月別アーカイブ: 9月 2019

「花湖さんの打出のコヅチ」第5回 開催しました

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今日は秋の彼岸の入り。昨日あたりからもう、日中もずいぶんと過ごしやすくなって来ました。昨日(9/19)は、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第5回を開催いたしましたが、お天気にも恵まれ、今年度最多数の198名の方にご参加いただくことができました。なかには、これまでに開催した5回の講座に全回出席という方が、なんと22名もいらっしゃいましたよ!!素晴らし~い!!コラボしが21を会場にした座学の方はこれで最終回となりましたが、ご参加いただいた皆さま、本当にどうもありがとうございました。

さて、昨日の講座では、講師に松下浩氏(県教育委員会文化財保護課)をお迎えし、「明智光秀の幻の名城 坂本城」というタイトルでお話いただきました。坂本城は、元亀2年(1571)の信長による延暦寺焼き討ちの際の戦功により、志賀郡を与えられた明智光秀によって、延暦寺のお膝元であった坂本の地に築かれた城。ただ、残念なことに、城を描いた絵図などはこれまで見つかっておらず、その復元には、数少ない文献や現地に残された地名や道路・溝跡、そして近年の発掘調査の成果などをつなぎ合わせていくしかないようです。。。
しかし、今回、松下氏はわずかに残された資料を丹念に見直し、また現地に赴いて城の痕跡を辿るなかで、街道と城の関係を鍵に、坂本城の縄張りについての画期的な新説を発表されるに至りました!いや~、何事も諦めてはいけないということですね。歴史の研究においては、先入観にとらわれず、素直な気持ちで史料・資料と向き合うことで、新たな道が開けるのだ!ということを、身をもってお示し頂いたという感じです。あっぱれ、松下節!!

講座終了後には、参加された方々から、「新説が聞けて良かった」「北国街道付替えなし説は大変興味深い」「地図や資料がわかりやすい」「土地勘のない者にも説明が丁寧でわかりやすい」「毎回新しい発見があり楽しい」などのお声を頂きました。今回も、多くの方々にご満足いただけたようで何よりです。
また、今回も滋賀県立図書館さんが、講座関連図書の出張展示に来てくださいました。松下氏の御著書を集めた特別コーナーを作っていただいたのは、サプライズ!だったかも!?県立図書館さん、どうもありがとうございました。

次回(10/17)は、いよいよ打出浜を飛び出しての現地探訪となります。今回に引き続き松下浩氏に講師をお願いして、講座で学んだ坂本城とその周辺をご案内いただきます。ご参加されます方には、今回スクリーンで見た坂本城とその周辺を、ご自分の目と足でしっかりと確認していただけると嬉しいです。楽しみにお待ちください。

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「歴代天皇と近江」展と杉浦重剛

季節は少しずつ秋の気配を感じられるようになりましたね。甲賀市土山歴史民俗資料館で開催中の「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」展も開催期間残りわずかとなりました。しみじみ時間が経つのは早いものでございます。
さて、この展覧会では5つの章に分けて展示が構成されていますが、その内容や出品作品については、本ブログにおいて、2回にわたって開催されたギャラリートークの様子とあわせて紹介してきました【7/29付 第1・2章】【8/26付 第3・4章】。今日は残すところ最後の第5章「昭和天皇の侍講・杉浦重剛」について、お話ししましょう。

こちらの第5章については、皆さん意外でした?「杉浦重剛?誰?」「何故?」と思われました?杉浦重剛(すぎうら しげたけ)は、旧膳所藩(現大津市)出身の教育者で、昭和天皇らに帝王学の一環として倫理をご進講(説明)された方です。皇室と所縁の深い滋賀県出身者がいらっしゃったことに、先ず純粋に驚いてしまいますよね。また、杉浦重剛の門下生には、作家であり児童文学者として有名な巌谷小波(いわや さざなみ)がいます。小波は、文部省唱歌『ふじの山』や『一寸法師』の作詞者としても知られる一方、甲賀市立水口小学校の校歌も手掛けています。その小波の師匠に当たる方が杉浦重剛なのですよ。
本展に出品されている関係資料は、杉浦重剛と親交が深かった鉄道技術者の島安次郎の関係者から寄贈されたものです。大正の時代を感じさせる大礼服やモーニングなどは、展示会場でも目を引いたのではないでしょうか。大礼服についてはマネキンに着せてありますが、こちらを展示する際、ちょっとした苦労がありました。
このマネキンはもちろん現代のもの。スラッとしたイマドキ体型なのですが、それでも大礼服の袖を通すことは出来なかったとのこと。昔の人って、肩が張って体格が”イカツイ”イメージがあったのですが・・・着せてみてビックリだったそうです。(会場ではマネキンの腕を取り外して展示しています。)
杉浦重剛については、【浮城モノ語り第64話 昭和天皇と杉浦重剛】にも詳しく書いています。こちらも是非ご一読ください。

本展覧会は、9/29(日)までの開催です(休館:毎週月曜日・火曜日)。ちなみに会場の甲賀市土山歴史民俗資料館の近くにある「道の駅あいの土山」では、抹茶のソフトクリームが盛り放題!自分でモリモリのソフトクリームが作れます。但しスプーンは付きませんので盛り方・食べる時には注意が必要(笑)。近江随一の茶所:土山で食べる抹茶ソフトは格別です。展覧会を見た後にチャレンジしてみてはいかがでしょう?
みなさま秋の日和にぜひお出掛けください。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第5回のご案内

今年度の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」(全6回)も、ご好評のうちに第4回まで終了し、座学としては9月19日(木)に開催いたします第5回が、いよいよ最終回となります(第6回は会場を飛び出しての現地探訪です!)。

ところで、以前のブログでこっそりと(?)お知らせしました、文化財講座今年度後半の隠しテーマ、覚えていらっしゃいますか?そう、今注目の「明智光秀」でしたね。第4回では、当館所蔵の『淡海温故録』の記述をもとに、謎めいた彼の出生伝説に迫りましたが…第5回は「明智光秀の幻の名城 坂本城」と題して、光秀の人生最大の仕事だったかも知れない(?)「城作り」に注目していきます!何といっても、光秀は「城作りの名手」と言われていますからね。これを語らずして、光秀という人物を理解することはできないでしょう。講師には、これまた「城語りの名手」である県教育委員会文化財保護課の松下浩氏をお迎えいたします!!

坂本城は、「城作りの名手」光秀が、織田信長の比叡山焼き討ちの後に志賀郡を与えられ、今の大津市坂本の琵琶湖岸に築いた城なのですが…光秀の死後、天正14年(1586)に廃城となったため、今では湖中に残る石垣(←25年ほど前の琵琶湖渇水の時に姿を現しましたね!)のほか、目に見える城の遺構はほとんど残らず、まさに「幻の城」と化しています…。琵琶湖を望む風光明媚なこの地に、名手が築いたのはいったいどのような城だったのでしょうね?名城・坂本城の当時の姿に、これまでに行われた発掘調査の成果や、古絵図・古文書そして古記録など様々な資料を用いて迫って行こうというのが、今回の講座のねらいです。長年にわたって、安土城をはじめとした近江の城の調査・研究に携わってこられた松下氏からは、坂本城についても、丹念に集められた資料をもとに、石垣のように堅牢に組立てられた、手堅いお話を聞かせていただけることでしょう。

今回の講座も、おかげさまで沢山の参加お申込みをいただき、残席少なくなってきております。また、当日はたいへん混雑が予想されます。定員を超えました場合には、安全のため、ご予約のない方のご入場をお断りする場合がございますので、ご参加を予定されている方は、必ず事前のご予約をお願いいたします。
では皆さま、9/19(木)13:30~会場(コラボしが21)でお待ちしております!

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「太鼓踊り」の季節到来

通勤・通学などで、湖岸を毎日通られる方はお気づきでしょうが、最近の琵琶湖は水位がかなり低くなっています。文化館の近くで見ると、湖岸の石垣の、いつもは水面下にある石段までが姿を現すほど…台風や大雨による水害で大変な地域もある一方、こちら滋賀ではこの頃、夕立ちのような雷雨はあるのですが、まとまった雨が降っていないからでしょうか。こんな時はやっぱり…神様・仏様に「雨乞い」デスカ?

「雨乞い」の祭りと言えば、全国各地で古くから行われていますが、滋賀県では晩夏から初秋にかけて多くの地域で行われる「太鼓踊り」が特色となっているようです。すでに終わりましたが、8月24日には守山市古高町の大将軍神社で県選択無形民俗文化財の「古高の鼓踊り」が奉納されました。古くから伝わるこのお祭りは、一時期途絶えたこともありましたが、今年は4年ぶりの開催となりました。また、来たる9月13日には、草津市渋川の伊佐佐神社で、県選択無形民俗文化財の「渋川の花踊り」が行われます。こちらの花踊りは、室町時代の末に流行した「風流踊り」の流れを汲んだもので、雨乞い祈願のお礼として170年以上前から行われています。滋賀県南部で行われる「太鼓踊り」の典型なんだそうですよ。(写真は渋川花踊りの踊り子をかたどったキャラクター「しぶはなちゃん」)

こんな風に、古くから伝わる「太鼓踊り」が県南部にいくつかあるのですが、実は、琵琶湖の東側、甲賀市から長浜市にかけての地域、特に伊吹山のふもとが、県内で最も盛んに行われている場所で、かつてはふもとのほとんどの集落で踊られていたということです。その一つ、米原市春照(すいじょう)八幡神社の太鼓踊りは、江戸時代前期の旱ばつをきっかけに始まった雨乞い祈願の返礼の踊りです。現在は5年に一度の開催となっており、今年はその開催年にあたり、9月23日に行われます。(写真は前回2014年開催時の様子)

太鼓踊りは、かつては滋賀県内の200以上の村で行われていたと言われ、今でも、40あまりの太鼓踊りが、神社へ奉納されるなどして伝えられているそうです。数年に一度というお祭りが重なる今年は、特に多くの「太鼓踊り」が行われる年のようですね。賑やかな鉦や太鼓と華やかな衣装での踊りを、神様に存分に楽しんでいただいたなら、琵琶湖の水位もたちまちに回復!となるのでしょうか!?

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8月のホームページアクセス数 

8月前半のあの猛暑がウソのようで、このごろは朝晩めっきり涼しく過ごしやすくなってきましたね。黄色みを増してきた田んぼに、あきつ君の仲間たちがスイスイと飛び回る様子も見られるようになり。。。今年はちょっぴり早めの秋となりそうです。

今日はまず、8月の文化館ホームページのアクセス数をご報告いたしましょう。この1ヶ月にご訪問いただいた方は、なんと2,000件の壁を突破して、2,402件となりました!!本当に多くの方にご訪問いただいて驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!!

8月もまた、皆さまには「収蔵品紹介」や「花湖さんの打出のコヅチ」ほか、いろいろなページをご覧いただいたようですが、ちょっと気になるのは「検索キーワード」。こちらもバラエティーに富んでいるのですが、なかでも「中江藤樹」「北村季吟」「松尾芭蕉」「寂室元光」などなど、滋賀ゆかりの人物が目立つような気がします。。。夏休みでしたので、自由研究などで調べていたお子さんもいらっしゃったのでしょうか?文化館のホームページには、滋賀の歴史や文化財に関するお役立ち情報をたくさん掲載しています。気になることがあった時、宿題やレポートのテーマに困った時(!?)には、ぜひ一度覗いてみて下さいネ!!

さてさて、早いものでもう9月に入りました。昨日9月1日は[防災の日]ということで、地域などでの防災訓練に参加された方もいらっしゃるかと思います。「防災の日」というのは、1960年(昭和35年)に制定された啓発日ですが、9月1日の日付は、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなんだものだということです。

関東大震災といえば、「浮城モノ語り」の最新作、第64話「昭和天皇と杉浦重剛」の中で、大正12年、杉浦重剛が関東大震災に罹災して、茫然自失となった想いを詠んだ詩「大震皆傾殆不支」をご紹介しております。杉浦自作のこの詩は、安政2年(1855)の大地震を思わせるという所感が述べられるなど、極めてリアルな実感がこめられたものとなっています。安政2年(1855)10月2日関東地方南部で発生したM7クラスの大地震の鮮明な記憶は、この年3月に生まれたばかりの重剛には、恐らくほとんどなかったでしょうが、彼はきっと、その後に周囲の人々から繰り返し聞かされた震災の経験を、自らの内面にしっかりと受け止めていたのでしょうね。「防災の日」(9/1)と「防災週間」(8/30~9/5)にちなんで、こちらの方もぜひ一度ご覧ください。

それでは、9月もまた文化館ホームページをよろしくお願いしま~す!!

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