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★YouTubeにて公開中★「歴史を止めない!未来へつなぐ文化財」
今年3月にBBCびわ湖放送で放送されたTV番組「歴史を止めない!未来へつなぐ文化財」が滋賀県文化財保護課のYouTubeチャンネルで公開されています。

実はこの番組、当館の萬年学芸員も出演しているんです!
「初めてのテレビ出演で内心ドキドキでしたが、なんとか役目を果たしてきました♪」
滋賀県内で有形、無形の文化財を守り、次世代に継承しようと取り組む地域の人々や職人の方々の活動、思いを、穏やかな口調でわかりやすく紹介(!)しておりますので、ぜひご覧になってくださいね♪
今回、番組で紹介されたのは次の二組です。
さづかわ祭り教室〔守山市、近江のケンケト祭り長刀振り〕
ユネスコ無形文化遺産「風流踊」近江のケンケト祭り長刀振りの継承に努める祭り教室です。重い長刀(なぎなた)を持ちながら子供たちが軽やかに飛び跳ねる様子には、とても驚かされますね…!後継者不足という困難を抱えながら、「まずは子どもたちに祭りを楽しんでもらいたい」という思いで活動されています。
臼井浩明さん〔黒田工房(大津市)代表、選定保存技術「表装建具製作」保持者〕
黒田工房の臼井さんは表装建具(襖や屏風などの下地や枠に使う木製の骨組み)の仕立てや修復に携わられています。受け継がれた伝統的な技術を発展させ新たな創作活動にも取り組まれているそうで、なんと世界初の木造小型人工衛星(!)の製作にも関わっているのだとか・・・!
今現在も多くの方々が、文化財の継承に尽力されています。文化財保護に関わる当館としても、文化財を支える方々の活動や思いを発信していければと思います✨
滋賀県文化財保護課のYouTubeチャンネルでは、他にも滋賀県の文化財にまつわる様々な動画を投稿しています!もちろん(?)当館に関する動画も投稿されていますよ・・・💖ぜひぜひチェックしてみてください♪
鎌倉時代の仏像発見! & 文化財保護法成立の歴史に関する資料発見!【琵琶湖文化館研究紀要・発刊】

今年もこんな季節になりました(→)。
皆さま、いかがお過ごしですか?? この時期の文化館と言えば・・・そうです!一年の総まとめ!調査研究の成果をまとめた「研究紀要」の発刊です!
当ブログを定期購読(?!)いただいている皆さまであればお気付きでしょうか?1月からこちら、ブログの更新回数が若干少なくなっていたことを・・・。それもこれも各担当が執筆活動に勤しんでいたため!(モチロンそれだけが理由ではありません(笑)。)その成果は?出来栄えは??・・・おかげさまで今年度 も 仕上がりは上々、充実の内容となっております!

◆玉林寺(守山市洲本町)所蔵 銅造薬師如来坐像について
令和6年に実施された調査の結果、鎌倉時代の希少な金銅仏として確認された、玉林寺の銅造薬師如来坐像。科学的調査の結果とともに、本像について詳細に報告 。

◆衆議院法制局試案・重要文化財保護法案要綱について
ガリ版刷りの「重要文化財保護法案要綱」の発見および翻刻。当館初代学芸員の宇野茂樹氏(1922~2018)による書き込みにも触れ、文化財保護の歴史の一端を振り返る。

◆【研究ノート】休館中の琵琶湖文化館における収蔵環境管理について
築64年の建物、17年休館中の当館における文化財収蔵環境についてまとめる。長期休館に関わる課題を中心に、現状とその対応を紹介。

◆【研究ノート】 琵琶湖文化館の建設費協力箱について
昭和34年(1959)に県立滋賀会館に設置された、当館の建設資金を募る「建設費協力箱」について、昭和期の寄付活動や募金箱とともに紹介。
◆【令和6年度年報】活動報告など
何度もくじけそうになりました。発行が危ぶまれた年もあります。とはいえ、先輩から引き継がれてきた「琵琶湖文化館 研究紀要」発刊の伝統を、博物館として調査研究の成果を皆さまに披露する、この機会を、その意義を、こうして継続して来れたことに感謝したい・・そんな第41号でゴザイマス(ただし苦労も多かった~(笑))。

当館の「研究紀要」は、県内の図書館はもとより国会図書館や市町教育関係機関、博物館などにも送付しております。是非皆さま手に取ってご覧くださいませ 。
5館連携★合同記者発表会!

3月21日に「県立5館ミュージアム合同記者発表会」が開催されました!安土城考古博物館、陶芸の森、県立美術館、琵琶湖博物館、そして当館:琵琶湖文化館の、県立5館の連携を発信するため、このたび初めて開催。5館の館長・副館長が集まり、記者に向け令和7年度の取組を発表しました。
記者発表会では、はじめに5館それぞれが、主に展覧会のテーマについて紹介しました。

当館からは井上優副館長が出席。令和7年6月3日(火)~8月3日(日)に安土城考古博物館にて開催する、地域連携企画展「明智光秀と近江」についての発表です!また、新しい琵琶湖文化館についても、県民と一緒に盛り上げていきたい「県民フォーラムⅤ」をはじめとする様々なイベントも、決まり次第発表していくと説明いたしました。
発表会の後半は、県立美術館の保坂館長(ディレクター)がモデレーターとなり、フリートークを開催。実はドレスコードがあるとのこと(気づかなかった!)。琵琶湖をイメージして、みなさん青いものを身にまとっているそうです♪
フリートークでは、保坂館長が話を振っていきながら、5館の多彩な連携や展覧会の内容について、詳細なお話がありました。当館の井上副館長へは、来年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟」との関連について保坂館長から話が振られ、井上副館長は「琵琶湖文化館でも何らか関連付けて発信したい」と発言が!あきつブログでも「豊臣兄弟」を扱うことになると思いますので、どうぞお楽しみに♡
さらに記者からは、
「なぜ今、県立5館の合同記者発表に至ったか?」
との質問が!
回答その1「バブルの時代ではバチバチのライバル関係(衝撃ですね💥)になることもあったが、連携が重視されてきた昨今の情勢もある」
回答その2「分野の異なる博物館が連携した展覧会やイベントを開催することで、いろいろな視点から、滋賀県のこと・琵琶湖のこと・文化財や歴史のことが分かってくる」

県立5館が連携していくことで、より多視点で魅力的な滋賀を発見できる…!素敵ですね✨
そして5館のつながりを見せられる何かを作ろう!?5館の年間スケジュール表を○○で作ろう!??など、館長たちのその場限りの自由な発言に、笑いに包まれる場面もありました(笑)。
とてもなごやかな記者発表会となりました。保坂館長もおっしゃっていましたが、県内外・国内外の人に、ぜひ県立5館を周遊していただきたい、万博等で大阪や京都が混雑しているときに、滋賀に来てホッとしていただきたいと思います。また、歴史だけではなく、美術や自然など、様々な入口となる館があるので、1館行ったときに「もう1館行こうかな」というきっかけづくりになればという発言もありました。

当館は休館中ではありますが、令和7年度も地域連携企画展に取り組むほか、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」や、新しい琵琶湖文化館に関するイベントも様々に予定しております。詳細は随時発表いたしますので、ぜひご参加お願いいたします♪
県民フォーラムの結果を公開!

あきつブログをご覧のみなさま、2月11日開催の県民フォーラムでは、ご参加どうもありがとうございました!
残念ながらお越しいただけなかった方もいらっしゃるかもしれませんね😢そんな方にも県民フォーラムの内容をお届けしたいと思います!
このほど、県民フォーラムではどんな議論があったか?という結果をまとめたものを、滋賀県のHPにて公開しました。ページの上の方にあるリンクから、PDFをご覧くださいませ♪
PDFでは、各登壇者の発表をまとめております。そしてゲストスピーカーの大津市歴史博物館・木津副館長からの質問に応じた議論や、会場からの質問への回答も掲載しております。紙面の都合から割愛させていただいた点は多くありますが、ブログとあわせてご覧いただくと、当日の雰囲気が伝わるのではないかと思います。

あと、サラッと書いていますが、【会場特設コーナー】の欄も注目です!当日、新文化館への寄付の受付もしたのですが、な・な・なんと、
寄付者数:34名
寄付金総額:53,021円!!!
という、たくさんのご寄付をいただきました。みなさま、本当に、ほんっと~~にありがとうございます!!!みなさまからいただいた寄付金は、大切に使わせていただきます。
また、来年度以降もこうした寄付受付の事業を進めていく予定ですので、引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
さてPDFに戻りますと、後半はご参加いただいたみなさまが答えてくださったアンケートのまとめです。アンケートを拝読していると、応援メッセージが多く、感激!!!今後も県民フォーラムを開催してほしいという声もたくさんいただきました。
みなさま本当にありがとうございます。あたたかいお言葉を励みに、来年度もはりきっていきますので、どうかよろしくお願いいたします✨
文化館の収蔵品・目に留まる!?

突然ですが、当館のお仕事の一つに、出版社やテレビ局からの依頼を受けて、画像データを提供するお仕事があります。さまざまな媒体を通して、当館の収蔵品が皆さまのお目に留まる・・・機会も意外と多いのですよ!?気付いておられますかね~♪今日はそんなお話です。
まず、画像提供で今年度一番依頼が多かったのは・・・コチラ「山法師強訴図」です。

受験を頑張ってこられた皆さんは、見覚えアリ??山法師(武装した僧侶・僧兵)たちが、神様の威光をかざして神輿をかつぎ、朝廷や幕府に無理やり訴えを通そうとする「強訴(ごうそ)」の場面が描かれています。
平安時代後期、強大な権力を持つ白河法皇が、朕(自分)の意のままにならぬものとして「賀茂川の水、双六の賽、山法師」の三不如意を挙げたという有名なエピソードがありますが、実際の画題として描かれることは珍しく、本図は貴重な絵画資料として、教科書や大学入学試験の問題集などによく掲載されます。

勉強がはかどらなくて、ついイラっとしてしまったら、このオジサマ・・・否・・・僧兵たちのお顔に注目してみましょう。その表情はちょっぴりユーモラス(?!)・・・きっと肩の力が抜けて、勉強がはかどりますヨ(笑)。この僧兵を見かけたら“要チェック”です!
そしてもう一つご紹介したいのがコチラ、円山応挙が描いた「狗子(くし)図」。見てください!このモフモフ♡この愛くるしさ、見過ごすことなんて出来まセン!

ということで、近年大注目の文化館のワンコ、「日本のことばずかん いきもの」(講談社発行)や、日本美術・日本文化を紹介する雑誌「和樂 4・5月号」(小学館)などにも、掲載いただいております。

日々慌ただしく過ごす皆さまに、ほっと一息、気持ち和ますお時間を・・・ただただ、この可愛さを愛でていただきたい、文化館のワンコデス(笑)。
当館の中池に来た水鳥たち
冬になると琵琶湖には多くの渡り鳥が飛来します。当館周辺にもたくさんの鳥たちが群れをなしてやってきますが、中池で過ごす鳥も見られます。さてさて、どんな種類の鳥が来たのか、中池で見られる確率「中池レア度」の順に、ご紹介します~~🦆🐦🐤

オオバン 中池レア度★☆☆☆☆
全体は黒く、白のおでこと嘴が特徴のオオバン。冬の時期は当館周辺に群れをなし、ほぼ毎日、中池に1~2羽見られる。たまに琵琶湖から陸に上がり、当館の周りを歩くこともある。

ホシハジロ 中池レア度★★☆☆☆
和名「星羽白」の「星」は、背の羽に細かい模様があることに由来するというが、分かりづらい(写真でも分からないデス)。琵琶湖に浮かびながらお昼寝している姿をよく見かける。

マガモ 中池レア度★★☆☆☆
カモの代表「真鴨」は、きれいな緑色をしたオスの頭が有名(写真はメス)。中池に居つくことがあり、冬に飛来する渡り鳥であるものの、2024年春夏シーズンには中池周辺で子育てしていた。

ヒドリガモ 中池レア度★★★☆☆
オスの頭が赤っぽいことから「緋鳥鴨」という。当館周辺にはたくさんいるけれど、中池にはあまり来てくれない。なぎさ公園の芝生の上で、群れでごはん食べている姿がカワイイ。

カンムリカイツブリ 中池レア度★★★☆☆
全体は灰色と白、頭には冠羽、ちょっと小さめ。日本で増加傾向らしいが、当館周辺でも年々増えている気がする。中池に来たのは2024~2025年冬シーズンが初(だと思う)。

カワウ 中池レア度★★★☆☆
渡り鳥ではないため一年中観察できる。当館周辺の水鳥では最も大きいので、見かけるとちょっとびっくりする。本館(お城)の裾で佇む姿をよく見るが、たま~に中池の歌碑にも留まっている。

カルガモ 中池レア度★★★★☆
カルガモは雌雄同色なので見分けるのが難しいが、写真はおそらく左がオス、右がメス。2023年春ごろに中池に来ていたこのカップルは、歌碑台座や桟橋などに仲良く留まっていた。

キンクロハジロ 中池レア度★★★★☆
金色の目、黒い体、白い翼を持つことから、「金黒羽白」というらしい。2024~2025年冬シーズンには中池では見かけなかったが、浜大津方面の琵琶湖ではたくさん泳いでいる。

ハシビロガモ 中池レア度★★★★★
大きな嘴がその名となっている「嘴広鴨」。嘴だけ潜らせてプランクトンを食べるので、あまり潜水しない。2024年12月に2日間ほど中池で確認できたが、それ以降は見られない。

ミコアイサ 中池レア度★★★★★
白い羽根が巫女の白装束に似ていることから名づけられた。目の周りが黒いので、パンダガモとも俗称される。当館周辺ではあまり見かけないが、2025年2月に初めて中池で確認。

冬に中池に来る水鳥は、多くは1羽、多くても数羽です。群れから離れた変わり者!?かもしれませんが、鳥ちゃんたちが中池を気に入ってくれているようで嬉しいです♪
比べてみよう☆琵琶湖文化館着工式の今昔
晴天の2月20日、新しい琵琶湖文化館の建築工事着工記念式典が執り行われました。関係者50名ほどが参列し、晴れやかな場となりました!
そういえばこの光景、どこかで見たことがあるような・・・?そうです!現在の琵琶湖文化館の建設工事課程の『写真アーカイブ』と『動画』です。65年前の昭和35年4月18日に、当時は「滋賀県観光文化館」という名前で予定されていた当館の起工式が行われました。
さてさて、65年前の起工式の様子を、昨日の写真と比べてみませんか?
●会場
今 回:紅白幕つきのテントが設置され、その中に祭壇や関係者席を設置。
地鎮祭に使われることが多いという青白幕もありました。
65年前:埋め立て地(この前年に埋め立て。現在の文化館掲示板あたりか)に祭壇を築き
ました。

●看板
今 回:大きな看板が設置されました。
65年前:今回よりさらに大きな看板です。紅白で飾られていたのでしょうか。

●四隅祓
今 回:建物が建つところが紐で縄張りされています。その四隅をお祓いし、清めます。
65年前:湖上に縄張りが!神主は船に乗り、お祓いしました。

●地鎮行事
今 回:「エイエイエイ」と発声する刈初の儀をはじめ、砂山を用いた地鎮行事。
65年前:湖上での杭打ち!木槌で杭を打ち、玉串を奉納しました。

●式典の後は・・・
今 回:メディア(新聞8社、テレビ2社)による囲み取材。
琵琶湖C&Sと滋賀県が、事業にかける意気込み等をお話ししました。
65年前:お供えしたお神酒や食べ物を下げて、同じものをいただく直会(なおらい)。

うーん、時代と場所が違うので(特に場所:地上と湖上!)、いろいろ違って面白いですね♪65年前にはこの起工式のほかにも、「基礎奉鎮祭」「立柱祭」「定礎祭」「上棟祭」「蜻蛉上翔祭」「資材感謝祭」、そして「竣功報謝祭」といった祭礼が逐次行われたそうです。
新しい琵琶湖文化館では65年前のような多くの式典はないんじゃないか?と思いますが、今回の着工記念式典を経て、3月からいよいよ着工です!琵琶湖文化館Xでは定点観測をしておりますので、工事の進捗もチェックいただけます♪
みなさまに御礼♡県民フォーラム開催しました!

2月11日、「新しい琵琶湖文化館に関する県民フォーラム」を開催しました!朝は小雪のちらつく寒さでしたが、会場:コラボしが21は熱気あふれ、みなさまに高いご関心をいただいていると感じました。本当にありがとうございます♪
登壇者は、新しい琵琶湖文化館のPFI事業を担う琵琶湖C&Sと滋賀県の各担当者。そもそもPFIとは?や、建築設計の概要をはじめとする5つのパートに分け、新しい琵琶湖文化館がどんな館になるのか、具体的な説明がありました。当館からは和澄主任学芸員が登壇し、新しい館の展示室や展覧会の概要などを中心にお話しいたしました。

フォーラム後半は大津市歴史博物館の木津勝副館長をお招きしたトークセッションです。木津さんからは、大津市歴史博物館と当館は、連携相手かつ扱う分野が重なるライバル関係(!)という前置きから始まり、各パートに関して質問がありました。木津さんからの質問に、「うんうん」と頷くご参加のみなさんの姿も印象的でしたが、いかがでしたでしょうか ?

木津さんからは、終始なごやかな雰囲気でご質問いただき、登壇者たちと語り合っていただきました。新しい琵琶湖文化館の開館がとても楽しみだと大きな期待をいただき、あわせて登壇者をはじめこの事業に携わる人々が、所属の垣根を飛び越えて、チームとして楽しみながら取り組んでいることが頼もしい、とコメントいただきました。
みなさまにもそんな雰囲気が伝わっていたら嬉しいです!会場からの質問タイムもあり(時間の都合でご質問いただけなかった方は申し訳ありません・・・)、ご参加いただいたみなさまには御礼申し上げます!

さて会場では、フォーラムの前後でお楽しみいただける特設コーナーを設置しましたが、いかがでしたか?フォトスポットではふきだしパネルと滋賀県フレームをお持ちいただき、新文化館パネルや仏像バナーと一緒に写真撮影ができました。寄付受付コーナーでは、現在の琵琶湖文化館建設時の募金箱にお金を入れていただけ、さらに1000円以上のご寄付をいただいた方はガチャガチャも!ガチャガチャを回して当たる絵はがきは、種類多めに持って行ってしまったかなと思いましたが、選ぶのも楽しんでいただけたように思います。

また、今回アンケート等で、「開館後のボランティアの予定は?」という、とても嬉しいご質問を多くいただいております。まだ詳細は決まっておりませんが、開館後はボランティア組織を作り、活動いただく予定をしております。決まりましたら、みなさまにご案内しますので、ぜひご参加ください!
登壇者の発言にもありましたが「新文化館を使いたおしてほしい!」「ボランティア活動をとおして使いたおしてもらえる館にしたい!!」そんな思いで、事業を進めております♪
湖南市で目撃!井上敬之助像
あれは去年のことじゃったぁ・・・(日本昔ばなし風:わかる人にはわかる?!)
皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか?当館からほど近く、道を渡った川沿いに在った銅像のことを・・・。
当ブログでも既に報告済みではございますが、60年以上、かの地で琵琶湖に向かってたたずんでいた井上敬之助[旧石部村(現・湖南市)出身の政治家]の銅像は、井上の出身地である湖南市からの要望により、昨年9月にお引っ越し(移設)されております。


いつも見ていた視界の端から、銅像がなくなったことを不思議に思い、当館HPに[ご意見・ご感想] を寄せてくださった方もいらっしゃいます。
文化館で働く私たちにとっても、馴染みのある風景の変化に一抹の寂しさを覚えつつ・・・と、このままで終わらないのが “あきつブログ” です(笑)。しっかり“追跡”しております~♪
先日、湖南市にお邪魔した時に目撃した写真が・・・こちらッッ!!!

これはこれは井上さま!お元気そうで何よりです!変わらぬ凛々しいお姿に思わず感涙!
発見場所は、湖南市役所東庁舎に隣接する森北公園。木々に囲まれた素敵な公園です。 井上先生・・・ 政治家として厳しい一面もあったかと思いますが、故郷に戻られて、心なしか表情が和やかに晴れやかになられた気がいたしますヨ!(・・・気のせい?いやいや近くで見ていたから)わかる者にはわかるのですよぉ~エッヘン!

日々の移ろいに寂しさを感じるばかりではなく、変われるところは変わって、時代とともに変化していきたいものです!

これからもまだまだ伸びしろ満載の琵琶湖文化館。新しい琵琶湖文化館の建設地には、工事のためのプレハブが建ち始めました。本格的な着工は3月から始まります!
新しい琵琶湖文化館どうなった?➡「県民フォーラムⅣ」開催します!
令和7年、新しい年が始まり早1ヶ月。新しい琵琶湖文化館が大津市浜大津に建設されるということを、そろそろ皆さんにも知っていただけた(?)頃合いかと・・・思っております。でも「具体的にどのような?」というところまでは、皆さんまだご存じないのでは?・・・・・(ドキッ!そりゃそうだわ、まだ言っていない!!)

・・・ ということで!「新しい琵琶湖文化館に関する県民フォーラムⅣ」を開催します♪【チラシはこちら】
新しい琵琶湖文化館に関する県民フォーラムⅣ
~近江の文化財でひろげる滋賀の魅力~
[日時]令和7年2月11日(火・祝)14:00~15:45
※開場13:15、閉場16:30
[場所]【会場】コラボしが21、3階大会議室(200名)
【配信】zoomウェビナー (400名)
[ゲストスピーカー]
木津 勝 氏 : 大津市歴史博物館副館長(学芸員)
[登壇者]
平島 亘:事業統括(株式会社丹青社)
津田 真 : 展示企画・設計チームリーダー(株式会社丹青社)
砂川 亜里沙 : 開館準備・文化観光チームリーダー(株式会社丹青社)
戸川 勝之 : 建築設計チームリーダー(株式会社安井建築設計事務所)
雲出 泰弘 : 滋賀県文化財保護課参事
和澄 浩介 : 滋賀県立琵琶湖文化館主任学芸員
[司会]田澤 梓:滋賀県立琵琶湖文化館主任学芸員
令和9年12月の開館を目指し、まもなく着工を迎える新しい文化館。その建設から開館後の管理運営まで行う特別目的会社(SPC)「株式会社琵琶湖C&S」と滋賀県が、建築や新しい機能など、より具体的になった姿についてご紹介します。
このフォーラムでゲストスピーカーにお招きするのは、大津市歴史博物館の木津勝副館長。滋賀の魅力や文化館の将来について、語り合われるのも楽しみです♪
会場には特設コーナーもご用意して、皆さまをお迎えします。参加をご希望の方は、下記【しがネット受付サービス/外部にリンク】よりお申し込みください。
【会場コラボしが21 で参加】 or 【オンライン配信 で参加】
詳しくは、
滋賀県文化スポーツ部 文化財保護課 文化財活用推進・新文化館開設準備室
電話番号:077-528-4681
FAX番号:077-528-4833
メールアドレス:bunkatsu@pref.shiga.lg.jp
まで、お問合せください。
開催中「速報!!再発見 明智光秀の寄進状!」お見逃しなく

現在、滋賀県立安土城考古博物館で開催中の「速報!!再発見 明智光秀の寄進状!」はもうご覧いただいてますでしょうか。
この明智光秀の寄進状、大津市にある聖衆来迎寺から再発見されたものです。このたび、滋賀県立琵琶湖文化館へ新しく寄託(作品や史料をお預かりして保管すること)となりました。
詳しくは、当館のホームページや、あきつブログでも既にご紹介済みですが、光秀と地域の寺院との関係を伺い知れる貴重な文書を、是非この機会にご覧いただきたいと思い、安土城考古博物館にて速報展を開催いただいています。

ということで遅ればせながら、あきつくんが安土城考古博物館へ行って参りました!

展示場所は望楼下の展示コーナー、常設展と共にご覧いただけます。
満を持して見に来たけれど、文書のどこを見ればいいか分かるかな…なんて書いてあるか分かるかな…と実はドキドキしていましたが…

展示を見てほっとしました。古文書初心者のあきつくんにも嬉しい、分かりやすい解説が!!
どんな文字が書いてあるかを解読したものに加え、現代語訳も付けてくださっています。そして、まめのぶくんからの解説まで!安土城考古博物館の学芸員さんに感謝です…!
解説の文字と見比べながら、また紙がどんな質感や大きさなのか、昔の人がどんな筆致で文字を書いていたのかなどを見られるのは、実物ならでは🌟ですよね。

特別公開は、2月4日(火)までとなっています。〈※2月3日(月)は休館〉
ちなみに、安土城考古博物館では、令和7年3月18日からのリニューアルオープンに向けた準備を着々と進めておられるところでしたよ。こちらもHPやSNSの情報を要チェック!です!
安土城の近江富士

新年明けましておめでとうございます🌟本年もどうぞよろしくお願いいたします。
ところで、みなさまはどんな初夢をご覧になりましたか?「一富士二鷹三茄子」と言いますが、これは初夢に見るものの中で縁起が良いものを順に挙げた言い方で、富士山を夢にみるのが最も縁起が良いということになるようです。
さて、我らがご当地:滋賀で「富士」と言えば三上山!三上山は野洲市に位置しており、滋賀県南部ではどこからでも見えるといっても過言でないランドマーク的存在です。紫式部が「打ち出でて 三上の山を 詠れば 雪こそなけれ 富士のあけぼの」(打出の浜から三上山を眺めれば、雪こそないが富士山の朝のよう)と詠んだと伝わるように、美しく山裾が広がる佇まいから「近江富士」とも呼ばれています。


そんな三上山、あの織田信長の居城・安土城の障壁画にも描かれていたそうですよ~。天正四年(1576)の築城開始からたった6年で焼失してしまった安土城ですが、天守内部は日本美術史を代表する天才絵師・狩野永徳らが制作した障壁画で彩られていたことがわかっています。
さて、いくつかの文献には狩野永徳が安土城「書院」の「一の間」に三上山図を描いたことが記されています。永徳が描いた三上山図の内容を要約すると以下の通り…

- 昼に絵が描かれた戸障子を開けば実際の三上山を眺めることができ、夜に戸障子を閉じれば絵に描いた三上山を見ることができる。
- 絵は三上山から「尾崎」(唐崎か?)にかけての風景を描いていて、昼に戸障子を半分開けば実際の風景と絵の中の風景がつながって見える。
・・・なんと!安土城から見える三上山を絵に描くことで、一日中三上山の風景を楽しめるようにしてしまったと?!!
現代でも高く評価される狩野永徳。絵の上手さだけでなく発想も天才的だったのかもしれませんね♪この絵に感心した信長は、当時は「源四郎」と名乗っていた永徳に「法印(仏教で高位の僧に与えられる位で優れた画家に与えられる)」の位を授け、「永徳」の号を与えたとも言われます。

現在も近江富士として親しまれている三上山。信長が眺め永徳が描いたことに想いを馳せると、当館から見える何気ないいつもの風景も特別に感じられます。これはきっと良い年明け♡♡
明智光秀寄進状 再発見!当館副館長が記者会見に臨みました!

皆さま、もうご覧になっていただけましたよね?【速報】〜所在不明古文書の再発見〜を!!
大津市・聖衆来迎寺にて再発見された、明智光秀の寄進状。
当館が調査したところ、天正5年(1577)に坂本城主であった明智光秀が聖衆来迎寺に発給した古文書の貴重な原本であることが判明しました。昨日12月19日に滋賀県から発表されたこのニュースは、新聞やテレビを賑わせました!

さて、この発表をしたときの記者会見の模様をご紹介したいと思います✨なんと14社もの新聞社やテレビ局が集まった会見では、寄進状の実物を前にして、井上副館長から30分ほどの概要説明。さらに10名近くの記者から質問があり、このニュースへの注目度の高さが感じられるものでした。
「昨年度の西郷隆盛書簡の再発見など、古文書の再発見が続くことを踏まえて、井上副館長はどんな思いか」という記者からの質問には、「古文書など文化財への興味を高めていただければ嬉しい。そして何か古そうなものがお家などから出てきたら、県や市町、博物館にご相談いただきたい」。文化財の保護を願う井上副館長のコメントが素敵でしたよ!

その後は寄進状に近づいてのカメラ撮影(井上副館長も映りました!)。撮影中も、様々な質問が飛び交い、深くご取材いただけたのではないでしょうか?
寄進状は当館に寄託され、そして年明けには安土城考古博物館にて展示される予定です✨
「速報!! 再発見 明智光秀の寄進状!」
【会場】滋賀県立安土城考古博物館
(近江八幡市安土町下豊浦6678)
【会期】令和7年1月7日(火)~2月4日(火)
*休館日:月曜日
(月曜日が祝日・休日の場合は翌日)
【入館料】大人500円(400円)
大学生320円(260円)
*()内は20人以上の団体
安土城考古博物館は、1月から高校生の入館料が無料になります!ぜひお気軽にお越しくださいね~!
≪NHK大河ドラマ「光る君へ」と近江の文化財≫記事まとめ

いや~、終わってしまいましたね、NHK大河ドラマ「光る君へ」。12月15日放送の最終回は、まひろの自由への旅立ちにくわえて武士の台頭を思わせるシーンで締めくくるという、壮大な時の流れを感じさせるものでした。
さて、「光る君へ」に近江の文化財関係が出てきた回は、毎回このあきつブログで記事にしてご紹介してきました。その数、な・なんと17回!!!これをまとめれば、紫式部や平安文学と近江の文化財の関係を概観できるかもしれません!?それではいってみましょう~!
20240220 打毬に胸キュン 20240226 琵琶湖の国で 20240408 来週の大河に 20240416 藤原道綱母も 20240513 紀行に当館も 20240520 舟、実は当館も 20240530 清少納言も 20240603 越前下向の旅路 20240624 越前から上京編 20240806 和泉式部も打出 20240902 源氏物語「桐壺」 20240909 当館源氏物語 20240930 紀行に登場! 20241016 大津祭・源氏山 20241111 横川の僧都 20241125 紀行に三井寺が 20241209 光る君へで打出

おすすめ記事はたくさんありますが、中でも藤原道綱母も文化館の近くに来ていた!でしょうか。当館の掲示板をご覧いただいた方が、詳しい『蜻蛉日記』の内容についてお尋ねくださったこともありました。

似たところでは、和泉式部も打出浜に来ていた!もオススメ。京と石山を二往復する童に思いを馳せてしまいます。

当館収蔵品をご紹介した記事では、当館源氏物語画帖で楽しむ「帚木」と「空蝉」が変体仮名のお勉強もできるのでオススメです。ドラマを思い出しつつ、あきつブログもお楽しみいただければ幸いです♪

来年のNHK大河ドラマは、蔦谷重三郎が主人公の「べらぼう」。江戸が舞台ということで、滋賀の文化財が登場することは少ない気がします ・・・が、これからも時機を逃さず滋賀の文化財の魅力をご紹介していきたいと思います!
文化館周辺の水鳥と館蔵品のご紹介

12月のある日の朝、文化館の中池に、あまり見かけない水鳥が一羽・・・。
冬に中池に来る水鳥といえば、めっちゃいっぱいいるオオバン、こちらもいっぱいヒドリガモ、数は少ないけれども割といるマガモ、くらいでしょうか?

文化館の周りでは、もう少し多くの種類の水鳥が冬を越しますが、あまり見かけないお顔です。特徴的なのは長くて平べったい嘴。中池の水草が浮いているあたりで、しきりにくちばしを水に潜らせながら、ごはんを食べているようです。どんどん食べて~!

調べてみるとこの水鳥、ハシビロガモというカモ科の鳥のようです。ハシビロガモのオスは、緑光沢の頭(写真では分かりづらいです)、胸は白く、脇から腹は赤茶色。「嘴広鴨」という名前のとおり、他のカモ類より幅広のくちばしを持っており、プランクトンを漉し取って食べるそうです。どんどん、どんどん食べて、琵琶湖の美化に貢献を~!!!♪
さて、文化館の館蔵品から、水鳥をかたどった品をご紹介します。安土城考古博物館で開催した地域連携企画展「琵琶湖文化館の『博物誌』 浮城万華鏡の世界へ、ようこそ!」(令和3年2月~3月)でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それがコチラ↓、うばが餅焼の香合です!

ころっとしていて、かわいらしい水鳥を表していますよね!うばが餅焼きは、東海道と矢橋道の分岐点・矢倉村(草津市)にあった茶屋「うばがもちや」で、名物のうばがもちを載せて給仕するために焼かれたお皿がはじまりとして知られています。この水鳥、きっと琵琶湖の水鳥?くちばしが長いので、もしかしてハシビロガモ・カモ?うーん、ちょっとちがうカモ??
朝に一心不乱にごはんを食べていたハシビロガモは、おなか一杯になったのか、昼過ぎにはぐっすり寝ていました。起きたらまた、どんどん食べてってな!
「光る君へ」で打出のコヅチ≪仏像の基本≫を思い出す

NHK大河ドラマ「光る君へ」。いよいよ最終回も目前ですね!12月8日放送回「哀しくとも」では、黒木華さん演じる源倫子が、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)へ、穏やかなのにキョーレツなひと言を放ちドラマ終了…となる、視聴者を「ここにきてついに!?」と困惑&ワクワクさせたシーン、すごかったですね。。最終回までどうなるのか目が離せません!

ドラマの視聴後、最終回の次回予告と「光る君へ紀行」を見ていると、「あれ…?これたしか、今年度の打出のコヅチで聞いたかも…?」。
次回予告では藤原道長らしき人が、丈六坐像らしき仏像の前で横たわるシーン。また、「光る君へ紀行」では、道長が土御門殿(つちみかどどの)の隣に建立したという法成寺(ほうじょうじ)の解説です。

もう半年前になる6月に開催した、今年度第2回目の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」、和澄主任学芸員が講師となった「目からウロコの仏像の基本」(6/21付けブログ)。ここに道長による仏像造立の話がちょろっと出ていたのを、皆さん覚えていらっしゃいますか?
・・・講座を振り返ってみますと、上記リンク先のブログにもあるとおり、この講座で講師が最も伝えたかったことは・・・

「仏像を造るとはどういうことか」、そもそも形のない「仏」は、
①「いつか」(時代)
②「誰かが」(願主)
③「何かのために」(願意)
④「誰かに」(仏師)
造らせなければ、「仏像」としてこの世にあらわれることがありません。

ということからすると、この次回予告に登場した丈六仏は・・・、
① 平安時代中期に
② 藤原道長が
③ 極楽往生のため
④ 仏師・康尚(こうじょう)に
造らせた、という、≪仏像の基本≫が分かりやすくなっている事例なんですね✨

当館の人気講座「花湖さんの打出のコヅチ」は勉強になりますね~(自画自賛💛)!打出のコヅチは、来年度🌟も引き続き開催する予定(🌟🌟)ですので、どうぞお楽しみに!
「滋賀限定!」感謝!御礼!

9月21日から東近江市の観峰館にて開催しておりました地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで―」、11月24日に終了いたしました。会期中、多くの方々にご覧いただけましたこと、心から御礼申し上げます 。
昨日は会場の撤収作業をおこない、本日無事、出陳作品が当館に戻ってまいりました。「終わりましたね・・・」「終わっちゃいましたね・・・」。たくさんの作品が並べられていた展示室。名残惜しくも作品を全て取り出すと、心なしか室内の温度が少し下がったような気がいたしました。やっぱりちょっぴり寂しいのデス・・・。


今回、会場となった特別展示室は、2015年にオープンしたとても新しい展示室です。国宝や重要文化財を展示することが出来る文化庁認定の「公開承認施設」として整えられた設備は、これから新しい琵琶湖文化館を開設しようとする私たちにとっても、非常に参考になるもので、いろいろと教えていただく事も多く、実りある展覧会となりました。
何より、開催にあたり格別のご支援・ご協力をいただきました観峰館の皆さまには、心から感謝申し上げます。本当に有り難うございました。

これからも様々なかたちで連携し、滋賀の文化・芸術を盛り上げるべく、共に頑張っていければと思います。とても良いご縁をいただきました。有り難うございました!(楽しかったです🌟)。
「光る君へ紀行」に三井寺が登場!


NHK大河ドラマ「光る君へ」放送終了後の「光る君へ紀行」。11月24日放送回では、三井寺が登場しました~!
「光る君へ紀行」では、まず三井寺金堂とそのすぐそばに建つ閼伽井屋とともに、「三井寺」の由来について紹介。(ちなみに金堂はVR拝観ができることをご存知でしたか?三井寺文化遺産ミュージアムでは、おうちに居ながらにして三井寺を拝観できます☆)

唐院灌頂堂
そして、紫式部の家系は三井寺と縁が深かったことについても紹介。紫式部の父・藤原為時は晩年に三井寺で出家し、また親戚の中には阿闍梨(あじゃり:高い資格を持つ僧侶)となった人もいました。三井寺の宗祖・智証大師円珍から続く、伝法灌頂の職位を受けた阿闍梨の系図「寺門伝法灌頂血脈譜」の中に、その親戚の名があることも番組内で紹介されましたね!
当時の三井寺は女人禁制だったというので、紫式部が訪れたことはなかったかもしれませんが、中宮彰子に仕えていた時の日々(1008年秋~1010年正月)を回想的に振り返った『紫式部日記』には、三井寺の僧侶が宮中で行う仏事の様子なども書かれています。僧侶であった親戚と言葉を交わすこともあったかもしれませんね。
「光る君へ紀行」の最後は、三井寺観音堂付近から琵琶湖をのぞむ映像です。文化館は見えるかな?どうかな?と思いましたが、ザンネン・見えないのでした。。。(文化館が見える場所については 文化館写真集 「実は見えていたッ!」シリーズもチェックしてください♪)
さてさて、ドラマの方を思い出してみますと、第45回「はばたき」は、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が『源氏物語』を書き終え、また柄本佑さん演じる藤原道長に別れを告げると、未練たらたらの道長・・・、そして出家を決意した道長の渾身の剃髪シーン・・・、さらに旅に出たまひろは海岸を飛び駆け回り、大宰府では運命の再会・・・。と、かなり盛りだくさんの内容でした!

残すところあと3回。さすがにもう滋賀県の文化財関係は出てこないんじゃないかな?と思いますが、ラストに向けてさらに盛り上がっていくドラマの展開が楽しみです!
滋賀限定!さまざまな秋を
暑くなったり寒くなったり、皆さま、この秋、いかがお過ごしですか?

文化の秋、芸術の秋・・・といえば!やはり地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで-」ですよね~(エッ?無理やりっぽい??)。
現在、東近江市の観峰館で開催中の本展では、琵琶湖文化館の収蔵品を中心に、重要文化財を含む地域ゆかりの書画や奈良・平安時代の古写経、さらには西郷隆盛や伊藤博文、渋沢栄一などの歴史に名を残した著名人たちの直筆の書、さらに・さらには書道界においてこの方たちを抜きにしては語れない〝明治三筆"の書など、見応えのある作品が展示されています。
(明治三筆・・・気になる方はご自分で調べてみてくださいね。「知るを楽しむ」の精神デス(笑)。)
歴史資料としての見どころあり、美術・芸術作品としての見どころあり、たくさんの「書」が皆さまをお待ちいたしております。

来場の方より「展示室のドアを開けて、一番最初に見えたあの書、度肝抜かれたわぁ、いいねぇ」と言っていただいた作品があります。・・・さすがお目が高い☆。
その書をしたためたのは、副島種臣(そえじまたねおみ)。副島は、幕末期の政治家として近代史に名を残した一方で、書家としても高く評価されています。
23日(土)開催の土曜講座では、副島種臣について、観峰館の寺前学芸員から詳しい解説を聞くことができます。・・・副島の重厚な筆遣い・・・私たちは何故に彼の書にこんなにも惹きつけられるのか?・・・その魅力をたっぷり・どっぷり、寺前学芸員の軽やかなトークで、お楽しみください 。皆さまのご参加心よりお待ちいたしております。
11月23日(土)13:30~ 14:30
土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②―副島種臣―」
参加申込み:観峰館 TEL:0748-48-4141

皆さまにもう一つお知らせしておきましょう~。
昨年度の地域連携企画展では、米原市の古刹・成菩提院さまの寺宝展に協力させていただきました。今年も寺宝展は開催されており、この土日も一般公開があるそうです。(※23日(土)は午後のみ)。24日(日)には、「関ケ原合戦と成菩提院制札」と題した講演会も予定されています[詳しくは外部サイト]。北の近江も紅葉が見頃でしょうか?ぜひお出掛けください♪
皆さま大変ですね~文化の秋、芸術の秋、行きたいところがいっぱいデス♪

ち・な・み・に
こちらは大津。湖上にたたずむ当館の周りには、今年もたくさんの水鳥たちがお越しです。このコ達の秋は、間違いなく食欲の?・・・満喫中ですね(笑)。
方々、さまざまな秋をお楽しみください🌟
滋賀の文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第7回 近江の書画を語る!

晴天に恵まれた11月13日(水)、東近江市の観峰館にて、今年度最終回の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」を開催しました✨
今回は解説付き鑑賞会です!!観峰館にて開催中の地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画―古写経から近代の書まで―」を、担当学芸員の解説を聞きながら、じっくり鑑賞していただきました。

また今回は!展示室の照明を落とし、展示ケースの反射を最小限にするという特別仕様!!近江ゆかりの書画の繊細な筆遣いをじっくりとご覧いただけたのではないでしょうか♪

こちらは、後期展示からお目見えした東近江市指定文化財「不動明王三童子像」(乾徳寺所蔵)を当館の絵画担当:萬年学芸員が、詳しく解説しているところです。修理後初の公開となる本品。中央に不動明王、さらに三人の童子が描かれています。
通常不動明王は制多迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅童子(こんがらどうじ)の二人の童子を従えていますが、こちらの作品はこの二人に蓮華童子(れんげどうじ)を加えたちょっと珍しい例です。
と、ここで登場するのが、井上副館長のスケッチブック解説です(笑)。本人は「全然上手ではない…」と恐縮しますが、かわいいイラストがとっても印象に残り、皆さんも蓮華童子の存在を忘れることは出来なくなったのではないでしょうか?。分かりやすく伝えたいという副館長の思い・・・毎回スケッチスキルが向上しているように感じるのは気のせい??(笑)。 見習いたし後輩学芸員((笑笑))。

観峰館の寺前公基学芸員には書のおもしろさを存分に語っていただきました! 例えば、展示室正面でどっしりとお客様を待ち構える、二点の屏風。むかって左手の屏風は、明治の三筆のひとり、中林梧竹の「草書五言詩屏風」(琵琶湖文化館所蔵)です。曰く、「中林梧竹は絵もよく描いた人。絵を描く際の「視点」を取り入れた作品づくりをしているから広がりのある字を書くのだろう」とのこと。作者の人となりを知ると、作品をより深く味わうことができますね✨琵琶湖文化館の隠れた名品を熱く!丁寧に!解説していただき、寺前学芸員には感謝の気持ちでいっぱいです😝。(右手の副島種臣「行書李白詩屏風」についてはこちら…収蔵品紹介 :11月23日[13:30~要予約]開催 の土曜講座で更に詳しく深堀りします!!)

「近江ゆかりの書画」は、会場:観峰館(東近江市)にて11月24日(日)までの開催です!展覧会をより深くお楽しみいただけるよう、クイズチャレンジシートも用意しましたので、ぜひぜひご活用ください!!

さて、名残惜しいですが、今年度の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」はこれにて終了です💧お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました。みなさまに楽しんでいただけるよう、これからも職員一同がんばってまいります!!それでは、来年度もお楽しみに…!(あ!宣言しちゃった🌟🌟🌟)

NHK「光る君へ」と、「横川の僧都」モデルの源信さん♪
NHK大河ドラマ「光る君へ」、11月10日放送の第43回「輝きののちに」では、柄本佑さん演じる藤原道長の、人間関係のほころびが描かれる回でした。道長のちょっと雑な対応に、ロバート秋山さん演じる実資が苦言を呈する場面には、ビシッとした空気が流れていましたね。最終回まで残すところあと5回、これからどうなっていくのか気になります!

ドラマでの描かれ方が気になると言えば、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)による『源氏物語』の執筆も気になります(はたして最終巻の執筆はどのように描かれるのか・・・!?)。第43回放送回では、光源氏の死後の宇治十帖の執筆シーンがありましたが、どうやら第51帖「浮舟」を書いていたようです。
「浮舟」帖は、薫と匂宮の間で揺れ動き苦しむ浮舟が、入水をはかるというストーリー。そして第53帖「手習」で浮舟を助けて出家させた人物が、横川の僧都と呼ばれる高僧です。この横川の僧都のモデルと言われるのが、あきつブログではおなじみ?の源信さんです!

恵心僧都源信(942~1017)は天台宗の僧侶で、比叡山の横川中堂を拠点としていました。横川の僧都のモデルと言われているのは、『源氏物語』が成立した時代の著名な高僧であること、僧都の位を持つこと、僧侶になった母と妹がいることなど、多くの共通点を持っていることによります。
源信は多くの著作を残した学僧で、中でも『往生要集(おうじょうようしゅう)』では、死後の世界・六道を説きました。六道を絵画化したのが「六道絵」で、私たちが想像する地獄という世界を確立しました。六道絵については、ぜひ収蔵品紹介をご覧ください♪

そしてドラマ終了後の「光る君へ紀行」では、比叡山・延暦寺(外部サイトにリンク)が取り上げられました!横川の僧都の紹介とともに、当時から延暦寺には多くの貴族が参詣したこと、三条天皇も根本中堂で病気の回復を祈願したことが紹介されました!当館の今年の「打出のコヅチ」では、延暦寺根本中堂の修理事業について取り上げた回もありましたので、講座を思い出しながら延暦寺を回りたいですね♪

打出のコヅチ⑥ 質問にお答えします

10/23に開催した滋賀の文化財講座「花子さんの打出のコヅチ」第6回。中世絵画の山水表現について、皆さんと一緒にお勉強しましたね。そして講座終了後に、アンケート等でいただいたご質問。今日は、講座の講師を務めた萬年学芸員が、”誠心誠意”をモットーに(!)、質問にお答えさせていただきます!・・・何がでるかな??楽しみです♪
《講師談》今回の講座では、普段聞かないようなマニアックな内容 (?!)をご紹介しました(笑)が、皆さんからも、なかなかマニアックな質問(!)を頂戴しました…((笑笑))!
【質問①】
「春日大社の手向八幡の手向は手向扇という言葉と関係があるのでしょうか?又、そうであるなら、名前に「手向」とわざわざ付したのは、何か理由があるのでしょうか?」
【回答】 今回の講座では、手向扇(たむけおうぎ)という習俗についてもご紹介しました。手向扇とは、神さま仏さまに扇を「手向ける」、お供えする・捧げるという行為です。鎌倉時代以降、このように扇を手向ける人物が絵巻物や参詣曼荼羅に描かれるようになります。

さて、奈良県・東大寺のほど近くに手向山八幡宮・手向山神社と呼ばれる神社があります。奈良県奈良市と京都府木津川市の境にあたる手向山のふもとに位置しており、この「手向山」が社名の由来となったそう。「手向山」という言葉は一般に、「道路の神などが祭られている峠や山、旅の安全を祈って神に供え物をする場」という意味を持ちます。小倉百人一首の「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに(今度の旅は急のことで、お供えする幣(ぬさ)も用意することができませんでした。かわりに手向山の紅葉を捧げるので、神の御心のままにお受け取りください。)」(24番、菅家…菅原道真)にでてくる「手向山」もこの意味です。 手向山八幡宮のある奈良市の手向山も、もともと神さまに捧げものをする場であり、手向山と呼ばれるようになったと言われます。「手向扇」「手向八幡宮」の「手向」という語は、どちらも「神さま仏さまに捧げものをする」という意味で使われていると言えます。

【質問②】
「日吉大社の西本宮と東本宮に祭られる神様が過去に入れ替わったと言われているが、今回取り上げた絵画作品はどの時代の日吉大社を描いているのですか?」
【回答】
今回の講座では、中世に制作された日吉大社(大津市坂本)の景観を描く「山王宮曼荼羅」をとりあげました。現在、日吉大社の東本宮と西本宮にはそれぞれ大山咋神(おおやまくいのかみ、東)・大己貴神(おおなむちのかみ、西)という神様が祭られています。この神さまは日吉社でも中心的な位置を占める存在ですが、実は二度(!)入れ替えられたと言われています。一度目の入れ替えは明治8年(1875)に行われ、東本宮に西本宮にいた神さまを西本宮に東本宮にいた神さまをお祭りすることになりました。二度目の入れ替えは「復座」、もとの形に戻すことを目的として昭和17年(1942)に行われました。
ということで、日吉大社は一時期神さまの位置が逆転することになったものの、現在は江戸時代以前の配置(東本宮:大山咋神、西本宮:大己貴神)に戻っています。ですので、今回の講座でご紹介した山王宮曼荼羅は江戸時代以前の形、現在と同じ形で描かれていると言えます。
皆さん、いかがでしたか?「ちょっと気になる質問」が「へぇ~そうだったのか!」につながるこの面白さ・・・これが私たちの《打出のコヅチ》でございます♪
朗報!11/13解説付き鑑賞会はト・ク・ベ・ツ♥ですヨ!「滋賀限定!」

地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画」。皆さんはもうご覧になられましたか?
次におこなわれる関連イベントは、我らが滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」解説付き鑑賞会です!11月13日(水)決行!!現在、参加申込み受付中♪デス!!(琵琶湖文化館:TEL 077-522-8179)

実施にあたり、改めて観峰館さんに確認したところ・・・講座に参加される方は、もれなく全員割引価格(1,500→1,000円)にて、ご鑑賞いただけるとのこと!これは嬉しい♡
さらに!この日は!この日だけは!
展示室の照明を工夫し、特別な状態で、皆さんに作品をご覧ただく!というとっておきの趣向が用意されています!嬉しいほどの気合いの入り方!(笑)!。普段、学芸員しか見ることが出来ない、特別な空間
・・・ 参加の皆さんにだけ・・・ト・ク・ベ・ツ ♡ですヨ!?
とはいえ、いつも大津市のコラボしが21で受講いただいている皆さんからは「会場へはどのようにして行けば?」との質問が・・・そこで急遽ご用意↓しました。
【電車(JR)をご利用の場合】 全所要時間約25分
琵琶湖線「能登川駅」下車:東口へ ※現在工事中のためバス停が分かりにくくなっていますが、階段を下りて、足場沿いにブルーシートの上を15mほど歩くと、開けたところで「近江鉄道」のバス停が見つかります。

➡近江バス「八日市駅」行きに乗車
➡「金堂竜田口」で下車
➡徒歩約15分です。
※今回のために、バスの時刻表付き『地図』をご用意しました!〔コチラをチェック〕。

※観峰館webサイトのアクセス地図が分かりやすいので確認はそちらでも🌟

書の文化にふれる博物館:観峰館は、常設展示もステキなんです!
日本習字創立者の原田観峰氏が収集した中国近現代書画や、実際に拓本が採れる「復元石碑」、はたまた西洋アンティークやクラシックカーなど、展示の見どころ盛沢山!(施設内をじっくり見ようと思うと3時間くらいかかるかも?!)この機会にぜひご堪能・・・させていただきましょー🌟
皆さん、これはもう・・・行くしかない♡お申し込み、お待ちいたしております ☆彡
(琵琶湖文化館:TEL 077-522-8179/平日8:30~17:15)
「滋賀限定!」の記念講演会

10月27日(日)東近江市の観峰館において、域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画~古写経から近代の書まで~」の関連イベントとして『東近江地域文化財の将来』と題した習字の日記念講演会が開催されました。

先ずご登壇いただいたのは藤田励夫氏です。藤田氏は元滋賀県文化財保護課職員として勤められた後、九州国立博物館や文化庁で活躍された古文書のスペシャリスト(現在は京都府立大学共同研究員)。今回の講座では、特に古い時代のお経(古写経)について、専門家の視点から実物に即した詳しい説明があり、意外な視点に驚きました。さらに展示中の紺紙金字妙法蓮華経(百済寺蔵)の見返し絵について、1巻ずつ違った魅力があることを、丁寧な言葉で教えていただきました。

続いては、本展に出品されている乾徳寺さまご所蔵の不動明王三童子像の修理を手掛けられた坂田さとこ氏((株)坂田墨珠堂代表・装潢師)がご登壇。工房での息も詰まるような細かい作業の様子がスライドで紹介されました。
最新の調査技術も使いながら、昔と変わらぬ材料で、未来へつなげる修理の技術。見ているこちらも息をのみました。

不動明王三童子像は、(公財)住友財団の2021・2022年度文化財維持・修復事業助成によって修理が行われ、修理後初公開となった作品です。文化財保護の一助として、修理費用の必要額が補助されるこの制度には、毎年全国から100件以上の応募があるそうです。
講座の最後にご挨拶された乾徳寺の中野ご住職。寺の宝である文化財の修理に、相談役として観峰館さんにご助力いただいたこと、いいタイミングに良いご縁を結んでいただけたこと、感謝の言葉が述べられました。

信仰のあり方やコミュニティのあり方が、時代の変化と共に形を変えつつある昨今。調査・研究活動をきっかけに、文化財の守り手と博物館が手を取り合って、地域文化財を伝えていく、素敵な事例の一つです。
東近江市で、滋賀県で、地域に根差した博物館活動が、様々な縁を結び、新たな可能性を生み出してゆく・・・そんな博物館であるために、地域文化財を守るサポートセンターとして、当館も引き続き精進をしていきたいと思っています。
文化財講座『花湖さんの打出のコヅチ』第6回 期待の新人・大いに語る!

滋賀の文化財講座「花子さんの打出のコヅチ」、今年度最後の座学講座:第6回を10月23日にコラボしが21にて、開催いたしました。今回、講師を務めたのは、今年4月に採用されたばかりの萬年香奈子学芸員。いきなり裏話ですが、採用5日目にして「1時間半の講座の講師、できる?」との先輩からの無茶ぶりに「はい!頑張ります」と即答した(!!)、なんとも頼もしいフレッシュウーマン!見かけによらず肝が据わった(?!)期待の新人です(笑)。皆さま何卒ご贔屓に🌟

その萬年学芸員が今回お話させていただいたのは、「中世絵画の山水表現」について。東北の大学で東洋日本美術史を学び、中世の山水図を研究テーマとしていた萬年学芸員。ひろ~い「山水の世界」を身近に感じられるよう、なるべく滋賀にゆかりのある作品を紹介する!という工夫をして、今回の講座に挑みました!(褒めてあげたい!(笑))
そもそも、山水とは?皆さん説明できます?

山の木々や花、荒々しい岩や穏やかな湖、川、滝といった自然風景が描かれた山水画。ありふれた自然を描くことが、何故求められたのか?はい、この時点で私たちもう間違っています。「ありふれた」ではなく「憧れの」山水・・・なんですね~。現代のようにパソコンやスマホが無い時代に、行ったこともない景色を見てみたい、手元に置いて思いを馳せたい・・・という需要があって多くの人々に求められた画題です。そこで紹介された「臥遊」という言葉。がゆう・・・臥(ふ)して遊ぶ:居ながらにして遊ぶ。ネットサーフィンではありませんが、私たちも同じことしてますね(笑)。雅さは格段に落ちますが。。。名所図会や参詣曼荼羅が描かれた理由にも納得です。

そしてお話は、石山寺縁起絵巻から、講座ちらしにも掲載している日吉山王神像(百済寺蔵)など、滋賀県を描いた「山水」のお話へ。日吉山王神像は、大津市坂本にある日吉大社の景観と、仏の姿をした神々が描かれた曼荼羅です。円形に均等に配置された神々の構図。驚いたことに、萬年学芸員は実際に日吉大社の奥宮まで登り、神様(お社)の位置を確認してきたとのこと!すると・・・実際とは距離感がだいぶ違う・・・ということが身をもってわかり、、、自分で確かめるって大事ですね(笑)。絵画でその距離感を省略する「すやり霞」という手法、神様の座す山を「金泥」で表現する中世絵画の特徴など、様々な豆知識を教わりました!

最後に「滋賀には昔の人が憧れ、絵に描いた自然風景が現在にも残っている。ぜひ実際に訪れてみて欲しい」と、皆さんに語りかけた萬年学芸員。いやぁ~滋賀県にようこそ!次回からは“講師先生”とお呼びさせていただきますよ?!若き学芸員のこれからの成長を楽しみに!皆さまご清聴有り難うございました!
(アンケート等にいただいたご質問には、後日改めて「回答ブログ」を用意させていただきます♪誠実をモットーに🌟)
そして次なる「コヅチ」は、皆さま待望の、現地・解説付き鑑賞会!です。
【第7回】地域連携企画展「滋賀限定!近江ゆかりの書画」を楽しむ
〔日時〕令和6年11月13日(水)14:00~ 〔会場〕観峰館(東近江市五個荘)
〔申込み〕 琵琶湖文化館☎077-522-8179(平日8:30~17:15)
こちらも是非ご参加ください♪
「滋賀限定!」を深く知る!

皆さんはあまりご存じないかもしれません。滋賀は日本における「書の聖地」であると言っても過言ではないことを!
その聖地で長年にわたり書道教育・書道文化の振興と、地域に根差した活動を続けてこられた観峰館との連携展。滋賀県や東近江地域の文化財に新たな光を当てた他に例のない展覧会です。
「書画」を美術的・芸術的な視点で楽しみ、歴史的な捉え方で深く読み解く。この機会にぜひ、新たな知見を深めてくださ~い!
そして何故か、会場にいると無性に「筆」で文字を書きたくなる・・・不思議体験も??・・・感性もぜひ、磨かれてくださ~い!(笑)!
【関連イベントのご案内 】
◆10/27(日)記念講演会「東近江地域文化財の将来」※申込み不要
◆11/13(水)滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」解説付鑑賞会
※申込みは10/24(木) 8:30~☎琵琶湖文化館077-522-8179
◆11/23(土)土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②-副島種臣-」
※申込みは☎観峰館0748-48-4141

【こちらも紹介♪】
◆図録
本展で紹介している全55件の作品を、オールカラーで紹介しています!
解説の一例「その書は、流麗な筆遣いで、花の香りが漂ってくるかのような気品を感じさせる」
・・・いったい誰の書?気になりません?自分が忘れかけていた「字を美しい」と思う心、感性、教養、たしなみ・・・取り戻したくなります(涙)。また、歴史に登場する人物たちの、個性豊かな筆遣いにも注目です♪品よく?ダイナミック?・・・ふふふっ。

◆滋賀の魅力ある文化を発信し続ける季刊誌『湖国と文化』2024年10月秋(189号)
「「近江ゆかりの書画」への誘い」と題して、観峰館の寺前学芸員と県文化財保護課兼琵琶湖文化館の井上副館長が寄稿、皆さんを、熱く本展にお誘いしております♪
◆観峰館さんのSNS:Instagramに投稿されているライブ配信!
先日(10/13)実施されたギャラリートーク&ミニセッション、実はその後、井上副館長と和澄主任学芸員も急遽撮影に参加し、動画にて作品の紹介をさせていただいております。こちらも要チェックです!↓↓↓
「書の聖地・滋賀」から発信する書の魅力、皆さまこの機会にぜひご堪能ください!本展は11月23日までの開催です♪
展示替え作業:後期も見どころたくさん ♪

大好評開催中の、地域連携企画展「近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」!休館日の10月21日(月)は、当館と観峰館の学芸員総出で展示替え作業をしてきました。

あたります
なぜ総出かというと、展示作品のうち半分が展示替え。さらに展示替えに伴って、全期間展示の作品も位置をすこ〜しずつ変えたので、ほぼ全ての作品を変更・移動させたのでした。
後期展示は、当館保存担当学芸員渾身の、乾徳寺所蔵・東近江市指定文化財「不動明王三童児像」が見どころ! 観峰館が協力し、(公財)住友財団の助成により修復した文化財ですが、その修理の工程や成果を詳しくご紹介するパネル、そして修理を経た旧表具の一群は、なかなかご覧いただくことができないもの。この修理は2カ年かかったとのことですが、旧の肌裏紙ひとつひとつを除去していく工程を想像すると、気が遠くなりますね。。

考えながら展示します
後期展示の見どころ・その2としては、西郷隆盛書簡の展示!公文書館での展示では、ケースの都合から巻き替えをしながら部分的にお見せしましたが、5メートル近くの長い書簡全体をご覧いただけるのは、今回が初となります。
さて、展示作業中の学芸員たちの声を聞きますと・・・
「もう少し右を上げて!」
「このライティング、手作り?すごい・・・!」
「なんだか密度が高くなったかも?」

どんな展示となったか、ぜひ会場でご覧ください♪ 本展は11月23日まで、東近江市の観峰館にて開催いたしております。
大津祭・源氏山とNHK「光る君へ」
大津の秋といえば、「大津祭」!今年は宵宮(よみや)が10月12日(土)、本祭(ほんまつり)が10月13日(日)に行われました。13日は観峰館でのギャラリートーク&ミニセッションもあり、当館的には忙しい3連休となりましたが、みなさまお出かけになったでしょうか?

大津祭は、長浜曳山祭・日吉山王祭とともに湖国三大祭に数えられる、滋賀県庁ほど近くの神社・天孫神社の祭礼です。江戸時代に始まったとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
本祭には、13の曳山町から13の曳山が出されます。それぞれの曳山は、巧みな仕掛け装置「からくり」を載せ、お囃子を演じながら市内を巡行します。
曳山のモチーフやテーマは様々ですが、中でも今年はNHK大河ドラマ「光る君へ」があり、中京町(なかきょうまち)の源氏山(げんじやま)が注目されていたようです。
源氏山は『源氏物語』をテーマとした曳山で、「紫式部山」とも呼ばれるそうです。牛車など源氏物語に出てくる情景を再現した小さな人形たちと、石山寺で『源氏物語』の構想を練るような姿の紫式部の人形が、曳山に載せられます。からくりが披露されるポイントではたくさんの人が集まり、熱気を感じました!
さて、10月13日放送の「光る君へ」第39回では、高杉真宙さん演じる藤原惟規(まひろ(紫式部)の弟)が、父・為時の赴任地である越後で急逝する悲しい回。。惟規が辞世の歌を詠むという、鬼気迫るシーンが印象的でした。そしてドラマ終了後の「光る君へ紀行」では、惟規ゆかりの新潟県上越市や京都市の各所が紹介されましたが、最後に大津市・国道1号逢坂山峠の頂上にある「逢坂山関跡碑」と、「逢坂の関」を詠んだ惟規による歌が紹介されました!!!
逢坂の関うちこゆるほどもなく今朝は都の人ぞこひしき
(逢坂の関を少し越えたばかりなのに、今朝はもう都にいるあなたが恋しくてなりません)

逢坂山は、古くから交通の要衝として知られています。近江と山城との国境として、古代には軍事上の目的から逢坂関が置かれ、中世には関銭が徴収されました。また、「逢坂」「逢坂山」「逢坂の関」は、歌枕としても知られています。「逢ふ」という語を含みながら、人との間を隔てる関所であるというパラドックスが好まれ、さかんに歌に詠まれてきました。
あの人もこの人も、逢坂の関を通り、そして当館周辺の打出浜から船に乗ったりなどして、旅をして歌を詠んでいたのだなあと思うと感慨深いですね。この秋も、歴史感じる滋賀の旅へ出かけましょう✨
書が楽しい・トークも楽しい・ギャラリートーク&ミニセッション

10月の三連休は秋晴れ!お出掛け日和となりました。現在、東近江市の観峰館で開催されている琵琶湖文化館地域連携企画展「近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」。13日(日)には、展覧会関連イベントとしてギャラリートーク&ミニセッションが行われました♪
皆さんは本展の印象、どう感じておられます?パソコンやスマホを使うことに慣れ、字を書くことから遠ざかってしまった昨今・・・世間一般には、「書」は、「難しい」「字ばっかり」「堅苦しい」「地味?」「楽しい?」などなど、あまりテンションの上がるものではない・・・かもしれません。し・か・し・それはきっと!今回のギャラリートークのような『学び』を、経験してないから?!

ということで、今回はおおよそ「書」の展覧会のギャラリートークとは思えない(?!)、ざっくばらんな雰囲気のトーク(笑)を、一部抜粋してご紹介します♪
トップバッターは琵琶湖文化館の井上優副館長。もはや定番となったスケッチブックを持参、「書の博物館で手前の筆書きを披露するなど大変おこがましく、お恥ずかしい限りではありますが・・・」との前フリに、皆さんからクスっと笑いをゲット!出だしは好調のようです(笑)。
「これは、禅でよく使われる叱咤(しった)の言葉です。叱咤激励、励ますお声を大きく勢いよく一文字で書いておられます。一方でどこか柔らかな印象もあり、お人柄が現れているようです。それは花押(かおう)にも表れていて、まるで『宇宙』だと思いませんか? 」
➡さて、誰が書いた書でしょう??
2番手は観峰館の寺前公基学芸員。こんなにも「書」からイロイロ分かるモノかと驚き!

「コチラの屏風・・・コレ・ね、展覧会が始まってから毎日作品を見ていて、僕、気付きました。この屏風に書かれている56文字。最初は5文字ずつ、まじめに書いていたんでしょうね。でも中ほどまできて『あれあれ?面白くない。遊びを作りたい』・・・と思っちゃったんでしょうね。見てください、この真っすぐに思い切って書いた「外」の文字。しかも1行に4文字。敢えて特徴的に書くことで作品に深みが増している。重厚であった前半、中ほどで方向転換して、後半は軽やかに変化している。字を見ていると、書き手の考えていることが『出る』し『わかり』ます。こんな風に考えて書いているのだろうなぁということを想像して見ると、オモシロイです。」
➡さて、寺前学芸員に、ここまで心を読まれてしまった作品の作者は誰?
➡11/23(土)土曜講座「近江ゆかりの書跡を探る②」で、この方の書について、詳しく解説されます♥
3番手は琵琶湖文化館の和澄浩介主任学芸員。実は彫刻担当で、会場には彫刻作品は無いのですが、本展では図録掲載用の写真を撮影するなど、影の功労者です。

「この展覧会に是非ともお出ましいただきたかった肖像があったのですが、残念ながら様々な事情があり、今回はパネルでのご紹介です。お寺で調査をさせていただきましたが、構造を拝見したところかなりの重量級。座しておられる場所も須弥壇の幅が狭く、作業が困難なこともわかり、何よりその周りを囲うようにいらっしゃる〇〇〇さまがたくさん・・・。」
➡さて、出展を諦めた理由の一つ、〇〇〇さまとは??

ギャラリートークの後、展示室に椅子を並べて、アットホームな雰囲気で語り合われたミニセッション(という名の裏話(笑))。
井上副館長のお言葉から「休館となってからコーカイ(公開)の機会が少なくなってしまった文化館の「書」ですが、このまま(令和9年度に開館する)新しい琵琶湖文化館に移ってしまっては、それこそコーカイ(後悔)するところでした。観峰館との連携のおかげで、書には『このような観賞のし方・楽しみ方がある』ということを改めて教えていただきました」。
今回の連携展では、さまざまなご縁が結ばれています。調査によって明らかにされた作品の背景、書が映える展示の仕方、出品の所有者さまたちとの更なる結びつきなどなど、共催したことで得られた発見は、何よりの宝物!近江の書の潜在能力・・・まだまだ面白いモノが見つかりそうで、ドキドキです🌟

【想像をしないとちょこ~っと分かりにくかったかもしれない本日のブログ:その理由】11/13(水) 滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」で解説付き鑑賞会を実施するので、あまりネタばらしをしてはイケナイ・・・。ということで皆さま!ぜひ会場で学芸員の解説を聞いてみてください!ブログではうまく説明できない、書の楽しみ方を、イロイロ教えてくださいますよ!
10/27(日)には記念講演会も実施されます。皆さま奮ってご参加くださいませ♪♪
建設予定地イベント開催しました!みなさんに感謝♥

晴天に恵まれた10月5日(土)、「新しい琵琶湖文化館 建設予定地イベント」を開催しました。ご来場のみなさま、また準備をはじめ様々な形で関わってくださったみなさま、本当にありがとうございました!
このイベントの目玉は、「新しい琵琶湖文化館の建物の形にカラーコーンを並べる」という、とても”斬新”なもの(?!!)。イベント前日の10月4日(金)には、みなさまにご協力いただきながら、事前準備を行いました。

その模様をご紹介しますと、午前中は文化財保護課建造物係による、カラーコーンを並べる「基準点」を取る作業です。
そして午後はボランティアの方6名と文化財保護課職員の助けにより、建物の形にカラーコーンを並べていきました。
悪天候もあり、参加を取りやめた方もいらっしゃいましたが、次回はどうぞよろしくお願いします!


一夜明けると、秋晴れのイベント当日。この日は大津商工会議所さんが主催する「びわ湖オクトーバーフェスト2024」が、すぐ近くのなぎさ公園修景緑地でも開催されるということで、あわせてお楽しみいただけたのではないでしょうか?
カラーコーンのすぐ近くに設置したテント内では、新しい琵琶湖文化館に関するパネルをご覧いただけたほか、当館所蔵品をモチーフにした「しおり」を作るワークショップもお楽しみいただけました。


大人の方はもちろん、子どもちゃんたちがたくさん集まってくださいまして、ワークショップのコーナーはフル稼働!(途中、盛況すぎて材料が無くなり、慌てて調達に走りました 🏃🏃。 )誰でも楽しめるワークショップもあり、老若男女問わず幅広い方にご参加いただけたイベントになったような気がします。
イベントの参加者数は、なんと600人近く!たくさんの方がご来場された大イベントとなり、新しい琵琶湖文化館のことを知っていただけ、また期待やご意見などのお言葉を頂戴しました。

みなさま本当にありがとうございます!みなさまのご期待に沿えるような、魅力的な施設を作っていきたいと思いますので、どうぞこれからもご支援・ご協力をお願いいたします!