月別アーカイブ: 5月 2016
つながっています、県内の博物館
先日、『滋賀県博物館協議会』の総会があり、東近江市へ出張してきました。協議会は、県内の博物館施設(歴史・芸術・民俗・産業・自然科学等)が相互の連絡を図り、円滑な運営に資するとともに、博物館活動を通じて県民文化の振興に寄与することを目的に、現在67館が加盟しています。
現協議会の創設は昭和57年。事務局には琵琶湖文化館→近代美術館→琵琶湖博物館と歴代県立施設が務めてまいりましたが、今回の総会で新しい会長に長浜城歴史博物館の館長さまが就任され、それに伴い事務局も移行することとなりました。来年度35周年を迎える協議会ですが、時代の流れとともに新しい風が吹いているようです。総会では、県内の施設が今まで以上に連携し、活動を盛り上げていけるよう、様々な事業が企画されていることが報告されました。
総会終了後には、会場館である近江商人博物館を見学させていただく機会に恵まれました。この施設は平成8年に開館し、近江商人を知る窓口となる博物館として活動をして来られましたが、開館20年を迎え、東近江市ゆかりの日本画家・中路融人(なかじゆうじん)氏から日本画52点を寄贈されたことを機に、2階を新たに「中路融人記念館」としてこの4月にリニューアルされたばかりとのことです。展示室では、湖国の風景に魅せられた中路画伯の作品がずらりと並び、まるで時間が止まったかのような、静寂を絵に描き止めたかのような、素敵な空間が広がっていました。そして3階特別展示室では、東近江市出身の洋画家・野口謙蔵氏の作品が展示されていて、また違う雰囲気を堪能することができました。
常設展示では、「天秤棒一本から豪商へと立身出世した近江商人の軌跡」をテーマに、江戸時代から明治時代にかけて活躍した近江商人にまつわる様々なものが展示されています。ついつい会場では、映像やジオラマ、行商姿の体験コーナーなど、文化館には無かったものに目がいってしまいました。
このように総会や研修会の際に、会場館を見学させていただくことは、各館の様々な工夫や取り組みを知る貴重な機会ともなり、刺激にもなります。加盟館が相互に情報を提供し合って、今後ますます滋賀の博物館が元気になればいいなと思います。
ちなみに余談ですが、琵琶湖文化館では、開館した正にその年昭和36年に「野謙(野口謙蔵)油絵展」を、また昭和58年には「中路融人展」を開催させていただいた経歴があり、今回の出張に何かのご縁を感じずにはいられない旅となり・・いえいえ出張となりました。
筆:あきつ
平成28年度「打出のコヅチ」スタート!
5月にしては気温の高い日が続いています。19日の大津の最高気温は27度。少し動くだけでもう汗が湧いてきます。そのような中でのスタートとなった平成28年度滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」ですが、今回は90名という多くの方にお越しいただきました。暑い中、足をお運び下さった皆様、本当にありがとうございました。
第1回目の本講座では、「来迎図・神像・懸仏-平成27年度滋賀県新指定文化財より-」という演題で、県教育委員会文化財保護課担当職員の古川史隆氏を講師に迎え、昨年度新たに県指定の文化財となった美術工芸品の中から、「絹本著色阿弥陀三尊来迎図」(大津市・光明寺)、「木造男神坐像」(栗東市・五百井神社)、「金銅十一面観音不動毘沙門懸仏」(長浜市)の3件について、詳しい解説をしていただきました。
まずは、光明寺の阿弥陀三尊来迎図について。阿弥陀来迎図とは浄土信仰の広がりと共に描かれるようになったもので、比叡山周辺の寺院には数多く残されており、光明寺の鎌倉時代のものも一見したところそれほど変わったようには見えません。ところがよく見ると、右下の往生者が観音菩薩の捧げ持つ蓮台に乗っており、まさに来迎の劇的な場面が描かれた、他に例のない大変珍しいものであるということです。
次に、紹介された五百井神社の男神坐像は、なんと驚くなかれ!平成25年9月に滋賀県に大きな被害をもたらした台風18号の際、神社の裏山が崩れ、土砂に埋められた中から救出されたものなのだそうです!それまで長い間人目に触れずにいた神像ですが、被災によってお姿が少し変わってしまったものの、霊木かと思われる「節」のある材で作られた像は保存状態が良く、眉間を寄せた怒りの表情の中にもおだやかさが感じられる洗練されたお顔などから、平安時代にさかのぼる優品であることがわかりました。
長浜市の懸仏は、表面の十一面観音とそれを取り巻く豊かな装飾もさることながら、裏面の墨書銘から制作年・制作の背景などが詳しくわかり、懸仏の全盛期である南北朝時代の基準作例ともなる優品であるとのことでした。
今回のお話は、指定文化財にすることの意味を含め、来迎図、神像、懸仏の一つ一つについて、どのような歴史的背景の中で作られて、どういった変遷を辿ってきたのかなど、とても丁寧に解説して下さいましたので、初心者の方にもわかり易かったのではないでしょうか。これらの文化財が、保存と活用を図るに値するものとして指定された意味を、よく理解できるお話だったと思います。
さて、今回指定を受けた3件のうち、懸仏は高月観音の里歴史民俗資料館の常設展で、また五百井神社の神像は、栗東歴史民俗博物館で5月21日(土)から6月19日(日)まで開催される収蔵品展「資料が奏でる歴史のしらべ」にて公開されるとのこと。今回講座にご参加いただいた方もそうでない方も、機会があれば実物を見に行かれてはいかがでしょうか?
次回の講座は、6月16日(木)「信長文書の世界」というテーマで行います。講座を受けると、今までの信長像がガラッと変わるかも?皆さま、ぜひぜひご参加くださいませ。
お申込みはお済みでしょうか?「打出のコヅチ」
いよいよ19日(木)から始まります!平成28年度滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。皆さま、もうお申込みいただけましたでしょうか?
今年度の第1回目は、昨年度新たに滋賀県指定文化財になったもののうち、来迎図、神像、懸仏という、神と仏の信仰に関わる文化財がテーマです。今回お話しいただくのは、県文化財保護課の美術工芸担当でいらっしゃる古川史隆さんです。調査から指定に至るまでの過程、ずっと資料に寄り添って来られた担当職員から、直にお話しを伺えるチャンスはそうそうありません。ぜひこの機会にいらっしゃって、滋賀の文化財について理解を深め、またその奥深さを堪能していただければと思います。
お申込みは電話、FAX、または電子メールで、①お名前、②お住まいの市町名、③連絡先(電話番号)、④参加回、⑤講座のことを何で知ったかを、当館までお知らせ下さい。
また、すでにお申し込みいただいた方、どうもありがとうございます。中には毎年この講座を楽しみにして下さっている方もいらっしゃるようですね。ご期待に沿えるよう、講師だけでなく、スタッフ一同準備にいそしんでおります。そして、滋賀の文化財の応援団でいらっしゃる皆さまと、会場でお目にかかれることを楽しみにしております。
会場はびわこホール向かいのコラボしが21(大津市打出浜2-1)。講座は13時30分から15時まで、13時15分より受付開始です。では皆さま、どうぞお気を付けてお越し下さいませ。
彦根城博物館での展覧会のお知らせ
若葉芽吹く季節となりました。みなさま元気におすごしでしょうか?
さてさて、このたび彦根城博物館で企画展「琵琶湖文化館所蔵の名品―彦根ゆかりの書画とやきもの―」が開催される運びとなりました!
琵琶湖文化館は、滋賀県内の文化財を保護するという考えの下、開館以来、仏教美術のほか、県内の様々な文化財を積極的に受け入れてきました。これらの収蔵品の中には、彦根にゆかりのある作品も所蔵しております。そして彦根城博物館の皆さま方のご尽力によって、ご当地の彦根城博物館で展覧されることになりました。
彦根出身の書家として名高い日下部鳴鶴(くさかべめいかく)の書跡や、彦根出身の絵師張月樵(ちょうげっしょう)の絵画、そして彦根藩の御用窯で開花した湖東焼などが展示されます。
いずれも格調高い作品で、城下町彦根の趣とともにご観覧いただきましたら幸いです。
企画展 琵琶湖文化館所蔵の名品―彦根ゆかりの書画とやきもの―
開催期間:平成28年5月20日(金)~6月21日(火)
会 場:彦根城博物館
〒522-0061 滋賀県彦根市金亀町1番1号
TEL0749-22-6100
http://hikone-castle-museum.jp
主 催:彦根城博物館
共 催:滋賀県立琵琶湖文化館
展示作品:コチラ
こんなところにも文化館
先日・・・文化館に・・・とあるタレコミが・・・ありました。。。「この表情!この底の抜けの明るさ!あまりのインパクトに自分一人ではきちんと受け止めきれないので取り急ぎメールします」とのこと。何なに?なんだろうと添付ファイルを開いてみると・・・パンフレットの1ページらしいのですが、そこにはなんと!琵琶湖文化館をバックに!2人のフレッシュなお巡りさんが!進むべき道を!示して下さっているではありませんか!!輝く笑顔がステキです。。
ちなみに皆さん、改めてお尋ねしますが、琵琶湖文化館の場所はご存知・・・ですね?そして館のすぐ向い側に滋賀県警察本部があることも・・・ご存知です?ね?
実はこのパンフレット、滋賀県警察官採用募集の案内パンフレットなのですよ。その中のページに琵琶湖文化館が写っているのを偶然見つけられた方が、興奮気味にタレコミ(情報提供)をして下さったのです。確かにインパクト大!「安心」「安全」が全面的に表現されています!守られる:守られた:守るべき:文化館のイメージアップも間違いなしデス。。。ニヒッ。
よく見るとコレ『交番・駐在所』の紹介ページです。「滋賀県民の為に 地域の治安を守る」「県民の幸せのために・・・全てを懸ける!」・・・なんとも頼もしいお言葉です。
・・・もしかしたらと思うのですが、文化館を背景に選んだ理由は・・・
その1)当たり前のように日常の風景に溶け込んだ存在感が良かった
その2)親しみやすくて地域の人々に愛されている感が良かった(自分で言う?!)
その3)お城の守りが堅いイメージが良かった
その4)地域密着型のイメージが交番のイメージと重なった
さてどれ?!全部だとしたらとっても嬉しいです~。確かに・・・アナタのおそばに文化館。。。残念なのはお城のテッペンにいる僕が写真からカットされているコト・・・くらいですかね?(泣笑)。
情報提供をして下さった文化館ファンの方にも、この館を背景に写真を撮ろうとイメージして下さったパンフ編集の方にも、なんだかとても有り難い気持ちでいっぱいです。
採用試験はもう始まっているようです。新しく警察官になられる方たちに期待して・・・県民の皆さんに「安全」「安心」と言って貰えるよう、我が館:琵琶湖文化館も守っていって下さいね。
よろしくお願い致します。。。
筆:あきつ
ホームページ4月のアクセス数
新年度が始まって早1ヶ月。フレッシュマンの皆さんも、仕事に慣れて来られた頃でしょうか?最初は電話の取り方からして、とても緊張するものですよね。大丈夫!きっとアナタはもう、職場になくてはならない重要な戦力!張り切ってまいりましょ?!
さて、毎月気になる当館ホームページのアクセス数、4月は1,409件のアクセスがありました。イベント事では、約1ケ月半に渡って安土城考古博物館で開催されておりました琵琶湖文化館収蔵品特別陳列「表現された神と仏」が終了し、会期中6,946人の方々にご鑑賞いただいたと、嬉しい報告がありました。足をお運びいただきました皆さま、本当に有り難うございました。アンケート結果からも、90%以上の方が「満足」「ほぼ満足」とご回答を下さったとのこと。これを励みにこれからも頑張ってまいりますので、応援よろしくお願い致します。
また、満を持しての発表となりました、滋賀の文化財講座『打出のコヅチ』開催のお知らせ。ホームページにアップするや否や、参加のお申し込みが相次ぎ、嬉しい悲鳴を上げております。受付の際「この講座を知ったきっかけは何ですか?」とお尋ねしているのですが、
「チラシを見た」
(エッ?!発送してからまだ2日しか経ってないのに!もう?!有り難い!)
「文化館前にある掲示板を見た」
(エッ?!掲示板効果出た!文化館の活動見守るご近所さん?有り難い!)
等々、実は電話を切ってから、中でもイロイロと反応しているのございますヨ(笑)。
『打出のコヅチ』も今年で8年目。毎年楽しみにして下さっている参加常連さんたちの心もガッツリつかんで、5月19日(木)に第1回 「来迎図・神像・懸仏-平成27年度滋賀県新指定文化財より-」を開催します。是非皆さんお気軽にご参加下さい。
筆:あきつ