源氏物語画帖 1帖 |
江戸時代 全24紙 |
(げんじものがたりがじょう) 本館蔵 |
法量 縦 32.4㎝ 横 26.8㎝ |
『源氏物語』から「末摘花(すえつむはな)の巻」の一場面を描いたものです。源氏は、亡き常陸(ひたち)の宮の姫君(末摘花)が心細い様子で暮らしていると聞き、早速その屋敷を訪れると、琴の音が聞こえてきます。そこでもう少し姫君の様子をうかがおうと、透垣(すいがい)の物陰に寄ってみると、そこには前から立っている男がいました。姫君に思いを寄せる者かと思ってよく見ると、それは一緒に宮中から出た頭中将(とうのちゅうじょう)でした。
画面は、故常陸の宮邸の透垣の陰で、頭中将が源氏を呼びとめているところが描かれています。邸内では御簾(みす)を高く巻き上げて、末摘花が琴を弾いて います。庭の梅は満開で、松の木の間から十六夜(いざよい)の月が、これらの様子をくまなく照らしています。
この「源氏物語画帖」は、『源氏物語』54巻のうち12の場面について、和歌一首が書かれた詞書(ことばがき)の色紙と、一場面が描かれた色紙とが、対となるよう貼り仕立てられています。詞書も絵も巻の順には貼られていませんが、物語の順に配列すると、桐壺、帚木、空蝉、末摘花、紅葉賀、花宴、花散里、須磨、蓬生、松風、薄雲、宿木となります。
本品は土佐派の定型を踏まえた図様から、江戸時代中期の土佐派の作品と考えられ、金雲を配置する伝統的な大和絵(やまとえ)の手法で、『源氏物語』の一こまをよく描いています。
参考文献:岩坪健「滋賀県立琵琶湖文化館所蔵「源氏物語画帖」の紹介」(同志社大学人文科学研究所『社会科学』52 (3)、2022年)
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※写真をクリックすると全12図を見ることができます。
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※「源氏物語画帖」は、令和3年(2021)2月6日から3月21日まで、県立安土城考古博物館で開催された、地域連携企画展「琵琶湖文化館の『博物誌』―浮城万華鏡の世界へ、ようこそ!―」に出展されました。
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