「つながる美・引き継ぐ心」 番外編:お不動さま

現在、滋賀県立近代美術館で開催されている「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展。みなさま、この展覧会の第3章「つながる」に出陳されている不動明王さまを、もうご覧いただけましたか?
このお不動さまは、近江八幡市の伊崎寺さまのご所蔵で、平成18年に国の重要文化財の指定を受けた際に、琵琶湖文化館で展示をさせていただくこととなり、その時のご縁で今回出陳されています。(現在は、この不動明王さまは比叡山国宝殿で管理されています。)

先日、お不動さまを寺の本堂から琵琶湖文化館へ搬入した時の、懐かしい写真を見つけましたので、2016isaki-1今日は是非、皆さんに当時の職員さんたちの武勇伝(?!)を紹介させていただきたく。。。
平成18年3月25日、琵琶湖文化館から学芸員さんとこの日出勤していた男衆(事務方・警備員)含む6名、滋賀県教委文化財保護課から2名、長浜市の学芸員さん1名の応援をいただき、総勢9名の強者たちが、近江八幡市の湖岸にある「伊崎の竿とび」で有名な伊崎寺のお山へ向かいました。これだけの人数で出陣?!した理由は、不動明王坐像とその光背、附の二童子像を、梱包の専門業者にお願いするでなく、自分たちでほとけさまを山から下ろし、公用車で運ぶという重大な使命があったからです。2016isaki-2
朝一に文化館を出発、お寺さまに着くと、先ずは堂内でほとけさまの状態確認。それから梱包、輸送、文化館に搬入・・・と、お戻りはお昼をまわってました。

この日、文化館でお留守番をしていた僕が、よ~く覚えていることがあります。それは無事にお不動さまが文化館に到着され、ほっとした時の皆さんの会話です。
学芸員ではないものの、力自慢としてこの日応援に駆り出された職員さんたち。大仕事に緊張されていたのでしょうね。高揚感というか、達成感というか、皆さん一様にテンション高めでした(笑)。「普段慣れていないので、梱包資材を運ぶだけでも手が震えたわ。」「ベテラン学芸員さんの指導があったからこそ(言われるとおりに)うまく運べて良かった。」「足元がズルッといきそうだった時、後ろから支えて貰って本当に良かったわ。助かった有り難う。」など、顔を紅潮させて話しておられたこと、僕はよ~く覚えています。あ~僕も行きたかったな、と(笑)。

もちろん文化財を扱われるのは専門知識と技術をお持ちの学芸員さんです。この時も何でもない顔をして、笑って話を聞いておられました。でも、事務方が必要とされてお手伝いに駆り出されるということは、それだけ信頼されているということです。時にはこうして助け合い協力させてもらうことで、展覧会が学芸員さんだけのものではなくなる・・・それが万年お留守番の僕にとっても、とても嬉しい出来事だったのです。このアットホームな感じ(?)が、琵琶湖文化館ならではのエピソードだと思います。

さて、今回の展覧会でそんな懐かしい思い出の「ご縁」をいただきましたので、この時行きそびれた僕は、皆さんが行かれた道を、いざ伊崎寺へ、行ってみる決心をいたしました!20161111今でこそ参道には砂利が敷かれてとても歩きやすいですが、当時は石がゴロゴロしていてとても歩きにくかったと聞いています。・・・そうかぁこの道をお不動さまを背負ってボチボチ下ったか・・・この辺かな?ズルっといったの(笑)・・・頭の中では当時の会話が思い出されてとても楽しい道行。駐車場から15分ほどで本堂に着くと、琵琶湖から吹く風の音がなんとも心地く、そこはまさしく癒しのパワースポットでした。

来れて良かった~!っと、大満足の帰り道、「あ、駐車場が見えた」と油断したところで、僕の足は「ズルっ」と・・・コケてませんよ?!そこは踏ん張りましたよ?!!・・・きっと僕は間違いなく、文化館ファミリー・・・と、再確認した帰り道なのでした~~ イヒッ!!

筆:あきつ

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「千年の美のつたえびと」になってみませんか?

20161116早いもので11月も、もう半分が過ぎてしまいました。文化館の周りの木々もすっかり秋色。毎朝通勤途中に落ち葉を踏みふみ、「秋」の深まりを感じている今日この頃でございます。
夜もグンと寒くなってまいりましたが、皆さま体調を崩したりされていませんか?そんな寒さも吹きとばす?!文化財講座のお知らせです。

かねてから、当ブログでもお知らせしています、滋賀県教育委員会事務局文化財保護課主催の『「千年の美つたえびと」養成講座』の第2回目が、今週の日曜日に開催されます!滋賀県には他の県に負けないくらい文化財があります。そんな文化財のことを学んで、守り手(伝承者)として、また、伝え手(発信者)として活動していただくことを目的とした文化財講座です。

「千年の美つたえびと」養成講座 第2回
近江の仏像と南都仏教(仏教彫刻史特論2)
講師:佐々木進氏(元栗東歴史民俗博物館館長、仏教美術史研究者)

【日  時】平成28年11月20日(日)午後1:30~3:00
【会  場】コラボしが21(大津市打出浜2-1)3階 大会議室
【募集人数】200名  ※受講料無料、事前申込み制(当日参加も可)
【申込み先】滋賀県教育委員会事務局文化財保護課(美術工芸・民俗係)
      TEL 077-528-4672 FAX 077-528-4956
      〒520-8577 大津市京町四丁目1-1
      メールアドレス ma07@pref.shiga.lg.jp

飛び入り参加も可!ということですので、あらためて文化財講座を学んでみたい方、この機会にぜひ参加してみてはいかがでしょうか?!
(申込み先は県教委文化財保護課です。琵琶湖文化館ではありませんのでご注意下さい。)

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霜月の癒し

朝晩ググッと冷え込みが厳しくなってきました。今日のお空はどんよりと時雨気味で、琵琶湖の色も鈍色、あぁ11月の景色になってきたなぁ、もうすぐ冬だなぁと、ちょっぴり「おセンチ」な気分になります。。。

いえいえ、琵琶湖文化館の11月は「おセンチ」ばかりではありません。空が時雨れれば琵琶湖に大きな「虹」が、朝の冷え込みが厳しければ琵琶湖大橋に幻想的な「蜃気楼」が、20161109-2ハッキリくっきり見えるので、とてもテンションが上がるのです(笑)。
ほら、この写真なんて、まるで琵琶湖から文化館のベランダに向かって虹の階段がつながったみたいで、とってもステキでしょう?!
文化館では「おはようございます。今日も虹がキレイですね」と、朝の会話の中に当たり前のように「虹」が登場します。この職場の誰もが「虹」を愛でています(笑)。霜月の癒しの風景です。。。

とは言え、「虹が出る=時雨れる=風が冷たくとても冷える」という状況であることは間違いなく、外に出るのが少し億劫な季節・・・とも言えます。20161109-3
寒さの中、仕方なしにお昼ご飯を食べに外を歩いていると、ふっと何かに呼ばれたような気がして、僕は振り向きました。すると、まるでお城のテッペンから青空が吹出しているような、まるで文化館が青空生産工場のエントツになったような、そんな写真が撮れました。「虹が出る=時雨れる=青空が近い」とも言えますね(笑)。あぁなんだか得した気分・・・のほほん・・・でございます。

筆:あきつ

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つながった美・引き継いでね心

このブログでも何度も紹介しておりますが、ただ今、数多くの文化館収蔵品が県立近代美術館での展示のため出張中です。前回のブログでもお知らせした通り、この展示、11月1日からいよいよ後期展示に突入いたしました。展示替えが行われ、さて、うちの収蔵品たちはこの頃どうしているんでしょう??ということで、その様子を見に行って参りました!

美術館のある文化ゾーンは、丘の上にあるため、木々の色づき具合も打出浜周辺より一段と進んでいて、本当によい感じ。。。文化の日の3日(祝)には、この一帯で新生美術館見本市「美の糸口ーアートにどぼん!!2016」などのイベントが行われ、うちのあきつ君も密かに「仏像ワークショップ」コーナーに出演していたようで~す(やったね)!!

そして、近代美術館での収蔵品たちはというと。。。?展示室に入ると、後期展示から登場した掛軸や屏風たちには、まだ少し緊張の面持ちが見られましたが、前期から出ている文化財たちは、もうす~っかり馴染んでいる様子。搬出の日、大人4人がかりで運びだされた寂室元光さまも、展示室の真ん中でゆったりとお座りになっていらっしゃいましたよ。

「第5章 つなぐ」の場面では、文化館と近代美術館のそれぞれの収蔵品の中から、同じ作者:紀楳亭の「蓬莱群仙図」が肩を並べており、また近江を代表する絵師:高田敬輔先生の兄弟弟子たちの作品が揃って旧交を温めているなど、なかなかに感動の再会を果たしておりました。さらに、別室の常設展にいらっしゃる遊亀さん(以前は文化館で一緒に暮らしておりました!)とも、なつかしい思い出話に花を咲かせ。。。どうやら「美」はここでもしっかりとつながったようです。

では、「心」の方は??引き継がれるべき心は、文化館だけのものではなく、この半世紀、文化館を支えて下さった県内外の多くの方々とつながっているものです。この絆を一旦解き、もう一度結び直そうというのですから、並大抵のことではないでしょう。一層の努力と、そして少しばかりの時間も必要かも知れません。今回の展覧会がその種となり、いずれ芽を出し、花を咲かせ、また結実し。。。収蔵品とともに「心」も、次の世代へしっかりと引き継いでいって欲しいなあと。。。そんな思いを抱きつつ、美術館を後にしました。

p1050920-2「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡とあらたな美術館」(於:滋賀県立近代美術館)は、11月23日(祝)までの開催です。みなさまにも、一度と言わず、二度でも三度でも、文化館収蔵品の様子を見に行っていただけると、とても嬉しいです。

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ホームページ10月のアクセス数

いよいよ霜月、11月になりました。琵琶湖でも北湖の方には、もうコハクチョウが飛来していると聞きましたが、南湖の中に建つ文化館のまわりでも、このところ水鳥の数が増えてきたような気がします。朝晩にはかなりの寒さを感じるようになったこの頃。秋は順調に深まっているようですね。

さて、10月は文化館ホームページに、1,529件のご訪問をいただきました。どうもありがとうございました!この数、9月からは、ユーザー数と共に微増といったところですが、サイトの平均滞在時間は、3か月連続で伸びております!みなさんの興味はもしかして、「あきつブログ」が面白くて、ついつい読みふけってしまう?あっ、いえ、だったらブログ筆者としては嬉しいのですけどね~(笑)。そこで検索キーワードの方を見てみると。。。「高島硯」「長谷川玉純」など、いくつかの収蔵品や作者の名前がありますので、それだけでもないような。。。文化・芸術の秋、みなさん真面目に、調べものに励んで下さっているようです。すばらしい!!

そして、10月になって急上昇しているキーワードが、「つながる美・引き継ぐ心」。これは言わずもがな、10月8日から滋賀県立近代美術館にて開催中の展覧会のことですよね。みなさま文化館ホームページで確認して、美術館まで足を運んで下さっているのでしょうか?ありがとうございます!! こちら近代美術館での展示は、本日11月1日から、いよいよ後期展示に突入です。展示替えも行われ、「浮城モノ語り」第30話で紹介した紀楳亭の作品も、近代美術館所蔵品と揃っての登場です。まだ展示をご覧になっていない方はもちろん、すでに前期をご覧になった方もぜひもう一度、さらに一段と深まった展示をご覧くださいませ。「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館」は、11月23日(祝)までの開催です。

さあ、文化館ホームページも、秋の深まりと共にどんどん内容を深めていきますので、11月もどうぞよろしくご覧ください!

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「つながる美・引き継ぐ心」 番外編:仮面

現在、滋賀県立近代美術館で開催されている「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展。みなさん、この展覧会の第3章「つながる」に出陳されている仮面(赤鬼・青鬼)を、もうご覧いただけましたか?234
この仮面は、東近江市の日吉神社さまのご所蔵で、毎年春の例祭に合わせて一時返却をさせていただいている大切な文化財です。実は先日、地元の自治会さまから「祭礼には使用していない他の仮面も是非町内の人に見て貰いたい」というご依頼を受けて、「ふれあい広場」という地域イベントに、急きょ参加・展示をさせていただくこととなりました。

当日は見事な秋晴れに恵まれ、会場となった公園には大勢の方が集まり、マジックショーやカラオケ、地元有志のバザーなどが行われていて、それはそれは大変にぎやかなイベントとなっていました。
早速、施設の中の一角に設けていただいた机で梱包を外すと、先ずはみなさん「なんと厳重に巻いて持って来てくれはるのやね」と驚かれました。小さいお面ですが、衝撃を与えないように薄葉紙と綿布団で何重にもお守してお運びしております。
20161101いざお預かりしている3つの仮面【能面:痩男(やせおとこ)・大癋見(おおべしみ)、狂言面:祖父(おおじ)】を並べると、地元の皆さんが興味深そうに覗きに来られます。「祭礼の仮面は毎年見ているけれど、他にもあるとは知らなかったわ」「どれくらい古いのかしら」(:江戸時代です)「これらも指定品になってほしいな」など、私たちもさまざまなお声を聞かせていただく機会となりました。

ひと段落しておいとまさせていただいた帰り道、「地元のイベントにあんなにたくさん、子どもから大人からお年寄りの皆さんも、み~んなが参加される地域も今どき珍しく盛大でしたね。」『それだけ地域の結びつきがしっかりしているということ。だからお祭りも文化財も、地元の宝として大切に残していかなければという意思も受け継がれる。』「ほんとですね~。安心ですね~。」と、学芸員さんと話しながら文化館に戻りました。

地元のみなさんの「誇り」をお預かりしていることをしっかりと胸に刻み・・・なんだかとても心晴れ晴れ、いい会場に呼んでいただきました。有り難うございました。

筆:あきつ

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モウソウ妖怪に取りつかれちゃった?!

木の葉がほんのりと色付き始め、お出かけの楽しみな季節になってきましたね~。秋は展覧会シーズンでもあり、文化館の収蔵品たちもたくさん、他館へお出かけ中です。そんな収蔵品につられて、お出かけしてきました!行先は、大阪・あべのハルカス美術館。今こちらで開催されている「大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで」には、文化館が新知恩院様からお預かりしている「六道絵」のうち3幅が出品されています(会期中に展示替えがあります)。

さすがに、都会の商業施設内にある美術館。この日は休日ということもあり、家族連れがいっぱい!!展示会場では、もちろん「六道絵」を一番にチェックさせて頂きましたが(笑)、その他にも、興味深い作品がいっぱい!なかでも「百鬼夜行」を描いた作品には、目を奪われました。解説を見ると、長く使われたモノには魂が宿るようで、煤払いの時に捨てられたモノたちが、妖怪(つくも神)となって夜な夜な路上で大騒ぎをする、というのがそもそものお話なのだそうです。これを見ているうちに、もしかしたら、当館の収蔵品の中にも魂の宿った文化財があったりして、夜な夜なドンチャン騒ぎを・・・?な~んて妄想が湧いてきたりも?!

さて、「大妖怪展」を見終わって、まだ少し時間があったので、次は近くにある大阪市立天王寺動物園へも足を運ぶことに。ここは近頃、「生態展示」といって、園内にサバンナや熱帯雨林を復元し、動物たちを自然の状態に近い形で見せる方法を取って人気の動物園なのです。園内では、う~ん、なるほど、そう来るか!という、意外な「見せ方」に驚くばかり。そしてまた、最近の動物園は希少種などの保護にも力を入れているご様子でした。

希少なものの保護?ん?何か「文化財の保護」にもつながるような気がしてきて、またもや妄想が。。。「文化財の生態展示」なんて、どうなんでしょう?文化財を、かつて置かれていた環境を復元した中に置き、当時の状況や役割を分かりやすくイメージさせて、来館者にその時代を「体感」してもらうとか。。。あ~、でも、それこそ資料に魂が宿り、「百鬼夜行」の世界になってしまうかも?「けしからん!」というお叱りの声も、どこかから飛んできそうですが。。。いかんせん休館中の文化館、妄想以外のなにものでもありませんので、どうぞ笑ってお許し下さい。。。

303あべのハルカス美術館の「妖怪展」は、11月6日までです。みなさま、お時間ございましたら、ぜひ一度足をお運び下さい。(興味を持たれた方は、天王寺動物園へもどうぞ!)

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「つながる美・引き継ぐ心」 会場のこだわり

皆さん、もうご覧いただけましたか?滋賀県立近代美術館で開催中の「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展。この展覧会では、総出品点数115点の内、96点(全体のおよそ8割)の文化財が琵琶湖文化館から出陳されています。これらは館蔵品をはじめ、社寺さまから大切な文化財を多数お預かりする琵琶湖文化館ならではの出陳内容といえるのではないでしょうか。展示会場では、所有者:○○寺・□□神社と説明されていますので、文化館との関係性は、ぱっと見では分かりにくいかもしれません。しかし今回の展覧会では、近代美術館の学芸員さんが会場に様々な工夫を凝らして下さいました。

お気付きになられました?展示室内が、色分けされていたこと。これは琵琶湖文化館が担ってきた「役割」に注目した全5章からなる展示構成で、学芸員さんのこだわりがうかがい知れる最たるトコロなのですよ。

20161019-1【第1章】守る:琵琶湖文化館が社寺さまからお預かりし、大切に守り伝えてきた滋賀の名宝を紹介(彫刻・絵画・工芸・書跡・典籍など様々なジャンルをお守りしています。)
【第2章】魅せる:海外で紹介された琵琶湖文化館の収蔵品や近年新たに県指定となった文化財を展示(海外展に注目されるあたり「近代美術館」さんならではのセレクションですね。)20161019-2
【第3章】伝える:過去に琵琶湖文化館に寄託されていた文化財や、法要などの際に一時返却をする寄託品、修理に関わってきた文化財などを展示(「展示活動」以外に琵琶湖文化館が担ってきた大切な役割、地域のみなさんと大切な文化財を後世に伝えゆくお手伝い。表には見えない琵琶湖文化館の重要な活動としてブログでも度々紹介しています。)
20161019-3【第4章】きわめる:琵琶湖文化館が関わって調査した文化財や、調査がきっかけとなって新たに発見された文化財を展示(調査・研究の成果を文化財修理や復元に活かす試みを行ってきました。)
【第5章】つなぐ:近代美術館と琵琶湖文化館の収蔵品をつなぐ近世絵画等の作品を展示(仏教美術だけでなく近世絵画も多数所蔵する琵琶湖文化館と、近代美術館の所蔵作品との共通性に着目しています。)

会場では、ぜひ作品紹介の題箋をじっくり読んでみて下さい。「ここが見所」といった文章の続きに、琵琶湖文化館とその作品との関わりも併せて紹介されています。

以上、なんだか言葉にすると分かりにくいかもしれませんが、展示されている文化財は見ごたえ充分の名品ばかりです。この機会に滋賀の名宝を、ゆ~ったりとご鑑賞下さいませ。

筆:あきつ

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君の名は???

先に謝っておきます。タイトルから、今、大ヒット中の話題の映画を期待された方はごめんなさい。今回は、「西川吉輔」という人のお話です。この方は、文化13(1816)年、近江八幡に生まれ、幕末維新期の国学者として知られています。文化館では、この方の書簡を収蔵しており、ホームページ「収蔵品紹介」でもご紹介させていただいております。200

先日、こんなお問い合わせがありました。「西川さんのお名前は、キチスケとお読みするのですか?それともヨシスケというのですか?」

なるほど、素朴な疑問です。。。琵琶湖文化館のホームページには「にしかわ きちすけ」で紹介しています。このお問い合わせにしっかりとお答えすべく、学芸員さんは改めて徹底的に調べて下さいました。まずは、人名事典類、そして滋賀県の百科事典類、それから、それから。。。
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ところが、出てくるもの、出てくるもの、「ヨシスケ」ばかり。しかし調査を続けるうちに、地元の自治体史と、西川吉輔家文書を所蔵されている滋賀大学の目録に「キチスケ」あるいはローマ字で「kichisuke」とあるのを確認。どうやら、インターネットや他県の文献には「ヨシスケ」で紹介されていることが多く、滋賀県内の文献では「キチスケ」と記される傾向であることがわかりました。

また、滋賀県教育委員会文化財保護課さんに尋ねてみると、「宇野先生からは、「滋賀県の神道界や地元ではキチスケさんと呼んでいた」と聞いています」との有力情報が・・・。
宇野茂樹先生というのは、仏教美術研究の大家でいらっしゃいますが、実は神社の神主でもあり、神道界のことについても大変お詳しい先生です。西川吉輔は、維新後は日吉大社の宮司をしておられたので、当時、直接関わりのあった人々からの、「口伝え」とでもいうのでしょうか、地元ならではのかなり近しいところからの情報が、ここに伝わっていた訳です。

お問い合わせいただいた方にご連絡すると、なるほどそうでしたか、とご納得いただけた様子。このやり取りを隣で聞いていた事務方の私も勉強させていただきました(笑)。有難うございました。

本当に人の名前の読み方って難しいですよね。近頃はやりの「きらきらネーム」、同じ時代に生きているハズなのにどうお読みすればいいのかワカラナイお名前が・・・。皆さん、名前に読み仮名を添えるのは恥ずかしいことではありません。ちゃんと呼んで欲しい正しいお名前で、後世に名を残してくださいね(笑)。

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平成28年度「千年の美つたえびと」養成講座のご案内

今年度の滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」は、おかげさまでご好評のうちに、9月をもちまして終了いたしました。ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。ところで、これをきっかけに、文化財についてもっともっと学んでみたい!と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、そんな方々に耳よりな情報です!

10月から、滋賀県教育委員会事務局文化財保護課さんの主催で、『「千年の美つたえびと」養成講座』が開催されます!!この講座は、滋賀に長らく伝わり、「千年の美」とも呼ぶべき豊かな文化財の価値について学び、受講者自らが、文化財の守り手(伝承者)として、また、伝え手(発信者)として活動していただくことを目的に、開催されるものです。今年度は、仏教美術(彫刻、絵画)の専門研究者や、仏像修理の技術者等を講師に迎え、4回にわたる講座が予定されています。

【内容・日程】
第1回 石山寺の歴史と秘仏本尊御開帳
平成28年10月16日(日)午後1:30~3:00
講師:鷲尾遍隆氏(石山寺座主)

第2回 近江の仏像と南都仏教(仏教彫刻史特論2)
平成28年11月20日(日)午後1:30~3:00
講師:佐々木進氏(元栗東歴史民俗博物館館長、仏教美術史研究者)

第3回 両界曼荼羅の世界(仏教絵画史特論1)
平成28年12月10日(土)午後1:30~3:00
講師:鯨井清隆氏(大津市歴史博物館学芸員)

第4回 仏像の制作と印相―化仏(けぶつ)をつくってみよう―
平成29年1月14日(土)午後1:30~3:00
講師:高橋利明(有限会社楽浪文化財修理所代表取締役 仏師)

【会  場】コラボしが21(大津市打出浜2-1)3階 大会議室
【募集人数】第1~3回 各200名、第4回のみ 100名
      *受講料無料、事前申込み制(当日参加も可)
【主  催】滋賀県教育委員会
【申込み先】滋賀県教育委員会事務局文化財保護課(美術工芸・民俗係)
      TEL 077-528-4672 FAX 077-528-4956
      〒520-8577 大津市京町四丁目1-1 
      メールアドレス ma07@pref.shiga.lg.jp272

第1回開催日が、間近に迫ってきております。当日参加も可能ですので、みなさま、ぜひご参加下さい!(申込み先は、県教委文化財保護課です。琵琶湖文化館ではありませんので、ご注意下さい。)

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展覧会@近美が始まりました!

当ウェブサイトでも随時開催の告知やその準備について、報告させていただいておりました「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展が、滋賀県立近代美術館で10月8日より遂にスタートしました!

開催に先駆けて、前日の7日(金)には記者発表と内覧会を行いました。貴重な作品の出陳にご快諾いただきました社寺の皆さまをはじめ、琵琶湖文化館の活動でご縁のあった方、また現在でも琵琶湖文化館の活動を支えて下さっている方々など、文化館ゆかりの多くの人々にご出席をいただきました。

本展では、今までの琵琶湖文化館の諸活動を紹介しながら、それによって守り伝えられ、時に見出されてきた滋賀の仏教美術・神道美術の名宝の数々と、琵琶湖文化館と近代美術館の収蔵品に共通する近江ゆかりの画人たちの作品(近世絵画)が出陳されます。
これほど多くの琵琶湖文化館の収蔵品が県内で一堂に出陳されることは、久々のことです。また休館後に見出され、新たに指定文化財となった作品も出陳されています。この機会に是非、ご鑑賞ください。

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琵琶湖に「謎の物体」あらわる?!

台風が来る前のとある日、琵琶湖を眺めながら、いつものように通勤を。。。ん?いつもの?琵琶湖??・・・20161006-3いつもの湖岸に、見慣れないピンク色の5cmくらいの物体が貼り付いているではありませんか!しかも蛍光色の!「何だアレ?」と思ってよ~く見てみると、1つじゃない!そこここに、いくつもの蛍光ピンクのかたまりがあるのです!

琵琶湖から、はい上がって来たようなこの謎の物体。。。いったい何だと思いますか?気になったので、いつも琵琶湖の水質調査に来られている滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課 水質・生態系係の担当さんに尋ねてみると、実はこれ、外来生物ジャンボタニシ(正式名称:スクミリンゴガイ)の卵だというのです。蛍光ピンクのかたまりは、アップで見ると(イクラのようなタラコのような・・・気になる方はネットで調べてみてください)、かなりグロテスク。なので、岸に這い上がっていた「親」をアップで紹介しておきます。20161006-2直径4、5㎝位あったでしょうか。まさしくエスカルゴです。ジャンボタニシは食用として輸入されたものが、逃げ出したりしてその存在が確認されているそうで、近年、琵琶湖の南湖でも繁殖が拡大していると言っておられました。確かに去年まではこんな蛍光ピンク、見たことなかった。。。

地域によっては田んぼの稲を食べてしまうという被害が報告されているようですが、いかんせん、相手は外来種。そのままにしておくわけにはマイリマセン!20161006-4県の方に改めて聞くと、卵は水没すると孵化できなくなるので、水中に落とすだけで駆除できるとのこと・・・琵琶湖のためなら仕方ありません。。。いざ、長い棒を用意して、湖岸についたピンクのかたまりを、ひと~つひとつ・・・こそぎ落とすのはちょっと大変でしたが、朝から頑張ってみた次第です。

ふと見ると、湖岸に打ち寄せられた大量の水草を、滋賀県の藻刈船が、刈り取り作業をしてくれています。20161006-5その雄姿を興味深そうに眺める一般の方たちの姿も・・・。わかります、どんどんキレイになっていくのを見ていると、なんだか嬉しくなりますよね。
あぁ、でも・・・あれやこれやが異常繁殖・・・あれもこれも人間サマの招いた事が原因であるあたりが、何とも悩ましい今日この頃です。

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ホームページ9月のアクセス数

271みなさまが今、一番「気になる」ことって何ですか?近づく台風18号の進路?今日から発表の始まるノーベル賞の授賞者?もちろんそれらも気になりますが。。。文化館で、月初めに「気になる」ことといえば、やはりコレなのですよ~文化館ホームページへのアクセス数!

9月のアクセス数は、1,503件!よく見てみると、初めてアクセスする人の数は減っていても、8月の総アクセス数(1,502件)とほぼ同じ。。。これは、常連化した文化館ファンの方が増えた!ということで、皆サマ、間違いございませんか?!だとしたら、とっても嬉しいです。サイト滞在時間などを見ても、熱心な方にホームページをじ~っくりとご覧いただいている、という印象を受けます。多くの方が文化館ホームページを「気にして」下さっている。。。本当に幸せなことです。ありがとうございます!!

さて、最近の文化館は、9月の下旬に3日間かけて行われた、県立近代美術館への搬出作業はもとより、県内外の美術館・博物館さんが集荷に来られており、収蔵品の貸出・搬出作業が続いています。遠くは東京からも。。。これから秋の展示会シーズンですからね~。ということは?文化館の収蔵品を、いろいろなところでみていただく機会も増えるということ!有り難いことです。ホームページの検索キーワードの中にも、近代美術館での展覧会の「つながる美・引き継ぐ心」という名称や、出品作品の名称があるのを見つけると、みなさまもやっぱり「気にして」下さっているのだな~と、とっても嬉しく思います!

153このごろは、夏の日照りの埋め合わせのように、降り続く秋の長雨で。。。アウトドアはちょっと無理そうですが、美術館・博物館めぐりなら、少々の雨でも大丈夫。さすがに台風通過中は危険なので、その間はお家でゆっくりネットサーフィン、展覧会情報などをチェックしながら、おでかけ計画をじっくり練っておいて下さいね。文化館のホームページに立ち寄ることもお忘れなく(笑)。文化館収蔵品の公開情報はこちらからどうぞ!

ではみなさま、10月も、「気になる」情報満載の文化館ホームページを、「気にして」いて下さいね~!

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「つながる美」梱包搬出作業

連休の合間をぬって文化館では、滋賀県立近代美術館での展覧会「つながる美・引き継ぐ心」展の梱包・搬出作業が行われています。学芸員さんの邪魔(!)にならないように注意して、作業の現場をこっそり覗かせていただきました。

こちらのお写真、奥の方では文化館と近代美術館の学芸員さんが、木造のお像にライトを当てて、作品の状態をチェックしておられます。20160921比較的小さなお像ですが、実はコレ、皆さんもよくご存知の有名な方です。なかなかレアなショットだと思うのですが・・・(どの辺が?)背面からのチラ見せ具合が・・・(もう少し撮影のウデを上げて?!)。・・・お顔は展示会場でじっくりとご覧くださいネ。
そして、手前にあるのが何か?皆さん、ピンと来ますか?実はコレ、梱包する時にお像を仰向けに寝かせて固定する、担架(たんか)なのですよ。お像の寸法を測りながら、部材をその場で組み立てます。仏さまによって肩や腰が触れる位置を細かく調整するので、言ってみれば唯一無二の特注品、仏さまに最高の寝心地を提供する最強アイテムなのですよ~。

さて、続いてお出ましいただきましたのが、こぢんまり座っておいでではありますが、文化館の収蔵品の中でも1、2を争う重量級:20160921-2寂室元光さまの坐像でございます。こちらは東近江市の永源寺さまご所蔵の寂室和尚坐像(重要文化財)の模造なのですが、修理の際に明らかになった原本と同じ素材、技法、構造で作られたとても貴重な資料です(詳しくはコチラ)。文化館が休館になった平成19年の展示で公開して以来、久々のお出ましです。20160921-4ご本体は優しいまなこにすずしいお顔でちょこんと座っておられますが、塑像で作られているため、見た目以上に重く、運ぶ際には「ふむッ!!」っといつも以上に気合を入れなければなりません。大人4人がかり、チームワークの成せる技に感動すら覚えます。見ていても安心です!

お隣の部屋では、掛軸や屏風など絵画作品の状態チェック、梱包が順調に進んでおりました。今日を合わせて3日間、気の抜けない作業が続きます。
学芸員ではない僕:あきつがお手伝い出来ることは何もないのですが、いつもと違う風景に身が引き締まる思いです。

文化館では梱包された大型の文化財を運ぶ時に、屋外の大階段を使います。秋雨前線が停滞する中、空模様を気にしつつ、「今なら雨が止んでます(=搬出できます)!!」と、akitu学芸員さんに伝えに行くコトを最大の使命として(?)、影ながら応援したいと思います。イヒッ。

   筆:あきつ

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平成28年度 第5回「打出のコヅチ」が開催されました!

15日(木)、滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第5回が開催されました。今回も131名という大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました!

最終回には、県教委文化財保護課の井上優氏をお迎えして、「琵琶湖文化館蔵『琵琶湖図』の構図を読み解く-朝鮮通信使とシーボルト-」というテーマでお話しいただきました。滋賀県に住む者には、よ~く見慣れた琵琶湖の風景。そして、数えきれないほどあるのも琵琶湖を描いた風景画。円山応震筆『琵琶湖図』も、その片隅に繊細な筆使いで朝鮮通信使の一行が描かれている以外、一見しただけでは何の変哲もない風景画です。けれども、よ~く見ると、何かおかしい?これは何??・・・そんな違和感、そして既視感を突き詰めて、これはいったいどこから見た風景なのか?何(どこ)を描いてるのか?という。。。まるで推理小説のような「謎解き」の顛末を、シーボルトのように情熱家でいらっしゃる井上先生から、独特の語り口でお話しいただいたのが、とても印象的な今回の講座でした。
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あのシーボルトも心惹かれ、世界的ベストセラー『NIPPON』の挿図に、構図を採用したフシのある『琵琶湖図』ですから、おそらく参加者の方々の想像力もまた、ひときわ搔き立てられたのでしょう。講演終了後には、質問とともに新たな解釈なども次々と飛び出し。。。盛況のうちに時間切れ。泣く泣くの(?)終了となりました。。。この絵については、まだまだ研究の余地が残されていて、今後の進展が楽しみなテーマであるということですね! いつの日か続編を聞かせていただけるのでしょうか??期待感のおおいに高まる講座でした。

そして、近日公開です!会場でも紹介がありましたが、文化館所蔵の『琵琶湖図』は、栗東歴史民俗博物館の企画展「琵琶湖誕生―日本・世界が見聞した琵琶湖」への出品が決まりました(公開期間:10月8日~11月3日)。この絵は、非常に細かく、精緻に描かれたものですので、みなさま、ぜひ一度、写真でなく実物を、ご自身の目でご確認ください。きっとまた、新たな発見があるはずです。本当に、噛めば噛むほど美味しい~のが、『琵琶湖図』なのですよ!

さて、名残惜しくも今年度の文化財講座(全5回)は、これですべて終了です。延べ564名という、過去最多の参加者の中には、地元滋賀の方ばかりでなく、遠方からお越しの方も少なからずいらっしゃったようで。。。滋賀の文化財への関心は、ますます高まってきているようですね。みなさま、本当にありがとうございました!!

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秋の展覧会

朝晩少し涼しくなって過ごしやすくなりました。もうまもなく食欲の秋です。否!文化・芸術の秋です。
皆さんお気づきになられましたか?文化館のホームページに、展覧会のご案内が追加されましたね~。この秋、滋賀県立近代美術館さんで開催されます「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」のお知らせです!

今回の展示は、近代美術館の若手学芸員さんが中心となって企画を進めて下さったもので、20160915-1jpg文化館からは国宝・重要文化財を含む59件(96点)の文化財が、また県内社寺さまからお借りする宝物なども含め、総計75件(115点)の名宝が、一堂に展示されます。県内でこれだけの展覧会が開催されるのは久方ぶりのことではないでしょうか。みなさん楽しみですね。

そんなこんなで新聞を開くと、昨日今日と2日連続で、僕のよく知る文化財のお写真が目に飛び込んできました。どちらも文化館が大切にお預かりする、お寺さまからのご寄託品です。20160915-2

記事の一つは「つながる美・引き継ぐ心」開催のお知らせ。もう一つは大津市歴史博物館さんの「大津の浄土宗寺院 新知恩院と乗念寺」展のお知らせです。こちらは10/15~11/27の開催となっています。

どことも秋の展覧会シーズンに向けてまっしぐら、みなさんも見に行くスケジュールを組むのが大変ですよ~(笑)。

ということで、休館中の琵琶湖文化館は、まもなく、収蔵品の「貸出しラッシュ」を迎えます。展覧会が開催できるのを羨ましいなぁと思う反面、他館さんが文化館の収蔵品をどのように展示して下さるのか、楽しみでもあります。この機会に是非とも多くの方々にご鑑賞いただけますように、貸し出す側としても日々の業務に一層努めたいと思います。

   筆:あきつ

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お申し込みはお済みでしょうか?「打出のコヅチ」第5回

288-2今年度の文化財講座「打出のコヅチ」もすでに4回を終え、いよいよ次回の第5回で最終回となります。今年度は、これまで以上に多くの方々にご参加をいただき、スタッフ一同、とても喜んでおります。そして、「資料は○○部で足りるかな?」「ゆったりと座っていただけるかな?」「やっぱり会場が狭かったか!な??」など、嬉しい悲鳴を上げておりますよ(笑)。みなさま、本当にありがとうございます!!

さて、前回の講座のアンケートで、「以前とは参加者が変わってきているので、文化館収蔵品の解説を再度企画してはどうですか?」という、と~っても嬉しいご意見をいただきました!確かに、今年はじめてのご参加という方も多く、参加される方のお顔ぶれも少し変わってきたのかなぁと感じておりました。そうですよね。新しい方にもよく知っていただくために。。。よろしいですよね?もっと取り上げても。文化館の収蔵品たち。。。やった~!!

というわけで、ちょっと気を良くして(笑)、文化館モンGOです!9月15日(木)滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第5回のテーマは、「琵琶湖文化館蔵『琵琶湖図』の構図を読み解く-朝鮮通信使とシーボルト-」。講師には、井上優氏(滋賀県教育委員会文化財補保護課)をお迎えいたします!

文化館が所蔵する円山応震筆の「琵琶湖図」7月30日付の毎日新聞でも取り上げられたように、実は今、密かに注目を浴びているのですョ。謎多きこの絵について、新たに打ち出された解釈とはいったい。。。続きは第5回講座で。

講座のお申込みは、滋賀県立琵琶湖文化館(TEL 077-522-8179/FAX 077-522-9634/メールbiwakobunkakan@yacht.ocn.jp)まで、
①お名前、②お住まいの市町名、③連絡先(電話番号)、④参加回、⑤講座のことを何で知ったかを、お知らせ下さい。

多くの方のご来場をお待ちしております!

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瀬田丘陵で古代の蓮が満開!?

この夏、一つだけ心残りとなったことがあります。ブログでも再三ふれております。これで4度目?それは、琵琶湖・烏丸半島の蓮の花が、今年はなぜかあまり育たず、湖面を埋め尽くすほどの蓮花が見られなかったこと。実は文化館の中でもファンの多い、あの風景です。原因もよくわからないままですが、蓮は水の澱んだところに生育するので、これは琵琶湖の水がきれいになったからではないか?という話もあるようで。それならそれで良いのですが。。。でも、やっぱり寂しい。。。

そんな気持ちを察して(?)もしかしたら、仏さまのような方が代わりに用意して下さったのかも知れません。大津市瀬田の文化ゾーンにある滋賀県埋蔵文化財センターで、蓮の花が満開になるというニュースが届きました!!蓮の花と言っても、こちらは古代寺院の屋根の軒を飾っていた瓦の模様のことでございます!

今日から始まるロビー展示「瓦でたどる近江の古代寺院」では、古代寺院の宝庫といわれる近江で出土した貴重な瓦が、多数展示されるとのことです。文化館にも、崇福寺跡出土の複弁蓮華文軒丸瓦2点と四重弧文軒平瓦1点の出品依頼があり、先月下旬に、埋蔵文化財センターの職員さんが集荷に来られました。

崇福寺といえば、その昔、大津に都があったころ、天智天皇の願いにより滋賀里の山中に建立されたという古いお寺。当時は、屋根に瓦を葺くのはお寺ぐらいしかない時代です。仏教の世界を象徴する、蓮の花模様で飾られた瓦を載せたお堂の屋根を、いにしえの都人はどのような思いで見上げていたのでしょうか?

ちなみに、文化館でも昭和49年の「奈良時代の文化」展で、当時、滋賀県で知られていた古代寺院の瓦やその他の出土遺物が勢ぞろいしたことがあります。
それから40年以上もの時が過ぎました。今度の展示では、きっと新しい仲間もたくさん加わり、古代瓦の蓮華文はさらに賑やかに咲きほこっていることでしょう。みなさんも滋賀県埋蔵文化財センターへ、蓮の花を見に行ってみませんか?

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ホームページ8月のアクセス数

194長い夏休みも終わり、今日から9月、新学期の始まりですね。朝の電車には、またまた大きなかばんを持った学生さんたちがドッと乗り込み。。。夏休みの宿題テストがあるのでしょうか?参考書や問題集を広げて、みなさん一生懸命。。。思わず「がんばれ~!」と心の中で応援しておりました!

さて、一方で気になるのは、8月のホームページアクセス数。今朝、一番に確認したところ、こちらは1,502件でした!7月より若干減少気味ですが、世間では「暑くて暑くて、何もする気にならないわ~」という方が多かった中、ホームページを見よう!と行動を起こして下さった奇特な方々がいらっしゃったことに、感謝×感謝です!

検索キーワードで、ちらほら目につくのは、「琵琶湖図」「琵琶湖 図」「円山応震の「琵琶湖図」」、、、ん??これもそうでしょうか?「琵琶湖の絵」。みなさんはもうお分かりですよね?!今月の文化財講座でも取り上げられる、文化館収蔵品、円山応震筆「琵琶湖図」のことに違いありません!(と断言する私。)新聞にも大きな記事が掲載され、作品について、また講座について調べて下さっているのでしょう。もちろん、こんなのもありますよ!「ウチデの小槌 滋賀」。

こういったキーワードを見つけると、みなさまが、たとえ学生さんでなくても、各自で夏休みの自由研究のテーマを見つけて、頑張って(楽しんで?)いらっしゃる様子がよ~く伝わってきます。文化館の収蔵品や活動がそのきっかけになっていると思うと、本当に嬉しいことです!

ところで、「文化館は最近目立った動きがないなぁ」と思われている方もいらっしゃるかも知れません。確かに少々鳴りを潜めていたかも?でも、ひそかに頑張っていたのです。
実は、このホームページの「収蔵品公開情報」に、こっそりと(?)掲載いたしましたが、今年度最大のイベントといってもよい、県立近代美術館での展覧会が10月から始まります。で、それに向けて、当館の学芸員さんたちも、出品する仏像や絵画作品の入念なチェック、そして図録の解説原稿の執筆などに、汗を流しながら大忙し!!だったのです。

osiro展示会のチラシ・ポスターが出来上がったら、ホームページでも詳しくお知らせいたしますので、みなさま、またご覧下さいね。では、9月もどうぞよろしく!

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涼を感じていただけ・・・る?

毎日お暑ぅございます。この残暑厳しい中、何か皆さんに涼しくなるような話題を提供できないかと・・・頭を悩ませる今日この頃。ちょっぴりいいモノ見つけました・・・よ?!

20160825-1コチラのお写真、文化館の正面入口付近、大勢の人だかりが中池に注目しています。階段の上から眺める人々の姿が写っています。何を見ていらっしゃるのですかね?記録によると、昭和36年7月20日の出来事です。昭和36年といえば、文化館が開館した年です。

実はコレ、文化館の前で『海女』の実演が行われているのですヨ!わざわざ伊勢鳥羽からお招きした海女さんたちに、琵琶湖で素潜りをして漁の実演をしていただいているのですヨ!この日は15時と19時の2回公演。ナルホド皆さん、見慣れない光景に興味津々のご様子です~。20160825-2・・・今となっては一体何を捕っておられたのか(笑)、そちらの方が気になります。。。
当時の日本旅行会の協賛で実現したこの一大イベント。開館初年ということもあって何とか多くの方に来ていただこうと知恵を絞った・・・当時の職員さんたちのそのチャレンジ精神とアイデアに、頭の下がる思いデス。。。

近年の琵琶湖、特に南湖では、夏になると藻が生い茂って腐臭を放ってしまうので、間違っても琵琶湖で泳ごうなどという気にはなれません・・・悲しいことですが。当時はまだ水がキレイだったのでしょうね~。いつの日か、また泳げるくらいに水がキレイになるといいですね。暑さを忘れる一コマ、、、お楽しみいただけましたなら幸いです。

そうそう、この夏のブログで何度か話題にした草津市烏丸半島:ハスの群生地で異変:花が全滅か?事件。久しぶりに湖岸を通ってみたら、岸に沿ってひとかたまり、きれいなお花が咲いてましたよ~。間違いなくハスの花でしたよ~。ほっと一安心。聞くところによると「近江妙蓮」で有名な守山市でも、一斉にハスの花が枯れたことがあったとか。300その時は、かろうじて元気に残っていた株を植えなおし、見事復活させたと聞きました。烏丸半島のハスも力強く逞しく、また涼しげな美しい花を咲かせて欲しいものです。

今年はもう見られないと諦めていたハスの花にお目にかかれた。そして朝から珍しく、通り雨の空に虹を見た。今日はきっとステキな一日。。。

   筆:あきつ

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平成28年度 第4回「打出のコヅチ」が開催されました!

P1050560-2相変わらず猛暑が続いています。17日の大津の最高気温は34℃。もう脳ミソもトロけてしまいそ~です~!
そんな真夏日に。。。開催してしまいました(スミマセン)。。。今年度第4回目の「打出のコヅチ」ですが、予想を越える86名という大勢の方に、(おそらく熱中症対策万全で)お越しいただくことができました(ホッ)。みなさま、本当にありがとうございました。

今回は、「近江の奇祭-中山の芋競べ祭り-」というテーマで、県教委文化財保護課・矢田直樹氏にお話いただきました。日野町中山では、毎年9月1日に「中山の芋競べ」という祭りが行われます。これは集落内の2つの地区が、地区の境にある野神山の祭場で、栽培している里芋(トウノイモ)の長さを競い、299その年の作況を占うもので、国の重要無形民俗文化財にも指定されているそうです。

この祭りについて、野神山の野神とは何か?芋競べ祭りはどのように行われるのか?この祭りの何がすごいところなのか?そして、なぜ芋なのか?といった点を、映像を使いながら解説していただきました。まだ祭りを見たことのない方にも、その様子が目の前に浮かんでくるほど詳しい説明だったのではないでしょうか?

講座後のアンケートでは、「長く行事が受け継がれているのを感心した。祭を再認識した。」「米作文化以前の畑作文化(イモ)に興味をおぼえました。」「一度祭りを見てみたい。」「地域に根差した伝統芸能を発見できて嬉しかった。」など、たくさんのご感想を寄せていただきました。みなさま興味深く聞いていただけたようですね。

さあ、講座で予習をしたなら、今度は実践です!日野町へ芋を競べに行くもよし!地元や近隣の祭りに行き、芋と比べてみるのもよし!稲作文化という表層を一枚ペロッとめくると、畑作(イモ)文化という基層が現れてきたように、新しい発見があるかも知れませんね。ちなみに、里芋は一度蒸すと皮がペロッと剥けますよ!(どーでもいいことですが。。)

次回はいよいよ最終回。9月15日(木)県教委文化財保護課・井上優氏をお迎えして、「琵琶湖文化館蔵『琵琶湖図』の構図を読み解く-朝鮮通信使とシーボルト-」というテーマでお話いただきます。お申込みは電話・Fax・E-mailで琵琶湖文化館まで。多くの方のご参加をお待ちしております!

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あきつ君を見つけました

むむむっ。ひょんなトコロで「僕」じゃない『僕』を見つけましたよ。

そもそも僕:あきつ君は、休館前の平成19年に、4階パネル展示「とんぼとめぐる近江の文化財」の中で、小学生にも滋賀の文化や文化財に親しみをもって学んでもらおうと、当館の頂上に設置されているとんぼ「あきあかね」のキャラクターとなったのがきっかけです。(詳しくはコチラ)。この時作ったのが50パターン位でしたか。20160810-2現在活躍の場は、このホームページに限定されていますが、近ごろのあきつ君は「なりきり」度合いに拍車がかかり、時には閻魔さまや神さま仏さま、風神雷神なんてのもありました。木製の神像をイメージして変身した時に「これは土偶かッ?!」と、厳しいお言葉を頂戴したりもしましたが・・・今の作り手のマイブームは、いろんな場面での「コラボ」企画です。。。おかげさまで今では300パターンくらいにまで成長いたしました!(一体何自慢?(笑))これもひとえに皆さまに育てていただいたおかげです~。。。

話が逸れました・・・それは、とあるノートの表紙に描かれていました。このノートは週に1~2回、文化館に収蔵品の整理調査の補助に来て下さっている方々の伝達日誌です。20160810聞くところによると、この日誌にはその日何をしたのか、どこまで作業が進んだのか、次はどこからか、作業する人が代わっても分かるようにと、自分たちで考えて書き始めて下さったとのことです。毎回同じ方に来ていただけるわけではないので、非常に有り難い伝達日誌です。

その表紙がコレなのですヨ!文化館の本館も見事に再現されています!そしてあきつ君が元気に体操しながらウインクしています!見ているこちらも元気になるマル秘ノートです。この表紙で泣けるのは僕だけかもしれませんが。。。
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ふと外を見ると、本家「あきあかね」でしょうか、トンボの数が増えたような気がします。いろんな事に励まされている自分、もう少し頑張ってみようと思うのです。

   筆:あきつ

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お申し込みはお済みでしょうか?「打出のコヅチ」第4回

288-3立秋を過ぎて、暦のうえではもう秋です。秋といえば、「スポーツの秋」(リオ五輪も始まりましたね~!)、「芸術の秋」、などいろいろありますが、ここはやっぱり「食欲の??」、いえいえ「収穫の秋」でしょう!

というわけで、8月17日(水)滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」第4回のテーマは「近江の奇祭-中山の芋競べ祭り-」。講師には、矢田直樹氏(滋賀県教育委員会文化財保護課)をお迎えいたします。

毎年9月1日、日野町中山ではちょっと変わったお祭りが行われます。滋賀県には奇祭といわれるお祭りがいくつもありますが、この「芋競べ祭り」もその一つ。その名の通り、芋の長さを競い、作況を占うのだそうです。。。なんだか不思議なお祭りのようですね。気になります。。。「一度見てみたい!」と思われた方は、ぜひ、事前に講座で「芋を掘り下げて」から行きましょう。祭りの面白さが倍増すること、間違いなしです!

講座のお申込みは、滋賀県立琵琶湖文化館(TEL 077-522-8179/FAX 077-522-9634/メールbiwakobunkakan@yacht.ocn.jp)まで、①お名前、②お住まいの市町名、
③連絡先(電話番号)、④参加回、⑤講座のことを何で知ったかを、お知らせ下さい。
第5回のお申込みも同時に受け付けております。

秋とはいえ、お盆明けの17日はまだまだ残暑の厳しいころ。涼し~い会場(大津市打出浜2-1 コラボしが21 3階大会議室 13時30分から)で、みなさまのご来場をお待ちしております。

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新たな寄託品

先日、湖西地域のとある神社に行ってきました。というのは、神社様の方から、宝物である県指定文化財の経典数百巻を文化館に預けたいという要望があり、受け取りのために行ってきました。
20160804写真は神社にむかう途上の写真です。長く険しい山道をいった、山深いところに神社はあります。近頃、こういった場所での宝物(文化財)の管理は大変むずかしくなったといわれています。これは全国的な傾向ですが、地域の高齢化や過疎化が進むなかで、十分な守り手が確保できなくなってきたためです。また大型の緊急車両が迅速に対応しにくいという防災上の課題もあります。このような現状を一因として、残念なことですが、文化財盗難という事件も発生しており、文化財をめぐる環境はますます厳しくなっています。
今回も、地域での管理が難しくなったという防災・防犯上の理由から琵琶湖文化館でお預かりすることとなりました。新たな寄託品の中には、古くは奈良時代の作品と思われるものも含まれており、滋賀県の経典研究を進めるうえで大変貴重な資料です。大切にお預かりしたいと思います。

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ホームページ7月のアクセス数

297-2梅雨が明けて土用に入ると、さすがに暑さも増してきましたね。一昨日、7月30日は土用の丑の日。最近はウナギが絶滅の危機に瀕しているため、ナマズの蒲焼が登場する時代になりましたが、皆さまの食卓にはどんなものが並びましたでしょうか?

さて、7月のホームページアクセス数、こちらジワジワうなぎ上りのよい傾向で、前月より多い1,562件のアクセスをいただきました!ご訪問下さった皆様、どうもありがとうございました!!

増えたものといえば、7月14日に開催いたしました「打出のコヅチ」第3回も、過去最高の参加者数を記録いたしました。当初は「少し硬いかも?」と思われた神仏習合というテーマが、これほどの注目を集めたのはなぜ??やはり、神仏習合の源泉である比叡山がある滋賀では、今でも人々にとって身近で切実な課題だということなのでしょう。改めて、滋賀の文化の奥深さを感じた次第です。

同じ14日、琵琶湖博物館の20周年リニューアルオープンも、世間をにぎわせていましたね。琵琶湖博物館は平成8年(1996年)に、この文化館にいたビワコオオナマズをはじめとした琵琶湖の魚たちが、お引越しして行った先です。水族展示も、バイカルアザラシを仲間に加え、大幅にリニューアルされたとか。本当におめでとうございま~す!!
ところで、琵琶湖博物館と琵琶湖文化館って、名前がよく似ているせいか、以前からよく間違えられます。最近は、「ニュースで見たんですけど・・・文化館さんリニューアルされたとか?」「水族館がリニューアルしたって聞いたんですが?」というお問い合わせもチラホラと。。。ホントにそうだったら良いのですけど。。。

以上、「このごろ文化館で増えたもの」アレコレ、お知らせいたしました(笑)。

298時々、「文化館って何してるの?」というお声もいただきます。休館中で皆さまには少し見えにくいところがあるかも知れませんが、これからもさまざまな機会を通じて、文化館の活動をどんどん発信していきたいと思っています。まずは、8月も、ホームページを、み・て・ね!!

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やってきました夏の使者

先日のブログで、「今年の夏は何かヘンです」と訴えました。草津市烏丸半島のハスの群生地でハスが姿を消した、夏に繁殖する水草(藻)が今年は少ないと・・・昨日出張で、琵琶湖の湖岸道路を走ったのですが、例年美しく咲くハスの姿はやはり見当たりませんでした。
その後、滋賀県と草津市で行った原因究明のための合同調査では、明確な食害の痕跡などは確認できず、更に謎は深まったと担当者は頭を抱えておられるそうです。藻は、瀬田川の河口付近で見られたものの、例年よりはやはり少ない・・・水草が腐ったりしていないのでニオイもなく、有り難いのは有り難いのですがね・・・何かがおかしい。。。

ということで・・・・文化館の周りにも20160729-1来てしましました。いつもより少ないですが届いてしまいました。夏の使者:水草:藻のご到着です。来ちゃったものは仕方アリマセン!環境美化に努めさせていただきます!!
20160729-2
炎天下の中、作業用の小船を使って引き揚げた藻は、何日かかけて石垣の上で乾かしてから袋詰めし、回収・処分に出します。あぁ、文化館の夏がまた始まった・・・。

気付けば文化館のすぐ隣の打出浜でも「夏」が始まっていました。「びわガーデン」20160729-3と銘打たれたビアガーデンが10月16日までなぎさ公園にオープンしました。湖岸の夕陽を眺めながらビールとバーベキューが楽しめるという、なんとも贅沢な空間が・・・水曜から金曜は午後5時半から、土日祝は午前11時半から営業だそうです。仕事を終えて館を出た時、どうりでイイ匂いがするはずです(笑)。皆さん夏を満喫ですね~!

   筆:あきつ

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打出のコヅチ第3回【裏コヅチ】

前回の講座に参加していただいた方で、「あれ?」と思われた方いらっしゃいます?「講座のチラシにも載っていた『山法師強訴図』の説明・・・聞いたっけ?」と・・・その記憶、あなたは正しい・・・そうです!講座資料にも出てません!お話しもしていません!すみません!!
ということで!打出のコヅチ【裏コヅチ】の出番となりました。。。

「近江の神仏習合-琵琶湖文化館の収蔵品を中心に-」をテーマにお話しさせていただきましたが、この内容を語る上でとてもイメージし易いのが、この「山法師強訴図」です。
20160721-1山法師とは武装した比叡山の僧侶のことであり、強訴とは時の朝廷に対して、徒党を組んで無理やり訴えを通すこと。よく見ると頭を丸めたお坊さんが神輿(みこし)を担いで攻め入るところが描かれています。これ、現代の感覚で言うと少し違和感・・・神輿は神社のお祭りで見る・・・それをお寺のお坊さん集団が担ぐ・・・やっぱり違和感。そう、このアタリが神仏習合なのですよ。
今でこそ神社とお寺は異なるもの、神様か仏様かという認識で区別してしまいますが、江戸時代まではその区別は曖昧なものでした。奈良時代の頃から、神社に神宮寺が建てられたり、寺院に神が祀られたりします。平安時代の頃には、更に発展して本地垂迹説(仏は神の姿でこの世に示現する、即ち仏と神は同体)が成立し、神社のご神体に仏像が据えられたり、寺が神社を管理するなどして習合するわけです。
この屏風は、強訴が起こった時代に実際に見て描かれたものではなく、鑑賞用として描かれた近世の作品ですが、強訴に関する文献資料は数多く残るものの、それを具体的に描いた大型の絵画遺品として、とても貴重な作品となっています。

と、このような事も、講座でお話させていただきたかったのですが、多種多様な神道曼荼羅(垂迹曼荼羅)の話でいっぱいになったと、担当の学芸員は申しておりました。。。何卒【裏コヅチ】で、ご納得いただければと思います。。。

ちなみにこの「山法師強訴図」、文化館が開館していた頃には「ご招待券」などの表紙によく使わせていただきました。「やぁやぁ 神勅である 文化館に 行くべし 行くべし」というような意図があったかなかったか(笑)。ともあれ、文化館を代表する逸品でございます。20160721-2

   筆:あきつ

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一時寄託のほとけさま

先日、一時寄託されるほとけさまが、文化館に搬入されました。というのは、東近江にあるお寺さまが、本堂の防災工事をされるということで、その間、重要文化財の仏像を4躯、文化館でお預かりすることになったのです。

20160719-1当日は、2台のトラックと梱包・輸送のための作業員が6名、文化館から学芸員が2人、また、滋賀県からは文化財保護課と新生美術館整備室の職員さんが立ち合われるという、総勢10名での大引っ越しとなりました。

現地では、総代さん方々地元の皆さんが見守る中、午前9時から作業が始まりました。先ずは状態確認、それぞれのほとけさまの特徴や注意事項などを調書に記していきます。そして持物や付属品、光背などを外し、ほとけさまに台座から下りていただいて、梱包しました。一木造のほとけさまは、小柄でもずっしりと重く、作業はとても慎重を要するものであったということです。20160719-2

そして文化館にお迎え・・・一番大きな箱はお不動さまの光背を梱包したもの↑で、相当な大きさであろう事がうかがえました。(学芸員ではない僕が見られるのはココまで・・・)
その後、展示室内に運び込まれたほとけさまは開梱され、一体一体丁寧にお身拭い・・・御躰に付いていた煤や埃を落として、大切に収蔵させていただきました。

休館となってからも、継続してきた文化館の役割。今回のように、一時お預かりする「だけ」と言ってしまえばそれまでなのですが、受け入れる際の作業スペースや保管場所、それにかかる人手など、想像以上に場所と手間と時間が必要であることを、ご存知の方はあまりいらっしゃらないかもしれません。本堂の建て替え・盗難防止・緊急避難・・・様々な理由で文化財を受入れてきた文化館ですが、展示公開はしていなくても、重要な役割を担った存在意義のあるお城なのでございます。

本館2階の正面階段を使って仏像が運び込まれる様子を、歩道から見ていたご夫婦が、「文化館リニューアルしはるの?」とわざわざ事務所まで、笑顔で聞きに来て下さいました。296「そうではないのですが・・・」と答えることも、いつものコトなのではありますが、閉ざされていた扉から新しい風が入るのも、なかなかにワクワクするものでございます。。。

   筆:あきつ

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平成28年度 第3回「打出のコヅチ」が開催されました!

梅雨も終わりに近づいたのか、近頃はお天気が不安定ですね。昨日の大津も、午前中はよく晴れていたのに、午後から急に激しい雨が降った。。。そうです。
というのは、その間は文化財講座「打出のコヅチ」開催中で、ご参加いただいた131名の方と共に、会場でカーテンを閉め切っていたため、まったく気づかなかったのでした。講座が終わって外へ出ると、「あら?降ってたの?」という感じで。。。ご参加下さったみなさま、大雨に遭わずに済んでよかったですね!
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講座の方は第3回目となり、またまた記録更新の大盛況!今回は当館学芸員の渡邊勇祐が、「近江の神仏習合-琵琶湖文化館収蔵品を中心に-」というテーマでお話させていただきました。神仏習合というのは難しいテーマですが、それが具体的な作品に基づいて説明されたのは、日ごろ文化館で実際の作品の整理・調査を担当している学芸員ならではの切り口だったかと思います。

ただ、やっぱり「少し難しかった」という感想も、何人かの方からいただきましたので、ここで簡単に復習をしておきましょう!さて、問題です。

問 次の文章の空欄に適する語句を入れなさい。

日本では奈良時代以降、「神身離脱」や「護法善神」といった( 1 )思想が展開しました。さらに平安時代になると、仏が衆生を救うためこの世に神の姿で現れるという( 2 )説が登場します。平安時代末期になると、( 2 )説に基づいて、仏の垂迹としての神を描く垂迹( 3 )が現れますが、「日吉山王曼荼羅図」(正源寺様ご所蔵)はその一つです。
また、江戸時代には、湖国を代表する祭である日吉山王祭を描いた「日吉祭礼図絵巻」(琵琶湖文化館蔵)などが制作されます。山王祭では、現在も比叡山延暦寺の天台座主が社参し、神前読経が行われます。このような( 1 )の儀礼が今も息づいていることが、( 4 )県の文化の特徴であり、魅力でもあります。

いかがでしたか?
答えは、(1)神仏習合 (2)本地垂迹 (3)曼荼羅 (4)滋賀 でした!!
ご解答いただけましたでしょうか??

さて、次回は、8月17日(水)「近江の奇祭―中山の芋競べ祭り-」。講師には矢田直樹氏(滋賀県教育委員会文化財保護課)をお迎えします。お申込みは滋賀県立琵琶湖文化館まで(Tel・Fax・Eメール)。多くの方のご参加をお待ちしております!

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今年は何かヘンです・・・

20160711-1梅雨の合間に届く日差しが、とーーーっても容赦のない季節になってきました。当たり前に気温30度を超える今日この頃デス。文化館から眺める景色もすっかり「夏色」になってまいりました。

おっとここで、今年は何かヘンです。お気付きの方いらっしゃいます?いつものアレが見当たりません。例年ならもう文化館に届いているハズなのですが・・・

それは毎年、この時期に湖岸を漂い流れ着く水草の「藻」。有り難くない厄介者ではありますが、来ないと来ないで気になるモノでもあります。20160711-3文化館5階の展望閣にある双眼鏡で見てみても、やっぱり見当たりません。(この双眼鏡、懐かしく思われる方もいらっしゃるかも?100円を入れると今でも現役で絶景の琵琶湖ビューが楽しめるのデスヨ。)

先日の新聞で、草津市の烏丸半島に群生するハスに「過去にない異変が起きている」という記事が出ていました。例年なら湖面を埋め尽くすハスの葉が、ほとんど見られないというのです。そろそろ淡いピンク色の花が咲く頃なのに・・・食害、老化、病気などの可能性が取り沙汰されていますが、今のところ確たる原因は不明らしいとのこと。・・・何故?!

ひょっとして「藻」が来ないのも、何か同じ理由があるのでしょうか?可能性の一つとして、昨冬に大量に飛来した渡り鳥、オオバンの食害を疑う声も出ているとか・・・294体が黒くて頭のところが白いあのコですね?確かに文化館周辺でもたくさん見ましたし、季節的にも長いこと滞在されていた感はありますが・・・もしかして食べ尽くしちゃったとか?!
水質が改善されたとか琵琶湖がキレイになった等の理由であれば、万々歳なのですが、何やらソワソワする違和感なんですよね。キレイに越したことはないのですが。。。

おかげで美しい湖面には・・・ビニール袋とかペットボトルとか発砲スチロールとか植木鉢とかッ!!人間サマのゴミが目立って仕方ありまセン!皆さん琵琶湖を美しく!爽やかな琵琶湖の夏を迎えようではありませんか!

   筆:あきつ

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