カテゴリー別アーカイブ: 学芸業務

虫干会・大津/聖衆来迎寺【台風のため中止】

 世間ではお盆休みに突入。ここ数年、コロナ禍でままならなかった故郷への帰省し、ご家族でゆっくり過ごされる方も多いのではないでしょうか。久々の再会、楽しい時間をお過ごしくださいね。

  そして帰省するのは人ばかりではありません。 実は当館でお預かりしている文化財も「お里帰り」する予定・・・でしたが、残念ながら台風7号の影響で、中止となってしまいました!

  大津市比叡辻にある聖衆来迎寺さまでは、例年8月16日に虫干会(むしぼしえ)が行われ、寺宝の数々が一般公開される貴重な機会となっています。ここ数年はコロナ禍で中止となっていましたが、今年は4年ぶりに実施の予定だったので、当館も気合を入れて準備していたのですが・・・相手が「台風」では仕方がありませんね。中止はすごく残念ですが、大きな被害が出ないことを祈りつつ、次の公開の機会を楽しみに待つことといたしましょう。

修理を終えた客殿(重要文化財)


 ちなみに、聖衆来迎寺さまでは、3年がかりで進められていた客殿(重要文化財)の保存修理工事が6月に完了し、屋根のこけら葺が美しく生まれ変わっています。

 境内には、織田信長の家臣であった森可成(もり よしなり)の墓所もあります。戦国マニアの皆さんには、特に“チェック”するべきお寺さまの一つかと・・・。台風が過ぎ去り、お盆休みが終わってからでも訪れることができますので、ぜひお出掛けしてみてくださいね。

 あ、できればそれは8月がいいかもしれません。お寺さまにお参りにいった後、もう一足のばして、大津市堅田方面へ行かれるのがいいと思います。そして交通手段は電車がいいでしょう・・・ナゼ?↓↓↓

 JR湖西線堅田駅では現在、健康推進アプリBIWA-TEKU(ビワテク)のスマホ画面を、駅の改札窓口で提示した人に「近江ゆかりの武将カード」を配布されています。しかも堅田駅で配布されている武将カードは「森可成」です(先着500名限り)! 夏の思い出づくりに是非チャレンジしてくださいね。[“武将カードおし”からの宣伝でした(笑)。]

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イメージ膨らむ☆新・琵琶湖文化館

 毎日おあつぅ~ございます。毎年言っているような気がしますが、今年の夏は暑さが違う!!「危険な暑さ」という言葉が日常的に使われておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

  思い返せば7月はブログの更新もママならぬひと月を過ごしておりました(決して暑さに負けていたわけではないッ!!)。その間に、当館にとって、とても重要な「目も覚める」「身が引き締まる」画像が公開されました。皆さんチェックしていただきましたか?!
 そうです!当館の後継施設として、令和9年(2027年) 12月に大津市浜大津で開館することを目指している(仮称)新・琵琶湖文化館のイメージ画像が、公開されております!改めまして、ドドーンと見ていただきましょう‼コチラッ↓↓↓

新しい文化館の外観イメージ

 新しい琵琶湖文化館は、文化財の収蔵、展示といった従来の博物館の機能に加え、「地域の文化財のサポートセンター」の機能と「文化観光拠点となるビジターセンター」の機能を備え、近江の文化財を保存・継承・活用・発信する中核拠点となる予定です。

 外観は「湖国の夢と滋賀の宝を未来に伝える 希望の船」をモチーフにした地上4階建て。まち・湖・文化財・人をつなぎ、新たな交流と賑わいの未来を生み出す「船」がイメージされています。設計には、建築家の隈研吾さん の事務所などが係わっておられ、そちらでも注目を集めているようです♪ (オリンピック会場にもなった国立競技場や、県内では新しい守山市役所なども設計されてます。)

 お城の形をした当館が、平成20年度(2008年度)に休館となってから、随分とお待たせしておりますが、ようやく皆さんに後継施設のイメージを公開できるところまで辿り着きました。これからは、展示室や収蔵庫など、博物館施設として肝心の建物内部の仕様について、事業者さんと折衝を重ねる詰めの作業を本格化してまいります。

 施設内には、災害などの際に文化財を一時的に預かる全国的にも珍しい 「文化財緊急保管庫」を設け、地域の文化財を地域の皆さんと共に守っていく「 文化財のサポートセンター」としての機能も新たに加わります。

 なお、館名については、歴史系博物館として 60 年を超える活動実績の高い評価とともに、現在の館名が国内外にも浸透していることから「琵琶湖文化館」を継承することとし、同時に、より親しまれる館となるよう、県民の皆さんの意見を聞きながら、「愛称」を設定する予定です。
 皆さんの期待に応えられますよう、外観も中身も充実させるべく、職員一同、邁進してまいりますので、どうかご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします!

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目張りされた収蔵庫の中で何が…!?

(きっちり目張り=これ大事!)

 きっちりとテープで目張りされた当館の収蔵庫扉・・・。一体、何があったのでしょうか??

 秘密の作業が行われているの?それとも、何かを封印したの?様々な文化財を保管している当館の収蔵庫。それだけに色々と想像を巡らせてしまいますね。

 この目張り、当館では年に2回程度見かけることがあります。以前にもこの「あきつブログ」で見たという方がいらっしゃるかも(ドキドキ…)。

 実はこの目張り、「文化財保存のしごと」の一場面なのです。この日は、専門の業者さんに来ていただき、収蔵庫内において、定期的な防虫・防カビ対策を行いました。

(モンスターではありませんよ~)

 薬剤散布前には、文化財にとって問題がない薬剤か、散布時に注意する場所はどこか、業者さんと学芸員でしっかり確認します。今回、背の高いほとけさまは、文化財を輸送する際に使う「薄葉紙」をお被りいただき、念のための安全を図ってもらいました。(ちなみに、使用する薬剤の特徴によって、養生が必要な素材や、程度は異なります。)
 そして、ここからはちょっと専門的なお話になりますが、養生ができたら、室内に液化二酸化炭素に薬剤を混ぜたものを噴霧します。すると二酸化炭素は気化し、薬剤成分のみが微粒子状になって空中散布されます。薬剤成分が空気中を沈降するのを待った後、室内の排気を行いますが、あの目張りは、排気までに噴霧したものが外に漏れ出ないようにする役割を果たしていたのです。

 虫やカビは厄介者ですが、意外と私たちに身近な存在です。だからこそ、虫やカビを完全にやっつけることよりも、文化財の置かれている環境をしっかりと把握し、予防の対策を行ったり、人の目で文化財の状態を確認したり、日常的な管理の中で異変に早く気付いたりするほうが、よほど大切なことなのです。

 築60年以上の当館ですが、長く安全に文化財を保管するため、これからも地道な努力を惜しまず、より良い保存環境維持に取り組んでいきたいと思います。

〔学芸員 I 〕

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当館の「山法師強訴図」がBSテレビに登場!!

 3月某日、当館に取材のカメラクルーを乗せた車が到着しました。皆さん黒服でいかにも “それ”風のオーラが・・・。実はこれ、当館所蔵の山法師強訴図屏風の撮影に来られた方たちなんです。現在、当館は休館中ですが、収蔵品の貸出や写真利用における画像提供、取材等の対応など、休館中も継続して活動を行っています。今回は、東京の番組制作会社さんが来館されました。

 来館の目的は、「白河上皇」に関係する資料の撮影・・・ということで、当館の山法師強訴図をコッテリ撮影されました。白河上皇と山法師?強訴?この関係に「?」を持たれた方は、先ず当館が作成した「近江の宝ぬりえシリーズ 山法師強訴図」編でお勉強しておきましょう。以下、豆知識として紹介しております。

 山法師とは、比叡山の武装した僧侶(僧兵)のことです。彼らが比叡山の鎮守であった日吉社の神輿をかついで京都に乱入し、神威を背景にして朝廷や幕府に無理やり訴えを通そうとする「強訴」は、大変おそれられました。強大な権力を持つ白河法皇が、朕(自分)の意のままにならぬものとして、「賀茂川の水、双六の賽(さい)、山法師」の三不如意を挙げたという有名なエピソードがありますが、実際の画題として描かれることは珍しく、本図は貴重な絵画資料として、教科書などに掲載されることが多い作品です。

 如何でしょう、ご理解いただけましたか? ということで、番組では、白河上皇の歴史的「決断の背景を探る」作品として、山法師強訴図が撮影された・・・というワケなのです。
(何の番組かわかったかな~?)
 作品の撮影には学芸員が立合い、部屋の明かりを落として、それはそれは魅力的に、たっぷり時間をかけて撮影していただきました。

 ここからは撮影現場で交わされた会話の一部を抜粋して紹介いたします。現場の雰囲気をお楽しみ下さい。


「あぁいいですねぇ、もう少し照明を落としてみましょうか」
   
「屏風であることがわかるように影・・・・いいですねぇ」

「このあたりでシャを入れましょう」「シャですね、用意します」 「家紋を入れてグーッと寄ってみてください」「・・・いいですねぇ」

 立合いを終えた学芸員が申しておりました。「当たり前のことかもしれませんが、プロの方たちとのお仕事はやはり楽しいですね。専門集団と言いましょうか、それぞれの担当が阿吽の呼吸で自分のベストを尽くしているのがとてもいい。楽しかったです。」こちらもいい刺激になったようです(笑)。

さぁ、皆さん気になりますよね・・・?その番組、放送は??ズバリこちらっ!

 【番組】NHKBSプレミアム・BS4K「英雄たちの選択 」
     平安時代を壊した帝王 白河上皇 山法師との戦い
 【初回放送】 令和5年5月24日(水)20:00~20:59
  【再放送】 令和5年5月31日(水) 8:30~ 9:30

です。番組シリーズ見たことある~♡。ということで、 皆さまお見逃しなく♪

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当館のワンコが文庫本の表紙になりました! びよ?!

 皆さんはペットと一緒に暮らしておられますか?一般社団法人ペットフード協会さんが実施された令和4年(2022年)の「全国犬猫飼育実態調査」によると、〔犬:705万3千頭〕 〔 猫:883万7千頭〕という結果なのだそうです。十年前まではワンちゃんの方が人気が高かったようですが、昨今の家庭事情などが影響し、近年ではネコちゃんが多く飼われているようです。ちょっと気になったので調べてみました。  
 とか何とか言いつつ、飼い主にとって「我が子(ペット)」が一番!」なのは、全人類共通!
ということで本日は、当館のワンコを、皆さんにたっぷり自慢させていただきます!♪!

 こちらは、当館所蔵の近世絵画「狗子図」です。狗子(くし)は、
 「狗=いぬ」の
 「子=こ」

のことです。
 かの有名な円山応挙(1733~95)が描いた作品で、収蔵品の中でも貸出や写真掲載の依頼が、とても多い作品です。

 それがこのたび、文庫本の表紙を飾らせていただきました★♪。

 どうです皆さん、本屋さんで思わず手に取ってみたくなる“可愛さ”です (親ばか♥♪)。

【タイトル】犬は「びよ」と鳴いていた
      日本語は擬音語・擬態語が面白い
【著  者】山口仲美
【発  行】株式会社光文社
      (光文社未来ライブラリー)

 ワンコの可愛さもさることながら、本のタイトルも気になりますね~。犬は「ワン」と鳴くのでは??・・・その「?」の謎が解ける、日本語の面白さを紐解くこの文庫本は、5月20日より店頭に並ぶ予定です。

 

 気になった方は、ぜひ本屋さんで 、手に取ってみてくださいね~。

 「黄色の帯」をチラッとめくると、文化館の名前がホラここに・・・!
(くれぐれもご購入後にご確認ください(笑)。)

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BIWA-TEKUで武将カードをゲットしよう!

 皆さんGWのご予定はお決まりですか?家でゴロゴロ??そんなのもったいない!! どこかへお出かけしたいけれども、車で渋滞に巻き込まれるのはイヤ・・・。そんな方にうってつけのお楽しみがありますよ~。新緑の滋賀を電車に揺られながらゆったり旅気分♪てくてくウォーキングを楽しんで日頃の運動不足を解消♡頑張ったあなたにとっておきのご褒美が?!

 滋賀県では、県内JR4駅の改札窓口で健康推進アプリBIWA-TEKU(ビワテク)をダウンロードして画面を提示した人に、「近江ゆかりの武将カード」をプレゼントする取り組みが、5月1日から始まります。

 そうです。昨年話題になったあの「武将カード」です。ご好評♡につき再配布決定♪前回集め損ねた人にも再びチャンス到来♪です!

 何故にそこまで「武将おし」?➡カードに使われている武将イラストを当館から提供しているから~♪♪♪近江の歴史・文化をこよなく愛する琵琶湖文化館の特別協力です★
 ぜひ多くの方にこの武将カードをゲットしていただきたい!

 カードの配布・プレゼントの条件は、
  ①配布期間中の当日に、JRの鉄道を利用して配布駅の改札窓口を訪れること。
  ②健康推進アプリBIWA-TEKUの画面を、配布駅の改札窓口で提示すること。
 BIWA-TEKUはその場でダウンロードしてもOKだそうです。これなら気軽にチャレンジできます~♪
 気を付けたいのは、駅によって配布される武将カードが異なること!これは集めなければっっっ!5月1日~31日の配布予定は、

※駅の改札窓口対応時間:9時~20時
※各駅500枚 (先着順 )

 ちなみに皆さん、これらの武将が「近江にゆかり」であること、わかります??そのナゾも、カードを集めればスッキリ判明しますよ~。武将にゆかりのある土地や史跡も併せて紹介されています。ちょっとそこまで足を延ばしてみようかな ➡ 歩行距離が伸びる ➡ 健康増進につながる ➡ 素敵なチャレンジ☆ となります。
 武将カードの配布は月毎に変わり、12月まで実施されます。楽しみが増えますね♪

  BIWA-TEKUにはお城を含む数多くの探訪コースが登録されています。駅を基点にぜひいろいろなコースを訪ね歩いて健康づくり励んでみてはいかがでしょうか♪。詳しくは滋賀県のHPを要チェックです!

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[地域連携企画展/長光寺]終了&御礼 皆さんに捧げる豆知識

 あっという間の10日間でした。令和5年度の初日:4月1日から開催しておりました琵琶湖文化館地域連携企画展「近江八幡市・長光寺で新発見の経典を特別初公開!」
 10日(月)に会期を終了し、「たくさんの方にお越しいただいた」と、お寺さまからもご報告をいただいております。ご鑑賞いただいた皆さま、誠に有り難うございました。 皆さま、何か発見はありましたか?

 と、ここで突然ですが、あきつブログ的「豆知識」のお時間です♪。

 お経をご覧になって不思議に思われた方おられます?奥書きに記された日付について改めてご注目ください↓。

 「弘安二二年」は「弘安4年」です。・・・おや?何かが引っ掛かかる?「弘安二二年は弘安22年なのでは?」と思いますよね~不思議ですよね~。2+2で4年・・・でもコレ間違いではないのです。干支で「辛巳」とも書かれていますので、間違いなく「弘安4年」です。「四」は「シ」を連想する言葉として、昔から避けられることが多かったようで、縁起を担ぐ日本人らしいといいますか、鎌倉時代に既にダジャレ好きのDNAが・・・(お経なのに?!!)。ちなみに弘安は10年までしかないので、やはり「弘安4年」が正解です。どうでしょう?お経はチンプンカンプンでも、古文書を読む豆知識が一つ増えました♪。

 さて、豆知識をもう一つ。皆さんは「文房四宝(ぶんぼうしほう)」という言葉をご存じですか?古来中国で生まれた言葉ですが、文房具の中で紙、筆、硯(すずり)、墨の4つを指します。先日の特別講演会で講師を務めた井上副館長は、この度のお経の発見で「長年、自分の師であった先生の言葉がずっと気になっていたが、これで合点がいった」と言います。その先生が指摘されていたのは「滋賀には文房四宝の産地が3つ揃っている」ということ。その3つとは、紙が大津市桐生の雁皮紙、そして高島市の筆と硯です。これらは現在にも名を残す名品ですが、墨については武佐墨の存在は知られていたものの、漠然と「宿場町での需要」に応えるためものと考えられていました。それが今回、武佐墨の産地にほど近い長光寺で、膨大な量の写経が行われていたことが判明し、まさに墨の需要と供給が成り立つ地域の歴史が明らかになったわけです。

 「文房四宝の産地が揃う県」。これ凄いことです。このようなところが他にありますか??!おそらくは地域性、京の都に近く、古代から大寺院があったことも関係しているでしょうね。新たに見つかった経典から、滋賀の地域史・文化史にまで及ぶ発見があったこと、これを皆さんにお伝えしたかった!本展を通じて、何某か感じていただけたなら幸いです。

 言葉でうまく伝わったか、若干不安なところではありますが、堅苦しく考えていただく必要はありません。
 そう、皆さんは本展で、新しく近江八幡市・長光寺というお寺さまとご縁をつながれました。チラシにも書いておりましたが、皆さんはご覧になりました?花の木(ハナノキ)。
 本展会期中に満開・・・となる予定でしたが・・・今年は桜の開花が早まるくらい、春の訪れが早く、実は開催前の3月下旬には花は散ってしまったそうです。ブログではなかなかそれを言い出せず・・・。

 しかし・です皆さん!せっかくいただいたご縁!秋の紅葉も素晴らしいそうですよ~。
 また、毎月21日は弘法大師の御縁日法要がおこなわれ、マルシェも開催されるとのことです。ぜひ何度もお出かけして下さいね~♪

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「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」終了&御礼

 滋賀県立安土城考古博物館にて4月2日まで開催していた地域連携企画展「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」。無事に終了いたしました。会期中、多くの方々にご覧いただけましたこと、たいへんうれしく、深く感謝申し上げます。






 今回の展示では、「新しい琵琶湖文化館にメッセージを届けよう!」と題し、特設ブースを設けて2つのメッセージを募りました。あたたかいメッセージ、厳しくも愛にあふれたメッセージ、新しい琵琶湖文化館への期待やご要望などなど、たくさんお寄せくださいましたこと、こちらもあわせて御礼申し上げます。

 このメッセージをもとに、3月19日には座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」を開催。当日の内容と配布資料も公開しました。
 


  さて、みなさまからいただいたメッセージの結果概要はこちらに掲載しておりますが、まとめきれなかったご感想やご意見をご紹介します。
     

展覧会を見て、近江のこのうえなく美しい四季と風景に改めて魅せられました。この様な素晴らしい企画に感謝いたします。新しい琵琶湖文化館に出会える日を楽しみに待っております。
滋賀の文化を伝承する博物館として、立派によみがえることを願っています。
従来のおもむきある建物の中でひっそりと展示されていた様々な展示物を、新しい建物でもじっくり見てみたい。そしてその時には、是非ボランティアとして役立ちたい!とても楽しみにしています。

 ・・・もったいないお言葉に、感謝してもしきれないです。本当にありがとうございます!!

 みなさまからいただいたメッセージは、新しい琵琶湖文化館の計画に活かし、より良い展覧会や博物館活動が実現できるよう努力してまいります。これからもご協力賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

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4月2日 地域の歴史紐解く特別講演会[地域連携企画展/長光寺]

 例年より早く満開となった桜がちょうど見ごろを迎えていた4月2日(日)。近江八幡市の長光寺さまではこの日、有り難くもお寺さまの本堂で、ご本尊がいらっしゃる御前で(!)、

特別講演会「近江国蒲生下郡長光寺の一切経について」が開催されました。皆さん見て下さい
!写真に納まりきってませんが、80名ほどの方々がお越しくださいました~!

 講演に先立ち、長光寺の金子ご住職、近江八幡市の小西市長からご挨拶があり、地域の歴史にかかわるこの度の「発見」について、詳しく知り得る機会を得たことを喜んでおられる旨、お言葉を頂戴しました。まさにご参集いただいた皆さんの気持ちを代弁するかのようなご発言…講師を務めさせていただいた当館の井上優副館長も気合が入ります。
 さて、その井上副館長、冒頭にスゴイことを言いました。

【講師を務めた井上副館長 】

 「皆さん、お経って漢字だらけでチンプンカンプンですよね??私もそうです。まさにこれが〝チンプンかんぶん(漢文)″。」
 ・・・えーっと・・・つかみはOK?クスっと笑いもとれたところで(!)、講演の前半は、古経典とは何か、なぜ「文化財」なのか、わかりやすく概要が語られました。古経典から得られる情報のアレコレ、その見方や重要性をお勉強したところで、いよいよ長光寺さまの「三弥底部論(さんみていぶろん)」についてのお話、参加の皆さんが〝前のめり″となったお話です。

 このブログで講演会の全てを語ることは出来ませんが、経典の奥書から、「かつて長光寺には5000巻を超える一切経が備わり、それを手本として写経事業が行われていた」こと、さらには「写経をするためには大量の墨が必要であり、中世において地域の名産であった「武佐墨(むさずみ)」の起源が、この写経事業と深い関係を持っていた可能性がある」との熱弁を展開しました。

 

 武佐墨について少し説明しておくと、戦前に活躍した郷土史家・中川泉三(1869~1939)が、『近江蒲生郡志』にわずかに書き記していますが、現在は廃れてしまった幻の銘墨です。紀州の藤代墨と並ぶ中世日本の代表的銘墨(松煙墨)であった武佐墨ですが、これまでは漠然と、東海道の宿場町として栄えた武佐宿の流通の便宜等から生まれたと考えられてきました。しかしこれが、長光寺での写経に必要な膨大な墨の需要を満たすためのものであったなら・・・・地域の歴史に新たな光差す新発見です!

 井上副館長は最後にこうまとめられました。「わずか1巻の経典から、豊かに広がる地域の歴史が鮮やかに蘇った。これは長光寺さまが日頃から文化財に関心を抱かれ、檀家さんや地域と一体になって保護・活用されてきたからこその素晴らしい発見。古経典に携わる者として、長光寺さまと、この度の発見に関心を持って本日お越しいただいた皆さんに、心から感謝したい」。皆さまからは盛大な拍手をいただきました。いいご講演でしたよ副館長!

 最後に皆さんの前でご挨拶をされた金子ご住職。「戦乱によって多くの史料が無くなってしまっている。井上先生の話を聞いて、本当に嬉しく思う。寺の宝物として地域の活性化につなげていければ」と・・・。最後は感極まって少し涙ぐんでおられましたね。

  
 

   本当に清々しいほどの良い講演会でした。 お堂で話をうかがえたのも良かったです。
 今回のことがきっかけで、地域の皆さんから更なる新しい情報が集まることにも期待して(!!)、今後の展開が楽しみです!  

 「三弥底部論」は、4月10日(月)まで、近江八幡市の長光寺さまにて、ご覧いただくことができます( 午前10時~午後3時) 。

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研究紀要第39号 発刊しました

  3月も残りわずかとなりましたが、例年、このタイミングで皆さんにご報告していることがあります。そう、当館の調査・研究成果をまとめた「研究紀要第39号」を発刊いたしました! それぞれの担当分野において、頭を抱えながら(!!)執筆に専念した、その力作、その内容とは・・・?!!!。

【浅井長政像と南部晋氏の事績】
小谷城主・浅井長政公の肖像画の全貌に迫るべく、昨年発行の第38号に引き続き、明治時代に活躍した郷土史家・南部晋氏の事績を辿りつつ、さらに深掘りして調査を進めた、その結果とは?!

【杉本哲郎壁画「舎利供養」に捺された「春江」号印について】
当館内の壁に設置されている大壁画「舎利供養」。杉本哲郎氏の作ですが、何故か「春江」の印が捺されます。哲郎が落款の印に込めた真意とは?!

【泉福寺(甲賀氏水口町泉)所蔵 木造四天王立像について】
一木造りで内刳りをほとんど施さない古様でありながら、四天王すべての像が兜(かぶと)を被っていない等の特徴を考えると、10世紀末から11世紀初頭の造立と考えられる貴重な作例であることが判明!!

【研究ノート 3Dプリンタ出力品の博物館活動における活用】
近年急速な技術進歩を遂げる3Dプリンタ。その出力品は来館者が手に取り触れられる展示や教育普及にも用いられている。博物館活動における活用の可能性について考察!!

 ご覧のとおりの力作です。こちらは、研究紀要のサイトから、各項目についてPDF版のダウンロードが可能となっていますので、是非ご利用下さい。

 このほか、令和4年度の年報として活動報告を掲載しております。また、皆さんと一緒に取り組んだ
【記録に残そう大作戦!〔大トンボと琵琶湖文化館〕】
についても、事業報告としてまとめています。こちら、皆さんからいただいた投稿写真もしっかりとカラーで掲載した結果、ファイルサイズが8.1MBの大容量・・・ となっておりますので、ご覧になるときは是非ご自宅のパソコンでお願いいたします!

 研究紀要は、県内の図書館はもとより国会図書館や市町教育関係機関、博物館などにも送付しておりますので、是非皆さま手に取ってご覧くださいませ♪

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安土展 閉幕まであとわずか

 現在、滋賀県立安土城考古博物館で開催中の「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」。早いもので閉幕まで一週間を切りました。開催したころは雪が残る寒い日でしたが、今では春の陽気に包まれることが多く…展覧会のタイトルのように、四季を感じさせてくれます。

 当館の収蔵品が繰り広げる四季を皆さま、すでに体感してくださいましたか?「まだ、体感していない」という方は、ぜひ、安土へ足を運んでみてください。ドライビングを兼ねて車で行くのも良いですが、春の陽気を感じながら電車で行くのもおススメです。

 最寄りの駅となる安土駅には、このような(↑)立て看板がお出迎えしてくれます。看板には、会場まで「徒歩で約25分・自転車で約10分」の文字が…~中々遠そうですね…。駅前にはレンタサイクルがあり、自転車で風を受けて行くのも良いですが、ここはお散歩も兼ねて徒歩で行ってみましょう。ありがたいことに、行く道々には「安土城考古博物館」の案内看板もあり、道に迷う心配はありません。田園風景に小鳥のさえずりを聞きながら30分程のんびりと歩いていると見えてきました♪安土城考古博物館です。

 会場に入ると、文化館の選りすぐりの収蔵品が観覧者をお出迎えしてくれます。春夏秋冬それぞれを描いた作品たちは、見どころ盛りだくさん…ですが、見どころが多すぎて「どこを見て良いかわからない!」と困った方もいらっしゃるかも??
 その時は、キャプション横にあるコチラのパネルにご注目ください。コチラには“あきつ君の「ココ見て!」ポイント”の文字が。。。そう、作品の見どころを、文化館のマスコットキャラクター・あきつ君が教えてくれます。ご覧になる方に、作品を見るためのちょっとした手伝いをしてくれています。もちろん、「ココ見て!」ポイントだけでなく、自分でお気に入りのポイントを見つけるのも面白いですよ。一つ一つの作品を隈なく見てみると、色んな発見があるかもしれません。

 作品鑑賞が済んだら、ぜひコチラにもお立ち寄り下さい。コチラの特設コーナー「新しい文化館にメッセージを届けよう!」では、「新しい文化館でも見たい作品」「新しい文化館での“展覧会へのご意見」の二つのテーマで、皆さんからメッセージを募集しています。2月の開催から3月半ばまでこちらに寄せられたメッセージは、座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」で紹介させていただきました(詳細はコチラ) 。座談会は3月19日に行われすでに終了していますが、現在でもメッセージは募集中です。皆様からの大切なメッセージを受け、皆様とともに新しい文化館を作っていくために、、、まだまだ多くのメッセージをお待ちしています!

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3月19日 座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」開催しました

  語りました。地域連携企画展「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」の関連事業として安土城考古博物館セミナールームにて開催された座談会!令和9年度に浜大津での開館を目指す新・琵琶湖文化館について、本展の会場に寄せられたメッセージを元に、4人の登壇者が熱く語らせていただきました。

 登壇者は、「幼少期に仮面ライダーを見るような感覚で美術全集に載っていた仏像を見たことがきっかけ」で、彫刻担当の学芸員になった当館の和澄主任学芸員、学生時代に安土での発掘に携わったこともある県文化財保護課の福西主査、文化財修復師さんがいた絵画教室に通っていた安土城考古博物館の岩崎学芸員、そして学生時代に制作技法を考えることが楽しく金工品に目覚めた、今回の企画を行う当館の田澤学芸員です。それぞれの専門を選んだきっかけなどもあわせての、自己紹介で始まりました。

 今回の座談会は、3つの話題で構成されています。まず収蔵品について。登壇者が「見たいor見せたい作品・文化財」をそれぞれ紹介しました。和澄学芸員からは日吉神社(東近江市)所蔵の鬼面について、文化財と地域との「つながり」を見せる展示の提案などなど。考古が専門の福西氏から館蔵品の洋犬図があがったのは意外でした。

 また、「あなたが思う“新しい琵琶湖文化館でも見たい作品・文化財”は何ですか?」への投票結果も発表!1位は寒華傲雪図。素敵なメッセージも寄せられていましたよ♪
 このほか、当館の収蔵品貸出ランキングと写真図版提供ランキングといった、「データから見る琵琶湖文化館の人気作品」の話も盛り上がりました!

 話題の2つめは、「新しい琵琶湖文化館での“展覧会へのご意見”をお知らせください!」に寄せられたメッセージをもとにしたお話です。仏教美術がテーマの展覧会へのご要望が多いようで、もちろん新文化館でも開催されるとのこと!そのほか、ご来場のお客様が当館の思い出を語っていかれるなど嬉しい話もあわせて、大トンボの展示希望のメッセージが岩崎氏 から紹介されました。また、新文化館では子ども向けや初心者向けへのアプローチを考えるなど、展示の工夫をしていきたいと田澤学芸員から語られました。

 最後の話題は、新文化館の全体について。和澄学芸員からは、「ミュージアム・地域文化財サポートセンター・ビジターセンターの3つの役割がうまく回ることで、文化財をしっかり公開し守っていく博物館のモデルケースになる」と頼もしい発言が!岩崎氏からは、「県内の博物館どうしが密な関係性をつくっていくなかで、新文化館がその中核的な存在になってもらえたら」と。福西氏からの「滋賀県に欠けている拠点施設への期待はあるが、本当にそんなにたくさん仕事ができるの?」という問いかけに対しては、「自分たちが全部やるのではなく、色々なつながりを持つハブとして機能していけたら」と和澄学芸員が答えました。

 あきつブログをご覧の皆様にはおなじみの収蔵品の魅力をさらに広げつつ、色々な「つながり」を保ちながら活動をしていく新文化館への期待が高められた座談会でした!ブログに書ききれなかった内容や配布資料は、後日公開いたしますのでお楽しみに♪

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祝!県民の宝 滋賀県指定文化財 新指定に当館の「檜図」!

 春うらら~のお天気ですね。今年はスギ花粉の大量飛散に泣いている人も多いと思いますが、こちらは「ヒノキ」に嬉し泣き♡です♪
 本日、令和5年3月17日、滋賀県では県民の宝「滋賀県指定有形文化財」が新たに指定されました。ざっと紹介しておきましょう~♪

○有形文化財7件
・建造物1件 弘誓寺本堂 1棟(東近江市)
・絵画1件 紙本金地著色檜図 海北友松筆 六曲屏風 1隻 滋賀県[県立琵琶湖文化館]
・彫刻1件 木造金剛力士立像 2躯 正福寺(甲賀市)
・工芸品1件 太鼓 1口・太鼓台 1基 (文安元年、永尾護国寺等の墨書銘がある)
                           長浜八幡宮(長浜市)
・書跡典籍・古文書2件
      木内石亭墓碑 1基 本像寺(守山市)
      木俣清左衛門家文書(付属品共) 605点 彦根市[彦根城博物館]
・考古資料1件 真野古墳出土品 162 点 大津市[大津市埋蔵文化財調査センター]
○有形民俗文化財1件
  北比良の石屋用具 1,112 点 滋賀県[県立琵琶湖博物館]

 ・・・気付いた方おられます?そうです! 当館:琵琶湖文化館の館蔵品である「紙本金地著色檜図」が新たに県指定文化財の仲間入りを果たしました!いやぁ、いつかこの日が来ると信じておりました!(笑)♪
 皆さん覚えておいでですかね~令和2年に安土城考古博物館で開催した地域連携企画展「安土・桃山時代の近江展-琵琶湖文化館の収蔵品を中心に」に出品していたのですが・・。そう! “あの” 海北友松(かいほうゆうしょう)が描いた、檜図です!

  海北友松は近江ゆかりの絵師で、狩野派に弟子入りをし、豊臣秀吉に重用されるなど、公家や宮家とも交流しながら活動の域を広げた桃山時代を代表する巨匠のひとりです。

 現存する友松の作例は水墨画が多数を占め(京都建仁寺の雲龍図など)、本図のような金碧画は10例もありません。

 友松が描いた金碧画のうち、本図は、現存する友松の金碧画中最も早期に位置付けられるものとして注目されます。県内所在の数少ない友松画であり、桃山時代の金碧障壁画の優品であることが評価され、このたび県指定文化財と相成りました。
 手前味噌な自慢話♡をしてしまいましたが、今回指定された他の新指定文化財も、とても興味がそそられます。なかなかに個性的と言いましょうか、「滋賀県」らしい「滋賀県の宝」に改めて気付く・・・それが県指定の素晴らしいトコロだと思います ♡ 。

 そしてやはり何といっても、令和5年3月17日は、当館の収蔵品に「指定文化財」が1件増えた、嬉しい♡祝いの金曜日です。最後までソレを言いたい(自慢したい)文化館贔屓の職員ですが・・何卒オユルシくださいませ(笑)。

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11/16放送「ヒト、モノ、コトを未来につなぐ Good Sign」琵琶湖文化館登場!

 先日、晴天の青空のもと、びわ湖放送さんの取材がありました。

 「“Good Sing-良い兆し-”をキャッチする、それは滋賀・京都の魅力を再発見すること!」をコンセプトにした4分番組、そこで我らが琵琶湖文化館も取り上げていただくこととなりました!!

 撮影場所は、モチロン我がお城をバックに♡文化館のあんな事やこんな事、新・文化館開設に向けての野望(?!)まで、終始アツく、また、和やかに、語らせていただきました(笑)。

放送時間はちょっぴり遅めの深夜となります。

放送は、11月16日(水)23:38~びわ湖放送にて!
番組タイトルは「ヒト、モノ、コトを未来につなぐ Good Sign」です!


「ちょっと夜遅くて見てられへんなぁ~」という方は、番組終了後〔YouTube〕でもアップされますので、そちらで要チェック!!です!  【→外部リンクYouTube「市民の思い出が集う 大津のシンボル 大津市 滋賀県立琵琶湖文化館

 (ココだけの話ですが)ウワサによると、とんぼパネル展のこともチラっと取り上げて貰っているそうですヨ。皆さんの作品が放送されるカモ・・・ですヨ。放送を是非チェックしてくださいね~♪楽しみッ♪♪

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県民フォーラムⅡ「みんなで考える新しい文化館の展覧会」開催しました

 8月24日は文化館関係者にとって大事な1日となりました。この日、会場にお越しいただいたのは(仮称)新・琵琶湖文化館に関する県民フォーラムⅡ「みんなで考える 新しい文化館の展覧会」に参加申込みいただいた皆さん。昨年11月に「新しい文化館を考える」と題した県民フォーラムを実施しましたが、今回は“展覧会活動”に焦点を当てた企画です。会場のほかにオンライン配信も行い、こちらにも会場の参加者を超える人数のご参加があり、文化館の未来について、多くの方が関心を寄せていると実感しました。

 講演では、当館ОBでもある髙梨純次氏より、「新しい文化館の展覧会活動に期待すること」というタイトルでお話しいただきました。新しい文化館の展覧会活動で留意してほしい点として、「文化財の現地保存主義」「学術的に評価される質の高さ」「展覧会を保管してゆく企画」を挙げられ、他にも「堅実な質の高い展覧会」「学校教育との関係」などが語られました。会場参加の皆さんの真剣に耳を傾けておられる姿に、新文化館への期待が感じられました。

 パネルディスカッションでは、髙梨氏をファシリテーターとして、観音ガールとして活躍されている對馬佳菜子氏をコメンテーターにお迎えし、「展覧会企画案プレゼンテーション」を実施。県文化財保護課と文化館学芸員の4名が、展覧会の企画を発表しました。

井上優氏

 県の井上優課長補佐(琵琶湖文化館副館長)は、最澄や中江藤樹など未来を見つめた近江の人物にスポットをあて、歴史を知りながら滋賀の未来を展望する案や、地域文化財に関する取組を可視化した展覧会による、地域に根差した新しい博物館像を語られました。
 当日不在のため動画出演の古川史隆副主幹(琵琶湖文化館兼務)からは、「近江 梵鐘めぐり」と題した展覧会が提案され、梵鐘の造形や制作に関わった人、海外との交流を学び、更には来館者が梵鐘のある社寺に足を運ぶきっかけを提供。文化観光の拠点ビジターセンターとしての施設像が紹介されました。

左:田澤梓氏 右:和澄浩介氏

 文化館の和澄浩介主任学芸員は、風景写真や音を使うことで作品が伝わった土地や文化財を守り伝えている地域の人を感じられる、新しい展示手法を通じた来館者と地域・地域の人をつなぐ展覧会を提案されました。
 田澤梓学芸員からは、世界に数多くある「近江の文化財」の里帰り展示を通して、県内や国内外の近江の文化財をつなぐネットワークづくりの考えや、文化財を継承していくことを目的に、子どもが文化財に親しめるワークシートなどの提案がありました。

 コメンテーターの對馬氏からは、どの案も「歴史」だけでなく「アート」「デザイン」「まちづくり」などに関心がある人にも響くような展覧会になるとの意見があり、展覧会には「知識ベースで楽しめる人」もいるが「知識がない人」のために感性を呼び起こす仕掛けも必要であるとお話しされました。知識を持って展示作品を鑑賞することだけではなく、その作品に関連した音を流すことや、日本の博物館施設では禁止されていることが多い「作品の模写」により、対象物を隅々まで鑑賞する工夫など。。。“観る”ことに捉われない展示企画は、多くの人が楽しめるのではと期待が高まりました。

 終了後のアンケートには、「近江の歴史を未来に活かす展覧会が楽しみ」「視覚的だけではなく“音”という角度から展示する可能性もあるかと思った」「近江の特別な歴史的価値がわかる企画をしてほしい」など感想をいただきました。また、「展示の見せ方も時代に反映した対応が必要」「文化財の由来や地域との関わり、役目などをより一般人の興味を引く形で展示できるような仕組みが重要」「現物とホログラム・VRなどデジタル技術の融合で他館との差別化ができれば良い」などなど、参加者さんからの提案もあり、中にはアンケートの枠に入りきらないほどご意見を書いて下さり、皆さんが新しい琵琶湖文化館に大きな期待を持たれているのが伝わりました。

 今回も、貴重な意見をいただける機会を設けられたこと、心より感謝します。これからも皆さまからご協力いただき、共に新しい文化館をつくっていけたらと思いますので、よろしくお願いします。

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8月24日 県民フォーラムⅡ「みんなで考える新しい文化館の展覧会」開催!

  皆さま、8月24日(水)14:00からのご予定は?もうチェックして下さってますよね? 来る日、当館にとってとても大切な日。それは、(仮称)新・琵琶湖文化館に関する県民フォーラムⅡ「みんなで考える新しい文化館の展覧会」を、会場:コラボしが21において開催する日なのです~。

 前回(県民フォーラムⅠ)では、新しい文化館の役割や活動内容について、様々な角度からご意見をいただいたところです。

  今回のフォーラムは、タイトルを読んで字のごとく、「新しい文化館の展覧会」について皆さんからもご提案をいただく、前回より更に一歩踏み込んだ内容となっています。

 先ずはこちら学芸員の野望と言いましょうか、「こんな展示をしたい!」というところを発表させていただき、皆さまから「こんな展示を見てみたい!」という希望的ご意見も頂戴する、ドキドキ企画です♪

  思いは「新しい文化館をより良きものにしたい!」それに尽きます。皆さまと一緒に考え、期待を形に、より具体的なものにしていく。未来にはばたく夢のフォーラムとなりますよう、皆さまの知恵と力をお貸しください!ご参加、お待ちいたしております!

 聴講は無料ですが、事前に申込みが必要です。なお今回は、会場参加のほかに、オンライン配信(zoomウェビナー)での参加も可能となっていますので、、ご自宅でも聴講・参加していただくことが出来ます。

  〔しがネット受付サービス【会場参加】〕    もしくは

  〔しがネット受付サービス【オンライン配信】〕 からお申し込みください。

詳しくは、滋賀県文化財保護課
  【電話077-528-4681 FAX077-528-4833 メールbunkatsu@pref.shiga.lg.jp】
までお問い合わせください。

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信楽焼 燈籠

 滋賀県立陶芸の森陶芸館で(6/9まで)開催されていた「ジャパン・スタイル-信楽・クラフトデザインのあゆみ」展。文化館として、どうしても気になる展覧会でした。というのもコチラのちらしにご注目ください。左上に掲載されているかわいいコ。ちょっと見た感じでは “宇宙基地?”みたい形をしていますが、実はこれあかりを灯す燈籠なんです。そして同じ形をした燈籠が当館にも・・・あるのでございまする!!

 皆さん覚えておられます?以前、あきつブログ「面会させてください・・・感動の親子対面?!」でも登場した窯業技術試験場さん。あの時は「服部岩吉胸像」の石膏型と完成品の焼物のご対面でしたね。
 窯業技術試験場は昭和2年(1927)に「滋賀県立窯業試験場」として建設されていますので、当館より少し年上・・・「従兄の兄貴」的な存在です。当館の前身である産業文化館の頃からお付き合いがあり、地場産業である信楽焼の展覧会を開催するなどタッグを組んで滋賀を盛り上げて来た歴史があります。その窯業技術試験場さんがこの度陶芸の森近くに移転されることとなり、その記念展が開催されました。

 ということで、先ずは昭和の面影を遺す窯業技術試験場さんへ! 対応していただいたのは、陶磁器のデザインなどを担当されている高畑氏。実は、信楽を舞台とした NHK連続テレビ小説「スカーレット」 の撮影に、全面協力されていた方なんですよ~。
 件の燈籠は、クラフトデザインの先駆者として活躍した日根野作三氏が手掛けたデザイン(1959)です。今回の展覧会のために、高畑氏が当時の資料を元に再現を試み、3回挑戦した中で、これは!と思うものを展覧会に出品したとのこと。 確かに敷地内のお庭には、試作品のコたちが・・・こんな苦労もされていたとは!

 普段身近な歴史・文化財とは異なる世界を拝見し、驚きの連続でした。移転のための引越し作業で大変お忙しくされている中で、親切にご対応いただき、本当に有り難うございました!

 その後、展覧会を開催されている陶芸の森陶芸館さんへ。会場入口に・・・ドドンっとありました!お目当ての燈籠!こうして改めて眺めてみても、とっても素敵なデザインです♡。
 企画担当された鈎(まがり)学芸員さんは、「この展覧会をきっかけに日根野作三氏のことや当時の作品について、いろいろな情報が集まってきた。これも成果です。展覧会を企画した甲斐がありました。」と、嬉しそうに話してくださいました。まさにその通り!!展覧会開催の意義が、改めて心に響きます。
 会場内にはその他にも、「スカーレット」で感じたような、昭和の活気に満ち溢れた時代のモノ作りの勢いとでも言いましょうか、自由でありながらも計算し尽くされた愛らしいデザインの作品たちを、たくさん拝見することができました。また、それらを改めて“今”の時代に見つめ直し活かすことで、信楽焼の新たな可能性が・・・更に広がりそうな素敵な予感♡がしましたよ。
***展覧会が終わってからのブログですみません!皆さんも見たかったですよね?!***

 さて、このお話しには、まだまだ続きがありそうです。そんな気配がプンプンしておりますよ♡。また皆さんにご報告できれば・・・楽しいことになりそうです♪

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テレビ放映のお知らせ / 大津事件関係資料

 当館が誇る収蔵品の数々。ときど~き、皆さんも良くご存じのテレビ番組に、登場していることをご存じですか?ということで、今日は(今日も?!)、マニアな文化館ファンクラブ(?)のために、近々放送予定の番組を要チェック!です♪

 さて、先日のブログでチラっとお見せしておりましたが、今回テレビに登場する収蔵品は、「大津事件関係資料」です。

 大津事件は、明治24年(1891)5月、来日中であったロシア皇太子ニコライに、滋賀県大津町(現:大津市)で警護にあたっていた巡査の津田三蔵が、 突然 持っていたサーベルで斬りつけた・・・!・・・近代化に向け歩み出した日本を、大きく揺るがせた事件として知られています。当館にはこの大津事件に関係する資料が収蔵されており、5月某日、カメラマンさんが撮影に来られたました。今日は、その時の様子をちょこっと潜入取材・・・デス♪

←こちら、仰々しくも、とある桐箱を手に登場する当館の学芸員。さて、その中身は一体・・・ 勘のいい人ならもうお分かりですね?実はこの中には、凶器となったサーベルが収められています。事件の最重要物品・・・。見ているこちらもキンチョーします・・・。

 →そして念入りな打合せ。どのように撮りたいのか、先方の意図や希望を聞きながら、サーベルの向きや角度を調整します。

← いざ、じっくり、 こってり、撮影中・・・。
ライトに照らされ、事件の生き証人は無言で語ります。。。 その頃、当館の学芸員は・・・ ?

← ・・・陰に隠れてコッソリ見守り中。。。(笑)。。。
 いえいえ笑いこっちゃない!大切なコトなのですヨ!

→その後、サーベルの刃こぼれについて詳しく説明。
 実はこのサーベルにはキズがありまして、これがニコライを斬りつけた時にできたキズか、はたまた、津田がサーベルを奪われ逆に打ち付けられた時に出来たキズか、真相ははっきりとはわかっていません。そのような情報も含めて丁寧に説明させていただきました。

 潜入できのはここまで!・・・さすがに撮影のお邪魔ばかりもしていられません。この後、事件の重要物品を もう1点、 撮影されたとのこと。それは何か?・・・それは放送を見てのお楽しみ~♪

 今回撮影された内容・・・その気になる番組は・・・ズバリ! 5月30日(月)放送のBS-TBS「にっぽん!歴史鑑定/大津事件」(22:00~23:00)デス!

 なぜ大津事件は起きたのか?歴史的背景を探りながら、司会の田辺誠一さん(俳優)が、謎を解き明かしてくださいます!これは必見♡皆さん要チェックですよ~ !!

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「青鬼踊」原稿発見のナゾ?!

  このたび、石山寺第50世座主であった故・鷲尾光遍(わしお・こうへん)師が作成した「青鬼踊」の歌詞原稿が、当館の資料の中から発見されました【詳しくはコチラ】

  「青鬼踊」は、石山寺で毎年5月に行われる青鬼まつりの中で、蛍の精と青鬼が酒を飲み交わして踊るもので、唄の作詞を鷲尾光遍師が手掛けられました。
 実はこの「発見」については、いささかナゾがございまして・・・というのも、①原稿が鷲尾光遍師の自筆かどうかについては研究中で、②なぜ琵琶湖文化館に残されていたのかも不明・・・なのです。おやおやこれ如何に・・・・・?

文化館マスコットキャラクター
トンボのあきつ君

 そこで登場するのが名探偵あきつ君♡見た目はトンボで頭脳はコドモ!しばしあきつ君の迷(?)推理にお付き合いくださいませ(笑)。

  さて1つめ、鷲尾光遍師が直々に書かれたのか?という謎です。 これは表紙をよ~くご覧ください。「青鬼踊 鷲尾光遍作詞」とあります。他の人が書き写したものであれば、石山寺の長たる「座主」さまに対して、名前を呼び捨てにするワケがない、少なくとも「鷲尾光遍師 作詞」など敬った言い方をするだろう・・・というのがあきつ君の見解です。出た!迷推理!!

謎解きは得意です

 更に・です。鷲尾光遍師は昭和34年(1959)、滋賀県立琵琶湖文化館建設後援会発起人代表の一人となるなど、琵琶湖文化館の建設や初期の活動に積極的に関与されています。当館には、師が書かれた「書」もございます。このあたり、2つめの謎とも関係してくるのですが、師と当館との親密な関係性がうかがい知れます。座主自ら書かれたものだから「光遍作詞」。皆さん、いかがでしょう?

  あきつ君の迷推理は続きます。2つめ、なぜ琵琶湖文化館に残されていたのか?という謎については、「三」の歌詞にご注目ください。
 かがやく光は 不夜城の
 とてもよいとこ よいながめ

 気付かれました?これって当館のコト・・・なのでは?当館の開館は1961年、師が亡くなられたのは1967年(88歳)。

昭和40年頃の琵琶湖文化館

 当時の文化館は夜になると本館頂上のトンボをはじめ、各階に設けられた照明設備が煌々と点灯し、周囲の漆黒とも相まってさながら不夜城のようだと言われています。ましてや5階は展望閣、琵琶湖の眺めも最高です。 ・・・これは間違いない、文化館のことを唄っている。。。そのご縁もあって、師からこの「直筆」の原稿を頂戴したのでは? ・・・と、あきつ君は申しております。

 ふむふむ、そう考えると「光遍作詞」という書きぶりも、なんだか幾分、師の照れ隠し(?!)的な要素が感じられないこともない?・・・師は、ちょっぴりお茶目な方であったのではないでしょうか、この青鬼踊の楽し気な詞からも、そのお人柄が偲ばれるようです。

  さて、如何だったでしょう、名探偵あきつ君の迷推理!お楽しみいただけました?あくまでトンボのあきつ君が申しておることでございます。笑ってお許しいただければ幸いです。さて、あなたの見解は?真相や如何に??

追記:皆さんにはこちらの方が謎かも?↓ ↓

① 何故、石山寺で青鬼踊りなのか。平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて活躍した、石山寺屈指の学僧:朗澄律師(ろうちょうりっし)は、自分の死後、鬼となって経典・聖教類を守ることを誓ったと伝わっています。その遺徳を称えるお祭りが青鬼踊りです。長らく踊りは絶えていましたが、2019年の令和改元を祝って復活し、今年は5月15日(日)に行われます。

② 何故、歌詞にたくさん「蛍」が出てくるのか。古くから瀬田川の河口付近はたくさんの蛍が飛び交う蛍の名所として有名でした。「青鬼踊」の歌詞では、蛍の精と青鬼がお酒を酌み交わし、そのもてなしのお礼にと青鬼は如意の珠を授けます。その宝珠の威光で、蛍の精はいよいよ美しく瞬いた、という歌詞になっています。

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テレビ放映のお知らせ / 山法師強訴図

  当館が誇る収蔵品の数々。ときど~き、皆さんも良くご存じのテレビ番組に、登場していることをご存じですか?こちらも、ときど~き、あることなので、うっかり皆さんにお知らせするのを忘れて、家で慌てて布団から飛び起きることがあります(笑)。
 ということで、今日は、マニアな文化館ファンクラブ(?)のために、近々放送予定の番組を要チェック!です♪

 こちらはファンクラブにはもうお馴染みですね~。『ぬりえ 』 にもなりましたよ~作りましたよ~。そうです、山法師強訴図です。

山法師強訴図屏風(本館蔵)

 この屏風には、武装した比叡山の僧侶・僧兵(山法師)たちが、神の威光をかざして神輿(しんよ・みこし)を担ぎ、朝廷や幕府に無理やり訴えを通そうとする「強訴」の場面が描かれています。時代にして平安中期以降・・・強大な権力を持つ白河法皇が、朕(自分)の意のままにならぬものとして「賀茂川の水、双六の賽(さい)、山法師」の三不如意を挙げたという有名なエピソードもあります。実際の画題として描かれることは珍しく、本図は貴重な絵画資料となっています。

 この屏風が登場する、気になる番組とは・・・ズバリ! 5月11日(水)放送・NHK総合「歴史探偵/比叡山延暦寺」(22:00~22:45)デス。≪※見逃し配信5月18日 22:44まで

 番組紹介をチェックすると ・・・
[比叡山延暦寺を徹底調査!寺を開いた最澄の不屈の挑戦。比叡山に現れた「悪僧」の正体とは?焼き打ちにまつわる奇跡のエピソードまで…知られざる1200年の歴史に迫る。]
となっています。なるほど~・・・山法師強訴図が出てくる気配がプンプンしますな・・・ファンクラブならずとも、当館の地域連携企画展「伝教大師最澄と天台宗のあゆみ」展をご鑑賞くださった皆さんなら、存分に楽しめる内容ではないでしょうか?(あ、十分にファンクラブの領域です(笑)。)
 伝教大師が亡くなって1200年、関連するテレビ番組や展覧会など、私たちには歴史を知り、歴史に学ぶ機会がたくさんありますね。

 さて、次にご紹介するのが、5月の文化館に欠かせないこの話題!皆さん、事件です・・・そう、「大津事件」!
 社会科の授業にも出てくるこの事件が発生したのは、明治24年(1891)5月11日。当館には事件に関わる重要な資料があり、某日も、カメラ取材に来られました。

 その番組は、その放送は・・・おぉ~っとぉ、まだ内緒なのでした!エヘッ。5月末の予定ということで、今日はご勘弁くださいませ。続報をお楽しみに♪

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連載「滋宝」の立役者たち~全50回に贈る~

  今日はとても残念なお知らせです。 令和2年(2020)4月よりスタートしました朝日新聞[滋賀版]の連載「滋宝~琵琶湖文化館 収蔵品から~」が、全50回をもって終了いたしました。かれこれ2年続いた「滋宝」。休館中で展示・公開する機会が少なくなった当館の収蔵品を、隔週にわたり、カラー写真で大きく、その魅力を紙面とデジタル(ネット配信)で、紹介していただきました。皆さんからの反応も良く、「載ってるの見たわ」「楽しみに読んでる」と、お声掛けいただくことも多く、充実した内容でお届けできたことを、我々も嬉しく思います。

 3/10付けブログ「文化館で取り調べ?!」で少し”におわせて”いたのですが、実はこの日、執筆を担当した5人の職員と、編集を担当した記者さんが顔を合わせ、「滋宝」の最後を飾る総まとめの”座談会”が行われました。〔4/10紙面掲載・デジタル版

 この記者さんには本当にお世話になり、「気軽に読んでもらえる文章の書き方」や、「わかりやすく伝えるための写真・イラストの追加」「専門用語の言い換え」などなど、妥協を許さないあたたかいご指導(?!)を頂戴し、こちらも大変勉強になりました(笑)。
 皆さんは気付いておられないかもしれませんね。「紙面」に踊るキャッチーなタイトルと、「デジタル版」では微妙に言い回しが異なっていた回があります。紙面では地元の皆さんに読んでいただくため、タイトルに地名などは入りませんが、デジタル版では全国の読者に向けて、「近江の~」「滋賀の~」といった、細やかな工夫をされていました。記者さんのこの気遣い、この熱意、本当に有り難かったです。

 元々この分野にそこまで詳しくない方でしたが、連載をきっかけにどんどん深みにハマっていただき(笑)、「○○で△△を見て来た。滋賀にはいいものがいっぱいある。」と報告して下さるところなど、なんともお茶目な方で(笑笑)、興味の幅広さとフットワークの軽さに、我々も救われたものでした。総まとめとなった今回の記事でも、文化館をバックに皆の写真を撮る、そのこだわりといったら(笑)↓ ↓↓

 編集記者としてのこのこだわりが、熱意が、皆さんにも届いていたものと思います。連載50回の一番の功労者は、間違いなくこの記者さんかと!

 コロナ禍での2年間、マスク越しのお付き合いでしたが、素顔はきっと、こんなイケメン?!(※イメージです※)。 素敵な企画を有り難うございました!

 そして、連載を読んでいただいた皆さま、誠に有り難うございました!これからもまた 、 違うかたちで、文化館から様々な話題を提供してまいりたいと思います♪皆さま今後とも、お付き合いの程よろしくお願いいたしま~す!!

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壁画 杉本哲郎氏作「舎利供養」 新・文化館へ移設

皆さんは覚えておられるでしょうか?

文化館の小さい方の館:別館の壁に埋め込まれている巨大壁画「舎利供養」。こちらの展示会場は、昭和50年代半ばには一般の公開を取りやめていたので、「記憶にないな~」と言われても無理のないことかもしれません。

本図は、世界的に活躍した宗教画家である杉本哲郎氏(1899-1985大津市出身)が、滋賀県の依頼によって昭和24年(1949)に県立産業文化館において制作され、昭和35年(1960)に琵琶湖文化館に移設されました。

中央の絵がほぼ正方形(縦3.67m×横3.58m)、左右が横長(各縦1.88m×横5.14m)の、とても大きな壁画です。長らく皆さんにご覧いただく機会がございませんでしたが、このたび、大津市浜大津において令和9(2027)年度に開館を予定している新しい文化館に移設する方針が決まり、2月28日に当館において記者発表が行われました。

滋賀県では、本年度、この壁画の価値評価や設置構造の調査を実施しております。当初、壁画と建物自体のコンクリートがどの程度まで密着しているのか、心配するところでございましたが、躯体との間には空間があり、取り外すことが可能であることが確認されました。
一方で、経年による部分的な絵の具の劣化が見受けられるため、膠(にかわ)などをつかった剥落止めの措置を施し、移設の振動に耐えうるよう、対処する予定となっています。

記者発表の場には、杉本氏の孫である太郎さんも同席され、「祖父もきっと喜んでいるだろう」と感想を述べられました。
杉本氏が、実際に古代インドの仏教画を取材し、その知識と技術を駆使して壁面に直接描いた巨大壁画「舎利供養」。本図は、迫力に満ちています。
新・文化館にて皆さまにご覧いただけるよう、万全の態勢で準備を進めてまいります。

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高校生のアイデア拝聴! 新・琵琶湖文化館

このたび、滋賀県・文化財保護課さんでは、滋賀県立膳所高等学校の1年生で美術を選択している生徒さん達を対象に、全6回のカリキュラムで文化財に関する連続授業がおこなわれました。
実はこの授業に当館の学芸員も参加しておりまして、その内容はといいますと、「文化財を知り、考える」をテーマにしたフィールドワークや、文化財と「琵琶湖文化館」について、滋賀県の文化財の概要、琵琶湖文化館のこれまであゆみと新文化館の構想などを、座学で学ばれた、とのことです。

・・・!・・・今、サラリと書きましたがとても気になるワードがありました・・・そう!我らが「琵琶湖文化館」のことを授業に取り入れていただいてます~!特に、令和9年度(2027)に新しく生まれ変わる(仮称)新・琵琶湖文化館での取り組みの具体案、これを生徒の皆さんが一生懸命考え、アイデアを発表してくださるとのこと。なんて画期的なこの授業!わくわく・ドキドキ♪若い皆さんからどんなアイデアが出てくるのか、大人たちはそれはもう興味深々です(笑)。

ということで、21日に実施された発表会に潜入。。。4~6名のグループ毎に、「社寺」もしくは「仏像」のジャンルについて、課題や目的を整理し、生徒たちが思い描く「新文化館の具体案」が発表されました!ここでは項目だけご紹介しておきましょうか!?

〇VR仮想空間で素敵体験!
〇AR拡張現実でゲーム体験!
〇インスタで社寺フォトコンテスト!
〇おみくじ!御朱印!!

〇仏像ファッションショー!
〇お化け屋敷!?!
〇オリキャラ(オリジナルキャラクター)
必須!!
・・・だそうです♡♥♡

さっ、さすが若人!イマドキです!夢があってイイ!「楽しくしよう」という気持ちが前面に押し出されたアイデアです!机に向かって頭をひねるだけでは、到底出てこない発想。。。いやはやコーコーセー恐るべし(笑)♪
授業を終えて館に戻って来た学芸員は、開口一番に言いました「高校生に文化館のこと考えて貰って嬉しい!」「大人だけで話し合っている会議より”よっぽど”面白い」と・・・。いい刺激になったようです(笑)♪

今回の授業、さまざまなアイデアを直にうかがうことができ、こちらもビシッと気合が入りました!より良き新・琵琶湖文化館の建設に向けて、大人たち、頑張ります!!
授業に参加してくださった生徒の皆さん、声を掛けてくださった先生方、貴重な機会をいただき、誠に有り難うございました!大人たち、頑張ります!

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学芸員は走る

いよいよ年の瀬が迫ってまいりました。師匠も走る12月、これを師走(しわす)といいますが、文化館では学芸員が走ります。
12月、当館では寄託更新というとても重要なお仕事があります。文化財をお預かりしている県内各地の社寺さまをお訪ねし、今年一年お世話になったお礼と、来年も引き続いて大切な文化財をご寄託いただけるよう、お願いにうかがわせていただきます。

これには全寄託者さま・・・というわけもいきませんが、数日かけて県内を西へ東へ、学芸員が車を走らせます。

「今年もよう来た」と迎えていただけることが、嬉しくもあり、有り難くもあり。ご住職の変わりないご様子に元気をいただき、宮司さんとの何気ない会話の中で笑顔をいただき、代替わりされた総代さまにご挨拶をさせていただくことで、また来年のご縁を繋がせていただくのです。

書類上の手続きとはいえ、面と向かってお話しすることで、こちらも勉強させていただくことがたくさんあります。時にはさまざまなご相談を頂戴することがあり、「信頼を寄せていただいている」ことに感謝しつつ、気を引き締め直して、文化館としてどのような対応ができるか、考えを巡らせます。

おかげさまで今年も無事、ご挨拶回りを終えることができました。先輩学芸員さんから代々受け継がれてきたこの年末行事。寄託者さまから「文化館なら大丈夫」と言っていただけるよう、また来年も精進してまいりたいと思います。

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11月7日 県民フォーラム「新しい文化館を考える」 開催されました

ワクワク・ドキドキ、我らが関係者にとって大変“緊張する”1日を迎えました。この日、会場にお越し下さったのは、(仮称)新・琵琶湖文化館に関する県民フォーラム「新しい文化館を考える」に参加申込みいただいた皆さん。当館の今後について、未来について、関心を持ち注目して下さっている方々が、こんなにもたくさんいらっしゃる・・・そのことが大変有り難く、また心強く、気を引き締めてフォーラムを開催させていただきました。

先ず始めに、三日月知事からの挨拶では、この度新しく琵琶湖文化館の後継施設となる新・文化館が浜大津で再建されること、令和9年度の開館に向けて昨年度策定した基本計画に沿って準備を進めていることなどが説明されました。

講演では、石山寺責任役員でもいらっしゃる鷲尾龍華氏より、「石山寺の文化財保護のための活動」という内容で、お話しいただきました。皆さんご存じの大津市・石山寺さんでは文化財収蔵庫を持っておられ、寺宝である文化財の公開にも力をいれておられます。文化財を保護し守ってゆくためには、先ずはその文化財があるという事を知っていただくことも大切、それを誇りに思ってもらえるような取り組みが必要であると、文化財所有者の立場からお話しくださいました。それは滋賀県が目指す新しい文化館の未来像と重なることでもあります。

続いて青山学院大学文学部教授で近江八幡市出身の津田徹英氏より「新しい文化館開館に向けての期待と展望」ということで、新しい文化館の基本計画に示されている「活動の基本方針」について、より具体的に
“期待を込めて”(ご本人談)お話しくださいました。活動の基本方針については5本の柱として、①収集・保管 ②展示 ③調査・研究 ④情報発信・交流 ⑤地域の文化財の保存・活用支援 が掲げられています。これらを実現するために、学芸員の確保、アフターコロナを見据えたwebサイトの充実、若年層向けの発信など、具体的にわかりやすく説明いただきました。参加の皆さんも「うんうん(そうそう)」と頷きながら聞いておられたのが印象的でした。

パネルディスカッションでは、先のお二人に(公財)秀明文化財団理事の高梨純次氏と、合同会社nagori代表・観音ガールとしても活躍される對馬佳菜子氏が加わり、様々な角度からご意見をいただきました。 特に活動方針の⑤に掲げられる「地域の文化財の保護・活用支援」について、孫の代までつながっていくようなつながりを、地域の皆さんといっしょに勉強しながら育てていくような施設であるようにと、新しい文化館に託されたように感じられました。

フォーラム終了後、皆さんからいただいたアンケートには、
「地域の活性化に向けて進んで下さい」「若い方にどう興味を持ってもらうか」
「県民・国民と近江の文化財のつながりを役目として、新文化館が役割を果たして」
「施設改修時の文化財収蔵など県内博物館施設への支援も是非お願いしたく」
「滋賀県の特性を踏まえて地域と共に考え、地域に寄り添う、そんな活動・役割を
特に期待したい」
「県民とのコミュニケーションを大切に!」
など、様々なお声を頂戴しております。新しい文化館について考える、貴重な時間を皆さんと共有できたことに感謝しつつ、今後更に検討を重ね具体化できるよう、皆さまと共に進めていければと願っています。今後ともご支援・ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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新しい文化館を考える

皆さまに、是非とも”興味をもっていただきたい”県民フォーラムがあります。それは・・・平成20(2008)年度より10年以上にわたり休館となっている当館ですが、現在、滋賀県では、大津市浜大津において、令和9(2027)年度に新たな文化館の開館を目指し、準備が進められているところです。

新・文化館は、近江の文化財を中心とした魅力ある展覧会の開催はもちろん、新たに地域の文化財の保存活用を支援するサポートセンターとして、また文化観光の拠点として、今まで以上に親しまれる施設となって、皆さんと関わっていきたいと考えています。そのために様々な角度から参考になる多くのご意見を頂戴する、その機会の一つとして、この度の県民フォーラムを開催します。

日程は11月7日(日)14:00から、会場は文化財講座でもおなじみの[コラボしが21 3階大会議室]です。石山寺の鷲尾龍華さんや青山学院大学文学部教授の津田徹英さんの講演のほか、「県民に親しまれる新しい文化館に向けて」をテーマに、4名のパネリストの方々にさまざまな討論を繰り広げていただきます。どのようなご意見を頂戴するか・・・私たちも興味津々です。

時代の変化を受け入れつつ、守るべきところを守りつつ、文化財を未来へつなぐ、新・文化館。滋賀の歴史・文化について「ワクワク・ドキドキ」が盛り沢山の学び舎となりますよう、皆さまのお力添えをご参加を、心よりお願い申し上げます。

参加・申込み方法など詳しくはコチラ[チラシPDF]
主催・問い合わせ先:滋賀県文化財保護課 電話:077-528-4681

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面会させてください・・・感動の親子対面?!

夏の終わりだったでしょうか。1本の電話がありました。「琵琶湖文化館で収蔵されている作品について、HPで拝見したのですが、実物を見せていただけないでしょうか。どうもアヤシイのです・・・云々。」・・・おやおや、何の話でしょう???

実はこのお電話をいただいたのは、信楽窯業技術試験場の川澄場長さんです。当館のHP「収蔵品紹介/彫刻」で紹介している「服部岩吉胸像」が、以前からどうしても気になって(?!)おられたそうです。

この胸像について少し解説しておきますと、モデルとなっているのは服部岩吉(はっとりいわきち:1885~1965)氏。大正から昭和にかけて活躍した政治家で、滋賀県知事を務めるなどし、当館の開館に際しても大変ご尽力いただいた人物でもあります。

また、制作にあたっては、肖像彫刻の名手であった滋賀県出身の森大造(もりだいぞう:1900~1988)氏が手掛けた石膏像・・・というご縁もあり、現在に至るまで当館では、おそらく「銅像の原型として制作されたもの」として、収蔵されてきました。

そこへきてこの度のお電話です。川澄場長は、どうしても気になっていたという「その原因」を持って来館されました。その実物がコチラ!焼き物の服部岩吉像です!

・・・これは確かに気になる。。。というか似すぎ?!
・・・クリソツっ!!
・・・いやいやパッと見だけで、判断してはいけませんよね・・細部までよく見てみないことには・・。

石膏と焼き物の違いはあれども、鋭い眼差しに強い意志を感じさせる口元、服や肩のライン、側面に書かれたサインの位置まで、あらゆるトコロが・・・やはり同じ!これには持ってこられた川澄場長も思わずニタリ・・・窯業技術試験場の焼き物と、その原型となった文化館の石膏像が、半世紀の時を経て、感動の対面を果たしたのです~♪

エッ?大きさの違いが気になる?いえいえ、焼き物にすると1~2割は縮むものなんですよ~♪
唯一の違いは、焼き物の側面に残る細いライン。これは、当館の石膏を元に前後で型を取り、貼り合わせた跡が残っているのです。だからですね、石膏がうっすら茶色く汚れているように見えるのは!この石膏が使われていた証拠なんです~♪

ということで様々な角度から「親子の契り」を確認し、その再会を、心底喜んだ関係者一同・・・なのでした♪(笑)

それにつけても“焼き物”にしてなお、その人物の人格をも再現する彫刻家・森大造の技(描写力)の凄さよ・・・さすがでゴザイマス!

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9月9日 文化経済サロン「近江の仏像を伝える 新・琵琶湖文化館の目指すもの」

皆さんは、『文化・経済フォーラム滋賀』さんをご存じでしょうか?
滋賀県の文化活動の活性化および文化・経済の発展に寄与することを目的に、県内の文化、経済関係団体などが連携し、平成23年に発足された団体です [詳しくはコチラ] 。
文化、経済、学術、マスコミ、行政など多様な分野で活躍している人たちが集まる会員制の団体ですが、「文化で滋賀を元気に!」を合言葉に、広く一般に向けたイベントなども開催されています。そして、実はこのたび、この文化・経済フォーラム滋賀さん主催の“サロン”において、当館にも関わりある話題を取り上げていただくこととなりました!


タイトルはズバリ「近江の仏像を伝える 新・琵琶湖文化館の目指すもの」。講師に迎えるは、仏像(彫刻)を専門として滋賀県内の文化財にも精通されている髙梨純次氏(現(公財)秀明文化財団理事)です。
実は、髙梨氏、当館の学芸員として勤められたこともある、大先輩なんです。
社会の変貌とともに、地域で守り継がれてきた文化財を、後世に伝えていくことも難しくなってきたこのご時世です。文化財を取り巻くさまざまな事例を紹介しつつ、60年にわたり滋賀の文化財とともに活動してきた当館と、新・文化館に託される今後の展望・課題について、様々な角度から貴重なお話しをうかがいます。
その後、一般の方も交えての意見交換も予定されおり、司会進行は当館の和澄浩介学芸員が務めさせていただきます♪

「近江の仏像を伝える 新・琵琶湖文化館の目指すもの」
【日時】令和3年9月9日(木) 午後2~4時
【会場】滋賀県立産業交流会館 第一会議室(米原市下多良2丁目137)
[入場無料] [定員50名]
【参加の申し込み先】 お名前・ご住所(市町名)・電話番号をメールまたはFAXで、
文化・経済フォーラム滋賀・(公財)琵琶湖芸術文化財団
電話077-523-7146 FAX077-523-7147
メールbunka-keizai@biwako-arts.or.jp
   [詳しくはコチラ]

会員ではない一般の方も参加できます。実りある“サロン”となりますように!!

たくさんのご意見をいただいて、新・琵琶湖文化館が皆さまにとって、より良きものとなりますよう・・・皆さまもふるってご参加ください!!

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滋賀県立美術館・リニューアルオープン!

みなさ~ん!大津市瀬田にある美術館さんが、いよいよリニューアルオープンされますよぉ!!
滋賀においては県立の人文科学系博物館5館のうち、2館(当館と近代美術館)が永らく休館となり、みなさまにおかれましては、大変「モノタリナイ」思いをなさっていたのではないでしょうか?
このたび「滋賀県立近代美術館」さんが「滋賀県立美術館」として、6月27日(日)に、再開館されます!

美術館さんのコンセプトは「かわる かかわる ミュージアム」!今までの近現代美術に限らず、滋賀ゆかりの美術・工芸や、自由な発想のアール・ブリュットなど、展覧会の内容も実に幅広いラインナップです。

私たち文化館としても、今後さまざまなカタチで協力・連携し合い、滋賀の魅力を発信していきます。「かわる かかわる」ですね♪

館内においては、展示室で皆さんによりよくご鑑賞いただけるよう、様々な工夫を凝らしてバージョンアップ(!)されたと、聞いております。
更には、新たにキッズスペースやファミリールームなどが新設されたとも・・・。ゆったりと「リビングルームのような美術館」を意識したくつろぎ空間♡とても楽しみです♪

もともとワークショップや体験イベントなども充実していた美術館さんですから、そちらの方も期待大♡知的好奇心をくすぐられること間違いなしです!作品から得られるパワーのようなもの、学び、気付き、それらを五感で感じられるのもアートの魅力♪
心に響く感動を、さぁ魂を揺さぶられに行きましょう!

滋賀県立美術館さんがある大津市瀬田の「びわこ文化公園」は、豊かな自然に囲まれた癒しスポットです。県立図書館や県埋蔵文化財センターなど学びの施設があり、子どもたちは広場で元気にアスレチック遊具も楽しめます♪

不肖ながら文化館のあきつ(こちらは今しばらく休館中)、大津の湖岸から応援させていただきます!新しくリニューアルされる「滋賀県立美術館」さんが、たくさんの人々に愛され、親しまれるスポットとなりますよ~に!
そうです!滋賀でみんなで元気になろう!

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研究紀要 37号

野山の新緑が目に眩しい季節となってきましたね。この時期、年度末にまとめられた研究紀要や事業報告などが、各機関や施設から続々と届きます。これらの報告書には、各専門分野の詳しい調査成果や、さまざまな論文、最新の調査技術などについて、参考となる情報がいっぱい詰まっています。かく云う当館の「研究紀要 第37号」にも・・・!
金勝寺所蔵 独鈷杵および五鈷杵の科学的調査報告
近江に伝わる奈良期の四分律刪繁補闕行事抄について
-聖衆来迎寺と西教寺の伝来本-
[資料紹介]龍福寺(甲賀氏甲賀町滝)所蔵 木造四天王立像

うぅ、ちょっと難しいですか?あきつブログ的に紹介しますとですね・・・

①は、昨年度新たに滋賀県指定有形文化財に指定された独鈷杵と五鈷杵について、蛍光X線、X線CT装置による調査を実施したその最新報告です。金剛杵について、今までにこのような調査はほとんどされていなかったため、内部の構造や成分について、大きな成果が得られました。
〔あきつブログ的には、五鈷杵の握る部分にある鬼のお顔が・・・キュート!!〕

②先ずはその難しい読み方から(笑)!「四分律刪繁補闕行事抄(しぶんりつさんぱんほけつぎょうじしょう)」。これまでおそらくは奈良時代の古写経の一部(断簡)・・・とされていたものが、全国的に珍しい奈良時代の「四分律刪繁補闕行事抄」の書写本であったことが判明。とても貴重な発見でその伝来も気になるところです。
〔あきつブログ的には、近年のデジタル化で、難しい昔のお経までもがインターネットで検索できる時代になった・・・コトに驚きデス。僕も調べてみたい!!〕

③昨年、甲賀市歴史文化財課との共同調査で、龍福寺の四天王立像が平安時代にまで遡る古像であることが判明。
〔あきつブログ的には、後世に施されたブ厚い色彩の下に、平安時代特有の穏やかな表現が隠されていたとは・・・さすが全国屈指の文化財王国:滋賀。その素顔も是非拝見させていただきたいな~今後の調査に期待!!〕

ということで!「新たな発見がいっぱい」の研究紀要になっています。この発見を皆さんにご紹介できる機会を現在模索中~~~ご期待ください。

発刊して思うコト:全くの偶然ですが、今回の紀要に掲載した①②③すべてが天台系のお寺さまの文化財。これは何かのご縁であるに違いないと、コッソリ深読みしています。そういえば今年は、天台宗の開祖である伝教大師最澄が亡くなって1200年。さまざまなご縁に紡がれて・・・いるように思えるのは僕だけでしょうか。。。?

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