日別アーカイブ: 2025年5月23日

滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第1回 ・・・なだけじゃない!

 5月21日水曜日、開催いたしました~本年度第1回目となる滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」!講座のメイン会場であるコラボしが21(大津市)3階大会議室には、事前にお申し込みをいただいた100名を超える方々がお集まりくださいました♪

 「ご無沙汰です!」「今年もご参加有り難うございます!」「お元気そうで何よりです!」毎年参加いただいている常連さんたちとの再会も嬉しく楽しく、受付でのやり取りにも気合が入ります💪(笑)。

 8割の常連さんと2割のご新規さんに支えられ、滋賀の文化財講座は開催18年目に突入🌟。毎年こんなに多くの方が受講される文化財講座って・・・ちょこっと自慢したくなります♪当館の『宝』の一つでゴザイマス💛。
 開催のご挨拶では、当館の大橋光広館長からも、皆さまへの感謝の言葉が述べられました。

 

 さて、待望の第1回を飾ったのはコヅチに久々に登場:古川史隆主幹(滋賀県文化財保護課兼琵琶湖文化館)です。「近江梵鐘紀行」と題し、私たちにとても身近な(?!)文化財が紹介されましたよ。

 今回の講座の主役:梵鐘(ぼんしょう・平たく言うと寺院にある釣鐘)について、講師は冒頭に「生きている文化財」「現地を訪ねてその空気感を味わえる文化財」と説明されました。そしてスクリーンに映し出された5つの画像。「予備知識なしでご覧ください」と・・・。皆さんどうでした?最初の印象は??・・・う~ん正直なトコロ何が違うのかがワカラナイ・・・そんな顔をされてましたネ(笑)。いえいえ、講座を最後までお聞きくださった皆さんなら、もうわかるハズ!あの地味~ぃなカネ・・・否々、見た目は同じように見える釣鐘ですが、形状や年代、技法、注目すべき龍頭や撞座、伝承の由来などなど、鐘が持っている情報量は(意外と)多い!そんなに違いが(特徴が)あったのかと、驚くばかりです。

 講師は過去に、県内にある国指定文化財、滋賀県指定有形文化財を除く137口の梵鐘について、4年の歳月をかけて調査をされています。(梵鐘は「口:コウ」と数えます。)
 指定文化財以外の梵鐘ということは・・・それこそ個々の特徴や他との“類似性”あるいは"相違点“など、事細かに調べあげた、その経験が、文化財技師としての今の自分を支えている・・・とも言っておられました。調査当時のエピソードやその知識の豊さ・深さは、「ちょっと寄り道」どころの話ではなかったですよね(講座を聴いていた人ならわかる「ちょっと寄り道」)。梵鐘に対して「地味」なんて思っていたことをオ許シクダサイ・・・。。。

 ここに、講師が最後に語った、まとめの言葉を紹介しておきます。

 梵鐘の調査をしていたとき、なぜこんなことをするのか、と聞かれたことがあります。確かに、生活に必須のものではないため、そのような疑問を抱かれるかもしれません。
 文化財は、過去の歴史や文化の証、人類が歩んできた道筋を、今に伝えるものであると思います。そこには、様々な価値観などが内包されています。文化財を守ることは、様々な価値観を認め合うことにつながり、ひいては差別や暴力などを無くすことにつながると思います。そうした社会の実現のために、私は文化財保護の仕事にまい進したいと思っています。

・・・よくぞ言ってくれました!これには運営スタッフ一同が、思わず感涙・嬉し泣き!!(笑)。これが私たちの『打出のコヅチ』です♪♪

 次回の講座は、6月18日「湖国の文化財建造物~新県指定と近年の保存修理状況~」についてのお話です。皆さま奮ってご参加ください🌟

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