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「滋賀限定!」の記念講演会
10月27日(日)東近江市の観峰館において、域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画~古写経から近代の書まで~」の関連イベントとして『東近江地域文化財の将来』と題した習字の日記念講演会が開催されました。
先ずご登壇いただいたのは藤田励夫氏です。藤田氏は元滋賀県文化財保護課職員として勤められた後、九州国立博物館や文化庁で活躍された古文書のスペシャリスト(現在は京都府立大学共同研究員)。今回の講座では、特に古い時代のお経(古写経)について、専門家の視点から実物に即した詳しい説明があり、意外な視点に驚きました。さらに展示中の紺紙金字妙法蓮華経(百済寺蔵)の見返し絵について、1巻ずつ違った魅力があることを、丁寧な言葉で教えていただきました。
続いては、本展に出品されている乾徳寺さまご所蔵の不動明王三童子像の修理を手掛けられた坂田さとこ氏((株)坂田墨珠堂代表・装潢師)がご登壇。工房での息も詰まるような細かい作業の様子がスライドで紹介されました。
最新の調査技術も使いながら、昔と変わらぬ材料で、未来へつなげる修理の技術。見ているこちらも息をのみました。
不動明王三童子像は、(公財)住友財団の2021・2022年度文化財維持・修復事業助成によって修理が行われ、修理後初公開となった作品です。文化財保護の一助として、修理費用の必要額が補助されるこの制度には、毎年全国から100件以上の応募があるそうです。
講座の最後にご挨拶された乾徳寺の中野ご住職。寺の宝である文化財の修理に、相談役として観峰館さんにご助力いただいたこと、いいタイミングに良いご縁を結んでいただけたこと、感謝の言葉が述べられました。
信仰のあり方やコミュニティのあり方が、時代の変化と共に形を変えつつある昨今。調査・研究活動をきっかけに、文化財の守り手と博物館が手を取り合って、地域文化財を伝えていく、素敵な事例の一つです。
東近江市で、滋賀県で、地域に根差した博物館活動が、様々な縁を結び、新たな可能性を生み出してゆく・・・そんな博物館であるために、地域文化財を守るサポートセンターとして、当館も引き続き精進をしていきたいと思っています。