月別アーカイブ: 6月 2023

講座「花湖さんの打出のコヅチ」第2回 開催しました

熱心に聞き入る来聴の方々

 今年度第2回目となる滋賀の文化講座「海北友松の事績と檜図について」を6月22日に開催しました。当日は午前中まで強い風と雨が降りしきるあいにくの天候でしたが、多くの方に参加いただきました。会場は、知的好奇心に溢れる方々の熱気で一杯でした。

 本題に入る前に、講師から令和4年度の滋賀県指定有形文化財(美術工芸品)と指定制度の説明がありました。県指定有形文化財(美術工芸品)には、絵画、彫刻、工芸、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料の部があり、来聴の方々は県指定制度のあらましや、滋賀県に多くの文化財があることを知って認識を新たにされたようです。

 さて、今回のテーマは近江出身で安土桃山時代の巨匠として知られている絵師の海北友松(1533-1615)です。その生涯は実に波乱に富んでいます。戦国大名の浅井氏の家臣であった父や兄が相次いで戦死しますが、幸いにも友松は東福寺に入寺していたため難を逃れました。武家に生まれた友松らしい逸話として、本能寺の変の後に、明智光秀の重臣で友松と親しかった斎藤利三が処刑されますが、これを不憫に思った友松は刑場から利三の遺骸を奪い、親交のあった真如堂に葬ったという言い伝えがあります。やはりこの時代は歴史小説さながらの熱い時代とつくづく思います。

 講師の古川史隆氏(県文化財保護課兼琵琶湖文化館)は、海北友松の生涯を紹介した後、友松の画業に迫っていきます。友松は幼いころ、東福寺に入寺し、その後絵の才能を見いだされて狩野派に弟子入りしました。そこから才能が開花し、多くの名作を生みだします。今回は令和4年度滋賀県指定文化財となった「檜図屏風」に焦点を当て、絵画様式や制作年代を解説されました。土坡(どは)の描き方、樹幹の表現や金雲の緑の暈し(ぼかし)などの友松特有の描写について興味深い話をされていました。

 なかでも、絵に施された署名の字体と印章の変遷から、檜図の制作年代を慶長7年(1602)前後と推測する近年の研究史を紹介され、来聴者の方々も興味深そうに聴かれていました。古川講師、お疲れさまでした。

 さて、次回の講座は、7月27日(木)特別講座『「世界の記憶」智証大師円珍関係文書の世界』を開催します。定員140名での募集でしたが、受付4日目にして、既に定員に達してしまいました!現在はキャンセル待ちでの受付となっています。開催が楽しみですね。

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目張りされた収蔵庫の中で何が…!?

(きっちり目張り=これ大事!)

 きっちりとテープで目張りされた当館の収蔵庫扉・・・。一体、何があったのでしょうか??

 秘密の作業が行われているの?それとも、何かを封印したの?様々な文化財を保管している当館の収蔵庫。それだけに色々と想像を巡らせてしまいますね。

 この目張り、当館では年に2回程度見かけることがあります。以前にもこの「あきつブログ」で見たという方がいらっしゃるかも(ドキドキ…)。

 実はこの目張り、「文化財保存のしごと」の一場面なのです。この日は、専門の業者さんに来ていただき、収蔵庫内において、定期的な防虫・防カビ対策を行いました。

(モンスターではありませんよ~)

 薬剤散布前には、文化財にとって問題がない薬剤か、散布時に注意する場所はどこか、業者さんと学芸員でしっかり確認します。今回、背の高いほとけさまは、文化財を輸送する際に使う「薄葉紙」をお被りいただき、念のための安全を図ってもらいました。(ちなみに、使用する薬剤の特徴によって、養生が必要な素材や、程度は異なります。)
 そして、ここからはちょっと専門的なお話になりますが、養生ができたら、室内に液化二酸化炭素に薬剤を混ぜたものを噴霧します。すると二酸化炭素は気化し、薬剤成分のみが微粒子状になって空中散布されます。薬剤成分が空気中を沈降するのを待った後、室内の排気を行いますが、あの目張りは、排気までに噴霧したものが外に漏れ出ないようにする役割を果たしていたのです。

 虫やカビは厄介者ですが、意外と私たちに身近な存在です。だからこそ、虫やカビを完全にやっつけることよりも、文化財の置かれている環境をしっかりと把握し、予防の対策を行ったり、人の目で文化財の状態を確認したり、日常的な管理の中で異変に早く気付いたりするほうが、よほど大切なことなのです。

 築60年以上の当館ですが、長く安全に文化財を保管するため、これからも地道な努力を惜しまず、より良い保存環境維持に取り組んでいきたいと思います。

〔学芸員 I 〕

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ユネスコ「世界の記憶」登録記念・特別講座開催します!

 去る5月24日、嬉しい速報が飛び込んでまいりました。滋賀県で新たに2件、大津市の三井寺(園城寺)さまが所有される国宝2件が、「智証大師円珍関係文書典籍―日本・中国の文化交流史―」として、ユネスコ「世界の記憶」の一つに登録されました(国内で8例目)!これを受けて、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」では特別講座を開催いたします!

 7月27日(木)14:00~ 「世界の記憶」智証大師円珍関係文書の世界

 講師には、三井寺の福家俊彦長吏をお迎えし、智証大師円珍(814~891年)が中国・唐に渡り密教の教えを日本にもたらしたその足跡と、今に伝わる貴重な古文書や典籍類について、特別にご講演いただきます。

 突然ですが問題です。国内でユネスコ「世界の記憶」に登録されたのは、今回が8例目。では前回(2017年(平成29 ))に国内で登録されたモノは何だったでしょう・か?・・・皆さん覚えておられます?!(ハイ!はい!!は~い!!!)

琵琶湖図〔部分〕円山応震筆(琵琶湖文化館蔵)
*2019年ユネスコ「世界の記憶」登録

答え:それは「朝鮮通信使に関する資料」です(※1)。17~19世紀の日韓の平和構築と文化交流の歴史を物語る資料として、日韓合わせて計333点(うち、日本所在資料は209点)が登録され、その中の一つとして、当館の「琵琶湖図」も登録されています。

 そのご縁もあって、ユネスコ「世界の記憶」にはとても敏感な当館♡。登録に関わるその苦労、その喜び、決して他人事ではゴザイマセン!県内の文化財が新たに登録されたことは、我らが滋賀県民にとっても大変嬉しいニュース♪何より、1100年以上も昔の資料(しかもその現物!)が、今に受け継がれているその奇跡!長きにわたって文化財の保護と継承に取り組んでこられた三井寺の皆様の御努力に、心から敬服いたします!
 この貴重な文化遺産が末永く受け継がれていくよう、私たちも勉強させていただく機会となりそうです。特別講座ではどのようなお話が聞けるのか、とても楽しみですね。講座へのお申し込みは6月23日からの受付です〔詳しくはコチラ〕。

檜図 海北友松筆(琵琶湖文化館蔵)

現在受付中の講座は、
「花湖さんの打出のコヅチ」第2回
  6月22日(木)14:00~
  海北友松の事績と檜図について

です。こちらは近江出身の絵師:海北友松(かいほうゆうしょう)の生涯と、後に安土・桃山時代の巨匠と言われた友松の作品について、令和4年度新たに県指定文化財となった檜図(当館所蔵)の魅力とともに、詳しく紹介します。どうぞお楽しみに〔申し込みはコチラ〕!

※1:同時に「 上野三碑 (こうずけさんぴ)」も登録されています。

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滋賀の文化財を盛り上げるトモ!

 常日頃、悩んでいることがあります。どうすれば皆さんに、滋賀の文化財の魅力を知っていただくことができるのか!?!・・・これは永遠のテーマでもありまする・・・。

 休館中の当館が出来ること・・・ウェブサイトの更新?他館での展示?文化財講座?いえいえ、それだけではございません。この方たちの助力なしには語れない!「滋賀を盛り上げたい」という共通の思いを抱く同士=友(?)として、頼りにさせていただいているのがマスコミの方々です!より多くの人々に情報を届ける、その機会を作ってくださる力強い味方!(時に激しいツッコミをいただくことも(冷汗)・・・ございますが(笑)。)

 ということで今日は、(公財)滋賀県文化財保護協会が実施するセミナーで、現役記者さんから直接お話をうかがえる貴重な機会が ございましたので、「興味をそそる情報の出し方」そのノウハウを詳しく聞いてまいりました!

 お話しくださったのは、読売新聞の渡邉記者さん。2001年に奈良県のキトラ古墳で「朱雀」が発見された時、取材応援に行って世間が大騒ぎになっているのを目の当たりにし、「千年以上前のモノが現代人に感動を与えている。文化財ってスゴイ、面白い!」と自身も興奮されたのだそうです。それがきっかけで文化財に興味を持ち、幅広く知識を積み重ねてこられたのだとか。その結果、今や押しも押されぬ、本当に頼りになる「文化財担当」記者さんになっておられます♡。キトラ古墳に感謝デス(笑)。おかげでこの滋賀でも、どれほどこの業界を盛り上げていただいたことか!

 お話を聞いていて感じた事は、まず自分が文化財を面白い・楽しいと思っておられること。そのテンションをいかに記事で伝えるか。メイン記事もさることながら、追加取材で「+α」の情報を読者に届ける。記者さんの熱量を感じられる文章は、確かに読んでいて面白い!それがこの記者さんの魅力です(笑)。先ずは自分が楽しむ→楽しさ・魅力を伝える→皆が楽しい♪ですよね。情報発信はこうでありたい!

 この業界、正直なところ「漢字が多くてムズカシイ」と思われがちで、私たちも説明に頭を悩ませるところ。読者の皆さんに分かりやすく興味を持ってもらえる言葉や言い回しなど、こちらも勉強させていただくことが多く、本当に頼りになる存在でした。・・・そう、実は過去形・・・。この度ご栄転で滋賀を離れられることに・・・こここれは、貴重な文化財の流出に匹敵するのでは??!
 頼もしい兄貴が居なくなるのは寂しいですが、また滋賀に戻ってこられた時に「なんや滋賀県、全然面白くないな」と言われないよう(!)、私たちも頑張って楽しい話題を提供していきたいと思います。「やっぱり滋賀県サイコーやな」と言ってもらえるように!!

  ということで突然ですが、楽しい話題です~(笑)♪

 皆さん忘れてませんか?滋賀県内のJR4駅で配られるあのカード!健康推進アプリBIWA-TEKU(ビワテク)を利用して駅の改札窓口でスマホ画面を提示した人に「近江ゆかりの武将カード」をプレゼントするあの企画♪

 月が替わり、6月から貰えるカードの種類が替わりましたよ~!

 おやおや、今話題の「ど○する家康」にも登場したあの武将や、秀吉に仕えて活躍したあの武将もいますね~これは要チェックです!〔詳しくはコチラ

 ちなみに滋賀県立安土城考古博物館さんでは、特別展「信長と家康-裏切る者・裏切らざる者 」が6月4日(日)まで開催されています。歴史が学べるよい機会ですよ~。(しまった!お知らせするタイミングが遅かった! 皆さん急いで見に行ってくださーい!!)

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