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令和5年度地域連携企画展!4月2日には特別講演も!

 大津も桜がほぼ満開!このそわそわドキドキする感じは、春だから?明日からは新年度が始まるから?いえいえ、それだけではないですヨ!
 4月1日から、近江八幡市の長光寺で始まる令和5年度 琵琶湖文化館地域連携企画展!

 あれは確か・・・昨年の春のことです。「見ていただきたい経文があるのですが」と、ご住職から電話をいただき、当館の井上副館長が対応させていただきました。

 見せていただいたいたのは、長光寺さまが近年入手された写経「三弥底部論(さんみていぶろん)」です。 いきなり難しい言葉がでてきましたね。お釈迦さまの説かれた教えを書き残したのがお経です。般若心経や法華経、阿弥陀経などは、特によく知られていますが、「三弥底部論」は、お経の全てを網羅したといわれる「一切経」の中にしか出てこない、とても珍しい経典です。
巻末の奥書きに、弘安4年(1281/鎌倉時代)7月3日に近江国蒲生下郡の長光寺において書写されたことが記されており、正しく鎌倉時代後期に制作された貴重な文化遺産であることがわかりました。

 ここまでの情報だけを見ると「良かったね」で終わってしまう話なのですが、井上副館長はここから更に深く追求します。

〇日本では「三弥底部論」自体が希少であり、ほぼ一切経の一部としてのみ書き写されてきたことから、鎌倉時代の長光寺に一切経という膨大な経典が備わり、それらを書写・普及する一大拠点として機能していたことが推測される。
〇長光寺(武佐寺とも呼ばれた)の近くで栄えていた武佐宿の名産・武佐墨(むさずみ)は、中世における代表的銘墨として著名であるが、その発祥は長光寺での大規模な写経事業を支える需要から生まれた可能性が高い。(※武佐墨は現在は廃れています。)

 なるほど!このような事まで分かりますかッ!!・・・当時のことを想像してみると、先ず国外から輸入された最先端のお経、経典類の数5000以上(!)といわれる一切経が、長光寺にあったこと自体が とてもすごいことで 、近江の仏教史を塗り替える新発見!そしてその一切経を書き写すというプロジェクトには、多くの人が係わると同時に、写経に必要な墨の需要に応えて「武佐墨」という名産が生まれたと考えると、地域の歴史を紐解く貴重な資料なのでは・・・?!
・・・とのこと。いやはやお見事!納得・合点がいきました! お経から全てが繋がった気がするこの爽快感 ♡ !。

井上副館長

 あれ?文章にすると難しく感じてしまいます?!そんな方は是非、井上副館長のお話を聞いてみてください!一つの資料から、地域の様々なことを発見する・読み解くことが、きっと楽しくなりますヨ!

 特別講演会:4月2日(日)13:00~14:00
 【演題】近江国蒲生下郡長光寺の一切経について
 【講師】県立琵琶湖文化館副館長 井上 優

 【会場】補陀洛山長光寺(滋賀県近江八幡市長光寺町694 )  

 
 「三弥底部論」は、4月1日(土)~10日(月)の間、長光寺さまにて「特別初公開」されます!地域の歴史を物語る貴重な資料ですので、この機会に是非、皆さまご覧ください!【詳しくはコチラ】

(←3/30撮影:桜が見頃です)

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