作者の森大造(もりだいぞう:1900~1988)は、現在の米原市醒井出身の彫刻家です。歴史上の偉人の肖像や、仏像を多く手掛け、重要文化財等に指定されている名品の模刻から、オリジナル作品まで幅広く制作しました。琵琶湖文化館は、県立近代美術館が開館するまでは近代美術や県内の伝統工芸を積極的に扱っていたため、醒ケ井木彫の伝統を引く大造の作品も収集されています。
この「若返り地蔵」のモチーフは詳しくわかりませんが、童顔で幼児体型の造形は、地蔵菩薩が若返った姿であろうと考えられます。子どもの守護神として信仰を集める地蔵菩薩が、みずからも子どもの目線に立って衆生を救おうとしているかのようです。
令和3年(2021)、琵琶湖文化館は、昭和36年(1961)3月20日の開館から60年目の節目を迎えます。還暦を迎え、新たに生まれ変わり、若返る文化館の寿ぎにふさわしい作品といえます。
※「若返り地蔵菩薩像」は、令和3年(2021)2月6日から3月21日まで、県立安土城考古博物館で開催された、地域連携企画展「琵琶湖文化館の『博物誌』―浮城万華鏡の世界へ、ようこそ!―」に出展されました。
( 和澄 浩介 ・ 井上 優 )
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