カテゴリー別アーカイブ: 文化財講座

「花湖さんの打出のコヅチ」第3回 開催しました

 ここ最近はまるで梅雨に戻ったかのような雨続きでしたが 、この日は晴れてくれました!7月21日(木)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第3回の開催日です。講座メイン会場には、開催を心待ちにした 92名の方がお越しくださいました。

講師の矢田直樹氏

 今回講師にお迎えしたのは、県文化財保護課の矢田直樹氏です。 おやおやこれは・・・なんてステキ な青のハッピ姿でのご登壇です♡ オトコマエ度が一層上がっております↑ (笑)!何を隠そうこの方、「県下随一のお祭りオトコ」と言っても過言ではない?!どんなお話が聞けることやら・・・とても楽しみです♪
 
 講座のテーマは「民俗文化財の保存修理」です。文化財保護法によると「民俗文化財」とは、衣食住、生業、信仰、年中行事に関する風俗習慣、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないものとされています。身近なものであればこそ、民俗文化財を継承していくための保存修理が大変重要となります。今回の講座はそんなお話です。

 保存修理の一例として、日野町にある馬見岡綿向神社の「祭礼渡御図絵馬(県指定)」について紹介されました。(※皆さん覚えていらっしゃいますか?平成30年度の打出のコヅチで紹介した“あの” 絵馬です。)
 約200年前に描かれた絵馬は、にかわの接着力が弱まったことで絵の具の剥落が見られ、修理にはにかわを挿して接着力を戻すという作業が行われました。縦206cm横422cmもある大きな絵馬を修理するのはとても大変で、剥落止めの作業だけでも一年かかったのだとか・・・調査も含めると2年の歳月をかけた大事業であったとのことです。
 修理完了後は、神社の建物などで保管することも考えられましたが、地域の繁栄を願って奉納された絵馬であるため、「地元の人達に見てもらうのが一番!」と、以前と同じように境内の絵馬殿に掲げられたそうです。とてもいいお話・・・心にグッときます。ヨッ!これぞ民俗文化財!!皆さんも文化財の在り方を考える、良いきっかけになったのではないでしょうか。

 また、近江の無形民俗文化財には曳山祭があります。祭りに使用される山車には、本体を造る建築・木工、塗装の漆工、飾り金具などの金工、幕の染織など様々な技法が用いられています。山車によっては、からくり人形の仕掛けがあったりもしますよね。講師のお話の中で「山車は“山 ”ひとつで、多様な工芸技術がある総合文化財」と言っておられたのがとても印象的でした。何だかとても日本人の魂に“響く”言葉だと思いませんか?
 後半では曳山の修理について、とてもよく分かる映像が紹介されました。 各分野の職人さん達が持てる技術を駆使して作業される姿や、文化財修理に対する熱い思いが伝わる映像です。こちらは滋賀県文化財保護課You Tubeチャンネルの「近江の曳山祭と曳山修理 祭りを支える技」で、ご覧いただく事ができますので、皆さんも是非チェックしてくださいね♪ 【ここまで曳山祭に特化した番組は全国でもとても珍しい、貴重映像が満載です!!】


 受講者の中には、曳山祭に直接関わっておられる方も参加されていたようで、「修理の様子は見ることができないので映像で見れて良かった」とのお声も寄せられました。

 民俗文化財には、少子高齢化や人口流出や、資金・原材料確保や修理技術の継承など、様々な課題があるそうです。使い続ける文化財として、また多様な素材や技術が使われている文化財を修理をすることで、民俗文化財としての価値を守りつつ、次世代に引き継ぐことになります。身近にある地域の文化を長く守り続けていく大変さと大切さを知る講義となりました。 ワッショイ!!

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打出のコヅチ 番外編 ~ご質問にお答えします~

 前回のブログでご紹介した滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第2回。内容は延暦寺所蔵の「阿弥陀八大菩薩像」がメインでしたね。今日は、アンケートに書かれていたご質問内容 について、講師を務められた古川史隆氏にお尋ねしましたので、復習もかねて皆さんとお勉強したいと思います。

 (質問①) 高麗仏画が日本に伝わり7~800年経ているが、絹が虫あるいは劣化
       による
損傷がない。保存の工夫は、どうなのか。

 この仏画は14世紀頃の製作となりますので、確かにすでに700年近く経っています。ですが、スクリーンに映し出された図像は、阿弥陀様や菩薩様たちのお姿をはっきりと確認することができます。

 さて、長い歴史の中どのような保存がされていたのか、、、それは定期的な虫干しなのだとか。風通しによって空気を入れ替え、カビや虫の被害を防いでいるそうですよ。更には、50年・100年単位で修理を重ねることで、損傷の進行を防いでいるらしく、、、何とも長い年の間隔で、修理が繰り返し行われていたのですね。古いものを後世に残すということの大変さがわかります。そして、このような質問も…

 (質問②) 絹布に細密画を描くには「にじみ」も予想されるが認められない。
       どんな工夫があるのか?また、絹布のメッシュ数なども知りたい。

 ここ、これはまた専門的なご質問!詳しくみてみましょう。

 この作品の絵絹(えぎぬ)の組成(そせい)は、1平方センチメートル四方で、経糸(たていと)が約20本、緯糸(よこいと)が約30本とのこと。びっしり糸が詰まっているように見えても小さな隙間はできます。そこに絵を描いたら、たしかに滲んでしまいそうです。でも、ちゃんと対策があるのです。

 滲みの防止策は、絵絹に礬水(ドーサ)を塗布することが現在でも一般的なのだとか。礬水とは、獣の骨などから作られる「膠(にかわ)」と「明礬(みょうばん)」を混ぜたもので、絵が描かれる前の絵絹に塗布します。おそらく高麗仏画でも同様の処置が行われていたと考えられるそうです。絹に描くためには、こんなひと手間があったのですね。

 いかがでしたか?前回のブログは「阿弥陀八大菩薩像」の内容や表現方法を紹介しましたが、今回は文化財の保存方法・絹に絵を描く方法をご紹介しました。アンケートをきっかけに、こんなにも知識が深まるとは…「さすが、打出のコヅチ!」と言っていただきたい(笑)。

 皆さんにご記入いただいたアンケートは、毎回ドキドキしながら見せていただいております。アンケートをただのアンケートと思うべからず…。より良い文化財講座の開催につなげるべく、スタッフ一同、一生懸命取り組んでおります。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第2回 開催しました

講座メイン会場:コラボしが21

 梅雨の晴れ間となった6月23日、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第2回を開催しました。会場のコラボしが21には、何と定員を超える方々が…。実は、、、です。滋賀県では15日にコロナの警戒レベルが引き下げられたこともあり、講座の受付についても柔軟に対応させていただいておりました♪元々が210人座れる大会議室です。運営側として、これまでと同様に会場の感染症対策も怠りなく、参加の皆さんには変わらずマスクの着用をお願いした上で、今回110名の方々にご参加いたさきました。皆さん、ご協力ありがとうございました。

講師:古川史隆氏

 第2回は、「延暦寺の阿弥陀八大菩薩像について-令和3年度滋賀県新指定文化財紹介①-」というタイトルで、県文化財保護課・古川史隆氏(琵琶湖文化館兼務)がお話しいたしました。延暦寺所蔵の「絹本著色阿弥陀八大菩薩像」は、朝鮮半島の高麗時代に描かれた作品で、当時の仏教文化を物語る貴重な資料として、昨年度新しく滋賀県指定文化財となりました。現存する高麗仏画は、現在は160点近くが確認されており、日本には約110点が伝来しています。

 今回のテーマである「絹本著色阿弥陀八大菩薩像」は、法量が縦178.6cm横88.6cmと大きいもの。“絹本著色”とは、絹に色を付けて描かれたことを指しています。皆さん、この絵を描くときは「きっと大きな絹に描いたのだろう」って思いますよね。でも実はこの絵、5枚の絹を継いで一枚の絵とする“五副(ふく)一鋪(ぽ)” の絵になっており、その継ぎ方は大変珍しいそうです。仏画において、1枚の絵絹を使った一副一鋪や、3枚の絵絹を継いだ三副一鋪はよく見られるそうですが、五副一鋪はあまり例を見ない珍しい作なのだとか。

 「阿弥陀八大菩薩」の図像は、中国・日本に作例はなく、華厳信仰と阿弥陀信仰が融合した高麗独自の信仰を反映した図像との説があります。 更に特徴的なところは、通常なら阿弥陀八大菩薩像の最前列に配置される観音菩薩・勢至菩薩と第三列に配置される地蔵菩薩・弥勒菩薩が入れ替っていることです。明確な理由はわかりませんが、特殊な信仰形態に基づくもの考えられているのだとか。この絵には、願主の意図が込められているようで、「仏画」とは、実は種類豊富で奥深いものなのだと、今回改めて思いました 。

 高麗仏画は、今まで中国画(唐絵)とされていたため、研究が始められたのは戦後のことで、ここ数十年で研究の進展・成果が目覚ましいのだとか。参加された方からも「高麗仏画というものを初めて知った」との声もあり、あまり知られてこなかった高麗仏画が、今後更に研究されることで多くの方に知ってもらえるようになれば嬉しいですね。

 1時間30分の講座もあっという間。コロナ禍で皆さんからの質問をお断りしているのですが、アンケートを手渡してくださった方から「質問があったのでアンケートに書かせていただきました」とのこと。「おや。これはしっかりと講師の方にお伝えせねば!」と、早速質問を古川氏にお伝えしました。その質問と回答は??それは次回このブログでご紹介します。

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令和4年度「花湖さんの打出のコヅチ」第1回 開催しました

 皆さん待望のこの日がやってまいりました! 5月25日(水)「滋賀の文化財講座 花湖さんの打出のコヅチ」、今年度第1回目の開催日です。会場には、事前に申し込みいただいた100名の方がお越し下さいました。幸先の良いスタート♪これも講座を楽しみに待っていてくださる皆さまのおかげです。

講師:井上優

 今回の講師は県文化財保護課・井上優(琵琶湖文化館副館長兼務)で 「滋賀県の誕生と県政150年」というテーマで、お話しいたしました。
 2022年は滋賀県政150年を迎える年です。講座で紹介された歴史資料「滋賀県行政文書」は、県政150年の歴史を物語る基礎資料で、滋賀県指定文化財になっています。今年度“滋賀の文化財講座”の初回を飾るのに相応しいテーマなのです。

会場の様子

 「滋賀県行政文書」は、書類を綴じた本のような体裁にした「簿冊(ぼさつ)」の形になっていて、その数9,068冊。一括して、県指定文化財として県庁に保管されています。
 その内容は滋賀県の前身・大津県庁発足の明治時代(慶応4年含む)から、昭和初期(昭和20年)までの文書となっており、この文書を紐解けば近代滋賀県の歴史がわかるのです。その中には今では信じられない滋賀県の姿もあります。明治9年から明治14年にかけて、滋賀県は敦賀県を合併しており、この5年間は、現在は“海なし県”でお馴染みの滋賀が、なんと“海あり県”だったのだとか。この事実には、会場からも驚きの声が聞かれました。ちなみに、この時期の文書には、福井県である敦賀の行政文書も含まれているそうです。

 行政文書は、滋賀県立公文書館でのみ閲覧が可能です(利用申請が必要)。閲覧方法等詳しくは、公文書館のホームページをご覧ください。また公文書館では、企画展示や公開講演会なども行っているそうです。この講座で気になった方は、行ってみてくださいね。

スクリーンに映し出される大津事件の概要

 そして、県政150年を語る上で忘れてはならない出来事といえば、明治24年に起こった「大津事件」です。当館にその関係資料が収蔵されていることは文化館ファンの方なら、よくご存じですよね?!講座では、事件後を中心に当時の生々しい調書や、事件後の県と国についてより詳しく解説しながら語られました。事件のあらましなどは、教科書などでご存知の方もおられますが、事件のその後については、知らないという方が多かったようで、アンケートを拝見していると「大津事件を詳しく知ることができて良かった」といったお声もありました。

 平成20年度より、会場[コラボしが21]で始まった「滋賀の文化財講座」は、今年で15年目を迎え、参加人数は延べ7,000人を突破致しました。本講座は、皆さまの知りたい・学びたいという気持ちに支えられております。
 これからも、滋賀の文化財をとりまく魅力あふれる情報を、“ 打出のコヅチ ”のひと振りが皆さまの期待に応えられますよう、頑張ってまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いたします。

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いよいよ始まる“アレ”と思いがけない出会い

 さぁ!いよいよアレ始まります! 4/1付けのブログでお伝えしていたアレとは、、、そう。滋賀の文化財講座花湖さんの打出のコヅチです。4月になってから、多くのお問い合わせがあり、情報解禁したのが、4月後半だったにも関わらず、4月のホームページアクセスで一番の人気となりました。

 まだ新型コロナが心配なため、今年もメイン会場(コラボしが21)の人数を100人に抑えての開催となりますが、各市町のご協力もあり、全6カ所のサテライト会場を設けております。こちらも是非ともご利用くださいね。会場によって開催する回が異なりますのでご注意ください。
 初回は、5月25日(水)「滋賀県の誕生と県政150年」をテーマに、滋賀県文化財保護課兼琵琶湖文化館副館長の井上優がお話しさせていただきます。メイン会場の予約は若干名となっています。ご参加を検討されている方はお早めに。。。(※定員となった場合は、キャンセル待ちでの受付として対応させていただきます。)

 さて皆さん、ゴールデンウィークはどこかに出かけられましたか?今年は、3年振りに規制の無い大型連休となり、ニュースでも連日各地の観光地の様子が映しだされていました。関西では、琵琶湖畔で寛ぐ親子連れや、観光客でにぎわった京都清水寺の様子が映し出されていました。

諸大夫の間 矢印部分が「虎の間」

 連休中に京都に行く機会があったのですが、思いがけず京都御所で“岸岱の虎”と出会いました。“岸岱の虎”といえば、館蔵品の「巌上咆哮猛虎図」です。寅年の今年、文化館の新年の挨拶でもご紹介しました。この虎を描いた岸岱が京都御所内にある「諸大夫(しょだいぶ)の間」に同じく虎を描いているのです。「諸大夫の間」は、正式に参内した人の控えの間で、身分に応じて「桜の間」「鶴の間」「虎の間」へと通されたそうです。一番位が高い人が通された「虎の間」です。コチラの襖に岸岱の虎図がありました。建物内に入ることは残念ながら出来ず、外から襖を見る形となるのですが、館蔵品の猛々しい虎とは違い、少し落ち着いた感じが見て取れます。遠目からでもわかる隆起した虎の体つきが「巌上咆哮猛虎図」にそっくりで岸岱の虎と実感しました。

 連休中の出会いに思わず嬉しくなりました。京都御所は、一年を通じて公開されており、誰でも無料で見学することができます。皆さんも是非、文化館の虎との違いを見てみてくださいね。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第5回 開催しました

秋も深まった11/11(木)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第5回を開催しました。本来は9月開催予定でしたが、新型コロナ感染拡大の影響により2カ月遅れでの開催。その間に第6回の現地探訪が行われたため、今回が今年度最後の文化財講座となりました。会場には、この講座をずっと心待ちにして下さっていた89名の方々が受講されました。

今回は「建造物のさまざまな屋根技法」をテーマとして、県文化財保護課の菅原和之氏にお話しいただきました。 ひとことで“屋根”と言っても、その形や素材は様々。講座では、歴史的建造物の屋根の形状・葺き材とその技法について、スライドの豊富な写真とともに、ひとつひとつ丁寧に説明していただきました。屋根の形状は、切妻造、寄棟造、宝形造、入母屋造など多様にあり、素材も檜皮(ひわだ)や杮(こけら)、とち、茅、瓦、銅板と様々です。茅葺きでお馴染みの茅材は草の総称であるため、地域によって使用するものが異なるそうです。琵琶湖岸ではヨシですが、山間部ではススキを使用するという、同じ滋賀県でも違いがあるのが印象的でした。形と素材の組み合わせは自由なため、建造物に求める用途や使用年数、地域ごとの気候や資材入手等の条件によって組み合わせが検討されるとのお話には、その奥深さに感嘆するばかり。皆さんからも「屋根について詳しく知る機会がなかったので知ることができてよかった」とのお声を頂きました。

会場には「屋根技法について」の文化財保護課の出張展示が設けられました。詳しく書かれたパネルの他に、講座で紹介された屋根葺き材の檜皮や杮の実物、葺き方の模型なども展示されました。熱心に見入る人たち・・・普段は間近で見る事ができない屋根の葺き方がよく分かり、講座の内容もより理解が深まったのではないでしょうか。

今年度の打出のコヅチは、本講座を持ちまして全てが終了いたしました。新型コロナに悩まされながらも、全6回を無事に開催できたこと、深く感謝いたします。サテライト会場でご参加いただいた皆さんも有り難うございました。アンケートに「このコロナ禍で開催してくれてありがとう」と書いてくださった、そのあたたかいお言葉にも感謝です!
滋賀の文化財について、学びの機会を皆さんとともに・・・今後とも「打出のコヅチ」をよろしくお願いいたしま~す♪

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「花湖さんの打出のコヅチ」第6回現地探訪 開催しました。

さわやかな秋晴れとなった10月28日(木)「花湖さんの打出のコヅチ」第6回現地探訪を実施しました。今回は「渋沢栄一ゆかりの藤樹神社とその周辺」をテーマに、高島市安曇川町を訪ね、近江聖人と呼ばれた中江藤樹と渋沢栄一について、県文化財保護課(琵琶湖文化館兼務)の井上優氏に詳しく案内していただきました。

集合場所の藤樹神社に集結した40名の“打出のコヅチ隊”。藤樹神社はその名の通り、中江藤樹を祀った神社で、1922年の創建、来年100年目を迎える新しい神社です。ここでは特別に宮司さんからお話しいただきました。地元をはじめ、中江藤樹を慕った多くの人々によって建てられた歴史について、なかでも近代日本を支えた著名人、渋沢栄一や大隈重信、東郷平八郎などから多額の寄付があったことが紹介されると、皆さんからはどよめきが(笑)。興味深いお話を聞かせていただきました。
その後、お隣の高島市藤樹の里文化芸術会館へ移動。ここは、現在好評開催中の「渋沢栄一と中江藤樹・熊沢蕃山」展の第1会場となっています。コヅチ隊もここで展覧会を見学しましたが、ただ見るだけではありません。渋沢栄一たち近代日本を支えた偉人と中江藤樹の関係について展示を見ながら探っていくのです。会場には、滋賀県内に残る渋沢栄一の書4点すべてが一堂に会しており、皆さん普段はあまり見ることができない貴重な作品を、講師の解説とともに熱心に見て下さっていました(嬉)。
第2会場となる近江聖人中江藤樹記念館では、共に企画展を担当して下さった記念館学芸員・早川さんが中江藤樹や高島市の文化財について、詳しくお話をして下さいました。文化館の収蔵品の中でも重量級の高島硯は、その大きさに皆さん驚いておられましたヨ。そしてこちらの左の写真(←)。皆さんなんだか熱心に展示ケースを覗き込んでいます。実は、ここには中江藤樹の真筆で、彼の教えである「致良知」を大きく書かれた掛軸が展示されています。普段は学芸員の方でも滅多に見ることができない(!)ものだそうで、現在、展覧会に合わせて特別に公開されています。この貴重な機会に皆さんの目はくぎ付けです。

当初はこの記念館で現地探訪は終了する予定だったのですが・・・なんと!近くにある「藤樹書院跡」を管理する良知館さんが、急遽我らがコヅチ隊の見学を受け入れてくださることになり!ココからは、オプショナルツアーとして、藤樹書院跡へ向かうことになりました。時間の都合が付かなかった方ゴメンなさい!
「藤樹書院跡」は中江藤樹の住居兼講堂跡で、国の指定を受けてから来年100年を迎えます。現在の建物は明治時代に再建されたものですが、内部には中江藤樹の神主(しんしゅ:儒教における位牌)があり、藤樹先生を身近に感じながら、地元の方の説明に耳を傾けました。説明をして下さった方が、終始「藤樹先生」とおっしゃっていたのが印象的で、今でも皆さんから慕われ、親しまれる存在であることを実感致しました。

今回のツアーは、現地探訪始まって以来「一番歩く距離が短い」ツアーとなりました(笑)。県内に住んでいても、あまり知らなかった中江藤樹のことを詳しく知ることができる良い旅となりました。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 開催しました。

10月11日(月)滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第4回を開催しました。本来は8月に開催の予定が、新型コロナウイルスの感染拡大によりやむなく延期となり、講座の再開は約3ヶ月振りとなります。ようやく再開できました。
当日は10月とは思えない暑さの中、定員いっぱいの100名の方が会場にお越しくださいました。受付でも開催を待ちわびた皆さんの今か今かという気持ちがヒシヒシと伝わります。

第4回は「仏教美術にみる死生観」をテーマに、琵琶湖文化館の学芸員・和澄浩介が登壇いたしました。実はこの回、滋賀県が行っている「死生懇話会」とのコラボ企画となっています。「死生懇話会」とは、誰もが避けられない「死」について、行政として真正面から考えることで、「生」をより一層充実させる施策につなげる契機として令和2年度から滋賀県が懇話会を設置していました。
講座では仏教美術を通して、昔の人の死生観について語られました。中でも、古代の仏像の死生観には現代とは違った考え方でした。皆さん“仏像”とは「死」に対して造られている感じがしませんか?ですが、奈良・法隆寺金堂の釈迦三尊は聖徳太子の病気平癒を願って造られ、薬師寺金堂の薬師如来は、天武天皇が妻の病気平癒を祈願して造られたもの。どちらも人を生かそうとして造られた仏像なのです。
他にも、平安時代後期以降には仏像に故人の遺物などを納めて仏と一体となることを意図する考えに方に。例として挙げられた、愛知・瀧山寺の聖観音立像は、源頼朝の従弟が頼朝の三回忌に造らせた像で、頼朝の歯を像内に納めたそう。スクリーン映し出された、X線写真には確かに人の歯が写っていました。講師の口から「頼朝の歯」との説明を受け、教科書にも登場する歴史上の人物の死生に、会場内からは思わず「おお!」との声が多く上がっていました。県内にも東近江市・善勝寺に、三回忌を迎えた故人の遺骨を納めた貴重な仏像があるということです。
各時代の仏教美術から、それぞれの死生観を伺うことができました。色々な考え方から現代に生きる私たちにも何かヒントがあるかかもしれません。盛沢山な内容に充実した1時間半となりました。

次回の打出のコヅチは、10月28日(木)開催の第6回現地探訪となります。延期となった第5回が、11月11日(木)開催となるため、第4回の次が第6回となってしまってます。すこしややこしいですが、申し込みをされた皆様、楽しみにしていて下さいね。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 開催延期について

暦の上では立秋が過ぎ、台風が過ぎ、空気が少し入れ替わったように思います。季節の挨拶状が「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わる時期ではございますが、この度「滋賀の文化財講座 花湖さんの打出のコヅチ」を楽しみにして下さっている皆さまへ「お詫び状」を送らねばなりません。。。

8/6付けでお知らせしていますとおり、当初8/26(木)に開催予定であった[第4回 仏教美術にみる「死生観」]につきまして、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、やむなく開催を延期させていただくこととなりました。

講座メイン会場(コラボしが21)⇒10/11(月) 14:00~15:30

先にお申込みいただいていた方には、変更の旨、当館より個別に連絡をさせていただいているところでございます。※受講を電話で申し込まれた方!文化館からの着信(077-522-8179)に出て下さい!!オネガイシマス!)

なお、サテライト会場[彦根市稲枝地区公民館・近江八幡市総合福祉センター/ひまわり館・湖南市共同福祉施設/サンライフ甲西]へお申込みいただいておりました方々には、各会場担当より「中止」の連絡が届いているかと思います。この点に関しては、当方の都合により苦渋の判断で「中止」とさせていただきました。受講を楽しみにしていただいていた方々には、大変申し訳なく、心苦しい限りです。
※メイン会場の受付は、既に定員に達しているため、「キャンセル待ち」をご希望の方は、誠に恐縮ですが、電話にてお申込みいただければ幸いです。

私どもといたしましても、このままではサテライト会場にお申込みいただいていた方々にあまりにも申し訳なく、『なんとか受講していただくことができないか』と、現在、対策を検討しております。後日、何らかの形でご案内できるかと思います(頑張ります!)ので、吉報をしばしお待ちいただければ幸いです。当館HPを欠かさずチェックしてくださいね。

この度の新型コロナの感染拡大という不測の事態に、主催側も慌てふためいております。暗中模索ではありますが、より良い形で講座を開催できるよう、鋭意努力してまいりますので、
受講の皆さまにはご理解ご協力賜りますよう、お願い申し上げます。

皆さん、何としてもこの感染拡大を8月中に抑え込みましょう!秋以降の楽しみのために!今が我慢・試練の時と思って、皆で乗り越えましょう!健康が一番!!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第1回 開催しました。

5月27日(木)梅雨の雨というには、少し激しい雨模様のなか、はじまりました今年度初の滋賀の文化財講座 花湖さんの打出のコヅチ。100名の定員のところ、事前に申込みのあった90名の方が受講されました。今年も、昨年に引き続きコロナ禍での開催。来場の皆さまには、入口で検温にご協力いただき、受付もスムーズにスタートしました。

第1回は「芦浦観音寺の王会図屏風について-令和2年度滋賀県新指定文化財紹介-」というタイトルで、県文化財保護課(琵琶湖文化館兼務)・古川氏に登壇いただきました。
芦浦観音寺さまの所蔵で現在、文化館でお預かりしている王会図屏風は、令和3年2月新たに県指定文化財になった作品で、まさにコヅチの初回を飾るトップバッターにふさわしいホットな話題となりました。

「王会図(おうかいず)」とは、中国唐時代に誕生した画題で、本場中国では、唐代の太宗に対する朝貢の図を「王会図」といい、朝貢全般の図を「職貢図(しょくこうず)」と呼ばれるそうです。この二つが混同し、同一の作品に対して、二つの名称が使用されるのだとか。そして、中国では「職貢図」が10点程残っていて、「王会図」と呼ばれるものは現存しないそうです。日本における「王会図」も、わずかにしか残っておらず、現存作例は、戦国武将が天下統一を競っている16世紀末に集中しているのだとか。これは、絵を注文した人が、中国全土を統一した太宗と来朝者を、自分と服属する戦国大名に重ね合わせ天下統一を示したのではと説明されていました。日本に来て新たな解釈となった「王会図」。時代が反映されていて、とても面白いと思いませんか。

そして、芦浦観音寺の王会図屏風には、時を経て変わったことが。それは…っと、コレは、ただ今「クイズチャレンジ」で問題になっているのでした。なので、ココではちょっとヒミツにさせてください(気になった方は、ぜひクイズを考えてみてください)。会場でこの話が講師の口から話された時、驚きの声を上げた方がおられましたよ。日本の建具って奥が深い!

今年の文化財講座は、大津の本会場(コラボしが21)とは別に、各自治体の協力のもと、オンライン配信によるサテライト会場での受講も可能となりました。会場となった彦根市稲枝地区公民館さん、草津市常盤まちづくりセンターさん。受講された方からは、「初めて目にする文化財でした。」「滋賀の文化財のすばらしさ、今さらながらの学びです。」「人数等ちょうどよい」等の感想も寄せられました。これを機会に多くの方に滋賀の文化財の魅力に触れていただければ幸いです。(詳しくはコチラ

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令和3年度 滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」開催決定!

皆さん気になってますよね~。3月にお問い合わせの電話をいただいた方も、4月に入ってからネットのキーワード検索でチェックしていただいている方も、直接当館に訪ねて来られた方たちも!!!・・・開催を楽しみにして下さる全ての皆さまへ、お待たせ致しました・・・。
本年度も開催いたします!滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」全6回!!
コロナ禍での開催は心配することも多く、実施について何度も話し合いを重ねた結果、「こちら側の体制をしっかり整えた上で、会場の定員を昨年と同様に」してであれば実施は可能!との判断に至りました。何より、昨年参加された皆さんがとても協力的 (感謝!!)で、「また楽しみにしてるわ」と声かけられたその言葉に支えられてきた私たちです。今、ここに、コヅチ14年目の開催に向けての一歩を踏み出します!あとは前進あるのみ!

【基本情報】
講座のメイン会場は、昨年と同じ大津市打出浜の「コラボしが21 3階大会議室」。募集定員は100名で、座席を1つずつ空けて着席していただく会場です。大きなスクリーンを見ながら、講師が皆さんにお話させていただきます。

【昨年と違うところ】コロナ対策
〇今年はオンライン配信によるサテライト会場での受講が可能です。
各市町さんの協力により、少人数の会場で受講できます。(資料はメイン会場と同じものを配布。スクリーンにはメイン会場と同じ内容が映し出され、講師の音声が届きます。)
※各会場で実施する回が異なりますのでご注意を!
・彦根市)稲枝地区公民館①②③④⑤
・近江八幡市)桐原コミュニティセンター②
・近江八幡市)総合福祉センター[ひまわり館]③④⑤
・草津市)常盤まちづくりセンター①
・湖南市)共同福祉施設[サンライフ甲西]③④⑤
・多賀町)多賀町立博物館②③⑤

〇開催時間は半時間ずらして14:00~15:30まで。(机の消毒等、会場準備のため)
昨年は準備でバタバタでしたからね。受付開始も13:30~となりましたので、密になることなく入場していただくことができます。
〇受講の申し込み受付開始日を設定、各回のお申込み。
昨年、定員を減らしたこともあり、受講できなかった方が多数いらっしゃったため、今年はコロナの状況を見極めつつ、公平に、各回約1ケ月前からの受付とさせていただきます。(こちらで言うのもなんですが「人気講座」ですので)毎回ドキドキしながらご応募下さい(笑)!

ということで!第1回は5/27(木)、昨年度に新しく県指定文化財となった「芦浦観音寺の王会図屏風」についての講座です。受付開始は4/27(火)8:30から!皆さまのご参加を心よりお待ち致しております!!【詳しくはコチラ!】

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「花湖さんの打出のコヅチ」第6回 開催しました

日差しが暖かく、冬のお出かけ日和となった12月10日(木)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第6回を開催しました。今年度最後の回は何と!定員ピッタリの100名の方にご参加いただきました。まさに満員御礼!受付時のソーシャルディスタンスも守って頂いて有り難うございました!

今回のコヅチは、「神と仏の融合「本地垂迹」と仏像・神像」をテーマに、神仏が融合した不思議な世界について、当館の和澄浩介主任学芸員がお話しさせていただきました。
皆さま、“神仏習合”というと、「神と仏が一緒になっている」というイメージではありませんか?冒頭の平安時代初期の古文書を引用した説明では、神が仏に帰依してパワーアップするという、お話が出てきました。実はこの頃は、まだ神様が仏様にはなっていないのです。会場からは、思わず出てしまったのでしょうか…?「へぇ~」という声が。。。

10世紀後半になると、「真理の世界の仏が姿を変えて、現世に現れた姿が神」という、神と仏が一体となった、本地垂迹の考え方が出てくるそうです。法華経の教えから来たものだそうで、法華経を根本経典とする天台宗が本地垂迹を推進したと考えられるのだとか。天台宗の延暦寺と、仏教聖地の比叡山を守護する日吉大社がある滋賀県は、本地垂迹を進めやすかったのだそうです。後半には、具体的に県内の仏像・神像が数多く紹介され、近江では神仏習合が盛んだったことが改めてわかりました。

また、今回は、滋賀県立近代美術館さんが主催する「滋賀近美よもやま講座 月刊学芸員」とのコラボレーション企画ということもあり、打出のコヅチのサテライト会場を設けての開催となりました。インターネットを使って、本会場の講座を、近代美術館と同じびわこ文化公園内にある滋賀県埋蔵文化財センターの会場でも、同じように視聴できる画期的な取り組みです。会場に来られた8人の方にも、広い研修室で、ゆったりと受講していただくことができました。

今回をもって、今年度の文化財講座は終了となります。新型コロナ感染拡大防止のため、机は講座が始まる前と後にアルコール消毒、受付用の飛沫ガードを手作りするなど、スタッフも試行錯誤、手探りでの開催となりました。苦労も多かった分「開催してくれてありがとう」と皆さまからいただいた言葉が心に響きました。

無事に全6回を終えられたのは、ひとえに皆さまのご協力のおかげと感謝しております。参加いただいた皆さま、本当に有り難うございました。

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文化財講座 コヅチサテライト!

滋賀の文化財講座「花子さんの打出のコヅチ」からのお知らせです。本年度は、新型コロナウィルスの影響で、募集定員を例年より縮小して開催してまいりました。早々に満員御礼となってしまい、泣く泣く受講をあきらめた方もいらっしゃったかと思います。申し訳ない。。。そのコヅチも残すところあと1回、12/10(木)が最後となります・・・・・が。

ちょっと待ったぁ~!諦めないで下さい!!「打出のコヅチ」始まって以来の特別企画、サテライト会場で、初の“リモート講座”が実現します!

これは、滋賀県立近代美術館が実施されている「滋賀近美よもやま講座 月刊学芸員」とのコラボ企画により実現!サテライト会場となるのは、滋賀県埋蔵文化財センターさん(大津市瀬田:びわこ文化公園内)の研修室、定員20名さま“限定”のリモート講座です。

講師は、いつもの会場:コラボしが21大会議室でお話しさせていただきますが、同日同時刻、同じ内容を、別会場でスクリーンにてご覧いただく趣向です。

(←このために秘かに行われていた実証実験。。。首尾は上々、クリアな映像で講座をお楽しみいただけるよう、準備万端、整いましてございマス☆)

参加ご希望の方は、必ず事前に[しがネット受付サービス]にてお申込み下さい。問い合わせは県立近代美術館(電話077-543-2111)まで。定員も少なめですからね、お申込みはお急ぎを!(事前申込:12月9日(水)までの先着順です。)

実施日:12/10(木)13:30~15:00
講座内容:神と仏の融合「本地垂迹」と仏像・神像
講師:和澄浩介・琵琶湖文化館(近代美術館兼務)主任学芸員

←こんなお顔の講師が、大画面で、みなさんの参加をお待ちいたしております!!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第5回 現地探訪 開催しました

11月5日スッキリとした秋晴れ!行ってまいりました「打出のコヅチ」現地探訪!今回は講座でもお馴染み:井上優氏(県文化財保護課・琵琶湖文化館)の案内で、地域連携企画展を開催している栗東歴史民俗博物館を目指して、栗東市内の旧東海道を探訪してきました。
集合場所の手原駅に集まった38名の“打出のコヅチ隊”の皆さん。資料をお渡しするとき、皆さんの「これから始まるワクワク感」が直に伝わってきましたよ!早速、手原駅の駅舎と名前の由来について、講師が事前に準備してくださった説明書のスケッチブックを見ながらお話を聞き、いざ探訪のはじまりです!

手原駅を出発したコヅチ隊は、東海道を石部宿方面に向かいます。江戸時代の栗東は、東海道と中山道の二大街道が通る交通の要で、日本中から旅人と物資が行き交う繁華な地でした。当時を思わせる街並みを、随所に講師の解説を聞きながら歩いていきます。
街道を思わせるのは、建物だけではありません。左の写真は「肩替えの松」と言って、駕籠かきをしていた雲助が、肩を交代させた休憩場です。そろそろ私たちもココで休憩…とは参りません!まだまだ探訪は始まったばかり。次に向かって更に歩きます。

栗東地域には、宿場はありませんでしたが、宿場と宿場の中間地点にある休憩所「立場(たてば)」があり、名物茶屋や薬屋などが軒を連ねたのだとか。その中のひとつ「旧和中散本舗(大角家)」は「梅ノ木立場」の薬屋でした。春、秋の特別公開以外は非公開とされているところ、我らがコヅチ隊、特別に見学させていただくことができました。江戸時代の木製の製薬機や、本陣に利用された立派な座敷と庭。見るところが盛沢山!参加した皆さんも隅々まで、興味深そうに見ておられましたよ。
その後一行は、近くの福正寺地蔵堂(法界寺)へ移動し、重要文化財に指定されている木造地蔵菩薩立像を拝観しました。頭部がやや尖った特徴的なお顔立ち。講師の丁寧な説明にじっくりと耳を傾けました。

そして最終目的地である「栗東歴史民俗博物館」へ。到着した時の皆さんの笑顔、疲れを感じながらもとても良い表情をされていましたよ(笑)。
疲れていても知識欲が溢れるコヅチ隊。現在開催中の「栗太郡の神・仏 祈りのかがやき 」の説明や、通史展示に特別出品されている「田中家資料」についての解説を熱心に聞いておられました。

栗東歴史民俗博物館は今年開館30周年。その記念すべき開館に元学芸員として立ち会った講師:井上氏が案内した今回の現地探訪。『栗東愛』あふれる盛りだくさんの内容となりました(終了予定時間を1時間オーバーとなったのもご愛嬌?!)。参加者からは「栗東の豊かな文化財を深く学ぶことができた、現地講座ならでは」と喜びのお声も頂戴し、改めて栗東のこと、滋賀のことを知る、良い探訪となりました。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 開催しました

秋晴れがさわやかに感じられた10月21日(水)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」の第4回が開催され、会場のコラボしが21には、85名もの方々がお越しくださいました。

今回は「成菩提院の「釈迦諸尊集会図」と中国・南宋時代の仏画-滋賀県新指定文化財の紹介-」と題しまして、昨年(2019年)に新しく県の指定文化財となった、米原市・成菩提院様ご所蔵の釈迦諸尊集会図(文化館寄託)について、打出のコヅチの講師陣でお馴染みの古川史隆氏(県文化財保護課・琵琶湖文化館)が登壇いたしました。

県指定文化財とは、県にとって重要な文化財(国指定を除く)を指定したものです。この根拠となるのが滋賀県文化財保護条例です。同条例は昭和31年に公布されましたが、実は近畿2府4県では2番目の早さで、京都・奈良よりも早いのだとか。ちょっと意外デス!

釈迦諸尊集会図」は中国・南宋時代(13世紀末)に港町の寧波(ニンポー)で描かれた、掛け軸仕立ての仏画で、釈迦如来と文殊菩薩・普賢菩薩を中心とした多くの仏が、一幅に描かれています。お一人お一人が丁寧に描きこまれていて、スクリーンに映る拡大写真に皆さま見入っておられました。日本で描かれた平面性の強い仏画とは違い、立体感のある描きこみが、南宋時代の寧波仏画の特徴となっているそうです。文化館のホームページでは作品の詳細部分の画像を見ることができますので、ぜひコチラもチェックしてくださいね。

講座では、この釈迦諸尊集会図だけでなく、その他の南宋時代の絵画も多数紹介されました。そのなかで、県内の寧波仏画も紹介されました。寧波で描かれたものが、海を渡ってこの滋賀に来たことに運命めいたものを感じます。ですが、何故日本に来て、どう使用されたかはまだ詳しいことは分かっていないそうです。700年以上経っていても未だ謎がある寧波仏画。。。絵画の様式だけでなくその経緯もすごく気になります!

会場では、今年も県立図書館さんが講座関連図書を出張展示しに来てくださいました。参加した皆さまも、興味深そうに本を手に取っておられました。南宋時代の寧波仏画に興味を持って「調べてみたい!」と思った方は、ぜひ図書館にも足をお運びください。

さて、次回(11/5)は、いよいよ会場を飛び出して現地探訪です。県保護課の井上優氏を講師に栗東市を歩きます。地域連携企画展「栗太郡の神・仏 祈りのかがやき」の会場となっている栗東歴史民俗博物館の開館当初のエピソードなどに触れながら展示の見どころを解説します。お楽しみに!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第2回 開催しました

夏まっ盛りの8月6日(木)、滋賀の文化財講座「花湖さんの打ち出のコヅチ」第2回を開催いたしました。
コロナ感染予防の対策に、前回以上に注意を払いつつ、皆さまをお待ちし当日、炎天下に負けず83名の方が会場に来てくださいました。お暑いなかありがとうございます!

第2回は「打出のコヅチ」始まって以来、初の文化庁からの特別講師:文化財調査官の菊池理予氏を講師にお招きして「染織を消えて支える青花紙」というタイトルでお話しをしていただきました。
この時季に澄んだコバルトブルーの花を咲かせるアオバナ。栽培が盛んな草津市では市の花となっていて、水道マンホールの蓋もアオバナがデザインされるほど身近なものとなっています。このアオバナの花を絞って和紙にしみ込ませたものが、“青花紙”です。おもに友禅染などの下絵に使われ、現在は草津市で生産されているだけなのだとか。講座の冒頭「この会場に来るまでにアオバナを見た方は?」との問いかけに数名の方が、手をあげられました。菊池氏がおっしゃるには「他県では、手があがらない」とのこと。。。滋賀ならではのエピソードにちょっと嬉しくなりました。
講座では、染物など青花紙に関わる歴史が紹介された後、青花紙を作る工程を、菊池氏が調査のために撮影された動画で紹介していただきました。その過酷さを知ると、会場からも溜息が…。「過酷な作業のため“伝統を守るためにも生産を続けてくださいとは”言えない」という菊池氏の言葉がとても印象的でした。青花紙の生産農家は、2年前までは3軒あったそうですが、現在では1軒のみとなっています。生産が減った理由には、農家の過酷な作業のほかにも、下絵を使わなくても友禅染ができるプリンタの存在や、合成青花といった代用品の存在があるそうです。講座終了後のアンケートを読んでも、伝統の技の存続を危惧する感想が多くありました。
しかし、菊池氏の調査では、染織工房では青花紙と合成青花を用途によって、うまく使い分けておられるのだとか。職人さんのこだわりに支えられ華やかな友禅染の下にあり、出来上がったら消えてしまう青花紙。ですが、その存在は大きなものであり、守り伝えていきたい伝統の技なのです。

草津市では、青花紙の生産技術を後世に残して伝えるために広報普及活動に取り組まれています。今回の講座では、草津市が作ったチラシを資料とともに入れました。本講座がきっかけとなり、青花紙のことについて少しでも興味をもってもらえたら、ぜひ 草津市立草津宿街道交流館内にある「草津あおばな会 青花紙保存部会」にもアクセスしてみてください。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第1回 開催しました

連日雨が降り続き、外出するのも”おっくう“になりがちな日々が続きますが、この日ばかりは違いました。 7月9日(木)、毎年恒例の「アレ」に参加したくてウズウズしていた皆さんが、大津市打出浜のコラボしが21 にお越し下さった日。そうです。滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」の開催日。今年はコロナ対策で定員を100名に絞らせていただいたところ、事前にお申し込みをいただいた98名の方が受講されました。

第1回は「これぞ逸品ですぞ!!-琵琶湖文化館蔵考古資料から-」というタイトルで、講師には、県文化財保護課の仲川氏をお迎えしました。仲川氏は、昨年文化館の兼務職員として在籍されたご縁があり、文化館の考古資料についても詳しいということで、今回の講師を務めていただきました。
あまり知られていない琵琶湖文化館の考古資料について、遺物が出土した遺跡の当時の状況や関連する文献の記述、文化館に寄贈された経緯などを、幅広くご紹介下さいました。考古資料においては、その経歴(来歴)が命。「発掘され今に至る経緯が詳細にわかっていることが、とても重要で価値があること」なのだと力説されました。一方で講座の後半では琵琶湖文化館の長い歴史の中で、どうにもその来歴がはっきりとわからないもの・・・謎がナゾを呼ぶ(?!)瓦のお話を、たっぷりと語っていただきました。
今回の講座では、「休館中で見ることができない文化財のお話」・・・というのではなく、「展示されていても知りえないお話」を、皆さんにたくさん聞いていただくことが出来たと思います。

今年度第1回目を終えて、反省点もありました。スクリーンが不鮮明であったとのご指摘について、残念な思いをされたこと、深くお詫びいたします。次回改善に向けて努力いたします。心配していたコロナ対策については、皆さんのご協力の甲斐あって、トラブルなく無事に開催することができました。
当初から定員オーバーとなることが想定され、皆さんに「止む無く欠席する場合はご連絡を」とお願いしていたところ、当日の朝にも行けなくなったことをお申し出下さった方がいらっしゃいました。そこは大丈夫、スタッフの腕の見せどころで、急遽キャンセル待ちをされていた方に連絡をとり、喜んで来ていただくことができました。そして皆さんが「マスクの持参・着用」をしっかりと守り、手指の消毒、3密の回避などにもご協力いただけました。何より、こちらが用意した「講座参加記録票(問診票)」の記入・回収に、全員の方がご協力くださいましたこと、本当に感謝いたしております。

コロナ禍でもルールを守って楽しもうとされている方々がいらっしゃいます。その期待に応えるために、これからも頑張って楽しい企画をご用意させていただきますね。ご参加有り難うございました。
ささやかながら、参加者プレゼントとして「アマビエアキツ」の護符(?)を、お持ち帰りいただきました。どうぞ皆さんが、毎日健康で健やかに過ごせますように!

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満員御礼!打出のコヅチ

皆さまに、重大なお知らせがあります。滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」、参加の申し込みを受け付けてから3週間…で、全6回の講座全てで定員に達しました!キャンセル待ちを希望される方もいらっしゃるなど、まさに満員御礼!たくさんのご応募有難うございました。

新型コロナの影響で、今年度の開催が危ぶまれる中、「受付はまだ?」と3回もお電話をいただいた、熱心なコヅチファンの方がいらっしゃいました。休館以降、13年続いている文化財講座です。開催を楽しみにして下さっていた皆さんからの「待ってました!」の声に、どれほど励まされることか・・・。継続はチカラなり!デス‼!多くの皆さんにご支持をいただき、スタッフ一同心を込めて、楽しい講座を準備させていただきます!

そして、ごめんなさい。定員となって、残念ながらお断りしてしまった皆さま、本当に申し訳ございません。例年は募集定員200名のところ、今年は100名とさせていただいたため、大変悔しい思いをされたことと思います。電話口でお断りするのがとても心苦しく辛かった。。。新型コロナめ・・・是非またの機会にご参加くださいね!

さて、第1回目を受講いただく皆さまにお願いがございます。まずは、体調を万全に整えて、当日を迎えて下さいませ!日頃から、手洗いうがいは大事ですよ~。そして私たちスタッフは、万全の体制で皆さんをお迎えできるよう、頑張って準備しますね!
講座は7月9日、開催まで2週間をきりました。琵琶湖文化館が収蔵する考古資料について、県文化財保護課の仲川靖氏にお話しいただきます。普段はなかなか聞けない「これぞ逸品!」のお話をお楽しみに!コロナに負けない!打出のコヅチ!!

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お待たせいたしました!「打ち出のコヅチ」開催

「まだかまだか」と、首をなが~くして待っていてくださった皆さま、大変長らくお待たせいたしました。令和2年度滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」の開催が決定いたしました。参加受付も始めております。

大津市打出浜から繰り出す「打出のコヅチ」の一振りが、無尽蔵ともいうべき滋賀の宝を魅力的に紹介するこの講座。ありがたいことに、毎年たくさんの方にご参加いただいており、それをパワーのみなもとに、今年も充実した内容で皆さまにお届けいたします。

第1回の7月9日(木)を皮切りに、5回の座学に加えて1回の現地探訪を含む、全6回の講座となっています。記念すべき第1回は、「これぞ逸品ですぞ!!-琵琶湖文化館蔵考古資料から―」と題し、琵琶湖文化館の館蔵品について、滋賀県文化財保護課・仲川靖氏にお話しいただきます。文化館には、仏像や絵画だけではなく、実は考古資料もたくさん収蔵されていることを、ご存じですか?休館中で、なかなか皆さんに紹介する機会が少ないのですが、今回は特に、石製品と瓦に注目したお話です。講師曰く、「すごくマニアックな逸品を」とのこと。めったに聞けないディープな世界?!これはもう必見・必聴の回です!

各講座の詳しい内容や、申込方法は講座・イベントを見てくださいね。各回とも、専門講師の先生方が詳しくはもちろん、楽しくお話ししてくださいます。全ての講座を受けるも良し、気になる講座を受けるも良し。。。心待ちにしてくださった方も、このブログを読んで「参加してみようかな」と思った方も、ぜひとも、皆さまご参加くださいませ。

今年は、新型コロナウイルスの感染拡大の心配が続きますが、新型コロナに負けない元気で、開催したいと思います。皆さまの参加をお待ちしてま~す!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第6回 現地探訪 開催しました

10月17日、絶好のウォーキング日和、実施いたしました現地探訪。今回は、受付定員MAX60名の皆さんとスタッフ7名が、「幻の坂本城をさぐる」ということで、明智光秀が築いた城があったとされる大津市下阪本とその周辺を探訪してきました。
集合場所の京阪松ノ馬場駅「花湖さんの打出のコヅチ隊」の幟旗の元に集まったのは、参加申込みの電話受付が3時間で定員に達するという激戦を勝ち抜かれた幸運な方たちです(お断りした方ごめんなさい!)。驚くなかれ、その内約9割の方が、今回の探訪の予習回とも言える第5回の講座を受講されてのご参加です。とても勉強熱心な、生粋の歴史好きの方々が街中を歩くとこんな感じになります(笑)。先頭を行くのが講師:松下浩氏(県教委文化財保護課)です。

幻の坂本城、現在は、琵琶湖中に石垣の痕跡が残るだけで、城の遺構はほとんど残っていませんが、私たちが巡り歩いたのはこのようなトコロ・・・。
さぁ~て皆さん、どこで何を見ているのか、お分かりデスカ?先生の話を聞きながら歩くと、ただの水路と思っていたのがタダモノではナイ不思議。。。ナルホドな~と思う訳です。戸津説法で有名な東南寺さんにも行きましたが、今回重要なのはお寺と坂本城の位置関係が江戸時代の文献に示されている事実・・・。文化館的お寺探訪とは一味違います(笑)。

本丸の位置はどの説をとっても先ず間違いないそうです。(坂本城址公園には明智光秀像が建っていますが、ここが主郭跡ではないので要注意(笑)。)今は某企業の所有地となっていますが、坂本城には舟入場があり、直接琵琶湖へ出ることができる、よく考えられたナイスなお城だったそうです(この日見れたのはその舟入場の石垣が水面に1つだけポコッと・・・水位が低い時にもう一度見てみたい!)。ただ、城下の縄張りについては、近年の発掘成果や文献などから、まだまだ検証すべき点が多いとのこと。今回の探訪は、今まで坂本城には本丸・二の丸・三の丸、内堀・中堀・外堀があると考えられてきたことが、「実はそうではないのではないか」という新説を巡る探訪でした。タマネギ状に堀で明確に区切られた城下ではなく、中堀を埋めたと言われる北国街道は当時も町中にあって、惣構で囲われた中に城主に属する武士や町人が楽しく暮らしていたのではないか、という先生のお話が印象的でした。
最後に訪れた平成30年度大津市教委発掘調査地点の隣では、今年度も発掘調査が続けられていました。坂本城址に関わる新たな発見があるといいですね。

参加された方からは、「謎を解くようで面白かった。タ○リの番組みたい」「今後も現地説明を続けてもらいたい」などのお声も頂戴しました。有り難うございました。松下氏も最後に言っておられました。「坂本城址を辿ろうと思ってもなかなか辿れない」。謎に満ちたお城だからこそ、「さぐる」楽しみがあるのですね。
道々、庭先に植えておられる金木犀の甘い香り。私たちが住む当たり前の風景の中に、歴史の謎と魅力が存在する滋賀県とはなんていいところなのでしょう(他府県の方に羨ましがられますよ?!)。その”贅沢さ”に感謝いたします。毎年金木犀の咲くころに、思い出したい今回の探訪でした。

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10/17「花湖さんの打出のコヅチ」現地探訪 開催します

いよいよ明日となりました。滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第6回現地探訪です!!お申込みいただいた方には、「天候の関係等で中止の場合は、前日にお電話でご連絡差し上げます」とお伝えしておりましたため、心配されていた方もいらっしゃったかも知れませんが、天気予報によると、明日は”暑すぎず、寒すぎず”の「探訪日和」となりそうですので。。。予定通り開催いたしま~す!!(参加予約受付は終了しております。)

今年度講座の最終回となります第6回は、いつもの打出浜を飛び出して、大津市下阪本方面へと赴きます。下阪本は、第5回の講座「明智光秀の幻の名城 坂本城」で学んだ、明智光秀の築いた坂本城があったところ。現在は、琵琶湖中に石垣の痕跡が残るだけで、城の遺構はほとんど残っていませんが、前回の講師・松下浩氏(県教委文化財保護課)に依りますと、現地に残る水路(堀)や道の痕跡を丹念に辿っていくと、往時の坂本城とその城下町の姿が浮かび上がってくる、ということでした。「百聞は一見に如かず」のこの機会、ご自身の目でしかとお確かめ下さいませ。

そして、ご参加される皆さま、明日の準備はもうお済みですか?今回は、京阪松ノ馬場駅を出発点として、湖岸方面へ往復約3Kmほどの行程を、徒歩で周ります。無駄に疲れないように、歩きやすい靴&服装でお越し下さいね。また、お飲み物などは必要に応じて各自でお持ちいただくと良いかと思います。”おやつ”につきましては、昨年と同様に上限はございません(笑)。その他、詳しくはこちらでご確認下さい。

明日17日(木)は、13:00から受付、京阪松ノ馬場駅でお待ちしております。目印は「花湖さんの打出のコヅチ隊」の白い幟旗ですよ!13:30には出発しますので、遅れないようにお願いします。
では、また明日!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第5回 開催しました

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今日は秋の彼岸の入り。昨日あたりからもう、日中もずいぶんと過ごしやすくなって来ました。昨日(9/19)は、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第5回を開催いたしましたが、お天気にも恵まれ、今年度最多数の198名の方にご参加いただくことができました。なかには、これまでに開催した5回の講座に全回出席という方が、なんと22名もいらっしゃいましたよ!!素晴らし~い!!コラボしが21を会場にした座学の方はこれで最終回となりましたが、ご参加いただいた皆さま、本当にどうもありがとうございました。

さて、昨日の講座では、講師に松下浩氏(県教育委員会文化財保護課)をお迎えし、「明智光秀の幻の名城 坂本城」というタイトルでお話いただきました。坂本城は、元亀2年(1571)の信長による延暦寺焼き討ちの際の戦功により、志賀郡を与えられた明智光秀によって、延暦寺のお膝元であった坂本の地に築かれた城。ただ、残念なことに、城を描いた絵図などはこれまで見つかっておらず、その復元には、数少ない文献や現地に残された地名や道路・溝跡、そして近年の発掘調査の成果などをつなぎ合わせていくしかないようです。。。
しかし、今回、松下氏はわずかに残された資料を丹念に見直し、また現地に赴いて城の痕跡を辿るなかで、街道と城の関係を鍵に、坂本城の縄張りについての画期的な新説を発表されるに至りました!いや~、何事も諦めてはいけないということですね。歴史の研究においては、先入観にとらわれず、素直な気持ちで史料・資料と向き合うことで、新たな道が開けるのだ!ということを、身をもってお示し頂いたという感じです。あっぱれ、松下節!!

講座終了後には、参加された方々から、「新説が聞けて良かった」「北国街道付替えなし説は大変興味深い」「地図や資料がわかりやすい」「土地勘のない者にも説明が丁寧でわかりやすい」「毎回新しい発見があり楽しい」などのお声を頂きました。今回も、多くの方々にご満足いただけたようで何よりです。
また、今回も滋賀県立図書館さんが、講座関連図書の出張展示に来てくださいました。松下氏の御著書を集めた特別コーナーを作っていただいたのは、サプライズ!だったかも!?県立図書館さん、どうもありがとうございました。

次回(10/17)は、いよいよ打出浜を飛び出しての現地探訪となります。今回に引き続き松下浩氏に講師をお願いして、講座で学んだ坂本城とその周辺をご案内いただきます。ご参加されます方には、今回スクリーンで見た坂本城とその周辺を、ご自分の目と足でしっかりと確認していただけると嬉しいです。楽しみにお待ちください。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第5回のご案内

今年度の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」(全6回)も、ご好評のうちに第4回まで終了し、座学としては9月19日(木)に開催いたします第5回が、いよいよ最終回となります(第6回は会場を飛び出しての現地探訪です!)。

ところで、以前のブログでこっそりと(?)お知らせしました、文化財講座今年度後半の隠しテーマ、覚えていらっしゃいますか?そう、今注目の「明智光秀」でしたね。第4回では、当館所蔵の『淡海温故録』の記述をもとに、謎めいた彼の出生伝説に迫りましたが…第5回は「明智光秀の幻の名城 坂本城」と題して、光秀の人生最大の仕事だったかも知れない(?)「城作り」に注目していきます!何といっても、光秀は「城作りの名手」と言われていますからね。これを語らずして、光秀という人物を理解することはできないでしょう。講師には、これまた「城語りの名手」である県教育委員会文化財保護課の松下浩氏をお迎えいたします!!

坂本城は、「城作りの名手」光秀が、織田信長の比叡山焼き討ちの後に志賀郡を与えられ、今の大津市坂本の琵琶湖岸に築いた城なのですが…光秀の死後、天正14年(1586)に廃城となったため、今では湖中に残る石垣(←25年ほど前の琵琶湖渇水の時に姿を現しましたね!)のほか、目に見える城の遺構はほとんど残らず、まさに「幻の城」と化しています…。琵琶湖を望む風光明媚なこの地に、名手が築いたのはいったいどのような城だったのでしょうね?名城・坂本城の当時の姿に、これまでに行われた発掘調査の成果や、古絵図・古文書そして古記録など様々な資料を用いて迫って行こうというのが、今回の講座のねらいです。長年にわたって、安土城をはじめとした近江の城の調査・研究に携わってこられた松下氏からは、坂本城についても、丹念に集められた資料をもとに、石垣のように堅牢に組立てられた、手堅いお話を聞かせていただけることでしょう。

今回の講座も、おかげさまで沢山の参加お申込みをいただき、残席少なくなってきております。また、当日はたいへん混雑が予想されます。定員を超えました場合には、安全のため、ご予約のない方のご入場をお断りする場合がございますので、ご参加を予定されている方は、必ず事前のご予約をお願いいたします。
では皆さま、9/19(木)13:30~会場(コラボしが21)でお待ちしております!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回 開催しました

昨日の大津は、日中の最高気温が34℃という真夏日になりましたが、そんな中、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第4回を開催いたしました。
暑さのため外出を見合わせる方もいらっしゃるのではないかと、気を揉んだりもしておりましたが、結果、194名という大変大勢の方に、(猛暑以上の)熱い学習意欲とともに(!)お越しいただくことができました!!皆さま、本当にありがとうございました。

今年度の文化財講座もいよいよ後半戦。そのテーマでもある「明智光秀」の謎の前半生に迫る!!ということで、「明智光秀近江出身伝説を追う-琵琶湖文化館蔵『淡海温故録』から広がる世界-」と銘打ち、講師として、講座でおなじみの井上優(県教委文化財保護課・琵琶湖文化館)が登壇いたしました。

今回は、光秀の出生地について、美濃の各地に当てる説が多い中、細々ながら伝えられてきた「近江国犬上郡左目(今の多賀町佐目)」説を、当館が所蔵する江戸時代の地誌『淡海温故録(おうみおんころく)』の記述内容を紐解き、紹介させていただきました。
・・・と、それだけでは終わらないところが、我らが講師、流石です(笑)。そこから更に「広がる世界」~!
文献に書かれていることを確かめに、また、新たな資料を探し求めて、講師は伝説の舞台・多賀町佐目を訪れています。そして、地元の方との交流の中から新たに得た情報をもとに打ち立てられたのが、装いを新たにした井上流「光秀近江出身説」。講師のおっしゃるように、まだまだ「決定的ではない」かもしれませんが、この誠に“郷土愛”に溢れる説は、参加者の多くを虜にしてしまったようです。
講座後のアンケートでは、「今まで地元びいきの伝説だと思われたお話が、根拠をもって生き帰ってきたように思います」「グイグイ引き付けられました」「歴史の捉え方のヒントが得られた」「佐目に行ってみたい」「すっぽりはまり込んでしまった」「切り口が興味深く、テレビドラマの放映も控えていて、おもしろく講座を聞くことができた」などなど、講座の余韻にひたる、嬉しいご感想をいただきました。

なお、今回も滋賀県立図書館さんのご協力により、講座に関連する図書の移動展示をしていただきました。参加者の方からは、「より幅広く講座の内容を知ることが出来て良かった」というお声をいただいております。図書館さん、どうもありがとうございました。

また、当館発行の「研究紀要第35号」には、「淡海温故録」の明智光秀出生地異伝と現地伝承について、詳しく掲載していますので、是非こちらもチェックして下さいね(PDFダウンロード可)。

それでは皆さま、また次回の講座でお待ちしております!!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第4回のご案内

ご好評をいただいております滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」も、今年度全6回のうち、すでに前半の3回を終え、次回からはいよいよ後半に突入いたします。チラシやホームページの案内をご覧の方は、もうお気づきのことかと思いますが、実は、後半3回の講座には、ある共通のテーマが設けられているんですよ。年間を通じてのテーマではありませんので、あえて大きく謳うことはしておりませんが。。。お分かりですよね?そうなんです!!後半は、今、注目の、そして滋賀ゆかりの戦国武将・明智光秀に焦点を当てていきますよ~!!

光秀というと、戦国武将として最も有名なあの織田信長を、本能寺の変にて討ったということで、これまたとっても有名な人物ですよね。ところが、こんなに有名なのに、意外とその前半生がよくわかっていないのだとか。そういったミステリアスなところもまた、人気の秘密なのでしょうか??
ということで、来たる8月1日(木)に開催します滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第4回では、光秀シリーズ第1弾として、「明智光秀近江出身伝説を追う-琵琶湖文化館蔵『淡海温故録』から広がる世界」をお届けします。聞くところによると、どうやら当館が収蔵する『淡海温故録』という江戸時代の文献に、光秀の“出生の秘密”が書かれているらしいのですが。。。詳しくは、「花湖さんの打出のコヅチ」でおなじみの講師、井上優(県教育委員会文化財保護課・滋賀県立琵琶湖文化館)から、じっくりと聞かせていただきましょう。歴史少年であった過去の知識をヒントに深めていかれたというこの研究。いつにもまして熱~く語っていただけることと思います!!

ところで皆さま、肝心の「お申込み」はもうお済みですか?おかげさまで、今回もたくさんの参加お申込みをいただき、残席少なくなってきております。ご参加を予定されている方は、どうぞお早めにお申し込み下さいね(お申込みにはこちらの専用フォームをご利用下さい。電話・FAXでも受け付けております)。また、当日はたいへん混雑が予想されます。定員を超えた場合には、安全のため、ご予約のない方のご入場をお断りする場合がございますので、予めご了承下さい。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第3回 開催しました

先週の11日(木)に、今年度第3回目の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」を開催いたしましたが、朝からの雨にもかかわらす、136名もの方にご参加いただくことができました。「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケナイ!!」皆さまの学習意欲には、本当に頭の下がる思いがいたします。そんなご期待に応えるべく、スタッフ一同これからも頑張って行きたいと気を引き締めております。

さて今回は、彦根市・彦根城世界遺産登録推進室の小林隆氏を講師に迎えて、「世界遺産をめざす彦根城」というテーマでお話を頂きました。今月6日には、大阪府の百舌鳥・古市古墳群がユネスコの世界遺産に登録されることが決まりましたが、次の候補としてもますます注目の集まっているのが「彦根城」です。ところで、すでに国の特別史跡となっている彦根城ですが、これをさらに世界遺産に登録しようとしているのはなぜでしょうか??小林氏によると、彦根城は、天守という建物だけでなく、御殿跡、武家屋敷、庭園、藩校跡がまとまり、江戸時代の武士による統治のしくみを示す資産がもっとも良く残っている、稀有な例なのだということ。そして、その点に世界遺産に登録する価値があるのだということを、とてもわかりやすく解説していただきました。さらに、登録に向けての作業がどのように進められているのか、そして何よりも、世界遺産に登録されることが彦根城のみならず滋賀県にとってどんなメリットがあるのか、とても熱~く語っていただきましたよ。

そんな小林氏の熱意に押されてか、講座終了後には参加者の皆さまから、「世界遺産をめざす現状がよくわかった」「城自体の魅力だけでなく、統治の仕組みとしての話が聞けて良かった」「具体的に一市民として何ができるか考えていきたい」「説明がはっきりとわかりやすく、引き込まれました」「資料も充実しておりとてもわかりやすい講座」「講師の意気込みが伝わってきた」「県とも協力して、滋賀県全体の魅力発信をしようとしていることがよくわかった」「応援したい」「彦根城ガンバレ!」など、これまた熱~いご意見・ご感想をいただきました。

今回の講座では、簡潔にまとめられた当日資料に加えて、彦根市さんで作成されたカラー刷りの冊子も特別に配布されたので、受講者の皆さんにもお話の内容のイメージが描きやすかったのではないでしょうか。彦根市さん並びに小林先生、どうもありがとうございました。参加者からの新たな応援を得て、2024年までの彦根城の世界遺産登録がぜひ実現しますように!!

最後になりましたが、今回の講座には、ケーブルテレビのZTVさんが取材に来て下さいました。ZTVコミュニティチャンネル(地デジ11ch)の「おうみ!かわら版(滋賀)」という15分の番組の中で紹介していただけるようです(放送日:7/15・16・17)。放送エリアは大津市・草津市・栗東市・守山市・野洲市・湖南市だということです。こちらもぜひチェックしてくださいね!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第3回のご案内

滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」、先週、第2回を盛況に終えることができたばかりですが、今日はさっそく、7/11(木)に開催する第3回講座のご案内です。次回の講座は、彦根市から、彦根城世界遺産登録推進室の小林隆氏を講師にお迎えして、「世界遺産をめざす彦根城」というテーマでお話いただきますよ。

「彦根城」と言えば、文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」でも、一昨年に「究極の城 彦根城」について、また昨年は講座初の現地探訪「彦根城の外堀の痕跡をめぐる」と、城の歴史(過去)と今の様子(現在)について、じっくりと学んできたところです。となってくると。。。「これからの彦根城はどうなるの?」「私たちは彦根城にどう関わっていけばいいの?」そんな”未来“のことなども、気になってきますよね~。

というわけで、満を持して(?)開催する今回の講座では、2024年までの彦根城の世界遺産登録を目指して、実際にユネスコへ提出する推薦書の作成を進めている彦根市の担当者の方から、詳しく解説していただくことになりました。「世界遺産」っていったい何?というところから始まって、登録に向けての作業の中で見えてきた彦根城の価値、さらには、世界遺産登録への現在進行中の取り組みなどについて、最新の情報をじっくりとお聞かせいただけることと思います。この機会に大勢の方にご参加いただき、彦根城の世界遺産登録に向けての気運を、皆さまと共に大いに盛り上げていければいいな~と、スタッフ一同ワクワクしながら準備に取り組んでいます!!

講座について、詳しくはコチラをご覧ください。お申込みは、こちらの専用送信フォームからどうぞ(電話・FAXでも受け付けております)。残席少なくなってきております。お申込みはお早めに!!

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「花湖さんの打出のコヅチ」第2回 開催しました

梅雨入りとなった途端に、なんと台風までもやって来て。。。落ち着かない6月下旬です。そんなお天気にもかかわらず、昨日28日に開催いたしました滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第2回には、96名の方にご参加いただくことができました。足元の悪い中で、講座を楽しみに会場までお越し下さった方々に、この場をお借りして改めて感謝いたします。

今回の講座は、「文化財を守れ」というタイトルで、古川史隆(県教委文化財保護課・琵琶湖文化館)がお話しさせていただきました。これまでは、仏像やお経など特定の文化財についてのお話が多かったのですが、今回はちょっと視点を変えて、そういった文化財をさまざまな被害(火災や盗難など)から、滋賀県ではどのように守ってきたのか、過去の事例を挙げながら、その取り組みについて、詳しくご紹介いただきました。これぞまさに「ザ・文化財保護」の現場。皆さまの中には、はじめて知る世界に驚かれた方もいらっしゃったかも知れませんね。

また、県による様々な取り組みの中で、盗難に遭った時に役立つ文化財の「写真台帳」作成や、管理が困難な文化財の博物館への寄託や一時預りといった中で、琵琶湖文化館がこれまでに果たしてきた役割についてもお話がありました。今回の講座を通して、そういったことも皆さまにご理解いただけたとしたら、幸いに思っております。講座終了後、希望者には、講座の中でも紹介のあった「文化財(美術工芸品)防犯マニュアル」(滋賀県教育委員会事務局文化財保護課発行)をお持ち帰りいただきました。(パンフレットはまだ少し残部があるようです。ご希望の方は、滋賀県教育委員会文化財保護課の方までお問い合わせ下さい。)

さて、講座が終わってのアンケートでは、受講者の皆さまから、「文化財の盗難に頭を痛めていたが、県教委の取り組みがよくわかった」「仏像などの盗難のニュースを聞くと残念に思うことが多かったので、その実態が知れてよかった」「滋賀はさりげなく重文などがあり、地元の人が大切にしている仏様が多いので、もっと大切にしないといけない」「文化財保護のために何をすべきかについて知ることができた」「地域にどんな文化財があるのか、まず関心を持ち、知ることが大事」などのご感想をいただきました。今回は特に、皆さまそれぞれに、文化財の保護をご自身の問題として受け止めて頂けたようです。

最後になりましたが、昨年も来ていただきました県立図書館さんが、今回も講座に関係する参考図書を持ってきて下さいました。会場の後ろの机にズラリと並べられた文化財保護に関する図書に、参加者の方々も興味津々。そして、丁寧に作成された図書のリストには、お役立ち情報満載で、きっと皆さまのさらなる学習の「強い味方」となることと思います。県立図書館の皆さま、どうもありがとうございました!

では皆さま、次回の講座でまたお目に掛かれますように!!お待ちしております。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第2回のご案内

4月15日に、フランスのパリ中心部にあるノートルダム大聖堂で火災が発生し、教会の尖塔などが燃え落ちたというニュースは、まだ皆さまの記憶に新しいところでしょう。ユネスコの世界文化遺産に登録された、パリ屈指の観光名所でもある寺院の被災で、フランスのみならず、世界中の人々が深い悲しみに包まれることになりました。

日本でも、火災に加え、地震や水害など近年増加しつつある自然災害による文化財の被災、そして残念なことに盗難などの被害が後を絶ちません。文化財はなぜ大事なのか?ただ古いものだから、貴重なものだから守らなければいけないのではなく、今を生きる人々の、まさに「心の拠り所」でもあるから、守る必要があるのでしょう。では、一体どうやって守ればよいのでしょうか???

来たる6月27日に開催する、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」第2回では、「文化財を守れ」というタイトルで、長年、県教委文化財保護課で文化財の防犯・防災対策に携わってきた古川史隆氏(県教委文化財保護課・滋賀県立琵琶湖文化館)が、これまでに滋賀県が取り組んできた美術工芸品の防犯・防火対策について詳しくご紹介いたします。

国宝・重要文化財の指定件数において、全国第4位である滋賀県にとって、ノートルダム大聖堂の火災は決して「対岸の火事」ではありません。また、皆さんのお住まいの地域など、身近なところにも、文化財はたくさんあるはずです。そういった地域の宝を、犯罪や災害による被害からどのように守っていけばよいのか、今回の講座からは、きっとそのヒントがたくさん得られることと思います。皆さまも、この機会に一緒に学び、考えてみませんか?

講座について、詳しくはコチラをご覧ください。お申込みには、専用送信フォームも用意しています(電話・FAXでも受け付けています)。多数のご参加をお待ちしております。

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「花湖さんの打出のコヅチ」第1回 開催しました

琴・琵琶・三味線など、日本にはたくさんの伝統的な弦楽器があります。みなさんはこの弦楽器の弦が何でできているかご存知ですか?
植物の繊維?クジラの髭?残念!実は蚕(かいこ)が吐く糸、つまり絹でできています。現代ではナイロンなど化学繊維のものが普及しているようですが、本来の和楽器はあの繊細で美しい絹から作られた弦で音色を奏でています。

5月9日に開催された今年度第1回目の滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」では、「伝統音楽を守る~邦楽器の糸製作」という演題で、琵琶湖文化館にも勤務されている滋賀県教育委員会文化財保護課の矢田直樹主査と、スペシャルゲストとして、この絹弦を明治以来作り続けておられる長浜市木之本町の丸三ハシモト株式会社の橋本英宗氏にご登壇いただき、絹弦制作の実情や、絹弦を世界に発信していくチャレンジについてお話しいただきました。講座に参加された100名の受講生のみなさんは、終始和やかな雰囲気で、講師のお話に耳を傾けていらっしゃいました。

先ずは、文化財の保存技術についてのお話です。国は、文化財を修理する技術や、文化財に用いられている材料等を作る技術を選定保存技術として選定し、その技術を保持する団体や人を認定しています。滋賀では平成3年に『邦楽器原糸製造』(繭から糸を作る技術)として、木之本町邦楽器原子製造保存会が認定され、平成30年に『邦楽器糸製作』(生糸から弦を作る技術)として、木之本町の橋本圭祐氏(英宗氏のお父様)が、選定保存技術保持者として認定されています。
講演では、独楽のような道具で糸を撚る「独楽撚り」の動画などを交えて、絹弦制作の工程をわかりやすく解説していただきました。この機械化の時代、糸の撚りや糊付けなど、ほとんどの工程を手作業で行っている実態にビックリ。生産量の少ない弦は逆に手作業の方が小回りが利いて良いのだとか。それと、手作業でなければ演奏者一人一人の好みに合わせた弦は作れないそうです。伝統産業は、効率化だけがすべてではないのですね。しみじみ。
また、自然の産物である絹糸は太い細いがあり、太さが均一ではありません。ですが、この不揃いな糸こそが適度な乱れを生み、音に深みを与えるそうです。太さが均一な化学繊維の糸には真似できない音だとか・・・なんとも奥深い!!
近年では、和楽器だけでなくアジアの弦楽器の絹弦の開発にも乗り出し、中国古来の楽器古琴の弦の生産に成功したとのこと。中国でも絹弦の伝統はほとんど残っておらず、日本での復活が大きな話題になったそうです。昨年は滋賀県と中国湖南省の友好提携35周年の式典が行われましたが、この時に湖南省に送られたプレゼントは何とこの絹弦でした。まさにシルクロードをさかのぼった絹の弦が、国際交流の懸け橋となりました。細い細い糸がワールドワイドな交流を生み出せたのも、伝統の継承とその先の革新の努力のたまものなのですね。

全国でも和楽器に用いる絹弦を作っている業者は、もう7軒しか残っていないそうです。そして、なんとそのうちの4軒が我らが滋賀県にあるということは、聞いている私たちにも驚きで、とても誇らしい思いでした。世界に響け!滋賀の音!!

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