月別アーカイブ: 4月 2016
春の特別一般公開
ゴールデンウィーク目前となりましたが、皆さんご予定はお決まりですか?どこに出掛けようかと考え中・・・という方に是非チェックしていただきたい、春の一般公開のご紹介です。
草津市にある芦浦観音寺さまでは、5月4日・5日に寺宝の特別公開が実施されます。拝観時間は午前10時から午後3時までです。通常の拝観には予約が必要ですが、この2日間は特別に草津市観光ボランティアガイドさんの案内付きで、鑑賞することができるそうですよ。
この日に合わせて文化館からも、お預かりしている寄託品の一時返却を行っております。
○滋賀県指定文化財 豊臣秀吉自筆北野湯茶道具目録
:天正15年(1587)10月に京都北野天満宮境内において豊臣秀吉が催した「北野大茶会」。開催にあたっては同年7月から準備が進められ、公家、大名、茶人だけでなく、若党、町人、百姓などにも参加が呼びかけられ、当日は1,000人以上の参会者があったとか。この目録は、10月2日の朝に四畳半の部屋を飾るための茶碗や茶入れなどの道具について記したものです。
○菊桐花紋蒔絵堺重
:三段重ねの重箱。外側と蓋に大ぶりな桐紋と菊紋があしらわれています。特に菊紋についてはバリエーションが豊かで華やかさが印象に残ります。
○蝶紋蒔絵花見弁当 ○菊花鳥蝶紋蒔絵銀造煙草盆、附 螺鈿煙管1本
○黒漆野立て茶道具茶釜、釜台付 ○翡翠棚飾り
○黒漆野立て茶道具、附 茶碗5口、夏茶碗2口、白磁茶碗2口
以上の7件です。個人的に僕の大好きな翡翠棚飾り(ご長寿と思わしき亀の背に、両手で包み込みたくなるような青の宝珠が細工されている)がご披露されますので、是非皆さんにもチェックしていただきたい!
今回の特別公開は、美しい細工が施された工芸品やお茶会に縁のあるものがセレクトされているようです。春のお出かけ、過去にタイムスリップしたような『雅』を堪能するのもいいものですよ~。
筆:あきつ
KAZARI展での出逢い
桜咲くお花見日和のとある休日、人出が多いのも覚悟の上でMIHO MUSEUMさんの展覧会を観に行ってきました。入口から展示会場の施設までは、上り坂で少し距離があるのですが、沿道には桜が植えられており、訪れた時にはドンピシャの満開状態。送迎用の電気自動車に乗りながら、ご一緒になった外人さんたちと「ワンダホ~」を連発しておりました。(帰りは下り坂なので歩こうと誓!)
そして桜で十分盛り上がった皆さんの本当のお目当ては、特別展「KAZARI かざり-信仰と祭のエネルギー-」です。当館の所蔵品も出展されていましたので、久々に展示会場で眺めたいな~と、僕も行ってみたわけです。
会場では大勢の人達がゆったりと鑑賞されており、大盛況となっていました。展示作品も県内はもとより県外からも多数出陳されており、素人ながらも見比べながら楽しんで展示を鑑賞することができました。また展示室内に滋賀にゆかりの風景がパネルやタペストリーで紹介されるなど、滋賀県らしさをイメージさせる表現が随所にあってとても良かったです。
・・・と、ここで一人、何だろう、何故だろう、何だか既視感が・・・。
その答えは数日後に判明しました。館に送られてくる情報誌「Duet」(サンライズ出版(株)発行)。滋賀の文化情報を届けてくれる情報誌なのですが、今回は「KAZARI」展の特集が組まれており、その中に平成22年に九州国立博物館で開催された「湖の国の名宝展」の図録が、今回の展示の構成を練る際のヒントになったと書かれているのですよ!!「湖の国の名宝展」、そうあれは琵琶湖文化館が休館になってから、初めて県外で行った珠玉の展覧会。。。学芸員ではない僕も写真フィルムのスキャンやチラシ作成のお手伝いをさせていただいた、とても思い出深い展覧会です。
そうかぁ、あの時の、なるほど既視感。こういった形で再会できるのも、なかなかに有り難い事でございます。
そしてまた後日、郵便が届きました。中身は「開館10周年記念 九州国立博物館史」のご寄贈です。そう言えば、名宝展を開催した時は開館5周年記念でした。あれから5年。。。月日が経つのは早いものでございます。
筆:あきつ
「打出のコヅチ」 ちらしが出来ました!
講座・イベントのコーナーでもすでにご案内しておりますが、毎年ご好評をいただいております滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。今年度も5月より開催いたします!
滋賀県には、国宝や重要文化財を含む多くの文化財がありますが、本講座では毎年、これらの文化財をめぐるホットな話題を皆さまに提供しております。
今年度は5回にわたって、新たに県指定となった文化財をはじめ、有形・無形のさまざまな、滋賀県ならではの文化財について、専門の職員と学芸員がわかりやすく解説します。
講座のちらしは県内の博物館・図書館等に置かせていただいておりますので、みなさまお立ち寄りの際にはぜひお手に取ってご覧下さいませ。
参加のお申込みは、
琵琶湖文化館(TEL: 077-522-8179 FAX:077-522-9634)まで。
では、今年度も多くの方のご参加をお待ち申し上げております!!
展覧会終了後の作業
新年度をむかえ、皆さまいかがお過ごしでしょうか。文化館のスタッフも新たな気持ちで業務に邁進しております。
そんな中、安土城考古博物館で開催されていました琵琶湖文化館収蔵品当別陳列「表現された神と仏」展が好評のうちに閉幕し、昨日作品が無事に文化館へ搬入されました。この日は朝から担当の学芸員さんが準備万端!に整えて待っていました。
そして作品の搬入後は、作品を念入りにチェックしていきます。この確認作業は毎回展覧会へ出陳する度に行われますが、大変重要な作業です。博物館は「文化財の保護と活用」の一環として展覧会を催しますが、実は文化財にとって「保護」と「活用」は相反する事でもあるのです。「活用」=「展示公開」するとどうしても文化財に負荷がかかってしまいます。しかし、だからといって文化財を傷めるわけにはいきません。そこで展覧会の際には、輸送や展示方法に様々な工夫をこらし、文化財を「保護」しつつ展示(「活用」)することが求められます。
作品については展覧会の前にあらかじめチェックし、展示に耐え得るのか、劣化箇所はあるのか、などの状態を細かく記録します。そして展覧会を終えて戻って来た作品を目視で確認します。人間の目で作品に変わったところや問題はないか、ということを入念に見ていきます。文化財は物を言いませんので、我々が観察して、「変化」に気付くことがなにより大切になります。そして当たり前のことですが、何も問題がないことを確認して、ようやく展覧会は無事に終了となります。
今回も一連のチェック作業を無事終え、担当学芸員さんは安堵の表情を浮かべていましたよ!
研究紀要第32号 発行しました
昨日の京都新聞さんの社説で、ふっと目に飛び込んできた「朝鮮通信使」の見出し。江戸時代に朝鮮王朝が日本に送った外交使節団:朝鮮通信使にまつわる関連資料を、ユネスコの世界記憶遺産に登録しようと、日韓の民間団体が共同で申請したという話題です。これらの資料が歴史的に意味があるのはもちろん、この試みが両国の市民交流から芽生えた共通の願いとして、現代的にもとても意義深いことだと語られています。
ちなみに3月末に行われた日韓共同申請には、なんと日本側のスタッフさんも韓国の釜山(プサン)に赴き、釜山の中央郵便局から、釜山の消印で、パリのユネスコ本部に申請書を発送された・・・とのことですよ。なんとも関係者方々のアツイ思いが伝わるエピソードですね。
あっ!皆さん!当館の『研究紀要第32号』発行!発行:済です!
・・・と、何をこんなに焦っているのかというと、今回の紀要には、ユネスコ世界記憶遺産として申請された関係資料の内の一つ、我らが琵琶湖文化館の朝鮮通信使!「琵琶湖図」のことについても触れているのです。内容をちょこっと紹介しますと、
【円山応震「琵琶湖図」の描写景観と構図について- 景観の同定とシーボルト『NIPPON』への構図流用 ―】
円山応震が描いた「琵琶湖図」と、シーボルトが著書『NIPPON』の中で示した挿図の「琵琶湖図」との比較から、新たな解釈が・・・特別寄稿によります。
【資料紹介 絹本著色春日赤童子像】
春日大社・興福寺における垂迹美術の一つとして南都を中心に制作された春日赤童子像。現在その作例は多くない中で、当館所蔵の春日赤童子像について紹介する。
【資料紹介 紙本淡彩日吉祭礼図】
全長約21mにもおよぶ当館所蔵の絵巻物「日吉祭礼図」。江戸時代における日吉山王祭の様相を詳しく読み解く。
(4月10日まで安土城考古博物館「表現された神と仏」展にて展示公開中)
などなど、その他平成27年度に行った館蔵品修理報告や活動報告も掲載しています。県内の図書館はもとより国会図書館や市町教育関係機関、博物館などにも送付しておりますので、気になる方は是非手に取ってご覧くださいませ。
筆:あきつ
戦国武将の法要
先日、旧湖北町の小谷寺さまで行われる法要のため、文化館がお預かりしている「浅井長政像」(滋賀県指定文化財)をお持ちするという出張に、学芸員さんと一緒に行かせていただきました。
・・・実は念願でした。いつも僕は文化館でお留守番。地元の方々が、どれほどこの法要を大切にし守り継いでおられるのか、毎年学芸員さんからお話しを聞いておりましたので、「一度僕もおうかがいしてみたい」と秘めた思いを抱いていたのです。念願叶ってこの日、出張のお供をさせていただくこととなりました。
地元では、朝から地元関係者の方々が集まり、敷地内にある小谷神社に参拝、その後小谷寺の本堂に移動して、厳かに法要が執り行われていました。小谷寺は浅井氏の祈願寺でもあったのです。
長政は、信長の妹であるお市を妻にめとりながらも信長に対立し戦い敗れて自害した戦国武将、激動の戦国時代を語る上で外すことのできない重要人物の一人です。お市との間に生まれた浅井三姉妹(茶々・初・江)の父君と言えば分かる方もいらっしゃるでしょうか?
法要の間、お傍に控えさせていただいておりましたが、ご住職が唱えられるお経の声と皆さんがご焼香される凛とした空気に、長政が歴史的に有名であること以上に、地元の皆さんにとっては特別な存在であることがうかがい知れました。それはこうして毎年法要を続けてこられている意味に繋がっているようにも思います。
さて、地元の皆さんにも喜んでいただけたし、無事お役目も果たせたのでさぁ帰ろうとしたその時に!突然目に飛び込んできたのがコレ!巨大な兜です!「大河ドラマ-江-放映記念」となっています。多くの方がこの兜の前で記念撮影されたのでしょうか(笑)。この日も県外ナンバーの車がたくさん停まってました。ここから歴史の舞台となった小谷城跡まで、徒歩でグルッと回れるそうですよ。行った時には桜の花が未だ2分咲き程度でしたが、今週には見頃を迎えていることでしょう。いい季節です。お出掛けしてみてはいかがですか?
・・・そう言えば今年の大河ドラマも戦国大名が活躍するお話。「やっぱり戦国は強い・・・」そんなことを話しながら帰途に着いた今回の出張でした。
筆:あきつ
ホームページ3月のアクセス数
文化館的恒例行事:今年も鉢植え桜の『お花見』シーズンがやってまいりました。まだかなまだかな~と気になり出してからが早かった!あれよあれよという間にほぼ満開です。命短し恋せよ乙女・・・大津市内のソメイヨシノもいい具合に咲いてきましたよ。
さてさて当館のホームページのアクセス数について、3月は1,424件のアクセスをいただきました。
情報としてはやはり・・・力を入れております琵琶湖文化館収蔵品展「表現された神と仏」をメインにいろいろとご紹介させていただきました。おかげさまで入館者数も順調に伸びているとの連絡もあり、関係者一同ホッと胸をなで下ろしております。
先日ギャラリートークの会場では、「こんな展覧会を新しい美術館でも開催して欲しいな」との嬉しいお言葉を頂戴し、一方でアンケートには「神仏習合がざっくり足早に解説されている感がある」などのご意見も頂戴し、いろんな反響に一喜一憂しておるところです。ご観覧いただいた皆さま、誠にありがとうございます。会期終了(4月10日)まであと少し、9日には当館学芸員が担当する関連講座も開催されますので、「未だ行っていない!」という方は、是非この機会に足をお運びくださいませ。
そういえば近頃、いろんな場面で「ブログ読んでるよ」「ホームページの更新が楽しみ」「頑張ってるね」などとお声かけをいただく機会が多く、少々照れくさい思いをしております(笑)。「いや、あれはあきつ君が勝手に喋りたがって文章を・・・」と、僕を名乗る僕??は取り繕っておりますが、、、えへへ。
ためになる・なるほどと思う・勉強になる:『賢い文章』は、学芸員さんが書いて下さいますので、僕は命拾いをしておりマス。
これからも、緩・急:諸々に浮城ホームページを運営していきますので、皆さまお付き合いの程、よろしくお願い致します。
筆:あきつ