日別アーカイブ: 2026年2月3日
滝川一益を応援したい、なにゆえに
皆さんはご覧になっていますか?NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で、織田家の重臣・滝川一益(演:猪塚健太)が登場しましたね。一益は伊勢、甲斐攻略などで活躍し、信長から上野国と信濃国の一部を与えられて関東方面の攻略を任されました。信長の天下統一戦争における重要部将として著名な人物です。

一方で、一益が近江国甲賀郡にルーツを持つことについては、意外と知られていません。
一益の直系子孫が江戸幕府に提出した系図によれば、一益は甲賀郡一宇野(櫟野)城主であった滝川一勝の次男とされています。別の子孫の伝えるところでは、甲賀に出自を有するが生まれたのは尾張国海西郡だともいわれるなど、諸説あるところです。

ただし本人が遺した複数の古文書に「大原滝川」と名乗っている例があり、それはみずからが「大原同名中」の一員だという認識を示しています。戦国期の日本で大小の在地領主層が地域の防衛と支配のために郡単位で結成した連合を「郡中惣」と呼び、近江甲賀郡の「甲賀郡中惣」はその典型例として知られます。「同名中」は郡中惣の下部にあって、在地領主層が自分と名字を同じくする同族や被官、百姓らを傘下に取り込んだ在地組織です。大原同名中は櫟野を含む大原庄の武士たちが結成したもので、一益が大原同名中および甲賀郡中惣へ宛てた書状の差出に「大原滝川一益」と署名するのは出自を強く意識しているからです。

写真は、かつて当館の副館長が撮影した個人蔵の滝川一益書状写です。年不詳7月4日付けのもので、天正2年(1574)から10年までの発給と考えられます。内容は(甲賀)郡中奉行に宛て、郡中で起きた喧嘩を強く非難し、御法度に任せて成敗することがもっともだと勧告しています。差出が「大原滝川一益」と書かれていることが重要で、江戸時代前期の写ではありますが一益の花押をまねた「花押影」も据えられています。一益のルーツが近江甲賀であったことを証拠立てる、貴重な史料です。

どうでしょう、皆さん。 滝川一益、応援したくなったでしょう?
誰もが知るほどの武将ではありませんし、「今回初めて名前を知った」という方もいらっしゃるかもしれません。地元としては「近江甲賀ゆかりの武将」というだけでも十分に“推し”なのですが、大河ドラマや『あきつブログ』をきっかけに、滝川一益とその活躍に注目していただければ幸いです。
ニンニン♪