月別アーカイブ: 6月 2016
彦根城博物館「琵琶湖文化館所蔵の名品」展終了しました
梅雨のうっとうしい日が続きますが、皆さま元気にお過ごしでしょうか。
さて、6月21日(火)をもちまして彦根城博物館で開催されていました「琵琶湖文化館所蔵の名品―彦根ゆかりの書画とやきもの―」展が終了いたしました。さわやかな5月下旬に始まり、約1か月間の展覧会で、12,951人の入館者があったとの報告を受けました。平年の同時期と比較しても300人ほど多かったそうです。多くの方々にご覧いただきまして、誠にありがとうございました!5月末に訪問させていただいた時も、大勢の来館者の方がいらっしゃり、会場が静かな熱気に包まれていたことを思い出します。
今回は彦根ゆかりの作品16点を展示していただきましたが、彦根出身の書家として名高い日下部鳴鶴の書が一堂に並ぶなど、目の肥えた地元の方々にもとても喜んでいただけたとのことでした。いずれもピカッと光る名品揃いであったと自負しております!
そして本日、作品が無事に文化館に帰ってまいりました。彦根城博物館の学芸員の方はもとより、美術輸送専門業者の協力の下、搬入・開梱・点検作業もつつがなく終えることができました。展覧会の大小に関わらず、返却作業を終えるまでが「展覧会」であり、作品が良好な状態であることが確認されると本当にホッとします。
展覧会を通じて作品を多くの方にご覧いただくことが、博物館の使命であり、なによりの喜びでもあります。今回の展覧会に足をお運びいただきました方々、また開催いただきました彦根城博物館の関係者の皆さま方に心からの感謝を申し上げます。
安定した収蔵環境のために
琵琶湖文化館では、文化財の安定した収蔵環境を維持するために、日常的な温湿度管理や清掃に加え、生物用インジケーターによる調査や、空中浮遊真菌を把握するためのモニタリング等を定期的に実施しています(写真は空中浮遊真菌調査の様子です)。さらに年に数回、収蔵庫等では、長い時間をかけて施設内燻蒸を実施しています。梅雨の時期は、文化財の大敵であるムシやカビが発生しやすい時期です。このため、先日も予防措置として、施設内燻蒸を行いました。
安定した収蔵環境を維持するためには、普段から収蔵庫の環境や各収蔵品の置かれた状況を、つぶさに観察、監視することが大切です。そしてこれらの蓄積されたデータを分析・把握し、適切な収蔵環境の維持のため、季節に応じた最善の対策を講じるが必要あるのです。
休館後も県内社寺様からのご寄託品など、収蔵品が増加している当館では、安定した収蔵環境の維持がますます欠かせないものとなっています。かけがえのない「近江の至宝」を次世代に引き継ぐため、絶えることないケアが続きます。
平成28年度「打出のコヅチ」第2回が開催されました!
2016年6月16日(木)、海の向こうではイチロー選手が、日米通算4257安打という記録を作り出しましたが、こちら滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」では、参加者が126名という過去最多記録を更新致しました!
梅雨に入り、朝からの雨で足元が悪いにもかかわらず、このように多くの方々にご参加いただき、本当に嬉しく思っております。皆様どうもありがとうございました。
「打出のコヅチ」第2回は、松下浩氏(滋賀県教育委員会文化財保護課)を講師にお迎えして、「信長文書の世界」というテーマでお話いただきました。
織田信長というと、古いしきたりや秩序にはとらわれず、新しい時代を切り開いた革命児といったイメージが定着していますね。ところが、信長が発給した文書(手紙など)を丁寧に見ていくと、書札礼(しょさつれい)という当時の文書の書き方のルールに厳格に従い、敬うべき相手かそうでないかによって、使う紙や書き止めの文言、日付の書き方、宛名の位置などを微妙に変えていた・・・つまり、既成の習慣・概念をことごとく打ち破るのではなく、相手方と認識を共有できる、従来からの枠組みの中で、意思の疎通を図ろうとしていたことがわかる、というのです。
さらに、そのことを踏まえると、文書に記された「麟」の花押(信長のサイン)と、有名な「天下布武」の印章について、「天下布武」というのは日本全国を統一するという意味ではなく、室町幕府の再興を目指しただけで、「麟」の花押も信長ではなく、足利義昭を指すのだと考えられる、という新たな説も紹介されました。
崩し字で書かれた古文書は、初心者にはとっつきにくいものではありますが、スクリーンに大きく映し出された文書を前に、細部にわたる丁寧な解説をしていただくと、まるでそこに信長が居て、「小早川様には斐紙(ひし:上質な紙)っぽいのでなければ」「兼松は朱印にして・・・」などと言いながら、右筆(代筆する人)に書かせている様子が思い浮かんだりして。。。そして、信長がこれほどまでにしきたりを重んじる人物であったことは、実に意外で、また驚かされることでもありました。
その後、参加された方々からは、「朱印と黒印は使い分けられていたのか?」「信長はいつから天下統一を目指したのか?」「(実際に文書を書いた)右筆は何人いたのか?」など、ご質問が相次いだのですが、質疑応答を続けるうちにとうとう時間切れ。すべてのご質問をお伺いしきれなかったのがとても残念で、申し訳なく思っております。
さて、次回の「打出のコヅチ」は、7月14日(木)、「近江の神仏習合-琵琶湖文化館収蔵品を中心に-」というテーマで、当館学芸員・渡邊勇祐が講師を務めさせていただきます。ただ今、参加申込受付中!まだお済みでない方は、どうぞお早目にお申込み下さい!
お申込みはお済みでしょうか?「打出のコヅチ」第2回
滋賀県にゆかりのある歴史上の人物のうち、織田信長は最も有名で人気のある人物の一人と言ってよいでしょう。
16日(木)に行います平成28年度滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第2回目は、講師に松下浩さん(滋賀県教育委員会文化財保護課)をお迎えしての「信長文書の世界」と題するお話です。松下さんは、長年、安土城の調査研究に携わってこられた、信長研究の第一人者でいらっしゃいます。
信長と言えば、古いものを破壊しつくし、次々に新しい政策を推し進めた「革命児」というイメージをお持ちではないでしょうか?でも、そのイメージは確かな根拠に基づいたものなのか?今回の講座では、信長自らが書いた手紙を題材に、その書き方や紙の選び方などを通して、信長の真の姿に迫る!ということです。
奇しくも6月は信長の祥月(命日のある月)。残された史料の語ることに耳を傾け、生前の姿を偲ぶにはよい時季ではないでしょうか。
講座のお申込みは、
滋賀県立琵琶湖文化館(TEL 077-522-8179/FAX 077-522-9634/
メールbiwakobunkakan@yacht.ocn.jp)まで。
①お名前、②お住まいの市町名、③連絡先(電話番号)、④参加回、
⑤講座のことを何で知ったかを、お知らせ下さい。
さて余談ですが、「明智左馬之助の湖水渡り」ってご存知ですか?本能寺の変で信長を討った明智光秀の娘婿、明智左馬之助(秀満)は、山崎合戦で光秀が敗走したことを知り、急ぎ安土から京へ向かいました。ところが途中、大津で追い詰められ、そのまま馬に乗り琵琶湖を渡って、坂本城まで逃れたそう。で、その大津というのが、実は文化館のすぐ前の浜なのです。
講座会場のコラボしが21からは徒歩1分。今はそこに石碑が建っていますので、帰りに少し足を延ばしてみて、戦国の時代に思いを馳せてみるのもおすすめです。
では皆さま、16日(木)13:30から、コラボしが21 3階大会議室 でお待ちしております!
僕たちも応援しています
熊本・大分地震からまもなく2ヶ月が経とうとしていますが、被災された皆さまには、心からお見舞い申し上げます。
先日の新聞記事に、熊本県のPRキャラクター「くまモン」と彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」が、被災地の皆さんを元気づけたという記事が載っていました。
彦根市さんには現在琵琶湖文化館の所蔵品を展示していただいていますし、会場でひこにゃんにもお目にかかれたので、ついつい記事に目がいったのですが、くまモンとひこにゃんが並んで写っている写真を見ると、ナゼ僕「あきつ君」もそこにいなかったのか・・・と。一緒に並んで皆さんを激励したかったな・・・と。いやいや知名度が・・・そもそも着ぐるみもない・・・ならば妄想するしかない・・・と、夢のコラボを「夢」見て作ってしまいました。。。(折り紙は滋賀県平和祈念館のボランティアさんからいただきました!)
記事の写真では、何より会場に集まっておられた皆さんのテンションの高さがとても印象的でした。ゆるキャラが持つ「癒し」パワーの可能性について、改めて考えさせられる我が身です。僕はゆるキャラとしてはまだまだ・・・そこに居たかったとおねだりするより日々精進。僕に「和み」を求めて下さる方がいると信じて努力してまいります。微力ではありますが、こんな僕ではありますが、皆さまを応援してまいります。
一方で、4日のニュースですが、ヨーロッパで大雨が降りパリのセーヌ川が増水。浸水による文化財の損傷を警戒したルーブル美術館では、地下倉庫の収蔵品約25万点をボランティアさんらの手を借りて地上階に移した、との記事が載りました。緊急のこととは言え、美術館側でも勇気のいる決断だったと思います。何より大切なものを守りたいという皆の思いが一致して行動に繋がった・・・とても勇気づけられる記事でもありました。
人と人とのつながりがあってこそ。大切なものを守りたい気持ちは世界共通です。文化館がお世話になっている滋賀県教委文化財保護課の職員さんも、7月に被災地の復興支援に行かれると聞いています。人の手によって作り出されたものであるなら、人の手で守っていこうではありませんか。被災地の一日も早い復興を心よりお祈りいたしております。
筆:あきつ
彦根城博物館で開催中です!
さわやかな晴れの日もあれば、雨の日もあって、なかなか天気も定まらない今日このごろですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、先日彦根城博物館で開催中の「琵琶湖文化館所蔵の名品―彦根ゆかりの書画とやきもの―」展を訪問する機会がありましたので、展覧会の様子をちらっとご紹介します。
彦根城博物館は彦根城表御殿跡地に建てられた博物館で、建物は復元を兼ねて建てられており、格調高い趣があります。その中で文化館の所蔵品は、建物に入って受付を過ぎて一番目の展示室で、テーマ展として展示されています。
張月樵の孔雀図をはじめ、書家として名高い日下部鳴鶴筆の屏風や、きらびやかな湖東焼などの彦根ゆかりの作品16点を展示していただいております。
案内していただいた彦根城博物館の学芸員さんから聞いたところによると、展示中、彦根の文化に詳しいお客様が、展示している湖東焼の四段重や鉢を見て、「こんな湖東焼もあるのですね。見たことなかった。」と驚いていらっしゃったとのこと。
琵琶湖文化館は開館以来、地域の文化財の保護を目的に、県下の文化財を広く収集・保管してまいりましたが、このようにお守りしてきた収蔵品を作品ゆかりの場所で公開させていただくことができて嬉しい限りです。本展覧会の会期は6月21日(火)までとなり、多くの方にご覧いただけましたら幸いです。
そうそう、訪問した日は博物館にあの“ひこにゃん”が来館していましたよ!HPで登場日時を確認して行かれてみてはいかかでしょうか。
ホームページ5月のアクセス数
早いもので、新年度が始まってもう2ヶ月が経ちました。文化館の方はと言いますと、5月には滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」が始まり、彦根城博物館さんで「琵琶湖文化館所蔵の名品-彦根ゆかりの書画とやきもの-」を開催していただくなど、とても嬉し楽しい1ヶ月となりました!
さて、当館のホームページのアクセス数は、前月よりわずかに増加!5月は1,546件のアクセスをいただきました。ご訪問いただきました方々、どうもありがとうございました。検索いただきましたキーワードを見ると、なにやら近世絵画に関するものもチラホラと。今年は、超人気のあの画家の生誕300年ということで、日本中の博物館・美術館がにぎわいを見せているようですが、当館ホームページにもその余波が押し寄せているのでしょうか?
琵琶湖文化館と「近世絵画」?と不思議に思われる方も中にはいらっしゃるかも知れません。文化館というと、最近は「仏教美術」というイメージが強いのですが、実は、近世絵画の優品も数多く収蔵しているのです。
休館中ということで、当館で展示公開する機会がなくとても残念なのですが、収蔵品が他館で展示されることもあります。当館ホームページの「収蔵品公開情報」には、その都度、情報を掲載しておりますので、時々チェックしていただけると嬉しいです。
また、当館ホームページの「浮城モノ語り」も更新中です。ここでは、学芸員が作品の1点1点について写真とともに、まるで展示室でのギャラリートークのように詳しい解説を行っております(最新号は第26話「東洋風俗図」)。
昨今のブームの中で、近世絵画の世界に心を奪われたあなた!滋賀にはどんなものがあるの?もっと知りたい!見てみたい!と思われたら、まずは当館のホームページへお越しください。役に立つ、詳しい情報が満載です。では、6月もよろしくご覧くださいませ!