月別アーカイブ: 3月 2020

研究紀要第36号 発刊しました

年度末の気忙しさにアタフタしておりますが、今年も無事、桜の花の咲くころに!学芸員の調査・研究成果である「研究紀要第36号」を発刊いたしました!さて、その内容はといいますと・・・。

【網代双鳥鏡について】
和鏡のなかでも網代双鳥文(格子の地文様に鳥を二羽表したもの)に注目し、宋代・花鳥画との関連を指摘する。
【近江における明智光秀家臣団伝承について】
昨年発行の紀要第35号で、明智光秀近江出身説を語った筆者が、その後県民から寄せられた情報を元に、県内各地に伝わる明智家臣団の伝承を集成する。
【資料紹介】観音寺(草津市芦浦町)所蔵 木造十一面観音菩薩立像】
当館に寄託されている本像は、表面に赤褐色の染料が施された檜の代用檀像で、鎌倉時代以降、中世に遡る貴重な作である。
【平成31年度年報】

こちらは、研究紀要のサイトから、各項目についてPDF版のダウンロードが可能となっていますので、是非ご利用下さい。

当館の研究紀要は、昭和58(1983)年に第1号が発行され、あいだ1年のみ休刊となったものの、継続して刊行しております。それぞれの専門・研究分野によって、書かれてきた内容は様々ですが、先輩学芸員共々、積み上げて来た成果を皆さんにお返しできるよう、引き続き頑張っていきたいと思います。

研究紀要は、県内の図書館はもとより国会図書館や市町教育関係機関、博物館などにも送付しておりますので、是非皆さま手に取ってご覧くださいませ。

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おうちであきつ君

新型コロナウィルス感染拡大防止の影響で、お出かけできないお子さま達に、文化館から何かできることはないかと、考えてみました。そこでご用意したのがこの春休み特別企画!「あきつ君ぬり絵」です!これなら、おうちで楽しめる?!

改めてあきつ君について解説しますと、平成19(2007)年に、子ども達にも文化財を分かり易く説明するため、また、親しみを持って学習してもらえるよう、屋上の大トンボをマスコットキャラクターに『あきつ君』が誕生しました。文化館が休館となってからは、主にあきつブログの中で、さまざまなあきつ君が登場しています。知名度はイマイチ(泣)ですが、いろんな場面でしゃしゃり出る(!笑!)あきつ君を、楽しみにしてくださっている隠れファンもいらっしゃるので(笑笑)、子ども達にも楽しんでもらえるかな~っと・・・。お子さまと、或いはお孫さんと、ぜひご一緒にチャレンジしてみて下さい!

さらに!この機会に新しいあきつ君を、皆さんに考えていただく、というのはどうでしょう?!名付けて「そうだ!あきつ君を描いてみよう!」です!とは言っても、基本、あきつ君は、羽が水色で尾っぽが赤、お目目をクルクルっとしたら出来上り・・・だけでは寂しいので、皆さんに作り方を伝授します!先ずは、どのような場面であきつ君を登場させたいか?を考えると、その表情は?何をしていところ?などなど、動きが出てきていろんなパターンのあきつ君が作れます!意外と「ヘタうま」なところからお茶目なあきつ君が生まれたりするものなのです~。ほら、このように(笑)。


ということで、新しいあきつ君大募集です!下書きでも構いません!描いたあきつ君をスマホでパシャっと写して、メールで送ってください!送っていただいた画像をイメージに、新しいあきつ君が誕生!するかもしれません!!なんて素敵な企画・・・この機会に、皆さんに「作る」楽しさを味わっていただければ、とても嬉しいです。

これではあき足らないという皆さんには・・・そうですね、例えば、数あるあきつ君の中には、神さまや仏さまのパロディがいます。恐れ多くてなかなか踏み込めない領域ですが、神仏の画像をじっくり見ながら、同じように似せて描き始めると、「へぇすごい!」と感動する場面に出くわしたりします。しなやかな曲線に細やかな飾り細工、考え抜かれた絶妙の配置・・・などなど、新たな発見があったりしますよ。お経を書き写す「写経」というものがありますよね、とても心が落ち着く。きっとそれに似ています。時間を忘れて没頭すること間違いなし!ちなみに、仏さまパロディのあきつ君は作るのにすごく時間がかかる。。。じっくりと向き合うというのは、大事なことですね!

皆さんに紹介しているあきつ君は、全あきつ君のほんの一部です。1匹のあきつ君に、どれほどのボツネタが存在することか・・・いつかすべてを紹介できればいいなぁ、と密かな野望を抱きつつ・・・、さて、今日はどんなあきつ君を作りましょうか???

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文化館は竜宮城!!

皆さま、ご存知でしたか?明日は琵琶湖文化館の「お誕生日」なんです!文化館は、昭和36年(1961)3月20日に、この大津市打出浜の地に生まれました。滋賀県で初の公立博物館として開館してから59年。もし人間だったら、もう白髪の混じるようないいお歳ですよねぇ。開館当時の様子は、「湖上にお城ができるまで-写真アーカイブ-」のコーナーでご紹介していますので、ぜひご覧になって下さいね。
(→右は、昭和35年に作られた開館予告のポスター)

さて、琵琶湖の中に浮かぶように見えるこの琵琶湖文化館には、開館以来の「浮城」という愛称があるのですが、巷ではいつの間にか「竜宮城」とも呼ばれるようになりました。湖の中に浮かぶお城のような建物、それはまさに浦島太郎などの昔話に登場する「竜宮城」そのものに見えるのでしょう。最近でも、サイクリングで琵琶湖一周などされている方たちの目印になるのでしょうか、“竜宮城のような”と形容された琵琶湖文化館前の写真がインターネット上に掲載されたりしています。

「竜宮城」と言えば、皆さまよくご存知なのが浦島太郎のお話でしょう。若い漁師であった太郎が助けた亀に連れられて竜宮城へ行き、夢のような短い時間を過ごしたのちに故郷へ戻り、玉手箱を開けると白髪のおじいさんになってしまった、というものですね。昔話というものはいくつかの類型に分けられるのですが、このお話は、「異郷訪問譚」というパターンにあてはまるそうです。若者(子供)が偶然に(自分の意志ではなく)異郷へ連れていかれ、夢のような体験をして、現実の世界へ戻って来た時、その若者(子供)は成長している、というのがその骨子になります。

考えてみると、子供にとって「博物館・美術館へ行く」という行為も、ある種「異郷訪問」と言えるかも知れません。親に連れられて、または学校の遠足で、偶然に連れられてきた子供も多かったでしょう。それでも中へ入ってみると、展示室というところは、何千年といった日本の歴史、地元のまた遠く離れた土地の文化が凝縮され、悠久の時間や広大な世界をたった数時間で体験できるとっても不思議な場所。子供にとってはまさに、今まで知らなかった世界(=異郷)だったハズ!そして、ここで貴重な時間を過ごして、館外(=現実の世界)に出た時には、ちょっぴり強く賢い、大人になっていくのかも?

文化館にも開館以来半世紀近くの間、たくさんの子どもたちが来館してくれました(←左の写真は昭和40年代:小学生来館の様子)。だから、ここが「竜宮城」と呼ばれるのも、その外観からだけではなく、もしかしたら地域の人々の心の奥深くに刻み込まれた文化館での「異郷」体験が、自然とそう呼ばせるのかも知れませんね。地域の人々と共に歩み、「竜宮城」と呼ばれてきたことを、誕生日にあたって改めて誇りに思いたいです!!

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この時季「花粉知らず」で、ヒノキを学ぶ

最近・・・飛んでますよね・・・困ったことに。。。そう、毎年この時季になるとスギやヒノキの花粉が飛散し、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目の充血といった症状に、苦しんでおられる方もいらっしゃるのでは?今日は、そんな方におススメの「花粉知らず」な話題です。

こちらに、当館オススメの『ヒノキ』があります。勘が良い人はもうお気付きですね?「安土・桃山時代の近江展」に出品された檜(ヒノキ)図です。本来であれば開催期間中ですので、会場で花粉を気にせず(!)、皆さんにご鑑賞いただいているところなのですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場の安土城考古博物館さんでも臨時休館となっており、今しばらくご覧いただくことが出来ません。
ということで、ここはじっくりと、皆さんにはお家で、お勉強をしていだきましょう~。
檜図は、湖北(現:長浜市)に生まれ、狩野永徳や長谷川等伯らとともに名前を連ねる、安土桃山時代の巨匠:海北友松(かいほう・ゆうしょう)が描いた作品です。シンプルな画面構成がカッコイイ!
この屏風については、制作年代が定かではありませんが、署名の書体は、慶長7年(1602)に制作されたことが明らかな作品と近似しており、現存する友松の金碧画中、最も早い時期に位置づけられ、注目される作品です。さて、どこが友松らしいかと言いますと・・・。

などなど、友松独特の手法に注目すると、作品をより楽しむことが出来ると思います(詳しくはコチラ)。

さて、檜図の展示作業を見ていたところ、華やかな金碧屏風がまたたく間に展開していく様子が、なんともステキだったので、屏風の展示方法とともにご紹介します。
まず屏風の中央を広げて安定させ、それから左右を順に広げていきます。

最後に角度や間隔を調整して、屏風の展示の完成です。会場では幅広に見えますが、折りたたむと6分の1!と小さくなるのですね~。

これを見て、お家にある屏風を久々に広げてみようかな、と思った人は・・・ぜひ影響されてください(笑)。

「パッと見るとスギかヒノキかわからない!」という方は、葉っぱにご注目。スギは先が尖ってイガイガなのに対し、ヒノキの葉は平たく広がっている感じです。この豆知識も、是非知っておいていただきたい!!友松が描いたのは間違いなくヒノキ・・・なのですヨ。
なかなかご覧いただく機会の少ない作品ですからね。新型コロナウィルスが早く終息することを願わずにはいられません!!展覧会が無事再開できますように!
※3月25日より再開決定

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2月のホームページアクセス数

3月に入りました。朝晩の冷え込みはまだありますが、日中は日差しも春らしく明るく、外出が楽しみとなる季節がやってきました。写真をご覧ください。琵琶湖のまわりでは、こんな春も見つけましたよ!!

ただ残念なことに、今年は新型肺炎ウイルスの広がりという、思いもかけない出来事に見舞われ、感染拡大防止のため、先週末より各地でイベントの中止や学校の休校・施設の休業が相次ぎ…これからしばらくは、外出もままならない日が続きそうです。この波は博物館業界にも押し寄せて…作品出陳中などで文化館がお世話になっているいくつかの館からも、休館や講座等の中止の連絡をいただいたりしております(詳しくは各施設までお問合せ下さい)。近日中の観覧や講座の聴講を予定されていた方にはご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞご理解いただけますようお願いいたします。

そんなこんなで、皆さまも落ち着かない日々を過ごされていることと思いますが、今日はホームページアクセス数のご報告をいたします。2月の当館のホームページへのご訪問は、1,589件となりました。平均サイト滞在時間も1月より伸び、皆さまじっくりとご覧になっている様子。多くの方にご訪問いただき、感謝しております。2月には、地域連携企画展「安土・桃山時代の近江 琵琶湖文化館収蔵品を中心に」が始まりました。来場者数も順調に伸びて喜んでいたところ、会場の安土城考古博物館でもウイルス感染拡大防止のため、3/16まで休館となりました。当ブログでは、オープニングセレモニー(2/8)博物館講座(2/23)の様子をご報告させていただいております。企画展に足を運んでいただけない間、しばしこちらの方で会場の雰囲気を味わっていただけましたら幸いです。これからも沢山の方に楽しんで頂けるよう、ホームページの充実、頑張ってまいります。皆さまも、チェックの方よろしくお願いしますね~!

さて、明日は3月3日、「桃の節句」「ひな祭り」の日ですね。3月3日というのは、古くは「上巳(じょうし・じょうみ)の節句」といい、川や海に人形(ひとがた)を流して疫病などの邪気を祓うという行事をおこなう日だったとか。これに因んで、私たちもまた、手洗い・うがいなど各自でできることを徹底して、ウイルスを水に流し、感染を広げないことを心がけたいものです。
春の心地良い風を、(マスクなど通さずに)肌に感じられる日が、早くやってきますように!

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