月別アーカイブ: 10月 2021
「花湖さんの打出のコヅチ」第6回現地探訪 開催しました。
さわやかな秋晴れとなった10月28日(木)「花湖さんの打出のコヅチ」第6回現地探訪を実施しました。今回は「渋沢栄一ゆかりの藤樹神社とその周辺」をテーマに、高島市安曇川町を訪ね、近江聖人と呼ばれた中江藤樹と渋沢栄一について、県文化財保護課(琵琶湖文化館兼務)の井上優氏に詳しく案内していただきました。
集合場所の藤樹神社に集結した40名の“打出のコヅチ隊”。藤樹神社はその名の通り、中江藤樹を祀った神社で、1922年の創建、来年100年目を迎える新しい神社です。ここでは特別に宮司さんからお話しいただきました。地元をはじめ、中江藤樹を慕った多くの人々によって建てられた歴史について、なかでも近代日本を支えた著名人、渋沢栄一や大隈重信、東郷平八郎などから多額の寄付があったことが紹介されると、皆さんからはどよめきが(笑)。興味深いお話を聞かせていただきました。
その後、お隣の高島市藤樹の里文化芸術会館へ移動。ここは、現在好評開催中の「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山」展の第1会場となっています。コヅチ隊もここで展覧会を見学しましたが、ただ見るだけではありません。渋沢栄一たち近代日本を支えた偉人と中江藤樹の関係について展示を見ながら探っていくのです。会場には、滋賀県内に残る渋沢栄一の書4点すべてが一堂に会しており、皆さん普段はあまり見ることができない貴重な作品を、講師の解説とともに熱心に見て下さっていました(嬉)。
第2会場となる近江聖人中江藤樹記念館では、共に企画展を担当して下さった記念館学芸員・早川さんが中江藤樹や高島市の文化財について、詳しくお話をして下さいました。文化館の収蔵品の中でも重量級の高島硯は、その大きさに皆さん驚いておられましたヨ。そしてこちらの左の写真(←)。皆さんなんだか熱心に展示ケースを覗き込んでいます。実は、ここには中江藤樹の真筆で、彼の教えである「致良知」を大きく書かれた掛軸が展示されています。普段は学芸員の方でも滅多に見ることができない(!)ものだそうで、現在、展覧会に合わせて特別に公開されています。この貴重な機会に皆さんの目はくぎ付けです。
当初はこの記念館で現地探訪は終了する予定だったのですが・・・なんと!近くにある「藤樹書院跡」を管理する良知館さんが、急遽我らがコヅチ隊の見学を受け入れてくださることになり!ココからは、オプショナルツアーとして、藤樹書院跡へ向かうことになりました。時間の都合が付かなかった方ゴメンなさい!
「藤樹書院跡」は中江藤樹の住居兼講堂跡で、国の指定を受けてから来年100年を迎えます。現在の建物は明治時代に再建されたものですが、内部には中江藤樹の神主(しんしゅ:儒教における位牌)があり、藤樹先生を身近に感じながら、地元の方の説明に耳を傾けました。説明をして下さった方が、終始「藤樹先生」とおっしゃっていたのが印象的で、今でも皆さんから慕われ、親しまれる存在であることを実感致しました。
今回のツアーは、現地探訪始まって以来「一番歩く距離が短い」ツアーとなりました(笑)。県内に住んでいても、あまり知らなかった中江藤樹のことを詳しく知ることができる良い旅となりました。
「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山」いよいよ本日開幕!
いよいよ、本日(10月22日)から開幕です!令和3年度地域連携企画展第1弾「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山―高島市ゆかりの文化財とともに―」展!
休館中の当館と地域の博物館・資料館が連携し、琵琶湖文化館の収蔵品に親しんでいただく地域連携企画展。今回は湖西地域初!高島市さんと連携して、高島市藤樹の里文化芸術会館と中江藤樹記念館の2会場での開催です。会場周辺には、本展を盛り上げるのぼり旗。これを目印に歩を進め、今日は第一会場である高島市藤樹の里文化芸術会館の様子をご紹介します。
今回の企画展は、現在注目を集める渋沢栄一に焦点を当て、渋沢が傾倒した陽明学に迫るため中江藤樹・熊沢蕃山を中心に資料を公開しています。会場では、中江藤樹や熊沢蕃山の書跡に、渋沢栄一やゆかりのある人物の書跡がずらりと並びます。中には教科書でお馴染みのあの人物の書まであります。これは必見!…ですが、見どころは渋沢栄一や中江藤樹・熊沢蕃山だけではありません。仏教美術をはじめとした高島市ゆかりの文化財も展示されます。
仏教美術のコーナーでは、国指定品の文化財を写真パネルでご紹介。「実物じゃなく写真?」と思ったそこのあなた!侮ることなかれです。コチラのパネルは、普段は間近で見ることができない仏教美術を、皆さんに細部まで詳しく見ていただくために、文化館の職員が一丸となって、大型プリンターを駆使し出力をしては「ちょっと画像が粗い?」「もっと解像度を上げて」「いやココはもっと見やすく!」など相談しながら、こだわって作られた写真パネルなのです。ですから、会場にお越しの際は細部までご覧になってくださいね。
開催初日は、平日にも関わらず地元の方々がご来場くださったとのこと。さすが中江藤樹先生のオヒザモト!この展覧会を如何に注目していただいていたか、しみじみ有り難いことでございます。
大河ドラマの主人公・渋沢栄一と、渋沢に影響を与えた中江藤樹をより身近に感じていただける、見どころ満載な「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山―高島市ゆかりの文化財とともに―」は11月14日まで開催です。皆さま、ぜひ会場にお越しくださいね。
「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山 」展 開幕直前リポート
いよいよ今週金曜日(10/22)から始まる地域連携企画展「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山 -高島市ゆかりの文化財とともに-」。皆さんチラシ・ポスターはご覧になったでしょうか?開幕を前に、会場となる高島市さんとの綿密な打ち合わせに勤しみつつ、展覧会準備に “全集中” の文化館ファミリーです。では、ちょこっと作業現場を覗いてみましょう♪。
こちらの部屋では、パネル作成に大忙し!展示造作の一環として専門業者さんに委託することもありますが、今回は自分たちで印刷、ノリ付きの発泡スチロールボードに貼っていきます(その方が写真のコダワリ、見せ方など、いろんな面で応用が効くので◎>労力)。おや?文化財講座でもお馴染みの講師先生たちがッ!?! そうです、このお二人が今回の展覧会の”仕掛け人”です。作業は阿吽の呼吸、これが文化館ファミリー的 “全集中の呼吸” なのですヨ♪。
そして別の部屋では、渋沢くんと藤樹さん、蕃山くんが、何やらイラスト風になって大型プリンターから出力されています。おやおやこれは?
この度の展覧会は、隣り合わせとはいえ、2会場(高島市藤樹の里文化芸術会館&中江藤樹記念館)での開催。これは、目印となって皆さんをお迎えできるよう、のぼり旗を作成中なのです♪
会場の外からも展覧会を盛り上たいッ!現地ではこのハタハタを目指してご来場くださいね!
今日は、当館から出品する作品の梱包作業がおこなわれています。1点1点作品を確認しつつ、輸送用の箱に収めます。作品は明日、会場へと旅立ち、高島市の皆さんらと協力しながら、展示作業をおこなう予定です。これぞ“地域連携”企画展!開幕を楽しみに、皆さんと共に本展覧会を盛り上げていければ幸いです。
「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 開催しました。
10月11日(月)滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第4回を開催しました。本来は8月に開催の予定が、新型コロナウイルスの感染拡大によりやむなく延期となり、講座の再開は約3ヶ月振りとなります。ようやく再開できました。
当日は10月とは思えない暑さの中、定員いっぱいの100名の方が会場にお越しくださいました。受付でも開催を待ちわびた皆さんの今か今かという気持ちがヒシヒシと伝わります。
第4回は「仏教美術にみる死生観」をテーマに、琵琶湖文化館の学芸員・和澄浩介が登壇いたしました。実はこの回、滋賀県が行っている「死生懇話会」とのコラボ企画となっています。「死生懇話会」とは、誰もが避けられない「死」について、行政として真正面から考えることで、「生」をより一層充実させる施策につなげる契機として令和2年度から滋賀県が懇話会を設置していました。
講座では仏教美術を通して、昔の人の死生観について語られました。中でも、古代の仏像の死生観には現代とは違った考え方でした。皆さん“仏像”とは「死」に対して造られている感じがしませんか?ですが、奈良・法隆寺金堂の釈迦三尊は聖徳太子の病気平癒を願って造られ、薬師寺金堂の薬師如来は、天武天皇が妻の病気平癒を祈願して造られたもの。どちらも人を生かそうとして造られた仏像なのです。
他にも、平安時代後期以降には仏像に故人の遺物などを納めて仏と一体となることを意図する考えに方に。例として挙げられた、愛知・瀧山寺の聖観音立像は、源頼朝の従弟が頼朝の三回忌に造らせた像で、頼朝の歯を像内に納めたそう。スクリーン映し出された、X線写真には確かに人の歯が写っていました。講師の口から「頼朝の歯」との説明を受け、教科書にも登場する歴史上の人物の死生に、会場内からは思わず「おお!」との声が多く上がっていました。県内にも東近江市・善勝寺に、三回忌を迎えた故人の遺骨を納めた貴重な仏像があるということです。
各時代の仏教美術から、それぞれの死生観を伺うことができました。色々な考え方から現代に生きる私たちにも何かヒントがあるかかもしれません。盛沢山な内容に充実した1時間半となりました。
次回の打出のコヅチは、10月28日(木)開催の第6回現地探訪となります。延期となった第5回が、11月11日(木)開催となるため、第4回の次が第6回となってしまってます。すこしややこしいですが、申し込みをされた皆様、楽しみにしていて下さいね。
新しい文化館を考える
皆さまに、是非とも”興味をもっていただきたい”県民フォーラムがあります。それは・・・ 平成20(2008)年度より10年以上にわたり休館となっている当館ですが、現在、滋賀県では、大津市浜大津において、令和9(2027)年度に新たな文化館の開館を目指し、準備が進められているところです。
新・文化館は、近江の文化財を中心とした魅力ある展覧会の開催はもちろん、新たに地域の文化財の保存活用を支援するサポートセンターとして、また文化観光の拠点として、今まで以上に親しまれる施設となって、皆さんと関わっていきたいと考えています。そのために様々な角度から参考になる多くのご意見を頂戴する、その機会の一つとして、この度の県民フォーラムを開催します。
日程は11月7日(日)14:00から、会場は文化財講座でもおなじみの[コラボしが21 3階大会議室]です。石山寺の鷲尾龍華さんや青山学院大学文学部教授の津田徹英さんの講演のほか、「県民に親しまれる新しい文化館に向けて」をテーマに、4名のパネリストの方々にさまざまな討論を繰り広げていただきます。どのようなご意見を頂戴するか・・・私たちも興味津々です。
時代の変化を受け入れつつ、守るべきところを守りつつ、文化財を未来へつなぐ、新・文化館。滋賀の歴史・文化について「ワクワク・ドキドキ」が盛り沢山の学び舎となりますよう、皆さまのお力添えをご参加を、心よりお願い申し上げます。
参加・申込み方法など詳しくはコチラ[チラシPDF]。
主催・問い合わせ先:滋賀県文化財保護課 電話:077-528-4681
9月のホームページアクセス数
朝夕が大分涼しく過ごしやすい季節になりました。それもそのはず、今日から10月です。思えば、9月は忍耐の月となってしまいました。滋賀県をはじめ19都道府県に発表された緊急事態宣言。文化館の人気講座「花湖さんの打出のコヅチ」も8月に引き続き9月もやむなく延期という事態に。。。受講を申込されていた方に連絡をした時は、皆さん残念がっておられました。それでも「この時期だから仕方ない。よく決断したよ。」というお言葉もいただき、我々としましても大いに救われました。10月からは宣言も解除され、滋賀県独自の指標「コロナとのつきあい方滋賀プラン」もステージⅢに。。。今月は講座を開催出来そうです♪とはいえ、油断は禁物!感染防止対策はしっかりとしていきたいと思います。
皆で行動を耐え忍んだ9月、文化館のホームページにも多くのアクセスを頂きました。その数2,280件。本当にありがとうございます。注目するべきは、展覧会情報の更新です。新しい情報を更新した直後から、展覧会ページにアクセスが集中して、ぐんっとアップ⤴⤴しました!
皆さんはもうチェック済みですよね?琵琶湖文化館地域連携企画展です!令和3年度第1弾のテーマはズバリ「渋沢栄一中江藤樹・熊沢蕃山-高島市の文化財とともに-」。 今回は高島市さんと一緒に、現在大河ドラマの主人公でもお馴染み・渋沢栄一に焦点を当てて、文化館の収蔵品を中心に高島市ゆかりの文化財を紹介する展示となっています。
今話題の渋沢栄一ですが、滋賀にゆかりがあると知っている方が少ないらしく、文化館前の掲示板のポスターを見た方から、「渋沢栄一って滋賀にもゆかりあるん?知らんかった!」との驚きの声をお聞きしました。そうなのです!高島市にある藤樹神社は、渋沢が神社創建の資金調達に絶大な貢献を果たしてできた神社なのです。このあたりも、展覧会で語られております。
渋沢栄一と滋賀県との繋がり、そして高島市の仏教美術を見ることができる展覧会となっております。皆さん開催を楽しみにしていてくださいね。