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講座「文化財修理で引き継ぐ心 -近江の文化財修理を例に―」開催しました

 現在、安土城考古博物館で開催中の地域連携企画展。3月17日に開催された関連講座は、株式会社坂田墨珠堂の坂田さとこ氏を講師にお迎えし、貴重なお話をうかがいました。

 「文化財を後世に守り伝える一助となる」
 これは、坂田氏が大津市に構える文化財(美術工芸品)の修理工房で掲げるスローガンなのだそうです。最初は「大切なことをすごく控えめに表現されているなぁ」という印象でしたが、講座でお話を聞き、文化財修理の事例を動画をまじえて見せていただいた後ではむしろ、「このスローガン以外に表現する言葉が見当たらない」・・・と、考えが改まりました。

 皆さんは「文化財修理」についてどのようなイメージをお持ちでしょう?頑固で無骨な一本堅気の職人さんが、黙々と仕事を進めておられる・・・そんなイメージ??(勝手な想像を・・・スミマセン。)確かにその技術も必要なのですが、坂田氏は「まるでお医者さんみたいな」お仕事だと言っておられました。弱ったところはどこですか?お薬で直せそうですか?手術が必要ですか?

 例えばこちらのスライドは、現在展示中の薬師十二神将像の修理に際して、顕微鏡で撮影された写真です。(絵具を調べると、この時は鉱物を使った顔料でキラキラしてまるで宝石のようだった、と言っておられました!)確かに理科の実験結果のような・・・時には光学カメラや赤外線カメラなど先端技術を駆使して、作品の状態を見極めることも必要です。それらの結果をもって作品の“カルテ”を作り、使う材料を選定し、修理の方針を決定します。

 修理の方針・・・そう、私たち博物館として修理に立ち合う際も、このカルテの情報は大切です。併せて作品が持つ歴史的意義やその内容を吟味しつつ、オリジナルを損なわない修理方法とすること。そして文化財の所有者の方に説明を尽くし承諾をいただいてから、現在出来得る最善の方法で修理を行います。時には修理を未来に託すという選択も・・・慎重を要するが故の難しい判断、共に担って下さる心強い存在が修復師の皆さんなのです。(結果として、ミリ単位の細か~い作業の修理をお願いしてしまうことになるのですが・・・(笑)。)

 何年も受け継がれてきた文化財には、必ずまた修理をする日が巡ってきます。将来、安全に再び修理することが出来るよう、決して過度な修理は行わず、後世に伝える「一助」となる。歴史と伝統の一部に携わる誠実さと信念が伝わる、良いスローガンだと思いました。

 最後には、工房で使っておられる修理道具で実演もしていただきました。ご参加の皆さんもすごく熱心に質問されていましたよ。よく見ると道具には名前も記されており、大切な“相棒”として扱っておられることがよくわかりました。

 講座終了後、展示室に移動して、修理に携わった作品と久々のご対面を果たされた坂田氏。本展を担当した岩﨑学芸員と、文化財修理の未来について熱く語り合っておられました。

 坂田氏の夢は「将来は文化財の修復師になりたい!」と言う子どもたちが増えること・・・なのだそうです。そのために現場を知ってもらう、未来につなげる修理の仕事を皆さんに認識していただくことが大切で「活動を声に出していきたい。それが私の役目」と語っておられました。会社の社長という立場だけでなく、業界のお母さん(?!)として将来を見据えておられる姿に“愛“を感じました。感謝いたします・素敵です♡

 今回、講座に参加出来なかったという方は、会場で「おしえて!!まめのぶくん」のパネルにご注目ください。文化財修理に対する「?」や、展示で伝えたいことを、まめのぶくんがわかりやすく解説しています。

 展覧会も後半に突入し、会場では一部作品の展示替えを行いました。地元・近江八幡市の長命寺さま、新宮神社さまの作品も出陳されておりますので、地域の方もぜひ会場へ足をお運びくださいませ。

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博物館実習が実を結んだ『重文』指定!

 このたび嬉しいニュースが飛び込んできました。本日開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決によりますと、美術工芸品で新たに国宝6件、重要文化財36件を指定することについて、文部科学大臣に答申。これにより我が滋賀県からは、新たに1件(書跡・典籍の部)が、重要文化財新指定となる見込みとなりました!それは何かと言いますと・・・
 元版一切経(げんぱんいっさいきょう) 2,892 帖 園城寺(三井寺)所蔵
でございます。実はこちらのお経、当館の長い歴史の中で、浅からぬご縁がございまして。
・・・と言いますのも・・・・・

「博物館実習に来られていた(当時の)お兄さ~ん・お姉さ~ん!皆さんの実習の成果が実を結びましたよぉ~!!」
 
・・・思わず叫んでしまいました。こちらの写真は平成5年(1993)に撮影された、
  文化館「名物」の?・・・(何か違う)・・・
  文化館「伝説」の?・・・(ニュアンスが)・・・
  文化館「伝統」の!・・・(正解!!)
“現地”博物館実習の様子です♪まさにこの時、学生さん達が園城寺さまにて調査していたのが、このたび重要文化財に指定される一切経だったのです!

 文化館の博物館実習は(良い意味で)スパルタです。
 学芸員資格を得るという志を持った学生さんを、大学を通じて受け入れるのが毎年だいたい7月。5日間の日程で、初日と2日目は博物館とは何ぞやという基礎を学び、3・4日目に“合宿”で、現地実習が行われました。
 この合宿でよくお世話になったのが園城寺さまです。暑いさ中、お経のある一切経堂でひたすら汗を拭きふき資料を調査、夜は観音堂に泊まらせていただくという、ありがた~い学びの場でありました!

平成5年(1993) 琵琶湖文化館博物館実習の様子(園城寺一切経堂にて)

 ここで申し上げておきますが、当時のことを悪く言う人はいません。大人になった今聞いても「楽しかった」「思い出深い」と言っていただける現地実習です。(それはお泊りの夜、“密かに”おこなわれた夜通し勉強会〔という名の一発芸&ものまね大会〕があったからかもしれません・・・これぞ伝統!)5日目の最終日には、打ち解けた様子で爽やかに巣立って行った『文化館チルドレン』(?)たち(笑)。今はどうしていらっしゃいますかね~様々な分野でご活躍のことと思います♪♪♪

 で、話を戻しますと、この学生さんたちの基礎調査が約20年後に実を結び、今回の重文指定に繋がった・・・と言って間違いゴザイマセン!!皆さん、思い出を懐かしみつつ、お祝いしようではありませんか!!よく頑張りました◎◎◎!

令和5年(2023) 事前調査の様子[滋賀県提供]

 ちなみにこちらの写真は、昨年、梅雨入り前に、文化庁の専門技官さんや文化財調査のスペシャリストさんが行った、“専門家さん”たちによる調査風景です。さすがに漂う雰囲気が違う
・・・貫禄!・・・さすが、でございます(笑)。

 多くの人々の並々ならぬ協力と調査・研究を経て、新たに指定文化財となる一切経。

 文化館チルドレンを代表して、心よりお祝い申し上げます☆☆☆

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新視点満載のギャラリートーク②

 本日のブログは、前回に引き続き 3月9日に行われた関連講座とギャラリートーク の様子をご紹介します。今回は考古担当の 大道和人学芸員 (安土城考古博物館)の登場です。

講座の様子

 この日、講座で講師を務めた大道学芸員は「復元!紫香楽大仏の鋳造技術」という演題でお話しされました。
 聖武天皇が大仏(銅造)造立を開始した甲賀寺に隣接する鍛冶屋敷遺跡(史跡紫香楽宮跡 ※新名神信楽IC辺りです)。大道学芸員はこの発掘調査にも関わっておられ、出土した遺物から「奈良時代に大仏がつくられた当時の炉、そして送られた風はどのようなものだったのかということが『復元』できる」と、イメージ図を示されました。(会場の展示パネルや来場者にお配りするパンフレットに詳しく掲載しています。)

展示室にて 熱く語る大道学芸員

 お話を聞きながら、銅を溶かすための作業はどんなに熱いものだったのか、それだけの風を送るためにどれだけたくさんの人がふいごを踏んだのだろうかと、当時の人々への想像が膨らみました。

 いざギャラリートークで、会場の展示室に移動したあとも、大道学芸員の熱弁は止まりません(笑)。発掘調査の醍醐味、苦労話、その成果など、皆さんに伝えたいことがたくさんあったようです(笑笑)。参加者からの質問にも嬉しそうに答えておられましたよ。

保存処理室にて

 その後ギャラリートークの一行は、博物館内にある出土木製品の保存処理施設へ。こちらは普段は立ち入ることができないお部屋で、今回は特別のご案内です♪

 作業を担当されている福井技師((公財)滋賀県文化財保護協会)から、「地中には伏流水が多く、木製品が空気に触れないため、腐らずに残っている」と聞き、皆さん納得のご様子。樹脂に漬け込む、あるいはフリーズドライにするという保存技術の大きな設備に興味深々でした。

 文化財がどのように伝えられてきたのか、そしてこれからにどのように伝えられていくのか。また作られた当時はどのような状態だったのか。講座とギャラリートーク、展示を通して、新視点をたくさんいただくことができました。案内してくださった職員の皆さん、そして熱心に参加された皆さん、本当に有り難うございました。
    

 皆さんもぜひ「近江の文化財を継ぐ-修理・修復・復元-」の展示を通して、文化財のあゆみとそれを取り巻く人々へ思いをはせてみてください。そして展示にとどまらず、皆さんの身近な文化財にも思いを寄せるきっかけになれば幸いです。

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新視点満載のギャラリートーク①

 現在開催中の地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・修復・復元-」。展示は一人で見るのもいいですが、詳しい解説を聞いて改めて作品を見ると、何倍もの発見と驚きがあります。3月9日(土)に行われた関連講座とギャラリートークは、まさにそのような機会となりました。今日は少しだけその様子をご紹介しましょう。会場である 安土城考古博物館での案内人は、本展の担当:安土城考古博物館の大道和人学芸員(考古)と、当館の岩﨑里水学芸員(保存科学)です。

 先ず展示室に入って右側のゾーンを解説するのは、岩﨑学芸員です。目を引く屏風や掛軸、精緻に描かれた作品に思わず見入ってしまいますが、実は本展の見どころは作品だけではありません。その“前”に置かれた「修理」に関するある“モノ”にも注目していただきたく・・・。
 
 例えばこちら、仙人図屏風の解体修理で出てきたモノですが・・・岩﨑学芸員が手にするクリップボードに何か書かれていますね?分かります??

  なんと!屏風の下から、屏風に直接関係のない(!)看板の下絵や、滋賀県内の地名が書かれた紙、落書きの鳥(よく見ると可愛い?!)などなど、様々な「下貼り文書」 が出てきました!
 屏風を仕立てるときや修理をするときには、たくさんの紙が必要です。紙が貴重であった時代には、一度使われ文字などが書かれた紙も、屏風の内側に使われました。博物館では、このような文書類も貴重な資料として、作品とともに後世に引き継ぎます。

 この他にも修理銘が書かれた古い部材や表具裂、作品の裏に貼られた肌裏紙に至るまで、大切にとっておきます。「文化財を継ぐ」時、いつどのような方法で修理されてきたのかという情報が、重要になるためで、「これらも普段は皆さんにご覧いただくことのない重要な博物館活動の一つ」であると岩﨑学芸員は説明されました。

 また、文化財の「複製」「復元」も本展の大切なキーワードです。作品を食い入るように見比べる参加の皆さん、違いを見つけようと必死です(笑)。時としてこれらの作品には「オリジナルと同じくらいに伝わる情報がある」という岩﨑学芸員の言葉が印象的でした。経年とともに劣化するオリジナルの情報を今にとどめるという意味では、代替品はむしろ後世にとってはかけがえのない文化財となり得る代物です。博物館では保存と活用のバランスをとりつつ、いかに皆さんに情報を伝えていくか、学芸員の腕の見せ所でもありますね。

 おっと残念!本日のブログ、ここで字数制限に達してしまいました。アレ?大道学芸員の登場は??続きはまた後日ということで!
 普段はただ「きれい、すごい」とだけ思ってみている文化財にも、その背景には多くの人の努力と思いが詰まっています。一つ一つの文化財がこれまで歩んできた道のり、そしてこれから歩んでいく道のりが伝わる、とても興味深い展示となっています。ぜひ会場で実物をご覧ください。

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地域連携企画展 イベント開催♪

 現在、安土城考古博物館で開催中の琵琶湖文化館地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」。皆さんはもうご覧になりましたか?3月には関連イベントがありますので、ぜひご参加ください♪

[1] ギャラリートーク 3月9日(土)10:30~・15:00~

[2]関連講座 ※往復はがきによる事前申込制(先着順)

① 3月9日(土)13:30~
 「復元!紫香楽大仏の鋳造技術」 講師:大道和人氏 (安土城考古博物館)
 参加費:300円 定員:100名
② 3月17日(日)13:30~
 「文化財修理で引き継ぐ心 -近江の文化財修理を例に―」
  講師:坂田さとこ氏(株式会社坂田墨珠堂)
  参加費:500円 定員:100名

【申込先】
〒521-1311
滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678
滋賀県立安土城考古博物館 宛
【往信裏面】
1)企画展関連講座申込
2)参加希望回
 ※①と②を合わせて申し込みも可
3)ご住所 4)お名前 5)電話番号
【返信表面】
返信用の郵便番号、ご住所、お名前

[3]親子たいけん博物館 ※事前電話申込制(先着順)

 3月24日(日)10:30~・14:00~
 「ミニ屏風をつくろう!」
  参加費:700円 定員:各10名

 各イベントの申し込み方法など、詳しくは滋賀県立安土城考古博物館(Tel:0748-46-242)までお問い合わせください。

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琵琶湖の国で作る琵琶の弦

 たび重なる大河ドラマネタで申し訳ありません・・・が、昨日2月25日放送のNHK「光る君へ」をご覧になりましたでしょうか。前回のような恋愛のときめきの描写はそこそこに、今回はヒューマンサスペンスとしてのドキドキを感じさせる回でした。

参考画像:当館所蔵の琵琶
(室町時代)
  

 特にドラマ後半では、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が琵琶を弾く姿が描かれましたが、まひろの眼光するどく緊張感のあるシーンにドキドキしました・・・!

 さて、ドラマ本編終了後に放映される「光る君へ紀行」コーナーでは、初めて滋賀県が紹介(番組HPにリンク)されました!まず琵琶の歴史が紹介されたのち、琵琶など邦楽器の弦を昔ながらの製法で作る長浜市木之本町の糸づくりのカットに。職人さんが繭から糸を引き出して原糸を作る様子や、糸を撚る様子が紹介されましたよ〜!

 この糸づくり「邦楽器原糸製造」は、国が選定する文化財保存技術です。詳しくは滋賀県文化財保護課のYouTubeがとっても分かりやすくオススメです☆

 「光る君へ紀行」では、今後さらに滋賀県の文化財を紹介してくれるハズ
・・・?!楽しみに待ちましょう♪

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打毬に胸キュン♡ 学芸員はココを見た(笑)

 今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」。吉高由里子さんが演じるまひろ(紫式部)と、柄本佑さんが演じる藤原道長の関係を中心に、当時の宮中の人間模様が描かれます。近年まれに見るラブコメ要素♡に目が離せないという方も、いらっしゃるのではないでしょうか??

 先日の2月18日放送回では、道長が「打毬(だきゅう)」をする姿に見とれてしまうまひろ、そしてまた道長もまひろが気になって仕方がないという、少女漫画のような描かれ方にときめいた☆☆☆・・・と語る学芸員もおります(笑)。

 さらにこの学芸員、長めに割かれたこの打毬のシーンにも感動したそうです。打毬とは、馬に乗って木製の杖(毬杖、ぎっちょう)で毬を打って競うスポーツ。奈良・平安時代に宮中の年中行事となり、鎌倉時代には衰退しましたが、江戸時代に八代将軍吉宗が推奨したため盛んにおこなわれるようになったということです。絵画作品にも様々に描かれてきた打毬、しかし残念ながら当館にはそうした品がない・・・とのことでした。。。

「いや、まてよ!?道長の精悍な打毬装束姿に通じる絵画があるのでは!?」 探しました↓

 こちら、十二カ月図屏風の右隻。1月から6月が描かれています。そのうち左側の第6扇に注目すると・・・

 

 男性が鹿の毛皮の行縢(むかばき)を履いていますね。ドラマをご覧になった方、気付かれましたか?打毬のシーンでイケメン達が履いていましたよぉ♡
 十二カ月図の方は弓矢を携えた狩装束なので、ドラマに登場した装束とは違いますが、保温や泥除けのための行縢は共通しています。 清流の流れる山中で、狩人二人が篝火を焚いている6月の情景・・・。江戸時代の絵師・月岡雪鼎による繊細で上品な顔の表現もあいまって、なんだかドラマに出てくる俳優さんみたい♡

 ちなみに、全国各地にみられる火祭り行事の左義長(さぎちょう)祭。左義長は「三毬杖」「三毬打」「三鞠打」などと書かれ(※読み方はすべて“さぎちょう”です!)、もとは破損した毬杖を陰陽師などが集めて焼いたのが起源とされます。滋賀県内では近江八幡市・日牟礼八幡宮の左義長祭が知られ、今年は3月16日、17日に行われます。

 「光る君へ」のラッピング電車に乗って、今に残る「打毬」の痕跡を探しに、滋賀を旅してみてはいかがでしょうか♪

 

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2/10から開催!地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」

 休館中である当館の収蔵品を他館で展示公開する「琵琶湖文化館地域連携企画展」。2月10日からは、滋賀県立安土城考古博物館さんと連携した「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」展が始まります!

 ということで、今週は展覧会の準備モードで忙しくしています。当館から出展する作品は、しっかりと点検と梱包をおこない、会場となる滋賀県立安土城考古博物館へ搬送いたしました。

  そして今日は、当館の学芸員たちも朝から会場へ直行し、展示ケースに作品を並べる陳列作業です。

  「うーん・・・もう少しだけ低い方が見やすいかな?」
  「こんな風に並ぶなんて、この展示ならではですね~」
  「このケースの中に並べる順番・・・お客さん目線はこぅかな?あぁかな?。。。」
  「もう少し左を上げてくださ~い」
などなど、いろんな“声”も和気あいあい(笑)、チームワーク高めに準備を進めています♪ 順調デス♪

滋賀県立安土城考古博物館

 今回の展示は、安土城考古博物館と琵琶湖文化館の収蔵品から、修理・複製・復元の3つの手法を中心に、文化財を後世に伝える現場のお仕事も紹介します。人と文化財をつなぐ、たて糸とよこ糸のような(!?)博物館の役割についても、皆さんに知っていただく機会となれば・・・とっても嬉しいです♪

 展覧会は2月10日(土)から、会場は近江八幡市にある滋賀県立安土城考古博物館さんです!皆さまぜひご来場ください!!

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1年が経過して語れるお話 文化館の大トンボ

 寒かった・・・あの日も寒かった。。。1年前のあの日、予定通り、想定通りにうまくコトが運ぶのか、ドキドキしながら1日を過ごしておりました。

 あの日・・・令和5年1月26日、文化館のシンボルとして長らく皆さまに親しまれてきた、屋根の上の大トンボ(モニュメント)が深夜に取り外されてから早1年。すでに懐かしい・・・。

 文化館の日常を綴る「あきつブログ」、その様子を速報で皆さんに伝える(掲載する)べきところ、(直後はさすがに少し心が落ち着かなくて言葉にできず)「写真集」での紹介とさせていただきました。ということで、1年が経過して語られる裏話です 。

 大トンボの撤去は屋根の改修工事に併せて行われました。湖上約40m、湖岸の道路から30m離れた大トンボを吊り上げるために手配された大型のクレーン車。文化館前の道路は通行規制。深夜のため作業を見守ったのは一部の職員と報道関係者のみでした。

 地上では、鉄塔と大トンボを切り離すグラインダーの音ばかりが聞こえ、どのくらいの進捗かわからずにいると、誰かが叫びました。「トンボが飛んだ!」!!見ると吊り上げられた大とんぼが、文化館の大屋根から、ゆっくり離れていきました。地上に降ろしてから、大トンボを回転させていたモーター部分を切り離し、身軽になった大トンボは再び飛翔、文化館の小さい方の館(別館)に移されました。

 問題はこの別館の入口。大トンボの大きさ・長さよりも間口が狭く、どうやって建物の中に入れるか、直前まで頭を悩ませました。結果、屈強な男性陣の知恵と力のおかげで、トンボの頭を下にしっぽを上に、大きく斜めに傾けて、無事に建物の中に収めることができました。

 文化館のシンボルモニュメントを深夜に取り外すという緊張と寒さのため(?)、いざという時に肝心のカメラが壊れる(涙)ハプニングに見舞われたりもしましたが・・・。すべての作業が完了し、絶妙のクレーンさばきをしていただいた運転手さんにお礼を言うと、「こっちこそいい仕事させてもろたわ」と返された笑顔が印象的でした。

 その後、大トンボの背中に銘板が見つかったり、元々金色に塗られていた痕跡を発見したりと、何かと楽しませてくれる文化館の大トンボ・・・元気です!

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講演会 お話ししてきます

 皆さんチェックされてますか?1月20日(土)に、湖南市にある長寿寺さまで、“とある講演会”が開催されます。何の関連かと申しますと・・・・

 その存在・・・全国的にはめずらしく、滋賀県内では彦根市や日野町、多賀町、守山市などに、祀っておられるお寺さまがあります。 小さいながらに抜群の団結力(チームワーク?)で、見る人の度肝を抜く、圧倒的な存在感。それはそれはとても不思議な存在・・・・・。

 何のこと? ピンときた??

 今回の講演会は、「近江の小さな仏たち―近江の千体仏・千体地蔵-」の関連講演会として実施されます[主催:近江の祭り研究所]。長寿寺さまは、六臂(六本の腕)のお地蔵さまの周囲に約1万2千体(!)の小さいなお地蔵さまが描かれた地蔵曼荼羅を所蔵されており、クラウドファンディングを活用して修復されたことでも話題となりましたね。当日は、拝観と藤支良道住職のご講演、そして当館の和澄浩介学芸員の講演が予定されています。(※申込は締め切られています。)  

 ・・・このご依頼をいただいた時、和澄学芸員の顔が満面の笑みであったことを、僕は(こっそり)見ていましたよ(笑)。楽しみですね。講演は「近江の地蔵信仰と古像」というタイトルで、たっぷりお話しさせていただく予定です。
 参加の皆さま、近江に伝わる地蔵信仰について、 いっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっぱいお勉強してきてくださいね♪

 残念ながら申し込んでいない!という方・・・本ブログ冒頭の画像にご注目~。この「千体あきつ」(全然足りない・・・!)には、他とは違うあきつ君が実は3体、紛れ込んでいます。どどどこに??!
 見付けて和んで下さいませ~♥
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ガス灯とともに一味違う散策を

 皆さん、「ガス灯」をご存じでしょうか?一般的な電気を利用した電灯と違って、ガスを燃料として使われている照明が、ガス灯です。
 日本で初めて街灯としてのガス灯が横浜に建てられたのは、およそ150年前の明治5年(1872)。大正時代に全盛期を迎え、現在も北は北海道から南は沖縄まで日本全国に3000基が街を照らしているそうです(東京ガスHP参照)。レトロな風合いのあるこの街灯を、どこかでご覧になったことが・・・ありますか?

文化館前 )レトロ仲間だったガス灯

 そうです。文化館前の歩道にもありました。
・・・エッ?過去形?

 そう実は過去形なのです。通行される方の安全確保の為、先日、撤去工事が行われ、なぎさ通り沿いの5基が姿を消しました。馴染みの風景として当たり前に見ていたものが無くなり、一抹の寂しさはありますが、無くして気付くこともあり!改めて、ガス灯のことを調べてみましょう。

 

 文化館からなぎさ通りを西に進んだ場所(大津市民会館向かい)には、ガス灯の由来が書かれた記念碑が建てられています。

大津市民会館向かいのガス灯にあった銘板と記念碑

 それによると「大津市ガス事業50周年記念」とありました。大津市がガス事業を民間業者から譲り受け、昭和12年(1937)に市営ガスとして供給を開始し、その50周年を記念して建てられたものがなぎさ公園のガス灯だったのです。

 琵琶湖文化館前のガス灯はこの度撤去されましたが、湖岸にはまだ7基残っています。大津市では他に三井寺周辺、石山寺駅前、浜大津駅前、そして長浜市の慶雲館や彦根市の四番町スクエアなどにも設置されているそうです。

 暖かい春になって散策をするとき、身近な風景の中で、ぜひとも街の「ガス灯」にも注目してみたいです。ガス灯が開発された「文明開化」の時代に思いをはせながらの散策も、きっと一味違う楽しさがあるでしょうね。

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令和6年 文化館の辰(龍)

新年 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 昨年末のブログでは、「初詣、いろいろな場所でいろいろな龍に出会えますよ」と、ちょこっと豆知識の小ネタ(?)を披露したところですが、年明けブログは・・・やはりここはお目出たく、当館の「龍」を紹介せねばなりませぬ。

 この龍、皆さんは何だと思いますか?・・・問い方を間違えました→何に(どこに)描かれていると思われます?

 よく見ると、下地には金箔が使われていますね。猛々しい龍が睨みをきかせています。何かに掴まっていますよ。後ろのシマシマの形にもヒントがありそうです。

 実はこれ、ホームページの収蔵品紹介にも掲載している「源平合戦図」屏風の“とある部分”に描かれた龍です。見付けられます?

源平合戦図 狩野氏信 筆 (琵琶湖文化館蔵)

 本図は、平家物語の源平合戦の名場面のうち、右隻には「敦盛最後」を、左隻には「那須与一」が屋島合戦で扇の的を見事に射貫くシーンが描かれています。

 ここで思い出したいのが、滋賀の文化財講座花湖さんの打出のコヅチ第4回で登場した「弘誓寺」。実は近江七弘誓寺の一つを、那須与一の子孫である愚咄坊(ぐとつぼう)が開いた・・・という聞き捨てならぬ伝承が伝わっています。東国武士である那須与一が滋賀につながるこのご縁、歴史研究の醍醐味です(笑)。

 えぇっと・・・少々無理ムリ(?!)、那須与一に注目したところで!作品をもう少しアップにして見てみましょう。

  いた・・・龍がいた!
  那須与一の兜に!!
  いましたよ!!!

 波間に揺れる扇の的を射抜くという神業、まさに神仏の加護を願いたい、その一場面に描かれていた龍・・・。
 ・・・もう、ね、コレに気付いてしまったら、どんなに小さな『ひとコマ』でも、皆さんに紹介したい(!)あきつブログなのでございますヨ(笑)。

 龍が如く上り調子の一年に!本年もどうぞよろしく♪お願いいたしま~す!!
(※ 実は、左隻に描かれた武者6人のうち、3人の兜に龍は居ります・・・エヘッ。)

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龍に出会える

 滋賀県の宗教法人名簿に登録されている宗教法人のうち、「神道系」と「仏教系」では、「仏教系」=お寺さんの方が多いことを皆さんご存じですか?

※令和元年調べ:神道系1,493<仏教系3,085(これには地域で管理されている神道系[神社やお社、祠など]は含まれていませんので、実際にはもう少し差は縮まるかもしれません。)

 ともあれ、年明けに「初詣に行く!」「神社&お寺をハシゴする!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。令和6年の干支は辰(龍・竜)。境内に干支の大きな絵馬を飾られるところもありますよね。滋賀県内にも龍にまつわるスポットはいろいろありますが、実は名前に「龍」の字が付いていない神社仏閣でも、皆さんは“龍”に出会っていることに気付いておられますかね?!

 例えばお参りに行ったとき、先ず身を清めさせていただく「手水(ちょうず・てみず)舎」でよく見かけるのが龍のモチーフ。水を司る神様:龍神の口から流れ出る神聖な水でお清めさせていただくと、とても清々しい気持ちになります。

 他にも文化館の迷(名)探偵:あきつ君がちょこっと探索したところ、建物の装飾や、意外なところで吊灯篭の底、梵鐘のてっぺん!(=龍頭と言います)などにも、龍を見付けることができました♪

 これ、意識しなければ、なかなか気付かないカモ?! そう思って探してみると、意外なほど、いろんなところで、龍のお姿を拝むことができますよ。
 今年の初詣、さまざまな“龍”を見付けて、新年のご挨拶をしてみてはいかがでしょう・か? 干支パワーでご利益も倍増するカモ(?)です!!

 ところで、とても忘れがちですが、文化館のマスコットキャラクターはトンボの「あきつ君」です。トンボは英語でドラゴンフライ (dragonfly)。 ・・・ということで!(=ドラゴンつながりで!) 皆さま良いお年をお迎えくださ~い!

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いまさら、家康 ?!

 N〇K大河ドラマ「どうする家康」も最終盤に差し掛かり、クライマックスの大坂冬の陣が描かれました。俳優・北川景子さんの演じる「ラスボス」茶々が率いて士気あがる豊臣軍に対して、大坂城へ大筒で直接攻撃を加え一気に戦局を打開しようと図る徳川家康(演:松本潤さん)。

 自らのかわいい孫である千姫も籠城している本丸への砲撃に先立ち、家康が本陣の床几に坐ってひたすら書き続けていたのが「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏……」の文字。阿弥陀如来におすがりする、という気持ちをこめた「名号」でした。

 徳川家康が熱心な浄土宗の信徒で、阿弥陀如来への信仰を抱いていたことは有名です。ドラマの序盤から家康の軍旗に書かれた「厭離穢土欣求浄土」の文字も、汚れたこの世をきらい清らかな阿弥陀仏の国土を願い求める彼の思想を明らかにしたものです。

 徳川家康が書いたとされる「日課念仏」の実物は今も各所に伝えられ、何を隠そう、琵琶湖文化館にも収蔵されています。縦26センチほどのやや小さめの和紙に、小さな文字で「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏……」と一行6段、それを延々70行に亘って書き連ねたものです。ただし、 数か所に「南無阿弥家康」「南無阿弥陀家」という誤字(?)も含まれています。 前後の切れた断簡(だんかん)なので、もとはまだまだたくさんの「名号」が書かれていたはずです。実に圧巻です。

徳川家康日課念仏 (部分) 琵琶湖文化館蔵

 ところが、実は!この「徳川家康日課念仏」、贋作説があるのです。そのことは徳川義宣氏が昭和55年(1980年)・56年に論文「一連の徳川家康の偽筆と日課念仏」(徳川黎明会『金鯱叢書』第8・9輯)で論じられました。そもそも日課念仏は旧幕臣の池田松之助が明治時代に書いた偽筆であるが勝海舟らの添え書きを付けて収集家に斡旋したため、広く世に流布したというのです。徳川義宣氏は論文の中で、家康の名言として知られる「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」についても、池田松之助が徳川光圀の遺訓をもとに偽作したものだと指摘しています。

 伝・徳川家康自筆の日課念仏は各地で大切にされ、一部は文化財としての認定を受けている場合もあります。琵琶湖文化館に所蔵する本品についても贋作であるとすれば残念ではありますが、真実は明らかにしていかねばなりません。当館としても努力はしているのですが現在のところ決定的な知見が得られず、結論が出せていません。大河ドラマは間もなく最終回を迎えますが、作品の研究は続けます。

  最後の最後に大きな課題を投げかけてくれた大河ドラマ「どうする家康」のワンシーンに感謝しつつ、新しい年にはさらなる研鑽を誓いたいと思います。

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「「文化財の子」 はぐくみ事業 いろんな文化財にふれてみよう!」12/16イベント開催(主催:滋賀県)

 みなさ~ん、楽しそうなイベントの情報が入ってきましたよ~。

 滋賀県文化財保護課さんが実施する「「文化財の子」はぐくみ事業 いろんな文化財にふれてみよう!」が、12月16日(土)にイオンモール草津で催されます。文化財を通して、子どもたちが地域の歴史を知り、郷土への愛着や豊かな人間性・社会性、支え合いなど生きる力を育むこと、また、文化財を次世代に継承していくことを目指して実施されます。
 子どもさんはモチロン、大人の皆さんも、文化財に触れて学べる楽しいイベントですので、どなたさまも是非 “はぐくまれ” ちゃってください♪
 「文化財」と一言で括っていますが、会場の体験コーナーでは、発掘された土器に触れたり、お寺や神社の建物で使われている木の組み方を体験したりと、いろんなお楽しみ企画が用意されています。

 何を隠そう・・・実は当館からも、皆さんにとっておきの「!」を提供します!!
 それは何かと申しますと・・・

 当館の収蔵品の中から、「とっても可愛い」or「シックでお洒落」な絵画作品を使って、自分だけの「しおり」を作ってみませんか?という、体験企画! 作ったしおりは、お持ち帰りもできる嬉しい企画です♪
 会場でご用意するパタパタパズルにも、ぜひチャレンジして下さいね。

 そのほか、展示のコーナーには、仏像や屏風の構造模型なども当館から特別出陳!普段見る事のない文化財の“内側” を、さわって確かめて、文化財に親しみましょ~♪

「「文化財の子」 はぐくみ事業  いろんな文化財にふれてみよう!」
   開催日時:12月16日(土) 10時~16時
   会  場:イオンモール草津 2階イオンホール
   各種体験:無料

 詳しくは、滋賀県文化財保護課(☏077-528-4670 )までお問合せください♪

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武将カード 今年度最後:12月のラインナップ

 12月とは思えない暖かさで過ごしております滋賀の冬。皆さん、さぞかし体力&健康維持のため、日々テクテクされていることでしょう!!?

 そうです。当ブログでも月毎に、何かと宣伝させていただきました(?!)、滋賀県で取り組まれている「電車と徒歩でお城をめぐって健康しが!」の“あの”企画。

 県内JR4駅(彦根、近江八幡、大津、堅田)の改札窓口で健康推進アプリBIWA-TEKU(ビワテク)の画面を提示した人に、「近江ゆかりの武将カード」が1枚プレゼント♡される“太っ腹”企画でしたね♪。カードが貰える条件は以下のとおり!

(1)配布期間中の当日に、JRの鉄道を利用して配布駅の改札窓口を訪れること。
(2)健康推進アプリBIWA-TEKUの画面を、配布駅の改札窓口で提示すること。

 気楽にチャレンジできますね~。そして、今年度のプレゼントは、 いよいよ 12月が最後となります。気になる武将のラインナップはコチラ!!

 ぜひ、ゲットしてくださいね。カードには、武将とゆかりのある土地(史跡など)も紹介されています。足を延ばして、更に健康増進、しちゃってくださ~い!

  5月から始まったこの企画、皆さん何枚集められましたか?月ごと・各駅ごとに配布される武将カードが異なっていましたので・・・

8カ月×4駅=合計32種類!

「全部集めた!」という方・・・ アナタは凄すぎる!(笑)!当館が作成した武将のイラストが、 皆さんの興味を刺激したのなら・・・幸いです(笑笑)。

[5~12月分、全部集めると・・・]→

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「千年の秘仏と近江の情景」閉幕

 10/7から約1か月半にわたり滋賀県立美術館にて開催しておりました地域連携企画展「千年の秘仏と近江の情景」が、11/19に閉幕しました。最終日にはナント・・・1,000人近くのお客さまが!お越しくださったそうです!!
 ご来場いただいたすべての皆さまに、心から感謝申し上げます!!!

 本展は、湖南市・正福寺さまの秘仏本尊が33年ぶりの公開となる、大変貴重な機会に恵まれました。開催にあたり、お寺さまにご許可をいただいて作成したポスター・チラシは、大切な秘仏を中央に配置した構図で、これがまた「なんて尊い!」と大変好評で・・・実は展覧会が始まる頃には既に配布するチラシが無くなるという嬉しいハプニングが(笑)。会場のスタッフさんによると、海外からお越しのお客様に「このポスターを下さい!」と声を掛けられたそうですヨ♡

 会場では、お像を360度くまなくご覧いただけるよう展示し、あわせて善水寺さまの不動明王坐像を特別展示したことで、より奥深い仏像の世界をご堪能いただけたのではないでしょうか。学びも多かったですよね~(自画自賛(笑))。 ふたつのお像の間を行ったり来たり、しゃがんで見上げて、のぞき込んで見比べて・・・皆さんそれぞれの鑑賞の仕方で、存分にお楽しみいただいたことと思います。また、ケース内に並べられた絵画、工芸品は、文化館と美術館、両館のコレクションから展示しました。千年の秘仏を守り伝えてきた近江の歴史風土、文化、人々の営みを、作品から感じていただけたなら幸いです♪

 ご鑑賞いただいた皆さま、並びに本展開催にご協力いただいた滋賀県立美術館の皆さま、本当に有り難うございました!

 さぁて、11月も後半、あっという間に二つの地域連携展が終わってしまいました。次回は、令和6年2月10日より滋賀県立安土城考古博物館において「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元―」展を開催します!詳細はもう少しお待ちいただくということで・・・乞うご期待♪

 現在、当館の掲示板には、休館後に他館で開催してきた展覧会が一目でわかる、チラシ(の縮小版)を掲示しています。「いろんな地域とご縁を結んできたなぁ」と振り返ってしみじみ・・・これからも素敵なご縁がつながりますように♪

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「花湖さんの打出のコヅチ」第6回 ・・・鑑賞☆堪能

 秋晴れの滋賀県立美術館にて、「花湖さんの打出のコヅチ」第6回目の解説付鑑賞会を開催させていただきました。ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!

 今回は美術館のロビーにて受付。目印は探訪ではお馴染みの、のぼり旗です♪受付テーブルを出すとすぐにたくさんの方に集まっていただけ、みなさまの熱気が伝わってきました。

 さて、「「千年の秘仏と近江の情景」展を楽しむ」と題した今回の解説付鑑賞会は、地域連携企画展を開催する展示室1での開催です。

美術館の山口真有香主任学芸員

 前半は、美術館の山口主任学芸員から、当館収蔵品も含めた絵画作品を中心にご紹介いただきました。近江の風景が描かれた「近江名所図」「近江八景図」には、時代の変遷を経て変わってしまった風景・今も変わらない風景を見つけることができます。

  

 
 

当館の和澄浩介主任学芸員

 後半は当館の和澄主任学芸員による仏像の解説です。 重要文化財の正福寺さまの大日如来坐像を、じっくり!詳しく!お話しいただく濃密な時間となりました。前回のコヅチでも登場した内容が中心でしたが、本物を前に説明を聞くと、とても分かりやすかったのではないでしょうか。そして正福寺さまの大日如来と、善水寺さまの不動明王坐像も見比べやすい!また、大日如来の美しさを堪能するかのように、解説後もじっくりとご鑑賞される方もいらっしゃいました。横顔や背中も・・・、うーん美しい~。

 「仏像が、美術品というだけでなく、また信仰の対象というだけでなく、歴史の証人なのである」、という和澄主任学芸員の指摘。山口主任学芸員からの「絵画作品にみる江戸時代から現代までのつながり」という指摘もあわせて、雄大な近江の歴史を思わせる講座と展覧会でした。

正福寺住職 山川正道様

 最後に正福寺のご住職様から、本講座へのご参加の感謝の言葉とともに、展覧会の経緯もお話しいただきました。今回お出ましいただいているご本尊・大日如来坐像は、通常は33年ごとに開扉される秘仏なので、再来年の本堂改修後に開扉され、その次の開扉は30年後!とのこと。今回は本当に貴重な機会ですね。

 
   
 

 本年度の「花湖さんの打出のコヅチ」はこれで最終回です。毎回、熱心に聴講されるみなさまの姿勢に身が引き締まる思いです。さて、来年度はどんな講座が待っているのか・・・!?楽しんでいただけるよう、スタッフ一同頑張っていきます!

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あっという間の10日間 「成菩提院 寺宝展」閉幕

 11月3日から米原市で開催しておりました地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」が、昨日閉幕し、本日、会場を撤収してまいりました。

 本展におきましては、ご住職さまならびに副住職さまに多大なるご協力をいただき、また、檀家の皆さまにも会場でお手伝いいただくなどご協力を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。

  
 

 今回の展示は、今話題の徳川家康や戦国武将に焦点を当てた展示内容であったこともあり、歴史好きの人が遠方からもたくさんお越しくださったと、関係方々から喜びのお声が届いています。ご来場いただいた皆さま、有り難うございました。本展をきっかけに、滋賀の歴史の奥深さに触れていただけたなら幸いです。

(こちらは 2023.11.3 夕刻 撮影)

 そして今朝、米原市と岐阜県にまたがる伊吹山では、「初冠雪」を観測したそうです。本展の閉幕を待っていてくれた?
 いよいよ寒さも本番、本格的な冬の到来となりそうです。

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「成菩提院 寺宝展」講演会

 湖国滋賀、快晴の三連休でした。初日11/3文化の日から始まった我らが地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」。

 今回の会場は、お寺さまということもあり、午後から行われた講演会は、お座敷に椅子を並べた特別バージョンで聴講いたしました。ご挨拶された山口副住職からは、地元の方をはじめ、遠方からも多くの方々にお集まりいただいたこと、感謝の言葉が述べられました。

 講演会は、先ずは「成菩提院の歴史と文化」という演題で、成菩提院の檀家総代であり柏原宿歴史館の館長でもある谷口徹氏にお話しいただきました。 成菩提院の中興の祖・貞舜法印(じょうしゅんほういん)のお話や、寺宝展で展示されている戦国武将の禁制札(きんぜいふだ)についてのお話は、地域の歴史に深い係わりがある大変興味深い内容で、歴史を体感しているような気持になりました。

 

 続いて県文化財保護課(兼琵琶湖文化館)の古川史隆より「成菩提院の仏教美術」について、お話させていただきました。
 寺宝展では、重要文化財の不動明王二童子像を展示しておりますが、当館に寄託中で会場にお持ち出来なかった作品について、特に古川氏が滋賀県指定文化財の指定にかかわった3件の絵画が、詳しく紹介されました。成菩提院さまは天台寺院ですが、談義所(学問所)として長い歴史の中で、様々な宗派の作品が伝わっていることも、大変素晴らしいと思います。

 さて、N〇Kで放送中の大河ドラマも、いよいよ関ヶ原の合戦が舞台・・・。このタイミングで歴史上の登場人物たちが残したナマの歴史資料に触れられる、このたびの寺宝展。遠路はるばる関東からもお越しいただいているそうです。

歴史に思いを馳せて、心躍る旅を北の近江で!!

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いざっ北の近江へ!地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」

 明日「文化の日」の祝日を含めた3連休、皆さんはどのように過ごされますか?気候もいいですし、どこかにお出掛けしたくなりますよね~。行きましょうぜひ!北の近江へ!!
 琵琶湖文化館の地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」は、米原市の成菩提院(じょうぼだいいん)さまで開催です♪

 成菩提院は伝教大師が開基とされる天台宗の古刹で、所蔵される数々の仏教美術の素晴らしいことは勿論、今話題の徳川家康や歴史に名を馳せた戦国武将たちが宿営した記録や、「石田三成十三ヶ条成菩提院村掟書」が残る、由緒のあるお寺です。

(成菩提院)

 例年この時期に寺宝を公開しておられますが、今年は特に(!)、当館が全面協力を申し出て、この地域連携企画展が実現!明日3日14:00からは特別に講演会も予定されています。歴史と文化を堪能する1日をお過ごし下さい♪


    ・・・ここで、ハタと気付きました。石田三成・・・そうです! 11月になりました!

 滋賀県内のJR4駅で配られるあのカード!健康推進アプリBIWA-TEKU(ビワテク)を利用して駅の改札窓口でスマホ画面を提示した人に「近江ゆかりの武将カード」をプレゼントするあの企画[滋賀県提供]♪今月は石田三成も登場です!気になるラインナップはこちら↙

 おや?三成さんは彦根駅で配布されますか!・・・これは行かねば!寺宝展に行くため、電車にも乗りますよ~成菩提院はJR柏原駅から歩いて約5分ですよ~。よしっ!健康もゲットです!!

 おススメは、寺宝展に行く前に彦根駅に立ち寄って三成のカードを手に入れるコト♡ (※改札でBIWA-TEKUアプリの画面を提示するだけで貰えます♪) 会場に着いたら、武将カードのイラストを見つつ「三成が書いたか!掟書き!!」と、イメージを膨らませるコト♡♡

 文字には性格が表れると言いますよね~?!さてさて、その印象は?納得?意外? イラストを作っていて思ったのは、目の表情がなかなかに鋭い几帳面そうなお顔だな・・・ってことかしら?
・・・おやおやこれは、マニアックな歴史の楽しみ方をご提案していまいましたよ、おほほ♪
 それでは皆さま、ぜひ“北の近江”で会いましょう~~~。。。

※「成菩提院 寺宝展」は、滋賀県が取り組む「北の近江振興プロジェクト」の一環として開催します。

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高校で「文化財を考える」授業をしています!

 琵琶湖文化館の学芸員が、みなさまに向けてお話しする機会は、打出のコヅチやギャラリートークもありますが、実はこんなところでも、お話しさせていただいてます♪というご紹介です。

秋晴れの膳所高校

 大津市にあります県立膳所高等学校、1年生の芸術科(美術選択)にて、文化財に関する授業をしております。新人の岩﨑学芸員も教壇に立ってきましたよ〜!

 お話は2本立て。最初は「文化財と文化財保護法」。文化財の様々なジャンルや、文化財をなぜ保存・活用していかなければならないのか?ということを説明していきます。2本目は琵琶湖文化館について。これまでの琵琶湖文化館と、令和9年度オープンを目指している新しい琵琶湖文化館のご紹介をしました。

キンチョー気味の岩﨑学芸員

 文化財の授業は全5回で、今回は2回目です。これから高校生に、文化財の活用のアイデアを考えてもらいます!

 内容を変えつつ令和元年度から毎年実施させていただいている授業ですが、高校生のアイデアはいつも楽しく、琵琶湖文化館のこれからの事業の参考にもしています。

 そしてあわよくば…、この文化財を考える授業をもっと広げていけたらと思いますので、我こそはという先生がいらっしゃいましたら、琵琶湖文化館または県庁文化財保護課 文化財活用推進・新文化館開設準備室(077-528-4681)までお問い合わせください!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第5回 1つの仏像から・・・

 爽やかな秋晴れに恵まれた10月26日木曜日、開催しました滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第5回!今回は「秘仏 正福寺大日如来坐像と湖南・甲賀地域の仏像」と題し、当館の和澄主任学芸員が講師を務めさせていただきました。

 「文献資料が残っていない中で、ほとけさまから分かることがあるのですね」。こちらはアンケートにご記入いただいた参加者の感想です。
・・・まさしく!!講師も申しておりました。「今回、秘仏である大日如来さまにお出ましいただき、つぶさに拝見させていただく機会を得たことで、いろいろと見えてきたことがあります」と・・・。

 本像は、筒形の宝冠にふっくらとした下膨れのお顔、細い三日月形の目に突き出した唇、厚みのある躯体や煌びやかな臂釧(腕輪)などの特徴から、十世紀後半に造られたと考えられています。 では何故、
浄土宗寺院である正福寺さまに天台宗で重視される大日如来が伝わったのか
 ・・・謎でしたよね~。
近隣の善水寺(天台宗)さまに伝わる薬師如来坐像・不動明王坐像と比較してみると
 ・・・良くわかりましたよね~。
天台宗の勢力拡大と、講師曰く「延暦寺工房」(?!)的な仏師集団の作例からの比較
 ・・・興味深かった~。
正福寺・善水寺がある湖南市岩根山周辺は、比叡山と麓の坂本の関係に似ていたのではないかという指摘
 ・・・当時の都市計画まで?!想像が膨らみました~。

 講座に参加された方も、講師の考察に「まさしくそうだったのでは?!」と、思われたのではないでしょうか。一体だけでは確証が持てなかったことが、様々な作例と比較することで紐解かれる千年の歴史、調査の醍醐味がここにあると講師は言います。それもこれも、古い時代のほとけさまが今に伝わっているからこその奇跡です。長い歴史の中には戦乱や自然災害もあったでしょうに、これだけ多くのほとけさまが滋賀に残されていることを、私たちは誇りに思っていい!そんなことを考えた、充実の、あっという間の90分でした。 参加の皆さんのご感想です↓。

「現場をよく考えて説明して頂いたので臨場感がありました。」
「これからお寺でほとけさまを拝むときにはよく見せていただこうと思う。仏像を作っていた地域やその影響力の及ぶ所についても知ることができて興味深いと思った。」
「正福寺さまの大日如来像、拝見に行きたい」

 そう!これで終わりではない!!第6回の打出のコヅチでは、座学会場を抜け出し、展示会場での『特別鑑賞会』を実施します!本日朝8:30より電話受付を開始しました。が、募集40名のところを、アッという間に定員に達してしまいました!皆さんの熱意に感謝♡。
 残念ながら電話が間に合わなかったという方、大丈夫です。この座学に参加した方もそうでない方も、充分にほとけさまの魅力を堪能していただける展示となっております!ぜひお出掛けください♪

 ところでワタクシ、気になっているのでございますヨ。大日如来さまのお顔の特徴=ふっくら丸みのある下膨れのお顔に、(チュッと)突き出したような唇・・・ここここれは、当館のマスコットキャラクター:あきつ君もこの系統を引き継いで・・・いるのでは?・・・う~ん、ダイタンな考察・・・♥

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 質問回答②

 9月28日、文化財講座:第4回「新県指定 弘誓寺本堂と近江の浄土宗建築」に参加された皆さん、お待たせいたしました~!アンケートにご記入いただきました、皆さんからのご質問について、その回答第2弾! 滋賀県文化財保護課建造物係さんが、めいっぱい(!!)ご協力くださいましたので、ご紹介します~♪

建築と石造美術、建築と庭園とのかかわりがあると思いますので教えてほしいです。本尊の向きや庫裏との位置関係のかかわりなど教えてほしいです。

庭園については、来客をもてなす庫裏の座敷に面して回遊式庭園が設けられています。石造物は、境内の主なものは、墓所に中世の宝篋印塔(供養塔)が一基ありますが、本堂や庫裏、その他の建造物とは明確な関わりは無いようです。
本堂および本尊は、共に西方浄土を向いており、ほぼ西面しています。庫裏と本堂は、境内の敷地形状から、ほぼ南北に横並びしています。

本堂内の間取りがなぜそうなのか。経文上或いは儀式上の必然があるのか

内陣の後門形式および凸型の平面構成については、先に回答した、本堂内で本尊の後ろを通り本尊の前を大きく回る礼拝方法があること、外陣の凹型の平面については、礼拝の際に、内陣正面部分と内陣両脇の脇陣とは、僧侶や縁者・参拝者等に着座する場所に決まりがあり、そうした浄土宗の礼拝(儀式)に適した平面構成(間取り)が、次第に出来上がったものと考えられます。

近江七弘誓寺で一番古いのはどのお寺?

近江七弘誓寺の各建立年代について、郡誌、市町村誌等を確認しましたが、建立年が不明のお寺もあり、明確に建立年代を並べてここが一番古いと断言するのは難しいようです。講義資料では那須与一の7人の子供が近江七弘誓寺を建立したとありますが、実際は那須与一が活躍した平安時代末よりも、後の江戸時代に建立された所も散見され、あくまで伝承の域を超えないのかもしれません。ただ「弘誓寺由緒書」によれば現在の東近江市瓜生津に那須与一の末孫の愚咄が弘誓寺を開いた後に移転、分立等で他の弘誓寺が建立されたようで、そこから考えると瓜生津の弘誓寺が最も古いと推察されます。

 いかがでしたか?皆さんの疑問や謎は解けましたか?実は、産休に入られた講師の代わりに、講師が所属する県文化財保護課建築係の方々が、「係として真剣にお答えしたい」と、追加の現地取材や資料調査を行うなどしてご対応下さいました。講師を務められた伊藤静香氏のお人柄(♪)と、建築係の皆さんのチームワークがあったからこそ成り立った、今回の【質疑応答全8問】でございました。ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。本当に有り難うございました!

 皆さんの「学びたい」&「応えたい」の気持ちに影響されたコヅチ事務局・・・うずうず・・・結果、湖東を駆け巡り↓↓近江七弘誓寺を制覇してまいりました!ご利益ありそうな予感♡

※但し(!!)建造物の写真は“曇り”の日に撮る方が写りがいい!のだそうです・・・しくじった。。〔もう少し大きな画像で見たい人は➡ コチラ

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注目の、気になる武将

 皆さんのお気に入りの“武将”は誰ですか?
・・・というような質問を毎月しているような気がします(笑)。 電車と徒歩でお城をめぐって健康しが!JR駅の改札口で、BIWA-TEKUアプリの画面を提示した人に、近江ゆかりの武将カードをプレゼントする、あの企画♡[滋賀県提供]です。

 5月から始まり、今月で早6回目。皆さんどれくらいカードを集められたかな~?うっかり10月のラインナップをお知らせしていませんでしたが、巷でウワサの“あの方”が、満を持してのご登場ですよ!?

 おやおやこれは、偶然にも黒服姿(?)のナイスミドルがお揃いです。血気盛んな若武者は、一人違う方を向いておられますが(笑)。これらの武将が、滋賀・近江とどのような関係があったのか、実に気になるところです。その答えは、カードにいろいろ詳しく書いてありますので、ぜひ手に入れて熟読してくださいね。

 ところで、文化館として、今、断然、気になっているのは・・・ モチロン“この方”デス。その理由はお分かり?ですね??ほらほら、このチラシ↓にも、気になるお姿が載っている・・・。

〔ちらしPDF↑ダウンロード〕

 そうです!琵琶湖文化館地域連携企画展成菩提院 寺宝展」! 米原市にある古刹・成菩提院と連携した本展では、今期のN〇K大河ドラマでも注目される徳川家康や、話題の戦国武将に焦点を当てた寺宝が公開されます! その中には家康サマのお姿も・・・。あれ?よく見るとちょっぴり面影が違う?なぜだろう・・・。

 気になる方は、ぜひ10月中に武将カードをゲットして(武将カードは月替わり!)、11月3日から始まる寺宝展にお越しください。この秋はお楽しみがいっぱいです♪

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ギャラリートーク 皆さんの反応に手応え♡

 現在、滋賀県立美術館で開催中の「千年の秘仏と近江の情景」展。18日には美術館と文化館、双方の担当学芸員によるギャラリートークが実施されました♪感想は?いかがでしたか??
 皆さんとても熱心に耳を傾けてくださり、講師の一人を務めた当館の和澄学芸員は、「いやぁ話し甲斐のある皆さんでした」と大層喜び、本展開催の手応えを感じつつ、笑顔で帰ってまいりましたヨ(笑)。
 ご参加いただきました皆さま、誠に有り難うございました~♡♡♡

 本展では、湖南市・正福寺さまの秘仏本尊:大日如来坐像(重文)が33年ぶりに、しかも寺外で初めて公開されており、間近に拝見する機会に恵まれた、またとない展覧会(!)として話題を呼んでいます。

 と同時に、会場では善水寺さまの不動明王坐像(重文)も、特別に展示しています。ギャラリートークにお越しいただいた皆さんには、この二像を同時に展示したその“意図”が、十分に伝わったのではないかと思っています。それは共通項なのか、違いなのか。二つの像を間近に見比べることで、皆さまに理解し納得していただける、「素敵な発見」につながるのではないか、と期待しています。

 今回、聞き逃した!という方・・・大丈夫、まだチャンスがあります。当館主催の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」にご参加ください! 
 ★先ずは座学でじっくり予習↓
  第5回:10/26(木)「秘仏 正福寺大日如来坐像と湖南・甲賀地域の仏像」
  →申込受付中!定員140名〔残りわずかとなっています!お急ぎください!!
 ★★会場で解説付きの鑑賞会↓
  第6回:11/16(木)「千年の秘仏と近江の情景」展を楽しむ」
  →申込は10/27(金)午前8:30から電話にて受付開始/定員40名〔電話殺到の予感?!!〕

 このダブルチャンスにも、どうしても都合がつかずに参加できないという方、大丈夫、会場には解説パネルをご用意してございます♪それを読んだ方はおそらく・・・二像の間を行ったり来たり・・・3往復はすることになるでしょう!(笑)!
 ぜひご自分の目で、お確かめください!!

 あぁっ!あれも言いたいコレも言いたい!(こっそり心の中で観音シスターズと呼んでいる)十一面観音さまのコトとか、会場にぐるりと展示されている絵画作品のコトとか、いろいろ言いたい!でも、やはりこれは、皆さんにご覧いただいてから・・・ということで!♪!

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10月18日 ギャラリートークあります♪

 

 皆さんもうご覧いただけましたか?滋賀県立美術館で開催中の地域連携企画展「千年の秘仏と近江の情景」。本堂の建て替えに伴い、湖南市/正福寺さまから当館にご寄託いただいている秘仏本尊・大日如来坐像が、寺外で初公開(!)となっている、今一番注目すべき(!!)展覧会です♪こんなチャンスめったにない!!!

 しかも明日、18日(水)14:00から、当館と県立美術館の学芸員が展示室で作品のみどころを紹介するギャラリートークが開催されます!じっくり一人で鑑賞するのも“ツウ”な見方ですが、解説を聞くことでさらに理解が深まり、新たな発見がきっとありますヨ!?!会場で皆さんに「へぇ~」「ほぉ~」「知らんかったわ」と言われ[せ]たい!(笑)!

 事前申し込み不要ですので、ぜひお気軽にご参加くださ~い!

※滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第6回(11/16)でも、解説付鑑賞会を予定していますが、こちらは定員40名さま限定となっていますので、ご注意クダサイ。

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県民フォーラムⅢ「「北の近江」の仏像の魅力」開催しました!

 10月に入り秋めいてきた10月9日(月・祝)、新しい琵琶湖文化館に関する県民フォーラムを開催いたしました。ご参加いただきました皆さま、どうもありがとうございました!

 今回の県民フォーラムは、東京方面にお住まいの方々にも新しい琵琶湖文化館のことを知っていただきたい!という思いから、メイン会場を東京に所在する滋賀の情報発信拠点(いわゆるアンテナショップ)の、ここ滋賀に設定。参加者の皆さまの後ろから撮影し、これをサテライト会場のコラボしが21へ配信しました。

 本来はレストランである会場の、ランチ営業とディナー営業の隙間をぬっての開催のため、時間が1時間といつもより短くはありましたが、その短い時間の中に、ぎゅっと詰まったお話をいただけました。何が詰まっているかというと・・・愛♡デス。

 終始、滋賀県への愛、仏像への愛、そして当館への愛が感じられるお話をいただきました。講師の西木さんは守山市出身。小さいころから当館に来ていただいており、大きな鯉(コイ)の水槽の前で撮ったカワイイ♡写真も見せていただけました(しかし写っている子どもちゃんは、西木さんのお兄さんとのこと)。
 そして当館の和澄主任学芸員と交わす、滋賀県の仏像彫刻の深いお話。豊富な写真をお見せしつつ、「北の近江」の仏像の成立背景について、比叡山との関係や、古代国家との関係を語られ、なぜこんなに「北の近江」の仏像は魅力的なのか?その理由をお示しいただきました。

講師の西木さん

 最後に西木さんから、新しい琵琶湖文化館の展覧会について、

 ①県内のそれぞれの地域に関する展覧会を、色々な切り口で
  おこなってほしい!
 ②家族で楽しめる展覧会を開催してほしい!

この二つのご期待をいただきました。昨年の県民フォーラムでも、関係するお話も出ましたし、ぜひ新しい琵琶湖文化館で取り組んでいけたらと思います!

 終了後のアンケートには、たくさんのご感想、ご意見、ご提案をいただきまして、ありがとうございました。皆さんが新しい琵琶湖文化館に大きな期待を持たれていると感じ、今後の参考とさせていただきます。また、アンケートは後日集計して公開いたしますので、ご覧いただければ幸いです。

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【速報!】千年の秘仏と近江の情景展

 明日、10月7日から滋賀県立美術館で始まる地域連携企画展「千年の秘仏と近江の情景」。皆さんのお待ちかねですね♡

 開催直前、準備万端整った会場では、関係者の皆さんや報道機関の方々をお招きし、内覧会が催されました。会場の様子を【速報!】で皆さんにお届けします!

 先ずは紹介させてください。左が当館の和澄浩介主任学芸員、お隣が県立美術館の山口真有香主任学芸員です。この二人が居なかったらこの展覧会は開催できなかったと言っても過言ではない!本展の立役者のお二人です。(拍手~!!)それぞれの立場から、本展を開催することが出来た喜び、感謝の気持ちを皆さんにお伝えさせていただきました。

 そして作品が展示されている会場に場所を移し、作品の特徴・見どころなどを説明させていただきました。皆さん気付かれましたか?今回の展示では、仏像を360度の全方向から鑑賞できる形で展示されています。ほとけさまに刻まれた衣文や、胸元に飾られたきらびやかな装飾まで、間近に細部にわたってご覧いただくことができます。千年の歴史を超えて初めて、秘仏をお寺の外で見られる貴重な機会です。皆さまぜひご来場くださいませ!

 展覧会は、大津市瀬田/びわこ文化公園内)滋賀県立美術館にて、11月19日までの開催です。この秋、千年の秘仏とともに近江の豊かな歴史を、感じてください♪

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 質問回答①

 9月28日、文化財講座:第4回「新県指定 弘誓寺本堂と近江の浄土宗建築」に参加された皆さま、お待たせいたしました!当日アンケートに記入された質問内容について、滋賀県文化財保護課建造物係さんが、回答にご協力くださいました(!感謝!)。
 さてさて、皆さんの気になるご質問は?その回答とは?コチラっ↓↓↓

浄土宗、浄土真宗の中世の遺構が全国的にほとんどないのはなぜでしょうか。

確かにそのような傾向はあるかと思いますが、県として明確に確認してはいません。もしあるとすれば、理由として次のようなことが考えられます。
 浄土宗、浄土真宗ともに鎌倉時代以降に興った新しい宗派で、主に一般庶民を対象とする宗派でもあったことから、滋賀県内であれば、中世にはまだ正式な寺院を構えるのではなく、地域の有力者の住居等を活動の場とすることが多かったと考えられ、たとえば天台宗のように、中世には既に大規模な構えの寺院を多く建立していた宗派と比較すると、建立された建造物の数や規模が異なることが理由の一つとして考えられます。

五箇荘金堂町の国指定重文弘誓寺と今回講座の弘誓寺とは建物の特徴や古い資料が多数残っている点は似ている。今回講座の弘誓寺も国指定重文になるよう働きかけをされるのでしょうか。

県内には他にも優れた建造物が多数所在しており、今回県指定となった弘誓寺本堂についても、それらと共に、機会を見て文化庁へ情報の提供を行っていきたいと考えています。

 

三つ並び仏壇形式から後門形式へと変化していった理由がもう少し詳しく知りたいです。

 

現在の浄土宗においては、本堂内で、本尊の後ろを通りながら内陣を回る礼拝があります。また僧侶の内陣への出仕は、外陣もしくは脇間からではなく、本尊の後ろからの出仕であり、こうした礼拝や儀式の方法の変化が、仏壇形式の変化に影響したことが考えられます。

 

後陣は何のためにできたのですか(使用目的は?)。

 

中世の本堂に見られる後陣は、元々は、内陣での宗教儀式の際に使用する仏具や什宝物等を保管したり、住職等が準備を行うために使われていたと考えられますが、後には、後陣にも仏像を安置し、宗教的空間として、内陣を補完する用途に用いられるようになったのではないかと考えられます。

 

宮殿を「くうでん」と読むのは宗教建築だから?

 

「宮殿」は神社本殿に多く用いられる名称ですが、その場合でも読み方は「くうでん」です。寺院では「厨子」を用いることが多いのですが、弘誓寺では「宮殿」とし「くうでん」と呼んでいるため、今回の指定に当たっては弘誓寺での呼称に従っています。

 素晴らしい!皆さんの勉強意欲がすばらしい!答えも分かりやすくてスバラシイ!皆さんの質問から更に理解が深まり、知識が増えて得した気分♡です♪有り難うございました!!

 おや?まだ質問が紹介されていない方が?いらっしゃる??
 ご安心ください!残りの質問はもう少しお時間をいただいて、 改めて紹介させていただきま~す!お楽しみに♪♪♪

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