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滋賀県に新たな指定文化財・誕生!

 今日も・うれしいニュースが飛び込んできました!本日、令和6年3月19日、有形文化財5件(絵画1件、彫刻1件、工芸品1件、歴史資料1件、考古資料1件)、史跡1件が、新たに滋賀県指定の文化財等になりました!

絹本著色六道絵 中谷求馬筆
 天道幅に白雲洞貞幹行年七十六歳写の款記がある
  15幅 [大津市・聖衆来迎寺所有/琵琶湖文化館寄託]
木造神像 (男神坐像1 女神像1 女神坐像1 女神坐像1)
  4躯 [甲賀市甲南町・矢川神社所有]
金銅七宝装神輿 1基 [長浜市・常喜町所有]
成菩提院制札 4枚 [米原市・成菩提院所有]
  一、永禄十一年八月日織田信長 禁制1枚
  一、天正十年十二月日丹羽長秀・ 羽柴秀吉連署禁制1枚
  一、慶長五年九月日小早川秀秋禁制 1枚
  一、慶長五年九月日小早川秀秋禁 制案 1枚
   附、禁札箱(元禄十三庚辰秊三月吉祥日の銘がある)一合
春日北窯跡出土品 1,627点 [滋賀県所有]
春日北窯跡(甲賀市水口町) 1件 [滋賀県所有]

以上の6件です!!いやぁおめでたい!! 何をこんなにコーフンしているのかと言いますと・・・当館にも少なからずご縁のある品が2件・・・新たに指定されております~。お気付きですか?

 先ず一つ目は、六道絵。聖衆来迎寺さまから当館にご寄託いただいております。こちらは同寺に伝来する国宝・六道絵15 幅の模本(もほん:模写して作ったもの)ですが、江戸時代後期の文政6 年(1823)に近江国坂田郡今村(現長浜市今町)出身の絵師、中谷求馬(なかたに もとめ:1748~1832)によって描かれました。当館では国宝・六道絵と区別して「文政本」と呼んでいます。

滋賀県指定有形文化財 六道絵  [ 聖衆来迎寺所有] (写真提供:滋賀県)
【⤴クリックすると琵琶湖文化館の収蔵品紹介にリンクします】 

 ここで皆さんに思い出していただきたいのが、先日のギャラリートークでの一コマです。会場で、当館の岩﨑学芸員は言いました。複製された作品には、時として「オリジナル(原本)と同じくらいに伝わる情報がある」と〔3/11付けブログ〕 。

 経年とともに劣化するオリジナルの情報を今にとどめるという意味では、代替品はむしろ後世にとってはかけがえのない文化財となり得る・・・あの時、“何か”を必死に伝えようとした学芸員の表情・・・まさしく!この度の新指定のことではないでしょうか??!我らが学芸員、見事な伏線回収(!)でゴザイマス(笑)。 
 皆さま、模本をモホンと侮るなかれ・です!!本図は、原本のきわめて正確な模本であり、原本で確認し難い図様を把握することができる絶好の資料として評価されました。

「成菩提院 寺宝展」ちらし
(制札:写真右下)

 そして、もう一つは成菩提院制札です。そう、昨年11月に実施した地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」の会場でも展示されていた制札です。講演会では、柏原宿歴史館の谷口徹氏に詳しくお話をうかがいましたね〔11/6付けブログ〕。織田信長や丹羽長秀、羽柴秀吉、小早川秀秋らの花押が鮮明に残っていたあの制札。県内では、紙に書かれた古文書の「禁制」は相当数存在するものの、木札の形で保管され、かつ保存状態の良い中世の「制札」はめずらしく、戦乱に巻き込まれた戦国期近江の歴史を力強く語る歴史資料として、このたび指定されました。

 ご縁のあった作品の価値が改めて再認識される喜び♡滋賀県の、滋賀県らしさが際立つ新指定文化財でございます♪

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