日別アーカイブ: 2015年11月13日

工房お訪ね日記①

先日、文化財の修理を依頼している業者さんのところへ、学芸員さんと一緒に事務方代表として行って参りました。初めて見る修理工房にテンションが上がってしまい、自分でも「イチイチ素人の質問やな~」と分かってはいるのですが・・・いろいろと質問してしまいました。31お仕事中、さぞ煩わしかった事と思います。今思えば大変申し訳なく・・・でもここは気を取り直して!工房で仕入れてきた「あきつ豆知識」を皆さんにしっかりご紹介!させていただきます。。。

先ず目にしたのが、あろうことか霧吹きで濡らした和紙の上に、掛軸の表面が置かれて・・・(あきつ心の声)「ぎゃぁ!そんな事をしたら墨や絵の具がにじむじゃないですかーッ!」。(あまりの衝撃に絶句・・・写真を撮るのを忘れました・・・)その後も裏側から霧吹きで水をぷしゅぷしゅと・・・「マジですか。あかんでしょ・・・」と心の声はどこまでも疑心暗鬼だったのですが、専門家曰く、「ニカワが墨や絵の具に使われていて接着剤の役目をしているから大丈夫」なのだそうです。ホッ。なるほどです。だって小学校で絵を描いた時には、そんな秘密兵器なかったですもの。。。そうでした。絵の具からして違うのデシタ。。。

さてここで、「ニカワ」についてお勉強です。漢字で書くと「膠」。20151110-2こちらの工房で使われていたのは「鹿膠」で、状態を見ながら今回の場合は水に約2%の濃度で溶かして絵の具の剥落止めなどに使うとのことでした。重要な役目を担う膠も実はこんな魅惑の物体。琥珀のような色合いですが、動物の骨や皮、腱などを煮詰めて作られるとのこと。コラーゲンデスカ?会話の途中、頭の中では『ニカワ=煮皮』の漢字を思い浮かべてしまい・・・気持ち的に手を合わせてな~む~。。。ちなみに牛から作った「三千本膠」や「兎膠」というのもあるそうで、「シカ」より「ウサギ」の方が軟らかく、水に溶かす濃度も違うそうです・・・な~む~。。。

20151110修理工程では、裏からたっぷり水を吹きかけた後、裏打紙(肌裏紙)をピンセットと指先で器用に剥がしておられました(解装)。きれいに剥がれるものなのですね~イチイチ驚きです。実はこれには秘密があります。。。
あぁ!もっとご紹介したいのに、書くスペースに制限が・・・残念!ということで、こちらのお訪ね日記は、不定期に継続される予定デス。かなりもったいぶった連載となるかもです~(笑)。

   筆:あきつ

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