カテゴリー別アーカイブ: 学芸業務

収蔵品放映情報:相撲幟 技と清流が生んだ色彩

このブログでも度々、収蔵品の展覧会への出陳情報とあわせて、本や雑誌などで紹介、掲載されていることをお伝えしていますが、実はテレビなどの動画コンテンツでもよく紹介されています。
今回は東海地方のテレビ局さんから収蔵品の画像利用についてお問い合わせをいただき、先日、成果品のDVD(右写真)をご寄贈いただきました。

この番組は相撲幟(のぼり)制作の伝統技術についてのもので、これまであまりご縁のなかった世界のお話しでしたが、相撲の歴史を紹介するということで、当館に寄託されている御上神社(野洲市)ご所蔵の滋賀県指定文化財「相撲人形(行司・力士)一組」が取り上げられました。
鎌倉時代に遡る木造彩色の相撲人形は、現存する多くの相撲人形が力士単体の像であるなか、力士が組み合い、行司とセットで伝来する非常に珍しい作例で、当代の相撲神事の実像を今に伝えてくれる貴重な作品です。
 
なお、日本ケーブルテレビ連盟が運営する動画コンテンツサイト「じもテレ」でも、9月29日まで動画が公開されますので(動画はコチラ・本品が登場するのは、3分39秒頃から)、東海地方以外の方でもご覧いただけます。
番組の主旨はあくまでも、伝統的な相撲幟の制作技術を取り上げたものですが、王道の歴史系情報番組だけでなく、このように意外な場所?で滋賀の文化財が活躍していることがありますので、ぜひぜひ、チェックしていただければと思います。

学芸員W

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1枚の写真の確認 その②

さて、前回のブログに引き続き、一枚の写真からどこの「庭園か?」を突き止める:あきつのぶらり旅(そんな名前でしたっけ?)です。インターネットで検索をし、アタリを付けたのは、長浜市にある「孤蓬庵」さん。こちらは、小堀遠州(1579-1647)の菩提を弔うため、江戸時代前期に開山した臨済宗大徳寺派のお寺で、遠州が京都大徳寺に建立した孤篷庵にちなんで、近江孤篷庵とよばれています。昭和34年4月には、庭園の石組み等が江戸当初の遠州流庭園の基本的な条件を遺しているということで、滋賀県史跡名勝にも指定されました。
人里離れた山奥、喧騒を離れてひっそりと佇むその庵は、なんともしっとりとしたいい雰囲気・・・季節は初夏、鳴き始めた蝉の声はまだ疎らで、逆に静けさが際立ちます。中に入らせていただくと、開け放たれた襖の奥に見事な庭園が!!なんてステキ!心躍るとはこのことです。。。癒されるわぁ。。。

っと、ここで今回のミッションを思い出せ!・・・お目当ての石はいづこに???あった!ありました!本堂の南西側、イブキリンドウの群生が広がるその奥に、石組みが確かに!!あぁなんだろう。アイドルの追っかけをして現地でご対面しちゃった気分(笑)。テンション上がります~!
お庭の紹介には、【五老峰、海、舟石等を配した枯山水庭園】とあります。また、【小堀遠州の号でもある「孤蓬」とは、『一隻の粗末な葦舟』という意味で、この庭に因んだもの。美しい光の世界(浄土)を求めて、一隻の小さな舟(一人の人間)で大海原(社会)を漕いでいく私たちの姿を象徴しているように思われます】とも書かれていました。なるほど美しい悟りのお庭。白黒写真と同じ角度で撮ってみると・・・はは~ん、白黒写真には左手前の舟石や大海原が写っていない・・・だからパンフレットから外れたの・・・かな?

(パンフレットに掲載されたのはコチラ:北東面の池泉回遊庭園→)

とは言え、出会えたこの感動、1人で持ち帰るには勿体ない。。。そこで庵にいらっしゃったご住職夫妻にお声をかけさせていただきました。「琵琶湖文化館で昭和30年代に開催した近江の庭園写真展の関連資料なのですが、この写真には裏書がなく、どこの庭園かわからないままに今日お訪ねさせていただいたのです」『まぁ、この写真だけでここまで・・・』『確かにこれはウチの庭です。石組は江戸時代から変わっていませんのでね。』そぉですかぁ、そぉですよねぇ、アリガトウゴザイマス!。
ご住職夫妻とお話しできたことで、今回の旅がさらに充実したものに感じられました。
・・・なんだろう、1週間分の肩凝りもフッ飛ぶようなこの晴れ晴れとした気分は。。。正にライブ。生ライブ!。皆さん、現地を訪れるということは、とても大切なことなのでゴザイマスネ(笑)。

ちなみにこのお話には続きがありまして、後日、紙焼き写真の元となるネガフィルムが見付かり、そこにはきちんと「どこの何か」が書かれていたという・・・見事なオチがありました。。。さすが先輩。。。

ということで、まだまだ続く写真整理(笑)。ン千枚の写真の内の1枚が判明しただけですが、今後も新たな出会いが見出せそうな、文化館の歴史をたどる、楽しい、写真整理の旅はまだまだ続きます。。。

筆:あきつ

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1枚の写真の確認 その①

この写真を見て、どこの何かわかる人?!!
現在僕は、写真資料の整理を行っています。こちらの写真は「庭園写真展」というBOXに入っていて、裏書のない、どこの庭園とも書かれていない白黒写真です。うぅ~ん・・・どこだろう・・・。
文化館の歴史を辿ると、昭和38年に「湖国庭園写真展」という展覧会を開催しており、「近江の庭園」というパンフレット(小冊子)も作成されています。どうもこの辺りにヒントがありそうな・・・?。以前に整理を行ったガラス乾板の中にも庭園の乾板がありましたし、年代的にはビンゴです。

パンフレットに掲載されている庭園は46ヶ所。その中にこれと同じ写真は採用されていません。おそらく関連資料として撮影されたものと思われますが、撮ったからには理由があるハズ・・・昭和30年代半ばの貴重な写真であるとするならば、そう簡単には諦められません。インターネットで[庭園 滋賀 指定]を検索し、続いて各有名どころの庭園を片っ端から調べていくと、一つ「もしかして?」と思われる画像に行き当たりました。いや、でも、写っている角度が違うので、確信は持てません。。。ここかなぁ。気になるなぁ。

それならば・・・!調査の基本である「現地確認」をするしかアリマセン!・・・いや僕の本職は事務職なんですケド?!。とりあえず気になってしまったのだからショウガナイ(笑)。行動あるのみ!です。

さて、このお話、少し長くなりそうなので、続きはまた今度ということで~~~。

※この時点で「これはあそこの庭園やで」と既に気付かれた方、即答できた方、僕、貴方とお友達でいたかった・・・。このブログでは、分からないことを何とか自分で解決しようと、悪戦苦闘する未熟な僕:あきつのドタバタ劇をお楽しみいただきたく、どうかあたたかい気持ちでお付き合い下さいませ。。。

筆:あきつ

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近世絵画の名品たち

このホームページの収蔵品紹介コーナーでも多数取り上げているように、琵琶湖文化館には仏教美術や歴史的な資料以外にも、江戸時代の絵画(近世絵画)の名品を数多く収蔵しています。そのため、近世絵画の出陳の依頼や本やテレビで紹介したいとの相談をよく受けます。

今回もその一例で、江戸時代の美術を網羅的に紹介した河出書房新社の新刊『江戸の美術 大図鑑』(監修:狩野博幸氏・並木誠士氏・今橋理子氏)において、当館の近世絵画5点が紹介されています。
掲載されている作品は、復古大和絵の土佐派に学んだ菊池容斎(1788~1878)の「鯉遊之図」や琳派・酒井抱一の内弟子である鈴木其一(1796~1858)の「紅梅水鳥図」、近年、奇想の画家として大人気の曾我蕭白(1730~1781)の「叡山図」(滋賀県指定文化財)、紀州三大南画家と称された桑山玉洲(1746~1799)の「山水図」、そして大陸の写実的な画法を学んだ宋紫石(1715~1786)の「柳汀双禽図」です。
このように琵琶湖文化館では、近世画壇の各派・各画風の作品を幅広く収蔵しており、さらに近江ゆかりの画人、画題の作品も重層してあります。
上記の作品はホームページの収蔵品紹介ですべてご覧いただくことが出来ますが、江戸時代の美術史全体のなかでどのように位置づけられる画人なのか、作品なのか、この本を読むと一層わかりやすく理解することができます。
このような形での当館の近世絵画分野の公開活用についても、皆さんに是非、注目していただければと思います。

学芸員W

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県博協 総会 in 長浜

皆さんは、滋賀県博物館協議会(県博協)をご存知ですか。県博協は、美術館・資料館なども含め県内の博物館施設(歴史・芸術・民俗・産業・自然科学等)が相互の連絡を図り、博物館活動を通じて県民文化の振興に寄与するため、昭和57 (1982) 年12月に設立され、今年設立35周年を迎えます。
現在、加盟しているのは69館。「意外と多い」「そんなにあったっけ?」と思われる方、こちらのポスターをどこかで見かけたことありませんか?これは35周年を記念して県博協が作成したガイドマップです。各博物館施設の名称と、イチオシの作品が掲載されており、どこにどのような博物館があるのか一目でわかるようになっています。そうなのです。県内には美術館・博物館が、いろいろあるのですよ。

先日、この県博協の総会が開催され、昨年度の事業報告や今年度の事業計画の説明があり、続いて、今後の研修会の予定、各館の取り組みの紹介、その他意見交換などが行われました。加盟館が一堂に集まり、連携して活動していくための貴重な機会となりました。

その後、会場館である長浜市曳山博物館を見学させていただきましたが、展示されていた実物の曳山は想像以上の大きさ!・・・となると、「この曳山の出し入れは、展示室のどこから、どうするの?」とついつい博物館目線の疑問が・・・いろいろと勉強になりました。。。

長浜曳山祭の曳山行事が、ユネスコ無形文化遺産『全国の「山・鉾・屋台行事」(33件)』の内の一つとして登録されたこともあり、街全体も盛り上げムードでいっぱいでした。博物館だけでなく、自治体と地域で盛り上げていく連携の「うまさ」は、見習うべきところも多く、「さすが長浜市さん」と思いながら、帰途に着いたのは僕だけではないハズ・・・です。地域から県全体へ、盛り上がる滋賀県であればいいな、と思います。

筆:あきつ

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蟇(ヒキ)の訴え

先日、朝に湖岸道路を車で通る機会がありまして、その時にお巡りさんの苦労を目の当たりにしました。それは、琵琶湖の葦原から道路に飛び出してしまい、無残にも車に引かれてしまった大きなカエルのご遺体を、回収して下さっていたのです。
確かに、この時季ともなりますと、そこココに点々とご遺体が・・・「うわっ!」と思って避けるものの、対向車が来ていたら危いですし、その上雨でも降ろうものならツルっとタイヤが滑ってしまう惧れもあります。事前の危険回避・・・ご苦労様デス有り難うゴザイマス。。。

「お巡りさんも大変だなぁ~」と思いながらその後も運転していたのですが、僕の思考回路に何かが引っかかります。・・・大変なのはお巡りさんだけではなく、カエルさんの受難も見過ごせないのでは???!。広い道を渡ろうとしただけなのに・・・ごめんね。
と、ここで、カエルさんと会話モードになった途端、頭の中で、大きな蟇ガエルが僕を睨んできます。何だろう・・・あぁ、これは・・・。

当館の館蔵品「蟇図」です。咄嗟に僕の頭に浮かんだのはこの蟇ガエルです。この作品は、明治時代末から昭和20年代にかけて活躍した長浜出身の画家・清水節堂が描いたもの。筋骨隆々のガマガエル・・・どうですか、このリアル・・・。他に清水節堂が描いた作品では、米原市の徳源院所蔵の「幽霊図」が有名ですが、女性のオバケ(幽霊)が斬新な構図で描かれていて、それこそ夢に出てきそうなリアルさです。
文化館の「蟇図」のこの「睨み」も、一度見たら忘れられませんよね?!文化館にある近代の作品の中でも、目ガ離セナイ作品の一つです(笑)。

素人ですが僕は思うのです。真剣に向き合われた絵は素晴らしいと。おそらく清水節堂もじっくりと「蟇」と向き合われたのでしょう。今の私たちの生活とは違い、おそらく自然や生き物がもっと身近であって、興味がそそられる対象であったに違いありません。田畑に響くカエルの大合唱を聞いて「うるさいなテレビが聞こえん」なんて、文句を言うこともなかったでしょうし、「あぁ、潤いの季節の到来だ」と感じ入ったことだろう・・・と思います。

そう考えると、この「蟇図」の蟇ガエルも、「おう、また会ったな」と言ってくれているような気がしてくるから不思議です。・・・そうですね、車の運転、気を付けよう。。。

筆:あきつ

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「湖南 花の寺と磨崖仏めぐり」2017

湖南市では毎年、4月から6月にかけて「湖南 花の寺と磨崖仏めぐり」と題した一連のイベントが行われています。
イベント期間中には花の名所として知られる市内4ヶ所のお寺様(西應寺、正福寺、長寿寺、善水寺)の桜やハギ、サツキなどが見頃を迎え、湖南の仏教美術の一つの特色である、境内や周辺に所在する「摩崖仏(まがいぶつ)」とともに拝観することができます。また近くの岩根山を歩くトレイルウォーキングイベントなどもあわせて開催されます。
また一部期間に限ってですが、それぞれのお寺様では寺宝の特別公開が行われます。当館では、これに伴ってお預かりしている正福寺様の「鰐口」(滋賀県指定文化財・鎌倉時代)を、一時返還させていただきました。正福寺様ではこのほかにも、湖南市指定文化財の「山越阿弥陀如来画像」や「十三仏画像」が公開される予定です。(公開期間は6月1日(木)から6月7日(水)まで。※そのほか詳細についてはコチラをクリック)。
これを機会に是非、自然の美しさとともに湖南の仏教美術の魅力にもふれていただきたいと思います。

学芸員W

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寿が結んだご縁

「小生、百壽図に興味を持っています」。
先日このようなメールをいただきました。インターネットで当館所蔵の「寿字群仙図」をお知りになり、それがどのようなものか、興味を持ってお問い合わせ下さったのです。
どれどれ、当館のホームページに確か紹介が・・・ない!掲載されてない!これは不覚!!失礼いたしました。。。

当館の「寿字群仙図」は、全体的に赤を基調に描かれ、「寿」の文字を画の中央に大きく配し、字の中に多くの仙人たちが生き生きと描かれている掛軸です(作者不詳)。「寿」「不老不死の仙人」「赤色」という「ハレ」の文化を体現した目出度さもあり、文化館では年明け、新年を寿ぐテーマ展などで展示をしていました。当時、学芸員さんが展覧会開催を告知する記者発表資料として、目出度さが「これでもか!」とわかるくらいの派手な写真を・・・ということで(笑)選ばれた写真が、この「寿字群仙図」でした。展示室に入ってすぐに目に飛び込んでくる鮮やかな朱色の大幅を、僕もよく覚えています。

さて、お問い合わせいただいたきっかけは「百壽図」でした。想像しておられたものとは少し違いましたか?それでも今回のやり取りを経て、『大変綺麗な図です』『また一つ、知見が得られました』と喜んでいただけたご様子のお返事をいただきました。聞けばはるばる関東地方からお問い合わせいただいたとのこと。「寿」がきっかけで結ばれたこのご縁、こちらも勉強させていただきました。有り難うございました。
現在休館中の当館では、皆さまに実物をご覧いただく機会がなかなか無いのが心苦しいところ。ですが、『新しい美術館の素晴らしい開館を御祈念申し上げます』と結んでいただいた今回のお問い合わせのように、次につながる「ご縁」を大切にしたいと思っております。

当館の「寿字群仙図」は、平成27年度に絵絹の糊離れから生じる「浮き」や「横折れ」などを修復し、準備万端、完全な状態で再び皆さまにご覧いただく日を心待ちに・・・今しばらく待機中です。

筆:あきつ

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春の例大祭と指定文化財

以前のブログで、浅井氏の追善法要(仏事)に寄託品の「絹本著色浅井長政像」(県指定文化財)を一時的にお返ししていることをお伝えしましたが(詳しくはコチラ)、当館では、祭礼(神事)の際に寄託品を一時返却させていただくこともあります。
先週も春の例大祭にあわせて、指定文化財を返却させていただき、本日、祭礼でのお役目を終えて無事に当館にお戻りになりました。

今回一時返却したのは、東近江市のとある神社ご所有の鬼面2面で、毎年この時期にお返ししています。地元では「火祭り」と呼ばれ、多くの松明がたかれますが、他所のお祭りに比べて特徴的なのは、祭礼のなかに「御面渡御(おめんとぎょ)」という儀礼があることで、行事がこの鬼面2面を捧持し、囃子方を従えて一時間近くかけて集落を練り歩きます(左の写真はその時の様子です)。今回その様子を間近で見学させていただきましたが、祭礼中は周辺一帯に交通規制がかかり、大道路などでは交通警備員に誘導されながら慎重に運ばれていました。

また響き渡る囃子方の鳴り物にひきつけられて、家より続々と人々が外に出て来て、この鬼面に膝を屈し、深く頭を下げる姿は優れた美術工芸品であると同時に、今でも生きた信仰の対象(ご神体)であることを再認識する機会となりました。

ここでは面(おもて)という有形の文化財と信仰という無形の文化財が、相互に連関して独自の郷土文化を守り育んでいます。

学芸員W

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毎年の追善法要と寄託品

長浜市小谷山の麓にある小谷寺では毎年4月、北近江の戦国大名・浅井氏の追善法要が営まれます。当館では、それにあわせて寄託品の県指定文化財「絹本著色浅井長政像」を日帰りでお返しにあがっています。
法要では本堂の上座に本図が掲げられ、読経のなか参列者の方々が焼香するなど、終始法要の主役となります。

浅井長政(1545-1573)といえば、織田信長の妹・お市を正室とするなど織田家と友好関係を築くも、後に信長と敵対。天正元年(1573)には居城である小谷城が攻め落とされ自害し、浅井三代の歴史は幕を閉じます。

本図には、徳勝寺(徳昌寺・浅井氏の菩提寺)の住職・源秀の天正2年(1574)の賛文があり、長政の一周忌にあわせて、京の絵師に描かせたことがわかります。ちなみに長政の画像には、大別して本図と高野山の持明院本の二系統があり、後世、この原図2幅をもとに多くの作品が模写、制作されました(長浜城歴史博物館蔵本、安土城考古博物館蔵本など)。そういった意味でも貴重な作品ですが、今でも地域の方々の崇敬の対象としてお使いになられていることも、大変意義深いことといえるでしょう。

最近、近くを通る北陸自動車道に「小谷城スマートインターチェンジ」(3月25日開通)ができ、小谷寺を含め、小谷城址周辺へのアクセスはずいぶん良くなっています。これを機会に小谷城址や周辺の社寺、資料館へ是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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無事にご帰還されました。

過去のブログでも紹介しました湖東のお寺様から一時寄託されていた仏像4躯(詳しくはコチラ)が、先日、お寺へお帰りになりました。
昨年からの本堂の防災工事に伴って、堂内に安置されていた重要文化財4躯を、約9ヶ月間当館にて一時保管させていただいていました。そして今回、本堂改修が無事完了したとのことで、県教委文化財保護課の職員の方や美術品取り扱い専門業者の方々などとともに、お返し上がりました。
返還した御像の中には、等身大の一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)の像などやや大型の作品もあり、総勢10名という大所帯での搬出・搬入作業となりました。現場では、お寺の方や檀家さん、そのほか関係者の方など多くの人々の見守るなかで、無事、須弥壇へ安置させていただきました。移動も含め一日がかりの返却作業でしたが、天候にも恵まれ、滞りなく作業を行うことができました。

4月、5月には各地の神社で春の例大祭が行われますが、それに伴って、当館ではご寄託いただいている宝物(御面など)の一時返還もピークを迎えます。当館のそういった活動も随時ブログで紹介していきますので、どうぞお見逃しなく!!

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ガラス乾板の整理③

さて、そろそろガラス乾板の整理も佳境です。ほんとはブログを書く時間も惜しいほどの佳境です(笑)。挑んでいるのは、とあるご縁で文化館にある「年代物」のガラス乾板です。
これがまた貴重なガラス乾板で、撮影された時期は不明ですが、個々の乾板には「昭一〇.七.七日写」などの日付が記されており、ということは本体の撮影はおそらく。。。そのガラス乾板に写っているは、県内の国宝や重要文化財などの指定文化財です。僕たちは「仏像ワンダーランド」への扉を開けてしまったようです。。。ようこそお越いでヤス(笑笑)。

これらのガラス乾板、大切に個別包装されており、「○○神社 □□立像 蒲生町」など、先輩学芸員さんと思われる誰かが、一度整理をして下さった跡がありました。しかもほとけさまの種類ごとに箱で分類されています。ナイスです先輩!・・・しかしここで気付くべきでした。町名が平成の大合併、市町村合併する前の表記であることに!しかもガラス乾板本体に記載されているのは、モチロンそれ以前、昭和初期の郡および町名!・・・あぁ、もはや既に記憶に薄い・・・「キタ!愛知郡!」「懐かし!伊香郡!」。現代っ子の僕たち?は、神社やお寺さんの現住所を調べるのにも一苦労することとなりました。

でも、今までのガラス乾板と違って、所在地も所有者も資料名も書かれているのだから「これは楽勝でしょう!」と、タカをくくっていた僕たち。そうは問屋ガ卸シマセン。作業を始めて3分で悲鳴・・・「昭和の文字が読めません(泣)!!」・・・乾板に書かれている文字はとても個性的で、且つ、部分的に崩し字、旧字体も混じっています。うぅ、また調べなくてはなりません・・・見る人が見れば簡単に読めるのでしょうが、これ、なんて書かれているかわかります?中には文字がかすれて消えてしまっていたり、暗号にしか思えない不可解な文字も。。。そんなこんなありましたが、2日もすると作業に目が慣れて、随分と読めるようになりました。フッフッフッ、僕たちも成長するのでゴザイマスヨ。(写真解読【帝釈天立像】【四号】)

結局、ワンダーランドの中には、仏像に限らず工芸や典籍、絵画作品も残されていることが判りました。作業を終えて、図らずも僕たちは、昭和初期の市郡町村にタイムスリップし、改めて滋賀県の文化財の層の厚さを堪能してきた・・・そんな気分です。いい旅でした。

かくして!僕たちが整理・リスト化したガラス乾板、その数1,591枚!当初想定していた数を上回る枚数となりました。約1ヶ月に渡る地道な作業。。。半分目が死んでる日もありましたが、なんやかんやと楽しく作業できました。意外とこういう作業が大好物な自分?新しい発見デス。
感謝すべきは根気よく一緒に取り組んでくれた職場の仲間です。くじけず頑張ってこれたのも皆さんのおかげです。とってもいいお仕事ができました!

さぁ、今年度も残り1週間!えっ?もう?!僕の本業:事務方の決算が、事業報告が!!・・・何をしてても追い込まれる運命にあるようです。頑張ろ・・・

筆:あきつ

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ガラス乾板の整理②

はい、今日も元気にガラス乾板の整理をしています。2月下旬から始めたこの作業も、ずいぶん手慣れてきましたヨ。
「展覧会資料」群のヤマを越えた僕たちは、次に「館蔵品」シリーズに突入しました。これは楽チン。だって「館蔵品」。見れば「誰」の「何」ていう作品か、すぐわかる。・・・と思うでしょ?!・・・そうですよ、すぐにわかるのは学芸員さん・・・だからガラス乾板にもあえて何も書かれていません・・・ヒントすらない。でも学芸員さんは本業が忙しいので、この整理作業のお役目をいただいたのは、僕たち、あきつ組・・・。ガラス乾板が入っている箱に「館蔵品 絵画」「館蔵品 書蹟」って・・・文化館がどれだけ所蔵していると思ってるのーッ!と、僕はいったい誰ニ、何ニ向かって叫んでしまったのでショウカ・・・とにかくやるしかないのです。。。
館蔵品の写真台帳とリストをつき合わせて、分からないところはベテラン学芸員さんに聞きながら、コツコツと作業を進めます。書跡・墨跡なんて、もはやトランプゲームの「神経衰弱」状態です・・・「あ、この書体どこかで見た」「この人の字は特徴があって忘れられん」「潔いこの一筆は誰?」・・・台帳とにらめっこしながら、行ったり来たりの作業です。
(これでも、ここにあるガラス乾板は、館蔵品のほんの「一部」なのですヨ。)

そして忘れてはいけないのが、作業する相手がガラスであること。学芸員さんのように白手袋を着用して、少々年代物なので取り扱いは慎重に・・・そして情報をパソコンに入力してリスト化・・・。この作業で、肩はパンパン、目はシバシバになり、また机作業で動きも少ないため、一気に老けた気がします。。。

でも、「館蔵品の作品がガラス乾板に残っている」っていうのも、ちょっと自慢じゃありません?!琵琶湖文化館の歴史の一部ですよね!そう思うと、とっても大切な作業に関わらせていただいているのだと、有り難い気持ちになるのです(そうなのだと自分に言い聞かせ・・)。なんだか僕たちの知らない文化館がまだまだ出てくる気がします。

さぁ、次は「何」シリーズ?!・・・悩ましいほどいっぱいあるのです~(泣笑)。

筆:あきつ

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ガラス乾板の整理①

はい、このところブログの更新がままならず、スミマセン。というのも、この数週間、僕たちは「ガラス乾板(かんぱん)」と格闘していたのでございます。
みなさん「ガラス乾板」ってご存知ですか?僕もこの職場へ来て初めてその存在を知ったのですが、教科書にも出てくる坂本竜馬の写真を撮ったのは「湿版(しっぱん)」、で、その後に使われたのが「乾板」、いわゆる写真感光材料です。ガラスで出来ているため重くてかさばり、割れやすいので、その後フィルムが出てくるとそちらが主流となり、現在ではその存在を知る人も少ないかもしれません。

そのガラス乾板が、当館には「資料」として残されています。その整理を進めるわけですが、いざ作業を始めてみると、いろいろなシリーズに分類できることがわかりました。ですが、写っているものが「何」なのか、乾板はガラスなので、そこには何も書かれていません。情報としては箱に書かれているタイトルのみ・・・「湖東焼」「近江画人遺芳」「南蛮資料」「南画」「旧館写真」・・・南画って何が???その箱の中に、乾板が重ねられて入っている・・・もしくは大切に紙に包まれて入っている・・・一体どうすれば?
最初はハテナマークばっかりだったのですが、これが琵琶湖文化館の前身である滋賀県立産業文化館(昭和23年開館)から琵琶湖文化館の初期(昭和40年頃)までの間に開催された展覧会のククリであるらしいことがわかったので、ほっとひと安心。「旧館」とは産業文化館が武徳殿にあった頃、「現会館」とは旧滋賀会館に移った頃のこと・・・よし、なんとかなる・・・。
と思いきや!!その頃の展覧会のしおりやパンフレットには、ほとんど写真が掲載されていません。ですよね・・・今みたいに写真がたくさん載っている図録なんて、当時ではありえませんよね・・・甘かった・・・しおりに目録が載っていれば良い方で、中には作者紹介のみとか・・・となると、次に探すのは展覧会を開催した時の関係書類を綴じた綴りです。しかし、これまた先輩学芸員さんたちの達筆な文字が・・・読み辛い・・・。

そんなこんなありましたが、長い年月の間に離ればなれになっていた資料が「群」にまとまってくると、「こんな展示もしていたのか!」とちょっと感動。。。「この展覧会の出品作品全部並べて再現して欲しいなぁ」「面白そうな展示やなぁ」と、気持ちは当時の会場へ・・・陳列の様子や、写真パネル展を開催した近江の「石造美術」や「庭園」、「建物」など、今も現地やカラーのパンフレットなどで見られるものでも、白黒写真だとどうしてこんなに郷愁に駆られるのでしょうか。
ちょっと嬉しかったのが、産業文化館の報告書でしか見たことのなかった写真が出てきたこと!感動のあまり「アナタ!ここに!乾板にいらっしゃったの!!」と声に出してしまったくらい(笑)。このような思わぬ出合いが整理作業を楽しいものにしてくれました。
乾板を傷つけないように白手袋をしての作業は、緊張感もあって肩が凝って大変です。ですが、ひとつひとつのピースを合わせていくジグソーパズルみたいで達成感もあります。地道な作業ですが、僕たちの「乾板整理」は、まだまだ続きます。さぁ、次は何シリーズ?

筆:あきつ

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公文書の保存と活用

先月、滋賀県庁にて「未来に引き継ぐ公文書 ― 時代を越えた共有財産 ―」と題した講演会が開催され(講師は井口和起氏[京都府立総合資料館顧問・福知山公立大学長])、当館の職員も出席させていただきました。
平成23年4月に「公文書等の管理に関する法律」が施行され、地方公共団体にも管理対象となる公文書等について、ますます適正な管理に努めるよう求められるようになりました。滋賀県でも「未来に引き継ぐ新たな公文書管理を目指して(方針案)」などが策定され、適正な公文書管理の検討が進められています。
そのような中で、平成25年3月には「滋賀県行政文書」(戦前の9,068簿冊の公文書)が滋賀県指定文化財に指定されました。本資料の中には、旧藩県引継書類、郡役所文書、琵琶湖疏水関係文書、大津事件関係文書などが含まれており、滋賀県のみならず日本の近代史を語る上で貴重な資料群です。
20161216-1大津事件といえば、当館の収蔵品にも「大津事件関係資料」(滋賀県指定文化財)があります。凶器のサーベルや血染めのハンカチは殊に有名ですが、実はその大部分を占めるのは事件の顛末やその後の動向を伝える公文書の類です。そして、この公文書によって、事件の内容を詳しく知ることが出来るのです(例えば写真は事件現場の略図《行兇者近傍配置巡査取調調書のうち露国皇太子殿下ヲ傷ケタル現場略図部分》)。このような公文書は県民の共有財産であり、滋賀県の歴史を語るうえで欠かすことの出来ない歴史的文書といえます。
滋賀県庁内にも滋賀県県政史料室という施設があり、滋賀県が所蔵している歴史的文書を県民の皆さんに利用していただく場所を提供しています。また、これら歴史的文書を活用した企画展示も定期的に行われています。皆さんも是非一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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「つながる美・引き継ぐ心」 番外編:お不動さま

現在、滋賀県立近代美術館で開催されている「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展。みなさま、この展覧会の第3章「つながる」に出陳されている不動明王さまを、もうご覧いただけましたか?
このお不動さまは、近江八幡市の伊崎寺さまのご所蔵で、平成18年に国の重要文化財の指定を受けた際に、琵琶湖文化館で展示をさせていただくこととなり、その時のご縁で今回出陳されています。(現在は、この不動明王さまは比叡山国宝殿で管理されています。)

先日、お不動さまを寺の本堂から琵琶湖文化館へ搬入した時の、懐かしい写真を見つけましたので、2016isaki-1今日は是非、皆さんに当時の職員さんたちの武勇伝(?!)を紹介させていただきたく。。。
平成18年3月25日、琵琶湖文化館から学芸員さんとこの日出勤していた男衆(事務方・警備員)含む6名、滋賀県教委文化財保護課から2名、長浜市の学芸員さん1名の応援をいただき、総勢9名の強者たちが、近江八幡市の湖岸にある「伊崎の竿とび」で有名な伊崎寺のお山へ向かいました。これだけの人数で出陣?!した理由は、不動明王坐像とその光背、附の二童子像を、梱包の専門業者にお願いするでなく、自分たちでほとけさまを山から下ろし、公用車で運ぶという重大な使命があったからです。2016isaki-2
朝一に文化館を出発、お寺さまに着くと、先ずは堂内でほとけさまの状態確認。それから梱包、輸送、文化館に搬入・・・と、お戻りはお昼をまわってました。

この日、文化館でお留守番をしていた僕が、よ~く覚えていることがあります。それは無事にお不動さまが文化館に到着され、ほっとした時の皆さんの会話です。
学芸員ではないものの、力自慢としてこの日応援に駆り出された職員さんたち。大仕事に緊張されていたのでしょうね。高揚感というか、達成感というか、皆さん一様にテンション高めでした(笑)。「普段慣れていないので、梱包資材を運ぶだけでも手が震えたわ。」「ベテラン学芸員さんの指導があったからこそ(言われるとおりに)うまく運べて良かった。」「足元がズルッといきそうだった時、後ろから支えて貰って本当に良かったわ。助かった有り難う。」など、顔を紅潮させて話しておられたこと、僕はよ~く覚えています。あ~僕も行きたかったな、と(笑)。

もちろん文化財を扱われるのは専門知識と技術をお持ちの学芸員さんです。この時も何でもない顔をして、笑って話を聞いておられました。でも、事務方が必要とされてお手伝いに駆り出されるということは、それだけ信頼されているということです。時にはこうして助け合い協力させてもらうことで、展覧会が学芸員さんだけのものではなくなる・・・それが万年お留守番の僕にとっても、とても嬉しい出来事だったのです。このアットホームな感じ(?)が、琵琶湖文化館ならではのエピソードだと思います。

さて、今回の展覧会でそんな懐かしい思い出の「ご縁」をいただきましたので、この時行きそびれた僕は、皆さんが行かれた道を、いざ伊崎寺へ、行ってみる決心をいたしました!20161111今でこそ参道には砂利が敷かれてとても歩きやすいですが、当時は石がゴロゴロしていてとても歩きにくかったと聞いています。・・・そうかぁこの道をお不動さまを背負ってボチボチ下ったか・・・この辺かな?ズルっといったの(笑)・・・頭の中では当時の会話が思い出されてとても楽しい道行。駐車場から15分ほどで本堂に着くと、琵琶湖から吹く風の音がなんとも心地く、そこはまさしく癒しのパワースポットでした。

来れて良かった~!っと、大満足の帰り道、「あ、駐車場が見えた」と油断したところで、僕の足は「ズルっ」と・・・コケてませんよ?!そこは踏ん張りましたよ?!!・・・きっと僕は間違いなく、文化館ファミリー・・・と、再確認した帰り道なのでした~~ イヒッ!!

筆:あきつ

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「つながる美・引き継ぐ心」 番外編:仮面

現在、滋賀県立近代美術館で開催されている「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展。みなさん、この展覧会の第3章「つながる」に出陳されている仮面(赤鬼・青鬼)を、もうご覧いただけましたか?234
この仮面は、東近江市の日吉神社さまのご所蔵で、毎年春の例祭に合わせて一時返却をさせていただいている大切な文化財です。実は先日、地元の自治会さまから「祭礼には使用していない他の仮面も是非町内の人に見て貰いたい」というご依頼を受けて、「ふれあい広場」という地域イベントに、急きょ参加・展示をさせていただくこととなりました。

当日は見事な秋晴れに恵まれ、会場となった公園には大勢の方が集まり、マジックショーやカラオケ、地元有志のバザーなどが行われていて、それはそれは大変にぎやかなイベントとなっていました。
早速、施設の中の一角に設けていただいた机で梱包を外すと、先ずはみなさん「なんと厳重に巻いて持って来てくれはるのやね」と驚かれました。小さいお面ですが、衝撃を与えないように薄葉紙と綿布団で何重にもお守してお運びしております。
20161101いざお預かりしている3つの仮面【能面:痩男(やせおとこ)・大癋見(おおべしみ)、狂言面:祖父(おおじ)】を並べると、地元の皆さんが興味深そうに覗きに来られます。「祭礼の仮面は毎年見ているけれど、他にもあるとは知らなかったわ」「どれくらい古いのかしら」(:江戸時代です)「これらも指定品になってほしいな」など、私たちもさまざまなお声を聞かせていただく機会となりました。

ひと段落しておいとまさせていただいた帰り道、「地元のイベントにあんなにたくさん、子どもから大人からお年寄りの皆さんも、み~んなが参加される地域も今どき珍しく盛大でしたね。」『それだけ地域の結びつきがしっかりしているということ。だからお祭りも文化財も、地元の宝として大切に残していかなければという意思も受け継がれる。』「ほんとですね~。安心ですね~。」と、学芸員さんと話しながら文化館に戻りました。

地元のみなさんの「誇り」をお預かりしていることをしっかりと胸に刻み・・・なんだかとても心晴れ晴れ、いい会場に呼んでいただきました。有り難うございました。

筆:あきつ

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君の名は???

先に謝っておきます。タイトルから、今、大ヒット中の話題の映画を期待された方はごめんなさい。今回は、「西川吉輔」という人のお話です。この方は、文化13(1816)年、近江八幡に生まれ、幕末維新期の国学者として知られています。文化館では、この方の書簡を収蔵しており、ホームページ「収蔵品紹介」でもご紹介させていただいております。200

先日、こんなお問い合わせがありました。「西川さんのお名前は、キチスケとお読みするのですか?それともヨシスケというのですか?」

なるほど、素朴な疑問です。。。琵琶湖文化館のホームページには「にしかわ きちすけ」で紹介しています。このお問い合わせにしっかりとお答えすべく、学芸員さんは改めて徹底的に調べて下さいました。まずは、人名事典類、そして滋賀県の百科事典類、それから、それから。。。
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ところが、出てくるもの、出てくるもの、「ヨシスケ」ばかり。しかし調査を続けるうちに、地元の自治体史と、西川吉輔家文書を所蔵されている滋賀大学の目録に「キチスケ」あるいはローマ字で「kichisuke」とあるのを確認。どうやら、インターネットや他県の文献には「ヨシスケ」で紹介されていることが多く、滋賀県内の文献では「キチスケ」と記される傾向であることがわかりました。

また、滋賀県教育委員会文化財保護課さんに尋ねてみると、「宇野先生からは、「滋賀県の神道界や地元ではキチスケさんと呼んでいた」と聞いています」との有力情報が・・・。
宇野茂樹先生というのは、仏教美術研究の大家でいらっしゃいますが、実は神社の神主でもあり、神道界のことについても大変お詳しい先生です。西川吉輔は、維新後は日吉大社の宮司をしておられたので、当時、直接関わりのあった人々からの、「口伝え」とでもいうのでしょうか、地元ならではのかなり近しいところからの情報が、ここに伝わっていた訳です。

お問い合わせいただいた方にご連絡すると、なるほどそうでしたか、とご納得いただけた様子。このやり取りを隣で聞いていた事務方の私も勉強させていただきました(笑)。有難うございました。

本当に人の名前の読み方って難しいですよね。近頃はやりの「きらきらネーム」、同じ時代に生きているハズなのにどうお読みすればいいのかワカラナイお名前が・・・。皆さん、名前に読み仮名を添えるのは恥ずかしいことではありません。ちゃんと呼んで欲しい正しいお名前で、後世に名を残してくださいね(笑)。

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新たな寄託品

先日、湖西地域のとある神社に行ってきました。というのは、神社様の方から、宝物である県指定文化財の経典数百巻を文化館に預けたいという要望があり、受け取りのために行ってきました。
20160804写真は神社にむかう途上の写真です。長く険しい山道をいった、山深いところに神社はあります。近頃、こういった場所での宝物(文化財)の管理は大変むずかしくなったといわれています。これは全国的な傾向ですが、地域の高齢化や過疎化が進むなかで、十分な守り手が確保できなくなってきたためです。また大型の緊急車両が迅速に対応しにくいという防災上の課題もあります。このような現状を一因として、残念なことですが、文化財盗難という事件も発生しており、文化財をめぐる環境はますます厳しくなっています。
今回も、地域での管理が難しくなったという防災・防犯上の理由から琵琶湖文化館でお預かりすることとなりました。新たな寄託品の中には、古くは奈良時代の作品と思われるものも含まれており、滋賀県の経典研究を進めるうえで大変貴重な資料です。大切にお預かりしたいと思います。

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一時寄託のほとけさま

先日、一時寄託されるほとけさまが、文化館に搬入されました。というのは、東近江にあるお寺さまが、本堂の防災工事をされるということで、その間、重要文化財の仏像を4躯、文化館でお預かりすることになったのです。

20160719-1当日は、2台のトラックと梱包・輸送のための作業員が6名、文化館から学芸員が2人、また、滋賀県からは文化財保護課と新生美術館整備室の職員さんが立ち合われるという、総勢10名での大引っ越しとなりました。

現地では、総代さん方々地元の皆さんが見守る中、午前9時から作業が始まりました。先ずは状態確認、それぞれのほとけさまの特徴や注意事項などを調書に記していきます。そして持物や付属品、光背などを外し、ほとけさまに台座から下りていただいて、梱包しました。一木造のほとけさまは、小柄でもずっしりと重く、作業はとても慎重を要するものであったということです。20160719-2

そして文化館にお迎え・・・一番大きな箱はお不動さまの光背を梱包したもの↑で、相当な大きさであろう事がうかがえました。(学芸員ではない僕が見られるのはココまで・・・)
その後、展示室内に運び込まれたほとけさまは開梱され、一体一体丁寧にお身拭い・・・御躰に付いていた煤や埃を落として、大切に収蔵させていただきました。

休館となってからも、継続してきた文化館の役割。今回のように、一時お預かりする「だけ」と言ってしまえばそれまでなのですが、受け入れる際の作業スペースや保管場所、それにかかる人手など、想像以上に場所と手間と時間が必要であることを、ご存知の方はあまりいらっしゃらないかもしれません。本堂の建て替え・盗難防止・緊急避難・・・様々な理由で文化財を受入れてきた文化館ですが、展示公開はしていなくても、重要な役割を担った存在意義のあるお城なのでございます。

本館2階の正面階段を使って仏像が運び込まれる様子を、歩道から見ていたご夫婦が、「文化館リニューアルしはるの?」とわざわざ事務所まで、笑顔で聞きに来て下さいました。296「そうではないのですが・・・」と答えることも、いつものコトなのではありますが、閉ざされていた扉から新しい風が入るのも、なかなかにワクワクするものでございます。。。

   筆:あきつ

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安定した収蔵環境のために

20160624琵琶湖文化館では、文化財の安定した収蔵環境を維持するために、日常的な温湿度管理や清掃に加え、生物用インジケーターによる調査や、空中浮遊真菌を把握するためのモニタリング等を定期的に実施しています(写真は空中浮遊真菌調査の様子です)。さらに年に数回、収蔵庫等では、長い時間をかけて施設内燻蒸を実施しています。梅雨の時期は、文化財の大敵であるムシやカビが発生しやすい時期です。このため、先日も予防措置として、施設内燻蒸を行いました。
 安定した収蔵環境を維持するためには、普段から収蔵庫の環境や各収蔵品の置かれた状況を、つぶさに観察、監視することが大切です。そしてこれらの蓄積されたデータを分析・把握し、適切な収蔵環境の維持のため、季節に応じた最善の対策を講じるが必要あるのです。
休館後も県内社寺様からのご寄託品など、収蔵品が増加している当館では、安定した収蔵環境の維持がますます欠かせないものとなっています。かけがえのない「近江の至宝」を次世代に引き継ぐため、絶えることないケアが続きます。
 

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戦国武将の法要

先日、旧湖北町の小谷寺さまで行われる法要のため、文化館がお預かりしている「浅井長政像」(滋賀県指定文化財)をお持ちするという出張に、学芸員さんと一緒に行かせていただきました。
・・・実は念願でした。いつも僕は文化館でお留守番。地元の方々が、どれほどこの法要を大切にし守り継いでおられるのか、毎年学芸員さんからお話しを聞いておりましたので、「一度僕もおうかがいしてみたい」と秘めた思いを抱いていたのです。念願叶ってこの日、出張のお供をさせていただくこととなりました。

20160404-1地元では、朝から地元関係者の方々が集まり、敷地内にある小谷神社に参拝、その後小谷寺の本堂に移動して、厳かに法要が執り行われていました。小谷寺は浅井氏の祈願寺でもあったのです。
長政は、信長の妹であるお市を妻にめとりながらも信長に対立し戦い敗れて自害した戦国武将、激動の戦国時代を語る上で外すことのできない重要人物の一人です。お市との間に生まれた浅井三姉妹(茶々・初・江)の父君と言えば分かる方も20160404-2いらっしゃるでしょうか?
法要の間、お傍に控えさせていただいておりましたが、ご住職が唱えられるお経の声と皆さんがご焼香される凛とした空気に、長政が歴史的に有名であること以上に、地元の皆さんにとっては特別な存在であることがうかがい知れました。それはこうして毎年法要を続けてこられている意味に繋がっているようにも思います。

さて、地元の皆さんにも喜んでいただけたし、無事お役目も果たせたのでさぁ帰ろうとしたその時に!突然目に飛び込んできたのがコレ!20160404-4巨大な兜です!「大河ドラマ-江-放映記念」となっています。多くの方がこの兜の前で記念撮影されたのでしょうか(笑)。この日も県外ナンバーの車がたくさん停まってました。ここから歴史の舞台となった小谷城跡まで、徒歩でグルッと回れるそうですよ。行った時には桜の花が未だ2分咲き程度でしたが、今週には見頃を迎えていることでしょう。いい季節です。お出掛けしてみてはいかがですか?

・・・そう言えば今年の大河ドラマも戦国大名が活躍するお話。「やっぱり戦国は強い・・・」そんなことを話しながら帰途に着いた今回の出張でした。

   筆:あきつ

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執筆活動中

163ここ3日ほど、西日本では猛烈な寒波に襲われました。日の出前の通勤途中、気温がマイナス6℃となっているのを目にした時には、そのまま引き返してもいいんじゃないかと・・・いやいや文化館がどうなっているのか心配。。。寒さを「痛い」と表現していいくらいの?冷え込みでした。
職場に着くと館も例外なくカンカンに冷えており、、、屋外にある水道管が凍るなどしましたが、なんとか無事日常業務に努めております。

さて、近頃の文化館はと申しますと、と~ても静かです。と言うのも、学芸員さん達が「研究紀要」の執筆に埋没(=没頭)しておられるからです。毎日パソコンとにらめっこ。静かな事務所の中で、パチパチというパソコンの入力音だけが響いています。時にはベテラン学芸員さんに意見を求め、時には考え事をしながら虚ろな目で収蔵庫へ消える学芸員さん達。資料の確認でしょうか。282世の受験生と同じく?追い込まれて力を発揮する人達みたいです(笑)。みんな頑張れ~(笑笑)。

ということで、今しばらく、皆さんの頑張る姿を静かに見守りたいと思います。

・・・あくまで提出期限までですけれど・・・イヒッ。

   筆:あきつ

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滋賀県博物館協議会 研修会

皆さん「滋賀県博物館協議会」をご存知ですか?県内にある様々な博物館(美術館や資料館を含む)71館が加盟しており、研修会やシンポジウムの開催、広報誌「しが県博協だより」の発行などを通じて、各施設が情報を交換し、県民文化の振興に努め、協力し合う場として交流を図っています。

前回の研修会では、平成28年4月から施行される「障害者差別解消法」について詳しいお話が聞けるとあって、僕も参加させていただきました。
この法律は、障害のある人への差別をなくすことで、障害のある人もない人も共に生きる社会をつくることを目指しています。講習会では、「ひとえに障害のある方と言っても、障害の種類や重度によってその時その人の要求される事柄は様々なので、とにかくコミュニケーションを大切にし、求める側と対応する側双方の歩み寄りによって、お互いが納得し合えるような形で解決を図って欲しい。」と、お話されました。163例えば博物館では、障害がある方たちにも理解しやすいような配慮や工夫をした展示、講座では要望があれば手話通訳を手配するなど、何か出来ることがあるかもしれません。また、そういった心構えを持つことで、より多くの方に楽しみや学びの場を提供することが出来るのだと思います。
とりあえずは・・・講座でお話しする時は早口にならないように・・・学芸員さんにはお願いしておきます。。。

次回、県博協で予定されているシンポジウムは、どなたでも参加できますよ。興味のある方は是非ご参加ください。

演題:『地域の文化財と博物館~防災・防犯のための取り組み~』
日時:平成28年2月13日(土) 13:30~16:15(13:00受付開始)
会場:野洲市歴史民俗博物館 研修室(野洲市辻町57番地の1 Tel.077-587-4410)
定員:100名(当日先着順)  参加費:無料

詳しくは、滋賀県博物館協議会事務局(琵琶湖博物館内Tel.077-568-4811)までお問い合わせ下さい。

   筆:あきつ

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師走恒例の

20151218-1本日、滋賀の山々にも雪が積もりました。文化館からの眺めでは、西は比良山から比叡山にかけて、北はひと際白い伊吹山まで見えております。いよいよ冬本番ですね~。(写真:比良山系)

そうです・・・師匠も走る12月。文化館ではこの時期恒例、寄託更新の依頼のために、県内各地の社寺さまをお訪ねしております。文化館では12月25日から翌年の12月24日までの1年間を寄託期間としており、今年一年お世話になったお礼と、来年も引き続いて大切な文化財をご寄託いただけるよう、お願いにうかがわせていただいているのです。

訪問先によってはご住職が兼務となられたり、総代さんが代替わりをされたりと、寄託者の皆さまの状況も移り変わりがある中で、お顔を見て直接お話させていただく貴重な機会となっています。こうして毎年寄託更新をし、長期に渡ってお付き合いくださっているのも、文化館の学芸員を信頼していただいているからこそ・・・の事だと思います。280

「文化館なら大丈夫」と言っていただけるようハンドル持つ手にも力を込めて、今日も学芸員さんは出張されます。

   筆:あきつ

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秋の一般公開

滋賀のお山も紅葉がグッと進みましたね~皆さんはどこかへお出かけされました?県内の社寺さんでは秋の特別公開が真っ盛りですよ~。

さて、先ずご紹介したいのが湖東三山の一つ、西明寺さま。11月30日まで特別に国宝である三重塔内に描かれた壁画「法華経曼荼羅図」(重要文化財)が一般公開されています。雨天の場合は、文化財保護のため拝観中止となるようですから要注意ですね。27612月13日までは「玄武刀八(げんぶとうばつ)毘沙門天三尊像」も特別公開されていますので、そちらもお見逃しなく。
そして今日の新聞テレビ欄:番組紹介で気付かれた方いらっしゃいます?MBSテレビ夕方の「ちちんぷいぷい」で、「昔の人は・・・今週末に見頃を迎える紅葉の名所滋賀湖東三山に咲く満開のサクラ?」と載ってましたね~。紅葉が美しいことで有名な西明寺さまですが、なんとこの時季にサクラ??必見です!見たら行きたくなるカモですよ~(笑)。

それからもう一つ。草津市の芦浦観音寺さまでは、秋の一般公開が23日(勤労感謝の日)1日限定で行われます。普段の拝観は予約制となっていますが、この日は観光ボランティアさんが境内を案内して下さったり、お茶席が用意されたりするそうです。実はこの地元ボランティアさん、とても勉強熱心で先日も25名の方が文化館へ研修に来られました。文化館では芦浦観音寺さまご所蔵の文化財を、多数お預かりしていますからね。それらの見ドコロ褒めドコロ、しっかり伝授させていただきました(笑)。当日の解説に活かして下さる?かな?
この一般公開では、当館がお預かりしている芦浦観音寺文書(県指定文化財)の中から、織田信長判物含む7点の文書類や焼印(船印・鑑札印)なども展示されます。行かれた方はこの機会に是非、しっかりと目に焼き付けて来てください。

   筆:あきつ

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仏さまのご帰還

皆さん覚えておいでですか?本年4月9日のブログ「文化館の存在意義」に書かせていただきました甲賀市からお預かりしている仏さま。無事、お寺の本堂の改修が完了したということで、お預かりしていた仏さまをお納めさせていただきました。

P1010759今回はお預かりしていた仏さまも付随する持物も多く、2日間に分けて搬出するので、先ずはその選別から始まります。どの仏さまから運ぶのか、トラックに乗せる順、お堂に納める順、各仏さまの持物の確認、段取りが命の「指令」が飛び交います。

P1010794文化財を移動させる際には実はとても天気が気になります。作業をした2日間はお陰様で秋晴れの良い天気。さすが「私は晴れ女」と豪語する日頃の行いのヨロシイ学芸員さんが付いておられましたからね(笑)、晴れて良かったです。お寺の駐車場から本堂まで距離があるので、天気が悪いと運ぶのが大変だと聞いていましたし、何より文化館のこの階段が・・・晴れていればこの正面玄関から運ぶのが一番!・・・「重いぞーチカラ入れろー!」「階段!前上げるぞー!」「斜めにするなー!」・・・なんだか文化館ならではの掛け声が混じっていますが・・・抜群のチームワークで難なくクリア。無事お寺さまに到着です。

DSC08741お預かりして約7ケ月、咲いた桜が見事な紅葉に変わるころまで・・・と申し上げていましたが、お寺さまにとってはご本尊がいらっしゃらないお盆やお彼岸を過ごされ、待ちに待ったご帰還であったことでしょう。トラックが到着すると、ご住職さまが鈴を鳴らし般若心経を唱えて仏さまをお迎えされた、とのことでした。地元の方たちも入れ代わり立ち代わり見に来られていたそうです。

DSC08927文化財の移動、それは失敗が許されないシビアな状況の中で、無事に届けて当たり前のお仕事・・・とは言え、こうして事故無く無事終えることができ、地元の皆さんに喜んでいただけた、それが何よりの励みにもなり、やり甲斐にも繋がっています(お留守番の僕もそう思っています)。

いつも皆さんのおそばに文化館・・・
頼りにされる存在でありたいと願っています。

   筆:あきつ

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米原秘蔵の4ケ寺寺宝展2015

なんともソソられるタイトルの特別公開のお知らせです。
滋賀県米原市にある4ケ寺(大原観音寺・成菩提院・清瀧寺徳源院・蓮華寺)では、10/24(土)~11/15(日)の期間、各寺院の公開日に合わせて寺宝が特別公開されます。多くの文化財を所蔵されている寺院さんの寺宝展ですから、見応えたっぷりかと思われます!

軽く寺院の紹介をしておきますと、
〇大原観音寺(日本古寺百選):石田三成と豊臣秀吉の出会いの地。
鷹狩りで立ち寄った秀吉を三成が「三献の茶」でもてなした逸話が残る。
(公開は10/31.11/1.7.8の4日間のみ)
〇成菩提院:最澄が談議所を開いたのに始まりのちに比叡山延暦寺の別院となった古刹。
織田信長をはじめ、豊臣秀吉、小早川秀秋など数々の武将が宿営した。
(公開は10/24.25.31.11/1.3.7.8.14.15の9日間)
(※その上なんと!「11/21.22.23も特別公開します」とご住職から嬉しい情報が!※)
〇清瀧寺徳源院:中世、北近江を支配した京極氏の菩提寺。
34基の宝篋印塔が並ぶ京極家墓所は国の史跡。
(公開は10/31.11/1.3.7.8.14.15の7日間のみ)
〇蓮華寺:本尊は釈迦如来と阿弥陀如来の二尊。
「瞼の母」の「番場の忠太郎」の故郷として、忠太郎地蔵尊が建てられている。
(期間中毎日公開23日間)
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そもそもこの情報をゲットしたのは、文化館に寄託されている文化財がこの特別公開に併せて里帰りされたから・・・なのでございます。先日学芸員さんが、浄土曼荼羅図(重要文化財)と釈迦曼荼羅図を、お寺さまに届けて来られたのですが、特別公開を控えていろいろと忙しくご準備されていたそうですよ。紅葉シーズンにはまだ少し早いようですが、各寺院それぞれに趣きがありますので、これを機会に是非一度米原の地で「秘蔵」とのよい「お出会い」をして来て下さい。。。

注意すべきは公開日!各寺院さんによって公開日が異なりますので、スケジュール調整は念入りに・・・詳しくは米原観光協会さん(電話:0749-58-2227)にお問い合わせ下さいね。

   筆:あきつ

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歴史を極める

51秋晴れの良い天気が続いています。絶好のお出かけ日和だった先週の土曜日、当館の学芸員さんは湖北にある米原市柏原宿歴史館へ出張されていました。お仕事の内容は、その名も「歴史を極める」というお題の講演会。依頼をいただいた米原市教育委員会さんでは、「少しでも多くの方々に歴史に親しみ、かつ極めていただきたい」とシリーズ講座「歴史を極める」を毎年開催されており、今年度のテーマ「和紙を極める」の中で、当館の学芸員さんにもお声が掛かったのでした。

開催日が近づくにつれて、学芸員さんは各方面に電話で確認したり「モノ」の手配をしたりと、忙しそうな中にもその段取りにスキがなく・・・ん?・・・モノ?・・・お話しに行かれるのではナイノデスカ?

そう、今回の講演会、学芸員さんが用意されたのは、参加して楽しい『体験型』の講演会。テーマは「古文書の形-和綴じ本をつくろう-」です。身内ながらうまいなぁ~と思います。そう思いません?このタイトル。僕は先ず「古文書の形」のカタそうな雰囲気に腰が引けそうになってしまいましたが、それを「つくろう」なんてひらがなで呼びかけられた日には・・・はいハイはいッ!参加しま~す!となっちゃいませんか?(笑)

当日は、そんな素直な人たち(笑)・・・いえいえ勉強熱心な人たち約25名が、実際に文化財の修理などに使われる和紙と針・糸を使って、楽しく和綴じ本作りを体験されたのでした。

・・・いいなぁ・・・うらやましいなぁ。僕も参加したかったです!これって日記帳なんかも作れますよね?日々の出来事を筆でサラサラと・・・くーっ格好いい!・・・我が国最初のとんぼ文学『あきつ日記』が世に出る日も近いかと思われます。。。91

あぁっでもその前に!習字のお稽古が必要デス!(泣)

   筆:あきつ

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文化財里帰り

朝晩すこぉ~し涼しくなりましたか?とは言え、世間様はお盆休み真っ盛り。故郷へ帰ってゆっくりまったりされている方も多いのではないでしょうか。そんな中、文化館でお預かりしている文化財も里帰りされています。

それは、大津市坂本比叡辻の聖衆来迎寺さまからお預かりしている寺宝の数々です。これらは毎年8月16日に行われる虫干会(むしぼしえ)で一般公開されるため、この日には文化館だけでなく、京都や奈良の国立博物館に収蔵されている寺宝も一斉に里帰りされ、にぎやかなお盆を迎えられます。
文化館からは、国宝の「六道絵」を江戸時代に模写したものや、重要文化財の「阿弥陀二十五菩薩来迎図」「銅造薬師如来立像」、「堆朱香合」など、他にも多くの文化財を、昨日お寺さまにお届けさせていただきました。移動は大変でしたが、無事作業を終えてホッとしています。
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先日も大学の留学生さんが六道絵の論文を書くため、わざわざアメリカから来日されてました。六道絵は「地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天」のありさまを絵画化したもので・・・リアルに怖いです。人生考えさせられます。悟りの境地です。
夏休みで浮かれている子ども達よ、これを見て泣け!否!ちゃんとした人生歩まにゃいかんよ!と、僕は言いたい・・・自分にも言いたい。。。(泣)。
江戸時代に模写された「六道絵」とは言え、15幅すべてが揃う貴重な機会です。大人も子どもも、熟覧していただきたいイッピンです。

実はコレ、暑い夏を乗り切るために『ヒヤッ』とするいい機会・・・なのかもしれませんよ?!

   筆:あきつ

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