日別アーカイブ: 2019年12月4日
「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展 ギャラリートーク
湖国の紅葉もそろそろ見納めかな?という12月1日、「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展を開催中の愛荘町立歴史文化博物館では、ギャラリートークが行われました。会場では、地域の方や観光ボランティアの方、また観光で偶然立ち寄られたと思しき方など、25名が講師の話に熱心に耳を傾けられました。
今回の講師は、仏教美術の中でも彫刻が専門の和澄学芸員。先ずは滋賀県には多くの優れた文化財が残っていることのスゴさ、すばらしさを紹介。続いて金剛輪寺さまがどのようなお寺さまか、主に彫刻作品をスクリーンで紹介しながらトークは進みました。
続いて実際に作品を見ながら解説では、先ずは「孔雀文磬(けい)」の説明から・・・「よっしきた!」と先日ブログで紹介していた筆者:あきつとしては心の中でガッツポーズ(笑)。さらに『磬の”へ”の字の角度が緩いと作品年代が古く、時代が進むとどんどん角度が強くなっていく。この孔雀文磬は角度が緩やかで裏に製作年代(1222年:鎌倉時代)がはっきり書かれているので時代の参考になるいい作品です』と、なるほどの豆知識(!)も披露されました。これがギャラリートークの醍醐味デス。
そして、”豆”つながりで、個人的(個トンボ的?)に皆さんにぜひ紹介したい(!)のが、「漆塗太鼓形酒筒(うるしぬりたいこがたしゅとう)」です。この酒筒は、形は太鼓のように見えますが、用途としては祝いの席などでお酒をふるまう酒樽で、愛荘町の指定文化財にもなっています。皆さんは「日本昔ばなし」に出てくる『豆の木太鼓』をご存知ですか?和尚さんが残しておいたそら豆を小僧さんがこっそり食べてしまうアノお話です。実は、大木に育ったそら豆の木で作った太鼓がこの「漆塗太鼓形酒筒」だといういわれが残っているのです!(・・・実際にはケヤキ製・・・という不思議には目をつむり・・・)昔話を大切に語り継ぐ作品に出会えるなんて、何だかとてもステキです。
※フリーペーパー:滋賀の文化情報誌「Duet」2019秋号(サンライズ出版発行)にも紹介されています!
もう1つ、おそらく今回講師が一番熱く語らせていただいたのが、木造の阿弥陀如来立像です。「寺外初公開」でも注目をされていますが、いつもは国宝の本堂の後陣に安置されているほとけさまで、今回、特別に、本展覧会のために、お堂からお出ましいただきました(展覧会担当:ギャラリートーク講師:彫刻が専門:和澄学芸員たっての願いにより実現!)。阿弥陀如来は、極楽浄土から雲に乗ってお迎えにきてくだる姿が表現されていますので、少し前傾姿勢であることがわかります。衣や雲が風を受けて後方になびく様子などは、今回特別に厨子からお出ましいただいたからこそ拝めるお姿です。彫刻にうっとり:和澄学芸員は、「正面からだけではなくこの機会にぜひ横からも見てほしい」と熱く語っておりました(笑)。
最後に、あきつ君的豆知識を披露しておきましょう。「日本昔ばなし」つながりで、皆さん、『密僧坊(みっそうぼう)』をご存じですか?こちらも愛荘町さんのお話しです。ぜひチェックしてみてくださいね。
(会場にある記念スタンプ:向かって左が密僧坊!)