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琵琶湖を渡った舟、実は当館にも

 NHK大河ドラマ「光る君へ」、5月19日放送の第20回は、岸谷五朗さん演じる藤原為時が越前国の国司に任じられました。続く第21回「旅立ち」では、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)とともに、越前へ向かうシーンがあるようです!次回予告の冒頭に琵琶湖を渡る場面が出てきたのを、あきつブログをご覧の皆さまは見逃さなかったのではないでしょうか。

 この際に登場すると予想されるのが、打出浜から出航する舟。当館が所在する「打出浜」は、昔から京から琵琶湖に渡る際の発着地でした。『蜻蛉日記』の作者、藤原道綱母も石山詣に際して打出浜から舟に乗ったことはご紹介しましたが(過去のブログはこちら)、紫式部もここから越前へ旅立ったと考えられます。

 では、紫式部が乗ったであろう舟とはどんなものだったのでしょう。確かなことは分かりませんが、琵琶湖を渡る舟といえば琵琶湖博物館の常設展示があり、また安土城考古博物館で縄文時代の舟に関する企画展(平成18年)があるなど、滋賀県内ではさまざまな時代の舟が展示されてきています。しかしご存知の方は少ないと思いますが、実は当館にも舟が収蔵されております!! それがコチラ↓! !

 当館の舟は、長さ2.3メートル、幅は50センチほど。丸木舟か準構造船の底部の部材とみられ、野洲市須原の干拓地から出土したものです。琵琶湖の水運を伝える舟が打出浜に位置する当館にあると思うと、滋賀県の歴史がぐっと身近に感じられますね♪

 ところで・・・番組の次回予告で、まひろたちが乗っていた舟が、めっちゃ立派に見えた・・・ のが、とても気になるノデスガ??(笑)。お天気のとっても良い日に撮影されたそうです。美しい琵琶湖の風景も楽しみですね。来週も必見です!

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「光る君へ紀行」に当館も所蔵する〇〇が登場!

  NHK大河ドラマ「光る君へ」では、登場人物たちが筆を使って文字を書くシーンがたくさん出てきます。
 5月12日放送の第19回でも、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が『新楽府』を書き写すシーン、まひろの父の藤原為時が除目の申文を書くシーンがありました。そして、藤原道長が日記を書き始めたエピソードにも、筆の存在を感じさせます(その日記を広げたままにして妻の源倫子が覗き見るのもドキドキ♪)。
 

  さて今回の「光る君へ紀行」では、道長直筆の日記である陽明文庫所蔵の国宝「御堂関白記」とともに、滋賀県高島市の筆づくりが紹介されました。番組では、安曇川の流れとともに、筆の制作・販売をする高島市の攀桂堂(はんけいどう)で、巻筆が作られる様子を放映。まさに毛を巻いて作っている様子が分かりましたが、一般的な作り方の筆との違いはご存知ですか?

 現代の一般的な筆(水筆(すいひつ)と言います)は、筆先は毛(獣毛)のみで作られますが、巻筆は中心に芯となる毛を立て、その周りを和紙で巻き、さらに数回にわたって毛と紙を交互に巻き付けて作られます。こうした作り方の筆は中国から伝わり、正倉院には奈良時代の巻筆がのこります。江戸時代の末に水筆の製法が伝わってからは、巻筆の生産はごく少なくなっていったようです。

天平筆(雀頭筆) 当館蔵

  当館では、巻筆を作り続ける攀桂堂の14代目藤野雲平(1999年没、県指定無形文化財)の作を所蔵しています。2021年に高島市で開催した地域連携企画展でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。まひろや道長も、こんな巻筆を使っていたのかなと想像すると楽しいですね。

  ドラマでは、まひろが参内して一条天皇と中宮定子に拝謁し、「私には夢があります」と語る場面が印象的でした。一方でドラマ終盤は、藤原隆家が花山院に放った矢により長徳の変が引き起こされるという、かなり不穏な雰囲気・・・。次回以降の展開&滋賀の文化財の登場にも期待です!

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藤原道綱母も文化館の近くに来ていた!

 あきつブログ読者でNHK大河ドラマ「光る君へ」をご覧の皆さまは、きっと待ちに待った回だったのではないでしょうか。4月14日放送の第15回です。

 4/8付のブログでご紹介したとおり、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)たちが、石山寺に出かけます。まひろは石山寺参籠中に財前直見さん演じる藤原寧子(藤原道綱母)に出会い、『蜻蛉日記』の感想を実感たっぷりに伝えて親交を深めます。うーん、紫式部が石山寺で道綱母に出会い『蜻蛉日記』執筆のモチベーションを聞いたことが、『源氏物語』創作のきっかけになるという描写、素敵ですね♪

 さてこの『蜻蛉日記』には、道綱母が京から石山寺へ参詣する旅程も記されています。ここに文化館が所在する「打出浜」の地名が出てきますので、往復の道のりをそれぞれご紹介します。

 行きは、夜明けごろに家を出て、逢坂の関を越えて近江に入り、打出浜には死ぬほど疲れ果ててたどり着きます(「打出の浜に死にかへりていたりたれば」)。打出浜から舟に乗って瀬田川を渡り、夕方には石山寺に到着したようです。

 道綱母は夫の兼家の不実に悩んで石山詣を思い立ったので、かなりのメンタル不調での旅路です。。。京から近江に歩いて来るのはそれなりに大変だったでしょうし、行きは琵琶湖を楽しんでいる様子はありません。

 石山寺では泣いて過ごしましたが、滞在が癒しとなっていたようで、帰りは琵琶湖を眺めながらの航行。暗いなか石山寺を出て舟に乗り、瀬田の唐橋のあたりで夜明けを迎えます。ほのぼのとした夜明けの風景を見ながらも、何もかもしみじみと心にしみて悲しい・・・、帰りもやっぱりメンタル不調ですが、打出浜からは車に乗り、京には昼前に着いたとのことです。

(常夜灯と文化館)

 当館周辺の打出浜に道綱母が来て、琵琶湖を眺めていたと思うと感慨深いですね。「光る君へ紀行」(番組HPにリンク)では当館近くの常夜灯も映りましたし(ただし弘化2年(1845)建立、この場所には平成17年(2005)移設)、平安時代の人々の石山詣に思いを馳せつつ、近江を巡ってみてはいかがでしょうか。

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来週の大河ドラマに石山寺が登場!&横笛奏楽姿にも期待★

 NHK大河ドラマ「光る君へ」。先日放送された次回予告を見てワクワクしている方も多いのではないでしょうか。

 4月14日放送予定の第15回「おごれる者たち」の次回予告は、「もうすぐ石山寺ですよ」というセリフからスタート。吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)の一行が、石山詣をするようです!石山寺でのロケ実施はなかったとのことですが、今も昔も風光明媚な石山寺が、ドラマの世界観にどう映し出されるのか、楽しみでなりません。

 さて、石山寺の登場も楽しみですが、次週では楽器演奏シーンにも目が離せない予感がします。次回予告を見ていると、これまで子役だった一条天皇が成長した姿でお出まし。そして横笛を吹くシーンがあるようです。平安時代の貴族たちは、男性は主に横笛などの管楽器、女性は琵琶(まひろが弾く琵琶に注目したブログはコチラ)や琴といった弦楽器をたしなんでいたといいます。とりわけ一条天皇は実際に横笛の名手であったことが知られ、様々な日記や記録に記されています。

 そんな楽器演奏の場面が描かれた品を当館の所蔵品から探してみますと・・・、「源氏物語図」の1ページにありました!「帚木(ははきぎ)」の「雨世の品定め 浮気な女」です。男性が横笛を吹くと、御簾の中から女性が琴を弾いて応える図は、まさに大河ドラマの世界みたい♪

 
「光る君へ」で描かれるシーンが、当館所蔵品ともさまざまにつながりがあると考えると、ますますドラマへの期待が高まりますね。来週は必見です!

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ありがとう文化館のいきものたち!~洋犬から迦陵頻伽まで~

 本県の地域紙である『京都新聞』滋賀版で、4カ年にわたって「いきもので知る近江の文化財」と題する連載が行われていたことをご存じですか?。
 滋賀県文化財保護課が執筆を担当した本シリーズでは、文化財と関わるさまざまな「いきもの」について取り上げられました 。 動物、植物から想像上の生物に至るまで、バリエーション豊かな生きものと人間との関係について、近江の文化財を通して学んでいただけたことと思います。

 全104回の初回は令和3年7月25日、琵琶湖文化館所蔵「洋犬図」でした。その後、本館屋上にあった「大トンボ」、岸岱筆の「猛虎咆哮図」、円山応挙筆の「狗子図」などなど、文化館ゆかりの「いきもの」たちが多数登場。

 令和6年3月31日、連載の最終回を飾ったのも、西明寺蔵で文化館寄託の仏涅槃図と、文化館大壁画の舎利供養図に描かれた極楽の鳥「迦陵頻伽(かりょうびんが)」だったのです! 。

 迦陵頻伽は仏教における想像上の生物です。上半身が人で、下半身が鳥の体をしているということですから、今そこにいると思うとなかなかに怪しげな姿ですね。ちょっとしたホラーです。でも、安心してください(?)。現世で会うことはありません。浄土にしか生息していないからです。

  『仏説阿弥陀経』というお経をご存じですか。天台宗や浄土宗、浄土真宗などで日常的に用いられている大事な経典ですから、ご承知の方も多いでしょう。

 その中で、阿弥陀如来の極楽浄土に、きれいな声でさえずる色鮮やかな鳥たちがいると説かれます。孔雀(くじゃく)、鸚鵡(おうむ)、舎利(しゃり=九官鳥)らとともに、迦陵頻伽が出てきます。その名はサンスクリット語「カラヴィンカ」の音写であり、「妙なる声」を意味します。美しい声で鳴いて仏法を讃え、極楽の住人たちの信仰心を高めてくれるというわけです。
 したがって、極楽の鳥・迦陵頻伽が描かれるのは浄土を表現した絵画や工芸品が中心となります。昭和24年(1949)琵琶湖文化館の大壁画「舎利供養」も仏舎利を中心に描かれ、阿弥陀浄土をモチーフにしています。そこに描かれた迦陵頻伽はインド・中国の壁画の伝統にのっとりつつも、杉本哲郎(すぎもとてつろう・1872~1933)の闊達な運筆で生き生きとした姿に表現されています。令和9年に新・文化館がリオープンするときには、ぜひとも大壁画に描かれた「極楽の鳥」にも注目してください。

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 「いきもので知る近江の文化財」の連載は一区切りとなりましたが、近いうちに別の連載も企画されて・・・いるとか、いないとか?!琵琶湖文化館の作品や学芸員たちが引き続き連載に登場・・・するとか、しないとか??!・・・うふふっ・・・~お楽しみに♪♪♪

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歴史探偵あらわる・大津事件

 2月某日、とある来訪がありました。その方たちは、事件で凶器となった重要物品であるとか、血に染まったハンカチであるとか、その他関係資料もろもろ、時間をかけて丹念に調査をされておりました。対応した学芸員は「ドキドキした・・・」と申しております。平穏な文化館でいったい何が・・・?!

 カンのいい方はもうお分かりですね?実はコレ、当館が所蔵する「大津事件関係資料」を取材に来られていたのです。

 大津事件は、1891年(明治24年)、訪日中のロシア皇太子ニコライが、遊覧先の大津で、警備にあたっていた巡査・津田三蔵にサーベルで切りつけられ負傷を負った事件です。
 世界を揺るがす大事件は、司法権の独立や三権分立、領事裁判権の撤廃など、日本の近代を語る上で、“激動”のきっかけとなった事件・・・としても有名です。

 今回撮影に来られたのは、NHKの放送番組「歴史探偵」クルーの皆さん。熱心に話を聞き、時に鋭い質問を投げかける、その話術の巧みさ・・・さすがは皆さん名探偵?!(笑)♪

 番組では、探偵社の所長(?)を務める俳優・佐藤二郎さん方々の名推理により、歴史のナゾが新たに解き明かされます??!気になる放送日は・・・↓

 令和6年4月3日(水)22:00~ NHK総合
「歴史探偵 日露戦争 知られざる開戦のメカニズム-」

です!
 なぜ、日本とロシアは戦うことになったのか?すれ違う両国、開戦への世論の高まり・・・大津事件は歴史にどのような影響を及ぼしたのか・・・番組をお見逃しなく!!  

  「大津事件関係資料」は、事件で凶器となったサーベルやニコライの血をぬぐったハンカチ、津田の取り調べ調書などが、滋賀県指定の文化財となっています。

 歴史の生き証人である文化財、歴史の謎解く文化財・・・皆さんが事件の目撃者です。番組をお楽しみください。

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親子で体験「ミニ屏風をつくろう!」守り人!

 現在、安土城考古博物館で開催中の地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」。3月24日には関連イベントとして親子で参加するワークショップ「ミニ屏風をつくろう!」が開催されました。

 初めに展示室で実際の屏風をご覧いただき、屏風の構造などをご説明。イマドキのご家庭では「もしかして屏風を知らないってことも・・・?」という一抹の不安がありましたが、参加の皆さんは「知っている」「家にある」とのご回答♡スタッフ一同ほっと胸を撫でおろしました(笑)。 先ずは第一関門クリア(!)です!

 別室に移動し、いよいよここからが本番! 作りたい屏風の絵柄を選んでいただきました。当館の収蔵品の中から、おススメのワンコ(犬)やお祭り、光源氏なみの男性とお姫さまが登場するやまと絵、などを用意していたのですが・・・意外にも(?!)子どもたちが選んだのは、近江八景を描いたシックなもの!・・・皆さん「通」ですね・・・母なる湖/琵琶湖に関係する絵柄を選ぶとは、さすがです♪
 組み合わせる下地の模様を決めていざ実践!

 講師を務めた岩﨑学芸員の手ほどきを受け、ハサミやノリを使って工作をすすめる子どもたち。ちょっぴり緊張ぎみです(笑)。

 作る過程で一番『肝心』なトコロは、屏風と屏風をつなぐ「蝶番(ちょうつがい)」!・・・と言っても金具ではないですよ?!本物の屏風と同じように「和紙」でつなぎます。和紙を貼って、ひっくり返して、上下を交互に貼り付けて・・・(ここでは説明を端折りマスが)、こうすることで、屏風は前にも後ろにも開くことが出来ます。うまく合わせられるかキンチョ~の瞬間・・・この難関を乗り越えれば、あとはサクサク♡選んだ下地と絵柄を貼って、ミニ屏風の完成です♪

 今回のワークショップで「屏風づくり」を企画したのは、「文化財を守り伝える、そのためには、モノの素材や構造・仕組みを理解しておくことがとても大切」ということを、知っていただきたかった・・・ためです。

 使った材料はホームセンターなどで手に入る発泡スチレンボードですが、和紙でつなぐことで本物と同じように開いたり閉じたりすることができました。
 参加した子どもたち、次に屏風を見る時には、描かれた絵より何より、先ず合わせ部分(紙蝶番)に目がいってしまうコトでしょう!(笑)。「あれ、紙でくっついていて、どっちにも開くんやで」と、お友達にも教えてあげてくださいね!

 最後に、楮(こうぞ)やミツマタなど、原料が異なる手漉き和紙の“触り比べ”をしていただきました。「実はお札にも和紙が使われている」との説明に、とてもびっくりした様子の子どもたち。改めて質感を確かめていましたね~(笑)。伝統を受け継ぐ日本の技を、最も身近に感じて貰えた瞬間かもしれません(笑笑)。

 

 ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました♪。今までとは違った視点で、文化財を見ていただくことができたなら・・・皆さんはきっと「文化財の守り人」です!

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~約100年ぶりの再発見~西郷隆盛の自筆書簡が滋賀にあった!

 こうも連日、喜ばしい記事を掲載してもいいのでしょうか・・・いいのです!皆さんしばしお付き合いください!!
 今日のニュースは特別・驚きますよ~。なんとあの西郷隆盛が書いた直筆の書簡が滋賀で(再)発見されました!

 コトの発端は昨年秋、とある個人の方から当館に、文化財を寄託されたことから始まります。お品を見せていただいたところ、不思議なことを言い出す人がおりました。
 
  「アレ?おかしい??自分、どこかで見た記憶がある・・・
  「 いつですか?」
  「 小学生の頃・・・
  「 ?」
なんとも奇妙な会話を交した数日後・・・

  「 やばい、モノホン(本物)の可能性がある。
 ちょっと詳しく調べる!見た気がしたはずやわ
  「 いったい何を?」
  「 西郷隆盛が書いた手紙
  「 ・・・!!!・・・」

少し説明させていただくと、この「(ビックリマーク)」3連発には様々な意味が含まれます・・・↓

①えッ?西郷隆盛
②小学生でも知っている明治維新の立役者の「書」がなぜ滋賀に?!!
③・・・小学生の頃見た記憶が、ってアナタそんな頃から墨で書かれた達筆文字・読めたのですかーッ?!・・・それが記憶に残っている、とはどんな小学生ですかーッ!!!

 突っ込みドコロ満載の会話のあと、副館長の動きは素早かった・・・そう、このたび発見の書簡を確認したのは当館の井上優副館長。感受性豊かな少年期を過ごし、大人になられた副館長の専門は「書跡・典籍/古文書」などの文化財です。いろいろ納得できました(笑)

西郷隆盛書簡 個人蔵[琵琶湖文化館寄託]

 前置きが長くなりましたね。 書簡について、その真贋や内容を調査鑑定したところ、アメリカ滞在中の大久保利通にあてた西郷自筆の書簡原本であることが、判明しました。昭和2年(1927)に紹介されながら所在不明となっていた重要史料の再発見です!

【収蔵品紹介】西郷隆盛書簡
➡リンク
 
【琵琶湖文化館研究紀要第40号】
再発見した西郷隆盛書簡とその伝来について➡リンク

 この書簡は、琵琶湖文化館地域連携企画展として、令和6年5月27日より滋賀県公文書館において特別公開する予定です。

 皆さんおまちかね、毎年恒例“あの講座” でも、 詳しいお話を聞くことができるかもしれません?!(→聞けます!!)

 約100年ぶりに滋賀で見つかった逸品に・・・みなさんソワソワしてくださ~い♪♪

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滋賀県に新たな指定文化財・誕生!

 今日も・うれしいニュースが飛び込んできました!本日、令和6年3月19日、有形文化財5件(絵画1件、彫刻1件、工芸品1件、歴史資料1件、考古資料1件)、史跡1件が、新たに滋賀県指定の文化財等になりました!

絹本著色六道絵 中谷求馬筆
 天道幅に白雲洞貞幹行年七十六歳写の款記がある
  15幅 [大津市・聖衆来迎寺所有/琵琶湖文化館寄託]
木造神像 (男神坐像1 女神像1 女神坐像1 女神坐像1)
  4躯 [甲賀市甲南町・矢川神社所有]
金銅七宝装神輿 1基 [長浜市・常喜町所有]
成菩提院制札 4枚 [米原市・成菩提院所有]
  一、永禄十一年八月日織田信長 禁制1枚
  一、天正十年十二月日丹羽長秀・ 羽柴秀吉連署禁制1枚
  一、慶長五年九月日小早川秀秋禁制 1枚
  一、慶長五年九月日小早川秀秋禁 制案 1枚
   附、禁札箱(元禄十三庚辰秊三月吉祥日の銘がある)一合
春日北窯跡出土品 1,627点 [滋賀県所有]
春日北窯跡(甲賀市水口町) 1件 [滋賀県所有]

以上の6件です!!いやぁおめでたい!! 何をこんなにコーフンしているのかと言いますと・・・当館にも少なからずご縁のある品が2件・・・新たに指定されております~。お気付きですか?

 先ず一つ目は、六道絵。聖衆来迎寺さまから当館にご寄託いただいております。こちらは同寺に伝来する国宝・六道絵15 幅の模本(もほん:模写して作ったもの)ですが、江戸時代後期の文政6 年(1823)に近江国坂田郡今村(現長浜市今町)出身の絵師、中谷求馬(なかたに もとめ:1748~1832)によって描かれました。当館では国宝・六道絵と区別して「文政本」と呼んでいます。

滋賀県指定有形文化財 六道絵  [ 聖衆来迎寺所有] (写真提供:滋賀県)
【⤴クリックすると琵琶湖文化館の収蔵品紹介にリンクします】 

 ここで皆さんに思い出していただきたいのが、先日のギャラリートークでの一コマです。会場で、当館の岩﨑学芸員は言いました。複製された作品には、時として「オリジナル(原本)と同じくらいに伝わる情報がある」と〔3/11付けブログ〕 。

 経年とともに劣化するオリジナルの情報を今にとどめるという意味では、代替品はむしろ後世にとってはかけがえのない文化財となり得る・・・あの時、“何か”を必死に伝えようとした学芸員の表情・・・まさしく!この度の新指定のことではないでしょうか??!我らが学芸員、見事な伏線回収(!)でゴザイマス(笑)。 
 皆さま、模本をモホンと侮るなかれ・です!!本図は、原本のきわめて正確な模本であり、原本で確認し難い図様を把握することができる絶好の資料として評価されました。

「成菩提院 寺宝展」ちらし
(制札:写真右下)

 そして、もう一つは成菩提院制札です。そう、昨年11月に実施した地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」の会場でも展示されていた制札です。講演会では、柏原宿歴史館の谷口徹氏に詳しくお話をうかがいましたね〔11/6付けブログ〕。織田信長や丹羽長秀、羽柴秀吉、小早川秀秋らの花押が鮮明に残っていたあの制札。県内では、紙に書かれた古文書の「禁制」は相当数存在するものの、木札の形で保管され、かつ保存状態の良い中世の「制札」はめずらしく、戦乱に巻き込まれた戦国期近江の歴史を力強く語る歴史資料として、このたび指定されました。

 ご縁のあった作品の価値が改めて再認識される喜び♡滋賀県の、滋賀県らしさが際立つ新指定文化財でございます♪

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博物館実習が実を結んだ『重文』指定!

 このたび嬉しいニュースが飛び込んできました。本日開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決によりますと、美術工芸品で新たに国宝6件、重要文化財36件を指定することについて、文部科学大臣に答申。これにより我が滋賀県からは、新たに1件(書跡・典籍の部)が、重要文化財新指定となる見込みとなりました!それは何かと言いますと・・・
 元版一切経(げんぱんいっさいきょう) 2,892 帖 園城寺(三井寺)所蔵
でございます。実はこちらのお経、当館の長い歴史の中で、浅からぬご縁がございまして。
・・・と言いますのも・・・・・

「博物館実習に来られていた(当時の)お兄さ~ん・お姉さ~ん!皆さんの実習の成果が実を結びましたよぉ~!!」
 
・・・思わず叫んでしまいました。こちらの写真は平成5年(1993)に撮影された、
  文化館「名物」の?・・・(何か違う)・・・
  文化館「伝説」の?・・・(ニュアンスが)・・・
  文化館「伝統」の!・・・(正解!!)
“現地”博物館実習の様子です♪まさにこの時、学生さん達が園城寺さまにて調査していたのが、このたび重要文化財に指定される一切経だったのです!

 文化館の博物館実習は(良い意味で)スパルタです。
 学芸員資格を得るという志を持った学生さんを、大学を通じて受け入れるのが毎年だいたい7月。5日間の日程で、初日と2日目は博物館とは何ぞやという基礎を学び、3・4日目に“合宿”で、現地実習が行われました。
 この合宿でよくお世話になったのが園城寺さまです。暑いさ中、お経のある一切経堂でひたすら汗を拭きふき資料を調査、夜は観音堂に泊まらせていただくという、ありがた~い学びの場でありました!

平成5年(1993) 琵琶湖文化館博物館実習の様子(園城寺一切経堂にて)

 ここで申し上げておきますが、当時のことを悪く言う人はいません。大人になった今聞いても「楽しかった」「思い出深い」と言っていただける現地実習です。(それはお泊りの夜、“密かに”おこなわれた夜通し勉強会〔という名の一発芸&ものまね大会〕があったからかもしれません・・・これぞ伝統!)5日目の最終日には、打ち解けた様子で爽やかに巣立って行った『文化館チルドレン』(?)たち(笑)。今はどうしていらっしゃいますかね~様々な分野でご活躍のことと思います♪♪♪

 で、話を戻しますと、この学生さんたちの基礎調査が約20年後に実を結び、今回の重文指定に繋がった・・・と言って間違いゴザイマセン!!皆さん、思い出を懐かしみつつ、お祝いしようではありませんか!!よく頑張りました◎◎◎!

令和5年(2023) 事前調査の様子[滋賀県提供]

 ちなみにこちらの写真は、昨年、梅雨入り前に、文化庁の専門技官さんや文化財調査のスペシャリストさんが行った、“専門家さん”たちによる調査風景です。さすがに漂う雰囲気が違う
・・・貫禄!・・・さすが、でございます(笑)。

 多くの人々の並々ならぬ協力と調査・研究を経て、新たに指定文化財となる一切経。

 文化館チルドレンを代表して、心よりお祝い申し上げます☆☆☆

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新視点満載のギャラリートーク②

 本日のブログは、前回に引き続き 3月9日に行われた関連講座とギャラリートーク の様子をご紹介します。今回は考古担当の 大道和人学芸員 (安土城考古博物館)の登場です。

講座の様子

 この日、講座で講師を務めた大道学芸員は「復元!紫香楽大仏の鋳造技術」という演題でお話しされました。
 聖武天皇が大仏(銅造)造立を開始した甲賀寺に隣接する鍛冶屋敷遺跡(史跡紫香楽宮跡 ※新名神信楽IC辺りです)。大道学芸員はこの発掘調査にも関わっておられ、出土した遺物から「奈良時代に大仏がつくられた当時の炉、そして送られた風はどのようなものだったのかということが『復元』できる」と、イメージ図を示されました。(会場の展示パネルや来場者にお配りするパンフレットに詳しく掲載しています。)

展示室にて 熱く語る大道学芸員

 お話を聞きながら、銅を溶かすための作業はどんなに熱いものだったのか、それだけの風を送るためにどれだけたくさんの人がふいごを踏んだのだろうかと、当時の人々への想像が膨らみました。

 いざギャラリートークで、会場の展示室に移動したあとも、大道学芸員の熱弁は止まりません(笑)。発掘調査の醍醐味、苦労話、その成果など、皆さんに伝えたいことがたくさんあったようです(笑笑)。参加者からの質問にも嬉しそうに答えておられましたよ。

保存処理室にて

 その後ギャラリートークの一行は、博物館内にある出土木製品の保存処理施設へ。こちらは普段は立ち入ることができないお部屋で、今回は特別のご案内です♪

 作業を担当されている福井技師((公財)滋賀県文化財保護協会)から、「地中には伏流水が多く、木製品が空気に触れないため、腐らずに残っている」と聞き、皆さん納得のご様子。樹脂に漬け込む、あるいはフリーズドライにするという保存技術の大きな設備に興味深々でした。

 文化財がどのように伝えられてきたのか、そしてこれからにどのように伝えられていくのか。また作られた当時はどのような状態だったのか。講座とギャラリートーク、展示を通して、新視点をたくさんいただくことができました。案内してくださった職員の皆さん、そして熱心に参加された皆さん、本当に有り難うございました。
    

 皆さんもぜひ「近江の文化財を継ぐ-修理・修復・復元-」の展示を通して、文化財のあゆみとそれを取り巻く人々へ思いをはせてみてください。そして展示にとどまらず、皆さんの身近な文化財にも思いを寄せるきっかけになれば幸いです。

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新視点満載のギャラリートーク①

 現在開催中の地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・修復・復元-」。展示は一人で見るのもいいですが、詳しい解説を聞いて改めて作品を見ると、何倍もの発見と驚きがあります。3月9日(土)に行われた関連講座とギャラリートークは、まさにそのような機会となりました。今日は少しだけその様子をご紹介しましょう。会場である 安土城考古博物館での案内人は、本展の担当:安土城考古博物館の大道和人学芸員(考古)と、当館の岩﨑里水学芸員(保存科学)です。

 先ず展示室に入って右側のゾーンを解説するのは、岩﨑学芸員です。目を引く屏風や掛軸、精緻に描かれた作品に思わず見入ってしまいますが、実は本展の見どころは作品だけではありません。その“前”に置かれた「修理」に関するある“モノ”にも注目していただきたく・・・。
 
 例えばこちら、仙人図屏風の解体修理で出てきたモノですが・・・岩﨑学芸員が手にするクリップボードに何か書かれていますね?分かります??

  なんと!屏風の下から、屏風に直接関係のない(!)看板の下絵や、滋賀県内の地名が書かれた紙、落書きの鳥(よく見ると可愛い?!)などなど、様々な「下貼り文書」 が出てきました!
 屏風を仕立てるときや修理をするときには、たくさんの紙が必要です。紙が貴重であった時代には、一度使われ文字などが書かれた紙も、屏風の内側に使われました。博物館では、このような文書類も貴重な資料として、作品とともに後世に引き継ぎます。

 この他にも修理銘が書かれた古い部材や表具裂、作品の裏に貼られた肌裏紙に至るまで、大切にとっておきます。「文化財を継ぐ」時、いつどのような方法で修理されてきたのかという情報が、重要になるためで、「これらも普段は皆さんにご覧いただくことのない重要な博物館活動の一つ」であると岩﨑学芸員は説明されました。

 また、文化財の「複製」「復元」も本展の大切なキーワードです。作品を食い入るように見比べる参加の皆さん、違いを見つけようと必死です(笑)。時としてこれらの作品には「オリジナルと同じくらいに伝わる情報がある」という岩﨑学芸員の言葉が印象的でした。経年とともに劣化するオリジナルの情報を今にとどめるという意味では、代替品はむしろ後世にとってはかけがえのない文化財となり得る代物です。博物館では保存と活用のバランスをとりつつ、いかに皆さんに情報を伝えていくか、学芸員の腕の見せ所でもありますね。

 おっと残念!本日のブログ、ここで字数制限に達してしまいました。アレ?大道学芸員の登場は??続きはまた後日ということで!
 普段はただ「きれい、すごい」とだけ思ってみている文化財にも、その背景には多くの人の努力と思いが詰まっています。一つ一つの文化財がこれまで歩んできた道のり、そしてこれから歩んでいく道のりが伝わる、とても興味深い展示となっています。ぜひ会場で実物をご覧ください。

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地域連携企画展 イベント開催♪

 現在、安土城考古博物館で開催中の琵琶湖文化館地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」。皆さんはもうご覧になりましたか?3月には関連イベントがありますので、ぜひご参加ください♪

[1] ギャラリートーク 3月9日(土)10:30~・15:00~

[2]関連講座 ※往復はがきによる事前申込制(先着順)

① 3月9日(土)13:30~
 「復元!紫香楽大仏の鋳造技術」 講師:大道和人氏 (安土城考古博物館)
 参加費:300円 定員:100名
② 3月17日(日)13:30~
 「文化財修理で引き継ぐ心 -近江の文化財修理を例に―」
  講師:坂田さとこ氏(株式会社坂田墨珠堂)
  参加費:500円 定員:100名

【申込先】
〒521-1311
滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678
滋賀県立安土城考古博物館 宛
【往信裏面】
1)企画展関連講座申込
2)参加希望回
 ※①と②を合わせて申し込みも可
3)ご住所 4)お名前 5)電話番号
【返信表面】
返信用の郵便番号、ご住所、お名前

[3]親子たいけん博物館 ※事前電話申込制(先着順)

 3月24日(日)10:30~・14:00~
 「ミニ屏風をつくろう!」
  参加費:700円 定員:各10名

 各イベントの申し込み方法など、詳しくは滋賀県立安土城考古博物館(Tel:0748-46-242)までお問い合わせください。

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琵琶湖の国で作る琵琶の弦

 たび重なる大河ドラマネタで申し訳ありません・・・が、昨日2月25日放送のNHK「光る君へ」をご覧になりましたでしょうか。前回のような恋愛のときめきの描写はそこそこに、今回はヒューマンサスペンスとしてのドキドキを感じさせる回でした。

参考画像:当館所蔵の琵琶
(室町時代)
  

 特にドラマ後半では、吉高由里子さん演じるまひろ(紫式部)が琵琶を弾く姿が描かれましたが、まひろの眼光するどく緊張感のあるシーンにドキドキしました・・・!

 さて、ドラマ本編終了後に放映される「光る君へ紀行」コーナーでは、初めて滋賀県が紹介(番組HPにリンク)されました!まず琵琶の歴史が紹介されたのち、琵琶など邦楽器の弦を昔ながらの製法で作る長浜市木之本町の糸づくりのカットに。職人さんが繭から糸を引き出して原糸を作る様子や、糸を撚る様子が紹介されましたよ〜!

 この糸づくり「邦楽器原糸製造」は、国が選定する文化財保存技術です。詳しくは滋賀県文化財保護課のYouTubeがとっても分かりやすくオススメです☆

 「光る君へ紀行」では、今後さらに滋賀県の文化財を紹介してくれるハズ
・・・?!楽しみに待ちましょう♪

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打毬に胸キュン♡ 学芸員はココを見た(笑)

 今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」。吉高由里子さんが演じるまひろ(紫式部)と、柄本佑さんが演じる藤原道長の関係を中心に、当時の宮中の人間模様が描かれます。近年まれに見るラブコメ要素♡に目が離せないという方も、いらっしゃるのではないでしょうか??

 先日の2月18日放送回では、道長が「打毬(だきゅう)」をする姿に見とれてしまうまひろ、そしてまた道長もまひろが気になって仕方がないという、少女漫画のような描かれ方にときめいた☆☆☆・・・と語る学芸員もおります(笑)。

 さらにこの学芸員、長めに割かれたこの打毬のシーンにも感動したそうです。打毬とは、馬に乗って木製の杖(毬杖、ぎっちょう)で毬を打って競うスポーツ。奈良・平安時代に宮中の年中行事となり、鎌倉時代には衰退しましたが、江戸時代に八代将軍吉宗が推奨したため盛んにおこなわれるようになったということです。絵画作品にも様々に描かれてきた打毬、しかし残念ながら当館にはそうした品がない・・・とのことでした。。。

「いや、まてよ!?道長の精悍な打毬装束姿に通じる絵画があるのでは!?」 探しました↓

 こちら、十二カ月図屏風の右隻。1月から6月が描かれています。そのうち左側の第6扇に注目すると・・・

 

 男性が鹿の毛皮の行縢(むかばき)を履いていますね。ドラマをご覧になった方、気付かれましたか?打毬のシーンでイケメン達が履いていましたよぉ♡
 十二カ月図の方は弓矢を携えた狩装束なので、ドラマに登場した装束とは違いますが、保温や泥除けのための行縢は共通しています。 清流の流れる山中で、狩人二人が篝火を焚いている6月の情景・・・。江戸時代の絵師・月岡雪鼎による繊細で上品な顔の表現もあいまって、なんだかドラマに出てくる俳優さんみたい♡

 ちなみに、全国各地にみられる火祭り行事の左義長(さぎちょう)祭。左義長は「三毬杖」「三毬打」「三鞠打」などと書かれ(※読み方はすべて“さぎちょう”です!)、もとは破損した毬杖を陰陽師などが集めて焼いたのが起源とされます。滋賀県内では近江八幡市・日牟礼八幡宮の左義長祭が知られ、今年は3月16日、17日に行われます。

 「光る君へ」のラッピング電車に乗って、今に残る「打毬」の痕跡を探しに、滋賀を旅してみてはいかがでしょうか♪

 

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2/10から開催!地域連携企画展「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」

 休館中である当館の収蔵品を他館で展示公開する「琵琶湖文化館地域連携企画展」。2月10日からは、滋賀県立安土城考古博物館さんと連携した「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元-」展が始まります!

 ということで、今週は展覧会の準備モードで忙しくしています。当館から出展する作品は、しっかりと点検と梱包をおこない、会場となる滋賀県立安土城考古博物館へ搬送いたしました。

  そして今日は、当館の学芸員たちも朝から会場へ直行し、展示ケースに作品を並べる陳列作業です。

  「うーん・・・もう少しだけ低い方が見やすいかな?」
  「こんな風に並ぶなんて、この展示ならではですね~」
  「このケースの中に並べる順番・・・お客さん目線はこぅかな?あぁかな?。。。」
  「もう少し左を上げてくださ~い」
などなど、いろんな“声”も和気あいあい(笑)、チームワーク高めに準備を進めています♪ 順調デス♪

滋賀県立安土城考古博物館

 今回の展示は、安土城考古博物館と琵琶湖文化館の収蔵品から、修理・複製・復元の3つの手法を中心に、文化財を後世に伝える現場のお仕事も紹介します。人と文化財をつなぐ、たて糸とよこ糸のような(!?)博物館の役割についても、皆さんに知っていただく機会となれば・・・とっても嬉しいです♪

 展覧会は2月10日(土)から、会場は近江八幡市にある滋賀県立安土城考古博物館さんです!皆さまぜひご来場ください!!

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講演会 お話ししてきます

 皆さんチェックされてますか?1月20日(土)に、湖南市にある長寿寺さまで、“とある講演会”が開催されます。何の関連かと申しますと・・・・

 その存在・・・全国的にはめずらしく、滋賀県内では彦根市や日野町、多賀町、守山市などに、祀っておられるお寺さまがあります。 小さいながらに抜群の団結力(チームワーク?)で、見る人の度肝を抜く、圧倒的な存在感。それはそれはとても不思議な存在・・・・・。

 何のこと? ピンときた??

 今回の講演会は、「近江の小さな仏たち―近江の千体仏・千体地蔵-」の関連講演会として実施されます[主催:近江の祭り研究所]。長寿寺さまは、六臂(六本の腕)のお地蔵さまの周囲に約1万2千体(!)の小さいなお地蔵さまが描かれた地蔵曼荼羅を所蔵されており、クラウドファンディングを活用して修復されたことでも話題となりましたね。当日は、拝観と藤支良道住職のご講演、そして当館の和澄浩介学芸員の講演が予定されています。(※申込は締め切られています。)  

 ・・・このご依頼をいただいた時、和澄学芸員の顔が満面の笑みであったことを、僕は(こっそり)見ていましたよ(笑)。楽しみですね。講演は「近江の地蔵信仰と古像」というタイトルで、たっぷりお話しさせていただく予定です。
 参加の皆さま、近江に伝わる地蔵信仰について、 いっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっぱいお勉強してきてくださいね♪

 残念ながら申し込んでいない!という方・・・本ブログ冒頭の画像にご注目~。この「千体あきつ」(全然足りない・・・!)には、他とは違うあきつ君が実は3体、紛れ込んでいます。どどどこに??!
 見付けて和んで下さいませ~♥
[大きな画像で見たい方はコチラをクリック♪

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令和6年 文化館の辰(龍)

新年 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 昨年末のブログでは、「初詣、いろいろな場所でいろいろな龍に出会えますよ」と、ちょこっと豆知識の小ネタ(?)を披露したところですが、年明けブログは・・・やはりここはお目出たく、当館の「龍」を紹介せねばなりませぬ。

 この龍、皆さんは何だと思いますか?・・・問い方を間違えました→何に(どこに)描かれていると思われます?

 よく見ると、下地には金箔が使われていますね。猛々しい龍が睨みをきかせています。何かに掴まっていますよ。後ろのシマシマの形にもヒントがありそうです。

 実はこれ、ホームページの収蔵品紹介にも掲載している「源平合戦図」屏風の“とある部分”に描かれた龍です。見付けられます?

源平合戦図 狩野氏信 筆 (琵琶湖文化館蔵)

 本図は、平家物語の源平合戦の名場面のうち、右隻には「敦盛最後」を、左隻には「那須与一」が屋島合戦で扇の的を見事に射貫くシーンが描かれています。

 ここで思い出したいのが、滋賀の文化財講座花湖さんの打出のコヅチ第4回で登場した「弘誓寺」。実は近江七弘誓寺の一つを、那須与一の子孫である愚咄坊(ぐとつぼう)が開いた・・・という聞き捨てならぬ伝承が伝わっています。東国武士である那須与一が滋賀につながるこのご縁、歴史研究の醍醐味です(笑)。

 えぇっと・・・少々無理ムリ(?!)、那須与一に注目したところで!作品をもう少しアップにして見てみましょう。

  いた・・・龍がいた!
  那須与一の兜に!!
  いましたよ!!!

 波間に揺れる扇の的を射抜くという神業、まさに神仏の加護を願いたい、その一場面に描かれていた龍・・・。
 ・・・もう、ね、コレに気付いてしまったら、どんなに小さな『ひとコマ』でも、皆さんに紹介したい(!)あきつブログなのでございますヨ(笑)。

 龍が如く上り調子の一年に!本年もどうぞよろしく♪お願いいたしま~す!!
(※ 実は、左隻に描かれた武者6人のうち、3人の兜に龍は居ります・・・エヘッ。)

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いまさら、家康 ?!

 N〇K大河ドラマ「どうする家康」も最終盤に差し掛かり、クライマックスの大坂冬の陣が描かれました。俳優・北川景子さんの演じる「ラスボス」茶々が率いて士気あがる豊臣軍に対して、大坂城へ大筒で直接攻撃を加え一気に戦局を打開しようと図る徳川家康(演:松本潤さん)。

 自らのかわいい孫である千姫も籠城している本丸への砲撃に先立ち、家康が本陣の床几に坐ってひたすら書き続けていたのが「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏……」の文字。阿弥陀如来におすがりする、という気持ちをこめた「名号」でした。

 徳川家康が熱心な浄土宗の信徒で、阿弥陀如来への信仰を抱いていたことは有名です。ドラマの序盤から家康の軍旗に書かれた「厭離穢土欣求浄土」の文字も、汚れたこの世をきらい清らかな阿弥陀仏の国土を願い求める彼の思想を明らかにしたものです。

 徳川家康が書いたとされる「日課念仏」の実物は今も各所に伝えられ、何を隠そう、琵琶湖文化館にも収蔵されています。縦26センチほどのやや小さめの和紙に、小さな文字で「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏……」と一行6段、それを延々70行に亘って書き連ねたものです。ただし、 数か所に「南無阿弥家康」「南無阿弥陀家」という誤字(?)も含まれています。 前後の切れた断簡(だんかん)なので、もとはまだまだたくさんの「名号」が書かれていたはずです。実に圧巻です。

徳川家康日課念仏 (部分) 琵琶湖文化館蔵

 ところが、実は!この「徳川家康日課念仏」、贋作説があるのです。そのことは徳川義宣氏が昭和55年(1980年)・56年に論文「一連の徳川家康の偽筆と日課念仏」(徳川黎明会『金鯱叢書』第8・9輯)で論じられました。そもそも日課念仏は旧幕臣の池田松之助が明治時代に書いた偽筆であるが勝海舟らの添え書きを付けて収集家に斡旋したため、広く世に流布したというのです。徳川義宣氏は論文の中で、家康の名言として知られる「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」についても、池田松之助が徳川光圀の遺訓をもとに偽作したものだと指摘しています。

 伝・徳川家康自筆の日課念仏は各地で大切にされ、一部は文化財としての認定を受けている場合もあります。琵琶湖文化館に所蔵する本品についても贋作であるとすれば残念ではありますが、真実は明らかにしていかねばなりません。当館としても努力はしているのですが現在のところ決定的な知見が得られず、結論が出せていません。大河ドラマは間もなく最終回を迎えますが、作品の研究は続けます。

  最後の最後に大きな課題を投げかけてくれた大河ドラマ「どうする家康」のワンシーンに感謝しつつ、新しい年にはさらなる研鑽を誓いたいと思います。

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「「文化財の子」 はぐくみ事業 いろんな文化財にふれてみよう!」12/16イベント開催(主催:滋賀県)

 みなさ~ん、楽しそうなイベントの情報が入ってきましたよ~。

 滋賀県文化財保護課さんが実施する「「文化財の子」はぐくみ事業 いろんな文化財にふれてみよう!」が、12月16日(土)にイオンモール草津で催されます。文化財を通して、子どもたちが地域の歴史を知り、郷土への愛着や豊かな人間性・社会性、支え合いなど生きる力を育むこと、また、文化財を次世代に継承していくことを目指して実施されます。
 子どもさんはモチロン、大人の皆さんも、文化財に触れて学べる楽しいイベントですので、どなたさまも是非 “はぐくまれ” ちゃってください♪
 「文化財」と一言で括っていますが、会場の体験コーナーでは、発掘された土器に触れたり、お寺や神社の建物で使われている木の組み方を体験したりと、いろんなお楽しみ企画が用意されています。

 何を隠そう・・・実は当館からも、皆さんにとっておきの「!」を提供します!!
 それは何かと申しますと・・・

 当館の収蔵品の中から、「とっても可愛い」or「シックでお洒落」な絵画作品を使って、自分だけの「しおり」を作ってみませんか?という、体験企画! 作ったしおりは、お持ち帰りもできる嬉しい企画です♪
 会場でご用意するパタパタパズルにも、ぜひチャレンジして下さいね。

 そのほか、展示のコーナーには、仏像や屏風の構造模型なども当館から特別出陳!普段見る事のない文化財の“内側” を、さわって確かめて、文化財に親しみましょ~♪

「「文化財の子」 はぐくみ事業  いろんな文化財にふれてみよう!」
   開催日時:12月16日(土) 10時~16時
   会  場:イオンモール草津 2階イオンホール
   各種体験:無料

 詳しくは、滋賀県文化財保護課(☏077-528-4670 )までお問合せください♪

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「千年の秘仏と近江の情景」閉幕

 10/7から約1か月半にわたり滋賀県立美術館にて開催しておりました地域連携企画展「千年の秘仏と近江の情景」が、11/19に閉幕しました。最終日にはナント・・・1,000人近くのお客さまが!お越しくださったそうです!!
 ご来場いただいたすべての皆さまに、心から感謝申し上げます!!!

 本展は、湖南市・正福寺さまの秘仏本尊が33年ぶりの公開となる、大変貴重な機会に恵まれました。開催にあたり、お寺さまにご許可をいただいて作成したポスター・チラシは、大切な秘仏を中央に配置した構図で、これがまた「なんて尊い!」と大変好評で・・・実は展覧会が始まる頃には既に配布するチラシが無くなるという嬉しいハプニングが(笑)。会場のスタッフさんによると、海外からお越しのお客様に「このポスターを下さい!」と声を掛けられたそうですヨ♡

 会場では、お像を360度くまなくご覧いただけるよう展示し、あわせて善水寺さまの不動明王坐像を特別展示したことで、より奥深い仏像の世界をご堪能いただけたのではないでしょうか。学びも多かったですよね~(自画自賛(笑))。 ふたつのお像の間を行ったり来たり、しゃがんで見上げて、のぞき込んで見比べて・・・皆さんそれぞれの鑑賞の仕方で、存分にお楽しみいただいたことと思います。また、ケース内に並べられた絵画、工芸品は、文化館と美術館、両館のコレクションから展示しました。千年の秘仏を守り伝えてきた近江の歴史風土、文化、人々の営みを、作品から感じていただけたなら幸いです♪

 ご鑑賞いただいた皆さま、並びに本展開催にご協力いただいた滋賀県立美術館の皆さま、本当に有り難うございました!

 さぁて、11月も後半、あっという間に二つの地域連携展が終わってしまいました。次回は、令和6年2月10日より滋賀県立安土城考古博物館において「近江の文化財を継ぐ-修理・複製・復元―」展を開催します!詳細はもう少しお待ちいただくということで・・・乞うご期待♪

 現在、当館の掲示板には、休館後に他館で開催してきた展覧会が一目でわかる、チラシ(の縮小版)を掲示しています。「いろんな地域とご縁を結んできたなぁ」と振り返ってしみじみ・・・これからも素敵なご縁がつながりますように♪

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「花湖さんの打出のコヅチ」第6回 ・・・鑑賞☆堪能

 秋晴れの滋賀県立美術館にて、「花湖さんの打出のコヅチ」第6回目の解説付鑑賞会を開催させていただきました。ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!

 今回は美術館のロビーにて受付。目印は探訪ではお馴染みの、のぼり旗です♪受付テーブルを出すとすぐにたくさんの方に集まっていただけ、みなさまの熱気が伝わってきました。

 さて、「「千年の秘仏と近江の情景」展を楽しむ」と題した今回の解説付鑑賞会は、地域連携企画展を開催する展示室1での開催です。

美術館の山口真有香主任学芸員

 前半は、美術館の山口主任学芸員から、当館収蔵品も含めた絵画作品を中心にご紹介いただきました。近江の風景が描かれた「近江名所図」「近江八景図」には、時代の変遷を経て変わってしまった風景・今も変わらない風景を見つけることができます。

  

 
 

当館の和澄浩介主任学芸員

 後半は当館の和澄主任学芸員による仏像の解説です。 重要文化財の正福寺さまの大日如来坐像を、じっくり!詳しく!お話しいただく濃密な時間となりました。前回のコヅチでも登場した内容が中心でしたが、本物を前に説明を聞くと、とても分かりやすかったのではないでしょうか。そして正福寺さまの大日如来と、善水寺さまの不動明王坐像も見比べやすい!また、大日如来の美しさを堪能するかのように、解説後もじっくりとご鑑賞される方もいらっしゃいました。横顔や背中も・・・、うーん美しい~。

 「仏像が、美術品というだけでなく、また信仰の対象というだけでなく、歴史の証人なのである」、という和澄主任学芸員の指摘。山口主任学芸員からの「絵画作品にみる江戸時代から現代までのつながり」という指摘もあわせて、雄大な近江の歴史を思わせる講座と展覧会でした。

正福寺住職 山川正道様

 最後に正福寺のご住職様から、本講座へのご参加の感謝の言葉とともに、展覧会の経緯もお話しいただきました。今回お出ましいただいているご本尊・大日如来坐像は、通常は33年ごとに開扉される秘仏なので、再来年の本堂改修後に開扉され、その次の開扉は30年後!とのこと。今回は本当に貴重な機会ですね。

 
   
 

 本年度の「花湖さんの打出のコヅチ」はこれで最終回です。毎回、熱心に聴講されるみなさまの姿勢に身が引き締まる思いです。さて、来年度はどんな講座が待っているのか・・・!?楽しんでいただけるよう、スタッフ一同頑張っていきます!

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あっという間の10日間 「成菩提院 寺宝展」閉幕

 11月3日から米原市で開催しておりました地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」が、昨日閉幕し、本日、会場を撤収してまいりました。

 本展におきましては、ご住職さまならびに副住職さまに多大なるご協力をいただき、また、檀家の皆さまにも会場でお手伝いいただくなどご協力を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。

  
 

 今回の展示は、今話題の徳川家康や戦国武将に焦点を当てた展示内容であったこともあり、歴史好きの人が遠方からもたくさんお越しくださったと、関係方々から喜びのお声が届いています。ご来場いただいた皆さま、有り難うございました。本展をきっかけに、滋賀の歴史の奥深さに触れていただけたなら幸いです。

(こちらは 2023.11.3 夕刻 撮影)

 そして今朝、米原市と岐阜県にまたがる伊吹山では、「初冠雪」を観測したそうです。本展の閉幕を待っていてくれた?
 いよいよ寒さも本番、本格的な冬の到来となりそうです。

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「成菩提院 寺宝展」講演会

 湖国滋賀、快晴の三連休でした。初日11/3文化の日から始まった我らが地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」。

 今回の会場は、お寺さまということもあり、午後から行われた講演会は、お座敷に椅子を並べた特別バージョンで聴講いたしました。ご挨拶された山口副住職からは、地元の方をはじめ、遠方からも多くの方々にお集まりいただいたこと、感謝の言葉が述べられました。

 講演会は、先ずは「成菩提院の歴史と文化」という演題で、成菩提院の檀家総代であり柏原宿歴史館の館長でもある谷口徹氏にお話しいただきました。 成菩提院の中興の祖・貞舜法印(じょうしゅんほういん)のお話や、寺宝展で展示されている戦国武将の禁制札(きんぜいふだ)についてのお話は、地域の歴史に深い係わりがある大変興味深い内容で、歴史を体感しているような気持になりました。

 

 続いて県文化財保護課(兼琵琶湖文化館)の古川史隆より「成菩提院の仏教美術」について、お話させていただきました。
 寺宝展では、重要文化財の不動明王二童子像を展示しておりますが、当館に寄託中で会場にお持ち出来なかった作品について、特に古川氏が滋賀県指定文化財の指定にかかわった3件の絵画が、詳しく紹介されました。成菩提院さまは天台寺院ですが、談義所(学問所)として長い歴史の中で、様々な宗派の作品が伝わっていることも、大変素晴らしいと思います。

 さて、N〇Kで放送中の大河ドラマも、いよいよ関ヶ原の合戦が舞台・・・。このタイミングで歴史上の登場人物たちが残したナマの歴史資料に触れられる、このたびの寺宝展。遠路はるばる関東からもお越しいただいているそうです。

歴史に思いを馳せて、心躍る旅を北の近江で!!

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いざっ北の近江へ!地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」

 明日「文化の日」の祝日を含めた3連休、皆さんはどのように過ごされますか?気候もいいですし、どこかにお出掛けしたくなりますよね~。行きましょうぜひ!北の近江へ!!
 琵琶湖文化館の地域連携企画展「成菩提院 寺宝展」は、米原市の成菩提院(じょうぼだいいん)さまで開催です♪

 成菩提院は伝教大師が開基とされる天台宗の古刹で、所蔵される数々の仏教美術の素晴らしいことは勿論、今話題の徳川家康や歴史に名を馳せた戦国武将たちが宿営した記録や、「石田三成十三ヶ条成菩提院村掟書」が残る、由緒のあるお寺です。

(成菩提院)

 例年この時期に寺宝を公開しておられますが、今年は特に(!)、当館が全面協力を申し出て、この地域連携企画展が実現!明日3日14:00からは特別に講演会も予定されています。歴史と文化を堪能する1日をお過ごし下さい♪


    ・・・ここで、ハタと気付きました。石田三成・・・そうです! 11月になりました!

 滋賀県内のJR4駅で配られるあのカード!健康推進アプリBIWA-TEKU(ビワテク)を利用して駅の改札窓口でスマホ画面を提示した人に「近江ゆかりの武将カード」をプレゼントするあの企画[滋賀県提供]♪今月は石田三成も登場です!気になるラインナップはこちら↙

 おや?三成さんは彦根駅で配布されますか!・・・これは行かねば!寺宝展に行くため、電車にも乗りますよ~成菩提院はJR柏原駅から歩いて約5分ですよ~。よしっ!健康もゲットです!!

 おススメは、寺宝展に行く前に彦根駅に立ち寄って三成のカードを手に入れるコト♡ (※改札でBIWA-TEKUアプリの画面を提示するだけで貰えます♪) 会場に着いたら、武将カードのイラストを見つつ「三成が書いたか!掟書き!!」と、イメージを膨らませるコト♡♡

 文字には性格が表れると言いますよね~?!さてさて、その印象は?納得?意外? イラストを作っていて思ったのは、目の表情がなかなかに鋭い几帳面そうなお顔だな・・・ってことかしら?
・・・おやおやこれは、マニアックな歴史の楽しみ方をご提案していまいましたよ、おほほ♪
 それでは皆さま、ぜひ“北の近江”で会いましょう~~~。。。

※「成菩提院 寺宝展」は、滋賀県が取り組む「北の近江振興プロジェクト」の一環として開催します。

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高校で「文化財を考える」授業をしています!

 琵琶湖文化館の学芸員が、みなさまに向けてお話しする機会は、打出のコヅチやギャラリートークもありますが、実はこんなところでも、お話しさせていただいてます♪というご紹介です。

秋晴れの膳所高校

 大津市にあります県立膳所高等学校、1年生の芸術科(美術選択)にて、文化財に関する授業をしております。新人の岩﨑学芸員も教壇に立ってきましたよ〜!

 お話は2本立て。最初は「文化財と文化財保護法」。文化財の様々なジャンルや、文化財をなぜ保存・活用していかなければならないのか?ということを説明していきます。2本目は琵琶湖文化館について。これまでの琵琶湖文化館と、令和9年度オープンを目指している新しい琵琶湖文化館のご紹介をしました。

キンチョー気味の岩﨑学芸員

 文化財の授業は全5回で、今回は2回目です。これから高校生に、文化財の活用のアイデアを考えてもらいます!

 内容を変えつつ令和元年度から毎年実施させていただいている授業ですが、高校生のアイデアはいつも楽しく、琵琶湖文化館のこれからの事業の参考にもしています。

 そしてあわよくば…、この文化財を考える授業をもっと広げていけたらと思いますので、我こそはという先生がいらっしゃいましたら、琵琶湖文化館または県庁文化財保護課 文化財活用推進・新文化館開設準備室(077-528-4681)までお問い合わせください!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 質問回答②

 9月28日、文化財講座:第4回「新県指定 弘誓寺本堂と近江の浄土宗建築」に参加された皆さん、お待たせいたしました~!アンケートにご記入いただきました、皆さんからのご質問について、その回答第2弾! 滋賀県文化財保護課建造物係さんが、めいっぱい(!!)ご協力くださいましたので、ご紹介します~♪

建築と石造美術、建築と庭園とのかかわりがあると思いますので教えてほしいです。本尊の向きや庫裏との位置関係のかかわりなど教えてほしいです。

庭園については、来客をもてなす庫裏の座敷に面して回遊式庭園が設けられています。石造物は、境内の主なものは、墓所に中世の宝篋印塔(供養塔)が一基ありますが、本堂や庫裏、その他の建造物とは明確な関わりは無いようです。
本堂および本尊は、共に西方浄土を向いており、ほぼ西面しています。庫裏と本堂は、境内の敷地形状から、ほぼ南北に横並びしています。

本堂内の間取りがなぜそうなのか。経文上或いは儀式上の必然があるのか

内陣の後門形式および凸型の平面構成については、先に回答した、本堂内で本尊の後ろを通り本尊の前を大きく回る礼拝方法があること、外陣の凹型の平面については、礼拝の際に、内陣正面部分と内陣両脇の脇陣とは、僧侶や縁者・参拝者等に着座する場所に決まりがあり、そうした浄土宗の礼拝(儀式)に適した平面構成(間取り)が、次第に出来上がったものと考えられます。

近江七弘誓寺で一番古いのはどのお寺?

近江七弘誓寺の各建立年代について、郡誌、市町村誌等を確認しましたが、建立年が不明のお寺もあり、明確に建立年代を並べてここが一番古いと断言するのは難しいようです。講義資料では那須与一の7人の子供が近江七弘誓寺を建立したとありますが、実際は那須与一が活躍した平安時代末よりも、後の江戸時代に建立された所も散見され、あくまで伝承の域を超えないのかもしれません。ただ「弘誓寺由緒書」によれば現在の東近江市瓜生津に那須与一の末孫の愚咄が弘誓寺を開いた後に移転、分立等で他の弘誓寺が建立されたようで、そこから考えると瓜生津の弘誓寺が最も古いと推察されます。

 いかがでしたか?皆さんの疑問や謎は解けましたか?実は、産休に入られた講師の代わりに、講師が所属する県文化財保護課建築係の方々が、「係として真剣にお答えしたい」と、追加の現地取材や資料調査を行うなどしてご対応下さいました。講師を務められた伊藤静香氏のお人柄(♪)と、建築係の皆さんのチームワークがあったからこそ成り立った、今回の【質疑応答全8問】でございました。ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。本当に有り難うございました!

 皆さんの「学びたい」&「応えたい」の気持ちに影響されたコヅチ事務局・・・うずうず・・・結果、湖東を駆け巡り↓↓近江七弘誓寺を制覇してまいりました!ご利益ありそうな予感♡

※但し(!!)建造物の写真は“曇り”の日に撮る方が写りがいい!のだそうです・・・しくじった。。〔もう少し大きな画像で見たい人は➡ コチラ

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県民フォーラムⅢ「「北の近江」の仏像の魅力」開催しました!

 10月に入り秋めいてきた10月9日(月・祝)、新しい琵琶湖文化館に関する県民フォーラムを開催いたしました。ご参加いただきました皆さま、どうもありがとうございました!

 今回の県民フォーラムは、東京方面にお住まいの方々にも新しい琵琶湖文化館のことを知っていただきたい!という思いから、メイン会場を東京に所在する滋賀の情報発信拠点(いわゆるアンテナショップ)の、ここ滋賀に設定。参加者の皆さまの後ろから撮影し、これをサテライト会場のコラボしが21へ配信しました。

 本来はレストランである会場の、ランチ営業とディナー営業の隙間をぬっての開催のため、時間が1時間といつもより短くはありましたが、その短い時間の中に、ぎゅっと詰まったお話をいただけました。何が詰まっているかというと・・・愛♡デス。

 終始、滋賀県への愛、仏像への愛、そして当館への愛が感じられるお話をいただきました。講師の西木さんは守山市出身。小さいころから当館に来ていただいており、大きな鯉(コイ)の水槽の前で撮ったカワイイ♡写真も見せていただけました(しかし写っている子どもちゃんは、西木さんのお兄さんとのこと)。
 そして当館の和澄主任学芸員と交わす、滋賀県の仏像彫刻の深いお話。豊富な写真をお見せしつつ、「北の近江」の仏像の成立背景について、比叡山との関係や、古代国家との関係を語られ、なぜこんなに「北の近江」の仏像は魅力的なのか?その理由をお示しいただきました。

講師の西木さん

 最後に西木さんから、新しい琵琶湖文化館の展覧会について、

 ①県内のそれぞれの地域に関する展覧会を、色々な切り口で
  おこなってほしい!
 ②家族で楽しめる展覧会を開催してほしい!

この二つのご期待をいただきました。昨年の県民フォーラムでも、関係するお話も出ましたし、ぜひ新しい琵琶湖文化館で取り組んでいけたらと思います!

 終了後のアンケートには、たくさんのご感想、ご意見、ご提案をいただきまして、ありがとうございました。皆さんが新しい琵琶湖文化館に大きな期待を持たれていると感じ、今後の参考とさせていただきます。また、アンケートは後日集計して公開いたしますので、ご覧いただければ幸いです。

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【速報!】千年の秘仏と近江の情景展

 明日、10月7日から滋賀県立美術館で始まる地域連携企画展「千年の秘仏と近江の情景」。皆さんのお待ちかねですね♡

 開催直前、準備万端整った会場では、関係者の皆さんや報道機関の方々をお招きし、内覧会が催されました。会場の様子を【速報!】で皆さんにお届けします!

 先ずは紹介させてください。左が当館の和澄浩介主任学芸員、お隣が県立美術館の山口真有香主任学芸員です。この二人が居なかったらこの展覧会は開催できなかったと言っても過言ではない!本展の立役者のお二人です。(拍手~!!)それぞれの立場から、本展を開催することが出来た喜び、感謝の気持ちを皆さんにお伝えさせていただきました。

 そして作品が展示されている会場に場所を移し、作品の特徴・見どころなどを説明させていただきました。皆さん気付かれましたか?今回の展示では、仏像を360度の全方向から鑑賞できる形で展示されています。ほとけさまに刻まれた衣文や、胸元に飾られたきらびやかな装飾まで、間近に細部にわたってご覧いただくことができます。千年の歴史を超えて初めて、秘仏をお寺の外で見られる貴重な機会です。皆さまぜひご来場くださいませ!

 展覧会は、大津市瀬田/びわこ文化公園内)滋賀県立美術館にて、11月19日までの開催です。この秋、千年の秘仏とともに近江の豊かな歴史を、感じてください♪

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 質問回答①

 9月28日、文化財講座:第4回「新県指定 弘誓寺本堂と近江の浄土宗建築」に参加された皆さま、お待たせいたしました!当日アンケートに記入された質問内容について、滋賀県文化財保護課建造物係さんが、回答にご協力くださいました(!感謝!)。
 さてさて、皆さんの気になるご質問は?その回答とは?コチラっ↓↓↓

浄土宗、浄土真宗の中世の遺構が全国的にほとんどないのはなぜでしょうか。

確かにそのような傾向はあるかと思いますが、県として明確に確認してはいません。もしあるとすれば、理由として次のようなことが考えられます。
 浄土宗、浄土真宗ともに鎌倉時代以降に興った新しい宗派で、主に一般庶民を対象とする宗派でもあったことから、滋賀県内であれば、中世にはまだ正式な寺院を構えるのではなく、地域の有力者の住居等を活動の場とすることが多かったと考えられ、たとえば天台宗のように、中世には既に大規模な構えの寺院を多く建立していた宗派と比較すると、建立された建造物の数や規模が異なることが理由の一つとして考えられます。

五箇荘金堂町の国指定重文弘誓寺と今回講座の弘誓寺とは建物の特徴や古い資料が多数残っている点は似ている。今回講座の弘誓寺も国指定重文になるよう働きかけをされるのでしょうか。

県内には他にも優れた建造物が多数所在しており、今回県指定となった弘誓寺本堂についても、それらと共に、機会を見て文化庁へ情報の提供を行っていきたいと考えています。

 

三つ並び仏壇形式から後門形式へと変化していった理由がもう少し詳しく知りたいです。

 

現在の浄土宗においては、本堂内で、本尊の後ろを通りながら内陣を回る礼拝があります。また僧侶の内陣への出仕は、外陣もしくは脇間からではなく、本尊の後ろからの出仕であり、こうした礼拝や儀式の方法の変化が、仏壇形式の変化に影響したことが考えられます。

 

後陣は何のためにできたのですか(使用目的は?)。

 

中世の本堂に見られる後陣は、元々は、内陣での宗教儀式の際に使用する仏具や什宝物等を保管したり、住職等が準備を行うために使われていたと考えられますが、後には、後陣にも仏像を安置し、宗教的空間として、内陣を補完する用途に用いられるようになったのではないかと考えられます。

 

宮殿を「くうでん」と読むのは宗教建築だから?

 

「宮殿」は神社本殿に多く用いられる名称ですが、その場合でも読み方は「くうでん」です。寺院では「厨子」を用いることが多いのですが、弘誓寺では「宮殿」とし「くうでん」と呼んでいるため、今回の指定に当たっては弘誓寺での呼称に従っています。

 素晴らしい!皆さんの勉強意欲がすばらしい!答えも分かりやすくてスバラシイ!皆さんの質問から更に理解が深まり、知識が増えて得した気分♡です♪有り難うございました!!

 おや?まだ質問が紹介されていない方が?いらっしゃる??
 ご安心ください!残りの質問はもう少しお時間をいただいて、 改めて紹介させていただきま~す!お楽しみに♪♪♪

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