カテゴリー別アーカイブ: 文化財講座

平成28年度「打出のコヅチ」スタート!

P1050343-15月にしては気温の高い日が続いています。19日の大津の最高気温は27度。少し動くだけでもう汗が湧いてきます。そのような中でのスタートとなった平成28年度滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」ですが、今回は90名という多くの方にお越しいただきました。暑い中、足をお運び下さった皆様、本当にありがとうございました。

第1回目の本講座では、「来迎図・神像・懸仏-平成27年度滋賀県新指定文化財より-」という演題で、県教育委員会文化財保護課担当職員の古川史隆氏を講師に迎え、昨年度新たに県指定の文化財となった美術工芸品の中から、「絹本著色阿弥陀三尊来迎図」(大津市・光明寺)、「木造男神坐像」(栗東市・五百井神社)、「金銅十一面観音不動毘沙門懸仏」(長浜市)の3件について、詳しい解説をしていただきました。

まずは、光明寺の阿弥陀三尊来迎図について。阿弥陀来迎図とは浄土信仰の広がりと共に描かれるようになったもので、比叡山周辺の寺院には数多く残されており、光明寺の鎌倉時代のものも一見したところそれほど変わったようには見えません。ところがよく見ると、右下の往生者が観音菩薩の捧げ持つ蓮台に乗っており、まさに来迎の劇的な場面が描かれた、他に例のない大変珍しいものであるということです。
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次に、紹介された五百井神社の男神坐像は、なんと驚くなかれ!平成25年9月に滋賀県に大きな被害をもたらした台風18号の際、神社の裏山が崩れ、土砂に埋められた中から救出されたものなのだそうです!それまで長い間人目に触れずにいた神像ですが、被災によってお姿が少し変わってしまったものの、霊木かと思われる「節」のある材で作られた像は保存状態が良く、眉間を寄せた怒りの表情の中にもおだやかさが感じられる洗練されたお顔などから、平安時代にさかのぼる優品であることがわかりました。

長浜市の懸仏は、表面の十一面観音とそれを取り巻く豊かな装飾もさることながら、裏面の墨書銘から制作年・制作の背景などが詳しくわかり、懸仏の全盛期である南北朝時代の基準作例ともなる優品であるとのことでした。

今回のお話は、指定文化財にすることの意味を含め、来迎図、神像、懸仏の一つ一つについて、どのような歴史的背景の中で作られて、どういった変遷を辿ってきたのかなど、とても丁寧に解説して下さいましたので、初心者の方にもわかり易かったのではないでしょうか。これらの文化財が、保存と活用を図るに値するものとして指定された意味を、よく理解できるお話だったと思います。

さて、今回指定を受けた3件のうち、懸仏は高月観音の里歴史民俗資料館の常設展で、また五百井神社の神像は、栗東歴史民俗博物館で5月21日(土)から6月19日(日)まで開催される収蔵品展「資料が奏でる歴史のしらべ」にて公開されるとのこと。今回講座にご参加いただいた方もそうでない方も、機会があれば実物を見に行かれてはいかがでしょうか?

次回の講座は、6月16日(木)「信長文書の世界」というテーマで行います。講座を受けると、今までの信長像がガラッと変わるかも?皆さま、ぜひぜひご参加くださいませ。

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「打出のコヅチ」 ちらしが出来ました!

H28_打出のコヅチ_チラシ講座・イベントのコーナーでもすでにご案内しておりますが、毎年ご好評をいただいております滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。今年度も5月より開催いたします!

滋賀県には、国宝や重要文化財を含む多くの文化財がありますが、本講座では毎年、これらの文化財をめぐるホットな話題を皆さまに提供しております。
今年度は5回にわたって、新たに県指定となった文化財をはじめ、有形・無形のさまざまな、滋賀県ならではの文化財について、専門の職員と学芸員がわかりやすく解説します。
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講座のちらしは県内の博物館・図書館等に置かせていただいておりますので、みなさまお立ち寄りの際にはぜひお手に取ってご覧下さいませ。

参加のお申込みは、
琵琶湖文化館(TEL: 077-522-8179 FAX:077-522-9634)まで。
では、今年度も多くの方のご参加をお待ち申し上げております!!

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2月14日は・・・

皆さん至急ご確認下さい。お部屋のカレンダー、お手元のスケジュール帳、2月14日に『〇』:マル印、付いてますか?忘れていませんか?大事な日ですよ?

そう!何を隠そう!この日は我らが文化財に関わる『講座』が開催される日でーす!
あれアレ?皆さん?チョコに浮かれてる場合じゃないですよ?(笑)

この講座は、滋賀県教育委員会さんが実施される「千年の美」つたえびと養成講座です。今回のテーマは「屏風・掛軸・巻子の形と構造-屏風をつくってみよう-」。講師を務められるのは、仏画など国宝・重要文化財の修理にたずさわっておられる若き職人さん。屏風などの表具技術を学ぶとともに、文化財の「かたち」や「構造」について詳しくお話しして下さいます。
そして皆さん、お気付きですか?サブタイトル・・・「屏風をつくってみよう」となっていますよッ!なんとコレ嬉しい体験型!こっそり仕入れた情報(特ダネ)では、参加者は美人画、虎図、草花図の中から図柄をひとつ選んで、かわいらしい「ミニ屏風」が作れるのだそうです。283とくに、紙蝶番(ちょうばん、ちょうつがい)は和紙を用いて、本物の構造をよく理解できるようにご指導いただけるとか!嬉しいお持ち帰り有り!作り方が分かればオリジナルのミニ屏風も作れるようになるのでは?・・・是非参加せねば!参加したい!!

講座は事前予約制となっていますので、申込みはお早めに!

日 時:平成28年2月14日(日)午後1:30~3:00
会 場:コラボしが21(大津市打出浜2-1)3階大会議室
テーマ:屏風・掛軸・巻子の形と構造 -屏風をつくってみよう-
講 師:佐味 義之 氏(株式会社坂田墨珠堂 文化財修理技術者)
募 集:200名  *受講料無料、事前申込み制(当日参加も可)
申込先:滋賀県教育委員会事務局文化財保護課(美術工芸・民俗係)
電話077-528-4672 FAX 077-528-4956

ぶきっちょ(不器用)な僕でも応募可能かしらん?・・・きっとダイジョウブ!迷っておられる貴方もダイジョウブ!是非参加してみては?!

   筆:あきつ

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「千年の美」つたえびと養成講座のご案内

今年度の滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」は9月をもって終了しましたが、まだまだ勉強したいと思っている方に朗報です!
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前年度に引き続き、滋賀県教育委員会事務局文化財保護課さんから『「千年の美」つたえびと養成講座』開催についてのお知らせが届きました。この講座は、滋賀県に伝承されてきた「千年の美」とも言うべき文化財(仏教美術、神道美術等)の魅力を学び、また受講者自らが「つたえびと」となって発信していただくことを目的とした講座です。
今年度は、仏教美術(彫刻)の研究者や仏像・仏画修理の技術者等を講師に迎え、計4回の開催が予定されています。

【内容・日程等】
第1回 近江路の観音像(仏教彫刻史特論1)
平成27年10月12日(月・祝)午後1:30~3:00
講師:高梨純次氏(MIHO MUSEUM参事 仏教美術史研究者)

第2回 仏像の修理
平成27年11月23日(月・祝)午後1:30~3:00
講師:高橋利明氏(楽浪文化財修理所代表 仏師)

第3回 近江の仏画の流れ(仏教絵画史総論)
平成27年12月19日(土)午後1:30~3:00
講師:古川史隆氏(滋賀県教育委員会事務局文化財保護課主査)

第4回 屏風・掛軸・巻子の形と構造-屏風をつくってみよう
平成28年2月14日(日)午後1:30~3:00
講師:佐味義之氏(株式会社坂田墨珠堂 文化財修理技術者)

【会  場】コラボしが21(大津市打出浜2-1)3階大会議室
【募集人員】各200名  *受講料無料、事前申込み制
【主  催】滋賀県教育委員会
【申込み先】滋賀県教育委員会事務局文化財保護課(美術工芸・民俗係)
       電話077-528-4672   FAX 077-528-4956
       〒520-8577 大津市京町四丁目1-1 メールアドレス ma07@pref.shiga.lg.jp

文化財ファンの方は必見ですね。第1回開催日まであまり日がありませんので、受講希望の方はお申込みをお早めに!

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滋賀の文化財講座「打出の裏コヅチ」

皆さん先日の文化財講座、ご参加いただきましたか?残念ながら参加出来なかったという方のために、ご用意しましたよ。「ぷっ」と笑える復習教材「裏コヅチ」!
僕、9月3日のブログでキーワードは「ニジョウジョウ」と「アサクサ」といいましたが、皆さん覚えていますか?種明かしをしておきますね。

えぇっと、「見立絵」というのはですね~、うーん説明するのが難しい・・・いろいろあるんです。例えば連想ゲームによく似ていて、何かを想像させることで結果オーライとするもの。タコさんウィンナーが良い例です。ちょっとひねりを利かせたシャレというかダジャレというか。。。

それでは皆さん、問題です。下の絵は一体何を表しているのでしょう・・・か???
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左)『江戸名所はんじもの』より:「あ」の人が「さ」っとオナラをして隣の人が一言。
・・・地名です。
右)『勝手道具はんじもの』より:「頬」に「蝶々」がとまると?
・・・よく切れます。

わっかるっかなぁ~♪これを浮世絵で有名な歌川一派の一人(歌川重宣:2代目歌川広重)が描いたとなれば、「ほんまかいな~」と笑えるやら呆れてしまうやら。。。絵解き謎解きは、当時の庶民の娯楽ですね。20150918

ちなみに「ニジョウジョウ」は、現代の作家さんが洛中洛外図に見立てて、「畳が二畳」で二条城、「(囲)碁所」は御所、「本の牛」で本能寺など、ダジャレ満載に京都の名所を描いた作品・・・の紹介でした。ん?何だか文字だけだと面白くな・・・い?現代の作家さんも、頑張って「笑いのDNA」を受け継いでおられるのです。

ならば僕も有名な作品に見立てましょう。これはダジャレではありません。「見立て」という「パロディ」です。「見立て」なら『国宝』にだってなれちゃうのです。
あぁ~不思議な見立ての世界~僕もいつかは国宝級~・・・歴史に名を刻むトンボでありたい・・・と願っています。・・・イヒッ。
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   筆:あきつ

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滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」⑤

先週、今年度最後の「打出のコヅチ」(第5回)が開催されました。前日は台風18号の影響で県内各域に気象警報が発令され、あわや中止か?と一時開催が危ぶまれましたが、何とか予定通りに開催することができました。最終回にふさわしく、93名もの方にご参加いただきました。
そして今年度は計5回の講座を実施し、参加者は延べ425名でした。ご参加下さいました皆さま、本当にありがとうございました。
20150915-2今回は当館の上野良信学芸員が「見立絵 ― 江戸絵画の楽しみ方 ―」と題し、江戸時代に流行した「見立絵」の世界について同時代の作品はもとより、そのDNAを受け継いだ現代の作品についても、詳しく解説いたしました。
琵琶湖文化館というと「仏教美術の宝庫」といったイメージが先行しがちですが、実は江戸絵画の名品も数多く収蔵しており、他館でも頻繁に展示公開しています(詳しくはコチラ)。
そのなかでも今回は、見立絵(歴史的事象や人物を当時の人々に親しみやすく、かつ連想ゲームのように知的な趣向を凝らした絵)の作品(「友禅蹴鞠図」、「業平東下り図」など)を取り上げ、関係する題材や類例の作品を紹介しつつ、一種の「謎解き」を参加者の皆さんと楽しみながら、丁寧に解説されました。
20150915特に見立絵の一種である「判じ物」(文字や絵にある意味を隠しておき、連想させる作品)の解説では、その答えに時折笑いが起きるなど終始和やかなムードでした。

なお、今年度の「打出のコヅチ」はこれで最後ですが、県教育委員会文化財保護課では前年度に引き続き「「千年の美」つたえびと養成講座」の開催を予定してるとのことです。詳細がわかり次第、当ブログでも告知させていただきます。お見逃しなく!!

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打出のコヅチ、予定通り開催します!

9日昼現在、台風第18号が滋賀に一番近いところを北北西に移動中・・・今夜には温帯低気圧に変わり日本海に抜ける見込みです。

そんなことで皆さん、「明日のコヅチは?」「開催されるの?」とご心配のことかと思いますが・・・大丈夫です!予定通り開催します!

明日10日の滋賀の天気は、湿った空気の影響で雲が広がり、雨が降るところがある見込み・・・28ただ、台風の影響で交通機関の乱れなどが発生するかもしれませんので、最新情報を確認し、念のため時間に余裕を持って会場へお越しくださいね。

それでは明日、今年度最後の滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催!皆さまのお越しを会場でお待ちしていま~す!

   筆:あきつ

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申込みはお済みですか?第5回

皆さん、もう申込みはお済みですか?10日(木)は滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催日です。今年度最終となる今回は、「見立絵(みたてえ)-江戸絵画の楽しみ方-」と題し、当館の学芸員が講師を務めさせていただきます。
皆さん、「見立?」「江戸絵画?」「何?」と難しく考えたりする必要はありません。『見立て』は実は私たちの生活の中にシャラランと取り込まれています。ダジャレが好きな方なら尚のこと・・・

今回はスライドをたくさん見ていただく予定となっております。「喋る時間が足りんかも・・・」という講師のボソっとしたつぶやきに「何なに?何喋らはるんですかぁ?」と聞いてしまった僕らも悪い。。。「コレはこんな意味」「じゃぁコッチは何に見える?」と小半時ほど、お先に講義の予習をさせていただきました。その内容は何故か笑いがいっぱい!真面目に何を考えていたの江戸時代の絵師さん達は(笑)!って。。。そりゃ弥次さん喜多さんも「珍」道中にもなります(笑)。今回の江戸絵画はコメディ満載です。
笑いばかりではなく、キリッと豆知識・教養を高めたいと思っておられる方、ご安心を。マジメ部門は、文化館の館蔵品の中からキッチリ紹介させていただきますので!

今回講師を務められる学芸員さんは、近世絵画や仏教絵画が専門で、よくその分野でお話をされています。ともすれば難しくなるお話を、いつも穏やかな口調で解りやすく267喋ってくださるベテラン学芸員さんです・・・いやいや、僕がそう思っていただけで、実はそれは世を忍ぶ仮の姿・・・だったのかも知れません。。。今回の講座でこの印象がガラリと変わるカモ?ですよ~・・・必見です!
会場では「クスッ」とした笑いではなく「プッ」とした笑いをお届けできる?・・・かな?!キーワードは『ニジョウジョウ』と『アサクサ』です。ご期待下さい。

皆さん、ちょっと参加してみたくなりましたか?日々の生活に「見立て」を取り入れて、「人生に潤い」を感じるようになっていただけたら、講座としては大成功?!皆さまのご参加を心からお待ちしております!

   筆:あきつ

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滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」④

先週、今年度4回目となる滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」が開催されました。今年のコヅチはなかなかお天気に恵まれないのですが、それでも当日85名の方にご参加いただきました。誠にありがとうございました。
20150821-2今回は、県教委文化財保護課美術工芸担当の古川史隆氏より「山から下りた梵鐘 ― 菅山寺梵鐘の移動と保存修理 ― 」と題し、長浜市余呉町坂口に所在する管山寺の梵鐘(重要文化財)について、平成26年度に行った修理に伴う大規模な移動と保存修理の内容についてお話がありました。
菅山寺は湖北大箕山の山中にあり、中世末の菅山寺縁起によれば、最盛期には3院49坊を擁する大寺院として、大いに栄えたといいます。また徳川家と所縁の深い増上寺(東京都港区)に伝わる「宋版一切経」(重要文化財)は、元々菅山寺に収蔵されていたもので、徳川家康の求めに応じて、増上寺に寄進されました。
そんな菅山寺伝来の梵鐘は、在銘のある梵鐘としては県内で二番目に古いものです(ちなみに一番古いのは同じく長浜市に所在する日吉神社の梵鐘)。製作年と製作者が明らかな基準作例として、大変貴重なものです。
265今回はこの梵鐘の修理について、特に重量356㎏もある梵鐘をいかにして山寺から運び出したか、その点を中心に多くのスライド画像を交えてお話しされました。前述のごとく、菅山寺は山深い場所にあり、当初はヘリコプターで運び出すとの案もあったようですが、最終的には険しい陸路を地道に輸送することに。梵鐘を専用のキャリアダンプに載せて、舗装されていない急斜面の山道をゆっくりと慎重に。
終了後のアンケートには「文化財保護の具体的な様子が今日の話でよくわかった。」、「保存活動の実態がわかった」といったご意見が多数あり、本講座が文化財保護をより身近に感じていただける機会になったといえるのではないしょうか。
さて、次回はいよいよ最終回。「見立絵 ― 江戸絵画の楽しみ方 ―」(9月10日)と題し、当館の上野良信学芸員が収蔵品を中心にお話しいたします。引き続き皆さまのご来場、心よりお待ちしております。

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申込みはお済みですか?第4回

皆さん、もう申込みはお済みですか?20日(木)は滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催日です。20150812第4回目となる今回は、「山から下りた梵鐘 ― 菅山寺梵鐘の移動と保存修理 ― 」と題し、滋賀県教育委員会事務局文化財保護課の古川氏にお話ししていただきます。

ねぇ皆さん・・・梵鐘の保存修理って「どんな」なんでしょうねぇ?僕は、ご近所のお寺さんに除夜の鐘を突きに行った時に、マッチョなお兄さんのあまりの怪力に、柱に繋がれていた突き棒のヒモが切れてしまった!のを目撃しましたが・・・(翌年には直っていた)。田舎では時を告げる時報代わりに、またお葬式や法事の際に鐘を鳴らされるお寺がありますが、僕は今まであまり鐘本体の事に注目したことはありませんでした。

今回お話しされる長浜市余呉町の菅山寺(かんざんじ)の梵鐘は、鎌倉時代の制作で、県内に残る在銘の梵鐘では2番目に古いもの。しかし全体に錆(サビ)が付着していたため、平成26年に保存修理が行われたそうです。梵鐘を1週間かけて山から下ろした苦労話や保存修理の過程、また工芸史的価値について、詳しく紹介されます。

梵鐘は言わば地域のシンボルでもあり、保存修理は地元の皆さんのご理解ご協力無くしては、決して達成し得ない事業だと思います。講座に参加して下されば、きっと「自分とこのお寺さんの鐘はどうだったかな?」と、気になると思います。何がキッカケとなるのやら?!地域の文化財に目を向ける機会としていただければ幸いです。
皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております。

   筆:あきつ

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滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」③

昨日、本年度3回目となる滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」が開催されました。台風接近中という大荒れの天気にもかかわらず、73名の熱心な方にお越しいただき誠にありがとうございました。
今回は「魅力あふれる滋賀の近代建築と「滋賀県庁舎本館」」と題し、県教委文化財保護課建造物担当の池野保氏がお話しされました。
前半では、まず滋賀県の歴史的建造物についての概説がありました。滋賀県が全国有数の国宝・重要文化財の保有県であることは周知のとおりですが、さらに建造物に限っていえば、全国第3位の指定件数を誇っています。また「古代の奈良、中世の滋賀、近世の京都」といわれるように鎌倉時代や室町時代といった中世の社寺建築が多いのが特徴となっています。
近年になって近代建築にも注目が集まるようになり、滋賀県においても魅力的かつ豊富な近代建築の調査・研究、また保存・活用が盛んに行われるようになりました。
池野氏はその第一線で活躍されており、本来は中世の社寺建築を専門とされていますが、活躍の範囲を広め『湖国のモダン建築』(京都新聞社)、そして『滋賀県庁舎本館』(サンライズ出版)といった共著も出されています。
後半では、今回の話のメインである「滋賀県庁舎本館」を多くのスライド画像を交えて、予定時間いっぱいまで丁寧に解説されました。
滋賀県庁舎は佐藤功一(1878~1941)と國枝博(1879~1943)の二人によって設計されており、「庁舎の佐藤、装飾の國枝」といわれた二人の技量が相まって、荘厳でありつつ、随所に優雅な装飾が施された庁舎建築の傑作となったと講師は話していました。さらに職場環境を意識した実用的で機能性を兼ね備えた設計であるというお話しには、皆さん納得のご様子でした。

さて、次回は「山から下りた梵鐘 ― 菅山寺梵鐘の移動と保存修理 ― 」(8月20日)と題し、県教委文化財保護課美術工芸担当の古川氏がお話しされます。「悪天候のため参加出来なかった」という方のために、今回の資料もお渡し出来る様にご用意しますので、ご希望の方は受付にお申しつけ下さい。引き続き皆さまのご参加をお待ちしております。

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申込みはお済みですか?第3回

皆さん、もう申込みはお済みですか?16日(木)は滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催日です。第3回目となる今回は、「魅力あふれる滋賀の近代建築と『滋賀県庁舎本館』」と題し、滋賀県教育委員会事務局文化財保護課の池野保氏にお話ししていただきます。

魅力あふれる滋賀の近代建築。中でも平成26年12月19日に国登録有形文化財となった『滋賀県庁舎本館』は、滋賀県の「顔」であり「モダン建築の代表」と言っても言い過ぎではないハズ。・・・皆さん、建物の中には入られたことあります?ドンとたたずむその外観とは裏腹に、中は「レトロ~」で「モダ~ン」な造りになっています。なんだかね、空気が違う。それこそ名うての映画監督がワンシーンに使いたくなるような・・・そんな気持ちがよく分かる建物です。

講座では、日中戦争の影響による鉄材統制を克服して建てられた、戦前期最後の大建築である県庁舎建設の経緯と建築史上の位置付けについて、単行本『滋賀県庁舎本館』の著者の一人でもある講師が、わかりやすく解説して下さいます。

皆さんのご参加を心よりお待ちいたしております。

   筆:あきつ

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滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」②

昨日、本年度第2回目となる滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」が開催されました。不安定なお天気にも関わらず、94名もの方にご来場いただき、誠にありがとうございました。

今回は、「受け継がれゆく いにしえの美 -よみがえった琵琶湖文化館収蔵品- 」と題し、前年度、マザーレイク滋賀応援基金の寄付金によって修理した琵琶湖文化館収蔵品について、当館の学芸員がお話しさせていただきました。
前年度は7件の館蔵品を修理しましたが、そのうち、江戸時代の絵画6件について、表装(屏風、掛軸、巻子といった形態)ごとに作品の内容を紹介するとともに、その修理工程について作業風景の画像を交えて解説いたしました。

終了後のアンケートの中に「文化財を継承するためには、文化財を継承する伝統的な保存・修理技術もあわせて継承していく必要があるということが改めてわかりました」といったご意見を頂戴し、本講座を通して文化財修理の重要性をご理解いただき大変ありがたく思う次第です。

さて次回は「魅力あふれる滋賀の近代建築と「滋賀県庁舎本館」」(7月16日予定)と題し、県教委文化財保護課の担当職員がお話しいたします。引き続き多くの方のご来場、お待ちしております!!

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申込みはお済みですか?第2回

皆さん、もう申込みはお済みですか?18日(木)は滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催日です。第2回目となる今回は、「受け継がれゆく いにしえの美-よみがえった琵琶湖文化館収蔵品」と題し、当館の学芸員が講師を務めさせていただきます。

あきつ、講座を前にして少々緊張気味です。というのも、僕以上に担当学芸員さんの“悩ましいオーラ”が、日増しに高まっているような↗↗↗(笑)・・・どうぞお気軽に(笑笑)

緊張の理由は他にもあって、お申込みいただいた方たちの名簿を見ていると、そのスジの方といいましょうか、由緒正しきといいましょうか、「お名前の漢字はどのように?」と改めて伺わないと書けないような、そんな方たちのお名前がチラホラ目に入るのです。なんとも想像でしかないのですが、お家に屏風や掛軸などをお持ちなんですかね~。

・・・だだだだいじょうぶ。頑張れ・・・

コヅチの傾向としましても、保存修理のお話は参加人数も多く、会場での皆さんの反応もとても素直でいい反応(笑)。今回も「へぇ~」「ほぉ~」と新たな知識にちょぴっと得した気分になっていただけたらいいなぁ、と思います。

さぁ講師くん、肩の力を抜いて頑張って務めてくれたまえ!
あ、ひょっとして、身内からのプレッシャーが一番きつい???(笑)

   筆:あきつ

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平成27年度「打出のコヅチ」スタート!!

今年度も滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」がスタートしました。年度当初からたくさんの方にお申込みをいただき、当日は80名の方にお越しいただきました。誠にありがとうございました。
初回の本講座では「新たな県民のたから ー平成26年度滋賀県新指定文化財説明会ー 」と題し、県教委文化財保護課の各担当職員が前年度に県指定となった各文化財について解説しました。
また今回は滋賀県初の重要有形民俗文化財である「近江甲賀の前挽鋸製造用具及び製品」についても紹介し、さらに県観光交流局の担当者から今年度、日本遺産となった「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」の概要についてもお話がありました。総勢5人が交代で話す、たいへん盛りだくさんの内容でした!
平成26年度は7件の文化財が県の指定を受け、建造物では、三間流造形式の「彦留神社本殿」(彦根市)と「望湖神社本殿」(東近江市)が指定を受けました。望湖神社本殿はほぼその前面に彩色・塗装が施されており、県内には類例が少なく、大変貴重なものです。
美術工芸品では、「絹本著色春日宮曼荼羅」(大津市石山寺所蔵)、「木造阿弥陀如来坐像」(近江八幡市西願寺所蔵)、「彦根藩井伊家伝来具足」(彦根城博物館所蔵)、そして大溝藩(現高島市)の藩主であった分部家伝来の「大溝藩分部家文書」(高島歴史民俗資料館所蔵)の計4件が新たに県指定文化財となりました。
特に彦根藩井伊家伝来具足は歴代当主(ただし、5代、14代をのぞく)の具足(甲冑)18領とその子息の具足7領の計25領がまとまった状態で現存しており、その色は朱色で統一され、「井伊の赤備え」として知られました。ちなみにこの赤備えのルーツは甲斐武田氏に臣従した飯富氏にあるとされ、武田軍団といえば「赤備え」というイメージがあるかと思います。
名勝では 湖北の浅井氏に仕えた赤田氏の庭園「赤田氏庭園」(長浜市)が指定を受けました。京都西本願寺の「虎渓の庭」などとの共通性がうかがえる様式で、また江戸時代初期に遡る一民家の池庭の例は全国的にも少なく、貴重なものです。
民俗では、既に県指定文化財であった「近江甲賀の前挽鋸製造用具及び製品」(甲賀市甲南ふれあいの館保管)が平成26年度に国指定の重要有形民俗文化財となりました。
甲賀地域は前挽鋸の一大生産地として知られ、明治時代から大正時代にかけて全国的なシェアを誇りました。本件は、前挽鋸はもとより、前挽鋸を製造する各工程の製造用具(ツチやタガネなど)のほか販売や信仰に関する資料も付属品として、指定の対象となりました。
滋賀県のみならず、日本の鋸製造、製材技術の歩みを考えるうえで貴重な資料群です。

さて次回は「受け継がれゆく いにしえの美 ―よみがえった琵琶湖文化館収蔵品― 」(6月18日予定)と題し、当館の学芸員がお話しさせていただきます。引き続き皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

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申込みはお済みですか?

皆さん、もう申込みはお済みですか?来週の木曜日は滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」開催日です。記念すべき第1回のお題は「新たな県民のたから」です。
昨年度新たに県指定となった文化財は7件(建造物2件、美術工芸品4件、名勝1件)。お話するのは滋賀県教育委員会文化財保護課の各専門職員さんです。指定された文化財のことをウットリ陶酔気味に(笑)分かりやすくお話しして下さいますよ~。滋賀らしい、滋賀ならでは、滋賀だからこそ、の、地元の誇れる文化財について、地元民が知らないなんてちょっぴりナンセンス・・・この機会に是非理解を深めましょう!

既にお申し込みいただいている方々!有り難うございます!!申込みリストの中に、(昨年度解散してしまいましたが)元文化館友の会会員の皆さんや講座の常連さんのお名前を見つけたりすると、こちらもテンション上がります~モチロン新規の方も大歓迎ですので、気軽に参加してくださいね!

先日、文化館のベテラン学芸員さんだった方が来館され、「最近は新指定展してないの?地元の人が実物見たことないっていうのもなんか寂しいな~」「ですね~」っというような事を話しておりました。開館していたころは、地元にお披露目する意味もあり、美術工芸品など展示できるものは、春に文化館で一堂に展示していたんですよね・・・湖南(文化館)だけでなく、指定された年によっては湖北の会場でも展示を行い、地元の皆さんに見ていただいていたと記憶しています。
地元に「どんな文化財があってこんなところが素晴らしい」ということを多くの方に知っていただく、次世代につなげていく、それも博物館の大切な役割なのだと思います。頑張ろう滋賀の博物館!!

   筆:あきつ

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先日、発送しました。

前年度からお問い合わせをいただくほど好評の滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。今年も開催いたします!
先日、開催に先立って県内の博物館や図書館にチラシを送付させていただきました。その影響もあってか、連日、続々と参加のお申込みをいただいております。
今年度も県内の各文化財(美術工芸品、建造物、名勝)の紹介や解説はもとより、近年の文化財保護の現場や博物館の仕事を知っていただける内容となっております。
皆さま是非、ご参加ください!(参加申込みはこちら

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