日別アーカイブ: 2018年4月13日
文化財の保存環境②
先日、当館における文化財の保存環境、特に温湿度についてのお話をこのブログで紹介させていただきました。
皆さんの中には、「琵琶湖の上で大丈夫?湿度が高いのでは?」と、心配される方もいらっしゃるかもしれません。ということで、連載させていただきます。
文化財の保存環境について、湿度から言えば、特にカビの予防には、60%以下に保つことが理想とされていますが、木製品や漆器などの工芸品などには、乾燥しすぎるとひび割れの原因となるため、50%以上が望ましいと言われています。温度についても、高温になると施設内の絶対湿度(空気中の水分量)が高くなるため、注意が必要となります。
琵琶湖文化館は湖の上に建つ・・・湿度が心配・・・。まさしくそれは、昭和36年の開館当初から、危惧されていたことであり、そのために一日3回、展示室と収蔵庫の温湿度を計測し、当時は月末に文化財保護委員会(現:文化庁)への報告が必要であったと聞いています。観測を継続した結果、展示・保存環境に問題のない湿度が、安定的に維持されている施設であることが証明され、現在の収蔵環境に至っています。
当館はコンクリート製の建物ですが、文化財を保管する収蔵庫は、調湿機能が得られるよう木材で仕立てられ(木は周囲の温度や湿度に合わせて空気中の水分を吸ったり吐いたりして調整してくれます)、保存環境をより安定した状態に保つための工夫が施されています。また、屏風、彫刻、掛軸・経典類、考古資料・陶器などの工芸品、といったように、種類(素材)毎に保管する部屋を分けることで、きめ細かな湿度管理をし易くしています。
文化財にとってより良い環境を保つために出来ることを。皆で力を合わせて文化財を守っていきたいと思います。
筆:あきつ
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