月別アーカイブ: 1月 2024

1年が経過して語れるお話 文化館の大トンボ

 寒かった・・・あの日も寒かった。。。1年前のあの日、予定通り、想定通りにうまくコトが運ぶのか、ドキドキしながら1日を過ごしておりました。

 あの日・・・令和5年1月26日、文化館のシンボルとして長らく皆さまに親しまれてきた、屋根の上の大トンボ(モニュメント)が深夜に取り外されてから早1年。すでに懐かしい・・・。

 文化館の日常を綴る「あきつブログ」、その様子を速報で皆さんに伝える(掲載する)べきところ、(直後はさすがに少し心が落ち着かなくて言葉にできず)「写真集」での紹介とさせていただきました。ということで、1年が経過して語られる裏話です 。

 大トンボの撤去は屋根の改修工事に併せて行われました。湖上約40m、湖岸の道路から30m離れた大トンボを吊り上げるために手配された大型のクレーン車。文化館前の道路は通行規制。深夜のため作業を見守ったのは一部の職員と報道関係者のみでした。

 地上では、鉄塔と大トンボを切り離すグラインダーの音ばかりが聞こえ、どのくらいの進捗かわからずにいると、誰かが叫びました。「トンボが飛んだ!」!!見ると吊り上げられた大とんぼが、文化館の大屋根から、ゆっくり離れていきました。地上に降ろしてから、大トンボを回転させていたモーター部分を切り離し、身軽になった大トンボは再び飛翔、文化館の小さい方の館(別館)に移されました。

 問題はこの別館の入口。大トンボの大きさ・長さよりも間口が狭く、どうやって建物の中に入れるか、直前まで頭を悩ませました。結果、屈強な男性陣の知恵と力のおかげで、トンボの頭を下にしっぽを上に、大きく斜めに傾けて、無事に建物の中に収めることができました。

 文化館のシンボルモニュメントを深夜に取り外すという緊張と寒さのため(?)、いざという時に肝心のカメラが壊れる(涙)ハプニングに見舞われたりもしましたが・・・。すべての作業が完了し、絶妙のクレーンさばきをしていただいた運転手さんにお礼を言うと、「こっちこそいい仕事させてもろたわ」と返された笑顔が印象的でした。

 その後、大トンボの背中に銘板が見つかったり、元々金色に塗られていた痕跡を発見したりと、何かと楽しませてくれる文化館の大トンボ・・・元気です!

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講演会 お話ししてきます

 皆さんチェックされてますか?1月20日(土)に、湖南市にある長寿寺さまで、“とある講演会”が開催されます。何の関連かと申しますと・・・・

 その存在・・・全国的にはめずらしく、滋賀県内では彦根市や日野町、多賀町、守山市などに、祀っておられるお寺さまがあります。 小さいながらに抜群の団結力(チームワーク?)で、見る人の度肝を抜く、圧倒的な存在感。それはそれはとても不思議な存在・・・・・。

 何のこと? ピンときた??

 今回の講演会は、「近江の小さな仏たち―近江の千体仏・千体地蔵-」の関連講演会として実施されます[主催:近江の祭り研究所]。長寿寺さまは、六臂(六本の腕)のお地蔵さまの周囲に約1万2千体(!)の小さいなお地蔵さまが描かれた地蔵曼荼羅を所蔵されており、クラウドファンディングを活用して修復されたことでも話題となりましたね。当日は、拝観と藤支良道住職のご講演、そして当館の和澄浩介学芸員の講演が予定されています。(※申込は締め切られています。)  

 ・・・このご依頼をいただいた時、和澄学芸員の顔が満面の笑みであったことを、僕は(こっそり)見ていましたよ(笑)。楽しみですね。講演は「近江の地蔵信仰と古像」というタイトルで、たっぷりお話しさせていただく予定です。
 参加の皆さま、近江に伝わる地蔵信仰について、 いっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっぱいお勉強してきてくださいね♪

 残念ながら申し込んでいない!という方・・・本ブログ冒頭の画像にご注目~。この「千体あきつ」(全然足りない・・・!)には、他とは違うあきつ君が実は3体、紛れ込んでいます。どどどこに??!
 見付けて和んで下さいませ~♥
[大きな画像で見たい方はコチラをクリック♪

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ガス灯とともに一味違う散策を

 皆さん、「ガス灯」をご存じでしょうか?一般的な電気を利用した電灯と違って、ガスを燃料として使われている照明が、ガス灯です。
 日本で初めて街灯としてのガス灯が横浜に建てられたのは、およそ150年前の明治5年(1872)。大正時代に全盛期を迎え、現在も北は北海道から南は沖縄まで日本全国に3000基が街を照らしているそうです(東京ガスHP参照)。レトロな風合いのあるこの街灯を、どこかでご覧になったことが・・・ありますか?

文化館前 )レトロ仲間だったガス灯

 そうです。文化館前の歩道にもありました。
・・・エッ?過去形?

 そう実は過去形なのです。通行される方の安全確保の為、先日、撤去工事が行われ、なぎさ通り沿いの5基が姿を消しました。馴染みの風景として当たり前に見ていたものが無くなり、一抹の寂しさはありますが、無くして気付くこともあり!改めて、ガス灯のことを調べてみましょう。

 

 文化館からなぎさ通りを西に進んだ場所(大津市民会館向かい)には、ガス灯の由来が書かれた記念碑が建てられています。

大津市民会館向かいのガス灯にあった銘板と記念碑

 それによると「大津市ガス事業50周年記念」とありました。大津市がガス事業を民間業者から譲り受け、昭和12年(1937)に市営ガスとして供給を開始し、その50周年を記念して建てられたものがなぎさ公園のガス灯だったのです。

 琵琶湖文化館前のガス灯はこの度撤去されましたが、湖岸にはまだ7基残っています。大津市では他に三井寺周辺、石山寺駅前、浜大津駅前、そして長浜市の慶雲館や彦根市の四番町スクエアなどにも設置されているそうです。

 暖かい春になって散策をするとき、身近な風景の中で、ぜひとも街の「ガス灯」にも注目してみたいです。ガス灯が開発された「文明開化」の時代に思いをはせながらの散策も、きっと一味違う楽しさがあるでしょうね。

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令和6年 文化館の辰(龍)

新年 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 昨年末のブログでは、「初詣、いろいろな場所でいろいろな龍に出会えますよ」と、ちょこっと豆知識の小ネタ(?)を披露したところですが、年明けブログは・・・やはりここはお目出たく、当館の「龍」を紹介せねばなりませぬ。

 この龍、皆さんは何だと思いますか?・・・問い方を間違えました→何に(どこに)描かれていると思われます?

 よく見ると、下地には金箔が使われていますね。猛々しい龍が睨みをきかせています。何かに掴まっていますよ。後ろのシマシマの形にもヒントがありそうです。

 実はこれ、ホームページの収蔵品紹介にも掲載している「源平合戦図」屏風の“とある部分”に描かれた龍です。見付けられます?

源平合戦図 狩野氏信 筆 (琵琶湖文化館蔵)

 本図は、平家物語の源平合戦の名場面のうち、右隻には「敦盛最後」を、左隻には「那須与一」が屋島合戦で扇の的を見事に射貫くシーンが描かれています。

 ここで思い出したいのが、滋賀の文化財講座花湖さんの打出のコヅチ第4回で登場した「弘誓寺」。実は近江七弘誓寺の一つを、那須与一の子孫である愚咄坊(ぐとつぼう)が開いた・・・という聞き捨てならぬ伝承が伝わっています。東国武士である那須与一が滋賀につながるこのご縁、歴史研究の醍醐味です(笑)。

 えぇっと・・・少々無理ムリ(?!)、那須与一に注目したところで!作品をもう少しアップにして見てみましょう。

  いた・・・龍がいた!
  那須与一の兜に!!
  いましたよ!!!

 波間に揺れる扇の的を射抜くという神業、まさに神仏の加護を願いたい、その一場面に描かれていた龍・・・。
 ・・・もう、ね、コレに気付いてしまったら、どんなに小さな『ひとコマ』でも、皆さんに紹介したい(!)あきつブログなのでございますヨ(笑)。

 龍が如く上り調子の一年に!本年もどうぞよろしく♪お願いいたしま~す!!
(※ 実は、左隻に描かれた武者6人のうち、3人の兜に龍は居ります・・・エヘッ。)

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