月別アーカイブ: 7月 2015
げんごろうクンの夏
琵琶湖の夏がはじまりました。記録的豪雨となった台風11号。各地の被害も心配でしたが、文化館の周りでは1週間経った今でもその爪痕が目に飛び込んできます。悲しいかな、嬉しくないかな、湖岸にたたずむ文化館にとってはもはや夏の風物詩、大量の「藻」が湖岸に押し寄せてしまったのです。
そんな中、おやおや鳥さん達、何か間違ってないですか?
シラサギさん、仁王立ちですがそこは琵琶湖の上ですよ?
カモさん、主食となる藻の上に乗るなんてお行儀悪いですよ?!
そこで、頼りになるのが通称「藻刈りクン」こと、藻刈船の『げんごろう』(白い方)。先週から大津湖岸一帯の藻の刈り取り作業を行ってくれてましたが、今日はもう1台追加されて2台がフル稼働してくれています。頼もしい限りです。清掃のために人員も動員された様子で徹底的に美化清掃が行われています。
文化館の付近の湖岸一帯では、
28日:全国高等学校総合文化祭「びわこ総文」(文化館前の道路でパレード!)
31日:びわ湖大津夏まつり(江州音頭(ごうしゅうおんど)の総踊り!)
8月7日:びわ湖大花火大会(約1万発の花火が湖上で乱舞!!!)
と、夏のイベントが目白押し!観光に多くの方がお越し下さるこの機会、是非きれいな琵琶湖を見ていただきたいですものね~頑張れげんごろうクン!!
しかし、台風は嫌なモノばかりを連れてきたわけではありません。一気にセミが鳴きだしましたね。また僕のお友達のトンボが、湖面をスイスイと泳ぐように群れで飛びまわるようになりました。なかなか楽しそうに飛んでます。
これからが夏本番です~。
筆:あきつ
滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」③
昨日、本年度3回目となる滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」が開催されました。台風接近中という大荒れの天気にもかかわらず、73名の熱心な方にお越しいただき誠にありがとうございました。
今回は「魅力あふれる滋賀の近代建築と「滋賀県庁舎本館」」と題し、県教委文化財保護課建造物担当の池野保氏がお話しされました。
前半では、まず滋賀県の歴史的建造物についての概説がありました。滋賀県が全国有数の国宝・重要文化財の保有県であることは周知のとおりですが、さらに建造物に限っていえば、全国第3位の指定件数を誇っています。また「古代の奈良、中世の滋賀、近世の京都」といわれるように鎌倉時代や室町時代といった中世の社寺建築が多いのが特徴となっています。
近年になって近代建築にも注目が集まるようになり、滋賀県においても魅力的かつ豊富な近代建築の調査・研究、また保存・活用が盛んに行われるようになりました。
池野氏はその第一線で活躍されており、本来は中世の社寺建築を専門とされていますが、活躍の範囲を広め『湖国のモダン建築』(京都新聞社)、そして『滋賀県庁舎本館』(サンライズ出版)といった共著も出されています。
後半では、今回の話のメインである「滋賀県庁舎本館」を多くのスライド画像を交えて、予定時間いっぱいまで丁寧に解説されました。
滋賀県庁舎は佐藤功一(1878~1941)と國枝博(1879~1943)の二人によって設計されており、「庁舎の佐藤、装飾の國枝」といわれた二人の技量が相まって、荘厳でありつつ、随所に優雅な装飾が施された庁舎建築の傑作となったと講師は話していました。さらに職場環境を意識した実用的で機能性を兼ね備えた設計であるというお話しには、皆さん納得のご様子でした。
さて、次回は「山から下りた梵鐘 ― 菅山寺梵鐘の移動と保存修理 ― 」(8月20日)と題し、県教委文化財保護課美術工芸担当の古川氏がお話しされます。「悪天候のため参加出来なかった」という方のために、今回の資料もお渡し出来る様にご用意しますので、ご希望の方は受付にお申しつけ下さい。引き続き皆さまのご参加をお待ちしております。
目指せ巻子マスター
「アイタタ~」「イタタタタ~」
近ごろ文化館では、決まった曜日の決まった時間に、不穏な『うめき声』が、階段の方から聞こえてきます。かれこれ2ケ月ほども経ちますでしょうか。事務所でお留守番のあきつは、その度に、あぁやっぱり今日もか・・・今日も挑まれているのか・・・と心配しつつ、「お疲れさまでございます」の声を掛けずにはいられません。。。
と言うのも、現在文化館ではお経の調査が行われており、その作業は、巻子(巻物)を紐解き写真撮影、記録を書き留め、後はひたすら巻き直すという動作を、一日中ほぼ正座で行っている・・・ということ、なのだそうです。
・・・するとどのような事が起こるのか、もうお分かりですね。ご想像通り!そりゃどんなベテランさんでも『シビレ』がきれますよね~筋肉が固まりますよね~「アイタタ~」ご愁傷サマです(笑)。お願いですから階段から落ちないでー!
今、挑んでおられるのは大般若経の600巻!・・・先日紹介した石山寺さんの「校倉聖教」修理約1,000点に及ばないまでも、果てしない、それは果てしない作業です。それもようやく終わりが見え始め、近頃は「目指せ!巻子マスター!」を合言葉に(?)、巻子の扱い、巻きにかかる時間、巻の美しさなど、その『技』を極めようと、初心に返り身内同士で改めて切磋琢磨されているようです。そうですよね。文化財を扱う学芸員さんでも、なかなかこれ程集中的に、かつ大量に触らせていただく機会なんて滅多にないですよね。厳しい判定員さん(先輩学芸員)の前での作業は、いつもより緊張を強いられて・・・いるようですよ(笑)。
このような貴重な機会を大切に!『巻子マスター』が誕生されることを、心よりお祈り致しております(笑) イヒッ。
筆:あきつ
平成の大修理 聖教編
皆サマ!朗報です!県内のお寺さんで、これまた途方もない数の聖教類(仏教の経典や書物)の修理がこのほど完成し、それを記念した展覧会・シンポジウムが開催されるという、とてもおめでたい情報をキャッチしましたよ!
それは、大津市にある石山寺さんの『重要文化財「石山寺校倉聖教(あぜくらしょうぎょう)」冊子本 平成大修理完成記念展覧会』です(詳しくはココをチェック)。
今回は「石山寺校倉聖教」1,926点のうち、冊子本約1,000点の修理が行われたようで、膨大にして且つまた果てしない作業が行われていたもようです。。。
「真言系寺院の所蔵するわが国屈指の聖教遺品」(文化庁国指定文化財等データベースより)と聞けば、14年にわたる一大修理事業、その「達成」の意義も苦労も感動も、是非皆さんに見ていただきたい感も、ヒトシオかと思われます!
展覧会は平成27年7月26日から8月2日までの8日間限り!重要文化財「石山寺校倉聖教」の中から、淳祐筆「胎蔵私記」(平安時代中期)、「釈迦如来坐像図」(平安時代)など、全44点が展示される予定です。谷文一ほか筆「石山寺縁起絵巻(文晁本)」第6巻(江戸時代)にも出会えますよ。素晴らしい!
シンポジウムは7月31日に「石山寺校倉聖教修理をめぐって」をお題に、4名のパネラーさんから貴重なお話がうかがえます。これを聞けばきっと今回の修理のスゴさが分かるハズ・・・皆さん是非にご参加を!
問い合わせお申込みは直接石山寺さんまでお願い致します。締切は17日までとなっていますのでお早目に!
長年にわたって多くの人々が守り伝えてきた文化財。それらを後世に引き継ぐために今できること、守り伝えていくべきことの大切さに目を向ける、そんな時代が「今」なのですよ。
筆:あきつ
申込みはお済みですか?第3回
皆さん、もう申込みはお済みですか?16日(木)は滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催日です。第3回目となる今回は、「魅力あふれる滋賀の近代建築と『滋賀県庁舎本館』」と題し、滋賀県教育委員会事務局文化財保護課の池野保氏にお話ししていただきます。
魅力あふれる滋賀の近代建築。中でも平成26年12月19日に国登録有形文化財となった『滋賀県庁舎本館』は、滋賀県の「顔」であり「モダン建築の代表」と言っても言い過ぎではないハズ。・・・皆さん、建物の中には入られたことあります?ドンとたたずむその外観とは裏腹に、中は「レトロ~」で「モダ~ン」な造りになっています。なんだかね、空気が違う。それこそ名うての映画監督がワンシーンに使いたくなるような・・・そんな気持ちがよく分かる建物です。
講座では、日中戦争の影響による鉄材統制を克服して建てられた、戦前期最後の大建築である県庁舎建設の経緯と建築史上の位置付けについて、単行本『滋賀県庁舎本館』の著者の一人でもある講師が、わかりやすく解説して下さいます。
皆さんのご参加を心よりお待ちいたしております。
筆:あきつ
七夕に願い。。。
明日は七夕です。朝早く、丁度頃合いの笹竹を握りしめて自転車で疾走する、若いお母さんとすれ違いました(笑)。母の愛ですねぇ~。そんなお母さんに育てられた子どもさんは、きっと季節感を大切にする、和の心をお持ちの立派な大人に成長されることでしょう。あい あむ じゃぱにーず!頼もしいことですね。
さて、昔から四季とともにある暮らしを大切にしてきた、うぃ あー じゃぱにーず。「浮城モノ語り」でも紹介した月岡雪鼎の『十二月図』屏風で7月は、雲間に霞む三日月夜、川辺にたたずみ物思いにふける女性の姿が、繊細なタッチで描かれています。・・・なんとも切ないオトメゴコロ(涙)・・・ワカル・・・わかりますよ~・・・・・彦星ドコ行ったーッ!!
・・・あきません。心の叫びが。。。あきつ君は子どもらしく、お願い事はシンプルです。
あきつの言葉が皆さんに届きますよ~に。。。
筆:あきつ
ホームページ6月のアクセス数
あっという間の1ヶ月です。梅雨のジメジメした湿気に気持ちも体力もドドーンと落ち込み気味ですが、あきつにとっては楽しみな分析のお時間です。
皆さんに見ていただいているこのHPのアクセス数、6月も多くの方にご覧いただいたおかげで2,607件のアクセスがありました。休館中のわが身にとってHPへのアクセス数は、皆さんとの「繋がり度数」を確認する大切なバロメーター・・有難いことでございます。
皆さんが文化館の事を検索されるとき、どのようなキーワードで検索されるかも我々にとっては気になるところ。
「琵琶湖文化館」:有難うございます正解です。
「びわ湖文化館」:大丈夫です。
「琵琶湖文化会館」:?惜しいですがこれでも文化館にたどり着けます。
「琵琶湖 とんぼ」:他の博物館さんのHPに行ってしまわれそう・・・ですが、運が良ければ「あきつ君について」のページを見つけていただけるかと思います(笑)
その他、文化館の所蔵品についてピンポイントで検索されている方など様々です。その中でほんのり嬉しかったのが、「屏風の構造」について興味を持って調べていただいた方がいらっしゃるらしきコト。。。文化財講座『打出のコヅチ』第2回「受け継がれゆく いにしえの美-よみがえった琵琶湖文化館収蔵品-」に参加された方・・・だったら嬉しい!
講座では、昨年度行った屏風や掛軸の修理についてのお話をさせていただきましたからね。復習がてら、「収蔵品紹介」→「歴史資料など」を見ていただくと、「屏風構造見本」が掲載されていますので、是非参考になさって下さいね。
『打出のコヅチ』では、会場でいただいたアンケートに「本物(実物)が見られるのかと思った」とのご意見をいただいていました。ですよね・・・。でも「マザーレイク滋賀応援基金」を活用させていただいて、有難いことに今年度も文化財の修復が行われていますから、今年修理された文化財は2~3月に安土城考古博物館で展示が予定されています。是非見にいらして下さい。
ここで余談です。屏風や掛軸の修理をされる業者さんと、手紙のやり取りをすることがあるのですが、その送られてくる封筒の糊付けが、これまたなんとも素晴らしい貼られ具合?なのですよ~。一分の隙もなく、シワを寄せることもなく、それはそれは完璧な「封」が施されて届いたので、「さすが如何なる糊さばきにも長けてはるな」「プライドが現れ出てますな」「・・・これは一種の職業病やな(笑)」と、ヘンな感想で盛り上がってしまいました(笑)。
その職人魂、さすがでございます。
筆:あきつ