日別アーカイブ: 2016年10月17日
君の名は???
先に謝っておきます。タイトルから、今、大ヒット中の話題の映画を期待された方はごめんなさい。今回は、「西川吉輔」という人のお話です。この方は、文化13(1816)年、近江八幡に生まれ、幕末維新期の国学者として知られています。文化館では、この方の書簡を収蔵しており、ホームページ「収蔵品紹介」でもご紹介させていただいております。
先日、こんなお問い合わせがありました。「西川さんのお名前は、キチスケとお読みするのですか?それともヨシスケというのですか?」
なるほど、素朴な疑問です。。。琵琶湖文化館のホームページには「にしかわ きちすけ」で紹介しています。このお問い合わせにしっかりとお答えすべく、学芸員さんは改めて徹底的に調べて下さいました。まずは、人名事典類、そして滋賀県の百科事典類、それから、それから。。。
ところが、出てくるもの、出てくるもの、「ヨシスケ」ばかり。しかし調査を続けるうちに、地元の自治体史と、西川吉輔家文書を所蔵されている滋賀大学の目録に「キチスケ」あるいはローマ字で「kichisuke」とあるのを確認。どうやら、インターネットや他県の文献には「ヨシスケ」で紹介されていることが多く、滋賀県内の文献では「キチスケ」と記される傾向であることがわかりました。
また、滋賀県教育委員会文化財保護課さんに尋ねてみると、「宇野先生からは、「滋賀県の神道界や地元ではキチスケさんと呼んでいた」と聞いています」との有力情報が・・・。
宇野茂樹先生というのは、仏教美術研究の大家でいらっしゃいますが、実は神社の神主でもあり、神道界のことについても大変お詳しい先生です。西川吉輔は、維新後は日吉大社の宮司をしておられたので、当時、直接関わりのあった人々からの、「口伝え」とでもいうのでしょうか、地元ならではのかなり近しいところからの情報が、ここに伝わっていた訳です。
お問い合わせいただいた方にご連絡すると、なるほどそうでしたか、とご納得いただけた様子。このやり取りを隣で聞いていた事務方の私も勉強させていただきました(笑)。有難うございました。
本当に人の名前の読み方って難しいですよね。近頃はやりの「きらきらネーム」、同じ時代に生きているハズなのにどうお読みすればいいのかワカラナイお名前が・・・。皆さん、名前に読み仮名を添えるのは恥ずかしいことではありません。ちゃんと呼んで欲しい正しいお名前で、後世に名を残してくださいね(笑)。