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書が楽しい・トークも楽しい・ギャラリートーク&ミニセッション

 10月の三連休は秋晴れ!お出掛け日和となりました。現在、東近江市の観峰館で開催されている琵琶湖文化館地域連携企画展「近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。13日(日)には、展覧会関連イベントとしてギャラリートーク&ミニセッションが行われました♪    

 皆さんは本展の印象、どう感じておられます?パソコンやスマホを使うことに慣れ、字を書くことから遠ざかってしまった昨今・・・世間一般には、「書」は、「難しい」「字ばっかり」「堅苦しい」「地味?」「楽しい?」などなど、あまりテンションの上がるものではない・・・かもしれません。し・か・し・それはきっと!今回のギャラリートークのような『学び』を、経験してないから?!  

 ということで、今回はおおよそ「書」の展覧会のギャラリートークとは思えない(?!)、ざっくばらんな雰囲気のトーク(笑)を、一部抜粋してご紹介します♪

 トップバッターは琵琶湖文化館の井上優副館長。もはや定番となったスケッチブックを持参、「書の博物館で手前の筆書きを披露するなど大変おこがましく、お恥ずかしい限りではありますが・・・」との前フリに、皆さんからクスっと笑いをゲット!出だしは好調のようです(笑)。

 「これは、禅でよく使われる叱咤(しった)の言葉です。叱咤激励、励ますお声を大きく勢いよく一文字で書いておられます。一方でどこか柔らかな印象もあり、お人柄が現れているようです。それは花押(かおう)にも表れていて、まるで『宇宙』だと思いませんか? 」
 
➡さて、誰が書いた書でしょう??

 2番手は観峰館の寺前公基学芸員。こんなにも「書」からイロイロ分かるモノかと驚き!

 「コチラの屏風・・・コレ・ね、展覧会が始まってから毎日作品を見ていて、僕、気付きました。この屏風に書かれている56文字。最初は5文字ずつ、まじめに書いていたんでしょうね。でも中ほどまできて『あれあれ?面白くない。遊びを作りたい』・・・と思っちゃったんでしょうね。見てください、この真っすぐに思い切って書いた「外」の文字。しかも1行に4文字。敢えて特徴的に書くことで作品に深みが増している。重厚であった前半、中ほどで方向転換して、後半は軽やかに変化している。字を見ていると、書き手の考えていることが『出る』し『わかり』ます。こんな風に考えて書いているのだろうなぁということを想像して見ると、オモシロイです。」

➡さて、寺前学芸員に、ここまで心を読まれてしまった作品の作者は誰?
➡11/23(土)土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②」で、この方の書について、詳しく解説されます♥

 3番手は琵琶湖文化館の和澄浩介主任学芸員。実は彫刻担当で、会場には彫刻作品は無いのですが、本展では図録掲載用の写真を撮影するなど、影の功労者です。

 「この展覧会に是非ともお出ましいただきたかった肖像があったのですが、残念ながら様々な事情があり、今回はパネルでのご紹介です。お寺で調査をさせていただきましたが、構造を拝見したところかなりの重量級。座しておられる場所も須弥壇の幅が狭く、作業が困難なこともわかり、何よりその周りを囲うようにいらっしゃる〇〇〇さまがたくさん・・・。」
 
➡さて、出展を諦めた理由の一つ、〇〇〇さまとは??

 ギャラリートークの後、展示室に椅子を並べて、アットホームな雰囲気で語り合われたミニセッション(という名の裏話(笑))。
 井上副館長のお言葉から「休館となってからコーカイ(公開)の機会が少なくなってしまった文化館の「書」ですが、このまま(令和9年度に開館する)新しい琵琶湖文化館に移ってしまっては、それこそコーカイ(後悔)するところでした。観峰館との連携のおかげで、書には『このような観賞のし方・楽しみ方がある』ということを改めて教えていただきました」。

 今回の連携展では、さまざまなご縁が結ばれています。調査によって明らかにされた作品の背景、書が映える展示の仕方、出品の所有者さまたちとの更なる結びつきなどなど、共催したことで得られた発見は、何よりの宝物!近江の書の潜在能力・・・まだまだ面白いモノが見つかりそうで、ドキドキです🌟

【想像をしないとちょこ~っと分かりにくかったかもしれない本日のブログ:その理由】11/13(水) 滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」で解説付き鑑賞会を実施するので、あまりネタばらしをしてはイケナイ・・・。ということで皆さま!ぜひ会場で学芸員の解説を聞いてみてください!ブログではうまく説明できない、書の楽しみ方を、イロイロ教えてくださいますよ!
 10/27(日)には記念講演会も実施されます。皆さま奮ってご参加くださいませ♪♪

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あっという間に下半期・始まりました!

  皆さんオドロキです。本日、10月1日、あっという間に、下半期に突入です。えぇ~っと・・・上半期の記憶が既に。。。(>_<)。。。月日が経つのは早い!

 5月から始まり、会期が長い(!)と思っていた地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡」展。

 9月26日に無事終了し、会場であった県立公文書館では、次なる企画展「湖国の宝が歩んできた道~文化財の危機と保護~」が始まった、とのことです。実はこの企画展にも当館から資料を貸し出しておりまして・・・。

 それは何かと申しますと、昭和24年(1949)9月時点の「重要文化財保護法案要綱」という、とぉ~ても貴重な資料!
 現「文化財保護法」は昭和25年(1950)5月の成立ですが、それ以前、試案の段階では、調査研究を重視し、国立博物館や重要文化財研究所の設立を明示するなど、現行法に比べてより具体的な内容が記されています。文化財保護の歴史を物語る大変貴重な資料です。是非、県立公文書館に、足をお運びください。

  その他にも当館の収蔵品は、各地の展覧会にゾクゾク出品されております!↓↓〔収蔵品の公開情報はコチラをチェック〕


いやぁ・・・秋の展覧会シーズン、真っ盛りデスね!

 

 更に!注目したいのが・・・
 コチラ↓↓↓

 10月5日に実施する新しい琵琶湖文化館の建設予定地イベントです!
・・・誰です?隣の「成瀬さん」のポスターが気になる、なんて言うヒトは?!そう、確かに気になる・・・(笑)。
 こちらの写真は、JR膳所駅構内を激写したもの。(「成瀬さん」と当館のかかわりは、4月24日付けブログで紹介しております。)文化館も大注目の成瀬さんと、(ポスターとは言え)奇跡のコラボを果たした今回の建設予定地イベント♡これは成功させねばなりませんね!

 お天気が少し心配ですが、着々と準備を進めておりますので、皆さまぜひ気軽にご参加ください! 建設予定地イベントは、10月5日11:00~17:00、大津市浜大津の大津港旅客ターミナル向かいで開催いたします! [詳しくはコチラ

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「滋賀限定!近江ゆかりの書画」土曜講座開催されました!

講師の寺前学芸員(観峰館)

 現在、東近江市の観峰館で開催中の地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。本日は関連イベントの土曜講座が開催されました。

 演題は「近江ゆかりの書跡を探る①-雲居希膺-」、講師は観峰館の寺前公基学芸員です。石敷きの雰囲気のある素敵な会場に、講師のソフトなお声が爽やかに響きました♪

・・・「雲居希膺」・・・
 皆さん読めました?(笑)。雲居希膺(うんごきよう・1582~1659)は、伊予国上三谷(現・愛媛県伊予市)出身の臨済宗の高僧で、皆さんよくご存じの仙台藩主伊達政宗・忠宗の依頼により、松島・瑞巌寺を中興しています。
 そのような高僧がなぜ滋賀に縁があるのか?実は、東近江地域には仙台藩の飛領地一万石があったから(!)なのですよ~。この事実だけでもオドロキ(!!)です。雲居希膺と縁のある東近江地域の寺院は、本展にも数多く出品いただいている徳昌寺さまの他に、石馬寺や瓦屋寺、千手寺などがあります。

 

 雲居希膺と滋賀のかかわりを理解した上で、改めてその「書」を見てみると・・・何とも親しみのある特徴的な筆使い!柔らかくもあり、あたたかくもあり、そのお人柄が文字に現れているようです。
 見る人を引きつける雲居希膺の書の魅力。何より本展・本講座の開催にあたり資料の調査・研究を重ねられた講師の寺前学芸員が語る、ソフトで熱い、その思いが、書の魅力を倍増させてくれた気がいたします。いやぁ知るって楽しい!
 ・・・ですよね?皆さん?!きっと私たち、雲居希膺の『ファンクラブ』に入っちゃったかも・・・ですよね(笑)。参加いただきました皆さま、誠に有り難うございました♪

 11/26の土曜講座では、「近江ゆかりの書を探る②-副島種臣-」が開催されます。こちら楽しみ!乞うご期待!!

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井上敬之助像 旅立ち故郷へ

 「琵琶湖に向かって凛々しく立つ、この方はどなた?」と、気になっていた人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 当館からほど近く、道を渡った川沿いに建つのは 、明治から昭和にかけて活躍した政治家・井上敬之助(1865~1927)の銅像です。
 実は今日、当地から故郷の湖南市へ旅立って行かれました。

 井上は、旧石部村(現・湖南市)出身の政治家で、27歳の時に県会議員に当選、以降5回当選という経歴を持ち、明治35年(1902)には衆議院議員に初当選、翌年も再選を果たすなど、政治家として大きな功績を残された方。官僚政治の是正や民意の反映に努め全身全霊を政治に捧げたその姿から、滋賀県政の大御所として「其当時県に知事が二人いる」と言われたほどで、明治後期から昭和初期にかけて、滋賀県の政治家を語る上で、忘れることのできない人物でもあります〔詳しくはコチラ〕。

 この銅像は当館が開館した翌年の1962年に建立。建設にあたっては、服部岩吉滋賀県初代民選知事(1885~1965)が中心となって像の制作・建立を計画し、彫刻家として有名な森大造に制作を依頼、募金により200万円の建設費を集めて完成に至ったと伝わっています(建立者:井上敬之助顕彰会)。

 以降、約60年にわたり当館とご縁のあった本像ですが、このたび、井上の出身地である湖南市が故郷への「帰郷」を強く希望されたこともあり、本日、移設のための作業が行われました。

 移設先の湖南市では、10月6日に市制施行20周年の記念式典で除幕式を行い、その後、故郷である石部に再移設されるそうです。

 琵琶湖に向かって凛々しく立つお姿も素敵でしたが、地元の皆さんにより近いところで、身近に親しんでもらえたなら、像主もきっとお喜びになることでしょう。

 打出浜からまた一つ「昭和」が無くなりますが、どうぞ永くお元気で!大津での御勤めお疲れさまでした!
 御帰郷、おめでとうございます!

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いよいよ開幕!滋賀限定!9/21から!

 琵琶湖文化館地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで-」。9月21日(土)から、東近江市の(公財)日本習字教育財団 観峰館にて、いよいよ開幕です!

 ということで前日には、出品をご快諾いただいた文化財所有者の方々や、報道関係の方をお招きした内覧会が行われました。
 
 ちょこっと会場にお邪魔しましたので、中をのぞいてみましょう~扉の向こうは、趣深い「書」の魅力に溢れた空間となっています♪

【関係者を招いて行われた内覧会】当館の大橋館長からもご挨拶させていただきました。

 琵琶湖文化館の収蔵品をゆかりの深い地域で展示公開する「地域連携企画展」。このたびは、わが国屈指の「書」の博物館として知られる観峰館さんとタッグを組んでの開催です。
 近年ほとんど公開していなかった当館の書の名品を、出張展示します。古経典から始まり、江戸時代、明治時代の名筆の数々をお楽しみいただけます。さらには、東近江市の地域文化財を積極的に調査発信されている観峰館さんの貴重な資料も展示されます。

 近江ゆかりの書画の魅力。会場ではぜひ心の扉を開放し、先人たちが残した郷土の誇りを、心ゆくまでご堪能ください。間違いなく『滋賀限定!』の逸品揃いです🌟
 
 本展は9月21日から、東近江市の観峰館にて開催です。皆さまのご来場を心よりお待ちいたしておりま~す♪

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地域連携企画展 第2弾!いざ観峰館へ!着々準備中♪

 9/21から始まる地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。いよいよ間近に迫ってまいりました。当館の収蔵品を会場の観峰館へ移送、そして展示作業が佳境となっています。

 館での梱包作業。先ずは作品の状態チェックです。今回は1日で梱包→輸送を行うタイトスケジュールであったため、「成功の秘訣は8割方準備で決まる(!)」と豪語する当館の学芸員が、予め検品作業を済ませていたおかげで(?!誉めてあげて~!)、余裕をもって梱包することができたようです(笑)。 作品は無事、当館から旅立ちました。

 そして本日、会場での展示作業です。こちらの写真にうっすら写る緑色の光のライン、これは展示する際に作品の高さを合わせたり、水平を測る“魔法の光”。(以前はテグス(糸)を使ったりしてましたが近頃は便利になりました(笑))。
 それでもやはり、何だかんだ言っても、最後に頼りになるのは「人の手」です。我らが文化館学芸員も、展示ケースの中に入って奮闘中~頑張っておりますヨ♪

 さてさて、どのような展覧会になりますか???開幕まであと1週間、乞うご期待です!

 「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」は9/21(土)から、会場:観峰館(東近江市)にて開催です🌟

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西郷隆盛書簡 巻き替えました!写真撮影OKです!(^^)!

 5/27から9/26まで、滋賀県立公文書館で開催中の我らが地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」。長い期間だな~と思われた方もいらっしゃったかもしれませんが、実はこれには理由があります。

 当初から申しておりました、この書簡は(物理的に)長い・・・と。全長4.75mに及ぶ西郷さんのお手紙。その全てを皆さんにご覧いただくには、“くるっくるっ”と巻き替えを行わなければなりません。

※ガラスケースの中、慎重に巻き替え中

 本書簡の見せ場(!?)である巻末:「西郷吉之助(隆盛)」署名部分から始まった5月。その後巻頭から巻中へ、本展の企画担当である井上副館長が、おおよそ3週間に一度、愛を込めて “くるっくるっ”してきました(笑)。

 そして昨日、いよいよ最後となる5回目の巻き替えを行い、皆さんお待ちかねの巻末部分:「西郷吉之助」の署名と、実弟の西郷従道が書いた「兄の真筆に疑いない!(翻訳)」とする鑑定部分が、満を持しての再登場です!

 
 ・・・皆さん、おそらくこれが最後です!歴史的人物・西郷隆盛自らが書いた「西郷吉之助」の署名を、写真に撮ることができるチャンスは、きっとこれが最後!ぜひMyコレクションとして、皆さんの記憶と記録に残していただければ・・・幸いです💛

※写真を撮る際は、ガラスケース越しでの撮影になりますので、くれぐれもご注意くださいね。

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地域連携企画展 第2弾!図録作成中!!

 皆さん、すでにチェックしていただいてますか?我らが地域連携企画展の第2弾「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで-」!今回の展覧会は、東近江市の観峰館(かんぽうかん)さんとタッグを組んで、9月21日からの開催です♪
 
 観峰館は、日本屈指の「書」の博物館!館名のロゴもステキなのです🌟

[ 日本習字創立者:原田観峰氏 (1911 ~ 1995)筆 ]

 書の文化にふれることができる博物館での展覧会。しかも滋賀限定!=開催地は東近江市=可能な限り地域性にあふれる作品で企画したい⇒と、先方学芸員さんから熱いオファーをいただき(笑)、ここに実現!!大津市にありながら県内の地域性を活かした連携展を、各地で開催してきた当館です。お・ま・か・せ・あれ!
 1万点を超える当館の収蔵品の中で、「書跡・典籍・古文書」が占める割合は約3割・・・どれにします??東近江にゆかりのあるものと言えば、アレと、コレと、イロイロと♡。

 し・か・も・です!今回の展覧会では、出品作品全てを網羅した『図録』を作成します☆

 今日はその打ち合わせで観峰館の寺前学芸員がご来館!写真の配置や解説文の確認、色合わせなど、校正作業も佳境です。図録に掲載するため、新たに撮り直した作品も多く、気合いが入っておりますヨ!仕上がりを楽しみに♡会場で是非お手にとってみてくださいね~!

 開催まで1ヶ月をきりました。観峰館と琵琶湖文化館の地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」は、9月21日からの開催です。乞うご期待🌟!

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大津/聖衆来迎寺の虫干し会と六道絵

 本日8月16日、大津市比叡辻にある聖衆来迎寺さまでは、寺宝を一堂に並べての「虫干し会」が行われました。ここ数年コロナ禍で実施が見送られ、昨年は台風で中止となってしまったため、今年は実に5年ぶりの開催。楽しみにされていた方も多いのではないでしょうか。

 普段当館がお預かりしている文化財も、この機会にあわせて”お里帰り”。 国宝の六道絵や、重要文化財の銅造薬師如来立像など、同寺に伝わる寺宝17件をお戻しさせていただきました。皆さんが楽しみにされている寺宝公開、当館としても陰ながらお手伝いができることを嬉しく思っています。

虫干し会がおこなわれた聖衆来迎寺(大津市)

 本堂と客殿(ともに重要文化財)でお披露目された寺宝の数々。ずらっと並べられた六道絵は特に圧巻!間近に鑑賞できるとあって、熱心に見入っておられるお客さまも多かったです。説明にあたっておられた檀家の方々も、嬉しそうに質問に答えておられましたよ。

(許可をいただき撮影しました。)

 5年ぶりの開催で、拝観する側も受け入れる側も、いつも以上にアツい気合いが入っていた今年の虫干し会。毎年恒例の行事がこうして復活し、無事開催されることが、とても有り難いことに感じられました。

 そして、残念ながら本日拝観できなかったという皆さまに、朗報(♪)です。
 聖衆来迎寺さま所蔵の六道絵が、8月17日放送テレビ朝日の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』に登場します!番組制作にあたり、当館から六道絵の画像を提供させていただきましたので、放送されること、間違いゴザイマセン!

 今回は「怖いけどタメになる!真夏の地獄SP 」という内容で、地獄の世界に魅せられた10歳の博士ちゃんが、学び溢れる地獄の世界を語ってくれるそうです。暑~い夏に涼む地獄の世界・・・これまた一興!放送が楽しみです♪全国の皆さんも六道絵を通じて、滋賀に伝わる文化財の凄さリアルさをご堪能ください!

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文化館公式 X はじめました。

 皆さまお待たせいたしました!本日、2024年8月8日(木)、旧暦7月5日[大安]。満を持して、琵琶湖文化館公式アカウントにて、X(えっくす・旧Twitter)を始めました🌟

 ☆ 琵琶湖文化館の取組
 ☆ 令和 9 年オープン予定の新しい琵琶湖文化館の情報
 ☆ 滋賀の文化財の魅力

などなど、随時“つぶやいて”まいりますので🌟フォローしていただけると、と~っても嬉しいです🌟

琵琶湖文化館X公式アカウント @ biwakobunkakan

 


 これからも様々なかたちで、皆さんと繋がっていきたいと思っています。今後とも何卒ご贔屓に🌟🌟🌟

 
 

 
 

 
 折しも、今日は「びわ湖大花火大会」の日。大津港沖で打ち上げられる約1万発の花火が、夜空を彩ります。
 湖岸から見る花火とお城のシルエット=琵琶湖文化館。・・・皆さんが撮影される“激レアショット”の投稿も楽しみにしています♥。

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消防用設備の点検

 本日の琵琶湖文化館、消防用設備の保守点検を実施しました。設備を適切に維持・管理し、万が一の火災時の避難や初期消火に役立てるため、専門業者の方と一緒に点検を行います。当館は永らく休館中であり、一般のお客さまをお迎えする施設ではありませんが、大切な「滋賀の宝」をお預かりする施設として、気を引き締めて実施しております!

 お城の形をした当館は階段が多く、忍者屋敷のような隠し部屋(?)があったりもするので要注意(たまに館内で迷子になられる業者さんが・・・(笑))。各部屋の火災報知器や警報機が正常に作動するかどうか、消火栓、消火器の位置は?改めて目を向けることで、防火・防災に対する意識も高まります。

 ちょっと厄介なコトは、当館は天井が高く、防火シャッターの降下点検をした後、巻き上げる作業がとても大変(!)だということ・・・。大半は電動ドリルで一気に巻き上げますが、どうしても手動(手巻き)でなければならない箇所があり、この暑い最中に、業者の方にはいつもご苦労いただいております。。。(エヘッ)。

 そして最後は、消火ホースを使った放水試験です。

 
                                      

 これには訓練も兼ねて全職員が参加し、水栓バルブを開く者、折れ曲がったホースをさばく者、ノズルをしっかりと持って火元を狙う者、皆の「協力」が大切です。

 ご存じでしたか皆さん、ホースから出る水は結構な水圧。体験してみなければ分からない、貴重な機会となりました。 今日の訓練を忘れずに、日頃から意識を高めておこう、と心に誓った1日でした。

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水面下・気になる・カモ♡

 みなさん気付いておられます?当サイトのトップページにおきまして、とても気になる画像が追加されました。そう、それは新しい琵琶湖文化館のイメージ画像です♪
 こちらを[ポチッ]としていただくと、滋賀県のウェブサイトにリンクし、令和9年12月に誕生する新しい琵琶湖文化館についての情報やイメージ画像など、最新情報をご覧いただくことが出来ます。

 現在の琵琶湖文化館はド~ンとお城の形をしていますが、新しい琵琶湖文化館は「湖国の夢と滋賀の宝を未来に伝える希望の船」をコンセプトにイメージした外観になります。そして新旧の琵琶湖文化館をつなぐ我らが学芸員はと申しますと・・・現在、鴨の水かき状態(?!)で頑張っております(笑)!。建設に向けて、学芸員と滋賀県の担当者、建設・設計の業者とが協議を重ね、具体的な内容を詰める作業を進めているところです。

 「このような設備が必要・可能?」「壁の素材はコレ?色は?」「来館者の動線イメージは?」などなど、宿題をもらいつつ課題を提出する・・・みたいな(?)攻防の日々です(笑)。悩みつつも前進あるのみ!令和7年3月頃には浜大津で建設が始まる予定です。それまで、なかなか皆さんには具体的な動きが伝わりにくい・・・期間ではございますが、水面下で鴨(学芸員)たちはフルスロットルで水を掻きかき、前進を続けておりますので、今しばらく新文化館の建設を楽しみに、お待ちいただければと思います。

 そして、そんな学芸員を癒してくれるのが・・・本物のカモです(笑)。

 時折、姿を見せるこのコたち。中には体の小さな子ガモの姿も♡。あまりに愛くるしさにこちらのテンションは↗↗↗。コチコチに固まった頭の緊張が一気にほぐれ、すごくリフレッシュ☆できるのです。・・・きっとこんな時間も必要(笑)。そしてまた、改めて頑張ろう・・・と思うのです。ご期待ください!

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7月1日は「びわ湖の日」

 皆さんご存じです・よね?滋賀県では、7月1日は「びわ湖の日」です。併せて「滋賀県ごみの散乱防止に関する条例(クリーン条例)」により「環境美化の日」とも定められています。この日を中心に、県民、事業者、各種団体、市町、県が一体となって、県内全域で環境美化運動「琵琶湖を美しくする運動」が実施されます。職場で、あるいは地域で、参加される方も多いのではないでしょうか。
 そう、琵琶湖を美しく・・・です。湖上に建つ我らがお城・琵琶湖文化館です。”知らぬ顔を決め込む“ワケにはいきません!! ということで、一足早く、湖岸を集中的にお掃除させていただきました!

 石垣の隙間に潜んでいるのは・・・ジュースの残り、釣り糸、お弁当を買ったレシート・・・何コレお楽しみ時間の残骸!あまりにお粗末!!
 雑草に隠れているのは・・・ペットボトルのフタ、タバコの吸い殻、アメちゃんの袋・・・小さい!けれどあまりに数が多い!!

(↑これで半分の量だからオドロキです)

 湖岸には、びわ湖を漂ってきたであろう葦の木っ端やビニールゴミ、園芸用プランターなども見受けられます。そんなこんなを徹底的に拾い集め、刈り取った夏草と合わせると・・・何とゴミ袋およそ30個分にも!(2回に分けて回収していただきました!)
 見違えるようにきれいになった湖岸♡ゴミのポイ捨てをしようものなら、罪悪感に打ちひしがれることになるでしょう・・・ふっふっふっ (笑)。
 皆さん、くれぐれもゴミはお持ち帰り下さいね。

 もう一つ、釣り人の皆さんにお願いしたい「びわ湖ルール」があります。琵琶湖では、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」に基づき、ブルーギルやブラックバスは【リリース禁止】となっています。琵琶湖には多くの固有種が生息しています。その生態系を取りもどすための取り組みとして、釣った魚は『外来魚回収ボックス』に入れるよう、ご協力お願いいたします。(当館から約200mの湖岸に2カ所設置されています。)

 マナーを守って、滋賀の夏をお楽しみください♪

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尚尚・・なおなお・・・ご注目!!

 皆さん、もうご覧いただけましたか?現在、滋賀県立公文書館にて開催中の「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」。当館に寄託された西郷隆盛(西郷どん)の直筆書簡を展示・公開中です♪。本書簡は、西郷どんが渡米中の大久保利通に宛てて書いた手紙で、安否伺いや国内情勢、薩摩の状況などを事細かに報告する内容は、全長4.75mにもおよぶ長文です。全体を一度に展示することができないため、昨日巻き替えを行い、現在は書簡の巻頭部分をご覧いただくことができます。

 巻頭部分・・・手紙の書き始め・冒頭部分です。ところが現代とはいろいろ異なるところがございまして・・・。
 というのも、いきなり「尚尚・・・」から始まります!

 尚尚は、今で言う「追伸」の意味で、この部分を「尚尚書き(なおなおがき)」「追而書き(おってがき)」といいます。時代は明治、追伸を冒頭に書くことが当たり前だったのですねぇ。
最後に書くものと思っている現代人にはビックリです。

 そしてもう一つ、ビックリなところが・・・。文中に見える「醜体」の文字・・・
 ・・・しゅしゅしゅしゅうたい?!誰が??!

 実はコレ、大久保利通が送ってきた肖像写真を見た西郷どんが、同郷のよしみか、くだけた調子で「いかにも醜態」と感想を述べているのです。
 写真嫌いで有名だった西郷どんのこの感想、手紙を受け取った大久保も「西郷どんらしかぁ!」と苦笑いだったのではないでしょうか(笑)。本文のマジメな内容とは打って変わって、心を許し合う二人の間柄が垣間見れる「尚尚書き」です。ぜひ実物を、会場でご覧ください!

[追伸]
 近頃、朝の通勤途中で聞くラジオ番組にリクエストするリスナーさんの中に、ペンネーム「なおなおがき」という方がいらっしゃいます。普段なら気にも留めませんが、滋賀で西郷どんの直筆書簡が約100年振りに見つかり、その「尚尚書き」に注目する我が身としては、特徴あるそのペンネームが耳が残って離れません(笑)。偶然?必然?二日に1回くらい名前紹介されてますよね??
 ひと昔前までは「尚尚書き」は当たり前に書かれていたのだから特段、特別な意味なんてない・・・とは思うのですが、このタイミング・・・やはり気になります。。。

 「きっと、このリスナーさんは西郷どんのファンの方で、直筆書簡の再発見にコーフンして下さったに違いない!?!だからペンネームは『なおなおがき』?!?」と勝手に想像して、朝からテンションを上げています(笑)。なおなおがきさん、滋賀でお待ちしております♪♪

 皆さんもぜひ「尚尚書き」にご注目ください☆☆☆

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「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」 始まりました!

 本日より開幕と相成りもした、琵琶湖文化館地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」。滋賀県立公文書館にて特別公開でごわす!?!

 
い・
き・
な・
り・  

変なテンションで始まりました本日のあきつブログ☆皆さんお待たせいたしました!滋賀県庁新館3階にある滋賀県立公文書館におきまして、西郷隆盛の”直筆書簡“を、本日より特別公開です~!

 本書は、明治5年(1872年)2月15日、西郷隆盛から欧米外遊途上でアメリカに滞在していた大久保利通にあてて、留守中の国内動向や薩摩旧藩主津島家の醸成などについて、最新の情報を報告した西郷の直筆書簡です。
 
 緻密かつ実直な文字、比較的均等な字間・行間を保ちつつ、まっすぐ丁寧に、なおかつ淀みなく書かれた本書簡は、西郷の人柄や性格をも感じさせる「生きた証」と言っても過言ではない!?!

 書簡は全長4.75mにもおよぶ長大な手紙であるため、現在は「西郷吉之助(隆盛)」署名部分と、弟の従道による直筆鑑定書がある『巻末』部分を公開しています。
 
 併せて「長文」の凄さが感じられるように・・・と、展示室の壁面をお借りし、 “ほぼ実寸大”の大きさにプリントしたもの(翻刻付き)を掲示していただきました。
※それでも収まりきらず2面に渡る・・・ (笑)↗

 また、今回の展示は、写真撮影が『可能』!さらに解説付のお持ち帰り資料も充実していますので、「近代史が苦手・・・」という方も、今一度勉強するのに良い機会となるのではないでしょうか?

 本書簡については、まだまだ「ナゾ」を残しておりますがそのお話はまた追々。。。 先ずは皆さま、実物を、しっかと見たもんせ~(ご覧あれ~)♪

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『花湖さんの打出のコヅチ』第1回 質問にお答え・もす?!

 さて皆さん、本日は昨日のブログ「・・・つづく」の続きです。

 何を隠そう・・・第1回講座「再発見した西郷隆盛書簡とその伝来~アメリカから滋賀へ~」では、西郷隆盛書簡があまりに長文であるため、解説もあわや時間切れ・・・となりかけた講師先生(?!)。それを見習って、ブログも収めたいところではございましたが・・・無理でした(笑笑)。「つづく」の延長戦に突入いたします!お付き合いください♪

 講座の最後に受け付けた【ご質問】です。
「書簡の紙は何に書かれていたのですか?巻子になっているとのことですが、元は何枚のお手紙だったのですか?」

 とてもいい質問をいただきました。皆さん気になりますよね?!

 会場で講師も答えさせていただきましたが、紙の種類は「楮(こうぞ)紙」です。

 実物をご覧になると分かるのですが、繊維が長く、強靭であるため、日本では古くからよく使われている代表的な和紙です。ここでは特別に拡大した画像をご覧いただきましょう。→
(「西郷」署名部分・・・特別ですよ!)

 「何枚の手紙か」というご質問につきましては、正解は10枚です。紙の大きさはそれぞれに異なりますが、縦15.8cm×横25.8~53.1cmの和紙が10枚使われています。

 西郷どん・・・一蔵(大久保)どんに、よかひこ報告しよごたっことあったんじゃなぁ(いっぱい報告したいことがあったのですね)。
・・・鹿児島の皆さん!あ・あ・あ・合ってます??!

 西郷隆盛書簡について、より詳しく知りたい方は、当館発行の研究紀要第40号に詳しく書いておりますので、是非こちらも参考になさってください。

 さて、西郷隆盛の書簡について、「ぜひ実物を見たい!」という方、お待たせいたしました!!

 5月27日(月)より、滋賀県立公文書館で始まる琵琶湖文化館地域連携企画展「幕末を生きた人々の残像~公文書に残る直筆書簡~」 にて展示公開で御座候☆
 ぜひ、あたん目でそん書簡から西郷隆盛像を感じ取ってみてはどげんやろうか☆☆☆。

※注※
現在、当館の事務所では、 とても”怪しげ”な薩摩弁が飛び交っておりますが、わっぜ楽しか雰囲気で、お仕事がとても捗っております♡

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滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第1回 開催しました!

 キラキラと初夏の陽射しまぶしい琵琶湖にのんびり浮かぶ水鳥たち見送られ開催しました、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」。今年度のオープニングを飾りましたお題は『再発見した西郷隆盛書簡とその伝来-アメリカから滋賀へ-』です。 当館きっての情熱能弁家; 井上優副館長(県文化財保護課)が講師を務めさせていただきました。

  昨年、個人の方より当琵琶湖文化館に寄託された西郷隆盛書簡。約100年振りの”再発見”から、調査を進めた”大発見”まで、HOTな話題を”びみょ~” な薩摩弁(?)も交えながら(笑) 、 楽しくお話しいただきましたで・もす??。

 西郷とは幼なじみの大久保利通、当時アメリカに居た彼に宛てたこの手紙が、どのように滋賀へわたってきたのか?大久保が暗殺された「紀尾井町事件 」ではもしや懐中にあったのやも???…謎とロマン溢れる書簡のエピソードに、皆さんワクワクされたのではないでしょうか。

 ここで一つ、井上副館長の苦労話も披露しておきましょう。この書簡・・・とにかく長い!いろいろと長い!のです。書簡に書かれた膨大な文字量、翻訳に費やした時間・・・全長4.75メートルの凄さを、皆さんにどうお伝えしようかと副館長が考えた結果がコチラ!↓

※ 実物ではありません。コピー用紙を貼り合わせてつないだ手作りです ※

 これには会場の皆さんもドヨメキが(笑)。作った甲斐がありましたね、副館長(笑笑) 。

 その書体や行間は実に筋がとおり整然、かつ流麗な筆致…それが時を経てあらわれたのは、まだまだ読み解ける何かがあるかもしれません。引き続き今後の調査にも期待大です!

【アンケートより】
「魅力あふれるすばらしいお話。いっぺんに井上先生のファンになりました。」
「井上先生の『歴史はミステリーの爆発だ!』というお気持ちが一杯あふれたお話でした。」

「書簡の内容もさることながら、その伝来に関する説明が興味深いものだった。新たな謎は興味深い。」
「夢がつながっていく!」
「タイムリーな話題で興味があり、伝来に触れられた!!大変おもしろく!!歴史の醍醐味ですね!!」
「これから研究が進んでいくことが期待でき、非常に興味深かった。数奇な物語がより明らかになるのが実に楽しみです。」

 お気持ちあふれるたくさんのご感想をありがとうございました!
そうです、講師の気持ちがあふれてあふれて…スタッフ「残り30分です!」のお声掛け(ナイスパスでした!)がなかったら、結びにはたどりつけなかったに違いありません(笑)。

 本講座は、大津市のコラボしが21をメイン会場に、サテライト会場として彦根市稲枝地区公民館にご参加いただきました。また、今回は特別に、西郷隆盛の出身地・鹿児島県鹿児島市加治屋町にある「維新ふるさと館」にもオンラインをつなぎ、地元の皆さまにもご視聴いただきました。良きご縁に感謝です♡
(※サテライト会場におきましては、冒頭に講師の音声が途切れましたこと、深くお詫び申し上げます。)
 ご参加いただきました皆々さま、ご清聴誠に有り難うございました!   ・・・つづく

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「美の城」の歌碑 紙面にどーん!

 本日は爽やかな五月晴れ。大型連休のお天気もお出かけには絶好の日和となりそうです。
 さて、今日の話題は新聞掲載記事より。ご覧になられた方は「これはいったい何?」と思われたのではないでしょうか。
 毎日新聞の滋賀版(地域面)には、月2回企画されているコーナーがあります。それは「名品手鑑(めいひんてかがみ)」。滋賀県博物館協議会の加盟館が執筆を担当し、それぞれの館の収蔵品やイチ押しの「名品」が紹介されています。本日は、その掲載日。今回紹介された名品は、当館の前池(湖中)にある「歌碑」でございます♪

 紙面には、灰色で長方形の物体がどーん(!)。細い線で歌が刻まれていなければ、まるでコンニャクのように見えなくも・・・ない?(笑)。詳細は、ぜひ新聞をご覧いただくとして、この歌碑には、大正から昭和にかけて活躍した歌人・吉井勇の歌が刻まれています。

  うつしよの夢をうつつに見せしめぬ
  琵琶湖のうへにうかぶ美の城

 当館の開館(昭和36年)と同時に設置された歌碑。水面に映える美しいお城の建物は、多くの人々を魅了したことでしょう。カメラ的にも「映え」スポットです。今日の歌碑は水鳥の癒しスポットになっているようですが(笑)。 これはコレで萌え~♡

 さぁ皆さん、カメラを持って、このお休みはどちらへお出掛けしましょうか。文化館の周りではツツジが綺麗に咲いていて、お散歩がとっても気持ち良いですよ♪

 県内ではお祭りや社寺の特別公開なども行われます。
 草津市の芦浦観音寺さまでは、春の一般公開が4~5日に催され、普段は当館に寄託されている蝶紋蒔絵花見弁当や菊梅椿紋蒔絵重箱などもご覧いただくことができます。
 長浜市の小谷寺さまでは、秘仏ご本尊の如意輪観世音菩薩像が特別開帳(~6日まで)されるとのこと。お楽しみがいっぱいですね。
 湖国で素敵な時間をお過ごしください♪

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「天下を取りに行く」 滋賀愛のご縁に感謝

 ご縁は“ココカラ”始まっていたようです。

 皆さんはもう読まれました?滋賀愛・炸裂の話題作!2024年本屋大賞を受賞した「成瀬は天下をとりに行く」、続編の「成瀬は信じた道をいく」。滋賀県大津市に住む主人公・成瀬あかりが、我が道を突き進む姿が痛快な青春小説です。“超”個性的なキャラクターを持つ主人公の行動が、様々な人々と絡み合い、思わぬ結果に結びつく・・・驚きのストーリー展開に、大賞受賞も納得の面白さです。

 作者の宮島未奈さんは、静岡県出身で大津市に在住。本作には、2020年に閉店した西武大津店や、膳所のときめき坂、平和堂フレンドマート、京阪電車、ユリカモメ、おおつ光ルくん、ミシガンクルーズ・・・等々、地元キーワードがたくさん出てきます。
 当館から”すぐそこ”の距離感でストーリーが展開するので、ドキドキ感が↗ ↗ ↗ ♡。描写がリアルで、文中の情景がスナップ写真のように頭に思い浮かび、何故か懐かしい気持ちになりました。

これは文化館から見た
ミシガン

 そこでふっと思い出したのが「ミシガンから文化館を撮った写真を投稿して貰ったことがあったなぁ(・・・しみじみ)」という記憶。令和4年(2022)に実施した「記録に残そう大作戦!大トンボと琵琶湖文化館」です。

(令和4年度実施)

 昭和36年(1961)の開館以来、館のシンボルとして屋上にあった「大トンボ」。そのモニュメントを取り外すにあたり、大トンボと文化館の思い出の写真を募り、HPで公開しました。

 その中には、幼い頃に訪れた写真や、四季折々の湖岸の風景とともにある文化館の写真、名残惜しくも大トンボの雄姿を収めた写真などなど、多くの投稿が寄せられました。

 文化館と同世代という方、近くにお住まいの写真家さん、帰省の度に文化館の近くを散歩するという学生さん・・・たった2年前のことなのですが、懐かしく思い出されます。皆さんお元気ですかね~~~。

 と、ここで話を戻します。何を隠そう、この「記録に残そう・・・」でミシガンからの写真を投稿してくださった方のお一人が・・・なんと!今回本屋大賞を受賞された宮島未奈さんだったのです!驚きました。なんというご縁!!
 滋賀県大津市で「文化館」と「大トンボ」愛に満ち満ちた企画ではございましたが、宮島さんの『滋賀愛』に触れた企画・・・としてご参加いただけたものと、思っております。改めて感謝・御礼申し上げます。

 宮島さんの写真も紹介している「記録に残そう大作戦」投稿写真は〔こちら〕からご覧いただくことができます。

 ちょっと懐かしく思い出しちゃいましたので、大型連休中、文化館前の掲示板に「記録に残そう・・・」の投稿写真を(すごく小さくなってしまいますが) 掲示しておきます♪。
 久方ぶりに帰省される方々、記憶にある懐かしい写真を、ぜひご覧ください。観光で大津を訪れる方々、この特徴ある建物をぜひ写真に撮って、思い出の一コマにしてください。
 いつか手にした小説の中に、琵琶湖文化館が登場する・・・かもしれません💛

 

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打出のコヅチ 【受付】はじめました。

 みなさ~ん!お待たせしました!今年も開催いたします!!滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」、本日より、受付開始です~♪♪♪

 当館が平成20年度に休館となってから、会場を大津市打出浜の「コラボしが21」に移して始まった本講座。
 「文化財のことを知りたい」
 「今年も参加したい」
 「いつも楽しみにしている」

という、皆さんの熱意に支えられ、なんと驚くなかれ17年目(!)に突入いたしました!!こんなにもご長寿講座(?!)になろうとは(笑)・・・うれしい限りです♡

 今年も皆さんのご期待にお応えすべく、昨年より1回多い全7回とし、充実のラインナップをご用意しております。【詳しくはコチラ】

 早速お問い合わせをいただきました。
「参加申込みについて、昨年までは、講座毎に約一月前からの申込みでしたが、今年度は、第1~6講を4/23から一括申込みするのでしょうか?」
➡よくぞ気付いて下さいました!昨年度までコロナ禍での感染症対策とはいえ、毎回お申込みいただくお手間があり、運営側としましても大変心苦しく思っておりました 。
 しか~し!今年は、第7回を除く第1~6回までを、一括でお申込みいただくことが出来ます!モチロン、ご自身の予定を確認しながら、各回毎の申込みも可能です。定員も140名から200名に拡大しておりますので、今まで以上に気軽にご参加ください♪
 た・だ・し、受付は先着順、満席となる場合もございます(満席にする気マンマンです♥)ので、その際にはご了承くださいませ~。

 申込みは、電話(077-522-8179)、FAX(077-522-9634)、ウェブサイトの受付フォームから、お申込みください。 皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております♪

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「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元―」閉幕 御礼

 2/10から始まった地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元―」が、4/7に閉幕いたしました。会期中、イベントをするたびに雪や雨に見舞われ、足元の悪い中「お客さまが少なかったらどうしよう・・・」と気をもんだりもしていましたが、延べ5,252人もの方々がご来場くださったとのこと、関係者一同心から喜んでおります。ご鑑賞いただきました皆さま、誠に有り難うございました。

 そして本日、出陳文化財が当館に戻ってまいりました。気になるお天気はといいますと・・・春の嵐に見舞われております!・・・ナゼ最後マデ・・・(笑)。
 
 普段は穏やかな琵琶湖も、冬の日本海を思わせる白波が・・・歌碑に当たって水しぶきを上げています。いえいえ、今日は全国的に荒れたお天気です。雨の止み間に文化財を搬入し、梱包を解きます。

 
 展覧会等で作品を貸し出す際には、学芸員が必ず作品のチェックをおこないます。貸し出した時と同じ状態で作品が戻ってきたことを確認するためです。当たり前のことなのですが、毎回ドキドキ。。。検品を終えて作品を収蔵庫に収め、本展の当館でのすべての業務が、無事終了いたしました。
   

 本展の開催にご協力いただきました皆さま、改めて感謝を申し上げます。近江の文化財を後世に受け継ぐための活動を、これからもどうぞ私達とともに、深め、広めていただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

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歴史探偵あらわる・大津事件

 2月某日、とある来訪がありました。その方たちは、事件で凶器となった重要物品であるとか、血に染まったハンカチであるとか、その他関係資料もろもろ、時間をかけて丹念に調査をされておりました。対応した学芸員は「ドキドキした・・・」と申しております。平穏な文化館でいったい何が・・・?!

 カンのいい方はもうお分かりですね?実はコレ、当館が所蔵する「大津事件関係資料」を取材に来られていたのです。

 大津事件は、1891年(明治24年)、訪日中のロシア皇太子ニコライが、遊覧先の大津で、警備にあたっていた巡査・津田三蔵にサーベルで切りつけられ負傷を負った事件です。
 世界を揺るがす大事件は、司法権の独立や三権分立、領事裁判権の撤廃など、日本の近代を語る上で、“激動”のきっかけとなった事件・・・としても有名です。

 今回撮影に来られたのは、NHKの放送番組「歴史探偵」クルーの皆さん。熱心に話を聞き、時に鋭い質問を投げかける、その話術の巧みさ・・・さすがは皆さん名探偵?!(笑)♪

 番組では、探偵社の所長(?)を務める俳優・佐藤二郎さん方々の名推理により、歴史のナゾが新たに解き明かされます??!気になる放送日は・・・↓

 令和6年4月3日(水)22:00~ NHK総合
「歴史探偵 日露戦争 知られざる開戦のメカニズム-」

です!
 なぜ、日本とロシアは戦うことになったのか?すれ違う両国、開戦への世論の高まり・・・大津事件は歴史にどのような影響を及ぼしたのか・・・番組をお見逃しなく!!  

  「大津事件関係資料」は、事件で凶器となったサーベルやニコライの血をぬぐったハンカチ、津田の取り調べ調書などが、滋賀県指定の文化財となっています。

 歴史の生き証人である文化財、歴史の謎解く文化財・・・皆さんが事件の目撃者です。番組をお楽しみください。

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親子で体験「ミニ屏風をつくろう!」守り人!

 現在、安土城考古博物館で開催中の地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」。3月24日には関連イベントとして親子で参加するワークショップ「ミニ屏風をつくろう!」が開催されました。

 初めに展示室で実際の屏風をご覧いただき、屏風の構造などをご説明。イマドキのご家庭では「もしかして屏風を知らないってことも・・・?」という一抹の不安がありましたが、参加の皆さんは「知っている」「家にある」とのご回答♡スタッフ一同ほっと胸を撫でおろしました(笑)。 先ずは第一関門クリア(!)です!

 別室に移動し、いよいよここからが本番! 作りたい屏風の絵柄を選んでいただきました。当館の収蔵品の中から、おススメのワンコ(犬)やお祭り、光源氏なみの男性とお姫さまが登場するやまと絵、などを用意していたのですが・・・意外にも(?!)子どもたちが選んだのは、近江八景を描いたシックなもの!・・・皆さん「通」ですね・・・母なる湖/琵琶湖に関係する絵柄を選ぶとは、さすがです♪
 組み合わせる下地の模様を決めていざ実践!

 講師を務めた岩﨑学芸員の手ほどきを受け、ハサミやノリを使って工作をすすめる子どもたち。ちょっぴり緊張ぎみです(笑)。

 作る過程で一番『肝心』なトコロは、屏風と屏風をつなぐ「蝶番(ちょうつがい)」!・・・と言っても金具ではないですよ?!本物の屏風と同じように「和紙」でつなぎます。和紙を貼って、ひっくり返して、上下を交互に貼り付けて・・・(ここでは説明を端折りマスが)、こうすることで、屏風は前にも後ろにも開くことが出来ます。うまく合わせられるかキンチョ~の瞬間・・・この難関を乗り越えれば、あとはサクサク♡選んだ下地と絵柄を貼って、ミニ屏風の完成です♪

 今回のワークショップで「屏風づくり」を企画したのは、「文化財を守り伝える、そのためには、モノの素材や構造・仕組みを理解しておくことがとても大切」ということを、知っていただきたかった・・・ためです。

 使った材料はホームセンターなどで手に入る発泡スチレンボードですが、和紙でつなぐことで本物と同じように開いたり閉じたりすることができました。
 参加した子どもたち、次に屏風を見る時には、描かれた絵より何より、先ず合わせ部分(紙蝶番)に目がいってしまうコトでしょう!(笑)。「あれ、紙でくっついていて、どっちにも開くんやで」と、お友達にも教えてあげてくださいね!

 最後に、楮(こうぞ)やミツマタなど、原料が異なる手漉き和紙の“触り比べ”をしていただきました。「実はお札にも和紙が使われている」との説明に、とてもびっくりした様子の子どもたち。改めて質感を確かめていましたね~(笑)。伝統を受け継ぐ日本の技を、最も身近に感じて貰えた瞬間かもしれません(笑笑)。

 

 ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました♪。今までとは違った視点で、文化財を見ていただくことができたなら・・・皆さんはきっと「文化財の守り人」です!

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~約100年ぶりの再発見~西郷隆盛の自筆書簡が滋賀にあった!

 こうも連日、喜ばしい記事を掲載してもいいのでしょうか・・・いいのです!皆さんしばしお付き合いください!!
 今日のニュースは特別・驚きますよ~。なんとあの西郷隆盛が書いた直筆の書簡が滋賀で(再)発見されました!

 コトの発端は昨年秋、とある個人の方から当館に、文化財を寄託されたことから始まります。お品を見せていただいたところ、不思議なことを言い出す人がおりました。
 
  「アレ?おかしい??自分、どこかで見た記憶がある・・・
  「 いつですか?」
  「 小学生の頃・・・
  「 ?」
なんとも奇妙な会話を交した数日後・・・

  「 やばい、モノホン(本物)の可能性がある。
 ちょっと詳しく調べる!見た気がしたはずやわ
  「 いったい何を?」
  「 西郷隆盛が書いた手紙
  「 ・・・!!!・・・」

少し説明させていただくと、この「(ビックリマーク)」3連発には様々な意味が含まれます・・・↓

①えッ?西郷隆盛
②小学生でも知っている明治維新の立役者の「書」がなぜ滋賀に?!!
③・・・小学生の頃見た記憶が、ってアナタそんな頃から墨で書かれた達筆文字・読めたのですかーッ?!・・・それが記憶に残っている、とはどんな小学生ですかーッ!!!

 突っ込みドコロ満載の会話のあと、副館長の動きは素早かった・・・そう、このたび発見の書簡を確認したのは当館の井上優副館長。感受性豊かな少年期を過ごし、大人になられた副館長の専門は「書跡・典籍/古文書」などの文化財です。いろいろ納得できました(笑)

西郷隆盛書簡 個人蔵[琵琶湖文化館寄託]

 前置きが長くなりましたね。 書簡について、その真贋や内容を調査鑑定したところ、アメリカ滞在中の大久保利通にあてた西郷自筆の書簡原本であることが、判明しました。昭和2年(1927)に紹介されながら所在不明となっていた重要史料の再発見です!

【収蔵品紹介】西郷隆盛書簡
➡リンク
 
【琵琶湖文化館研究紀要第40号】
再発見した西郷隆盛書簡とその伝来について➡リンク

 この書簡は、琵琶湖文化館地域連携企画展として、令和6年5月27日より滋賀県公文書館において特別公開する予定です。

 皆さんおまちかね、毎年恒例“あの講座” でも、 詳しいお話を聞くことができるかもしれません?!(→聞けます!!)

 約100年ぶりに滋賀で見つかった逸品に・・・みなさんソワソワしてくださ~い♪♪

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滋賀県に新たな指定文化財・誕生!

 今日も・うれしいニュースが飛び込んできました!本日、令和6年3月19日、有形文化財5件(絵画1件、彫刻1件、工芸品1件、歴史資料1件、考古資料1件)、史跡1件が、新たに滋賀県指定の文化財等になりました!

絹本著色六道絵 中谷求馬筆
 天道幅に白雲洞貞幹行年七十六歳写の款記がある
  15幅 [大津市・聖衆来迎寺所有/琵琶湖文化館寄託]
木造神像 (男神坐像1 女神像1 女神坐像1 女神坐像1)
  4躯 [甲賀市甲南町・矢川神社所有]
金銅七宝装神輿 1基 [長浜市・常喜町所有]
成菩提院制札 4枚 [米原市・成菩提院所有]
  一、永禄十一年八月日織田信長 禁制1枚
  一、天正十年十二月日丹羽長秀・ 羽柴秀吉連署禁制1枚
  一、慶長五年九月日小早川秀秋禁制 1枚
  一、慶長五年九月日小早川秀秋禁 制案 1枚
   附、禁札箱(元禄十三庚辰秊三月吉祥日の銘がある)一合
春日北窯跡出土品 1,627点 [滋賀県所有]
春日北窯跡(甲賀市水口町) 1件 [滋賀県所有]

以上の6件です!!いやぁおめでたい!! 何をこんなにコーフンしているのかと言いますと・・・当館にも少なからずご縁のある品が2件・・・新たに指定されております~。お気付きですか?

 先ず一つ目は、六道絵。聖衆来迎寺さまから当館にご寄託いただいております。こちらは同寺に伝来する国宝・六道絵15 幅の模本(もほん:模写して作ったもの)ですが、江戸時代後期の文政6 年(1823)に近江国坂田郡今村(現長浜市今町)出身の絵師、中谷求馬(なかたに もとめ:1748~1832)によって描かれました。当館では国宝・六道絵と区別して「文政本」と呼んでいます。

滋賀県指定有形文化財 六道絵  [ 聖衆来迎寺所有] (写真提供:滋賀県)
【⤴クリックすると琵琶湖文化館の収蔵品紹介にリンクします】 

 ここで皆さんに思い出していただきたいのが、先日のギャラリートークでの一コマです。会場で、当館の岩﨑学芸員は言いました。複製された作品には、時として「オリジナル(原本)と同じくらいに伝わる情報がある」と〔3/11付けブログ〕 。

 経年とともに劣化するオリジナルの情報を今にとどめるという意味では、代替品はむしろ後世にとってはかけがえのない文化財となり得る・・・あの時、“何か”を必死に伝えようとした学芸員の表情・・・まさしく!この度の新指定のことではないでしょうか??!我らが学芸員、見事な伏線回収(!)でゴザイマス(笑)。 
 皆さま、模本をモホンと侮るなかれ・です!!本図は、原本のきわめて正確な模本であり、原本で確認し難い図様を把握することができる絶好の資料として評価されました。

「成菩提院 寺宝展」ちらし
(制札:写真右下)

 そして、もう一つは成菩提院制札です。そう、昨年11月に実施した地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」の会場でも展示されていた制札です。講演会では、柏原宿歴史館の谷口徹氏に詳しくお話をうかがいましたね〔11/6付けブログ〕。織田信長や丹羽長秀、羽柴秀吉、小早川秀秋らの花押が鮮明に残っていたあの制札。県内では、紙に書かれた古文書の「禁制」は相当数存在するものの、木札の形で保管され、かつ保存状態の良い中世の「制札」はめずらしく、戦乱に巻き込まれた戦国期近江の歴史を力強く語る歴史資料として、このたび指定されました。

 ご縁のあった作品の価値が改めて再認識される喜び♡滋賀県の、滋賀県らしさが際立つ新指定文化財でございます♪

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講座「文化財修理で引き継ぐ心 -近江の文化財修理を例に―」開催しました

 現在、安土城考古博物館で開催中の地域連携企画展。3月17日に開催された関連講座は、株式会社坂田墨珠堂の坂田さとこ氏を講師にお迎えし、貴重なお話をうかがいました。

 「文化財を後世に守り伝える一助となる」
 これは、坂田氏が大津市に構える文化財(美術工芸品)の修理工房で掲げるスローガンなのだそうです。最初は「大切なことをすごく控えめに表現されているなぁ」という印象でしたが、講座でお話を聞き、文化財修理の事例を動画をまじえて見せていただいた後ではむしろ、「このスローガン以外に表現する言葉が見当たらない」・・・と、考えが改まりました。

 皆さんは「文化財修理」についてどのようなイメージをお持ちでしょう?頑固で無骨な一本堅気の職人さんが、黙々と仕事を進めておられる・・・そんなイメージ??(勝手な想像を・・・スミマセン。)確かにその技術も必要なのですが、坂田氏は「まるでお医者さんみたいな」お仕事だと言っておられました。弱ったところはどこですか?お薬で直せそうですか?手術が必要ですか?

 例えばこちらのスライドは、現在展示中の薬師十二神将像の修理に際して、顕微鏡で撮影された写真です。(絵具を調べると、この時は鉱物を使った顔料でキラキラしてまるで宝石のようだった、と言っておられました!)確かに理科の実験結果のような・・・時には光学カメラや赤外線カメラなど先端技術を駆使して、作品の状態を見極めることも必要です。それらの結果をもって作品の“カルテ”を作り、使う材料を選定し、修理の方針を決定します。

 修理の方針・・・そう、私たち博物館として修理に立ち合う際も、このカルテの情報は大切です。併せて作品が持つ歴史的意義やその内容を吟味しつつ、オリジナルを損なわない修理方法とすること。そして文化財の所有者の方に説明を尽くし承諾をいただいてから、現在出来得る最善の方法で修理を行います。時には修理を未来に託すという選択も・・・慎重を要するが故の難しい判断、共に担って下さる心強い存在が修復師の皆さんなのです。(結果として、ミリ単位の細か~い作業の修理をお願いしてしまうことになるのですが・・・(笑)。)

 何年も受け継がれてきた文化財には、必ずまた修理をする日が巡ってきます。将来、安全に再び修理することが出来るよう、決して過度な修理は行わず、後世に伝える「一助」となる。歴史と伝統の一部に携わる誠実さと信念が伝わる、良いスローガンだと思いました。

 最後には、工房で使っておられる修理道具で実演もしていただきました。ご参加の皆さんもすごく熱心に質問されていましたよ。よく見ると道具には名前も記されており、大切な“相棒”として扱っておられることがよくわかりました。

 講座終了後、展示室に移動して、修理に携わった作品と久々のご対面を果たされた坂田氏。本展を担当した岩﨑学芸員と、文化財修理の未来について熱く語り合っておられました。

 坂田氏の夢は「将来は文化財の修復師になりたい!」と言う子どもたちが増えること・・・なのだそうです。そのために現場を知ってもらう、未来につなげる修理の仕事を皆さんに認識していただくことが大切で「活動を声に出していきたい。それが私の役目」と語っておられました。会社の社長という立場だけでなく、業界のお母さん(?!)として将来を見据えておられる姿に“愛“を感じました。感謝いたします・素敵です♡

 今回、講座に参加出来なかったという方は、会場で「おしえて!!まめのぶくん」のパネルにご注目ください。文化財修理に対する「?」や、展示で伝えたいことを、まめのぶくんがわかりやすく解説しています。

 展覧会も後半に突入し、会場では一部作品の展示替えを行いました。地元・近江八幡市の長命寺さま、新宮神社さまの作品も出陳されておりますので、地域の方もぜひ会場へ足をお運びくださいませ。

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博物館実習が実を結んだ『重文』指定!

 このたび嬉しいニュースが飛び込んできました。本日開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決によりますと、美術工芸品で新たに国宝6件、重要文化財36件を指定することについて、文部科学大臣に答申。これにより我が滋賀県からは、新たに1件(書跡・典籍の部)が、重要文化財新指定となる見込みとなりました!それは何かと言いますと・・・
 元版一切経(げんぱんいっさいきょう) 2,892 帖 園城寺(三井寺)所蔵
でございます。実はこちらのお経、当館の長い歴史の中で、浅からぬご縁がございまして。
・・・と言いますのも・・・・・

「博物館実習に来られていた(当時の)お兄さ~ん・お姉さ~ん!皆さんの実習の成果が実を結びましたよぉ~!!」
 
・・・思わず叫んでしまいました。こちらの写真は平成5年(1993)に撮影された、
  文化館「名物」の?・・・(何か違う)・・・
  文化館「伝説」の?・・・(ニュアンスが)・・・
  文化館「伝統」の!・・・(正解!!)
“現地”博物館実習の様子です♪まさにこの時、学生さん達が園城寺さまにて調査していたのが、このたび重要文化財に指定される一切経だったのです!

 文化館の博物館実習は(良い意味で)スパルタです。
 学芸員資格を得るという志を持った学生さんを、大学を通じて受け入れるのが毎年だいたい7月。5日間の日程で、初日と2日目は博物館とは何ぞやという基礎を学び、3・4日目に“合宿”で、現地実習が行われました。
 この合宿でよくお世話になったのが園城寺さまです。暑いさ中、お経のある一切経堂でひたすら汗を拭きふき資料を調査、夜は観音堂に泊まらせていただくという、ありがた~い学びの場でありました!

平成5年(1993) 琵琶湖文化館博物館実習の様子(園城寺一切経堂にて)

 ここで申し上げておきますが、当時のことを悪く言う人はいません。大人になった今聞いても「楽しかった」「思い出深い」と言っていただける現地実習です。(それはお泊りの夜、“密かに”おこなわれた夜通し勉強会〔という名の一発芸&ものまね大会〕があったからかもしれません・・・これぞ伝統!)5日目の最終日には、打ち解けた様子で爽やかに巣立って行った『文化館チルドレン』(?)たち(笑)。今はどうしていらっしゃいますかね~様々な分野でご活躍のことと思います♪♪♪

 で、話を戻しますと、この学生さんたちの基礎調査が約20年後に実を結び、今回の重文指定に繋がった・・・と言って間違いゴザイマセン!!皆さん、思い出を懐かしみつつ、お祝いしようではありませんか!!よく頑張りました◎◎◎!

令和5年(2023) 事前調査の様子[滋賀県提供]

 ちなみにこちらの写真は、昨年、梅雨入り前に、文化庁の専門技官さんや文化財調査のスペシャリストさんが行った、“専門家さん”たちによる調査風景です。さすがに漂う雰囲気が違う
・・・貫禄!・・・さすが、でございます(笑)。

 多くの人々の並々ならぬ協力と調査・研究を経て、新たに指定文化財となる一切経。

 文化館チルドレンを代表して、心よりお祝い申し上げます☆☆☆

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地域連携企画展 イベント開催♪

 現在、安土城考古博物館で開催中の琵琶湖文化館地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」。皆さんはもうご覧になりましたか?3月には関連イベントがありますので、ぜひご参加ください♪

[1] ギャラリートーク 3月9日(土)10:30~・15:00~

[2]関連講座 ※往復はがきによる事前申込制(先着順)

① 3月9日(土)13:30~
 「復元!紫香楽大仏の鋳造技術」 講師:大道和人氏 (安土城考古博物館)
 参加費:300円 定員:100名
② 3月17日(日)13:30~
 「文化財修理で引き継ぐ心 -近江の文化財修理を例に―」
  講師:坂田さとこ氏(株式会社坂田墨珠堂)
  参加費:500円 定員:100名

【申込先】
〒521-1311
滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678
滋賀県立安土城考古博物館 宛
【往信裏面】
1)企画展関連講座申込
2)参加希望回
 ※①と②を合わせて申し込みも可
3)ご住所 4)お名前 5)電話番号
【返信表面】
返信用の郵便番号、ご住所、お名前

[3]親子たいけん博物館 ※事前電話申込制(先着順)

 3月24日(日)10:30~・14:00~
 「ミニ屏風をつくろう!」
  参加費:700円 定員:各10名

 各イベントの申し込み方法など、詳しくは滋賀県立安土城考古博物館(Tel:0748-46-242)までお問い合わせください。

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2/10から開催!地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」

 休館中である当館の収蔵品を他館で展示公開する「琵琶湖文化館地域連携企画展」。2月10日からは、滋賀県立安土城考古博物館さんと連携した「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」展が始まります!

 ということで、今週は展覧会の準備モードで忙しくしています。当館から出展する作品は、しっかりと点検と梱包をおこない、会場となる滋賀県立安土城考古博物館へ搬送いたしました。

  そして今日は、当館の学芸員たちも朝から会場へ直行し、展示ケースに作品を並べる陳列作業です。

  「うーん・・・もう少しだけ低い方が見やすいかな?」
  「こんな風に並ぶなんて、この展示ならではですね~」
  「このケースの中に並べる順番・・・お客さん目線はこぅかな?あぁかな?。。。」
  「もう少し左を上げてくださ~い」
などなど、いろんな“声”も和気あいあい(笑)、チームワーク高めに準備を進めています♪ 順調デス♪

滋賀県立安土城考古博物館

 今回の展示は、安土城考古博物館と琵琶湖文化館の収蔵品から、修理・複製・復元の3つの手法を中心に、文化財を後世に伝える現場のお仕事も紹介します。人と文化財をつなぐ、たて糸とよこ糸のような(!?)博物館の役割についても、皆さんに知っていただく機会となれば・・・とっても嬉しいです♪

 展覧会は2月10日(土)から、会場は近江八幡市にある滋賀県立安土城考古博物館さんです!皆さまぜひご来場ください!!

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1年が経過して語れるお話 文化館の大トンボ

 寒かった・・・あの日も寒かった。。。1年前のあの日、予定通り、想定通りにうまくコトが運ぶのか、ドキドキしながら1日を過ごしておりました。

 あの日・・・令和5年1月26日、文化館のシンボルとして長らく皆さまに親しまれてきた、屋根の上の大トンボ(モニュメント)が深夜に取り外されてから早1年。すでに懐かしい・・・。

 文化館の日常を綴る「あきつブログ」、その様子を速報で皆さんに伝える(掲載する)べきところ、(直後はさすがに少し心が落ち着かなくて言葉にできず)「写真集」での紹介とさせていただきました。ということで、1年が経過して語られる裏話です 。

 大トンボの撤去は屋根の改修工事に併せて行われました。湖上約40m、湖岸の道路から30m離れた大トンボを吊り上げるために手配された大型のクレーン車。文化館前の道路は通行規制。深夜のため作業を見守ったのは一部の職員と報道関係者のみでした。

 地上では、鉄塔と大トンボを切り離すグラインダーの音ばかりが聞こえ、どのくらいの進捗かわからずにいると、誰かが叫びました。「トンボが飛んだ!」!!見ると吊り上げられた大とんぼが、文化館の大屋根から、ゆっくり離れていきました。地上に降ろしてから、大トンボを回転させていたモーター部分を切り離し、身軽になった大トンボは再び飛翔、文化館の小さい方の館(別館)に移されました。

 問題はこの別館の入口。大トンボの大きさ・長さよりも間口が狭く、どうやって建物の中に入れるか、直前まで頭を悩ませました。結果、屈強な男性陣の知恵と力のおかげで、トンボの頭を下にしっぽを上に、大きく斜めに傾けて、無事に建物の中に収めることができました。

 文化館のシンボルモニュメントを深夜に取り外すという緊張と寒さのため(?)、いざという時に肝心のカメラが壊れる(涙)ハプニングに見舞われたりもしましたが・・・。すべての作業が完了し、絶妙のクレーンさばきをしていただいた運転手さんにお礼を言うと、「こっちこそいい仕事させてもろたわ」と返された笑顔が印象的でした。

 その後、大トンボの背中に銘板が見つかったり、元々金色に塗られていた痕跡を発見したりと、何かと楽しませてくれる文化館の大トンボ・・・元気です!

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