月別アーカイブ: 9月 2016

「つながる美」梱包搬出作業

連休の合間をぬって文化館では、滋賀県立近代美術館での展覧会「つながる美・引き継ぐ心」展の梱包・搬出作業が行われています。学芸員さんの邪魔(!)にならないように注意して、作業の現場をこっそり覗かせていただきました。

こちらのお写真、奥の方では文化館と近代美術館の学芸員さんが、木造のお像にライトを当てて、作品の状態をチェックしておられます。20160921比較的小さなお像ですが、実はコレ、皆さんもよくご存知の有名な方です。なかなかレアなショットだと思うのですが・・・(どの辺が?)背面からのチラ見せ具合が・・・(もう少し撮影のウデを上げて?!)。・・・お顔は展示会場でじっくりとご覧くださいネ。
そして、手前にあるのが何か?皆さん、ピンと来ますか?実はコレ、梱包する時にお像を仰向けに寝かせて固定する、担架(たんか)なのですよ。お像の寸法を測りながら、部材をその場で組み立てます。仏さまによって肩や腰が触れる位置を細かく調整するので、言ってみれば唯一無二の特注品、仏さまに最高の寝心地を提供する最強アイテムなのですよ~。

さて、続いてお出ましいただきましたのが、こぢんまり座っておいでではありますが、文化館の収蔵品の中でも1、2を争う重量級:20160921-2寂室元光さまの坐像でございます。こちらは東近江市の永源寺さまご所蔵の寂室和尚坐像(重要文化財)の模造なのですが、修理の際に明らかになった原本と同じ素材、技法、構造で作られたとても貴重な資料です(詳しくはコチラ)。文化館が休館になった平成19年の展示で公開して以来、久々のお出ましです。20160921-4ご本体は優しいまなこにすずしいお顔でちょこんと座っておられますが、塑像で作られているため、見た目以上に重く、運ぶ際には「ふむッ!!」っといつも以上に気合を入れなければなりません。大人4人がかり、チームワークの成せる技に感動すら覚えます。見ていても安心です!

お隣の部屋では、掛軸や屏風など絵画作品の状態チェック、梱包が順調に進んでおりました。今日を合わせて3日間、気の抜けない作業が続きます。
学芸員ではない僕:あきつがお手伝い出来ることは何もないのですが、いつもと違う風景に身が引き締まる思いです。

文化館では梱包された大型の文化財を運ぶ時に、屋外の大階段を使います。秋雨前線が停滞する中、空模様を気にしつつ、「今なら雨が止んでます(=搬出できます)!!」と、akitu学芸員さんに伝えに行くコトを最大の使命として(?)、影ながら応援したいと思います。イヒッ。

   筆:あきつ

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平成28年度 第5回「打出のコヅチ」が開催されました!

15日(木)、滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第5回が開催されました。今回も131名という大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました!

最終回には、県教委文化財保護課の井上優氏をお迎えして、「琵琶湖文化館蔵『琵琶湖図』の構図を読み解く-朝鮮通信使とシーボルト-」というテーマでお話しいただきました。滋賀県に住む者には、よ~く見慣れた琵琶湖の風景。そして、数えきれないほどあるのも琵琶湖を描いた風景画。円山応震筆『琵琶湖図』も、その片隅に繊細な筆使いで朝鮮通信使の一行が描かれている以外、一見しただけでは何の変哲もない風景画です。けれども、よ~く見ると、何かおかしい?これは何??・・・そんな違和感、そして既視感を突き詰めて、これはいったいどこから見た風景なのか?何(どこ)を描いてるのか?という。。。まるで推理小説のような「謎解き」の顛末を、シーボルトのように情熱家でいらっしゃる井上先生から、独特の語り口でお話しいただいたのが、とても印象的な今回の講座でした。
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あのシーボルトも心惹かれ、世界的ベストセラー『NIPPON』の挿図に、構図を採用したフシのある『琵琶湖図』ですから、おそらく参加者の方々の想像力もまた、ひときわ搔き立てられたのでしょう。講演終了後には、質問とともに新たな解釈なども次々と飛び出し。。。盛況のうちに時間切れ。泣く泣くの(?)終了となりました。。。この絵については、まだまだ研究の余地が残されていて、今後の進展が楽しみなテーマであるということですね! いつの日か続編を聞かせていただけるのでしょうか??期待感のおおいに高まる講座でした。

そして、近日公開です!会場でも紹介がありましたが、文化館所蔵の『琵琶湖図』は、栗東歴史民俗博物館の企画展「琵琶湖誕生―日本・世界が見聞した琵琶湖」への出品が決まりました(公開期間:10月8日~11月3日)。この絵は、非常に細かく、精緻に描かれたものですので、みなさま、ぜひ一度、写真でなく実物を、ご自身の目でご確認ください。きっとまた、新たな発見があるはずです。本当に、噛めば噛むほど美味しい~のが、『琵琶湖図』なのですよ!

さて、名残惜しくも今年度の文化財講座(全5回)は、これですべて終了です。延べ564名という、過去最多の参加者の中には、地元滋賀の方ばかりでなく、遠方からお越しの方も少なからずいらっしゃったようで。。。滋賀の文化財への関心は、ますます高まってきているようですね。みなさま、本当にありがとうございました!!

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秋の展覧会

朝晩少し涼しくなって過ごしやすくなりました。もうまもなく食欲の秋です。否!文化・芸術の秋です。
皆さんお気づきになられましたか?文化館のホームページに、展覧会のご案内が追加されましたね~。この秋、滋賀県立近代美術館さんで開催されます「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」のお知らせです!

今回の展示は、近代美術館の若手学芸員さんが中心となって企画を進めて下さったもので、20160915-1jpg文化館からは国宝・重要文化財を含む59件(96点)の文化財が、また県内社寺さまからお借りする宝物なども含め、総計75件(115点)の名宝が、一堂に展示されます。県内でこれだけの展覧会が開催されるのは久方ぶりのことではないでしょうか。みなさん楽しみですね。

そんなこんなで新聞を開くと、昨日今日と2日連続で、僕のよく知る文化財のお写真が目に飛び込んできました。どちらも文化館が大切にお預かりする、お寺さまからのご寄託品です。20160915-2

記事の一つは「つながる美・引き継ぐ心」開催のお知らせ。もう一つは大津市歴史博物館さんの「大津の浄土宗寺院 新知恩院と乗念寺」展のお知らせです。こちらは10/15~11/27の開催となっています。

どことも秋の展覧会シーズンに向けてまっしぐら、みなさんも見に行くスケジュールを組むのが大変ですよ~(笑)。

ということで、休館中の琵琶湖文化館は、まもなく、収蔵品の「貸出しラッシュ」を迎えます。展覧会が開催できるのを羨ましいなぁと思う反面、他館さんが文化館の収蔵品をどのように展示して下さるのか、楽しみでもあります。この機会に是非とも多くの方々にご鑑賞いただけますように、貸し出す側としても日々の業務に一層努めたいと思います。

   筆:あきつ

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お申し込みはお済みでしょうか?「打出のコヅチ」第5回

288-2今年度の文化財講座「打出のコヅチ」もすでに4回を終え、いよいよ次回の第5回で最終回となります。今年度は、これまで以上に多くの方々にご参加をいただき、スタッフ一同、とても喜んでおります。そして、「資料は○○部で足りるかな?」「ゆったりと座っていただけるかな?」「やっぱり会場が狭かったか!な??」など、嬉しい悲鳴を上げておりますよ(笑)。みなさま、本当にありがとうございます!!

さて、前回の講座のアンケートで、「以前とは参加者が変わってきているので、文化館収蔵品の解説を再度企画してはどうですか?」という、と~っても嬉しいご意見をいただきました!確かに、今年はじめてのご参加という方も多く、参加される方のお顔ぶれも少し変わってきたのかなぁと感じておりました。そうですよね。新しい方にもよく知っていただくために。。。よろしいですよね?もっと取り上げても。文化館の収蔵品たち。。。やった~!!

というわけで、ちょっと気を良くして(笑)、文化館モンGOです!9月15日(木)滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第5回のテーマは、「琵琶湖文化館蔵『琵琶湖図』の構図を読み解く-朝鮮通信使とシーボルト-」。講師には、井上優氏(滋賀県教育委員会文化財補保護課)をお迎えいたします!

文化館が所蔵する円山応震筆の「琵琶湖図」7月30日付の毎日新聞でも取り上げられたように、実は今、密かに注目を浴びているのですョ。謎多きこの絵について、新たに打ち出された解釈とはいったい。。。続きは第5回講座で。

講座のお申込みは、滋賀県立琵琶湖文化館(TEL 077-522-8179/FAX 077-522-9634/メールbiwakobunkakan@yacht.ocn.jp)まで、
①お名前、②お住まいの市町名、③連絡先(電話番号)、④参加回、⑤講座のことを何で知ったかを、お知らせ下さい。

多くの方のご来場をお待ちしております!

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瀬田丘陵で古代の蓮が満開!?

この夏、一つだけ心残りとなったことがあります。ブログでも再三ふれております。これで4度目?それは、琵琶湖・烏丸半島の蓮の花が、今年はなぜかあまり育たず、湖面を埋め尽くすほどの蓮花が見られなかったこと。実は文化館の中でもファンの多い、あの風景です。原因もよくわからないままですが、蓮は水の澱んだところに生育するので、これは琵琶湖の水がきれいになったからではないか?という話もあるようで。それならそれで良いのですが。。。でも、やっぱり寂しい。。。

そんな気持ちを察して(?)もしかしたら、仏さまのような方が代わりに用意して下さったのかも知れません。大津市瀬田の文化ゾーンにある滋賀県埋蔵文化財センターで、蓮の花が満開になるというニュースが届きました!!蓮の花と言っても、こちらは古代寺院の屋根の軒を飾っていた瓦の模様のことでございます!

今日から始まるロビー展示「瓦でたどる近江の古代寺院」では、古代寺院の宝庫といわれる近江で出土した貴重な瓦が、多数展示されるとのことです。文化館にも、崇福寺跡出土の複弁蓮華文軒丸瓦2点と四重弧文軒平瓦1点の出品依頼があり、先月下旬に、埋蔵文化財センターの職員さんが集荷に来られました。

崇福寺といえば、その昔、大津に都があったころ、天智天皇の願いにより滋賀里の山中に建立されたという古いお寺。当時は、屋根に瓦を葺くのはお寺ぐらいしかない時代です。仏教の世界を象徴する、蓮の花模様で飾られた瓦を載せたお堂の屋根を、いにしえの都人はどのような思いで見上げていたのでしょうか?

ちなみに、文化館でも昭和49年の「奈良時代の文化」展で、当時、滋賀県で知られていた古代寺院の瓦やその他の出土遺物が勢ぞろいしたことがあります。
それから40年以上もの時が過ぎました。今度の展示では、きっと新しい仲間もたくさん加わり、古代瓦の蓮華文はさらに賑やかに咲きほこっていることでしょう。みなさんも滋賀県埋蔵文化財センターへ、蓮の花を見に行ってみませんか?

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ホームページ8月のアクセス数

194長い夏休みも終わり、今日から9月、新学期の始まりですね。朝の電車には、またまた大きなかばんを持った学生さんたちがドッと乗り込み。。。夏休みの宿題テストがあるのでしょうか?参考書や問題集を広げて、みなさん一生懸命。。。思わず「がんばれ~!」と心の中で応援しておりました!

さて、一方で気になるのは、8月のホームページアクセス数。今朝、一番に確認したところ、こちらは1,502件でした!7月より若干減少気味ですが、世間では「暑くて暑くて、何もする気にならないわ~」という方が多かった中、ホームページを見よう!と行動を起こして下さった奇特な方々がいらっしゃったことに、感謝×感謝です!

検索キーワードで、ちらほら目につくのは、「琵琶湖図」「琵琶湖 図」「円山応震の「琵琶湖図」」、、、ん??これもそうでしょうか?「琵琶湖の絵」。みなさんはもうお分かりですよね?!今月の文化財講座でも取り上げられる、文化館収蔵品、円山応震筆「琵琶湖図」のことに違いありません!(と断言する私。)新聞にも大きな記事が掲載され、作品について、また講座について調べて下さっているのでしょう。もちろん、こんなのもありますよ!「ウチデの小槌 滋賀」。

こういったキーワードを見つけると、みなさまが、たとえ学生さんでなくても、各自で夏休みの自由研究のテーマを見つけて、頑張って(楽しんで?)いらっしゃる様子がよ~く伝わってきます。文化館の収蔵品や活動がそのきっかけになっていると思うと、本当に嬉しいことです!

ところで、「文化館は最近目立った動きがないなぁ」と思われている方もいらっしゃるかも知れません。確かに少々鳴りを潜めていたかも?でも、ひそかに頑張っていたのです。
実は、このホームページの「収蔵品公開情報」に、こっそりと(?)掲載いたしましたが、今年度最大のイベントといってもよい、県立近代美術館での展覧会が10月から始まります。で、それに向けて、当館の学芸員さんたちも、出品する仏像や絵画作品の入念なチェック、そして図録の解説原稿の執筆などに、汗を流しながら大忙し!!だったのです。

osiro展示会のチラシ・ポスターが出来上がったら、ホームページでも詳しくお知らせいたしますので、みなさま、またご覧下さいね。では、9月もどうぞよろしく!

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