月別アーカイブ: 5月 2024
当館周辺に、清少納言も(たぶん)来ていた!
青い空、青い琵琶湖と準構造船(※準構造船とは、丸木舟を船底にして、側板などの船材を加えた船)。NHK大河ドラマ「光る君へ」の5月26日放送回では、素敵な琵琶湖のシーンが登場しました。
しかし残念なことにこのシーンは30秒ほどと短く、琵琶湖ファンとしては、もう少し尺を取っても良かったのではないかと思ったりもしました(笑)。NHKさん、次回からはもう少し琵琶湖を長く映して・・・!?
さて、この回で印象的だったのが、ファーストサマーウイカさん演じるききょう(清少納言)が、『枕草子』を書き始める場面です。傷ついた中宮定子の癒しになるようにと、たった一人のためだけに文字を紡ぎ始める、エモーショナルな場面でした。 そういえば『枕草子』には琵琶湖関連の記述はどんなものがあったかな?と読んでみると、「海は」の段に琵琶湖が、「浜は」の段には当館が所在する「打出浜」が出てきます(下記は『日本古典文学全集』18を参照)。
16 海は
海は 水うみ(※琵琶湖 )。
与謝の海(※京都府の宮津湾の古名 )。
かはふちの海(※所在不明 )。
192 浜は
浜は 有度浜(※静岡県清水市)。
長浜(※三重県か )。
吹上の浜(※和歌山市 )。
打出の浜。
もろよせの浜(※兵庫県美方郡浜坂町諸寄 )。
千里の浜(※和歌山県日高郡南部町千里 )、ひろう思ひやらる。
清少納言も石山寺に訪れたようなので、当館周辺の打出浜にも訪れたのではないか、そして『枕草子』のこの記述につながったのではないかと想像します。
紫式部の越前への旅路で、打出浜から琵琶湖に渡ったことは紹介しましたが(前回のブログはコチラ)、清少納言もきっと打出浜に来て、琵琶湖を眺めたのだろうと思うと、千年の時を超えて人々を魅了する琵琶湖の偉大さを感じますね。
皆さまもぜひ、打出浜からの琵琶湖を、古典文学を通じて新たな視点で見つめなおしてみてはいかがでしょうか。
「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」 始まりました!
本日より開幕と相成りもした、琵琶湖文化館地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」。滋賀県立公文書館にて特別公開でごわす!?!
い・
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変なテンションで始まりました本日のあきつブログ☆皆さんお待たせいたしました!滋賀県庁新館3階にある滋賀県立公文書館におきまして、西郷隆盛の”直筆書簡“を、本日より特別公開です~!
本書は、明治5年(1872年)2月15日、西郷隆盛から欧米外遊途上でアメリカに滞在していた大久保利通にあてて、留守中の国内動向や薩摩旧藩主津島家の醸成などについて、最新の情報を報告した西郷の直筆書簡です。
緻密かつ実直な文字、比較的均等な字間・行間を保ちつつ、まっすぐ丁寧に、なおかつ淀みなく書かれた本書簡は、西郷の人柄や性格をも感じさせる「生きた証」と言っても過言ではない!?!
書簡は全長4.75mにもおよぶ長大な手紙であるため、現在は「西郷吉之助(隆盛)」署名部分と、弟の従道による直筆鑑定書がある『巻末』部分を公開しています。
併せて「長文」の凄さが感じられるように・・・と、展示室の壁面をお借りし、 “ほぼ実寸大”の大きさにプリントしたもの(翻刻付き)を掲示していただきました。
※それでも収まりきらず2面に渡る・・・ (笑)↗
また、今回の展示は、写真撮影が『可能』!さらに解説付のお持ち帰り資料も充実していますので、「近代史が苦手・・・」という方も、今一度勉強するのに良い機会となるのではないでしょうか?
本書簡については、まだまだ「ナゾ」を残しておりますがそのお話はまた追々。。。 先ずは皆さま、実物を、しっかと見たもんせ~(ご覧あれ~)♪
『花湖さんの打出のコヅチ』第1回 質問にお答え・もす?!
さて皆さん、本日は昨日のブログ「・・・つづく」の続きです。
何を隠そう・・・第1回講座「再発見した西郷隆盛書簡とその伝来~アメリカから滋賀へ~」では、西郷隆盛書簡があまりに長文であるため、解説もあわや時間切れ・・・となりかけた講師先生(?!)。それを見習って、ブログも収めたいところではございましたが・・・無理でした(笑笑)。「つづく」の延長戦に突入いたします!お付き合いください♪
講座の最後に受け付けた【ご質問】です。
「書簡の紙は何に書かれていたのですか?巻子になっているとのことですが、元は何枚のお手紙だったのですか?」
とてもいい質問をいただきました。皆さん気になりますよね?!
会場で講師も答えさせていただきましたが、紙の種類は「楮(こうぞ)紙」です。
実物をご覧になると分かるのですが、繊維が長く、強靭であるため、日本では古くからよく使われている代表的な和紙です。ここでは特別に拡大した画像をご覧いただきましょう。→
(「西郷」署名部分・・・特別ですよ!)
「何枚の手紙か」というご質問につきましては、正解は10枚です。紙の大きさはそれぞれに異なりますが、縦15.8cm×横25.8~53.1cmの和紙が10枚使われています。
西郷どん・・・一蔵(大久保)どんに、よかひこ報告しよごたっことあったんじゃなぁ(いっぱい報告したいことがあったのですね)。
・・・鹿児島の皆さん!あ・あ・あ・合ってます??!
西郷隆盛書簡について、より詳しく知りたい方は、当館発行の研究紀要第40号に詳しく書いておりますので、是非こちらも参考になさってください。
さて、西郷隆盛の書簡について、「ぜひ実物を見たい!」という方、お待たせいたしました!!
5月27日(月)より、滋賀県立公文書館で始まる琵琶湖文化館地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」 にて展示公開で御座候☆
ぜひ、あたん目でそん書簡から西郷隆盛像を感じ取ってみてはどげんやろうか☆☆☆。
※注※
現在、当館の事務所では、 とても”怪しげ”な薩摩弁が飛び交っておりますが、わっぜ楽しか雰囲気で、お仕事がとても捗っております♡
滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第1回 開催しました!
キラキラと初夏の陽射しまぶしい琵琶湖にのんびり浮かぶ水鳥たち見送られ開催しました、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」。今年度のオープニングを飾りましたお題は『再発見した西郷隆盛書簡とその伝来-アメリカから滋賀へ-』です。 当館きっての情熱能弁家; 井上優副館長(県文化財保護課)が講師を務めさせていただきました。
昨年、個人の方より当琵琶湖文化館に寄託された西郷隆盛書簡。約100年振りの”再発見”から、調査を進めた”大発見”まで、HOTな話題を”びみょ~” な薩摩弁(?)も交えながら(笑) 、 楽しくお話しいただきましたで・もす??。
西郷とは幼なじみの大久保利通、当時アメリカに居た彼に宛てたこの手紙が、どのように滋賀へわたってきたのか?大久保が暗殺された「紀尾井町事件 」ではもしや懐中にあったのやも???…謎とロマン溢れる書簡のエピソードに、皆さんワクワクされたのではないでしょうか。
ここで一つ、井上副館長の苦労話も披露しておきましょう。この書簡・・・とにかく長い!いろいろと長い!のです。書簡に書かれた膨大な文字量、翻訳に費やした時間・・・全長4.75メートルの凄さを、皆さんにどうお伝えしようかと副館長が考えた結果がコチラ!↓
これには会場の皆さんもドヨメキが(笑)。作った甲斐がありましたね、副館長(笑笑) 。
その書体や行間は実に筋がとおり整然、かつ流麗な筆致…それが時を経てあらわれたのは、まだまだ読み解ける何かがあるかもしれません。引き続き今後の調査にも期待大です!
【アンケートより】
「魅力あふれるすばらしいお話。いっぺんに井上先生のファンになりました。」
「井上先生の『歴史はミステリーの爆発だ!』というお気持ちが一杯あふれたお話でした。」
「書簡の内容もさることながら、その伝来に関する説明が興味深いものだった。新たな謎は興味深い。」
「夢がつながっていく!」
「タイムリーな話題で興味があり、伝来に触れられた!!大変おもしろく!!歴史の醍醐味ですね!!」
「これから研究が進んでいくことが期待でき、非常に興味深かった。数奇な物語がより明らかになるのが実に楽しみです。」
お気持ちあふれるたくさんのご感想をありがとうございました!
そうです、講師の気持ちがあふれてあふれて…スタッフ「残り30分です!」のお声掛け(ナイスパスでした!)がなかったら、結びにはたどりつけなかったに違いありません(笑)。
本講座は、大津市のコラボしが21をメイン会場に、サテライト会場として彦根市稲枝地区公民館にご参加いただきました。また、今回は特別に、西郷隆盛の出身地・鹿児島県鹿児島市加治屋町にある「維新ふるさと館」にもオンラインをつなぎ、地元の皆さまにもご視聴いただきました。良きご縁に感謝です♡
(※サテライト会場におきましては、冒頭に講師の音声が途切れましたこと、深くお詫び申し上げます。)
ご参加いただきました皆々さま、ご清聴誠に有り難うございました! ・・・つづく
琵琶湖を渡った舟、実は当館にも
NHK大河ドラマ「光る君へ」、5月19日放送の第20回は、岸谷五朗さん演じる藤原為時が越前国の国司に任じられました。続く第21回「旅立ち」では、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)とともに、越前へ向かうシーンがあるようです!次回予告の冒頭に琵琶湖を渡る場面が出てきたのを、あきつブログをご覧の皆さまは見逃さなかったのではないでしょうか。
この際に登場すると予想されるのが、打出浜から出航する舟。当館が所在する「打出浜」は、昔から京から琵琶湖に渡る際の発着地でした。『蜻蛉日記』の作者、藤原道綱母も石山詣に際して打出浜から舟に乗ったことはご紹介しましたが(過去のブログはこちら)、紫式部もここから越前へ旅立ったと考えられます。
では、紫式部が乗ったであろう舟とはどんなものだったのでしょう。確かなことは分かりませんが、琵琶湖を渡る舟といえば琵琶湖博物館の常設展示があり、また安土城考古博物館で縄文時代の舟に関する企画展(平成18年)があるなど、滋賀県内ではさまざまな時代の舟が展示されてきています。しかしご存知の方は少ないと思いますが、実は当館にも舟が収蔵されております!! それがコチラ↓! !
当館の舟は、長さ2.3メートル、幅は50センチほど。丸木舟か準構造船の底部の部材とみられ、野洲市須原の干拓地から出土したものです。琵琶湖の水運を伝える舟が打出浜に位置する当館にあると思うと、滋賀県の歴史がぐっと身近に感じられますね♪
ところで・・・番組の次回予告で、まひろたちが乗っていた舟が、めっちゃ立派に見えた・・・ のが、とても気になるノデスガ??(笑)。お天気のとっても良い日に撮影されたそうです。美しい琵琶湖の風景も楽しみですね。来週も必見です!
「光る君へ紀行」に当館も所蔵する〇〇が登場!
NHK大河ドラマ「光る君へ」では、登場人物たちが筆を使って文字を書くシーンがたくさん出てきます。
5月12日放送の第19回でも、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が『新楽府』を書き写すシーン、まひろの父の藤原為時が除目の申文を書くシーンがありました。そして、藤原道長が日記を書き始めたエピソードにも、筆の存在を感じさせます(その日記を広げたままにして妻の源倫子が覗き見るのもドキドキ♪)。
さて今回の「光る君へ紀行」では、道長直筆の日記である陽明文庫所蔵の国宝「御堂関白記」とともに、滋賀県高島市の筆づくりが紹介されました。番組では、安曇川の流れとともに、筆の制作・販売をする高島市の攀桂堂(はんけいどう)で、巻筆が作られる様子を放映。まさに毛を巻いて作っている様子が分かりましたが、一般的な作り方の筆との違いはご存知ですか?
現代の一般的な筆(水筆(すいひつ)と言います)は、筆先は毛(獣毛)のみで作られますが、巻筆は中心に芯となる毛を立て、その周りを和紙で巻き、さらに数回にわたって毛と紙を交互に巻き付けて作られます。こうした作り方の筆は中国から伝わり、正倉院には奈良時代の巻筆がのこります。江戸時代の末に水筆の製法が伝わってからは、巻筆の生産はごく少なくなっていったようです。
当館では、巻筆を作り続ける攀桂堂の14代目藤野雲平(1999年没、県指定無形文化財)の作を所蔵しています。2021年に高島市で開催した地域連携企画展でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。まひろや道長も、こんな巻筆を使っていたのかなと想像すると楽しいですね。
ドラマでは、まひろが参内して一条天皇と中宮定子に拝謁し、「私には夢があります」と語る場面が印象的でした。一方でドラマ終盤は、藤原隆家が花山院に放った矢により長徳の変が引き起こされるという、かなり不穏な雰囲気・・・。次回以降の展開&滋賀の文化財の登場にも期待です!
「美の城」の歌碑 紙面にどーん!
本日は爽やかな五月晴れ。大型連休のお天気もお出かけには絶好の日和となりそうです。
さて、今日の話題は新聞掲載記事より。ご覧になられた方は「これはいったい何?」と思われたのではないでしょうか。
毎日新聞の滋賀版(地域面)には、月2回企画されているコーナーがあります。それは「名品手鑑(めいひんてかがみ)」。滋賀県博物館協議会の加盟館が執筆を担当し、それぞれの館の収蔵品やイチ押しの「名品」が紹介されています。本日は、その掲載日。今回紹介された名品は、当館の前池(湖中)にある「歌碑」でございます♪
紙面には、灰色で長方形の物体がどーん(!)。細い線で歌が刻まれていなければ、まるでコンニャクのように見えなくも・・・ない?(笑)。詳細は、ぜひ新聞をご覧いただくとして、この歌碑には、大正から昭和にかけて活躍した歌人・吉井勇の歌が刻まれています。
うつしよの夢をうつつに見せしめぬ
琵琶湖のうへにうかぶ美の城
当館の開館(昭和36年)と同時に設置された歌碑。水面に映える美しいお城の建物は、多くの人々を魅了したことでしょう。カメラ的にも「映え」スポットです。今日の歌碑は水鳥の癒しスポットになっているようですが(笑)。 これはコレで萌え~♡
さぁ皆さん、カメラを持って、このお休みはどちらへお出掛けしましょうか。文化館の周りではツツジが綺麗に咲いていて、お散歩がとっても気持ち良いですよ♪
県内ではお祭りや社寺の特別公開なども行われます。
草津市の芦浦観音寺さまでは、春の一般公開が4~5日に催され、普段は当館に寄託されている蝶紋蒔絵花見弁当や菊梅椿紋蒔絵重箱などもご覧いただくことができます。
長浜市の小谷寺さまでは、秘仏ご本尊の如意輪観世音菩薩像が特別開帳(~6日まで)されるとのこと。お楽しみがいっぱいですね。
湖国で素敵な時間をお過ごしください♪