日別アーカイブ: 2018年4月11日

文化財の保存環境

皆さんは、展覧会の会場でこのような物体を見た記憶はございませんか?一般の人にはあまり見えないよう、展示ケースの奥の方にコソ~っと置いてあるので、気付かれないかもしれません。大きさは約8cmほど、画面はデジタル表示でアンテナのような物がついています。実はコレ、文化財の保存環境を維持する上で、非常に重要な役割を果たしています。
文化財にとって、とても厄介なのは、素材を食い荒らすシミやチャタテムシなどの「文化財害虫」と、資料の劣化を早めてしまう「温湿度」です。温湿度が急激に変化すると、文化財の素材によっては伸び縮みが起こったりして、劣化の元にもなりますし、ある一定の温湿度が続くと、カビや虫が発生しやすくなったりもします。そこで登場するのが、このゲーム機(?)のような物体。「データロガー」というアイテムで、展示ケースや収蔵庫の中の温度と湿度変化を記録し、急激な変化が起きていないか、その見張り番として活躍します。

当館で今まで使っていたデータロガーは、旧式のパソコンでしかデータを取得することができず、現在使用しているパソコンとの互換性がとれなくなってきたため、新バージョンを導入することになりました。正常に作動するかどうか、新旧を並べて確認をしてみたところ、そこはさすがにおNew。感度は今までより更に向上しているようで、安心して見張りをお任せしていくことになりました。
このデータロガーは、数分毎にデータが記録できるように設定されています。定期的に記録を確認しますが、当館では1日の中での急激な気温変化は見られず、湿度についても一般的に博物館において基準値とされる50~60%を概ね維持するなど、文化財の保存環境として皆さまに安心していただける数値を得ています。
日常管理の点検もさることながら、年間を通じて蓄積されるデータを分析することで、施設としての特徴や各展示ケースの特質などを把握します。

文化財の適切な保存環境を維持するためには、その「時」だけの対応では不十分といえます。年間を通じたモニタリング、館独自の経験値からくる予測と対応。それらをうまく調整し、管理していくことが必要となるのです。
これからも、文化財に負担をかけないよう、適切な保存環境を維持できるように、努めてまいりたいと思います。

筆:あきつ

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