月別アーカイブ: 3月 2022

「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展 ギャラリートーク②

 お待たせいたしました、13日に行われたギャラリートークの様子を紹介するブログの第2弾!引き続き、皆さまお付き合いくださいませ♪

 こちらには薬師如来立像、地蔵菩薩立像、大黒天の彫刻が並んでいます。ギャラリートークに参加された皆さんは気付いておられますかね~?担当学芸員がイチバン滑らかにお話ししたところ(?!なんせ彫刻が専門なもので(笑))。
 近江八幡市・東南寺に伝わる地蔵菩薩立像は、平安時代・9世紀にさかのぼる可能性もあるという県内屈指の僧形の古像です。東南寺は、最澄を開山とする天台宗寺院。最澄は”六地蔵”を造立したという伝承もあり、僧形の神仏と最澄の浅からぬ関係を彷彿させます。

 さて、ここからようやく第2章です(笑)。最澄が将来(請来)した天台宗の根本経典である法華経、先ずはその美しさをご堪能ください。藍で染めた紺色の紙に金や銀を使って筆で書かれた文字は、それはもう大変美しいものです。思わずため息が出てしまいますよ~。そして長浜市・大吉寺に伝わる両界曼荼羅図。密教の教えがこの2つの曼荼羅にギュッと詰まっています。雪深い古刹に伝わる大変貴重なお品です。

 こちらは展覧会後期からお目見えした3幅です。法華経の中で、特に女性からあつい信仰を受ける普賢菩薩さま(右図)。全国的にも珍しい、左足を踏み下げて蓮華座に座る阿弥陀如来さま(中央)。どちらも天台宗の教えから生まれた幅広い仏教美術の奥深い魅力をそなえています。そして「阿字図」(左図)。密教では梵字の初めの文字である「阿(あ)」。行者はこの阿字図の前で瞑想をおこない、罪や穢れを滅して悟りを開くとされています。

 最後に忘れてならないのが、天台を守る神々の存在です。最澄は、中国天台山の神に倣い、比叡山の神を山王(さんのう)と位置づけて天台の守護神としました。神さまと仏さまの最強タッグです。
 大津市坂本の日吉大社では、毎年春に山王際が行われます。当館所蔵の日吉祭礼図屏風には、山王祭を桟敷席で見守る僧侶が描かれています。江戸時代に描かれた作品ですが、現在にはないお祭りの風景。小さな一コマですが、こんなところにも仏と神のつながりを見て取ることができるのです。

 さぁて、駆け足で展覧会会場の様子を、ギャラリートーク形式に紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?興味を持っていただけました?この度の地域連携企画展、展示されている文化財は、考古資料を除いては、当館が県内の社寺さまからお預かりしている文化財、および館蔵品で構成されています。
 「出展された寺や神社の所在のわかる地図があればよいと思った。機会をみてその寺や神社を訪ねたいと思います。」これは展覧会アンケートに記入いただいたご意見です。本展をきっかけに興味をもっていただいたこと、大変嬉しく思います。

 ・・・ということで!遅ればせながらご用意いたしました![あゆみ展/ご出品社寺・機関 所在地図]!現地を訪れると、同じ県内でもそれぞれ地域によってその土地の”空気感”が異なることを実感します。滋賀の文化財は、地域の中の当たり前の風景の中で大切に守られ、伝えられてきたもの。実際に訪れることで気付くことがあります。(※普段公開されていない社寺さまもありますので、十分ご配慮いただきますようお願いいたします。)

 本展をきっかけに、さまざまな知見を広げていただければ幸いです。

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「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展 ギャラリートーク①

季節は一気に春うらら♪お出かけしやすい気候となりました。
現在安土城考古博物館で開催中の「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展。13日(日)には担当学芸員によるギャラリートークを実施、この日を待ちわびた方々が、多数会場にお越しくださいました。

当ブログでも、「会場の様子はまた後日・・・」と予告していたので、ギャラリートークの皆さんと一緒に、会場をのぞいてみましょう♪


皆さんが注目されているのが、最澄が僧侶としての人生を歩みはじめた近江国分寺を偲ばせる、近江国府跡から出土した遺物です。奈良時代~平安時代の貴重な瓦などを見る事ができます。

そして本展の最重要人物・伝教大師最澄さんの肖像について。おや?皆さんの記憶にある最澄さんの肖像画とは、ちょっと異なりますかね?
そうなんです。今回展示しているのは、とても珍しい「頭巾を被っていない」最澄さん。そのお隣は、少しあどけなさも残る若かりし姿の最澄さん。こちらも非常に珍しい肖像で、その伝承が気になるところです。

続いて、この辺りに展示しているのは、最澄が遺した言葉として有名な「一隅を照らす」などの記述がある文書のコーナー。(展覧会クイズの問題②・⑦で出題されている答えが見つかる重要なゾーンですので要チェックです!!)

ここで一つ、とっても”おめでたい”お知らせです。
学芸員が指を指しているところにご注目下さい!
展示されているのは、令和4年3月11日(一昨日)に、新たに県指定有形文化財に指定された、孔雀文馨(くじゃくもんけい)でございま~す!県の指定に「なりたてホヤホヤ」と聞いて、皆さんもビックリ(!)。それを早速見ることが出来た幸運に「おぉ~!」とドヨメキの声が(笑)。皆さん嬉しそうに頷いておられたたのが印象的でした♪
馨(けい)は、梵音具のひとつで、音を打ち鳴らすモノであり、使っているうちにどうしても摩耗し交換(処分)されることが多いのですが、こちらは鎌倉時代に制作されたものが今に伝わっています。しかも片面には「法花堂」の刻銘があることから、天台で特に重視された修行の一つ”法華三昧”を行う法花堂(法華堂)で使用されていたこともわかる、大変貴重なものです。
こちらは甲良町・西明寺さまから寄託されているお品ですが、この機会に皆さんにお披露目することができて、本当によかったです!

あぁっと、本日のブログも、ここで字数オーバーとなりました!まだ会場の半分も紹介できていませんが・・・。続きはまた次回「ギャラリートーク②」で!皆さん気付いてます?今回紹介している画像:小さいでしょ?これはもう、実物を会場で見るしかないのでは??(笑)!!「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展は4月3日までの開催です。

ハイキングにもいい季節。「安土=信長」イメージで近くの安土城跡に来られた観光客の皆さん!会場の安土城考古博物館へは、このピンクの「のぼり」旗が目印です♪かわいい「まめのぶくん」が皆さんを会場までご案内します。 散策がてら、是非本展にお立ち寄りくださいね♪♪

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文化館で取り調べ?!

本日、文化館の会議室で、なにやら、話し合いがおこなわれています・・・。どことなく近寄ってはいけない雰囲気が・・・。当館のメンバーは、皆あらたまった装いで、少し難しい顔をしているようです。・・・何事でしょう?

(・・・ハッキリとは聞こえませんが、断片的に聞こえてくるのは・・・)

「大変だったでしょう・・・?」
『・・・***な事もありました・・・』
「・・・当時のあなたは・・・話していただけますか・・・」
『・・・△△△・・・』
「・・・これからどうなさるおつもりですか・・・」
『・・・××○○します・・・』

「・・・!!!・・・」

  
こ・こ・コレはもしや・・・何かの取り調べ??!
・・・後日続報をお伝えします。

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壁画 杉本哲郎氏作「舎利供養」 新・文化館へ移設

皆さんは覚えておられるでしょうか?

文化館の小さい方の館:別館の壁に埋め込まれている巨大壁画「舎利供養」。こちらの展示会場は、昭和50年代半ばには一般の公開を取りやめていたので、「記憶にないな~」と言われても無理のないことかもしれません。

本図は、世界的に活躍した宗教画家である杉本哲郎氏(1899-1985大津市出身)が、滋賀県の依頼によって昭和24年(1949)に県立産業文化館において制作され、昭和35年(1960)に琵琶湖文化館に移設されました。

中央の絵がほぼ正方形(縦3.67m×横3.58m)、左右が横長(各縦1.88m×横5.14m)の、とても大きな壁画です。長らく皆さんにご覧いただく機会がございませんでしたが、このたび、大津市浜大津において令和9(2027)年度に開館を予定している新しい文化館に移設する方針が決まり、2月28日に当館において記者発表が行われました。

滋賀県では、本年度、この壁画の価値評価や設置構造の調査を実施しております。当初、壁画と建物自体のコンクリートがどの程度まで密着しているのか、心配するところでございましたが、躯体との間には空間があり、取り外すことが可能であることが確認されました。
一方で、経年による部分的な絵の具の劣化が見受けられるため、膠(にかわ)などをつかった剥落止めの措置を施し、移設の振動に耐えうるよう、対処する予定となっています。

記者発表の場には、杉本氏の孫である太郎さんも同席され、「祖父もきっと喜んでいるだろう」と感想を述べられました。
杉本氏が、実際に古代インドの仏教画を取材し、その知識と技術を駆使して壁面に直接描いた巨大壁画「舎利供養」。本図は、迫力に満ちています。
新・文化館にて皆さまにご覧いただけるよう、万全の態勢で準備を進めてまいります。

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2月のホームページアクセス数

日中は少し暖かくなったとはいえ、まだ朝晩の冷え込みが厳しいですね。文化館の事務所内にある鉢植えの桜は、例年ならそろそろ花が咲き始めるのですが、今年はようやく芽吹いたばかり…。やはり今年はいつもよりも寒いようです。しかし、春はもうすぐそこ!今日も張り切ってホームページアクセス数の発表とまいりましょう。2月のアクセスは、1,843件となりました。みなさんご訪問ありがとうございました。

この一カ月、いろいろと報道各社に文化館の話題を取り上げてもらう事が多かったように思います。皆さんの目にもとまりましたか?何といっても現在開催中の「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展、開催情報講座の様子など、各紙大々的掲載いただきました。
朝日新聞で、隔週連載中の「滋宝 琵琶湖文化館 収蔵品から」では、展覧会で公開中の作品の魅力もたっぷり紹介されています。
その他にも、高校生が新文化館の企画案を考えてくださった記事や、あきつ君を描いているオネエさんの話(!?!)などなど。把握できる限りの情報は、文化館前にある掲示板に貼らせていただいております。近くを通られたら、ぜひ立ち止まってご覧くださいね。
皆さんに読んでいただきたい記事が多く、限られた掲示板内のどこに貼ろうかと考えるのが、近ごろの嬉しい悩み…だったりします(笑)。ホームページだけでなく、掲示板も皆さまへの情報発信源として日々頑張りますっ!

「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展は、前期が3月6日(日)まで。展示替えを行い、後期3月8日(火)からは、新たに県指定の「普賢十羅刹女像」や、重要文化財「十禅師像」(どちらも成菩提院ご所蔵)などがお目見えします。本展をどうぞお見逃しなく♪

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