日別アーカイブ: 2020年7月31日

大切な収蔵環境

皆さんは「燻蒸(くんじょう)」をご存じですか?「いぶし蒸らす」と書きますが、料理のお話ではありませんヨ?! 気体の薬剤を使って、害虫駆除や防カビ・殺菌を行う「燻蒸」。当館では、文化財を保管する適切な環境を維持するため、収蔵庫などの空間(エリア)に対して行う施設燻蒸を、年2回実施しています。

使用するのは炭酸ガス製剤(ブンガノン)。文化財害虫に対して忌避・殺虫効果があり、施設の管理に有効な薬剤を使用します。 超微粒子ミストとなった薬剤が、わずかな隙間にまでいきわたるため、広い範囲に高い効果を発揮してくれます。人体に蓄積しない環境にやさしいタイプのガスですが、吸引によって喉や鼻への刺激があるため、専門の業者さんが防塵マスクを着用して作業を行います。噴霧してから約半日、ガス濃度を確認しながら、空間にガスを浸透させていきます。

近年、文化財を守る方法の一つとして、IPM(総合的有害生物 管理)も注目されています。薬剤だけに頼らず生物被害を防除する考え方で、農業(農薬を減らす)に限らず、博物館、美術館、図書館、資料館、文書館等においても、導入され始めた考え方です。日常の清掃・温湿度調整などの環境管理と、薬剤などを用いた防除を組み合わせて、文化財を守っていこうという取り組みです。文化館でも、年間を通した保存環境のモニタリングにあわせて、日ごろから収蔵環境に目を光らせています。

文化財の虫害対策は、文化財を長期に守っていくためには欠かせないもの。貴重な文化財を適切な環境でお守りする、これも文化館の大切な役目の一つなのです。

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