月別アーカイブ: 5月 2017

「湖南 花の寺と磨崖仏めぐり」2017

湖南市では毎年、4月から6月にかけて「湖南 花の寺と磨崖仏めぐり」と題した一連のイベントが行われています。
イベント期間中には花の名所として知られる市内4ヶ所のお寺様(西應寺、正福寺、長寿寺、善水寺)の桜やハギ、サツキなどが見頃を迎え、湖南の仏教美術の一つの特色である、境内や周辺に所在する「摩崖仏(まがいぶつ)」とともに拝観することができます。また近くの岩根山を歩くトレイルウォーキングイベントなどもあわせて開催されます。
また一部期間に限ってですが、それぞれのお寺様では寺宝の特別公開が行われます。当館では、これに伴ってお預かりしている正福寺様の「鰐口」(滋賀県指定文化財・鎌倉時代)を、一時返還させていただきました。正福寺様ではこのほかにも、湖南市指定文化財の「山越阿弥陀如来画像」や「十三仏画像」が公開される予定です。(公開期間は6月1日(木)から6月7日(水)まで。※そのほか詳細についてはコチラをクリック)。
これを機会に是非、自然の美しさとともに湖南の仏教美術の魅力にもふれていただきたいと思います。

学芸員W

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平成29年度 第1回「打出のコヅチ」が開催されました!

「五月晴れ」というのは本来、梅雨の間の晴れ間のことを言うそうですが、今では、新暦5月の晴天のことを指すようになっていますよね。昨日のお天気は、まさに今風の方の「五月晴れ」。雲一つない青空が、まるで文化財講座「打出のコヅチ」第1回目の開催を祝ってくれているような感じもしました!! 講座の参加者は113名。中には「お天気がとても良いので出かける気分になりました」と言って来て下さった方もいて。。。本当にお天道さまと、ご参加いただいたみなさまに、感謝!! の一日でした。

さて、今年度第1回目の「打出のコヅチ」は、滋賀県教育委員会文化財保護課の古川史隆氏を講師に迎え、「金剛輪寺・十二神将像の魅力に迫る-平成28年度滋賀県新指定文化財より-」と題して、お話いただきました。
滋賀でも有数の古刹、金剛輪寺・護摩堂に安置されている十二神将像は、鎌倉時代中期の慶派仏師に連なる者の作と考えられ、その身体表現や表情などが優れており、数ある滋賀の十二神将像のなかでも、優品として高く評価されています。
講座では、京都・奈良など各地に残る作品との詳細な比較により、その特徴を捉え、また制作時期を押さえていくという、美術史の王道を行く研究方法も、写真をふんだんに用いた説明で、初心者の方にとってもわかりやすく、よくご理解いただけたのではないでしょうか?

実はこのお像たち、昭和52年に金剛輪寺で火災が発生した時の混乱で、手足の部材が脱落するなどの損傷に見舞われたそうです。その後、30年以上の時を経てようやく、当時のご住職が書付に残した「後の時代の修理を願う」という思いが叶い、平成25年から3年をかけての保存修理を経てほぼ元の姿に蘇り、今年3月に滋賀県指定文化財として指定されるに至ったそうです。こういったお話を伺うと、文化財を守り伝えていくことの大切さと難しさについて、改めて考えさせられます。。。

講座後のアンケートの中には、「今まで何とも思わず見ていたものに興味を持つようになった」「専門家により説明をうけて滋賀県の魅力が得られた」などの嬉しい感想が!ご参加いただいた皆様にも大変満足していただけたようです。

次回は6月15日(木)、県教委文化財保護課・松下浩氏をお迎えして、「究極の城 彦根城」というテーマでお話いただきます。今年は彦根城築城から410年ということで、盛り上がっていますね。講座でも、ホットな話題をお聞かせいただけるのではないでしょうか?お申込みは電話・Fax・E-mailで琵琶湖文化館まで。多くの方のご参加をお待ちしております!

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寿が結んだご縁

「小生、百壽図に興味を持っています」。
先日このようなメールをいただきました。インターネットで当館所蔵の「寿字群仙図」をお知りになり、それがどのようなものか、興味を持ってお問い合わせ下さったのです。
どれどれ、当館のホームページに確か紹介が・・・ない!掲載されてない!これは不覚!!失礼いたしました。。。

当館の「寿字群仙図」は、全体的に赤を基調に描かれ、「寿」の文字を画の中央に大きく配し、字の中に多くの仙人たちが生き生きと描かれている掛軸です(作者不詳)。「寿」「不老不死の仙人」「赤色」という「ハレ」の文化を体現した目出度さもあり、文化館では年明け、新年を寿ぐテーマ展などで展示をしていました。当時、学芸員さんが展覧会開催を告知する記者発表資料として、目出度さが「これでもか!」とわかるくらいの派手な写真を・・・ということで(笑)選ばれた写真が、この「寿字群仙図」でした。展示室に入ってすぐに目に飛び込んでくる鮮やかな朱色の大幅を、僕もよく覚えています。

さて、お問い合わせいただいたきっかけは「百壽図」でした。想像しておられたものとは少し違いましたか?それでも今回のやり取りを経て、『大変綺麗な図です』『また一つ、知見が得られました』と喜んでいただけたご様子のお返事をいただきました。聞けばはるばる関東地方からお問い合わせいただいたとのこと。「寿」がきっかけで結ばれたこのご縁、こちらも勉強させていただきました。有り難うございました。
現在休館中の当館では、皆さまに実物をご覧いただく機会がなかなか無いのが心苦しいところ。ですが、『新しい美術館の素晴らしい開館を御祈念申し上げます』と結んでいただいた今回のお問い合わせのように、次につながる「ご縁」を大切にしたいと思っております。

当館の「寿字群仙図」は、平成27年度に絵絹の糊離れから生じる「浮き」や「横折れ」などを修復し、準備万端、完全な状態で再び皆さまにご覧いただく日を心待ちに・・・今しばらく待機中です。

筆:あきつ

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お申込みはお済みでしょうか?「打出のコヅチ」第1回

いよいよ来週に迫りました!来たる5月18日(木)13時30分より、コラボしが21(大津市打出浜2-1) 3階大会議室にて、平成29年度滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第1回を開催いたします。皆さま、お申込みはもうお済みでしょうか?

今年度の「打出のコヅチ」第1回目は、「金剛輪寺・十二神将像の魅力に迫る―平成28年度滋賀県新指定文化財より」というテーマで、滋賀県教育委員会文化財保護課の古川史隆氏を講師にお迎えしてお話いただきます。

十二神将とは、薬師如来様のまわりを固め、しっかりとお守りしているあのマッチョな(!!)武装神集団のこと。奈良・新薬師寺の国宝・十二神将像が有名ですが、滋賀の寺院にも数々のすばらしい作品があります。中でも、湖東・金剛輪寺の十二神将像は、県内に伝来する十二神将像のなかでも指折りの優品に数えられるとか。ちょうど昨年の今頃、地元の愛荘町歴史文化博物館で行われた特別展「十二神将と四天王-武将形の守護神-」で、修理を終えたばかりのお像がお披露目されたので、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回の講座では、平成29年3月にこの金剛輪寺・十二神将像が滋賀県指定文化財となったのを機に、講師の先生より改めてその魅力について語っていただくこととなりました。指定に至るまで文化財担当者として携わってこられた方ならではの、秘話を聞かせていただけるかもしれませんね。

講座のお申込みは、滋賀県立琵琶湖文化館まで、
TEL:077-522-8179/FAX:077-522-9634
または、メール:biwakobunkakan@yacht.ocn.jpで、
①お名前
②お住まいの市町名
③連絡先(電話番号)
④参加回(他の回と合わせてのお申込みも出来ます)
⑤講座のことを何で知ったか
を、お知らせ下さい。

今年度も、多くの方のご来場をお待ちしております!

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名古屋で出会う

 皆様、連休は楽しく過ごされましたか?どこかへ行かれました?もしかして、出かけた先で文化館の収蔵品に出会われませんでした?実は私、この連休を利用して名古屋に行ってきました。お目当ては、徳川美術館・名古屋市蓬左文庫で開催されている春季特別展「金と銀の国 ジパング-輝きときらめきの美術-」展です。この展覧会に、文化館が浄厳院様からお預かりしている厨子入銀造阿弥陀如来立像(重文)が展示されているのです。

 当日は、大型連休ということもあり、多くの方が美術館に足を運んでおられました。家族連れから年配のご夫婦、カップルやお友達同士で見に来た若い人。外国人観光客の姿も!中に入ると、多くの方が展示ケースの中を熱心にのぞいていらっしゃいました。
 尾張徳川家のコレクションを所蔵するこちらの美術館の所蔵品の中には、興味が引かれるものがいっぱい!今女子に人気の日本刀の特集展示もあり、日本刀が多く展示されていました。説明を読みながら、その奥深さにため息が出てきました…。
 さて、お目当ての厨子入銀造阿弥陀如来立像ですが、数ある展示室のひとつの入り口を入ってすぐの所におられました。その名の通り厨子に入った阿弥陀如来様で、そのお姿は本当に小さいのですが、すぐに目を引く存在感がありました。金のような華やかさはないけれど、渋い落ち着いた姿がとても厳かです。金を主題にしたその他の作品も、決して華美すぎないものが多く、日本人の美意識を存分に楽しめる展覧会でした。

 徳川美術館・名古屋市蓬左文庫の「金と銀の国 ジパング-輝きときらめきの美術-」展は5月28日まで開催されています。皆さま機会があればぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか?(残念ながら、日本刀の特集展示は5月7日で終了しているようなので、お気をつけください。)

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ホームページ4月のアクセス数

今日は大型連休の合間の月曜日。道行く車には他府県ナンバーが増え、琵琶湖の沖にも釣り舟が増え、たくさんの方が滋賀で休暇を過ごされているようです。文化館の脇でも、ほら、亀の親子がのんびりと甲羅干ししていましたよ。亀と一緒にのんびりした~い!という誘惑にかられながらも、今日は大事な月初め。ワタクシのんびりしているわけには参りません。

そうです。月はじめのご報告、ホームページのアクセス数です!4月のアクセス数は1,266件。年度当初はちょびっと少なめの数からのスタートとなりましたが、平均ページビュー、平均サイト滞在時間は先月よりも伸びています。

検索キーワードとしては、まずは「日吉山王祭礼図屏風」。この屏風は当館の収蔵品で、今年度は7月の「打出のコヅチ」でも取り上げる予定ですが、4月に山王祭が行われた関係でお調べ下さったのかもしれませんね。お役に立てたなら嬉しいです。それから「打出のコヅチ」も急上昇!5月からの開催に向けて、お調べいただいているのでしょうか。実際、お電話やメールでのお申込みの際にも、「ホームページをみました!」というお声をたくさんいただいております。その、何気ない一言が、無性に嬉しい今日このごろです。。。

ところで、このところ世間でなにかと注目されている「学芸員」。英語ではキュレーター(curator)と言い、cure(治療)と同じく、その語源はラテン語のcūrāre(世話する)にあるということです。なるほど、学芸員は専門知識をもってモノのお世話をいたしますが、それに加えて、近ごろは博物館や美術館の持つ幅広い機能(そこには「癒し」も含まれるそう!)に注目が集まり、収蔵するコレクションを通して、ヒトのお世話をすることも大事なお仕事になっています。そして、そのヒトというのが、同時代のヒトだけでなく、将来のヒトをも視野に入れているのがまた、学芸員のお仕事の特色なのでしょう。

このブログでは、以前から文化館そして学芸員の日常を話題としてきましたが、今後も機会があれば取り上げて、みなさまに学芸員や博物館のお仕事、役割をより深く知っていただけたらなぁと思っています。というわけで、5月もぜひ「あきつブログ」をよろしくお願いいたします!

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