日別アーカイブ: 2018年9月20日

彼岸花

毎年、この時季によくぞ忘れずに咲くものだと感心するお花があります。皆さんの目にも留まりましたか?そう、ヒガンバナです。今年は猛暑だ酷暑だ台風だ!!と気候面では異例づくめの夏でしたが、このお花は自分が咲く時を、しかりと心得ているようです。
と、ここで僕の文化館的思考回路に何かが引っ掛かります。近頃のブログでは、季節を感じられる作品を、館蔵品の中から紹介するようにしています。その時に頭を悩ませるのは、「旧暦」と「新暦」の違いから起こる季節感のズレであることも、書いたと思います。旧暦の風習や行事を新暦で紹介すると、どうしても感覚的に違和感が残ります。では何故、ヒガンバナのイメージは「彼岸」からズレないのか???

ちょこっと調べました。今年の秋のお彼岸は、現在の暦(新暦)で9/20~9/26、旧暦では8/11~8/17日となりますが・・・否!見るべきはそこではない!お彼岸は、春分・秋分の日を境に7日間。春分・秋分は昼と夜の長さが同じ日、太陽が真東から上って真西に沈む日なのです。それは新暦であろうが旧暦であろうが太陽の位置で見れば同じ日なのです。だから昔も今も、ヒガンバナは「お彼岸」に咲く花!なのですよ~。ちょこっとスッキリしました?!。

いつもならここで、文化館の収蔵品の中から見事なヒガンバナの作品をご紹介・・・したいところなのですが、実は文化館にある近世絵画の中に、ヒガンバナを描いた作品が見当たりません。ヒガンバナは別名:曼殊沙華(まんじゅしゃげ)とも言いますが、毒性があり、死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、などと呼ばれたり、「家に持ち帰ると火事になる」という迷信が今も残っています。これらのイメージから、縁起を担ぐ日本人の好みには合わなかったのかもしれません。例えどんなパトロンでも「御家が火事になる絵を描いてくれ」というオーダーはしなかったでしょうし、有名な絵師の作品でも売れなかったことでしょうね。

一方でヒガンバナは、ネズミやモグラ除けとして田のあぜ道などに人為的に植えられるなど、その活躍ぶりは見過ごせません。また、鮮やかな「赤」は、めでたい兆しとされることもあります。子どもの頃、彼岸花で首飾りを作るのが楽しみでした(作った後は絶対に「手を洗いや!」と叱られた・・・とか、大きな花束にして持って帰っても家の花瓶に飾って貰えなかった・・・ことなどは、今となってはかわいい思い出です)。なにより、私たちに季節を感じさせてくれる、とても繊細で綺麗なお花です。

そんなヒガンバナに思いを寄せて、今日9月20日は「彼岸の入り」でございます。

筆:あきつ

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