで-」。9月21日(土)から、東近江市の(公財)日本習字教育財団 観峰館にて、いよいよ開幕です!
ということで前日には、出品をご快諾いただいた文化財所有者の方々や、報道関係の方をお招きした内覧会が行われました。
ちょこっと会場にお邪魔しましたので、中をのぞいてみましょう~扉の向こうは、趣深い「書」の魅力に溢れた空間となっています♪
琵琶湖文化館の収蔵品をゆかりの深い地域で展示公開する「地域連携企画展」。このたびは、わが国屈指の「書」の博物館として知られる観峰館さんとタッグを組んでの開催です。
近年ほとんど公開していなかった当館の書の名品を、出張展示します。古経典から始まり、江戸時代、明治時代の名筆の数々をお楽しみいただけます。さらには、東近江市の地域文化財を積極的に調査発信されている観峰館さんの貴重な資料も展示されます。
近江ゆかりの書画の魅力。会場ではぜひ心の扉を開放し、先人たちが残した郷土の誇りを、心ゆくまでご堪能ください。間違いなく『滋賀限定!』の逸品揃いです🌟
本展は9月21日から、東近江市の観峰館にて開催です。皆さまのご来場を心よりお待ちいたしておりま~す♪
滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第5回 文化財建物修理、3人の技師が熱く語りました!
あっという間に9月も半ばになりましたね。9/18(水)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第5回目を開催しました。今回は「建造物文化財修理の最前線―国宝延暦寺根本中堂・重文不動寺本堂を中心に―」と題して、滋賀県文化財保護課・建造物係のフレッシュな3人の技師にご登壇いただきました。
1番手の長谷川聡子技師は、国宝延暦寺根本中堂と、重要文化財延暦寺根本中堂の回廊の修理事業についてのお話です。柱の傷んだ部材だけを取り除き、新たな部材を継ぐ「柱の根継(ねつぎ)」の紹介では、「可能な限り残せる部分は再使用する」という考え方に、大規模文化財建造物修理の大変さ、厳密さを伺い知れました。
次に福吉直樹技師から、重要文化財不動寺本堂の修理事業について。大津市太神山(標高600m)の山頂付近にあるお堂、車で入れない山道を、ひたすら通われたのだとか。そのような難所で、修理の適切な時期を経過してしまった檜皮葺(ひわだぶき)屋根について、「なんとか持ちこたえてくれた」との言葉があり、長い時を経てきた建造物に寄り添う技師の思いが垣間見えました。
締めくくりは、坪田叡伴技師。文化財建造物の耐震診断についてのお話でした。「古い建物、弱っていて当たり前では?」そんな素朴な疑問を入口に、耐震診断の流れや耐震補強の実例が紹介されました。外観・内装・構造・使われ方など、文化財としてどの価値を優先するか、とても悩ましいテーマに関わるお話でした。
まとめでは「 修理に注目されがちですが、実は日常管理が文化財建造物の保存を支えている。そのためには、まず多くの方に文化財建造物を知っていただきたい。 」との熱い思いが語られました。滋賀県は重要文化財190件277棟、国宝22件23棟と、国指定の文化財建造物の件数が、全国で3番目に多いそうです。こうした文化財建造物を守るため、「まずは知る」、私達にもできることがありそう・・・です!
今回の講座、それぞれに内容の濃いお話で、ちょっと時間が足りませんでしたか・ね?
講師の皆さん有り難うございました!次回は1人1コマ、ご用意させていただきます??!(笑)。 アンケートには「若い技師さんの今後のさらなる活躍を期待!」とのお声が寄せられていますよ~。
そして今回の打出のコヅチ、第5回限定での新たな試みも実施しました。彦根のビバシティ平和堂でのサテライト配信です。商業施設での初の試みに、アタフタした場面もありましたが、できる限り多くの方に聞いていただきたいという思いで、これからも試行錯誤を重ね頑張っていきたいと思います!
ご参加いただきました皆さま、有り難うございました!
地域連携企画展 第2弾!いざ観峰館へ!着々準備中♪
9/21から始まる地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。いよいよ間近に迫ってまいりました。当館の収蔵品を会場の観峰館へ移送、そして展示作業が佳境となっています。
館での梱包作業。先ずは作品の状態チェックです。今回は1日で梱包→輸送を行うタイトスケジュールであったため、「成功の秘訣は8割方準備で決まる(!)」と豪語する当館の学芸員が、予め検品作業を済ませていたおかげで(?!誉めてあげて~!)、余裕をもって梱包することができたようです(笑)。 作品は無事、当館から旅立ちました。
そして本日、会場での展示作業です。こちらの写真にうっすら写る緑色の光のライン、これは展示する際に作品の高さを合わせたり、水平を測る“魔法の光”。(以前はテグス(糸)を使ったりしてましたが近頃は便利になりました(笑))。
それでもやはり、何だかんだ言っても、最後に頼りになるのは「人の手」です。我らが文化館学芸員も、展示ケースの中に入って奮闘中~頑張っておりますヨ♪
さてさて、どのような展覧会になりますか???開幕まであと1週間、乞うご期待です!
「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」は9/21(土)から、会場:観峰館(東近江市)にて開催です🌟
最初で最後の「建設予定地イベント」★ボランティアも募集中★
みなさま、すでにチェックしていただいているでしょうか?
新しい琵琶湖文化館の建設予定地イベントを・・・!
あきつブログをご覧のみなさまにはご承知のとおり、令和9年12月オープンを目指している新しい琵琶湖文化館ですが、実は令和7年3月頃に着工を予定しています!なので、この場所が空き地のようになっているのもそろそろ終わり。そこで着工前に、最初で最後の「建設予定地イベント(滋賀県HP)」をやろうじゃないか!というのが今回の企画です。
このイベントで、具体的に何をするのかといいますと…
①建設予定地の実地表示 カラーコーンで建物(1階)部分を示します。
②新しい文化館に関するパネルを掲示します。
③館蔵品をモチーフにした「しおり」作成ワークショップを開催します。
特に、①建設予定地の実地表示!デス。文化館の職員も、こんなことはやったことがありませんので、実際にカラーコーンを置くと、「こんな大きさの建物になるんだな~」「思ったより大きい!?(または小さい!?)」などなど、いろんな感想がでてくるのではないかと思います。
そして、並べるカラーコーンは、約100個を予定しております、が、少人数の職員だけでやろうとすると、なかなか大変な作業になりそうな予感がします。ですので、このあきつブログをお読みのみなさま、イベント準備作業をお手伝いいただけないでしょうか!?この作業は、建設予定地イベントの前日、
10月4日(金)13:30~
を予定しています。ぜひカラーコーン1個からでも、並べるお手伝いをいただけたら、とても、とっても!とぉ~っても!!!助かります。
ボランティアへのお申し込みやお問い合わせは、下記までお気軽にどうぞ。
滋賀県文化財保護課 文化財活用推進・新文化館開設準備室
メール:bunkatsu@pref.shiga.lg.jp
何卒よろしくお願いします!
当館源氏物語画帖で楽しむ「帚木」と「空蝉」
NHK大河ドラマ「光る君へ」。吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が、『源氏物語』を執筆しています。9月8日放送の第34回「目覚め」では、『源氏物語』の「空蝉(うつせみ)」のきわどい場面が、宮中で様々に読まれているシーンが印象的でした。
当館所蔵の源氏物語画帖には、この「空蝉」も収録されています。前回のブログで予告したとおり、「帚木(ははきぎ)」とともに、その詞書と絵をご紹介します♪
まず、『源氏物語』第2帖の「帚木」。この帖の前半は、光源氏や親友の頭中将らが、どんな女性が良いかなどそれぞれの経験談を交えた女性談義を交わす、現代的に読むと「それってどうなん??」と言いたくなってしまうお話、「雨夜の品定め」です(源氏は終始聞き役)。
当館源氏物語画帖の「帚木」の詞書と絵は、左馬頭の経験談「浮気な女」です。ある殿上人が女房のもとにやってきて、笛を吹くと、家の中の女房も琴で応じ、さらに男がもう一曲と女に所望する・・・という場面での、女房の返歌です。
木枯に 吹きあはすめる 笛の音を ひきとどむべき ことの葉ぞなき
(木枯らしの音に合奏するような、おみごとな笛の音をひきとめるだけの琴はございません。憎らしいこと。)
「帚木」の絵は、4/8のブログでもご紹介しましたが、男女が合奏する様子が描かれています。
「帚木」帖の後半はというと、「雨夜の品定め」の翌日、中流の女性への興味を触発されていた源氏は、抑えがたい思いのままに受領階級の人妻・空蝉の寝所に忍びこみ・・・(以降自粛・・・)と展開し、次の「空蝉」帖へと続きます。
第3帖「空蝉」では、若い女を相手に碁を打っている空蝉の姿を源氏が垣間見て、空蝉のたしなみ深さを感じ・・・(ここに続くのが有名な人違いの場面ですが、またしても自粛・・・)。そんなこんなで、自分を拒み続ける空蝉への想いが高まる源氏が、空蝉に贈った歌がこの詞書です。
空蝉の 身をかへてける 木(こ)のもとに なほ人がらの なつかしきかな
(蝉が抜け殻を残して姿を変え、去ってしまった後の木の下で、もぬけの殻の衣を残していったあの人の気配をやはり懐かしく思っている)
「空蝉」の絵の方は、お話が少し戻り、源氏が蔀戸(しとみど)越しに碁を打つ空蝉を覗き見る場面です。空蝉は後ろ姿で描かれ、その空蝉の背後には源氏が描かれています。
(現代的に見るとストーカーぽくて、ちょっとコワイ…)。
(ドラマでは見上愛さん演じる中宮彰子が、「光る君が何をしたいかも分からぬ」と言っていましたが、同感です…)。
ドラマでは、まひろはロマンチックな思い出に浸りながら第5帖「若紫」を執筆していましたが、当館の源氏物語画帖には第4帖・第5帖はなく、次は第6帖「末摘花」です。次回以降もお楽しみに♪
西郷隆盛書簡 巻き替えました!写真撮影OKです!(^^)!
5/27から9/26まで、滋賀県立公文書館で開催中の我らが地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」。長い期間だな~と思われた方もいらっしゃったかもしれませんが、実はこれには理由があります。
当初から申しておりました、この書簡は(物理的に)長い・・・と。全長4.75mに及ぶ西郷さんのお手紙。その全てを皆さんにご覧いただくには、“くるっくるっ”と巻き替えを行わなければなりません。
本書簡の見せ場(!?)である巻末:「西郷吉之助(隆盛)」署名部分から始まった5月。その後巻頭から巻中へ、本展の企画担当である井上副館長が、おおよそ3週間に一度、愛を込めて “くるっくるっ”してきました(笑)。
そして昨日、いよいよ最後となる5回目の巻き替えを行い、皆さんお待ちかねの巻末部分:「西郷吉之助」の署名と、実弟の西郷従道が書いた「兄の真筆に疑いない!(翻訳)」とする鑑定部分が、満を持しての再登場です!
・・・皆さん、おそらくこれが最後です!歴史的人物・西郷隆盛自らが書いた「西郷吉之助」の署名を、写真に撮ることができるチャンスは、きっとこれが最後!ぜひMyコレクションとして、皆さんの記憶と記録に残していただければ・・・幸いです💛
※写真を撮る際は、ガラスケース越しでの撮影になりますので、くれぐれもご注意くださいね。
当館の源氏物語画帖「桐壺」に注目!
NHK大河ドラマ「光る君へ」。吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が、『源氏物語』をもりもり書いていますね!8月18日放送の第31回「月の下で」で『源氏物語』の第1帖「桐壺」を書き始め、第32回「誰がために書く」でそれが道長から一条天皇のもとに渡り、昨日放送の第33回「式部誕生」では第1帖を追記して、さらに第2帖「帚木」も完成。一条天皇からまひろへ、立腹交じりの称賛が伝えられました。まだまだ続くというこの物語。そりゃそうです、54帖あるうちのまだ2帖ですからね・・・!
さて、当館所蔵の源氏物語画帖には、10の詞書と絵がありますが、この中にドラマに登場した「桐壺(きりつぼ)」と「帚木(ははきぎ)」も収録されています。今回は、まずは「桐壺」について、どのように描かれているかな?と見ていきますと・・・、
宮城野の露吹きむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ
(宮城野-宮中を吹き渡る風の音に涙がさそわれるにつけても、小萩-若君はどうしていることか思いやられます)
光源氏の母・更衣が世を去り、悲嘆する帝が、更衣の里へ送った手紙に添えられた歌です。手紙には、愛する更衣が亡くなった悲しみにくわえ、里にいる幼い若宮(光源氏)のことが心配であるため、宮中に来るようにと記されており、この後に光源氏は参内します。
場面変わって「桐壺」の絵画は、宮中で聡明さを見せる7歳の光源氏を、右大弁が七条朱雀にあった鴻臚館(外国使臣を接待し宿泊させるための官邸)に連れて行き、高麗の相人に占わせたところです。そこで、「帝位につけば国が乱れるが、朝廷の重鎮となって政治を補佐する人かと言えばそれも違う」と高麗人は不思議がります。
石張りの床に異国情緒を感じる屋敷の中、一段上がった畳の上に坐るのが光源氏。その傍らに右大弁がいて、高麗の相人は不思議がるように光源氏を見つめています。外にはお付きの人たちや、光源氏が乗って来た牛車も描かれています。
「桐壺」は光源氏の誕生から12歳までが、続く「帚木」には光源氏17歳の夏が書かれています。「帚木」についてはあきつブログでも登場したことがありますが、次回は改めて当館の源氏物語画帖のうち「帚木」の詞書と絵について、ご紹介できたらと思います♪
地域連携企画展 第2弾!図録作成中!!
皆さん、すでにチェックしていただいてますか?我らが地域連携企画展の第2弾「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで-」!今回の展覧会は、東近江市の観峰館(かんぽうかん)さんとタッグを組んで、9月21日からの開催です♪
観峰館は、日本屈指の「書」の博物館!館名のロゴもステキなのです🌟
[ 日本習字創立者:原田観峰氏 (1911 ~ 1995)筆 ]
書の文化にふれることができる博物館での展覧会。しかも滋賀限定!=開催地は東近江市=可能な限り地域性にあふれる作品で企画したい⇒と、先方学芸員さんから熱いオファーをいただき(笑)、ここに実現!!大津市にありながら県内の地域性を活かした連携展を、各地で開催してきた当館です。お・ま・か・せ・あれ!
1万点を超える当館の収蔵品の中で、「書跡・典籍・古文書」が占める割合は約3割・・・どれにします??東近江にゆかりのあるものと言えば、アレと、コレと、イロイロと♡。
し・か・も・です!今回の展覧会では、出品作品全てを網羅した『図録』を作成します☆
今日はその打ち合わせで観峰館の寺前学芸員がご来館!写真の配置や解説文の確認、色合わせなど、校正作業も佳境です。図録に掲載するため、新たに撮り直した作品も多く、気合いが入っておりますヨ!仕上がりを楽しみに♡会場で是非お手にとってみてくださいね~!
開催まで1ヶ月をきりました。観峰館と琵琶湖文化館の地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」は、9月21日からの開催です。乞うご期待🌟!
滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第4回 楽しみ広がる!
明け方のはげしい雨も上がり、猛暑からようやく秋の空気を感じさせた8/20(火)、今年度第4回目の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」を開催しました。今回は「隈研吾建築と滋賀県」と題し、当館の田澤梓学芸員がお話しさせていただきました。
田澤学芸員、普段は「仏教工芸」を専門としていますが「昔の工芸品など、製作者の意図がわかるような資料が残っていない作品に接するのとは違って、現代建築は著作などでその背景や意図を受けながら作品を読みとくのも楽しみ方の一つではないか?!」というワクワク感を皆さんと共有したく、あえて異なる分野で講座に挑みました。さまざまな現代建築の楽しみ方から、さらに今回のテーマ、隈研吾建築を紹介していきました。
2027年に竣工する“新しい琵琶湖文化館”の設計は、安井建築設計事務所とともに隈研吾建築都市設計事務所が担当します。隈研吾氏は2020年の東京オリンピックのメイン会場となった国立競技場の設計者でもあります。時代背景とともに様変わりしてきた日本の現代建築ですが、隈氏の建築も変化しながら多くの作品が生みだされてきました。
講座では、隈氏の建築について①ミュージアム②水と建築③社寺との関わり④滋賀との関わりと県内所在の建築、の4種類に分けて解説しながら、新しい琵琶湖文化館にかかわる要素も様々に語られました。
滋賀県では、2018年に開館した守山市立図書館があります。旧図書館の設計図をスクリーンで紹介しつつ、新しい隈氏設計の図書館は開放的なものに大きく様変わり。住宅街と調和する家が集まったような外観で、県産の杉材で覆われ、森の中を散策するように本や人と出会い、木もれ日の中で学ぶことができます。皆さんも行ってみたくなりました?!
最近では、中山道の宿場町を活かした『つなぐ、守の舎』守山市新庁舎ができましたし、来春には甲賀市さんの道の駅「あいの土山」が、隈氏の設計でOPENする予定とのことです。
さて、2027年、新しい琵琶湖文化館はどんな建物になるのでしょう。講座の中では様々に語られていましたが、注目したいのは“穴太衆積み”!隈氏はアメリカの建築にも取り入れたといいます。各地のお城の石垣を造ってきました。積むだけでどうして堅牢なのか…見るほどに引き込まれ美しいです。日吉大社参道、滋賀院門跡などで“先駆け”でご覧になれます。
建築家のテーマをもとに、その場で建築を楽しむ。みなさまもぜひ体験されてみてください。そして新しい琵琶湖文化館の建築も、どうぞお楽しみに!
受講後のアンケートには、
〇隈研吾建築が好きでこの講座に参加させていただいたのですが、より知ることができたので実際行く際、今回の講座のお話を思い出しながら楽しみたいと思いました。
〇隈研吾氏建築について多くのことを知った。とても興味深かった。今後建築を見る目が変わりそうです。新しい琵琶湖文化館が楽しみです!
とのお声が寄せられ・・・♡
ご参加いただきましたみなさま、有り難うございました!!
大津/聖衆来迎寺の虫干し会と六道絵
本日8月16日、大津市比叡辻にある聖衆来迎寺さまでは、寺宝を一堂に並べての「虫干し会」が行われました。ここ数年コロナ禍で実施が見送られ、昨年は台風で中止となってしまったため、今年は実に5年ぶりの開催。楽しみにされていた方も多いのではないでしょうか。
普段当館がお預かりしている文化財も、この機会にあわせて”お里帰り”。 国宝の六道絵や、重要文化財の銅造薬師如来立像など、同寺に伝わる寺宝17件をお戻しさせていただきました。皆さんが楽しみにされている寺宝公開、当館としても陰ながらお手伝いができることを嬉しく思っています。
本堂と客殿(ともに重要文化財)でお披露目された寺宝の数々。ずらっと並べられた六道絵は特に圧巻!間近に鑑賞できるとあって、熱心に見入っておられるお客さまも多かったです。説明にあたっておられた檀家の方々も、嬉しそうに質問に答えておられましたよ。
5年ぶりの開催で、拝観する側も受け入れる側も、いつも以上にアツい気合いが入っていた今年の虫干し会。毎年恒例の行事がこうして復活し、無事開催されることが、とても有り難いことに感じられました。
そして、残念ながら本日拝観できなかったという皆さまに、朗報(♪)です。
聖衆来迎寺さま所蔵の六道絵が、8月17日放送テレビ朝日の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』に登場します!番組制作にあたり、当館から六道絵の画像を提供させていただきましたので、放送されること、間違いゴザイマセン!
今回は「怖いけどタメになる!真夏の地獄SP 」という内容で、地獄の世界に魅せられた10歳の博士ちゃんが、学び溢れる地獄の世界を語ってくれるそうです。暑~い夏に涼む地獄の世界・・・これまた一興!放送が楽しみです♪全国の皆さんも六道絵を通じて、滋賀に伝わる文化財の凄さリアルさをご堪能ください!