月別アーカイブ: 3月 2018

湖上にお城ができるまで

当館のホームページの「湖上にお城ができるまで-写真アーカイブ-」のコーナー、皆さん楽しんでいただけましたか?昭和35年4月の起工式から36年3月の開館を迎えるまでの文化館が建設されていく様子を、懐かしい写真でご紹介させていただきました。ホームページ上では約1年半をかけていきましたが、先日ようやく開館式までたどり着き、ここで一つの区切りを迎えることとなりました。

写真の更新には様々な苦労がありました。「この写真を紹介したいけれど、前に紹介したものと似ているな~」とか、「次の写真とつなげるにはどうしたらいいかしら?」など、建設の流れを、臨場感たっぷりに伝えるにはどうしたらいいか、たくさんの写真を前に試行錯誤の日々でした。現在、文化館の表通りの掲示板に開館式の様子をポスターで貼り出していますが、立ち止まって写真を見て行かれる方も多く「ここまで紹介できて良かったな~」と改めて思います。

実は、紹介しきれなかった所もたくさんありました。例えば開館当日の前庭は、整備が間に合わず更地のままの状態でステージをこしらえ、オープニングイベントを行っています。
その後に、約一年をかけて前庭は整備されましたが、その様子もちゃんと写真におさめられています。樹が植えられた時の写真や、700人もの人が休憩できるパラソル休憩所の写真、駐車場が整備さたれ写真など。。。 “湖上にお城”ができてからも、まだまだ琵琶湖文化館はつくられていたのです。

昭和40年代には、ブランコや滑り台、シーソーなどの遊具も設置され、娯楽施設があまりなかった時代に、文化館の前庭は安心して子どもたちを遊ばせることができる場所だったそうです。建物は約1年の工事でしたが、前庭を含めると、時間をかけて皆さんの楽しめる施設に整えられていったのだと、写真を整理していてしみじみと思いました。

機会があればまた、文化館開館後の懐かしい写真なども紹介出来ればと思っています。皆さま、お付き合い下さり、どうもありがとうございました!

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「打出のコヅチ」開催直前 プレ講座のお知らせ

毎年ご好評をいただいております滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。おかげさまで、平成29年度に10周年を迎えることができました。そこで、これまで講座を支えてくださった皆様への感謝の気持ちを込めて!今年は特別に「打出のコヅチ」開催直前プレ講座(日時:5月17日(木)13:30~、会場:コラボしが21)を開催させていただくことになりました。講師は、コヅチでおなじみの、滋賀県教育委員会文化財保護課・井上優氏です!

井上氏には今回、「神社本殿から、木の経典を発見!‐東近江市松尾神社法華経‐」と題して、東近江市にある松尾神社で、平成26年(2014年)に発見された南北朝時代の「こけら経」についてお話していただきます。

仏教の経典(お経)は、紙に書かれているものが多いのですが、紙ではなく薄い板材に一行ずつ書写する「こけら経」というものもあります。松尾神社の「こけら経」は、神社の本殿から発見されたものとして全国唯一の事例となります。
この貴重な資料をもとに、神仏習合の信仰資料としての「こけら経」について、発見の経緯やその特徴および歴史的な意義などを含めて、いつものように、楽しい&詳しい&わかりやすい!と三拍子揃ったお話を聞かせていただけることと思います。

プレ講座のことが気になった方、講座内容・申込方法など詳しくはこちらをご覧くださいね。また、6月からの「打出のコヅチ」本講座の方も、ただいま申込受付中です。講座各回の内容についても、講座・イベント情報コーナー「打出のコヅチ」に詳しく掲載いたしましたので、ぜひご覧ください。プレ講座と本講座、併せてお申込み頂くこともできます。それでは、多くの方のご参加をお待ちしております。お申込みはどうぞお早めに!

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文化館に設置された足場

文化館は現在、本館と別館の3階部分が工事用の足場で覆われています。「何をしているの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は屋根の軒先、外回廊の天井に開館当時からついている照明器具を撤去するための足場です。
「琵琶湖文化館の外側に照明なんてあったかしら?」と疑問に思われた方もいらっしゃるのでは?そんな方のためにご用意いたしました。昭和36年開館当初に撮影されたこの写真。ほら!ね。本館・別館ともに、3階に煌々と照明が灯っているでしょう?!この頃文化館では、夜になると屋上のトンボと共にこの外回廊にも灯りがついていました。ライトアップされ、夜の景色に浮かび上がる文化館はさながら不夜城のようだったと言われています。

この足場の設置には作業員さんの並々ならぬ苦労がありました。場所柄クレーン車なども使用できないため、3階までは重い資材を人力で運び上げなくてはなりません。それを4人の作業員さんが肩に資材を担ぎ、何度も階段を往復して運んで下さいました。「大変すぎて笑いが出る」との言葉も出るほどの重労働です。。。皆さん本当にお疲れ様でした!また撤去の時もよろしくお願いします(笑)。

この工事は約10日ほどで終わる予定です。高所での作業は大変ですが、期間中無事故で安全に作業を進めることができますように。。。

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県内で国宝!52年ぶり

先日、嬉しいニュースが飛び込んできましたね。国の文化審議会が9日、中世の村の自治組織「惣村(そうそん)」の掟(おきて)や相論などを記録した、長浜市西浅井町菅浦につたわる「菅浦文書(すがうらもんじょ)」と絵図を、国宝に指定するように答申しました。菅浦文書が重要文化財に指定されたのは昭和51年6月5日、それから42年の時を経てこのたび国宝へ。滋賀県での国宝の指定は、52年ぶりとなるそうです。

聞くところによると、この菅浦文書はこれまで800以上の学術論文で引用されたとのこと。当館でも、過去に開催した展覧会で、お借りしたことがあります。例えば、
昭和53年 近江文化史シリーズ 鎌倉時代の文化展
昭和56年 近江の名宝展
昭和58年 近江の歴史展
昭和63年 近江の古文書展

※写真は昭和58年頃の菅浦の風景

お気付きですか?展覧会のタイトルに全て「近江」と入っています。中世の庶民の暮らしを村人が書き残したこの菅浦文書は、まさしく私たちの「近江」を語る上で、欠くことのできない大変貴重な資料なのです。

滋賀で新たな国宝の誕生・・・この喜びを皆さんとともに!

筆:あきつ

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花よりおぼろに!唐崎の松

先日、ニュースにもなりましたが、先月28日に大津市にある唐崎神社で、昨年から急に衰え出した「唐崎の松」の横に、後継樹となる若木が植えられたとのこと。今の松は、明治21年(1888)頃に植え替えられた3代目なので、もう樹齢130年以上になるのですね。「唐崎の松」といえば、近江八景の一つ「唐崎夜雨」でもよく知られた景勝地。「近江八景」は、歌川広重の浮世絵で一躍有名になりましたが、他にも多くの画家が好んで描く画題となっています。当館の所蔵品にも「唐崎の松」を描いた作品がいくつかありますので、ここで少しご紹介しましょう。

まずは、幕末から明治に活躍した四条派の画家、長谷川玉峰による「近江八景図」です。唐崎の松は、遠くにありますが、画面のほぼ中央にこんもりと描かれているのがそれです。近江八景を一枚の絵に納める場合、琵琶湖を真ん中に置いて、その周りに八景を配置するのがよくある構図ではないかと思いますが、そうではないところに、画家の、この松への特別な思いが感じられます。

もう一つ、こちらは近江八景図ではありませんが、文政5年(1822)に日吉大社の祝部(神職)生源寺業蕃が描いた「日吉祭礼図」のなかにある「唐崎の松」です。唐崎の松には、大津宮遷都の翌年668年に、もと奈良にいた日吉大社の神がここに降り立ったという伝承があり、日吉大社とは深いゆかりのあるもの。この絵でも松がひときわ大きく立派に描かれているように見えるのは。。。気のせいですか?

いかがでしょうか?同じ唐崎の松でも、こうしてみるといろいろな描き方があって面白いですね。「唐崎の松と夜雨」は、平成22年度に「近江水の宝」にも選ばれています。これも滋賀の大事なお宝。今回植えられた若木も、これからまた数多くの絵に描かれるように(いや、今風に言うなら“インスタ映え”するようにですか?)立派に枝を張った大きな木となるよう、みんなで見守って行きたいですね。

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世界記憶遺産『 朝鮮通信使に関する記録 』登録記念展 にて!

昨日(4日)、世界記憶遺産『 朝鮮通信使に関する記録 』登録記念展が開催されている安土城考古博物館さんでは、関連講座「朝鮮通信使と近江」が行われ、85名の皆さまにご参加いただきました。朝鮮人街道の名が残り、近江八幡市の資料が登録されたこともあって、地元近隣の方々も多くご参加いただき、このような展覧会や講座を共催という立場ながら協力することが出来て、本当に良かったなと思います。また、講座終了後には、ギャラリートークも行われ、展示作品を見ながら1点1点について、詳しい解説がありました。

さて、ここで皆さんに質問です。会場をご覧いただいた方は、不思議に思われたかもしれませんが、今回展示されている作品は4点。その内「世界の記憶」に登録された資料は3点で、あとの1点は参考資料として、当館の館蔵品から雨森芳洲の書跡:七絶「性愛楊花云々」1幅が展示されています。それは何故でしょう??
雨森芳洲は、現長浜市高月町の出身と伝えられ、朝鮮外交を担っていた対馬藩において、その最前線に立って多くの功績を挙げた日本側のキーパーソンです。この度のユネスコ登録においては、長浜市芳洲会所有の「雨森芳洲関係資料」(重要文化財)が登録されています。ユネスコへの申請段階で、当館の書跡も候補に挙げていただいたのですが、全国の「朝鮮通信使関連資料」を精査するにあたり、どうしても「書」関係の資料が多くなるので、泣く泣く(?)申請を取り下げたという裏話があります。
とは言え、このキーパーソンが対馬にいた時に書いた「書」ですので、今回「参考資料」として特別に出陳していただくことになりました。

「七絶」は、七言絶句:漢詩の詩体のひとつで、書かれている文字を現在の読みやすい字に直すと、
性愛楊花度筬春蒼顔白髪/海西浜高僧此去人相問為/説柴桑今有人
芳洲 八十五歳書
となります。
性(生まれもって)、楊花(ネコヤナギの花)を愛して幾春を度(わた)る・・・
漢詩なので読み下しが難しいところですが、「対馬での暮らしも長くなったが (決して嫌々住んでいるのではなく、むしろ詩人・陶淵明のような心境で、喜んで対馬に住んでいるよ)、もし人に尋ねられたら元気にしていると伝えてほしい」というような内容が書かれています。

この書は、会場で登録認定作品の近江八幡市指定文化財「李邦彦(イ・バンオン)詩書」と並んで展示されていますが、両方ともよく似た字体で、全体の雰囲気が同じように感じられます。「きっとこの時代のアジア地域でお手本となる書がこのような感じで、国際的教養人が理想とした書風だったのでしょうね」というまとめを経て、ギャラリートークは無事終了いたしました。皆さんも会場で是非見比べてみてくださいね。(登録記念展は3月18日(日)までの開催です。)

筆:あきつ

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ホームページ2月のアクセス数

冬季オリンピックで盛り上がった2月。韓国・平昌はもちろん、日本列島も寒さの厳しい2月でしたが、フィギュアスケート、カーリングなど、どの種目でも、そしてどの選手も、本当に力を出し切って「自分に勝つ」試合を見せてくれたので、TVで見ているこちらも思わず熱い涙がこぼれ出てくるような毎日でした。選手のみなさんお疲れ様、ありがとう!
そして、そんな熱気が当館にも届いたのでしょうか?2月のホームページアクセス数は、1,249件でした。また、ユーザー数で見ると、日本に続き、第2位に韓国からのご訪問が多く、ここにも日韓交流(?)があったようです。カムサハムニダ~(ありがとう~)。

ところで話は変わりますが、皆さん、覚えておいででしょうか。以前、滋賀県教育委員会の文化財保護課さんが、「文化財かるた」『読み句』を募集していらっしゃいましたね。その結果が2月に発表され、3,057句の応募の中から、「あ」~「わ」の頭文字44文字の「読み句」が決定したそうです。郷土愛に溢れ、滋賀の文化財を誇りに思う『名句』の数々が、滋賀県のホームページで公開中です。これがまたかなりの力作揃い!読み句からは、情景が鮮やかに思い浮かぶもの、知らずにいた郷土自慢、興味深い地元ネタなど、読んでいると思わず顔がほころぶ作品ばかりです。
そして見つけましたヨ・・・読み句を考えられた作者の中に、元:琵琶湖文化館友の会会員の方のお名前を!さすが文化財に心を寄せるウチの会員さんです(でした)!なんだかすごく嬉しいなぁ~!!
また、とても気になる句も。。。それは「つ」の頭文字で始まっていました。現在、安土城考古博物館で開催されている特別陳列 世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展。当館からも朝鮮通信使の行列を描いた「琵琶湖図」が出陳されていることは、当ブログでも紹介済みですが、「つ」始まりのこの句に、ついつい目が引き寄せられてしまいました(笑)。なるほど名句です!

この「文化財かるた」は、現在安土城考古博物館のエントランスホールにて展示・公開(~4月8日まで)されています!特別陳列も同博物館で開催中(~3月18日まで)です!3月4日(日)には関連博物館講座「朝鮮通信使と近江」とギャラリートークが行われます!
これはもう行くしかない!?!!

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