全身真っ赤なほとけがいます。名は愛染明王(あいぜん みょうおう)といい、 不動明王(ふどうみょうおう)などと同じ密教のほとけです。愛情の激しさが赤色となり、悪心を払ったり、男女の恋愛を祈る本尊となります。
密教のほとけには、多くの手足を持つなど超人間的な姿が見られます。愛染明王は全身赤色で、髪を逆立てて怒りをあらわしています。顔面には通常の目のほかに、額の中央に第三の目があります。頭上には、獅子の頭部をあらわした冠が見られます。これは百獣の王ライオンの力を誇示しているのでしょうか。手は合計6本。弓矢を持つのは、ローマ神話の愛の神キューピットと同じで、何らかの関連性を感じさせます。明王の坐す下にはさまざまな宝物を吐き出す「宝瓶」(ほうびょう)が置かれます。制作年代は、鎌倉時代と考えられます。 |
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