日別アーカイブ: 2019年4月26日
近江の奇祭 鍋冠祭
先日降った雨のおかげか、木々の新緑が一層鮮やかに目に写りますね~。この何かが”発動”した感じ・・・やはりじっとしていられません!! (笑)。ということで、あきつブログ的「お祭り」企画第3弾!!今回紹介するのは、湖北・米原の筑摩(つくま)神社で行われる「鍋冠祭(なべかんむりまつり)」です。
鍋冠祭は、例年5月3日に行われ、筑摩・上多良・中多良・下多良地域の氏子が参加し、筑摩神社まで琵琶湖沿いを祭礼渡御が練り歩きます。特に7~8歳の少女が緑の狩衣に緋色の袴すがたで、頭に張り子の鍋をかぶって行列する様子がとても印象的で、古くは平安時代に書かれた「伊勢物語」の中にも登場するなど、とても歴史のある伝統的なお祭りです(米原市指定無形民俗文化財)。
実は、当館にはこのお祭りを描いた「鍋冠祭図」という作品があります。作者は江戸時代後期の絵師:吉村孝敬(よしむら こうけい・1769~1836)です。
あれ?本図を見て、「おっ?!」と気になった方、いらっしゃいます?現在行われているお祭りでは、小さな子どもが大きな黒い鍋をかぶって歩きますが、この作品ではもう少し大人の女性が描かれていますね。そのあたりのことは、浮城モノ語り第25話に詳しく書いていますので、是非ご一読下さい。
全国の祭りの中には、一風変わった、いわゆる「奇祭」と呼ばれるものがありますが、鍋冠祭もその一つと言えるでしょう。何故、鍋を頭にかぶるのか、実に謎の多いところですが、一説には、筑摩神社の祭神が食物の神であることや、筑摩の地が、宮中に作物や魚介類などを献上する御厨(みくりや)が置かれたところで、献上に際して、土鍋が用いられたことが、鍋冠祭の原初の姿ではないかとも言われています。単なる稚児行列ではなく、全国的にも珍しいこのお祭りは、平安の昔を偲ばせる装いで湖北に春を告げる風物詩ともなっています。
さてこのところ、当ブログにて湖国の春祭りをいろいろと紹介させていただきました。伝統の「祭り」には、その地域の歴史がぎっしり詰まっていると言います。滋賀という土地がどんなところなのか、そこで人々がどのように生活してきたのか、伝統という糸を「今」へどのようにつないできたのか。。。滋賀のことをより深~く知ることができるのが、地域の「祭り」だと言ってもよいでしょう。10連休です。この機会にぜひ、湖国の春をお楽しみ下さい。
あっ!!しまった!!紹介した「大溝祭」「サンヤレ踊り」「鍋冠祭」、開催される日程がカブってます!!さぁ困りました・・・あなたはどのお祭りにお出かけします???