日別アーカイブ: 2021年11月6日

11月6日 展覧会関連講演会 開催されました

現在開催中の「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山」展の関連講演会が6日(土)に高島市藤樹の里文化芸術会館で行われました。会場にお集まりいただいた54名の皆さん、ご参加有り難うございました。
冒頭、当館の佐野館長より開講のごあいさつをさせていただきましたが、「琵琶湖文化館を知っている方・行ったことがあるという方は?」との問いかけに、皆さんの手が勢いよく上がった(!)のが、とても嬉しかったデス!!(感謝♪)

講演会は3部構成となっており、先ずは本展覧会のメインテーマにもからんでおります、「渋沢栄一と滋賀」について、その内面に与えた影響・・・という大変興味深いテーマで、県文化財保護課(文化館兼務)の井上優氏にお話しいただきました。
皆さんは不思議に思われませんでしたか?展覧会タイトルに名を重ねる3偉人の関係性について。「中江藤樹と熊沢蕃山は分かるわな。近江聖人・中江藤樹先生の門人として教えを受けたのが熊沢蕃山やろ?でも渋沢栄一がわからん。生きた時代も違うのにどう関係があるのか。」疑問の声をよく耳にしました。・・・その答え・・・「講演を聞いてスッキリわかったわ!」と言っていただけたものと確信しております!
渋沢栄一が儒教に傾倒していたことは知られていますが、なかでも特に陽明学、とりわけ「陽明学の祖」と言われる中江藤樹を深く尊崇していたことは、あまり知られていません。しかし、講師の口から語られたのは「渋沢栄一の内面は“滋賀県人”そのものである」というビックリ発言(笑)!
というのも、渋沢が尾高惇忠(従兄)の「知行合一」塾で学んだことは(「知行合一」は陽明学の基本命題)、中江藤樹の思想と深くかかわっていて、その教えが行動・変革を肯定する渋沢の内面の原動力ともなった、とのこと!また渋沢が三井寺ゆかりのご先祖様をもち、天台宗上野寛永寺檀家で延暦寺顧問であるなど、信仰上も滋賀と深い縁があったのだそうです!更には漢詩文の師もまた、明治の三詩人の一人であった小野湖山(浅井郡高畑村・現長浜市出身)であったことなどが、熱く語られました。中江藤樹を祀る藤樹神社の創建に渋沢が関わったのは歴史の必然、「渋沢栄一の内面は“滋賀県人”そのもの」。講師の言葉に『納得』の講演内容でありました。

第2部では、「高島市指定文化財の仏教美術」として山下立氏がお話しくださり、その魅力をたっぷりと画像も含めてご紹介いただきました。高島には、指定文化財もさることながら、指定されていない身近な文化財にも素晴らしいものがある、目を向けて大切にしてほしい、との言葉が心に残りました。

そして第3部では、「未来に守り伝える地域の宝~高島市指定文化財の修理報告~」として坂田さと子氏が講演。自らの工房で手掛ける文化財修理の現場の様子をご紹介くださり、百年先の修理のために「今」出来ることを行う・・・そのご苦労や継承していくことの難しさが語られました。知る機会のなかった業界の興味深いお話に、皆さん”前のめり“です!過去と未来をつなぐ修復の「今」を、大切なことを教えていただきました。

講演終了後、「いい話が聞けたわ」と皆さんからいただいたお声がとても嬉しかったです♪
本展覧会の会期は、残すところあと1週間となりました(11月14日まで)。天高く澄みきった秋の空と比良山系の紅葉、母なる琵琶湖の景色を堪能しながら、ぜひ湖西路へ、展覧会会場へとお出かけ下さい♪♪♪

カテゴリー: 展覧会 | 11月6日 展覧会関連講演会 開催されました はコメントを受け付けていません