月別アーカイブ: 6月 2018
滋賀県博物館協議会総会 ヤンマーミュージアムにて
先日、平成30年度滋賀県博物館協議会(県博協)総会が、長浜市のヤンマーミュージアムで行われました。
県博協は、県内の博物館施設(美術館・資料館なども含む)相互の連絡を図り、博物館活動を通じて県民文化の振興に寄与するために、公私の別・規模・分野などさまざまな特色ある博物館が協力して活動しており、現在70館が加盟しています。総会では、昨年実施された「県博協創立35周年記念事業」の報告や、今年度実施の広報計画、学芸員の研修事業、活性化事業などの予定が報告されました。加盟館が一堂に会するこの総会では、各館の取り組みなども紹介され、刺激を受けることも多く、大変貴重な機会となっています。
そして総会終了後には、会場館となったヤンマーミュージアムの館内を見学させていただくこととなりました。参加していた加盟館からは思わずこんなつぶやきも・・・「滋賀県にこんな施設があった?!知らんかったわ~ビックリや!」(笑)。それもそのはず、5年前に開館したばかりの新しい施設の中は、今ドキの体験型ミュージアム!屋上にはビオトープ、館内では大きなディーゼルエンジンが実際に動いたり、本物のショベルカーを操作出来たりと、大人も子どもも楽しめる工夫が随所に盛り込まれていました。これまで「見せる」展示を行ってきた既存館にとっては衝撃の展示内容・・・まさしく「滋賀県にこんな施設があったのか?!」状態です。ともあれ、働いておられるスタッフの皆さんの笑顔がステキで、県内にこのように元気(!)なミュージアムがあることは良い刺激となり、県全体のレベルアップにもつながれば、と思います。
ところでヤンマーさんといえば、その創始者である山岡孫吉さんは、昭和36(1961)年、琵琶湖文化館開館式の式典で、テープカットをして下さった来賓の一人です。そのご縁で文化館的には、山岡氏の生い立ち、偉業、功績を称えた「山岡孫吉記念室」の展示が、一番グッとくるものがありました。良いご縁を結んでいただき、ありがとうございました。
筆:あきつ
滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第1回
梅雨空の合間を縫って開催されました、今年度第1回となる滋賀の文化財講座「花湖さんの打ち出のコヅチ」。会場となったコラボしが21の受付には、当講座のニューフェイス「花湖さん」もパネルでデビューを果たし、関係者一同、受講に来られた130名の方々をお迎えいたしました。「開催を待ってたよ」の一声に、私たちも笑顔で気持ちを引き締めたところでございます!
そして始まりました今回の講座は『日野町 馬見岡綿向神社の巨大絵馬-平成29年度 滋賀県新指定文化財から』という演題で、滋賀県教育委員会文化財保護課の矢田直樹氏にお話しいただきました。
「絵馬」といっても私たちがお願い事を書くあの絵馬とは違いますよ?!馬見岡綿向神社さんにある絵馬は、縦206cm横422cmの巨大絵馬。講座会場で使っているスクリーン(縦230cm横305cm)の横幅よりも大きいのです。
その巨大絵馬に書かれているのは、「祭礼渡御(とぎょ)」図です。祭礼渡御とは、ご神霊が神輿などでお旅所等に巡幸する事。絵馬には、日野のシンボルである「蒲生氏」が登場し、当時の日野の人たちが理想とした「日野祭」が描き込まれた壮大な『歴史絵巻』が繰り広げられているとのことです。(講師曰く、この絵馬の中には少なくとも315人もの人物が描かれているそうです!)描かれた様々な芸能は、蒲生郡周辺で行われている現在の祭礼にもつながっていることを、民俗文化財担当の矢田さんらしい切り口で、写真で詳しく説明して下さいました。
この絵馬の素晴らしいところは、その大きさもさることながら、江戸時代に製作され200年以上経てなお保存状態が良好な事、作者がはっきりしていること(谷田輔長)。何より日野商人に代表される地域の人々の氏神への篤い信仰と、祭礼行事の隆盛、地域の繁栄に対する願いが込められた民俗文化財であることが、県の文化財として指定された理由の一つであるとのことです。現在の日野祭に通じる歴史的変遷の過程を研究する上でも、とても貴重な資料と言えますね。
また、今回の講座には、馬見岡綿向神社の宮司さまも参加されており、最後に「是非実物を見て欲しい。自分が子どもの頃は絵や文字がもっと鮮明であった。県指定にもなり保存にも力を入れていきたい。地域の誇りとしてこの絵馬を伝えていきたい。」とお話し下さいました。
さぁ、今回の講座に参加して(このブログを読んで)、絵馬のある馬見岡綿向神社さんに行きたくなった人!(ハイッ!)。
馬見岡綿向神社さんでは、6/30(土)午後8時より夏越の「大祓」が行われます。献灯の灯りがともり、紙で作った人形に罪・ケガレを移して祓い清めて下さるそうです。一般参加も可能!是非この機会に訪れてみてはいかがでしょう。
筆:あきつ
観音さまを知る講座
季節は梅雨時です。空気はドヨ~ン・・・気持ちもドヨ~ン。。。いまいちパッとしない日々が続きますが、こんな時には知的好奇心に磨きをかけましょう~。
ということで、今回紹介するのは、「観音さま」にまつわる講座です。数多くの観音さまが伝わる近江。観音さまは、地域に密着したもっとも親しみやすいほとけさまの一つとして、仏教絵画や仏像彫刻など様々な形で人々に信仰され、守り伝えられてきました。今回の講座では、『近江に広がる観音様の景色-古美術から探る観音信仰の諸相-』をタイトルに、3人の講師が様々な角度からお話をされます。
① 6月23日(土) 描かれた観音様 滋賀県立琵琶湖文化館 渡邊勇祐
② 7月 7日(土) 湖北の観音様 長浜市立長浜城歴史博物館 秀平文忠氏
③ 7月21日(土) 観音信仰の諸相 滋賀県立安土城考古博物館 山下立氏
この講座は、龍谷大学が市民向けに開催している生涯学習講座(RECコミュニティカレッジ)の一つとして、瀬田キャンパスのRECホールで開講されます(受講料必要)。WEBでの募集は終了となっていますが、電話でのお申し込みは受け付けておられるそうです。気になる方は、龍谷エクステンションセンター滋賀:077-543-7848にお問い合わせ下さい。(講座ナンバー「SB12」とお伝えください。)
梅雨時の雨にも負ケズ、恵みの雨と感謝して、観音さまのように微笑みをたたえて毎日を過ごしたいものですね。
筆:あきつ
「花湖さんの打出のコヅチ」第1回のご案内
いよいよ今月から、平成30年度滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」が始まります!みなさま、お申込みはもうお済みでしょうか?
今年の講座について、すでにチラシやホームページでの案内をご覧になられた方も多いかと思いますが。。。コヅチ参加の常連さんならお気づきでしょうね?これまでとは何かが違います。そう!実は、今年の講座タイトルには、「花湖さんの」という言葉がついています。「花湖さん」というのは、この文化財講座のネーミングライツパートナーとなっていただいた、株式会社国華荘さん(大津市のおごと温泉で旅館「びわ湖花街道」を経営されています)が付けて下さった愛称なんですよ。
ネーミングライツ(命名権)というのは、一般に、公共施設などに企業名や商品名などを冠した愛称を付ける権利のことで、滋賀県ではこれが6件目となります。その中で初めて、(施設ではなく)講座・イベントに対して付けられたのが「花湖さんの打出のコヅチ」なんですよ!ご縁あってパートナーとなっていただいた国華荘(びわ湖花街道)さんとともに、文化財講座「打出のコヅチ」が、みなさまにより一層親しまれるものになれば良いな~と思っております。
ところで、この「花湖さん」は、びわこ花街道さんのイメージキャラクター(看板娘)でもあって、ご覧の通り、矢羽絣に紺袴という昔の女学生スタイルをした、古風な感じの(←ココがいいでしょ!)可愛いお嬢さんです。公式プロフィールには書かれていない、ここだけの話ですが、、、実は彼女、密かに”変身の術”を持っているようです。チラシやホームページ用に国華荘さんからいただいた花湖さんのイラストには仕草や髪飾りなど、TPOに応じていろいろな組み合わせがあるんです!その中から、「表情はどれにしよう?」「ちょっぴり笑顔がよい加減?」「吹出しはピンク色かな?」など、「あーでもない」「こーでもない」と言いながら組み合わせて、できあがったのが今回の「花湖さん」です。文化館キャラクターの「あきつ君」とともに、皆さん、ぜひぜひ可愛がってくださいね♪♪
さて、その記念すべき「花湖さんの打出のコヅチ」第1回目は、6月21日(木)に教育委員会文化財保護課の矢田直樹氏をお迎えして、「日野町馬見岡綿向神社の巨大絵馬-平成29年度滋賀県新指定文化財から-」というテーマでお話いただきます。講座の詳細についてはコチラから、また、お申込みには講座申込み専用フォームをご用意いたしましたので、そちらもぜひご利用下さい(電話・FAXでも受け付けております)。それでは、たくさんの方のご参加をお待ちしておりま~す!
紫陽花づくし
今週初めに、東北でも梅雨入りをして、梅雨入り宣言のない北海道をのぞいて日本列島は本格的に梅雨の季節となりました。梅雨の花の代表ともいえる紫陽花たちも、「待ってました!」と言わんばかりに、そこかしこで咲きだしたのを見かけるようになりました。
文化館の近くでも、青・白・紫と色とりどりの紫陽花が咲いて、道行く人々の目を楽しませています。ちなみに紫陽花は土壌の酸性度によってその花の色を変えるそうですが、文化館の敷地内には、こんな鮮やかな赤色の紫陽花が咲いています。様々な色をつける紫陽花はまさに七変化!です。
さて、生花ばかりではありません。当館に所蔵されている紫陽花も多種多様に表現され、七変化に磨きをかけます。まずは、江戸時代に描かれた「花卉図」。こちらは6曲1双の屏風で、一面一面に数々の草花が描かれ、その中に大輪の紫陽花が描かれています。屏風の中心に白にも薄青くも見える花は、どこか瑞々しく感じます。
そして、こちらの湖東焼の鉢にも紫陽花が描かれています。先ほどの屏風とは違って、側面に控えめに一輪の紫陽花が描かれています。濃い紫色の蕾と白い萼片が描かれていて、これはガクアジサイなのでしょうか?現在よく見かけるセイヨウアジサイとは少し違うのがわかります。
最後は、滋賀県出身の谷口幸珉の「金銅製紫陽花文壷」です。一見するとどこに紫陽花があるの?と思いますが、何と金色のところをよく見ると、小さな萼片たちが密集して描かれた紫陽花模様であることがわかります。前二作と違って、紫陽花を幾何学的な模様として使った作品です。
紫陽花ひとつをとっても、作者によってまったく違う表現に変わります。皆さまもこの時期だけの楽しみとして、紫陽花の七変化を見付けてみてくださいね。
ホタルのヒカリ
5月下旬頃から、県内で「今年もホタル乱舞」のなんとも季節感あふれる情報が飛び交っています。1年でわずかの期間にしか見ることができない、この貴重な体験を「見逃してはなるまい!」と、仕事帰りに近所の小川へ見に行ってきました。
その日は、雨が降り出す前の蒸しっとした空気で、風もなく、絶好のホタル鑑賞日和。。。時間も狙い通りの午後8時! (見頃は夜の7:30~9:00頃なのだそうです)、川の緩やかな流れのところにホタルはいました!しかもたくさん!ホタルは、ゆ~ったり、の~んびり、明るく点滅を繰り返していたので、ゲンジボタルかな?子どもの頃から、ホタルは結構当たり前に見られるものだと思っていましたが(世間的には田舎と呼ばれる地域に住んでいます)、皆さんの近くではどうですか?
実は、当館の館蔵品の中にも「蛍図」という作品があります。作者の塩川文麟(しおかわ ぶんりん)は、江戸時代末期から明治時代初期にかけて活躍した日本画家です。雨に煙った風景や暮かけてぼんやりした風景を得意としていたようで、もしかしたらこの夏が始まる前の空気感も得意だったかもしれませんね。
現代なら、ホタルが発する淡い光を、「蛍光色」で表現できる絵の具やマジックはたくさんあります。しかし、この「蛍図」は、絹地全体に薄墨を施して夜景の雰囲気をつくり、ホタルにのみ彩色が施されています。ちょっとアップにしてみるとこんな感じ→。
ホタルの頭の部分に赤い絵の具を、発光する光は淡い黄色を彩色することで表現されています。水墨画の中に描かれることにより、ホタルの儚さがより感じられるようです。
ホタルの見頃も、桜のように南から北へ北上するそうです=ホタル前線!そろそろ季節は、光の点滅が早いヘイケボタルにバトンタッチ?滋賀ではまだまだホタルを楽しめそうです。
筆:あきつ
ホームページ5月のアクセス数
日本列島の西の方からは早くも梅雨入りの声が聞こえてきましたが、文化館のある大津では6月に入ってから、意外にも?爽やかな青空が広がっています。梅雨を前にして「今のうちに!」なのでしょうか?文化館の周りではこの頃こんな方々が風通しをされていましたよ!まずは、こちら。いつもは琵琶湖の水中にいるカメさん達です。仲の良い3匹はご家族でしょうか?
そして、屋根の上を見上げると、トンボのあきつ君も羽根を大きく広げて、青空に向け軽やかに飛び上がろうとしています!みなさん今日は、爽やかな気持ちのいい日々を満喫されているようです。
さて、お待たせいたしました。気になる文化館ホームページ5月のアクセス数です。こちらはなんと!先月よりも大幅に増加し、1,904件のアクセスとなりました。ユーザー数も増えているんですよ!嬉しいことです!実は5月には、新聞記事にプレ講座のことや、文化館の開館当時のことが、大きく取り上げられたので(ご覧いただけましたでしょうか?)、それをきっかけにホームページにアクセスいただいた方が多かったようです。みなさま、どうもありがとうございました!
ところで、近頃の傾向として、文化財講座へのお申込みについて、メールでお申込みされる方が増えたように思います。ということで「講座申込み専用フォーム」をご用意しました!!これで、更に便利に気軽に、お申込みいただけます!もちろん24時間受付可!皆さん是非ご利用下さい!
文化財講座の方は、いよいよ6月から本編「花湖さんの打出のコヅチ」が始まります。先日、刷り上がったチラシ(初夏らしくグリーンが基調です)を、県内各地の博物館・図書館などに送らせていただきましたので、お近くの施設等で見かけたら、ぜひお手に取ってご覧くださいね。
では、これからも文化館の活動をどうぞお楽しみに。そして最新の情報について、ホームページでのチェックもお忘れなく!