日別アーカイブ: 2025年11月10日
朝ドラ「ばけばけ」に見る三井寺と籠手田安定

前回に引き続き、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の話題です♪
11月10日の第31話では、ついに髙石あかりさん演じるトキが、トミー・バストウさん演じるヘブン先生の女中になり、これからトキはどうなるのか!?とドキドキする展開。前金払いなのか早速20円という高給を得たトキは、板垣李光人さん演じる三之丞にお金を渡します。

このトキと三之丞のシーン!お気づきになった方もいるかもしれませんが、ロケ地は三井寺です!!滋賀ロケーションオフィスのHPもチェックしてくださいね。三井寺の三重塔の下の橋、趣ありますよね~。
さて、三井寺には、前回ご紹介した第2代滋賀県令・籠手田安定の顕彰碑があります。金堂のすぐ近く、3メートル以上もある大きな石碑です。明治35年(1902)3月に建立され、上部には「籠手田君頌徳之碑」と題され、16行にわたり滋賀県令・知事としての徳政をたたえています。
籠手田が島根県知事時代にラフカディオ・ハーンを招いたことに通じる滋賀での経験には、初代県令・松田道之のもと大津県大参事に就いていた際に、大津欧学校を設立したことがあります。

欧学校は明治5年(1872)に開校。滋賀県教育近代化のさきがけとなり、外国人講師を招聘し、英語を基礎としたフランス語・ドイツ語・オランダ語での語学教育を行いました。一般教養としてヨーロッパの普通科目を教え、実用専門科目としての商業等を教える男女共学の学校でした。校舎は現在の大津市中央二丁目にあたる場所。琵琶湖上交通の要衝の地としてにぎわう浜大津の蔵屋敷を借用したといいます。
滋賀での経験があり、島根でも近代教育を推進した籠手田。朝ドラでは佐野史郎さんが島根県知事を演じていますが、島根を一流の県にするために情熱を燃やす一方で、ちょっと利己的にも見える人物に描かれています。実際はどんな人物だったのでしょうか?
一説によると、「籠手田が滋賀から島根に行ったのは、伊藤博文が更迭したから」とのこと・・・。そ、そうなんですか!?籠手田は景観が損なわれることや大津が京都に編入させられてしまうおそれから琵琶湖疏水に反対し、それにより元老院議官へと転出させられ、その1年後には島根県知事に就任。県民に寄り添った県政を行おうとしていた人のようです。

ちなみに籠手田の後任として第3代滋賀県知事に抜擢されたのは中井弘。中井の書も当館に収蔵されていますので、後日「収蔵品紹介」でご紹介予定です♪