月別アーカイブ: 7月 2019
「歴代天皇と近江」展 ギャラリートーク開催!
令和初の上陸台風が紀伊半島をかすめていった27日(土)、甲賀市土山歴史民俗資料館では、地域連携企画展「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」の初日を迎えました。台風の影響を心配しながらも、この日は開催記念のギャラリートークを実施。雨の中、熱心な方々がお集まり下さいました。
この企画展は、休館中の当館と地域の博物館や資料館が連携し、県民のみなさんに、より近しく琵琶湖文化館の収蔵品に親しんでいただく機会となることを願って企画されました。特に今年は、新元号令和への改元などをきっかけに、日本の歴史についての関心が高まっています。 紫香楽宮が営まれ、また、天皇の名代として皇女が伊勢神宮へ赴く「斎王群行」の道筋となるなど、甲賀市域は県内でも特に天皇家と関わりの深い土地柄です。「この展覧会を開催するのに、県内でこれほどふさわしい地域はない!是非歴史を身近に感じてほしい」との、講師の熱い言葉で、ギャラリートークは始まりました。
ちなみに、本展は、5つの章に分けて展示されています。先ず第1章の「近江の歴史と天皇」では古代の都にかかわりの深い考古資料について。甲賀寺跡(紫香楽宮関係遺跡)の出土品などは、地元の方にも大変興味深かったようで、お話の後、熱心に写真を撮っておられる方もいらっしゃいました。(会場内は写真フリーですよ~)
そして第2章の「歴代天皇の書-『宸翰(しんかん)』の魅力」では、先ずは『宸翰』たるものとは何ぞや?!というお話から・・・。そうなんですよね~。今回の展示でどうしようかと頭を悩ませたのが、如何せんコトバが難しいところ。。。つまりは「天皇さまがお書きになった書」のことなのですが、「○○天皇宸翰」と書かれると急に難しく感じてしまいますよね。そしてあとに続く「御詠草」や「御懐紙」などなど。これらは○○天皇が詠んだ歌を書いたもの、清書したもの・・・なのですが、講師曰く、見ていたただく際には、「(そのような難しい言葉にとらわれず)書かれている全体を見てほしい。天皇のお人柄をうかがい知ることができるこれらの書について、表装も含めておおらかに見ていただければ」とのことでした。ナルホドですね。つい何と書いてあるのか知りたくもなりますが、それぞれの書にそれぞれの特徴があり、「この書を書かれた天皇さまが在位されていた時代はどんな時代だったんだろう・・・」なんて深めていくと、もっと面白いにちがいありません。歴史を知るきっかけになれば嬉しいですね。
あー残念!第3章から第5章のことも書きたかったのですが、やむを得ず字数オーバー!(ギャラリートークではちゃんと最後まで話されました!)。続きはまたの機会に~!
気になる方は是非会場へ足をお運びください(入場無料です!)。8月4日(日)には夏休みKIDSワークショップとして、「元号を書いてみよう!」が開催されます。対象は小学3年生~中学生です。夏休みの宿題にもピッタリ(?)です!また、ギャラリートークは8月24日(土)にも行われます。今回、残念ながら聞き逃した!という方は、こちらの方で是非ご参加下さいませ。今から願うことは、「どうか台風が来ませんように・・・」ですね~。いよいよ夏本番です!
まもなく開催!「歴代天皇と近江」展 その②
いよいよ明日に迫りました!地域連携企画展「歴代天皇と近江」!今日は展覧会準備をしている作業風景がわかる貴重な写真を入手しましたので、開催直前にちょこっとだけご紹介します。
会場である甲賀市土山歴史民俗資料館さんの休館日(月曜・火曜)に合わせて行われた展示作業。甲賀市さんの全面協力のもと、着々と準備が進められました。今回の展示では、考古資料から書跡、絵画、工芸品など、31件の作品が並びます。
実は、企画段階で関係する誰もが、「予定している全ての作品がうまくケースに収まるのか?!」、内心ドキドキしていたみたいなのですが(笑)、そこは知恵を出し合って、「完璧に展示しきった!!」とのことでしたヨ。なんとも頼もしい(笑)。どうも現場にしかわからないご苦労があるようです(笑笑)。
(作業を終えてホッとした人たちの和みの風景→)
また、展示作業中、皆が注目したのが、写真にもチラッと写っているマネキンに着せた大礼服なのだとか・・・その話はまた後日にいたしましょうね。。。
展覧会「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」は、まもなく開催です。27日(土)13:30からは、ギャラリートークが実施されます。解説いたしますのは、「小学5年生の時に『歴代天皇図巻』(秋田書店)」という厚さ3cmの本(3,000円)を、おこづかいで購入した!!」という経歴の持ち主:琵琶湖文化館の担当がお話しさせていただきます(笑)。小学生にはちょっと難しいと思われる内容も、わかりやすく解説されますので、是非ご参加下さいね。
「花湖さんの打出のコヅチ」第4回のご案内
ご好評をいただいております滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」も、今年度全6回のうち、すでに前半の3回を終え、次回からはいよいよ後半に突入いたします。チラシやホームページの案内をご覧の方は、もうお気づきのことかと思いますが、実は、後半3回の講座には、ある共通のテーマが設けられているんですよ。年間を通じてのテーマではありませんので、あえて大きく謳うことはしておりませんが。。。お分かりですよね?そうなんです!!後半は、今、注目の、そして滋賀ゆかりの戦国武将・明智光秀に焦点を当てていきますよ~!!
光秀というと、戦国武将として最も有名なあの織田信長を、本能寺の変にて討ったということで、これまたとっても有名な人物ですよね。ところが、こんなに有名なのに、意外とその前半生がよくわかっていないのだとか。そういったミステリアスなところもまた、人気の秘密なのでしょうか??
ということで、来たる8月1日(木)に開催します滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第4回では、光秀シリーズ第1弾として、「明智光秀近江出身伝説を追う-琵琶湖文化館蔵『淡海温故録』から広がる世界」をお届けします。聞くところによると、どうやら当館が収蔵する『淡海温故録』という江戸時代の文献に、光秀の“出生の秘密”が書かれているらしいのですが。。。詳しくは、「花湖さんの打出のコヅチ」でおなじみの講師、井上優(県教育委員会文化財保護課・滋賀県立琵琶湖文化館)から、じっくりと聞かせていただきましょう。歴史少年であった過去の知識をヒントに深めていかれたというこの研究。いつにもまして熱~く語っていただけることと思います!!
ところで皆さま、肝心の「お申込み」はもうお済みですか?おかげさまで、今回もたくさんの参加お申込みをいただき、残席少なくなってきております。ご参加を予定されている方は、どうぞお早めにお申し込み下さいね(お申込みにはこちらの専用フォームをご利用下さい。電話・FAXでも受け付けております)。また、当日はたいへん混雑が予想されます。定員を超えた場合には、安全のため、ご予約のない方のご入場をお断りする場合がございますので、予めご了承下さい。
まもなく開催!「歴代天皇と近江」展
今年の梅雨は、なかなか明けてくれませんが、日にちの経つのは早いものでございます。まだまだ先のコトと思っていた地域連携企画展「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」の開催が迫ってまいりましたよ~。
本展は、甲賀市にある土山歴史民俗資料館での開催です。出陳のために梱包された作品たちは、本日朝9:30、「いってらっしゃ~い!!」とお見送りの声も華々しく(?)、無事当館から旅立っていきました。今頃は、甲賀市さん協力のもと、着々と会場準備が進んでいるものと思われます。ムフフッ。
このような時、お留守番で館に残る事務系職員としては、無用の心配を重ねてしまうもの・・・雨で道は渋滞してないか、積み残しはないか、こちらが用意したパネルに不備はないか等々・・・でも大丈夫!準備万端!みんなで確認しながら用意をしたので、「オールOK」!!でございま~す。あとは現場に託すのみ!吉報を楽しみに待ちましょう~!
一つの展覧会・・・とは言え、展覧会は学芸員だけのモノにあらズ・・・です。今回事務系職員も、パネル作成をちょこっとだけお手伝いさせていただいております。こういうトコロが文化館的と言いましょうか、少ない人数での総力戦と言いましょうか(笑)。館としての一大イベントでもありますので、みんなで盛り上げることを楽しんでいます。
ということで、会場には文化館キャラクター「あきつ君」とともに、このようなイラストも多数送り込まれていますので、こちらの方もお楽しみに。。。
展覧会の開催準備に追われる学芸員さんたちの間で呟かれる、魔法の言葉があると聞きます。・・・『開かない展覧会はない』・・・(笑)。本展の担当さんは、「大丈夫!」「おっけい!」「問題なし!」が最近の口癖になってます(笑笑)。開催までまもなくです!みなさんも楽しみにしていてくださ~い。
「花湖さんの打出のコヅチ」第3回 開催しました
先週の11日(木)に、今年度第3回目の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」を開催いたしましたが、朝からの雨にもかかわらす、136名もの方にご参加いただくことができました。「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケナイ!!」皆さまの学習意欲には、本当に頭の下がる思いがいたします。そんなご期待に応えるべく、スタッフ一同これからも頑張って行きたいと気を引き締めております。
さて今回は、彦根市・彦根城世界遺産登録推進室の小林隆氏を講師に迎えて、「世界遺産をめざす彦根城」というテーマでお話を頂きました。今月6日には、大阪府の百舌鳥・古市古墳群がユネスコの世界遺産に登録されることが決まりましたが、次の候補としてもますます注目の集まっているのが「彦根城」です。ところで、すでに国の特別史跡となっている彦根城ですが、これをさらに世界遺産に登録しようとしているのはなぜでしょうか??小林氏によると、彦根城は、天守という建物だけでなく、御殿跡、武家屋敷、庭園、藩校跡がまとまり、江戸時代の武士による統治のしくみを示す資産がもっとも良く残っている、稀有な例なのだということ。そして、その点に世界遺産に登録する価値があるのだということを、とてもわかりやすく解説していただきました。さらに、登録に向けての作業がどのように進められているのか、そして何よりも、世界遺産に登録されることが彦根城のみならず滋賀県にとってどんなメリットがあるのか、とても熱~く語っていただきましたよ。
そんな小林氏の熱意に押されてか、講座終了後には参加者の皆さまから、「世界遺産をめざす現状がよくわかった」「城自体の魅力だけでなく、統治の仕組みとしての話が聞けて良かった」「具体的に一市民として何ができるか考えていきたい」「説明がはっきりとわかりやすく、引き込まれました」「資料も充実しておりとてもわかりやすい講座」「講師の意気込みが伝わってきた」「県とも協力して、滋賀県全体の魅力発信をしようとしていることがよくわかった」「応援したい」「彦根城ガンバレ!」など、これまた熱~いご意見・ご感想をいただきました。
今回の講座では、簡潔にまとめられた当日資料に加えて、彦根市さんで作成されたカラー刷りの冊子も特別に配布されたので、受講者の皆さんにもお話の内容のイメージが描きやすかったのではないでしょうか。彦根市さん並びに小林先生、どうもありがとうございました。参加者からの新たな応援を得て、2024年までの彦根城の世界遺産登録がぜひ実現しますように!!
最後になりましたが、今回の講座には、ケーブルテレビのZTVさんが取材に来て下さいました。ZTVコミュニティチャンネル(地デジ11ch)の「おうみ!かわら版(滋賀)」という15分の番組の中で紹介していただけるようです(放送日:7/15・16・17)。放送エリアは大津市・草津市・栗東市・守山市・野洲市・湖南市だということです。こちらもぜひチェックしてくださいね!
比叡山坂本観光ボランティアガイド研修のご案内
来年1月に始まるNHKの大河ドラマ。主人公が明智光秀だということもあって、光秀と関わりの深い滋賀への注目度もぐんぐんと高まっていますね。こんな時、友人・知人などが滋賀にやって来たなら、ぜひとも今注目のスポットに連れて行き、ゆたかな歴史と文化財を紹介したい!!ですよね~。そんな時にきっと役立つのが、今回ご紹介する「観光ボランティアガイド研修」です。大津市坂本で開催されるこの研修は、一般の方も受講可能ということなので、ご興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?
講師には、当館の井上優と上野良信があたり、光秀ゆかりの大津・坂本に残された文化財について、その見どころなどをじっくりと解説します。主な対象をボランティアガイドの会の会員さんとした研修なので、いつもとはまた一味違った、実践的なお話が聞けることと思います。
【観光ボランティアガイド研修】
明智光秀と聖衆来迎寺
-坂本城の旧城門など明智光秀関係文化財、および近江の正倉院の寺宝・国宝六道絵-
●日 時:
2019年7月28日(日)11:00(受付:10:45)~12:30(荒天中止)
●場 所:
坂本市民センター2階大会議室
(坂本6丁目1-12、京阪電車 石山坂本線「坂本比叡山口」駅下車徒歩1分)
●内容・講師:
・明智光秀と聖衆来迎寺とのかかわり、坂本城の旧城門など光秀関係文化財、および近江の正倉院と呼ばれる寺宝の概要:井上 優(滋賀県教委文化財保護課・滋賀県立琵琶湖文化館)
・国宝六道絵の世界:上野 良信(滋賀県立琵琶湖文化館)
●定 員:80名(内、会員外20名。申込不要・先着順)
●受講料:500円/名(会員外一般のみ)
●問合せ:hieizansakamotoguide@gmail.com
●主 催:比叡山坂本観光ボランティアガイドの会・石積み
研修についてのお問い合わせは、比叡山坂本観光ボランティアガイドの会・石積み 教育部さん hieizansakamotoguide@gmail.com まで。(文化館では受け付けておりませんので、お間違えのないように願います。)
「花湖さんの打出のコヅチ」第3回のご案内
滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」、先週、第2回を盛況に終えることができたばかりですが、今日はさっそく、7/11(木)に開催する第3回講座のご案内です。次回の講座は、彦根市から、彦根城世界遺産登録推進室の小林隆氏を講師にお迎えして、「世界遺産をめざす彦根城」というテーマでお話いただきますよ。
「彦根城」と言えば、文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」でも、一昨年に「究極の城 彦根城」について、また昨年は講座初の現地探訪「彦根城の外堀の痕跡をめぐる」と、城の歴史(過去)と今の様子(現在)について、じっくりと学んできたところです。となってくると。。。「これからの彦根城はどうなるの?」「私たちは彦根城にどう関わっていけばいいの?」そんな”未来“のことなども、気になってきますよね~。
というわけで、満を持して(?)開催する今回の講座では、2024年までの彦根城の世界遺産登録を目指して、実際にユネスコへ提出する推薦書の作成を進めている彦根市の担当者の方から、詳しく解説していただくことになりました。「世界遺産」っていったい何?というところから始まって、登録に向けての作業の中で見えてきた彦根城の価値、さらには、世界遺産登録への現在進行中の取り組みなどについて、最新の情報をじっくりとお聞かせいただけることと思います。この機会に大勢の方にご参加いただき、彦根城の世界遺産登録に向けての気運を、皆さまと共に大いに盛り上げていければいいな~と、スタッフ一同ワクワクしながら準備に取り組んでいます!!
講座について、詳しくはコチラをご覧ください。お申込みは、こちらの専用送信フォームからどうぞ(電話・FAXでも受け付けております)。残席少なくなってきております。お申込みはお早めに!!
6月のホームページアクセス数
近畿地方では今年は梅雨入りが遅かったため、序盤というのがなく、いきなり激しい雨に見舞われる毎日となっています。梅雨の時期、雨が続くのはうっとうしいけれど、山々に降った雨は、やがて琵琶湖に流れ込み、私たちの毎日の生活の源となっているのだ。。。と思うと、この雨にも感謝、感謝です。
と、梅雨のせいで(?)いきなり湿っぽい話となりましたが、今日は、6月の文化館ホームページのアクセス数のご報告です。この1ヶ月のアクセス数は、1,827件でしたよ!ページビュー数、平均サイト滞在時間もともに増え、嬉し涙が雨のように流れてきます。もしかして、この雨のせいで、なかなかお出かけができず、お家のインターネットで調べもの。。。という方も多くなってきたのでしょうか?いえ、理由は何でもいいんですよ。当館のホームページがお役に立てて、楽しんで頂けているならば(笑)。とにもかくにも、ご訪問いただきました皆さま、どうもありがとうございました。
さて、皆さまからの検索用語などを見ておりますと、これがまた、さまざまな事項がありまして、ご訪問される方のご興味・ご関心が広範囲にわたることを、改めて実感しております。例えば、この1ヶ月の間には、季節を反映してか、「塩川文麟 ホタル」というキーワードでの検索がありました。これは「収蔵品紹介」でもご紹介しております、幕末から明治にかけて活躍した四条派の画家・塩川文麟(しおかわ ぶんりん)の描いた「蛍図」のことですね。この作品の中で、小さな蛍が、ほのかな光を放ちながら飛びまわっているのは、葭の生える水辺。。。作品の舞台がどこかはわかりませんが、滋賀にゆかりのある文麟のことですから、ひょっとすると琵琶湖に注ぎ込む川のほとりの風景なのかも知れませんね。(「蛍図」については、以前のブログにもあるので、見て下さいね!)
琵琶湖の周りには今でも、5月下旬~6月下旬にかけて、蛍の見られる場所があります。蛍は、その餌となるカワニナという小さな巻貝が、水のきれいなところにだけ棲むということもあり、川や湖の水の美しさの指標ともされる昆虫ですが。。。残念なことに近年は、琵琶湖の水環境の悪化に伴い、蛍の生息地は急速に失われつつあります。
琵琶湖に限らず、かつて蛍が生息できるような豊かな水辺環境が身近にあったからこそ、文麟もこのような作品を描くことができたはず。「蛍図」という作品を見ると、そんな水辺の環境を取り戻し、次の世代へと引き継いでいくことの大切さも思い起こさせてくれます。今日7月1日は、「びわ湖の日」。「水」だけでなく、文麟にこのようなすばらしい作品を描かせた「水環境」にも、もう一度、深く感謝したいと思います。