月別アーカイブ: 11月 2018
講座のお知らせ:語り部になってみませんか?
先日、新聞の見出しに「湖国の観光客3年連続最多更新」という記事が載っていました。インスタ映えのスポットが人気になっていることもあり、近年観光客が増えているようです。そんな滋賀県には、多くのすばらしい文化財があります。全国から、あるいは、海外からいらっしゃった方に、滋賀の豊かな文化財について知ってもらいたい、教えてあげたい…と活動されている方、滋賀の魅力を伝えたいと思っている方々にピッタリの講座をご紹介します。
この講座は、地域に伝わる文化財を学び、伝えていく人材を育成していくことを目的とした『滋賀の美と祭りのこころを伝える語り部づくり事業』(滋賀県教育委員会主催)の一環として開催されるもので、今回は「日吉大社で文化財観光活用を考える」をテーマに、12月9日(日)に日吉大社で開催されます。
【内 容】専門講座「文化財の観光活用-展望と課題-」
講師:毛利憲一氏(平安女学院大学 国際観光学部教授)
実践発表「日吉大社における文化財活用の取り組み」
発表者:矢頭英征氏(日吉大社 禰宜)
現地文化財学習(日吉大社境内での文化財見学等)
【日 時】平成30年12月9日(日) 13:00~16:00
【集合場所】日吉大社 日吉会館
(大津市坂本5丁目1-1)
【募集人数】50名 ※事前申込み制・先着順
【主 催】滋賀県教育委員会
【協 力】日吉大社 近江歴史回廊倶楽部
【申込み先】滋賀県教育委員会事務局文化財保護課
(美術工芸・民俗係)
TEL:077-528-4672
FAX:077-528-4956
メール:ma07@pref.shiga.lg.jp
※氏名・住所・電話番号・メールアドレスを記載のうえ、お申し込みください。
【そ の 他】参加費は無料ですが拝観料(一般450円)が必要となります。
雨・雪天決行(暴風警報発令の場合は中止となります)
講座を担当される毛利憲一先生は、京都で唯一の観光学部専任教授ということで、文化財の観光活用について、最新の動きや、今後の展望と課題について教えて頂きます。また、会場となる日吉大社さんは、日本遺産の認定などをきっかけに、積極的に文化財を活用して広く発信しようとされており、全国的な注目を集めています。そんな日吉大社さんで観光を視野に入れての文化財活用に取り組んでおられる、矢頭英征氏からお話しをうかがい、座学の後、境内の国宝建築等の文化財を見学しながら、活用の工夫について学ぶことが出来る内容となっています。
地域の文化財を守り伝えていく「語り部」さんにも、なるほど文化財の観光活用について気軽に学べるとても貴重な機会ですので、皆さま、ぜひともご参加ください。(申込み先は、県教委文化財保護課です。琵琶湖文化館ではありませんので、ご注意下さい。)
なるほどミュージアム
みなさんはご覧になりましたか?25日(日)の夜にびわ湖放送のローカル番組で、「なるほどミュージアム滋賀」という番組を放送していました。 今回のテーマは「文化財」。なるほどこれは見ねばなるまい・・・と、テレビの前に陣取りチャンネルを合わせてみると、滋賀の文化財講座でもお馴染みの講師:県教委文化財保護課の井上優氏がスタジオゲストでお話されているではありませんか!番組内容も、滋賀県に住む私たちにとって、とても身近で面白い内容だったので、少し紹介しておきましょう。
先ずは冒頭に、滋賀県は国宝・重要文化財の指定件数が、東京、京都、奈良に次いで全国第4位!の多さであるというお話しから、その理由の一つとして日本の仏教の原点ともいえる天台宗総本山比叡山延暦寺さんの存在や、長浜で天災や戦火をくぐり抜けて守られてきた仏さまのレポート、県内のさまざまな仏像の見方や楽しみ方が、紹介されていました。
井上氏のコメントの中には、「滋賀には地域の皆さんに受け継がれてきた『守り伝える文化』がある。これが滋賀に文化財が多い理由の一つ」「その価値をみんなに知ってもらってそれを地域の活力に変えていかなければならない」と熱く語っておられたのが印象的でした。なるほどそのとぉり!!
そして番組内容とは別に、実はすごく気になったことがあります。それはスタジオのセットに用意された、ある2点。1つは仏像の彫刻模型で、番組の中でも「井上さんにそっくりですね」とイジられていたので、皆さんもお気付きになられたかと思います。こちらの模型は普段文化館でお預かりしており、「まさかのテレビ出演!」を、ちょっと微笑ましく見ておりました(笑)。もう1つは、後ろの棚に置かれていた水色が目立つ本・・・見たことある。。。 そう!あれは2014年に発行された「1冊でわかる滋賀の仏像 文化財鑑賞ハンドブック」(発行:サンライズ出版)です!このハンドブックは、県教委文化財保護課さんが企画・編集をされていますが、発刊に際しては当館も協力させていただいており、非常に思い入れのある1冊です。何より分かりやすい!仏像の“いろは”はもちろん、県内の様々な仏像が多数掲載されていますので、是非お手元に置いていただければと思います。
今回放送された番組「なるほどミュージアム滋賀」は、後日YouTubeで動画配信されるそうです。見逃した方は、是非チェックしてみてください。
筆:あきつ
60年前の大津
当館は、滋賀県大津市にありますが、この大津市の市制120周年を記念した企画展が、大津市歴史博物館で開催されています。その名も「60年前の大津」展です。ん?120周年で60年?これは市制60周年を迎えた昭和33年(1958)当時の広報誌や市制60周年記念誌などを手掛かりに、昭和30年代の大津の古い写真や資料から、高度経済成長期を迎えて急速に変化する大津市の移り変わりを振り返る展示になっているのです。そう、昭和30年代といえば、当館が開館した(昭和36年)頃です。「文化館の写真もあったよ」との情報を得て、これは見逃してなるまい・・と会場へお邪魔させていただきました。
※このブログでは当時の雰囲気をお楽しみいただくため、当館が昭和36年以降に撮影した大津市内のモノクロ写真を紹介します。
展示室は、昭和レトロを感じさせる白黒の写真パネルがいっぱい。琵琶湖岸の埋め立てや山の手の開発、公共施設などの整備がどんどん進められていった時代。写真は、勢いというか、エネルギー溢れる当時の様子を伝えていました。写っている人々の顔もとてもハツラツとしています。そして・・・ありました文化館!あっちにもこっちにも!琵琶湖文化館のコーナーも作っていただいてましたが、街を見下ろす遠景写真の中にも、埋め立てが進む湖岸の風景にも、チラッとチョコッと文化館が写っているのですよ~ついつい身内贔屓な見方をしてしまいましたがね(笑)。そうなんですねぇ、文化館が建った時代ってこんなにも勢いがある時代だったのですね。でなければ、琵琶湖に浮かぶお城を作るという発想も出てこなかったでしょう。ましてやそれを実現するなんて!
入口近くにあったカラー写真には、開館したばかりの当館の5階展望閣から紺屋関(浜大津方面)を撮影した写真がありました。現在は見ることができない(残っていない)建物が写る貴重な写真であると、説明の一文に書かれていたと記憶しています。僕にとっては、一緒に写り込んだ当館の屋根にある石楠花のオブジェが、開館当時は『金色』だったことが、一番の驚きでした(文化館マニアでないとこの感動は理解しづらいかも??)。いや貴重な写真を見せていただきました。是非会場でこの写真を見付けて下さい。
ということで、同じアングルで撮影した現在の写真をご紹介。う~ん、背の高い建物が増えました。当時は三井寺さんまで撮影できたとか。。。でもこれはこれで、現在休館中となっている当館からの貴重な眺めです。
イマドキのtwitterやFacebookで、この会場に掲示されていた琵琶湖文化館の写真をアップして下さっている方もいらっしゃるようです。企画展は11月25日(日)まで開催されています。どこか懐かしい、タイムスリップをしたような時間を、是非会場でお楽しみ下さい。
筆:あきつ
彫刻をじっくり見る
皆さんは、彫刻(仏像や神像など)をじっくりとご覧になったこと、ありますか?当館のウェブサイトをチェックしていただいている皆さんですので、「モチロン!」と即答?!元気なお返事が返ってくるものと信じておりますが(笑)、改めてその楽しみ方を伝授させていただきましょう。
僕が以前に学芸員さんから聞いた話ですが、例えば、彫刻を調査するとき、学芸員さんは先ず最初に何をする・・・のでしょうか?持ってみる?寸法を測る?写真を撮る?材質を分析する?う~ん、間違いではないのですが、先ずは「見る」!上から下から斜めから、とことん「見る」!ことから始めるのだそうです。コレすごく大事。。。ん?でもこれって一般に私たちが展覧会で展示されている仏像を鑑賞する時にも、出来たりしますよね?!
先ずは少し離れたところから仏像の全体の雰囲気をじっくり・・・続いて近くに寄って真正面から見た後は、中腰で下から少し見上げる感じで(そうすると仏さまと目線が合う)、ガラスケースに入っていたりすると難しいですが、可能であれば横からも後ろからもじっくりと・・・。
そう!仏像の見方のいい見本があります。当館の収蔵品紹介:彫刻の部で紹介している草津市の観音寺さまご所蔵の「木造阿弥陀如来立像」(重文)をご覧ください。まっすぐ立っておられると思っていたら、思いのほか前に乗り出すように意図して作られていたり、衣の一つ一つがとても繊細だったり、いろんな角度から見ることで、「へぇ~」「なるほどぉ~」と気付くことがたくさんあります。こちらの仏像は現在、東京の三井記念美術館で開催中の「仏像の姿(かたち)」展に出品中で、今頃は多くの仏像ファンを魅了していることかと存じます(!!)。とはいえ、この仏さまの像底(足の裏)まで見ることができるのは、当館のウェブサイトだけ?!是非チェックしてみてくださいね。光背もとてもきれいですよ。
また、とある学芸員さんは、こうも言ってました。「茶色く見えるお像でも、よぉ~く見ると、わずか~に彩色が残っている場合がある。そこから連想して、作られた当時の鮮やかな色彩を想像してみるのが面白い。きっとお参りに来られた方たちの度肝を抜いたに違いないでしょうね。むふふん」・・・えぇ~っと、ちょっとマニアックな見方ですが、これもアリです!あり有りデス!皆さんも楽しんでみてください。
この季節、普段見ることのできない文化財が、神社や寺院で特別公開されていることがあります。また11月は「関西文化の日」と称して、関西一円の美術館・博物館・資料館等の文化施設の入館料(原則として常設展)を無料で鑑賞できる機会があります(詳しくはコチラ)。文化の秋、芸術の秋ですよ。皆さんが自分なりの楽しみ方で、素晴らしい文化財たちと出会われることを願いつつ。。。
筆:あきつ
「花湖さんの打出のコヅチ」第6回 開催しました
11月に入りましたが、今週になってからは10月並みのちょっと暖かい日が続いています。そんな中、「滋賀の文化財講座 花湖さんの打出のコヅチ」初の現地探訪の日を迎えた昨日の午後、「花湖さんの打出のコヅチ隊」と名付けられた総勢43名の一行は、「彦根城外堀の痕跡をめぐる」を目標に掲げ、約5kmの行程をじんわりと汗をにじませながら、踏破して参りましたよ!(後でニュースを見ると、彦根の最高気温は21℃に達したそうです。)
先ずは皆さま、最初に配られた図版満載の資料を手に、これから訪れる場所をしっかりとご確認。その後、彦根城天守の方向へ出発です。護国神社前で、まずは内堀を確認したあと、普通なら城内へと進むわけですが、今回は外堀の跡を辿るのがメインのため、金亀山の上にそびえる天守を横目に左へ折れ、市街地を進みます。切通口から油懸口あたりは、ホントにここに門や堀があったの???という感じ。やっぱり先生に解説していただかないとね。う~ん、いきなりに、かなりの想像力を必要とするスペシャルポイントでした!
その先の細い細い道を進み、ちょっとした坂を上ってまた下ると、ん?いつの間にか外堀跡の内側に残る土塁の上を越えていたようです。“ああ、これが土塁だったのか”と、参加者一同、しっかりと体感できました。その後、大通りへ出てからは、外堀跡に沿ってほぼ直進して行きましたが、高宮口、池洲口、南通用口といった城内への各入口では、堀を渡ったところで道が折れ曲がり、外部からの進入が簡単に出来ないように作られていることを、現在も残る旧道から確認。
そして、いよいよ中薮口から中堀脇を通り、船町口で中堀の内側へ、屈曲した道に沿って少し入ったところで、枡形に組まれた入口についての説明を聞いていた時には、実際に石垣に阻まれて見えなかった車が急に現れるという場面に遭遇したことで、城への入口を枡形にする意味がよ~く理解できました。なるほど、今はこの角にミラーを設置しているわけです。戦乱の時代には防御のために必要でも、平和な現代には危険な箇所ということですね。皆さん、桝形虎口では車に注意デスヨ!
さて、ゴールに近づいたところの、大手口、そして表門橋の二ヵ所では、内堀を渡って天守・本丸を見上げる斜面に登石垣がありますが、昨日は周辺の丁寧な草刈りのお陰で、石垣の様子もはっきりくっきり見ることができました。「こんなシャッターチャンスはなかなかありませんよ」という講師の声に、一斉にパシャパシャ。。。皆さん、いい写真撮れてましたか?
これで彦根城の城域の一番外側をおよそ半周したわけですが、今回の現地探訪はいかがでしたでしょうか?ご参加いただいた方からは、「天気もよく、気持ちもよかったです」「楽しかったです。見知らぬ箇所が多くありました」「現地を体感でき、よく理解できました」などのご感想をいただきました。よく頑張り、よく歩きました(あきつ君の万歩計では10,000歩弱を計測しましたよ)。そして、参加者全員、無事に最後まで辿りつけたことが何よりでした。
ここで一句。
金亀山 つはものどもが堀のあと 徒歩(かち)にてめぐるは 根気なりけり
皆さま、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました!!
11/8「花湖さんの打出のコヅチ」現地探訪 開催します
いよいよ明日(11/8)に迫りました。今年度の「滋賀の文化財講座 花湖さんの打出のコヅチ」最終回(第6回)となる「現地探訪 彦根城外堀の痕跡をめぐる」です(申込受付は終了いたしました)。お申し込みいただいた方には、「天候の関係などで中止の場合は、前日にお電話で連絡いたします」とご案内していましたので、「ひょっとして?」と今日は電話の前で番をして下さっていた方!どうぞご安心下さい。予報によると、探訪にはもってこいのお天気となりそうですので、予定通り開催いたします!
滋賀の文化財講座としては初めてとなる現地探訪では、昨年度の講座で学んだ「彦根城」の周りにかつて存在した外堀の跡を辿ります。深まりゆく秋、お城の周辺でも紅葉が始まっていることでしょう。そんな秋の城下町の雰囲気も楽しみつつ、滋賀の文化財について皆さんと一緒にお勉強できればと思っております。
さて、お申込みをいただいた方!明日のご準備はもうお済みですか? 今回は、JR彦根駅前を出発して全行程約5kmを徒歩で周りますので、歩きやすい服装、履き慣れた靴でご参加下さいね。また、飲み物など、必要に応じて各自でご持参いただくと良いかと思います。ちなみに、この「遠足」ではおやつの上限はございません(笑)。その他、詳しくはコチラでご確認下さい。
では、明日は13:00にJR彦根駅西口広場集合(受付は12:30から)となっておりますので、お間違えのないように。ご参加の皆さま、彦根駅前で目印の”花湖さん&あきつ君の旗”を持って、お待ちしております!
ホームページ10月のアクセス数
先週から朝晩の冷え込みがグッと厳しくなってきましたね。この冷え込みにより、文化館周辺でも木々が急に色づき始め、これからの紅葉がとても楽しみです!
さて、今日は恒例のホームページアクセス数についてのご報告です。10月には1,737件のご訪問をいただきました。前月よりもアクセス数、ご訪問いただいたユーザー数共に増えているのですが、文化の秋、芸術の秋を楽しもうと、情報収集にご利用いただいているのでしょうか?とにもかくにも、多くの皆さまのご訪問に感謝いたします!
ところで、昨日10月31日はハロウィーンの日でしたね。TVではここ数日、東京渋谷の人出の様子が放送されていましたが、こちら滋賀でも、文化館からほど近い大津市膳所の”ときめき坂”で仮装パレードが先週末に行われるなど、とても盛り上がりましたよ!この行事、今や全国にすっかり定着しつつあるようですね。
そんなハロウィーンの、夜を徹しての盛り上がりを見て、ふと思い出したのは、かつての日本で盛んだったという「庚申待(こうしんまち)」という行事のこと。滋賀でも時々「庚申塔」と彫られた石碑が建てられているのを見ますが、庚申というのは幸神、つまり猿田彦命のことで、神仏習合の考えから言うと「青面金剛(しょうめんこんごう)」にあたるこの神(仏?)を、年に6~7回ある庚申(かのえさる)の日の晩に、人々がお堂などに集まって祀り、酒盛りなどして夜を明かしていた行事です(この夜眠ってしまうと、体内にいる虫が抜け出して天王に善悪行を報告するので、天王のサジ加減で寿命が縮まるのだとか)。
かつて、日本の各地で行われていたこういった夜通し騒ぐ行事は、もちろん今流行りのハロウィーンと、祭りの意味は全く違うわけですが、やっていることには共通する部分があるような無いような。。。そこで、「日本でハロウィーンが盛り上がる背景には、”忘れかけていた遠い記憶”が呼び覚まされているのかも?」というのが、あきつ君の仮説です。。。無理やりですが(笑)。もちろん、いつの時代でも、「見ざる・聞かざる・言わざる」の本来の意味通り、度の過ぎた礼節を欠く行為は、”やってはいけません”よ!!
そういえば、10月には「青面金剛」という検索キーワードで、文化館ホームページを訪れた方がいらっしゃったようです。文化館所蔵の「青面金剛図」については「浮城モノ語り 第4話」で詳しく紹介していますので、こちらもぜひご覧くださいね。ちなみに、今年最後の庚申の日は11月24日(土)だということです。さて皆さま、この夜はどのようにして過ごしましょうか?