月別アーカイブ: 3月 2023

令和5年度地域連携企画展!4月2日には特別講演も!

 大津も桜がほぼ満開!このそわそわドキドキする感じは、春だから?明日からは新年度が始まるから?いえいえ、それだけではないですヨ!
 4月1日から、近江八幡市の長光寺で始まる令和5年度 琵琶湖文化館地域連携企画展!

 あれは確か・・・昨年の春のことです。「見ていただきたい経文があるのですが」と、ご住職から電話をいただき、当館の井上副館長が対応させていただきました。

 見せていただいたいたのは、長光寺さまが近年入手された写経「三弥底部論(さんみていぶろん)」です。 いきなり難しい言葉がでてきましたね。お釈迦さまの説かれた教えを書き残したのがお経です。般若心経や法華経、阿弥陀経などは、特によく知られていますが、「三弥底部論」は、お経の全てを網羅したといわれる「一切経」の中にしか出てこない、とても珍しい経典です。
巻末の奥書きに、弘安4年(1281/鎌倉時代)7月3日に近江国蒲生下郡の長光寺において書写されたことが記されており、正しく鎌倉時代後期に制作された貴重な文化遺産であることがわかりました。

 ここまでの情報だけを見ると「良かったね」で終わってしまう話なのですが、井上副館長はここから更に深く追求します。

〇日本では「三弥底部論」自体が希少であり、ほぼ一切経の一部としてのみ書き写されてきたことから、鎌倉時代の長光寺に一切経という膨大な経典が備わり、それらを書写・普及する一大拠点として機能していたことが推測される。
〇長光寺(武佐寺とも呼ばれた)の近くで栄えていた武佐宿の名産・武佐墨(むさずみ)は、中世における代表的銘墨として著名であるが、その発祥は長光寺での大規模な写経事業を支える需要から生まれた可能性が高い。(※武佐墨は現在は廃れています。)

 なるほど!このような事まで分かりますかッ!!・・・当時のことを想像してみると、先ず国外から輸入された最先端のお経、経典類の数5000以上(!)といわれる一切経が、長光寺にあったこと自体が とてもすごいことで 、近江の仏教史を塗り替える新発見!そしてその一切経を書き写すというプロジェクトには、多くの人が係わると同時に、写経に必要な墨の需要に応えて「武佐墨」という名産が生まれたと考えると、地域の歴史を紐解く貴重な資料なのでは・・・?!
・・・とのこと。いやはやお見事!納得・合点がいきました! お経から全てが繋がった気がするこの爽快感 ♡ !。

井上副館長

 あれ?文章にすると難しく感じてしまいます?!そんな方は是非、井上副館長のお話を聞いてみてください!一つの資料から、地域の様々なことを発見する・読み解くことが、きっと楽しくなりますヨ!

 特別講演会:4月2日(日)13:00~14:00
 【演題】近江国蒲生下郡長光寺の一切経について
 【講師】県立琵琶湖文化館副館長 井上 優

 【会場】補陀洛山長光寺(滋賀県近江八幡市長光寺町694 )  

 
 「三弥底部論」は、4月1日(土)~10日(月)の間、長光寺さまにて「特別初公開」されます!地域の歴史を物語る貴重な資料ですので、この機会に是非、皆さまご覧ください!【詳しくはコチラ】

(←3/30撮影:桜が見頃です)

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研究紀要第39号 発刊しました

  3月も残りわずかとなりましたが、例年、このタイミングで皆さんにご報告していることがあります。そう、当館の調査・研究成果をまとめた「研究紀要第39号」を発刊いたしました! それぞれの担当分野において、頭を抱えながら(!!)執筆に専念した、その力作、その内容とは・・・?!!!。

【浅井長政像と南部晋氏の事績】
小谷城主・浅井長政公の肖像画の全貌に迫るべく、昨年発行の第38号に引き続き、明治時代に活躍した郷土史家・南部晋氏の事績を辿りつつ、さらに深掘りして調査を進めた、その結果とは?!

【杉本哲郎壁画「舎利供養」に捺された「春江」号印について】
当館内の壁に設置されている大壁画「舎利供養」。杉本哲郎氏の作ですが、何故か「春江」の印が捺されます。哲郎が落款の印に込めた真意とは?!

【泉福寺(甲賀氏水口町泉)所蔵 木造四天王立像について】
一木造りで内刳りをほとんど施さない古様でありながら、四天王すべての像が兜(かぶと)を被っていない等の特徴を考えると、10世紀末から11世紀初頭の造立と考えられる貴重な作例であることが判明!!

【研究ノート 3Dプリンタ出力品の博物館活動における活用】
近年急速な技術進歩を遂げる3Dプリンタ。その出力品は来館者が手に取り触れられる展示や教育普及にも用いられている。博物館活動における活用の可能性について考察!!

 ご覧のとおりの力作です。こちらは、研究紀要のサイトから、各項目についてPDF版のダウンロードが可能となっていますので、是非ご利用下さい。

 このほか、令和4年度の年報として活動報告を掲載しております。また、皆さんと一緒に取り組んだ
【記録に残そう大作戦!〔大トンボと琵琶湖文化館〕】
についても、事業報告としてまとめています。こちら、皆さんからいただいた投稿写真もしっかりとカラーで掲載した結果、ファイルサイズが8.1MBの大容量・・・ となっておりますので、ご覧になるときは是非ご自宅のパソコンでお願いいたします!

 研究紀要は、県内の図書館はもとより国会図書館や市町教育関係機関、博物館などにも送付しておりますので、是非皆さま手に取ってご覧くださいませ♪

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安土展 閉幕まであとわずか

 現在、滋賀県立安土城考古博物館で開催中の「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」。早いもので閉幕まで一週間を切りました。開催したころは雪が残る寒い日でしたが、今では春の陽気に包まれることが多く…展覧会のタイトルのように、四季を感じさせてくれます。

 当館の収蔵品が繰り広げる四季を皆さま、すでに体感してくださいましたか?「まだ、体感していない」という方は、ぜひ、安土へ足を運んでみてください。ドライビングを兼ねて車で行くのも良いですが、春の陽気を感じながら電車で行くのもおススメです。

 最寄りの駅となる安土駅には、このような(↑)立て看板がお出迎えしてくれます。看板には、会場まで「徒歩で約25分・自転車で約10分」の文字が…~中々遠そうですね…。駅前にはレンタサイクルがあり、自転車で風を受けて行くのも良いですが、ここはお散歩も兼ねて徒歩で行ってみましょう。ありがたいことに、行く道々には「安土城考古博物館」の案内看板もあり、道に迷う心配はありません。田園風景に小鳥のさえずりを聞きながら30分程のんびりと歩いていると見えてきました♪安土城考古博物館です。

 会場に入ると、文化館の選りすぐりの収蔵品が観覧者をお出迎えしてくれます。春夏秋冬それぞれを描いた作品たちは、見どころ盛りだくさん…ですが、見どころが多すぎて「どこを見て良いかわからない!」と困った方もいらっしゃるかも??
 その時は、キャプション横にあるコチラのパネルにご注目ください。コチラには“あきつ君の「ココ見て!」ポイント”の文字が。。。そう、作品の見どころを、文化館のマスコットキャラクター・あきつ君が教えてくれます。ご覧になる方に、作品を見るためのちょっとした手伝いをしてくれています。もちろん、「ココ見て!」ポイントだけでなく、自分でお気に入りのポイントを見つけるのも面白いですよ。一つ一つの作品を隈なく見てみると、色んな発見があるかもしれません。

 作品鑑賞が済んだら、ぜひコチラにもお立ち寄り下さい。コチラの特設コーナー「新しい文化館にメッセージを届けよう!」では、「新しい文化館でも見たい作品」「新しい文化館での“展覧会へのご意見」の二つのテーマで、皆さんからメッセージを募集しています。2月の開催から3月半ばまでこちらに寄せられたメッセージは、座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」で紹介させていただきました(詳細はコチラ) 。座談会は3月19日に行われすでに終了していますが、現在でもメッセージは募集中です。皆様からの大切なメッセージを受け、皆様とともに新しい文化館を作っていくために、、、まだまだ多くのメッセージをお待ちしています!

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3月19日 座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」開催しました

  語りました。地域連携企画展「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」の関連事業として安土城考古博物館セミナールームにて開催された座談会!令和9年度に浜大津での開館を目指す新・琵琶湖文化館について、本展の会場に寄せられたメッセージを元に、4人の登壇者が熱く語らせていただきました。

 登壇者は、「幼少期に仮面ライダーを見るような感覚で美術全集に載っていた仏像を見たことがきっかけ」で、彫刻担当の学芸員になった当館の和澄主任学芸員、学生時代に安土での発掘に携わったこともある県文化財保護課の福西主査、文化財修復師さんがいた絵画教室に通っていた安土城考古博物館の岩崎学芸員、そして学生時代に制作技法を考えることが楽しく金工品に目覚めた、今回の企画を行う当館の田澤学芸員です。それぞれの専門を選んだきっかけなどもあわせての、自己紹介で始まりました。

 今回の座談会は、3つの話題で構成されています。まず収蔵品について。登壇者が「見たいor見せたい作品・文化財」をそれぞれ紹介しました。和澄学芸員からは日吉神社(東近江市)所蔵の鬼面について、文化財と地域との「つながり」を見せる展示の提案などなど。考古が専門の福西氏から館蔵品の洋犬図があがったのは意外でした。

 また、「あなたが思う“新しい琵琶湖文化館でも見たい作品・文化財”は何ですか?」への投票結果も発表!1位は寒華傲雪図。素敵なメッセージも寄せられていましたよ♪
 このほか、当館の収蔵品貸出ランキングと写真図版提供ランキングといった、「データから見る琵琶湖文化館の人気作品」の話も盛り上がりました!

 話題の2つめは、「新しい琵琶湖文化館での“展覧会へのご意見”をお知らせください!」に寄せられたメッセージをもとにしたお話です。仏教美術がテーマの展覧会へのご要望が多いようで、もちろん新文化館でも開催されるとのこと!そのほか、ご来場のお客様が当館の思い出を語っていかれるなど嬉しい話もあわせて、大トンボの展示希望のメッセージが岩崎氏 から紹介されました。また、新文化館では子ども向けや初心者向けへのアプローチを考えるなど、展示の工夫をしていきたいと田澤学芸員から語られました。

 最後の話題は、新文化館の全体について。和澄学芸員からは、「ミュージアム・地域文化財サポートセンター・ビジターセンターの3つの役割がうまく回ることで、文化財をしっかり公開し守っていく博物館のモデルケースになる」と頼もしい発言が!岩崎氏からは、「県内の博物館どうしが密な関係性をつくっていくなかで、新文化館がその中核的な存在になってもらえたら」と。福西氏からの「滋賀県に欠けている拠点施設への期待はあるが、本当にそんなにたくさん仕事ができるの?」という問いかけに対しては、「自分たちが全部やるのではなく、色々なつながりを持つハブとして機能していけたら」と和澄学芸員が答えました。

 あきつブログをご覧の皆様にはおなじみの収蔵品の魅力をさらに広げつつ、色々な「つながり」を保ちながら活動をしていく新文化館への期待が高められた座談会でした!ブログに書ききれなかった内容や配布資料は、後日公開いたしますのでお楽しみに♪

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3月20日 琵琶湖文化館のお誕生日♡

 今日は当館にとって、とても特別な日です。1961年(昭和36年)に開館した当館は、本日62歳のお誕生日を迎えました。
 現在、施設は、屋根の防水工事のため足場やシートに覆われておりますが、今年も無事にこの日を迎えられたことにホッとしております。

 滋賀県の歴史や美術を総合的に紹介する県内初の公立博物館として、開館当時は水族館や植物園、プール、レストランなどを擁する総合レジャー施設であった当館。その後、
 1984年[23歳] 県立近代美術館(現美術館)の開館に伴い近代絵画を美術館へ移管。
 1992年[31歳] 県立安土城考古博物館の開館に伴い、主な考古資料を博物館へ移管
 1996年[35歳] 県立琵琶湖博物館の開館に伴い、水族部門を博物館へ移管。
 2008年[47歳] 休館。
となり、現在に至っております[62歳]。

 果たして、このお誕生日の特別記念日に皆さんに何をご報告しようかと、いろいろと頭を悩ませましたが、やはりここは、皆さんが気に掛けてくださっている「大トンボ」について、長年当館と運命を共にしてきた当館の“アイドル”について、その後の様子を報告したいと思います。

 コチラ、本日の大トンボです。屋根から取り外して早2ケ月。その間に新たな発見もありました。先ずは銘板が見つかったこと。これは、2月16日付けのブログでもご報告しましたね。実はその後、更なる発見がありました。

 かねてより当ブログでも皆さんに何度かお尋ねしておりました。「文化館の大トンボが金色だった頃の写真をご存じないですか?」と。ずっと謎でした。当館の創建報告書に書かれている「勝虫飾:総体金箔仕上げ」について、当時の写真はモノクロでしか残っておらず、本当に金色だったのか、現在居る職員は誰も知らないのです。

 そこで今回、大トンボの塗装が剥がれているところ(地色がみえるところ)にライトを当ててみると・・・あった!ありました金色の破片!!

 見つけたのは当館で彫刻を担当している学芸員。曰く「ほとけさまを調査する時、見た目は木目しか見当たらなくても、当時の彩色が残っていないか隈なく調べる。大トンボも、(言い換えれば)塗装が剥がれていたからこそ、当初の色彩が確認できた。塗装が剥がれて残念な事ばかりではない!」とのことでした。なるほど(笑)。
 実物をしっかりと見るということは大切ですね~。作品から知りえる情報の大切さを改めて実感!文化館の大トンボが金色だったことが証明されました!

 「 (屋根から) 大トンボが居なくなって、あきつ君はどうするの?」
ブログで活躍している当館のマスコットキャラクター「あきつ君」を心配する声もいただきました。あきつ君は、大トンボの意思を引き継ぎ、文化館と皆さんをつなぐ潤滑油のような存在として(?!)これからも活動できればと思っています。

 目下のところの心配事と言えば・・・・・ ↓
屋根が塗装されたことで「文化館が『 ひこにゃ〇化』している?!」と巷でウワサされていること・・・ かな?

 あはは。言われてみれば?!ですね。
 お城仲間として、これからも元気に頑張っていければ嬉しいです。

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祝!県民の宝 滋賀県指定文化財 新指定に当館の「檜図」!

 春うらら~のお天気ですね。今年はスギ花粉の大量飛散に泣いている人も多いと思いますが、こちらは「ヒノキ」に嬉し泣き♡です♪
 本日、令和5年3月17日、滋賀県では県民の宝「滋賀県指定有形文化財」が新たに指定されました。ざっと紹介しておきましょう~♪

○有形文化財7件
・建造物1件 弘誓寺本堂 1棟(東近江市)
・絵画1件 紙本金地著色檜図 海北友松筆 六曲屏風 1隻 滋賀県[県立琵琶湖文化館]
・彫刻1件 木造金剛力士立像 2躯 正福寺(甲賀市)
・工芸品1件 太鼓 1口・太鼓台 1基 (文安元年、永尾護国寺等の墨書銘がある)
                           長浜八幡宮(長浜市)
・書跡典籍・古文書2件
      木内石亭墓碑 1基 本像寺(守山市)
      木俣清左衛門家文書(付属品共) 605点 彦根市[彦根城博物館]
・考古資料1件 真野古墳出土品 162 点 大津市[大津市埋蔵文化財調査センター]
○有形民俗文化財1件
  北比良の石屋用具 1,112 点 滋賀県[県立琵琶湖博物館]

 ・・・気付いた方おられます?そうです! 当館:琵琶湖文化館の館蔵品である「紙本金地著色檜図」が新たに県指定文化財の仲間入りを果たしました!いやぁ、いつかこの日が来ると信じておりました!(笑)♪
 皆さん覚えておいでですかね~令和2年に安土城考古博物館で開催した地域連携企画展「安土・桃山時代の近江展-琵琶湖文化館の収蔵品を中心に」に出品していたのですが・・。そう! “あの” 海北友松(かいほうゆうしょう)が描いた、檜図です!

  海北友松は近江ゆかりの絵師で、狩野派に弟子入りをし、豊臣秀吉に重用されるなど、公家や宮家とも交流しながら活動の域を広げた桃山時代を代表する巨匠のひとりです。

 現存する友松の作例は水墨画が多数を占め(京都建仁寺の雲龍図など)、本図のような金碧画は10例もありません。

 友松が描いた金碧画のうち、本図は、現存する友松の金碧画中最も早期に位置付けられるものとして注目されます。県内所在の数少ない友松画であり、桃山時代の金碧障壁画の優品であることが評価され、このたび県指定文化財と相成りました。
 手前味噌な自慢話♡をしてしまいましたが、今回指定された他の新指定文化財も、とても興味がそそられます。なかなかに個性的と言いましょうか、「滋賀県」らしい「滋賀県の宝」に改めて気付く・・・それが県指定の素晴らしいトコロだと思います ♡ 。

 そしてやはり何といっても、令和5年3月17日は、当館の収蔵品に「指定文化財」が1件増えた、嬉しい♡祝いの金曜日です。最後までソレを言いたい(自慢したい)文化館贔屓の職員ですが・・何卒オユルシくださいませ(笑)。

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花湖さんの打出のコヅチ特別講座「近江のなれずし製造技術」登録記念講演会 開催しました

 3月も2週間が経ち、桜の開花予報がニュースで流れ始めました。文化館にある鉢植えの桜が、街中の桜よりも一足先にたくさん花開いた3月14日、滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」特別講座を開催しました。

 例年この時期に「打出のコヅチ」を開催することが無く、毎年参加される熱心なファンの方なら「なぜ?この時期に??」と思われたのではないでしょうか。今回のコヅチは、2023年1月20日に、「近江のなれずし製造技術」が国の文化審議会から登録無形民俗文化財に登録するよう答申を受けたことで、登録記念の特別講座を開催することとなりました。急遽決まった記念講演…皆さんにお知らせする時間が短かったにも関わらず、会場には85名もの方にお越しいただきました。

滋賀県立琵琶湖博物館
専門学芸員 橋本道範先生

 第1部の記念講演では、滋賀県立琵琶湖博物館の専門学芸員である橋本道範先生に「フナズシ研究最前線」というテーマで、お話していただきました。
  寿司の原型「なれずし」は、古くからの食文化として知られています。現在最も有名なのが「ふなずし」ではないでしょうか。県内では、琵琶湖の固有種のニゴロブナが最もポピュラーです。4月~6月くらいの産卵期に漁獲されたものを仕込んだ後、夏に漬け込み、乳酸発酵させて冬に食べはじめます。これが昔からの伝統的な作り方だと誰もが思いますよね。ですが、元禄2年(1689年)の料理本「合類日用料理抄」に「江州鮒の鮨」という箇所に「寒(かん)の内ニ漬申候」との記述があるのだとか。これには、冬に獲れるフナは脂がのっていて美味しいとの話もあり、寒漬けの方がおいしいとされていたようです。子持ちのフナを夏に漬ける現在のふなずしとは違います。
 お話からは、歴史的に見た「ふなずし」の多様性が見られ、古くから変わらないと思っていた「ふなずし」が時代によって変わるということに驚きました。

 ふなずし1つでも多様性がある「なれずし」、、、他の種類を含めるとその多様性はもっと広がります。なんとも奥が深い!
 講師の橋本先生は、江戸時代の書物のように寒い時期に漬け込んだり、玄米や更には糯米(もちごめ)を使用して漬け込むなど、様々な「なれずし」を試作されています。今後も新しい発見がありそうで、期待が膨らみます!

  第2部は特別PR企画として設けられ、滋賀の食文化に関心を持った有志が集まる「滋賀の食事文化研究会」の方が、湖魚を使用した滋賀のなれずしについて、その活動内容ともにお話してくださいました。
 県の水産課からは、手作りふなずしについて紹介されました。ふなずしを自分で作ろうと思うと、かなり難しそうですよね…ですが、県内には「ふなずし漬け方講習会」なるものがあり、各地で開催が拡大しています。(詳しくは滋賀県漁業協同組合連合会のサイトをご確認ください)この講演をきっかけに「近江のなれずし製造技術」に興味を持たれた方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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地域連携企画展会場にて、メッセージ募集中&期間限定でプレゼント中☆

 2月4日から開催中の、安土城考古博物館での地域連携企画展「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」は、もうご覧いただけたでしょうか?前回のあきつブログでもふれた、「新しい文化館にメッセージを届けよう!」について、詳しくご紹介いたします。

 会場では、2つのメッセージをご記入いただける特設ブースを設置しています。そのメッセージとは…

 【投票】「あなたが思う“新しい琵琶湖文化館でも
      見たい作品”はどれですか?」
 【募集】「新しい琵琶湖文化館での“展覧会へのご
      意見”をお知らせください!」

 現在、計画進行中の新しい琵琶湖文化館について「ぜひ皆様からメッセージをいただき、展覧会活動に反映させたい!」。そんな学芸員のアツイ想いから、募集しております。特設ブースでは、琵琶湖文化館収蔵品(寄託品を含む)が数多く掲載された図録と、昨年の8月に開催した県民フォーラムでのプレゼン資料をご覧いただくことができます(県民フォーラムについてはコチラ)。こうしたものも参照して、メッセージをお寄せいただければ幸いです。

 2つのメッセージをご記入いただくと、3月12日(日)までの期間限定で、豪華なプレゼントもありますよ!
(詳細はコチラ)

     ①琵琶湖文化館収蔵品ポストカード(3種類から1枚選んでください)
     ②近江の城 滋賀県中近世城郭分布地図

 このうち、②近江の城 滋賀県中近世城郭分布地図をご紹介いたします。広げると、なんと大きな滋賀県の地図!その数約1300もあったという、県内のお城すべての網羅を目指してつくられました。近江のお城の全貌を見渡すのにぴったりですね♪



 上記でいただいたメッセージをもとにお話しする座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」は、現在内容を検討中です。登壇する学芸員たちの打ち合わせに耳を澄ませ聞いていたところ・・・「自分の“推し作品”も紹介する?」「このご意見は面白いね!」「そんなこと話しちゃって大丈夫?」「○○さんにはヒール役をやってもらいましょう」・・・さて、どんな座談会となるでしょうか。ご期待ください!

 座談会は3月19日(日)開催予定ですが、まだまだ参加者募集中です。ご参加にはコチラ(滋賀県立安土城考古博物館サイト)をチェックしてください!

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3月の文化館はイベント満載!

 「一月往ぬる二月逃げる三月去る」とはよく言ったもので、早くも3月の始まりです。まだまだ寒い日もありますが、暖かい日もあり、少しずつ春の訪れが近づいているのを実感します。

 さて、3月と言えば、3月3日の「桃の節句」ですよね。ですが、今日は少し趣向を変えてコチラの絵をご紹介しようと思います。桃の木の下で3人の男性が、何かをしています。これは、平安時代の宮中行事「曲水(きょくすい)の宴(えん)」と言って、流水に酒杯を浮かべ、自分の前に流れ着くまでに詩を詠み楽しんでいる様子が描かれています。3月3日に行われたらしく、まさに今の時期にピッタリの絵です。
 この絵は、月岡雪鼎筆の「十二カ月図屏風(文化館蔵)」の中の一扇(せん:屏風を構成する縦長の画面1枚。6枚の扇がつながって6曲の屏風)に描かれています。
 「十二カ月図屏風」 は、滋賀県立安土城考古博物館で開催中の地域連携企画展「琵琶湖文化館収蔵品にみる四季」に出品しています。普段はなかなか見ることができない文化館の収蔵品を、多くの皆様に見ていただける貴重なチャンスです。雅な宮中文化に触れて、いつもと違う桃の節句を感じてみてください。

 さらに、会場には「新しい文化館にメッセージを届けよう!」という特設ブースを設けて、皆さんから以下のような2つのメッセージを受け付けています。

【投票】「あなたが思う“新しい文化館でも見たい作
     品”はどれですか?」
【募集】「新しい文化館での“展覧会へのご意見”を
     お知らせください!」

 しかも!3月12日までは、2つともメッセージを書いてくださった方に、特別にプレゼントも用意してあります!ぜひ、多くのメッセージをお寄せくださいね。また、ここでお寄せいただいたメッセージをもとに、3月19日に座談会「新しい文化館と収蔵品を語る」も開催します。気になった方は、コチラ(滋賀県立安土城考古博物館サイト)をチェックしてくださいね。

 そして、もうひとつ忘れてはならないイベント『滋賀の文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」特別講座』も、3月14日に開催となります。滋賀を代表する食文化である“なれずしの製造技法”が、国の登録無形民俗文化財に登録されるのを記念した講演会です。こちらも、ただいま絶賛参加者を募集中ですので、まだ予約をされていない方は、お早めにお申し込みくださいね。

 3月もイベント満載の文化館ですが、皆様に楽しんでいただけるように、頑張っていきたいと思います。

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