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「花湖さんの打出のコヅチ」第3回 開催しました。

7月14日(水)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第3回を開催しました。まだ開けない梅雨の季節、雨は降らなくても、ムシムシとした暑さが…。この蒸し暑さに負けずに、受講を楽しみにして集まって下さった80名の皆さん。会場前で、開講するのを心待ちにしておられるのが、ひしひしと伝わります。
今回は「滋賀県の仏教工芸 密教法具篇」をテーマに、琵琶湖文化館の学芸員・田澤梓が登壇いたしました。

「密教法具とは、いったい何?」と思われた方も多いのでは?密教の修法で使用される様々な道具で、その使い方については秘儀なのだとか。密教法具の起源は古代インドにあり、【①敵を殺傷する武器(金剛杵など) ②音響を発して威嚇する(金剛鈴) ③修法のために道場を浄め荘厳する(壇供養具) ④俗塵を焼却して清浄身を顕す(護摩道具)】の4種類に大きく分けられるそうです。何だか、使用方法がわからなくても、その厳かな感じが伝わってきます。講座の前半には、平安初期の密教法具について、後半は、昨年科学的調査が行われた、栗東市・金勝寺様所蔵の金剛杵(独鈷杵および五鈷杵)について、語られました。金剛杵をX線CT装置にかけて内部構造を調べる調査・報告は、前例が無くとても有意義なことだそう。調査では、これまで知られていなかった制作方法や、実は鍍金が施されていたことなどが分かってきたのだとか。う~ん。。。謎の多い密教法具について、このような切り口で語られるなんて。。。まだまだ、わからないことも多く今後の研究が進むことが期待されます。「独鈷杵および五鈷杵の科学的調査」については、研究紀要第37号に詳しく記載されていますので、ぜひ読んでみてください。

盛だくさんの内容に時間が経つのも早く感じてしまいます。皆さんからのお声の中には、「開始時間を早くして欲しい」というご意見もありました。たしかに今年は例年より、30分遅く始めています。…といのも、皆さんが会場に入られる前に会場の机を1台ずつアルコールで拭いたり、サテライト会場と調整を行うなど、どうしても準備に時間が掛かってしまいます。そのため、今年は開始時間を午後2時からとさせていただきました。コロナ禍での文化財講座の開催。皆さんに安心して、受講いただけるように、感染症対策に取り組んでおりますので、どうかご理解のほどお願いいたします。

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