日別アーカイブ: 2024年3月11日

新視点満載のギャラリートーク①

 現在開催中の地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・修復・復元-」。展示は一人で見るのもいいですが、詳しい解説を聞いて改めて作品を見ると、何倍もの発見と驚きがあります。3月9日(土)に行われた関連講座とギャラリートークは、まさにそのような機会となりました。今日は少しだけその様子をご紹介しましょう。会場である 安土城考古博物館での案内人は、本展の担当:安土城考古博物館の大道和人学芸員(考古)と、当館の岩﨑里水学芸員(保存科学)です。

 先ず展示室に入って右側のゾーンを解説するのは、岩﨑学芸員です。目を引く屏風や掛軸、精緻に描かれた作品に思わず見入ってしまいますが、実は本展の見どころは作品だけではありません。その“前”に置かれた「修理」に関するある“モノ”にも注目していただきたく・・・。
 
 例えばこちら、仙人図屏風の解体修理で出てきたモノですが・・・岩﨑学芸員が手にするクリップボードに何か書かれていますね?分かります??

  なんと!屏風の下から、屏風に直接関係のない(!)看板の下絵や、滋賀県内の地名が書かれた紙、落書きの鳥(よく見ると可愛い?!)などなど、様々な「下貼り文書」 が出てきました!
 屏風を仕立てるときや修理をするときには、たくさんの紙が必要です。紙が貴重であった時代には、一度使われ文字などが書かれた紙も、屏風の内側に使われました。博物館では、このような文書類も貴重な資料として、作品とともに後世に引き継ぎます。

 この他にも修理銘が書かれた古い部材や表具裂、作品の裏に貼られた肌裏紙に至るまで、大切にとっておきます。「文化財を継ぐ」時、いつどのような方法で修理されてきたのかという情報が、重要になるためで、「これらも普段は皆さんにご覧いただくことのない重要な博物館活動の一つ」であると岩﨑学芸員は説明されました。

 また、文化財の「複製」「復元」も本展の大切なキーワードです。作品を食い入るように見比べる参加の皆さん、違いを見つけようと必死です(笑)。時としてこれらの作品には「オリジナルと同じくらいに伝わる情報がある」という岩﨑学芸員の言葉が印象的でした。経年とともに劣化するオリジナルの情報を今にとどめるという意味では、代替品はむしろ後世にとってはかけがえのない文化財となり得る代物です。博物館では保存と活用のバランスをとりつつ、いかに皆さんに情報を伝えていくか、学芸員の腕の見せ所でもありますね。

 おっと残念!本日のブログ、ここで字数制限に達してしまいました。アレ?大道学芸員の登場は??続きはまた後日ということで!
 普段はただ「きれい、すごい」とだけ思ってみている文化財にも、その背景には多くの人の努力と思いが詰まっています。一つ一つの文化財がこれまで歩んできた道のり、そしてこれから歩んでいく道のりが伝わる、とても興味深い展示となっています。ぜひ会場で実物をご覧ください。

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